June 23, 2017

英国発 地産地消のウルトラ・ファストファッションの波は日本にもやって来るのか?

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 6月19日付のWWDジャパン、ファッションライター奥恵美子さんが海外のニュースメディアから興味深いネタを拾って解説する「ちょっと学べるFJA(Foreign Fashion Journals Analytic Points)」というコーナーで

 「英国からウルトラ・ファストファッションの波」

 というタイトルに目が止まり興味深く読ませていただきました。

 元ネタは 

 RtaileDIVE のReport: 'Ultra-fast' fashion players gain on Zara, H&M
 
 ですが、同じ FUNG GLOBAL RETAIL&TECHNOLOGYによる”Fast Fashion Speeding Toward Ultrafast Fashion” というレポートを元にした日本語の翻訳記事も見つけましたので、ご興味ある方はこちらをお読みいただければと思います。

 BUSINESS INSIDER JAPAN デザインから販売まで1週間 —— ZARA、H&Mを脅かす新興オンラインブランド

 内容は イギリスで拡大中のファストファッションECサイト

 ASOS(英) エイソス 

 Boohoo.com(英) ブーフー 

 Missguided(英)ミスガイデッド 

 らが ZARAやH&Mのファストファッションチェーン大手を上回る数週間のスピードでストリートファッションを企画、生産、EC販売を行い急成長している様を

 「ウルトラ・ファストファッション」 

 と呼び、今後両社を脅かすのではないかと解説しているものです。

 私なりにこの3サイトを整理しておきます。

ASOS(英)
 
 2000年創業 2016.8期年商1403百万ポンド(日本円換算 1997億円) 前比+26% 
 営業利益率 4%。 60%のオリジナルと40%の他社ブランドを販売。
 オリジナルは企画から販売まで最速2週間、平均6週間のリードタイム。
 週4500型の新商品をリリース。
 価格帯はイギリスではZARAやTOPSHOPと競合の模様。

Boohoo.com(英) 

 2006年創業 2017.2期年商 294百万ポンド(日本円換算 418億円)前比+49%
 営業利益率 10.2% 100% オリジナル販売。
 最速2週間 50%英国産 
 週 100型の新商品をリリース。
 サイトを見るとよりティーンズ向けで
 価格帯はH&MのDIVIDEDや英チェーンNEWLOOKと競合の模様。

Missguided(英) 

 2009年創業 2017.2期年商 206百万ポンド(292億円) 前比+75%  
 非公開企業。100% オリジナル販売。
 最速1週間!? 英国産を多様。 
 毎月1000型の新商品をリリース
 価格帯はティーンズ向けで上記2社の中間くらい。

 いずれもその商品をつくるスピードと急成長の理由のひとつが「英国内生産」活用にあるようです。

 今回の話の本質は・・・ただトレンドファッション商品を短サイクルでつくる「ファストさ(速さ)」ではなく、

 市場の顧客の反応に対して、必要な商品を必要な分だけすぐにつくり足すことによって・・・

 的中率を高め、値下げと売れ残りリスクを回避することで利益歩留りを確保するということにあることは言うまでもありません。

 そのため、トレンドファッションを、時間をかけて人件費の安い国でつくるのではなく、

 多少コストは高くなっても商品企画をしている本部や消費地との距離が近いところでコントロールするという「地産地消」的な発想が

 ファッションビジネスにおいてもグローバルトレンドになりつつあるというところがポイントだと思います。

 ご存じのようにZARAは全体の6割のトレンド商品を、スペイン本社の近くスペイン、ポルトガル、モロッコ、そして定期空輸便でつなぐことでトルコさえも「近隣国」と位置づけ・・・

 それら目の行き届く、自らコントロール可能な地域で企画~生産を行うことで、シーズン中の企画~店頭までのサイクルを平均3週間と高速で回すことで知られています。

 その結果は政治経済的に、天候的に不安定なグローバルマーケットの中で、柔軟な需要変化対応によって大手ファッションチェーンの中での「ひとり勝ち」につながっているわけです。

