February 15, 2018

アマゾン・ドットコムの2017年度決算は大幅増収増益も通販事業は営業赤字

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 今年2018年は2008年から始まるファストファッションブームから10年目にあたるファッション流通の節目の年。

 もう数年前から変革は起こり始めていますが、これからもマーケットや購買行動の激変をリードするのはAmazonやZOZOなどのオンライン起点の企業であることは間違いなさそうです。

 1月19日のエントリー アマゾンと小売りの未来~あらためて考えるアマゾン・エフェクト 

 でもアマゾンドットコムの損益構造に触れましたが・・・

 2月1日にリリースされた 同社の2017年度の決算発表書類に目を通す機会がありましたので、

 過去4年間の時系列収益数値を共有させていただきたいと思います。
 
 米アマゾン・ドットコム社の4年間時系列 事業別売上高&営業利益(本業の儲け)
 (単位10億円 $=120円換算)

◆売上高 2014 2015 2016 2017 前年比
北米 6,100 7,645 9,574 12,733 133%
インターナショナル 4,021 4,250 5,278 6,516 123%
通販事業計 10,121 11,895 14,852 19,249 130%
AWS 557 946 1,466 2,095 143%
合計 10,679 12,841 16,318 21,344 131%
◆営業利益 2014 2015 2016 2017 前年比
北米 43 171 283 340 120%
インターナショナル -77 -84 -154 -367 239%
通販事業計 -34 87 129 -27 -21%
AWS 55 181 373 520 139%
合計 21 268 502 493 98%
◆営業利益率 2014 2015 2016 2017 前年差
北米 0.7% 2.2% 3.0% 2.7% -0.3%
インターナショナル -1.9% -2.0% -2.9% -5.6% -2.7%
通販事業計 -0.3% 0.7% 0.9% -0.1% -1.0%
AWS 9.9% 19.1% 25.4% 24.8% -0.6%
合計 0.2% 2.1% 3.1% 2.3% -0.8%

 いよいよ世界で年商20兆円を超えたアマゾンの儲け=営業利益は 

 北米の通販事業でも営業利益率がわずか2.7%

 それを日本も主力のひとつであるインターナショナル通販事業の年々拡大する赤字(2017年は-5.6%相当)で打ち消して

 世界の通販事業合計では営業赤字。

 一方、急拡大で売上を伸ばし、売上シェア10%のAWS(クラウドレンタルサーバー)事業は25%の営業利益率で、同事業のみで会社の全体の利益を上げているという状態で・・・

 売上の90%を占める通販事業は米国では薄利、海外では赤字でも手を尽くしてシェアを拡大し、別事業(AWSクラウド事業)で儲けてその薄利をカバーしているという構図はここ数年変わりません。

