September 27, 2019

【セミナーのお知らせ】11月22日(金)「オムニチャネル時代のファッション専門店の在庫最適化」セミナー@東京

 【このセミナーは終了しました。たくさんの参加を頂きありがとうございました!】

 本日は11月22日(金)に開催される、ブログ筆者が講師を務めるセミナーのお知らせです。

 アパレル、靴、雑貨などを直営店やオンライン販売するファッション小売業様向けに

「オムニチャネル時代のファッション専門店の在庫最適化~リアル店舗とオンライン販売の違いと共通点とは?」をテーマにしたセミナーを開催します。

 2019927-768x555 前回のセミナーの様子

 オンラインショッピングが普及して消費行動が大きく変化している昨今  多くの専門店様がECモールや自社ECでの販売を強化し

 EC事業者様においては既存販路で販売拡大を図りながら
直営店を出店・拡大するという事業者様も増えて来ました。

 積極的な販路拡大によって販売機会が増える一方で
新たな悩みも広がっているのが実情のようです。

 それは在庫効率がよく、販売管理費が低いことによって
収益性が高いと思われていたオンライン販売においても
規模や販売拠点の拡大とともに在庫が増え・・・

売上は増えても利益の最大化にはつながっていないこともひとつです。

 今回のセミナーでは

 これまで20年に渡り、30ブランド以上の専門店様に関与し
リアル店舗を中心とした在庫の最適化に取り組み、
昨今ではリアル店舗とECの在庫の最適化に取り組んでいる筆者が

 リアル店舗とオンライン販売の違いと商売の共通点を明らかにしながら
たとえ販路が変わっても「利益最大化」のために欠かせない
ファッション商品の在庫最適化の原理原則をわかりやすく解説します。

 このセミナーは次のようなファッション専門店様、EC事業者様が多くの気づきや改善のヒントを得て頂けるメリットのあるセミナーです。

■常に在庫を過剰に抱えており、値下げが多く、利益率が低いと感じている

■取扱商品数が多く管理がし切れず年々在庫回転が悪化している

■毎シーズン期末在庫がたくさん残りキャッシュフローを圧迫している

■商品計画が多店舗化した直営店において販売計画に連動せず、たくさんの売り逃しと売れ残りを引き起こしていると感じている

■そもそもファッション小売業としての商品計画、販売計画(売上・粗利・在庫・仕入)の立て方が我流であり、このままでよいのかと不安に感じている

 ショッピングのオンライン活用が増える転換期に・・・

これまでの業務を一旦整理して見直しながら、新しい着眼点を見つけて頂けるように

今回のセミナーが参加者の皆さんにとってそんな機会になれば幸いです。

─セミナー詳細─

【タイトル】 「オムニチャネル時代のファッション専門店の在庫最適化~リアル店舗とオンライン販売の違いと共通点とは?」

【開催日時】 2019年11月22日(金)15:00~18:00(14:30受付開始)

【場  所】 東京都港区青山エリア 会場はお申し込み頂いた方に追ってお知らせいたします。

【講  師】 齊藤孝浩(タカ サイトウ)ファッション専門店の在庫最適化コンサルタント

         著書 「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞出版社)
          「ユニクロ対ZARA」(日本経済新聞出版社)
          「人気店はバーゲンセールに頼らない」(中央公論新社)

【主な内容】〇ファッション小売業の在庫最適化とは?
        〇ファッションビジネスの特徴と顧客購買行動
        〇シーズン商品の商品管理・販売管理の原則
        〇理想的な在庫の持ちかたとは?
        〇販売計画を直営店と共有するためのポイント
        〇自社ECと直営店の活かし方      など

【参加費】 お一人 22,000円(消費税込)   事前銀行振り込み
     ※今回のセミナーは当日3時間のセミナーへの参加と後日一回分のフォローアップサービスのセット価格です。
     フォローアップサービスとは、セミナーでの気づき、学びを、持ち帰って現場で運用してみた後に経過状況をご一緒に整理しながら、次のステップの方向性を明らかにするお手伝いをするスポットサービスです。