 世界アパレル専門店売上ランキング2016 トップ10

 上記3つの英ECサイトが行っていることは、このZARAのオペレーションを参考にしての、英国企業である彼らなりのひとつの答えなのでしょう。

 そして、従来のチェーンストア型の企業ではなく・・・

 ECビジネスならではの在庫の一元化やローコストオペレーションという優位性の中で行っているところが新世代型なのだと思います。

 世界で最も激戦ファッション市場である英国において広がるビジネストレンドは・・・当然、海外、もちろん日本にも波及することでしょう。

 規模は小さく、まだ人海戦術かも知れませんが、「楽天」の中にはそんなことをしている企業も出てきているかも知れませんし・・・

 まだ発表されていない業界注目のZOZOTOWNのプライベートブランドのコンセプトの中にも、

 この「地産地消」的なオンデマンドの発想も入っているのではないかと想像しております。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 ファッションマーケットにおける変化対応はZARAに学べ!ひとり勝ちの状況に多くのグローバルチェーンがZARAをベンチマークしています。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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June 17, 2017

アパレル企業の商業施設向け共同配送

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 6月17日の日経新聞に百貨店アパレルメーカーを中心に構成する日本アパレルファッション産業協会(アパ産協)が推進する、同一商業施設に対して他社との相乗り便で商品を届ける共同配送に関する記事が掲載されていました。

 百貨店アパレルメーカーは以前から百貨店向けには共同配送を行っていましたが、駅ビルやショッピングモール向けは各自に運送業者に依頼しておりました。

 これをアパレル各社が駅ビル、SC向けの商品を一旦運送会社の物流センターに商品を納品し、そこから運送会社が商業施設ごとに複数社分の荷物を同じトラックに混載して届けようというものです。

 記事によれば、導入した店舗向けに年間物流コストが3割削減したケースもあり、

 また同じアパ産協が進めているダンボ―ルサイズの規格統一(8サイズに集約)によって、共同購入されたダンボールのコストが2割削減された

 という話も紹介されています。

 昨今の物流問題はコストアップの話だけでなく、人手不足も深刻で、更にトラックを頻繁に走らせれば環境問題(CO2排出)も引き起こすことになります。

 コンビニや食品業界など、異業種では既に進んでいるこの共同配送の取り組み

 ファッション業界の商業施設向けでもどんどん進めてもらいたいところですね。

 関連して、日ごろから店舗周りの物流問題で是非改善したい、して欲しいと思っていることがあります。

 人手不足は店舗側でも深刻で、その対策として各社で生産性向上(人時生産性や人時売上高)が関心事となり、真剣に取り組むところが増えて来ました。

 その一環で、私も店舗作業軽減プロジェクトに取り組んでいると・・・

 一番ネックになることのひとつに、各店の商品入荷時間のバラつきが挙がります(昔からの課題ですが)。

 これまではしょうがないで済ませていた問題もこれからは待ったなし。

 大手チェーンでは独自の物流網を敷いて朝イチ着荷に取り組んでいますが、

 中堅以下では独自で行うのはなかなか難しく、個別に運送便会社にお願いせざるを得ませんが・・・

 個々の交渉ではなかなか着荷時間をコントロールすることができません。

 このあたりは是非、各商業施設さん側に音頭を取っていただき、

 商業施設の早朝入荷の受け入れと同時に
 
 各店の開店前に商品を店頭まで届けてもらえるサービス

 が実現するとどれだけ有り難いことか・・・

 記事にある

〇 商業施設までの共同配送

と併せて

〇 商業施設内の各店舗への朝イチ配送

 この両方が進むことによって、物流コスト問題と共に生産性が改善し・・・

 店頭スタッフが気持ちよく仕事をし、笑顔でお客様に接する時間が増えることを願っております。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 物流問題も一枚上手 積載効率と帰り便の活用まで考えるZARAの物流オペレーションについても解説しています。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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June 05, 2017

ZARA(ザラ)のデマンド型ファッションバリューチェーン

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 5月中旬から月末にかけて日経新聞、日経MJ、繊研新聞、WWDジャパン各紙に

