March 21, 2017

ユニクロが挑むハイブリッド型マーチャンダイジング

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 3月17日の日経新聞に前日行われたファーストリテイリングの「有明プロジェクト」説明会に関する記事が掲載されていました。その後も多くのメディアが関連記事を取り上げていましたね。

 ファストリはユニクロの商品部組織を東京ミッドタウンから倉庫のある有明に移し、複数階層あった商品部やマーケティングに携わるスタッフを約5000坪のワンフロアーにまとめ

 マーチャンダイザー、デザイナー、パタンナー、生産、マーケティング担当が

 これまで1年がかりでリレー式で行って来た商品開発業務を定例会議だけに限らない、意見を求めたいことがあれば、すぐに打ち合わせを始められるインフォーマルなコミュニケーションを促進することによって

 業務のスピードアップを計り、シーズン中の需要の変化にも対応できる体制をつくることを目論んでいるようです。

 メディアでは

「つくったモノを売るという所から消費者が求めているモノだけをつくる」

「消費者個人の好みに合わせたサイズやデザインの服を10日でつくり届ける」

 ことが誇張され、ユニクロがこれまでのビジネスモデルを180℃変えるかのように報道されていますが、

 実際には、

 これまでのほとんどの商品が企画から店頭まで1年がかりだった計画生産、売り減らし型の商品開発体制に加え

 ・シーズン中にも新商品を開発して店頭に並べることができるようにすること

 ・サイズのパーソナル対応を拡大すること

 の2つを意図しているものと思われます。

 今回のプロジェクトの背景にあるのは言うまでもなく世界一を目指すファストリの新たなチャレンジです。

 昨年までは世界売上規模第三位の米GAPの背中を追いかけて来たファストリでしたが・・・

 今年2月23日に発表されたGAP社の2016年度(2017年1月末)決算速報によれば 
 
 前年比 2%の減収、22%の大幅営業減益、

 1月末の為替レート 1ドル=113.8円で換算すると

 ファストリ(2016年8月期)  1兆7864億円
 GAP INC(2017年1月期)  1兆7657億円

 となり、ファストリはいよいよ売上規模ではGAP社を抜き、世界3位となりました。

 但し、営業利益ベースでは

 ファストリ (同)        1272億円
 GAP INC (同)        1355億円

 とまだGAPには劣っていますが・・・

 この結果を予測して、ファストリの今期からの目標は売上利益とも世界一で快走を続けるZARAを運営するインディテックスグループ一本に絞り切ったと見ていいでしょう。

 関連エントリー- 世界アパレル専門店売上ランキング2015 トップ10

 昨年あたりから話題になっているファストリの一連の「有明プロジェクト」の報道を聞いていると・・・
 
 私が2014年に「ユニクロ対ZARA」の執筆のためにスペイン インディテックスグループ本社を訪問して取材した時に見たインディテックス本社の業務スタイルをそっくり目指しているように思えてなりません。

 当時、インディテックスの本社では

 ZARAの同じセクション(ウィメンズ、メンズ、キッズなど)の商品開発職務の方々がすべてワンフロア―のほぼ壁のない大部屋で、「実際の売場」を想定して仕事をし(デザイン、サンプリング、商品発注、グレーディング、裁断指示まで)、

 同じ敷地内で生地の裁断、縫製現場から戻って来た縫い上り商品の検品とプレス、店舗振り分けの上、空港近くのハブ物流に届けるまでの出荷物流までを行っていましたから・・・

 今回の有明プロジェクトでは、できる限り、それに近いことを実現しようとしているのでしょう。

 ただし、それはユニクロがZARAのマネをしてトレンドファッションに取り組むという話ではなく、

 ZARAの強みである

 業務のスピードアップと
 Flexibility(柔軟性)と
 Accuracy(正確性)

 に取り組むという話でしょうね。

 そして、気をつけなくてはいけないのは、

 ユニクロの世界最強といっても過言ではない、これまで築き上げてきたベーシックの商品開発から店頭売り切りまでのオペレーションの強みを捨てるのではなく、それに磨きをかけながら、