【懇親会】 セミナー終了後 近隣飲食店において講師との個別相談を兼ねた延長戦(懇親会)があります。延長戦は任意参加です。参加希望の方はお申込み画面で「参加する」を選んでいただければお席をご用意いたします。
     約 2 時間、会費 5,000 円 こちらの参加費については、当日受付にて現金にて徴収させていただきます。

【定  員】 先着16名様(定員になり次第締め切りとさせていただきます)
     ※参加費振込をもって正式なお申込みとなります。

【参加対象】 ファッション専門チェーン、EC事業者の経営者様、経営幹部様、事業または商品仕入・管理部門の責任者の方、また、事業会社様の在庫最適化業務を外部から支援されているシステム会社や業務委託契約の方も参加いただけます。

【キャンセル】お客様のご都合により、参加費お振込み後にキャンセルされる場合、参加費のご返金はできませんのでご了承ください。但し、その場合、セミナー終了後に当日配付する資料を一式ご提供させていただきます。

このセミナーは、講師の人気コンテンツ「ファッション専門店の在庫コントロールの実践」をオムニチャネル時代のファッション流通向けに講師のコンサル現場でよく課題になるテーマを補完して体系づけたものです。

講義の合間にグループワーク(気づきの共有)を交え他の参加者の方々とも意見交換ができる環境を設けて進めます。

同じお悩みを持つ他社の参加者の方々と交流することでセミナーの価値を 倍以上に吸収いただけます。

更に、セミナーでの学びを、しばらく現場で実践された後に・・・
あらためて講師と対話ができるフォローアップサービスの機会を活かすことによって、業務改善のレベルをステップアップいただければ幸いです。

■申し込みはこちらのフォームから
→ 申し込み画面へ 

【以前の専門店向けセミナーに参加された受講者の声】
  今回のセミナーで気づいたこと、学んだこと、仕事に活かしてみたいと思ったことは何ですか?
・現場ではいかに感覚で行っているのかを改めて知りました。
 具体的な数値目標を共有する事が重要と感じた。
・仕組の作製の上で非常に参考になりました。
 特にピークの設定と消化目標、週数のすり合わせはすぐにでも実践したいと思います。
・毎シーズンの計画をちゃんと立てているつもりでしたが、定義や設定があいまい、不十分だと気づきました。
 改善して行きたいと思います。(抜粋)

【オススメ本】 欧米の最新デジタルショッピング事情、日本の10年後を未来から逆算して考える視点、それらを示唆する事例を取り上げて日本のファッションショッピングの未来を考えました。



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August 02, 2019

顧客が求める価格でどこまで品質、価値を上げることができるかにチャレンジする

ようやく梅雨が明けたところですが、夏のバーゲンもピークを過ぎ、
店頭の服の価格も在庫も乱れる時期ですね。

お盆を過ぎれば秋の新作プロパー品を店頭に並べ始めるところが増えますが、
当然、すぐに売れるわけではありません。

売れない理由を残暑のせいにするかも知れませんが、
そもそも立ち上がりの秋のプロパー価格が
夏のバーゲン価格よりも各段に高いわけで・・・

来店するお客さんたちは、気温以上にその価格差に対して、
拒絶反応を示していることも売れない大きな要因だと毎年感じるものです。

ですから、どんなに「いい商品」をつくって並べようが・・・
バーゲン価格商品を店頭から引き揚げてから
少なくとも2週間は間を置かないと秋物は売れ始めないというのが
長年、店頭現場や販売データを見てきて感じるところです。

7月29日の日経MJにワークマンの小浜社長の商品開発に関するインタビュー記事が掲載されていました。

記事は価格政策、プライスポイント(最多価格帯)の話から始まります。

(以下「   」内 引用)

小浜社長は「作業服屋としてのプライスポイントがある」と語り、

「Tシャツで最も売れるプライスポイント(最多価格帯)は500円、販売価格が1500円になると売上が急激に落ちる。」

「数を売りたいのだから当然プライスポイントを狙って行く」

「レインウエアーであれば数が売れるのは1900円、2900円、そこで差別化しようとしても限界がある。
 いくらまでならいけるかというと、過去のデータでは5800円ですごく(売上数)が落ちる。
 でも4900円だったら魅力があれば選んでもらえるギリギリのライン。
 じゃあその4900円でどこまで良い物ができるか挑戦したのが、『R006』という今売れているカッパなんです」