 先ごろスペインのZARA(インディテックス)本社および物流施設で開催された日本の記者向けメディアツアーのレポートが掲載されていました。

 私が2014年に「ユニクロ対ZARA」(日本経済新聞出版社)の執筆の際に同社を現地取材させて頂いた3年前からどんなことが変わったのか?に関心をもって各紙の記事を大変興味深く読ませて頂きました。

 記事の内容の中で当時(3年前)と変わったこと、そして、私にとって琴線に触れた部分をまとめてご紹介したいと思います。

 一番大きな変化は

 全世界のZARAの店舗にRFID(ICタグ)の導入が完了し、物流の精度が上がり、店舗の作業軽減が図られたことでしょう。

 同社では3年前(2014年)の取材時もRFIDの導入を着々と進めておりました。

 RFIDと言えば、世界の多くの小売チェーンが値札にチップを埋め込み、使い捨てで運用しているのに対し、

 同社は導入当初から「コスト」と「サステイナブル」の両方の観点から、回収再利用ができるように、値札ではなく、セキュリティタグ(防犯管理タグ)の中にチップを埋め込んで運用している説明を受けて、大変感心したものでしたが・・・

 今回の報道では、彼らが使っているRFIDタグは100回再利用(書き換え)が可能なものであり、その後もタグそのものがリサイクルできるという話(WWD)に驚かされました。

 RFIDの導入により、店舗では

 -毎月2日間かけて行っていた棚卸が1時間で終わる、

 -売れた商品をすぐに店頭に補充できる、

 -その際、在庫のロケーションを確認するのに短時間で済む

 などの作業軽減が図られたようです。

 作業の効率アップとタイムリー性によって、売り逃しを削減できたことにより、

 同社2016年度決算での既存店売上高10%増収にも寄与したことでしょう。

 2つめは 

 同社ではトレンド商品の的中率を上げ、在庫リスク軽減を図るために全生産の6割を近隣国(PROXIMITY)で行っていますが、その近隣国の4カ国目にトルコが加わったことです。

 3年前はスペイン、ポルトガル、モロッコの3か国を近隣国として挙げていましたが、

 私が「今後、グローバル展開を進めた時にスペイン、ポルトガル、モロッコの3つの近隣国の生産キャパシティで対応しきれるのか?」と質問したのに対し

 ヘスス・エチェバリア広報本部長は「その時はトルコを『近隣国』に入れることを想定している」とおっしゃっていましたのでそれが現実のものになったようです。

 実際、トルコは既存の近隣国と比べてスペインからだいぶ離れています(ZARAの物流拠点のあるスペインガリシア州からトルコまでは4000km強)。 

 しかし、トルコのアンカラは、同社が毎週2回世界の店舗に商品を空輸する際のルート便の定期ルート上にあるため、多少距離はあっても同社にとって近隣国と変わらないとの返事でした。

 スペイン-トルコと言えば、東京-ベトナムと同じくらいの距離でしょうか。

 そんな距離も空輸でつないで近隣国として手の内に入れてしまうのも真のグローバル企業ならではです。

 そして、3つめは

 シーズン前に素材展で買い付けた素材の「6割を備蓄する」という話(繊研新聞)。

 同社が素材(生地)を早めに手当てして、いつでもすぐに商品生産にかかれるように準備しておくことは周知のことでしたし、3年前にも本社併設の素材備蓄倉庫を拝見したものでしたが・・・

 買い付けた素材の6割もの量を自社で備蓄しているとは驚きでした。

 ここに、ZARAがシーズン中に店頭で顧客の声に真剣に耳を傾ける理由のひとつがあります。

 つまり、買い付けた素材はシーズントレンドから予測して決めたもの、そして、それらの素材を使ってどんな商品をつくるかの構想はもともとあったはずです。

 しかし、それが製品になった時、予想通りの量が売れるとは限らない、

 ここが多くの企業が頭を痛めるファッションビジネスの難しいところです。

 そのため、同社では、シーズンの始めに、まずは店頭に商品を並べる分だけ製品化しても(約3週分)・・・

 残りの素材をどんなデザイン、サイズバランスの製品にして店頭に送り込むかは決めていない、

 むしろ、シーズン中にどんなデザインが欲しいかは顧客に聴け、と考えているわけです。

 ファッションビジネスにおいては・・・

 デザイン、色、サイズ別の製品になったとたんに在庫リスクが発生します。

 一方、素材の状態であれば、他のデザイン、サイズへ転用ができますし・・・

 染色前の生地であれば色ごとの売れ行きに合わせて染める色の構成を考え直せばいい話です。

 そして汎用性のある素材なら翌年でも使えます。(実際ZARAには毎年コートに使っているウール生地があります)
 