 それと並行する形で、今回の柔軟性のあるオペレーションを走らせるべきでしょうね。

 ZARAは、とかくトレンド商品の高速生産ばかりが注目されがちですが、実際には

 ・トレンド性のある商品は在庫リスクが大きいのでできるだけサプライチェーンを内製化してスピード重視で管理する

 逆に

 ・流行にさほど左右されないベーシックなものは品質と価格のバランスが大切なので、アジアの工場にアウトソーシングして時間をかけてつくる

というサプライチェーンのハイブリッドな使い分けを行っていることに強みがあります。

 つまり、人間ってものは、そう器用なものではないので、

 同じチームに違う勘所、違うサイクルの業務を同時にもとめても生産性が上がらず、上手く行きません。

 それゆえ内製化とアウトソーシングの使い分け、あるいは内部でもチームを分けての運用が現実的となるのです。

 そして、それぞれのサプライチェーンのサイクルは違っても、それらを店頭で上手にミックス=ハイブリッドさせているのが、

 ZARAの店頭の魅力であり、魅せるところと売るところのバランスであり、本当の強みであると思います。

 このあたり、ZARAのオーナーであるオルテガさんが製造業出身だからこそ 

 現場に無理をさせず、同じリズムで安定的な操業を求め、結果利益が残るということがわかっていらっしゃるからこそなのかも知れませんが・・・

 もうひとつ、ユニクロはカスタムサイズを10日間でつくり届けるといいますが、

 それも別オペレーションで取り組む大事なことのひとつかも知れませんが・・・

 その前に店頭のSサイズやXLサイズの欠品を防止して欲しいという声にも耳を傾けるべきかも知れません。

 いずれにしても、柳井会長のある意味「振り切った」理想の高いハードルから・・・

 結果、現実的なところに落ち着いて、進化を続けるユニクロからは目が離せませんね。

 【おススメ本】

 ユニクロが目指すZARAとの違い、見習えるポイントは?両社の経営信念、ビジネスモデルの強みなどわかりやすくまとめました。 今年1月には中国語簡体字翻訳版も中国本土で出版されました。 
  
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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March 13, 2017

社会インフラとなった通販と宅配便を取り巻くラストワンマイル問題~ファッション流通企業にできること

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 日経新聞の紙上では、この2週間一日も欠かさず、ECの拡大と宅配便 最大手ヤマト運輸を中心とした宅配便を取り巻く厳しい状況に関する記事が掲載されていましたね。

 インターネット通販(EC)の急激な拡大、宅配業界の長時間労働、慢性的なドライバーおよび配達スタッフ不足、宅配便と受取人のすれ違い、通販の運賃をめぐる問題・・・日経新聞では「宅配クライシス」との見出しをつけています。

 ECと宅配便の問題は、流通業界に従事していれば、ビジネス上も、もちろん個人的にも他人事ではない話なので、関連記事には毎日、目を通しています。

 特に、

 配達時の不在率2割による再配達のコストとムダと、
 Amazonなど大手ECモールの安価な配送料金体系

 を中心に 毎日 同じような内容を違う切り口で記事にしている感も否めませんが、

 われわれの社会インフラ同然となった宅配便がパンク寸前であり、

 現状のままではサステナブル(持続可能な成長)な状況ではないこと

 を世間一般に伝えるには、これくらい繰り返し記事にする必要もあったのかも知れません。

 報道のおかげで誰もが、うすうす感じていたことを見直すきっかけになったのではないでしょうか?

 昨夜も 朝刊の広告を見て朝Amazonで注文したあるビジネス誌を帰宅時に届けてもらったことにあらためて驚き、忙しいのにいつも気持ちのよい挨拶と笑顔で届けてくれるドライバーの方々にはいつも頭が下がる思いです。

 そんな、「サービスが先、利益は後」 のヤマト運輸の精神で築き上げられた物流のジャパンクオリティをリスペクトしながら・・・

 短期的な総量規制の議論ではなく、これからも間違いなく増え続けるEC活用を、

 利用者側も含め、社会全体でサステナブル(持続可能な成長)になるように共存して行きたいところです。

 報道は特に、

 ECモールとそれを宅配業者から受け取る消費者に焦点があてられていますが・・・

 すぐに要らないものは 当日受け取れるかどうかわからないのに無理に当日配送にしないとか

 本当に急いでいる人だけがそのサービスを享受して追加料金を払うとか

 「えっ、もう届いたの?」というサプライズなスピードも ちょっと「過剰サービス」とも言えるものは料金の見直しも必要でしょうし、

 街に宅配ボックスを増やしたりすることも必要かも知れませんが、同時に受け取り側の放置に関するモラルも問われるでしょう。

 また、コンビニや郵便局や宅配便の配送所などでの受け取りだけでなく、

 日本よりもECの購買行動が進んでいる中国では一般的だという、職場受け取り、なんていうのも検討してもよいかも知れません。

 (商業ビルでは「物流部」とやらが受け取って預かっているらしい)