と続けます。

(以上 「  」内 引用)

 確かに、以前、ワークマンプラスの店頭で、このレインウエアーR006を手に取ったことがありますが、

 R006 透湿レインスーツSTRETCH

 名の知れたアウトドアブランドであれば20,000円は下らないだろうクオリティに感心をしたのを覚えています。

 今回の記事を読んで、

 当たり前のことかも知れませんが、顧客に支持されているチェーンというのは、

 ただ安さを追求するのではなく・・・

 品種別に顧客が求める価格、プライスレンジ、プライスポイントを分析・検証した上で、

 その設定に対してベストを尽くしているのだな。とあらためて感じたものでした。

 

 価格政策と言えば・・・

 2017年に拙著「ユニクロ対ZARA」の中国語翻訳版が中国本土で出版されたおかげで、昨年、今年と中国の大手、中堅アパレルチェーン幹部の方々向けの研修講師としてアパレルチェーン本社が集中する中国の杭州や広州に呼んで頂くことが多くなりましたが、

 丸2日間の研修の中で、聴講者から最も反応がよいコンテンツのひとつが ユニクロとZARAの価格設定に対する考え方です。

 中国では、「定倍率」と言って、

 原価の4倍とか、5倍とか、コストに一定倍率をかけて販売価格を設定することが多いようです。

 一方、ユニクロやZARAのような人気チェーンストアは、
 例え「ファッション」と言えども、

 品種別に顧客が自ブランドに対して求めているプライスポイント(最多価格帯)を把握し、商品開発の前にまず、売値=販売価格を先に決めます。(決め方はユニクロとZARAで違います)

 そのプライスポイントをお客様との暗黙の「約束価格」と定め、毎シーズン、ブラさない

 そして、その販売価格=プライスポイントの範囲内で、どうしたらお客さんに満足してもらえる品質や価値を実現しながら、企業側としても利益もしっかり残せるかを考えながら商品開発に入る

 という手順を原則としています。 

 言わずと知れた、チェーンストアの「プライスポイント戦略」です。

 もし、販売価格を定めずに、商品開発から先に入り、

 コストプラス(販売価格をコストの何倍にするか?)的に原価積み上げ式で販売価格を決めて・・・

 毎シーズン 作り手の都合でプライスポイント(最多価格帯)が変わる、

 時にはお客様に手が出しづらい、あるいは、
 
 ちょっと高くて迷わせてしまう価格になってしまう。

 原価がそうなったのだからしかたない、と決め込んで販売する。

 そうすると、顧客は期待よりも価格が高いので、手が出ない、

 企業は売上が芳しくないため、値下げを始め、ようやく顧客が納得する価格になった時に売れ始める

 顧客はすぐに値下げになると考え、ブランド側は値下げしても利益が取れる、原価率の低いもののつくり方を考える。

 そんなことを今でも繰り返しているアパレル専門店は中国に限らず、日本でも少なくないようです。

 これに対して、最初から顧客が望む、納得して買える価格設定をしてその制約の中でベストを尽くしながら商品開発を始めるチェーンの方が、断然コスパが良く感じられ、結果、値下げ総額は少なく済む、というのはZARAやユニクロなど、勝ち組チェーンストアが実証しているようです。

 今でも、タイムセールやクーポンやバーゲンセールなど値下げ販促施策に耐えるために安い原価(低原価率)でつくることを考え、
結果、商品の品質を下げて、値下げをしなければ売れない面(ツラ)の商品を店頭やオンラインに並べてしまう悪循環に陥っているブランドが絶えないようです。

 そうではなく、まずは、顧客が望む(アフォーダブル)価格を探り、その顧客との暗黙の「約束価格」で

 どれだけ良い商品をつくれるかにチャレンジしてみる。

 それこそが、今、サバイバル時代に求められている商品開発手法の王道ではないか、

 とあらためて感じる今日この頃です。

 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 

 【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

いつもお読み頂きありがとうございます。

 