 同社では、結構リスクを取って買い付けた素材を、

 売れるかどうかわからない商品にしてしまうではなく、

 できるだけ売れ筋商品になるように活かすために、

 毎週 仮説としての店頭商品に対する顧客の反応をヒントとして世界の店舗から本部へフィードバックして、

 改良版としてつくり足し続ける訳なんですね。

 そういう意味ではZARAが毎シーズン行っている行為は・・・

 シーズン中の「マス・テーラーメイド」なのかも知れません。

 日頃から交流もあるWWDジャパンの記者である松下さんはZARAのオペレーションを

 「顧客のニーズや店頭情報を基点としたデマンドチェーン」

 と表現されました。

 まさしくこのフレーズが日経MJの記事に取り上げられた私のコメントにある

 「マーケットイン」の意味するところです。

 マーケットインとはすでに店頭にある自社や他社の売れ筋を後追いすることではありません。

 顧客の反応をヒントに未来の需要を予測して手を打つことです。

 プロダクトアウト型のサプライチェーンからマーケットイン型のデマンドチェーンへ

 グローバル競合の勝ち残りのために企業の発想の転換が迫られています。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 各紙の記事の内容や記事では触れられていないZARAのオペレーションを詳しく解説しています。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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May 30, 2017

ジーンズカジュアルショップからの脱却

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 5月26日の繊研新聞に靴のチヨダグループのジーンズカジュアルチェーン、マックハウスの白土社長のインタビュー記事が掲載されており、

 「ジーンズカジュアルは幻想」という見出しに目が止まり興味深く読ませていただきました。

 以下 気になったフレーズを少し引用、紹介させて頂きます。

 以下引用

 「我々は長年にわたり、『ジーンズカジュアル業界』などという言葉を使ってきましたが、そんな定義はもはや幻想で、ずっと昔に終焉(しゅうえん)を迎えていたんです。」

 (中略)

 「今後は『暮らしに役立つ』をキーワードに、ジーンズカジュアルから実需衣料中心のビジネスモデルに転換します。ジーニングやアメカジ一辺倒のMDからの脱却を図るとともに、強化してきた『ビジカジスタイル』など新たな提案への挑戦を繰り返すことで、客数増による売り上げ拡大を図ります。」

 以上引用

 元記事は繊研新聞の繊研plus マックハウス白土氏“ジーンズカジュアル業界”は幻想

 にも掲載されています。

 正直、この話はもうすでに10年くらい前に誰かが語っていてもおかしくない話のように聞こえます。

 ユニクロの柳井会長は20年前にそう思い行動していたかも知れません。

 しかし、ライトオンと並びいわゆるジーンズカジュアルチェーン大手の一角、「当事者」であるマックハウスの社長さんがそう自覚されて、メディアで発言したことに意味があると思いました。

 白土社長の経歴を拝見すると東京靴流通センターやSHOE PLAZAでおなじみのマックハウスの親会社、チヨダ出身で、4年前にマックハウスの社長に就任されたようです。

 おそらく社長就任後、数年、「ジーンズカジュアル業界」に付き合って来られたと思いますが、同氏は長年その業界にいる方ではないので「客観視」が出来き、ようやくそう公言ができるようになったというところでしょうね。

 ジーンズカジュアルチェーンとは

 リーバイスやエドウィンなどのナショナルブランドジーンズを壁面にドンと在庫を構えて、同時にライセンスブランドのトップスを中心にアメカジテイストのアパレルや雑貨を品揃えする専門店。

 かつては5900円や7900円くらいのエドウィンやリーバイスのジーンズが稼ぎ頭で、あわせて2900円や3900円のライセンスブランドのトップスをお客様に買ってもらい売上を立てるビジネスモデルでした。