 そして、報道では、ECモールと消費者側の議論ばかりですが、

 直営店をもつチェーン店のEC注文商品の場合は、
 
 既存の物流ルート(倉庫→店舗)に乗せて店舗で受け取って頂く「クリックアンドコレクト」の推進にも取り組みたいところです。

 宅配便のサービスのスピードやクオリティが日本ほど充実していないヨーロッパや車社会のアメリカでは、ECサイトで注文したものを自ら店舗にピックアップしに行く 

 店舗受け取り=クリックアンドコレクト が かなり普及しています。

 例えば、イギリスのアパレルチェーンNEXTではEC注文商品のうち店舗で受け取られるクリックアンドコレクト比率が55%、欧州のZARAでは66%と広報されています。 

 つまり、過半数の注文者が自分のペースで、店舗で受け取っている現実があります。

 お忙しいお客様の情報収集や品定めはEC(WEB)で、

 商品確認と受け取りは店舗でして頂く

 そんな機能分担の推進こそが・・・

 これからファッション流通業界ができる 「宅配クライシス」を回避しながら、サステナブル(持続可能な成長)を実現する取り組みのひとつだと信じています。

 現状は、

 ブランド社内の直営店とEC事業の壁があったり、商業施設でも、家賃が売上歩合になっていることから、

 いろいろなしがらみがあってEC注文商品の店舗受け取りの実現のハードルがあるようですが・・・

 忙しくて、ECで注文する機会が多くなり、店舗に足を運ばなくなったお客様に・・・

 あらためて、ご来店の機会をつくり、お客様のペースで商品を受け取っていただく。 

 そして、場合によってはついで買いのショッピングも楽しんでいただける

 WIN WIN 関係の取り組みになるはずです。
 
 「サービスが先、利益は後」 

 ジャパンクオリティの宅配物流網を築き上げたヤマト運輸の企業精神に学んで

 需要の先読みをしてサービスに力を入れ、修正をしながら磨きをかける企業さんこそが・・・すでに始まったオムニチャネル時代のリーダーになるはずです。

 関連エントリー
 15年度のファッション商品のEC売上比率は7.8%に。10%目前に次なる課題は?
 成熟市場イギリスで高収益を上げるNEXT(ネクスト)のオムニチャネルリテイリング戦略

 【おススメ本】

 ファッション専門店の事例を用いて、顧客心理と在庫コントロールの大切さをわかりやすく解説したビジネス読本です。 オムニチャネル時代になっても、ファッションビジネスのキモは在庫コントロールにあることは変わりありません。

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February 28, 2017

誰のどんなシーンをハッピーにするために仕事をするか?~ストアブランドのペルソナとユーザーエクスペリエンス

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 ちょっと前の記事ですが、WWDジャパンの2月13日号と2月20日号の2週に渡って紹介されていた 日本ショッピングンセンター全国大会でのジュンの佐々木社長とマッシュホールディングスの近藤社長のパネルセッションの記事を大変興味深く読ませていただきました。

 ジュンとマッシュと言えば、直近では、恵比寿アトレ西館など・・・都心ターミナル駅のファッションビルで次々に新しい衣食住のライフスタイル提案の業態を手掛け、ファッション好きな女性を楽しませてくれる両雄ですが・・・

 いつのまにか老舗のジュン年商約640億円、新興のマッシュ年商580億円と・・・年商規模も近づいて来ている両社のマーケットに対するアプローチの違いが如実に表れていて面白かったです。