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July 15, 2019

WWDジャパンで月1回ペースで「ファッション業界のミカタ」を連載しています 

ファッション業界の情報誌 WWDジャパン4月15日号から
月1回のペースで弊社代表 齊藤孝浩の「ファッション業界のミカタ」という連載しています。

長年、国内外の大手ファッション流通企業の決算書に目を通して来た筆者が、
気づきをさまざまな角度から解説するものです。

1回目の4月15日号では、
まず、営業利益率の変化に着目しました。

世界アパレル専門店で年商1兆円を超える企業の過去5年間の営業利益率の推移を比較し、
世界のファッション小売業が直面している営業利益率が低下する傾向とともに、
変化対応に強いZARAのインディテックスグループの強さを解説しました。

WWDジャパン 4月15日号

2回目の5月13日号では、
営業利益の稼ぎ方にはいろいろある
どう粗利を稼いで固定費(販売管理費)を賄い、利益を残すか?
ビジネスモデルの違いについて着目しました。

世界アパレル専門店企業売上高TOP10にランクインしている企業に見られる
典型的な3つの損益モデル、

「ファストファッション型」「ベーシックSPA型」「ディスカンター型」

の違いをインディテックス、ファーストリテイリング、しまむらの数字を使って
比較、解説しました。

ファッション専門店の稼ぎかたはひとつではありません。

しかし、一方で、社外(お客様の期待)と社内(販管費の使い方)がある意味、
長年、固まったビジネスモデルの違いゆえ、
その勝ちパターンを崩すことのリスクについて
しまむらの事例を用いて解説しました。

WWDジャパン 5月13日号

3回目の6月10日号では、
長期分析、ブランドまたは業態のライフサイクルについて着目しました。

商品同様にブランドや業態にも導入期、成長期、成熟期、衰退期の周期があることは
いろいろなブランド分析をさせて頂いていて気づくことですが・・・

ユニクロとしまむらの90年代からの
店舗数、売上高、営業利益高のデータを時系列に並べて、成長期、成熟期にいつ突入したかのターニングポイントの見分け方と両社の対応について解説しました。

これはみなさんのブランドにもたぶん当てはまることだと思うので、
是非、参考にしてみて下さい。

WWDジャパン 6月10日号

4回目の7月8日号では、
オムニチャネル、OMO時代の店舗損益(PL)の見直しについて考えました。

中国杭州で視察したフーマーフレッシュの事例から
これまでの店舗単体のP/L(損益計算書)に
店舗からオンラインへの誘導売上高および粗利を加算して
「2階建てP/L」で考えなければいけない時代への問題提起をさせて頂きました。

WWDジャパン 7月8日号

Wwd78

次回 5回目は、8月19日号に掲載予定です。
決算書B/S,P/L,C/Fだけでなく、

各社が独自色を出してリリースするアニュアルレポートに着目してみました。

お楽しみに。

【オススメ本】 おかげさまで3刷!中国語繁体字への翻訳も進行中です。欧米の最新デジタルショッピング事情、日本の10年後を未来から逆算して考える視点、それらを示唆する事例を取り上げました