 新聞紙上では売上高も税引き後利益もそれぞれ約30%の増収増益であるところを強調しますが・・・

 税引前では減益ですし、通販事業が赤字であることはあまり強調して報道されませんよね。

 既出のエントリーでも述べたことを繰り返しますが、

 アマゾンは通販の利益は度返しで、

 消費者を品揃えの豊富さ、価格の安さ、サプライズなサービスを次々に繰り出し、期待をどんどん高め・・・

 既存流通企業の品揃えやサービスの旧態依然さ、陳腐さを浮き彫りにし、後手を打たせ、

 競合を業績不振に追い込み、次々に駆逐し、そのサービスの優位性で消費者を益々自社の通販サイトに引き込み・・・

 利益よりも多くの顧客購買データを収集することを優先するという戦略を持った企業なんですよね。

 もちろん 把握した消費者購買行動データから次の手を繰り出すための投資を繰り返し、事業規模を拡大するが目的にあるわけです。

 その点からすると、これまで流通革新を起こして勝ち組と呼ばれて来た企業、

 低価格衣料の品質の常識を変えたユニクロにしても、

 トレンドファッションの価格の常識を変えたZARAやH&Mなどの外資ファストファッション企業にしても、

 彼らは本業で儲ける、営業利益をしっかり10%以上稼ぐことを前提にした

 同じ流通業者による「革新(イノベーション)」であったのと比べると

 流通業者ではなく、グローバルプラットフォーマーという異次元の立場から、利益度返しのアマゾンはある意味、掟破りであり・・・

 それゆえに、より強敵で、対応しようと思って同じ土俵に上ろうものなら・・・

 ほとんどの企業は利益は出せない、ということになるのです。

 そんな違った発想を持った企業のサービスと比較される既存の流通企業はどんな立ち位置で商売をするのか?

 これからは、正しくそれが問われる5年、10年になりそうですね。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 
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February 12, 2018

ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング(GLR)の働く女性のための新業態で考える ファッションストアの新部門開発のセオリー

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 1月25日の日経新聞や2月2日の日経MJにユナイテッドアローズ(UA)が展開するグリーンレーベルリラクシング(GLR)が働く女性に向けた品揃えに特化した新業態「Lurow GREEN LABEL RELAXING」を立ち上げることに関する記事が掲載されていました。

 既存のGLRの品揃えの中から通勤や職場でも使えそうな服・雑貨を切出し、3月1日のアトレ川崎(33.9坪)の1号店を皮切りに今後数店舗の出店を予定しているようです。

 UA社 プレスリリース ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング ウィメンズオンリーショップ「Lurow GREEN LABEL RELAXING」をスタート アトレ川崎に1号店新規出店


 これまで、業界のいろいろな新業態や大型化に伴う新部門導入のニュースリリースを目にして来ましたが、

 「うーん、これは厳しそう」というケースが多い中、

 今回の同ブランドのライン・ロビング型のスピンアウト業態は大きな伸び代を感じ、とても安心して見守れるなと思いました。
 
 ※ 念のため、「ライン・ロビング」とはある専門分野に特化して品揃えを豊富にすることによって、近隣の競合店から客層を奪うカテゴリー戦略のマーケティング用語です。

 その理由は2つあります。

 ひとつは

 以前当ブログでもTOKYO BASEのCITY(シティ)立ち上げに関連した記事をエントリーしましたが、

 TOKYO BASEが都心で働く女性に向けた服の新業態「シティ」をSPA方式で本格展開


・百貨店のキャリアブランドと

・働く女性をメインターゲットとするZARAが創造したマーケット

の間には意外と各ブランドが中途半端にしか攻めていない大きなマーケットがあると思っています。

 ユニクロが万人に受ける低価格良品質のベーシックのマーケットをおさえ、

 ZARAやH&Mといった外資ファストファッションブランドやGUなどが百貨店の半額以下で低価格トレンドファッションマーケットをおさえた後の

 残された数少ない巨大マーケットのひとつ と言っても過言ではないでしょう。

 TOKYO BASEのCITYは 都心駅ビルを中心にプライスポイント10000円超の、いわばUAのビューティアンドユース(BY)くらいの価格でそのマーケットを狙い、