 ジュンは国内外の独自のネットワークを活用した半歩先のカルチャーを提案する業態開発力に長け、

 マッシュは潜在需要を等身大で目に見える形にするスピード感が得意

 というように、両社長の言葉からは、「プロダクトアウト」的と「マーケットイン」的のコントラストもはっきり出ていたいような気がしました。

 記事の中で、なるほど!と 最も私の琴線に触れた部分はマッシュ近藤社長が語る同社の企業コンセプトのところでした。

「企業のベーシックコンセプトは『ウェルネスデザイン』
女性の24時間、起きてから寝るまでをさまざま角度から分析して少しでも幸せにしていきたい。その時間帯に起こるいろいろな事象を考えながら商品開発している。」 (以上「 」内引用)

 なるほど、だから

ストリートフォーマルの「スナイデル」で成功した後、

ホームウエアの「ジェラートピケ」、

自然派ヘア&スキンケアの「コスメキッチン」に発展し、

ラン&ヨガの「エミ」に取り組み・・・

さらに、最近オーガニックレストラン業態を始めたのだな、

と「女性の24時間」あるいは1週間のライフスタイルをベースにストーリー性や連続性が感じられた理由がとても納得が行ったものです。
 
 いつもマッシュの業態開発を見ていて感じていたことですが・・・

 確かに、日本の都心部の「女性の24時間」の等身大でもあり、

 一方で、私の中では、海外、特にアメリカ市場でファストファッションの洗礼を受けた2000年以降に大人の女性たちに支持をされてしっかりと業績を伸ばしている、

 Lブランズ(インナーウエア、ヘルス&ビューティ)やルルレモン(ヨガ&ラン)やアンソロポロジー(ライフスタイル全般)、はたまたホールフーズ(自然派食品スーパー)

 の取り組みや成功に重なるところがあるんですよね。 

 異業種というよりは、トレンドファッションがファストファッションによって価格が引き下げられ、行くところまで行ってしまい、

 それに辟易した女性たちの「もうトレンドファッションだけが関心事じゃないわよ」という気持ちを代弁するようなファッションから連続性のある業態たちとも言えます。

 いずれにしても、ブランド開発の基本である「ペルソナ」(対象顧客像およびライフスタイル)をリアルに想像し、等身大的にチャレンジされているところにすごく安定感を感じますね。

 
 ところで、ブランドを開発する時によく使われるこの「ペルソナ」というマーケティング用語・・・

 昔の、特に百貨店アパレル系ブランドでは、

そんな お金持ちでハイソな生活している人、本当にどれくらいいるのかな?とか、

ブランド開発している人がそんな生活していないし、

そもそも、できる給料をもらっていない、

なんていう矛盾がたくさんあったように思います。

 だから結局は、原点を忘れ、みんながトレンドを追いかけ、当てたかどうかのプロダクト(単品)志向の議論になり、同質化してしまう。

 一方、2000年以降のSPAの台頭はある意味 等身大なペルソナを設定して、というか、提供側本人たちそのもので、等身大のマーチャンダイジング(自分たちが欲しいかどうか?)に取り組む事例がたくさん出て来て、地に足のついたブランドも増えて来たように思います。 

 誰のためのどんなシーンのための商品を提供するのか?

 ブランドの「ペルソナ」を話題にするときに、私がよく引き合いに出す例のひとつに、アメリカのアーバンアウトフィッターズの事例があります。

 アーバンアウトフィッターズURL

 もともとアメリカのフィラデルフィアの大学のキャンパスの中の大学生協のようなインショップからスタートした同業態のペルソナは

 高校生までは親元で暮らし、大学に入学して初めて親元を離れて寮生活を始める18-20歳の男女。

 その世代が寮の部屋やライフスタイルに必要な 服、インテリア、文具、音楽、カルチャーブック、パーティグッズなどを品揃えするというのがコンセプトです。

 従って、出店は大学のキャンパスのある街に限るというものでした。

 また、日本の事例になりますが、かつてご成長のお手伝いをさせていただいた、現在、全国で絶好調のWEGO(ウィゴー)さんも 「エントランスストア」というコンセプトというか「ミッション」をお持ちでした。 

 それまで服は親に買ってもらっていた世代が、アルバイトを始め、自分で稼いだお金で初めて自分の好きな服を買う時のお店でありたい、というコンセプトで、

 当時とても共感しながら、そんなペルソナ像を思い浮かべながらお手伝いさせていただいたものでした。

 いずれも、お客様像や彼ら彼女らのライフスタイルシーンが思い浮かんできますよね。

 さて、皆さんは

 誰のどんなシーンをハッピーにするために仕事をしていますか?