 ところが、2000年代のユニクロは自社開発により3900円でナショナルブランド7900円並みのクオリティのジーンズを実現し、その後、H&M、ZARAなども3900円~4900円のジーンズを販売し、おしゃれな3900円のジーンズが一般化。

 GUは990円でジーンズの価格破壊を行い、それまでの「ジーンズはナショナルブランドしか売れない」という「ジーンズカジュアル業界」の神話を崩しました。

 おそらく、この時点が実際のターニングポイントだったんでしょうね。

 その前後のリーバイスの高価格路線の失敗や、本業はうまく行っていたものの金融投資失敗によって伊藤忠に買収されたエドウィン社のガタつきもその後の「業界」の弱体化に拍車をかけたことでしょう。

 最近 ベストセラーになっている「誰がアパレルを殺すのか」を読み終えました。

 前半では主に百貨店および百貨店アパレルがダメになった話が中心ですが、

 その要因として、委託販売(売れ残った在庫はメーカーが何とかしてくれる)や海外著名ブランドのライセンスブランドへの過度な依存が挙げられていますが・・・

 この話は実は百貨店業界だけでなく、実はジーンズカジュアル業界にも一部当てはまる話です。

 つまり、エドウィンのジーンズの委託販売に近い入れ替え制や大衆受けするナショナルブランドのライセンス商品の知名度に過度に依存した結果、ユニクロやグローバルSPAが牽引した2000年代以降のアパレル業界のSPA化やグローバル競合の変化の波に乗り遅れてしまったんだろうなと。

 ところで、マックハウスの親会社の白土社長の出身であるチヨダ、特に「東京靴流通センター」業態はもともと古くから自社開発商品の靴の多い業態です。

 郊外ロードサイド立地で販売効率は決して高くはありませんが、徹底したローコストオペレーションで堅く利益を残すビジネスモデルです(そういう意味では同じ靴チェーン大手でもABCマートとは真逆のビジネスモデル)

 「そちらの世界」から来られた白土社長からすると、ジーンズカジュアル業界の商慣習は「ぬるま湯」に感じられたかも知れません。

 さて、もし、何事も遅すぎることはない、とするならば・・・

 マックハウスが「(旧)ジーンズカジュアルショップ」から脱却してどのように変わるのか? 

 その昔、「ジーンズカジュアル業界」に身を置いていたひとりとして注目していたいと思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 ユニクロはどのようにしてジーンズカジュアルショップから脱却したのか?その変遷についても紐解いています。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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May 23, 2017

H&MグループのCOS(コス)3号店が銀座にオープン~H&Mとは真逆の出店戦略

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 5月19日の繊研新聞に銀座のマロニエ通りに日本3号店目をオープンしたH&Mグループの高価格帯ブランドCOS(コス)に関する記事が掲載されていました。

 ネットニュースも意外と少なく、オープンを報じたのはファッションプレスさんくらいしか見当たりませんでしたね。

 COS(コス)銀座店がマロニエ通りにオープン - 日本最大規模の国内3号店

 昨日ちょうど銀座に行く機会があったので ちょっとお店に立ち寄ってみました。

 店舗は、近隣に名だたるラグジュアリーブランド、グローバルブランドの旗艦店が立ち並ぶマロニエ通りにあるシルバーグレーの外壁の路面店。総売場面積は2層で170坪とのこと。

 あえてマスメディアを使った宣伝はしていないのでしょうか?

 オープン報道も少ないですし、月曜日の夕方でOLさんの仕事帰りの時間帯、決して敷居の高い印象ではない、入りやすいエントランスにも関わらず、

 COSを知っているらしき人くらいしか入って来ない・・・静かに開業したような印象を受けます。
 (週末はもっと混んでいたのかも知れませんが)

 COS(コス)のことをあまりご存じない方のために少しブランド解説をさせていただくと・・・

 ブランド名のCOSはCollection of styleの略。

 2007年にH&Mが既存業態では取り込めない、上質を好む都心生活者のために、

 手の届くラグジュアリー(ハイファッション)あるいはファストファッションの改良版として、

 ロンドンを拠点にして立ち上げた業態です。
 (H&Mはストックホルムにデザインオフィスがありますが、COSはロンドンにあります)