 今回GLRのLUROW(ルロウ;輝く+成長を合わせた造語だそうです・・・)はその価格帯の下を潜り、

 おそらく従来のGLRのプライスポイントからすると・・・

 最多価格帯 7900円あたりで駅ビルと近郊SCを股にかけても通用する価格帯で提供するのでしょう。

 それゆえ、少なくとも、前者よりは大きな売上規模になるでしょうね。

 成功する可能性が高いと思う2つめの理由は

 今回の新業態は小売業が店舗の大型化やスピンアウト型の新業態に取り組む時に

 新しい部門(カテゴリー)導入を検討するにあたり、取るべきセオリーに則っていると感じるためです。

 そもそも、その企業、あるいはストアブランドの出自(出身)や、どんなビジネスからスタートし、どんなビジネスで儲けているかは、

 「企業(ブランド)体質」や「ビジネスモデル」という観点から無視してはならないことは言うまでもありません。

 その中で非常に大事な要素は、

 顧客の視点に立てば、取扱商品の「顧客購買頻度」という観点です。

 企業側の経営数値で言えば、それにほぼ近い数値で表れる「年間商品回転率」にも置き換えることができると思います。

 つまり、既存の取扱商品と比べて、新しい部門(カテゴリー)あるいはフォーカスする部門の
「顧客購買頻度」は相対的に高いのか低いのか?という視点です。

 購買頻度が高い方向に新部門開発をする時は、相対的に商品が良く回転するので、

 「これは売れる!儲かる!」という実感がすぐ得られるので上手く行き、

 その逆は、

 当初は新しい商品が入るので新鮮に感じるかも知れませんが・・・

 すぐに「上澄み」が取られ、既存商品と比べて

 「なんでこんなに売れないの?在庫が重い!」と感じ、シビレを切らして上手く行かないケースが多いように思います。

 このロジックから、これまでの業界の歴史の中で成功したと思う成功パターンをいくつか挙げると、

○ メンズやユニセックスカジュアル中心の店がレディースの取扱いを増やす

○ 古着を扱っていたカジュアル店が新品の取扱いを増やす

○ 紳士服を扱っていたところがカジュアルウエアに取り組む

○ 生活雑貨を中心に扱っていたストアが服の取扱いを増やす

○ レディスカジュアル中心のストアが職場にも着て行けるキレイめ服を増やす

○ 子供服を扱っているストアがママのカジュアル服の品揃えを増やす

などが挙げられるでしょうか。

具体例としては

 1つめはセレクトショップやユニクロ、2つめはユーズドミックス店、3つめはユニクロなど(旧ポイント社もそうですね)、4つめは旧トリニティアーツのニコアンドやスタジオクリップなど、5つめはニコアンドやグローバルワークなど、6つめはしまむらバースデイなどあたりでしょうかね。

 一方、上記の逆を行って、成功したという事例はほとんど聴きません。

 ここ数年の中で、上記のセオリーを無視して、上手くいかなかった事例はいくつもありますが、ひとつだけ挙げると・・・

 アパレル専門店が店舗大型化のため、ライフスタイル業態に転換しようとして、生活雑貨の品揃えを増やしたケースでしょうか。上記で言えば4番目の逆パターンを行った例です。

 もちろん 例外はあるでしょうし、ビジネスの成否は、最終的には

 経営者の辛抱強さと信念をもって取り組む人材によるところにつきます。

 ただし、顧客購買行動をベースにしたセオリーを無視した新部門開発は・・・無謀と言わざるを得ませんね。

 上記の2つの観点から、

 都心部や近郊の働く女性のマーケットは購買頻度も高いですし、比較的お金もかけます。

 ゆえに、ファミリーカジュアル業態で鍛えられたGLRの新業態は「スーツ屋さん」にならなければ・・・

 高効率業態として安心して成長が見込めるのではないか?と私は見ています。

 日頃いろいろな店舗を見ていて・・・商売人が多いなと感心することが多いGLRの取り組みに

 今後とも注目しております。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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February 05, 2018

プラットフォーマーをめざす専門店のEC戦略

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 1月31日の日経新聞にアースミュージック&エコロジーなどを展開するストライプインターナショナルがソフトバンクと共同出資で他社ブランドも販売するECモール「ストライプデパートメント」を立ち上げる記事が掲載されていました。

 記事によれば同ECモールには、百貨店を主力に展開する大手アパレル 三陽商会 レナウンなどを含む企業からの出品が決まっているようで、参加ブランドは数百ブランドにのぼる見込みとのこと。 