 それは、ファッションブランド、ストアブランドに限らず、仕事に対する姿勢の基本だと思っています。

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February 21, 2017

ファッション専門店のECサイトのあるべき姿とは?

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 前回の2月10日付繊研新聞折り込みオムニチャネル特集を読んだ感想の続きです。

 リアル店舗とECの在庫連携や在庫運用以外で、ECサイトはどうあるべきか?を考えさせられた企業事例を要約しながら、私の感想を添えてご紹介させていただきたいと思います。

 まず、サザビーリーグ社の事例から

 ・同社は以前グループポータルECサイトに複数ブランドを掲載していたものをブランドごとに解体して単独サイトにしたところ・・・プラスの効果が出て、16年のEC売り上げ伸び率は二桁増

 【コメント】 お客様は企業が見せたいものより、自分が知りたい目的の情報に早くたどり着きたいのですよね。


 次に、ビームス社の事例

 ・ECサイトをオフィシャルサイトと統合した結果、圧倒的にECサイトの訪問者数が伸びている

 ・オーダースーツを作るようなロイヤルカスタマーは実店舗で買われるが、そんな顧客さんでも情報収集にはウェブをかなり使っている。

 ・企業サイトとECを統合したのは、お客様がお忙しい中、すき間時間に少しでもビームスと接点を持ってもらうため。

 ・サイトは一括で欲しい情報を見ることができるようになり、すぐに店舗に連絡する手段になった。

 【コメント】 お客様の多くは、自分の空き時間にできるかぎりの情報を事前にネットでとっておいた上で・・・店頭で商品を確かめて、店舗スタッフさんからより深い知識を得て納得しながら、自分のペースでお買いものをしたいのですよね。


 続いて、ナノ・ユニバース社の事例

 ・同社では、すでに自社EC在庫と店舗フォロー在庫を共通にしてあり、店頭に在庫がなくても、店頭スタッフのアシストがあれば売上を立てることができる。

 ただし、逆に店頭の在庫をEC売上に引き当てるのには慎重である。

 なぜならEC売上比率約40%の同社にとって、EC売上の瞬発力は大きく、それを進めてしまったら店頭の在庫が不足して、VMD含めて、店頭が弱体化するから。

 【コメント】 以前ブログでご紹介したように、EC売上をイケイケで伸ばし、EC比率が高いブランドさん、あるいはECに販売計画がなく、そもそも店舗在庫を販売のあてにしているブランドさんではすでに店頭の弱体化が始まっているように思います。

 関連エントリー- 15年度のファッション商品のEC売上比率は7.8%に。10%目前に次なる課題は?


 最後にワールド社の事例、

 ・EC を各ブランドの売上一番店としてとらえて品ぞろえを重視し仕入枠の中で配分している。中にはEC店長を置くブランドもある。
 (別の記事ではEC店長を置いているブランドは他ブランドよりも順調に売上を伸ばしているとのこと)

 【コメント】 実際にZOZO店が一番店となっているブランドさんも少なくないはずです。

 社内の組織はどうであれ、お客様から見たらEC店もリアル店舗も同じ横並びでどっちで買おうが構わないのが現実でしょう。

 リアル店舗で商売人としてセンスを培った店長経験者にお客様の購買行動とリアルの他店に配慮しながらEC店を運営してもらえたら・・・いい業績を残すでしょうね。

 また、店頭現場では発揮できなかった、現場とは違った潜在的なタレント(ハマリ役)の発掘にもつながるかも知れません。


 さて、皆さんのあるいは皆さんがよく利用されるファッションブランドにとってECサイトはどんな存在になっていて・・・どっちの方向に向って進化しているでしょうか?