 商品コンセプトは、繊研新聞の記事には

 「素材の質感にこだわったミニマル、クリーン、モードデザイン」

 と紹介されていますが、

 HPには

 「シーズンを越えてコーディネートできる、タイムレスでシンプル、クラシックで新しいワードローブの必需品」

 とも表現されています。

 COS URL  

 ロンドンで初めてCOSの店舗を見た時の印象は・・・
 「ジルサンダーがZARAを手がけたらこんな店になるかも?」と思ったことを思い出します。

 日本での価格帯は・・・ シャツ・ブラウスのプライスポイント(最多価格帯)で8900円あたり、

 日本の著名ブランドと比較すると、セレクトショップの「ビームス」あたりの価格帯でしょうか。

 ネットで各国の価格帯を調べたところ・・・内外価格差はほとんどなく、むしろアメリカより日本が安いようです。

  国   当地価格 円換算
 
 イギリス £ 59    8496円
 フランス € 69    8625円
 日本   \ 8900   8900円
 アメリカ  $ 89   9879円

 欧米アジアに海外出張に行った時には、各地で必要になったアイテムを買い足すのに結構好んでCOSを利用する私ですが・・・

 正直、これまで、日本ではあまり購入する気が起こりませんでした。

 ハイファッションばりのスタイリッシュなデザインからすると、モードの世界ではこなれた値段なのかも知れませんが

 どうしても、このラグジュアリーな店舗のイメージと「店頭の商品ボリューム感(陳列量)」の中で・・・

 財布のひもを緩めるほどの価格の納得感というか、

 「価格のサプライズ」があまり感じられず、品定めに慎重になってしまうからかも知れません。

 ある意味、日本ではこの価格帯であれば他の選択肢が豊富、競合が多いからなのかも知れません。

 店内の他のお客さんの購買行動を観察していても、それを感じることがあります。

 COSのグローバルな出店戦略としては、

 創業10年目で世界35か国に210店舗と、H&Mとは真逆に多国分散型

 むしろZARAの出店戦略に近いかも知れません。

 出店国の上位は

 中国(23香港除く)、イギリス(20)、フランス(20)、ドイツ(18)、アメリカ(13)

 都市で言えば

 ロンドン(11)、パリ(9)、香港(5)、ソウル(5)、北京(4)、上海(4)、ドバイ(4)、

 の順に多いようです。

 日本では今回の銀座が3店舗目、

 東京では南青山(表参道)に続く2店舗目ですが(もう1店舗はマリン&ウォーク横浜にあります)

 東京よりもソウルに店舗が多いってのは、やはりヨーロピアンモード色が強いせいなのでしょうかね。

 今後、日本ではどのように認知度を上げ、拡大するのか興味深いです。

 3年前、2014年の日本上陸時にCOSをブログで取り上げた時のエントリーがあるのでご紹介しましょう。

 COS(コス)は「手の届くラグジュアリー」需要を喚起する引き金となるか?


 ところで、海外ではCOSと比較的同じ立地に出店しているブランドにZARA(インディテックス)グループのマッシモデュッティがありますが、

 Massimo Dutti(マッシモ デュッティ) HP

 こちらの方がトラディショナルテイストなので、日本に上陸したら受けるかも知れませんね。 

 あるいは、COSとマッシモデュッティの両者が日本市場に出揃い・・・

 「手の届くラグジュアリー(ハイファッション)」に対する認知度が高まれば・・・

 そこからがCOSのブレイクスルーが始まるのかも知れません。

 新しいマーケットが認知拡大するためには、何事も比較対象される「お友達」が必要ですからね。

 その時は、いずれも、

 ZARAはちょっとトレンディ過ぎる、H&Mはチープ過ぎると思っている大人に支持されるとともに・・・

 百貨店ブランドの存在価値や品質と価格のバランス(コスパ)があらためて問われることになると思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 ベーシックとトレンドファッションの顧客心理、サプライチェーンマネージメントをそれぞれ極めたユニクロとZARAは今後の商品管理のお手本です。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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«ZARAのインディテックスグループのサステイナビリティ経営