 ストライプ社にはZOZOTOWNのライバルになるというよりは・・・より大人(30代後半以上)のマーケットを狙って棲み分けを図る意図があるようです。

 一方 ヨーロッパに目を向けると・・・

 デジタル戦略に遅れをとり 2017年11月期 近年にない微増収減益の決算に終わったH&Mが 

 H&Mグループのブランドとスウェーデンのローカルブランドやインターナショナルブランドの商品をディスカウントプライスで実店舗とオンラインの両方で販売するオフプライスストア型のマーケットプレイス業態 AFOUND(アファウンド)を立ち上げるようです。 

 AFOUND – AN INNOVATIVE OFF-PRICE MARKETPLACE – LAUNCHES IN 2018

 こちらは、定価販売のECモールではなく、在庫消化目的のアウトレットであり、ブランドのディスカウントを切り口に別のマーケットの需要を取り込もうというものです。

 もしかしたら、イギリスで拡大中のアメリカのオフプライスストアの巨人、T.J.maxxグループのT.K Maxxへの対抗措置でしょうか。

 T.K Maxx


 これまで、EC戦略、オムニチャネル戦略と言えば、ECモールへの出店から始まり、自社ECを強化して実店舗との相乗効果を図る流れが主流でしたが・・・

 いよいよ中長期戦略を採る大手ファッション専門店の中から、

 独自で構築した店舗、物流、ITのインフラを活かして、自らが自社ブランドだけではなく他社ブランドも販売する AmazonやZOZOのようなECモールやマーケットプレイスづくりを目論む、いわゆる「プラットフォーマー」志向の企業が現れ始めましたね。

 今後このような動きはAmazonやローカルの競合ECモールに対抗して、世界各国で大手企業を中心に活発になってくるように思います。

 海外の先行事例としては、イギリスのNEXT(ネクスト)が挙げられます。

 同社は世界アパレル専門店ランキング第9位(イギリスでは2位) 日本円で5800億円規模(2017年1月期)の年商の、柳井さんがユニクロを立ち上げる時のモデルのひとつでもあったイギリスの老舗SPAですが・・・

 世界アパレル専門店売上ランキング2016 トップ10

 早く(1999年)からECに取り組み、現在ではEC売上高比率42%を誇り、EC売上のうち12%は同社と競合しない著名インターナショナルブランド含む約100ブランドを販売しています。

 NEXTと一緒に注文して、宅配はもちろん、店舗で受け取る(=クリック&コレクト)ことも可能なインフラを整えています。

 NEXT社は英国内500店舗超の店舗網、独自の物流網を活かして、

 深夜12時までに注文した商品を翌日の昼の12時以降に顧客が指定する店舗で受け取る

 「クリック&コレクト」網を敷いているオムニチャネル戦略の先進企業で、

 筆者はイギリス同様、成熟マーケットとなった日本のチェーン店がベンチマークすべき事例のひとつだと思っています。

 日本の最大手である ユニクロはEC売上を行く末は売上比率30%まで高めるため、アクセルを踏み、

 国内2位のしまむらはこれからのようですが、

 目先の自社ECの強化やECモールへの出店の取り組みもよいですが・・・

 いっそのこと、NEXTのように、その先を見越して、プラットフォーム事業者を兼ねることを視野に入れて、未来からの逆算方式で中長期戦略を組まれるべきなんでしょうね。 

 ユニクロやしまむらのような店舗網 物流網を持った企業は日本国内でもそうないと思いますので、

 そのアドバンテージは活かすべきでしょう。 

 先日、楽天がウォルマート(西友)と組みましたが、

 しまむらともクリック&コレクトで組んだら楽天ポイント大好きな主婦層との相乗効果抜群で、とても相性がよいと思うのですが、いかがでしょうかね?