 ブランドのイメージを伝えながら、商品を購入する販路のひとつというだけではなく・・・
 
 お客様の情報収集の時間を短縮する機能

 そして

 お買い物の時間を短縮する機能

 であるべきでしょう

 また、これからは

 決済をスムーズにする「決済手段」 

 という視点も加わってくるかと思います。

 
 今回のオムニチャネル特集は後半半分は広告ですが、前半半分については、さすが、繊研新聞さん、とても充実して読み応えのある特集記事でした。


 最後にビームスさんのECビジネス責任者の方のコメントで締めくくりたいと思います。

 「購買は実店舗でいい。やっぱり私たちは店頭を大事にしたい。EC担当者なのに、変ですけどね。」

 全然、変じゃありませんよ。 それが私たちファッション小売業に携わるものの使命(ミッション)であり、モチベーションです。

 最近の各メディアによれば、同社では店頭を起点にしたEC改革が進んでおり、業界の中でも頭一つ抜きんでた感じがしますね。

 お客様が店頭で素敵な商品に出会う場を次々に演出、アシストするために・・・

 業界のEC担当者の方々にはますます頑張って欲しいです。 応援しています。

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February 15, 2017

ファッション専門店のオムニチャネルリテイリングの取り組み事例の記事を読んで~在庫運用編

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 2月10日の繊研新聞に折り込まれていたオムニチャネル特集は大変読み応えがありました。

 広告を除く記事の部分はECに取り組む企業へのアンケートと業界オムニチャネル担当者の対談から構成されており、先進企業とその背中を追う企業のECやオムニチャネルリテイリングへの取り組みから業界全体が向かっている方向やステージと進捗度がとてもよく理解できました。

 そもそも、同じブランドが複数販路で販売するマルチチャネルの先にあるオムニチャネルのオムニという概念は「全能」の意味、つまり理想郷なのでゴールに到達することは極めて難しい道のりです。

 しかしながら、理想的なゴールのイメージを想像して、仮説を立てて、信念を持って進まなければ、

 IT業者が提案する最新技術論やすぐにできる他社のものまねや目先の施策の延長に終始し、

 担当者や現場がどこに向かっているのか?何のためにやっているのか?と振り回され、迷子になってしまい、投資も無駄になってしまうことでしょう。

 ゴールとは・・・

 店舗、オンラインにとらわれることなく、顧客のお悩みを解決する 「ユーザー・エクスペリエンス(顧客体験)」 に基づくものでなければならないことは言うまでもありません。

 私は店頭在庫最適化のための在庫コントロール支援を生業にしているため、オムニチャネル関連の記事の中でも、特に在庫運用のところに目が行きますので、在庫関連の話題をご紹介しましょう。

 まず、店舗とECの在庫連携に関するアンケート結果からは

 質問項目別の「実現済み」の取り組みと「実現したい」取り組みの回答数の差を出してみると
業界各社の在庫連携の進捗度と今後の課題を読み取ることができます。

 簡単に整理すると・・・

 「ECでの実店舗の在庫表示」 (どの店に行けばその商品を手に取ることができるか)

は「実現済み」数が「実現したい」数を上回り、多くのの企業で実現し始めているようですが・・・

 EC在庫の活用、すなわち

・店頭での欠品をEC在庫からお客様のご自宅にお届けること、

・EC注文商品の店舗での受け取り、

・ECからの店頭在庫の取り置き

・店頭での欠品をEC在庫から店舗にお取り寄せすること、

の順に、

 「実現したい」数が「実現済み」数を大きく上回り、
 
 お客様が実際に買いたい商品を特定した後に、お客様と商品在庫をマッチングさせるための運用部分が現時点で実現途上であることがわかります。

 これらは、お客様とその要望を実現しようとする店舗スタッフのためにも是非、早く実現していって欲しいですね。

 次に、具体的な企業の事例紹介を読む中で感じたことは、

 百貨店アパレルよりも専門店の方が、EC担当に店舗販売経験者が多いこともあると思いますが、

 顧客目線で店頭起点のオムニチャネル実現の意識が高く、それに向けた動きが進んでいるのはもちろんのことなのですが、

 その中でも、駅ビル、SCで好調が続く婦人靴SPA、「オリエンタルトラフィック」の事例にあるように、

 やはり、SKUが多く、在庫過多になりがちで、その一方でぴったりのサイズが無いと売り逃しが発生しがちなアイテム(靴など)を扱っている業態の方が、

 一般アパレルよりも顧客の需要と在庫をマッチングさせる在庫運用に対して切実である、ということです。

 記事によれば、同社は、昨年から

・店舗在庫とEC在庫を共有し、

・店頭の欠品をEC在庫から店舗に取り寄せたり、

・お客様のご自宅にお送りすることが実現できるようになったことで、

 店頭での売り逃し削減の効果に手ごたえを感じ始めているようですね。

 これはとてもいい感じでオムニチャネル時代の在庫運用が着々と進んでいると思いました。

 オリエンタルトラフィックの取り組み事例を読みながら・・・

 私が独立以来、現在まで10年以上も「在庫コントロール」を生業にして、多くのファッション専門店さんのコンサルティングやお手伝いをして来た、その背景にある「原体験」を思い出しました。

 話は少し長くなりますが、オムニチャネル時代にも大事なことだと思いますので、ご参考になればと思いお話させていただきます。

 私のコンサルティングのバックグラウンドには、アパレルチェーン勤務時代に、多店舗出店中のチェーンストアにおける在庫コントロールを会社ぐるみで運用したプロジェクトリーダーとしての実務体験があるわけですが、

 さらに、その原点になっているのは、服飾雑貨バイヤー時代の靴の仕入と在庫運用の経験です。

 アパレルチェーンの中でも服飾雑貨バイヤーは孤軍奮闘(特に中途採用ですし)、仕入から店頭在庫管理まで、何から何までひとりで行わなければなりませんでした。

 当時は、商品仕入を行いながら、毎週末にはどこかの店頭に立ち、売場とバックヤード在庫を整理しながら、自ら靴を接客販売するとともに、同時に全店の靴の在庫コントロールに気を回す苦労の毎日。

 サイズが少なく、選択肢の豊富なアパレルと比べて、お客様にぴったりのサイズでないと買って頂けない靴について、

 せっかく店頭でお気に入りの商品を見つけて頂いたのに、その店にサイズがないことでお客様をがっかりさせないように、

 たとえその時、その店にサイズ在庫がなくても、いかにしてどこかの店にある在庫を探し出してお客様の手に届けるか

 に躍起になっていたものでした。

 当時、前任者が全くサイズ登録していなかった靴の在庫を(ひどい!)、順次サイズ管理ができるようにシステムに再登録しながら、JANコード(値札)も貼り替え始めると・・・

 靴の売上が徐々に上がり、過剰だった在庫がみるみる消化し始める現象が起こりました。

 これは各店の各商品のサイズ別在庫が各店でデータ上確認できるようになり、それを知った各店のスタッフたちが積極的に客注を取り始めたためでした。

 お客様は欲しい商品を手にすることが出来た、それを店舗スタッフがお手助けできた。

 その後、社内で在庫コントロールのプロジェクトが全店の賛同と協力を得て進めることができた背景には、

 そんな店頭での「ユーザー・エクスペリエンス」を思い浮かべながら、自らがお客様最適、店頭在庫最適に取り組んだ原体験に基づく信念が社内に通じたからだと思っています。

 私の体験談は、お客様との接点である各店の在庫を最適化しながら、更に、全店で正しい在庫を把握できるように努めれば、同時に「客注」もストレス少なく進むという話ですが・・・

 今、小売業界では在庫の精度はともかく、「客注」という行為はどこでもあたりまえの話になりましたよね。 

 それは「客注」がお客様のためになるし、どこでも当たり前のように行われているから「標準装備」になったわけです。

 そして、今そして、これからもビジネスがリアル店舗だけでなく、EC(オンライン)にも広がっても、たとえ技術は以前と変わっても、

 お客様が欲しい商品を実際に手に入れたい、それをお手伝いするのが小売業のミッション

 であることに変わりはありません。

 むしろ、店頭在庫と倉庫在庫とEC在庫を正しく把握できれば、オムニチャネル時代は昔よりも、ずっとお客様のお役に立てる時なのですよね。

 IT技術論に煙に巻かれず、また、事業部の垣根(リアルvsEC)を飛び越えて・・・

 小売業は「ユーザー・エクスペリエンス」に真摯に向かい合い、そしてそれを早く実現したものがお客様にますます喜ばれる時代になるはずです。

 ちょっと古い記事ですが・・・

 関連エントリー-絶好調、「オリエンタルトラフィック」の強み

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 ファッション専門店の事例を用いて、顧客心理と在庫コントロールの大切さをわかりやすく解説したフビジネス読本です。

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«「オンワードHDのオーガニック化粧品ベンチャー買収」のニュースで考えるアパレルビジネスノウハウの異業種活用