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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January 23, 2018

プロパー(正価)消化率を高める施策

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 1月の繊研新聞に連日掲載されている主要企業の社長さんが今年の抱負を語るトップインタビュー。

 1月18日の大手アパレル、ジュンの佐々木社長のコメントの中に多くの企業で参考になる事例が掲載されていたのでご紹介させていただきますね。

 記事によれば、

 同社では本社のオフィス内にテスト店舗を作り、

 商品企画段階で実際に商品を並べてみることによって

 コーディネートしにくい商品やカラーを発見し、

 似寄商品を整理するなど店頭での品揃えのムダやムラの検証を開始、

 その結果、ビス、ロペ・ピクニック、アダム・エ・ロペなどの同社の基幹ブランドで

 プロパー消化率が約5%上がる成果が出たとのことです。

 これ地味な作業かも知れませんが・・・実際に筆者の複数のクライアント先でも実践してプロパーおよび最終消化率が上がる成果を出している施策のひとつで・・・

 多くの企業さんに推奨していることのひとつでもあります。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社) の執筆後、多くの方から、どうしたらZARAのようにプロパー消化率を高められるのか?というご質問を頂きました。

 もちろん、ZARAの無駄な在庫を作りこまない、3週分の在庫をつくり足すというサプライチェーンの内製化による「離れワザ的」QR(クイックレスポンス)オペレーションもその理由のひとつですが・・・

 その前提として、本社企画段階でデザイナーの方々がVMD担当の協力を得て、

 店頭を模倣したショールームで実際に商品を並べて、

 一緒に販売する商品との相性を検証するところから始めていることも大きな要因のひとつです。

 拙著の中でも明らかにしましたが、シーズン期末に在庫が残る商品の要因(=死に筋商品の正体)はいくつもありますが、

 それを回避する上で、そもそも、

〇 売場で展開できないほどの品番数をつくらない

〇 コーディネートできないカラーをむやみに増やさない

はストアマーチャンダイジングの基本だと常々豪語して来ました。

 相当頭の良い方なら長年の経験や勘で頭の中でわかるかも知れませんが・・・

 誰もが一番わかりやすいのは、店頭と同じ環境に実際並べてみてみんなで議論することです。

 そのためには自社の店頭にはどんな什器があるのか?その共通項を棚卸してみることから始めるべきでしょう。(これ意外と出来ていない企業さん多いですよね)

 自分のクローゼットの中でも、買ったにもかかわらず全く着ない「失敗商品」って、いくつもあると思いますが、

 商品そのものが悪いわけではなく、自分の持ち物とコーディネートの相性が悪い、「お友達」がいないのが要因ってケースはよくあることです。

 いい商品をつくれば売れる?

 売上を増やすにはカラー数を増やすべき?

 品番数は多いほど売れる?

 プロモーションをかまして、気合で売れば売り切れる?

 それぞれ一理ありますが・・・単品志向、ヒット商品狙いだけでなく、

 お客様のクローゼット(コーディネート)起点、店頭最適を起点に仕事をしたいものですね。

 商品を仕込み(発注し)終わってサイが振られる前に・・・

 死に筋商品の芽はあらかじめ摘み取っておきたいものです。

 関連エントリー‐適正品番数とメリハリ発注

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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January 19, 2018

アマゾンと小売りの未来~あらためて考えるアマゾン・エフェクト

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 1月16日の日経新聞に「アマゾンと小売りの未来」というタイトルで日本、東南アジア、アメリカの流通業に携わる3人の識者のインタービューによる特集記事が掲載されていました。

 アマゾン・ドットコムの急成長が、既存の流通を脅かし、業績不振に陥る企業が増えて行く、いわゆる「アマゾン・エフェクト」をあらためて考える良い機会になりました。 

 ネットにも同記事が掲載されています。

 日経新聞 アマゾンと小売りの未来

 アマゾンは消費者とっては極めて便利なECモール、コンビニに次いで生活に欠かせないショッピングインフラのひとつとなりましたね。

 しかし、良品計画の金井会長が言われるように

 「アマゾンで働く人たちは『自分たちが小売業者だ』という意識は薄いだろう。(中略)アマゾンは膨大なデータを分析して新たな事業やサービスの開発にいかしている。たまたまビッグデータが集まる小売業をやっていて、小売りで儲(もう)ける優先順位が低い。だから低価格販売も可能となる。」(「  」内引用)

 米アマゾン・ドットコム社の2016年度の決算書(FORM10K)に目を通すと
 (単位10億円 $=120円換算)

◆売上高 2014 2015 2016
北米 6,100 7,645 9,574
インターナショナル 4,021 4,250 5,278
通販事業計 10,121 11,895 14,852
AWS 557 946 1,466
合計 10,679 12,841 16,318
◆営業利益 2014 2015 2016
北米 43 171 283
インターナショナル -77 -84 -154
通販事業計 -34 87 129
AWS 55 181 373
合計 21 268 502
◆営業利益率 2014 2015 2016
北米 0.7% 2.2% 3.0%
インターナショナル -1.9% -2.0% -2.9%
通販事業計 -0.3% 0.7% 0.9%
AWS 9.9% 19.1% 25.4%
合計 0.2% 2.1% 3.1%


 世界で年商20兆円に迫るアマゾンの儲け=営業利益は 

 北米の通販事業ではわずか3%

 日本が主力のひとつであるインターナショナル通販事業では長年赤字(売上対比2~3%分くらいの赤字)が続き

 世界の通販事業合計では1%の営業利益も出していない状況 (2016年度営業利益率0.9%)

 一方、急拡大で売上を伸ばし、売上シェア9%のAWS(クラウドレンタルサーバー)事業は25%の営業利益率で会社全体の75%の利益を上げているという構図です。

 つまり、売上の90%を占める通販事業は薄利、あるいは地域によっては赤字でも手を尽くしてシェアを拡大し、別事業で儲けてその薄利をカバーしているというわけなんですよね。

 そんな構造の会社が

 アリックス・パートナーズ マネージング・ディレクター デビッド・バサック氏が言われるように

 「アマゾンは価格や配達サービスなどで高いハードルを設定してしまった。他社が同じサービスを提供し、その上で利益を出すのはとても難しく、多くの小売業者が苦しんでいる。」
(「  」内引用)

 要は、アマゾンは通販の利益度返しで、

 消費者を品揃えの豊富さ、価格の安さ、サプライズなサービスを次々に繰り出し、期待をどんどん高め・・・

 既存流通企業の品揃えやサービスの旧態依然さ、陳腐さを浮き彫りにし、後手を打たせ、

 競合を業績不振に陥らせ、次々に駆逐してしまうという戦略を持った企業なんですよね。

 その点からすると、これまで流通革新を起こして勝ち組と呼ばれて来た企業、

 低価格衣料の品質の常識を変えたユニクロにしても、

 トレンドファッションの価格の常識を変えたZARAやH&Mなどの外資ファストファッション企業にしても、

 彼らは本業で儲ける、営業利益をしっかり10%以上稼ぐことを前提にした革新であったのと比べると

 利益度返しのアマゾンはある意味、掟破りであり・・・それゆえに、より強敵で、同じ土俵に上ろうものなら、ほとんどの企業は利益は出せない、ということなのです。

 20年前のユニクロフリースブームから始まったSPAブーム、

 10年前のH&M日本上陸から始まるファストファッションブーム、

 これからの10年はその時よりも、競争は熾烈で、ゆえに、自社の立ち位置をより一層はっきりさせ、商品やサービスを磨かなければいかない

 商品そのものの価値を高めながら・・・スマホを操り、より利便性を求める消費者のために、コミュニケーション力やサービスを磨かなければならない厳しい時代です。

 寒波の気候に助けられ、アウターや防寒アイテムが売れたこの秋冬シーズンの業績の一時的な回復に浮かれることなく・・・

 流通業界は、今、危機感をもって革新を進めなければならない時代の真っただ中にいます。

 あらためて身を引き締めて臨むことに致しましょう。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 
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