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June 24, 2019

ショッピングのデジタルシフト時代には店舗損益を「2階建て」で考えよ

5月に中国企業向け研修に講師として伺った際に
中国・杭州でいくつかのニューリテール体験をする機会がありました。

そのひとつがメディアで話題のアリババが展開する生鮮食品スーパー、
フーマー・フレッシュ(フレシッポ)です。

この事業、
当初、坪あたり売上高をスーパーマーケットの業界水準の倍にすることを
存続条件にスタートした事業だそうです。

事業責任者は常識外の高い目標に、
オンラインをフル活用して事業を構築することを考えました。

店舗は品揃えの豊富さと生鮮食品の新鮮さ、そして美味しさを体験する場所と位置付けました。

訪問してみると、日本の紀伊国屋のような、輸入食材も豊富な高級スーパーの品揃え。

鮮魚は生け簀(いけす)に泳ぐ元気な魚介類を中心に販売します。

店舗内のフードコートでは購入した鮮魚の調理もしてもらえ、出来立て料理が美味しく味わえます。

店舗で商品の品質と鮮度を体験し、不安が払拭されて信頼した消費者には・・・

忙しい時には来店せずともオンライン注文してもらえればスピード宅配するサービスを提供しました。

店舗の中ではオンライン注文された商品を軽快な動きでピックアップして保冷バッグに詰め込むスタッフの姿、

そして、ピックアップ後の商品が入った保冷バッグが天井レールを伝わって配送エリアに吸い込まれて行く様も
あえて来店客に見せるための演出なのでしょう。

顧客の購買心理とライフスタイルのために考え抜かれた生鮮スーパー

その結果は・・・繁盛店の店舗売上にそれ以上のオンライン売上が加算されることにより、

実質、坪当たり売上高は業界水準の倍以上になり、現在、中国都心部で多店舗化を進めているとのことです。

顧客はオンラインで情報を取り、
オフラインの店舗で商品を確認し・・・

店舗で買うか、オンラインで買うかは顧客の都合で決めるのが常識となった時代。

そんな時代に、日本でも店舗単体の損益にかつてとは違った厳しい異変が起こっています。

だからといって不採算店舗を閉鎖すると、その店舗近隣客からのEC売上も減るというのは
先行するアメリカの話。

それだけ、店舗とオンライン売上は密接に関連しているのですよね。

 

企業は、顧客の購買行動にあった新しい買い方を提案するだけでなく・・・

それぞれの損益も関連付けて評価して行かなければ

店舗も店舗スタッフも正当な評価がされず報われないままに終わってしまいそうな時代。

 

例えば、店舗で見たあとにオンラインで売れたものは、
店舗の売上・粗利にオンラインの関連売上および粗利を加算した上で
「2階建て」損益を考える発想が必要になったのではないか?

これからそれらの売上を裏付ける、商業施設との家賃契約やカウントするための技術的な議論や投資を進める必要がありますが、

中国の生鮮スーパー、フーマー・フレッシュの成功事例は

新しい時代には、これまでとは全く常識の違う発想をする必要があることを
教えてくれているのではないか?

そして、デジタル化は遅かれ早かれ、それを可能にするはずと感じたものでした。

追記 これらの詳しい話はWWD2019年7月8日号 「ファッション業界のミカタ」でも触れています。

【オススメ本】 おかげさまで3刷!中国語繁体字への翻訳も進行中です。欧米の最新デジタルショッピング事情、日本の10年後を示唆する事例を取り上げました

 

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May 20, 2019

世界アパレル専門店売上ランキング2018 トップ10

 世界の大手アパレル専門店各社の2018年度の売上高や利益などをまとめる機会ができましたので、毎年恒例になりました売上高のランキングTOP10を共有させていただきます。

 円建て比較にあたり、為替レートは2019年1月末の €=125.1円、スウェーデンクローナ=12.0円、US$=108.9円、英国£=142.8円で換算しています。
 
 尚、7位のC&Aのみ非公開企業で2018年決算が入手できませんでしたので Deloitte Global Powers of Retailing 2019と2018を参考にした2017年度の売上高を表示しています。

 

順位 社名 本社;決算期 売上高 前年増減 営業利益 営業利益率 期末店舗数 基幹業態
1位 インディテックス (西;2019.1期) 3兆2720億円 +3% 5452億円 16.7% 7490 ZARA
2位 H&M (瑞;2018.11期) 2兆5374億円 +5% 1868億円 7.4% 4968 H&M
3位 ファーストリテイリング (日;2018.8期) 2兆1300億円 +14% 2362億円 11.1% 3445 UNIQLO
4位 GAP (米;2019.1期) 1兆8065億円 +5% 1484億円 8.2% 3666 OLD NAVY
5位 Lブランズ (米;2019.1期) 1兆4421億円 +3% 1346億円 9.3% 2943 Victoria's Secret
6位 プライマーク (愛;2018.9期) 1兆683億円 +6% 1204億円 11.3% 360 Primark
7位 C&A ヨーロッパ (独;2018.2期) 8231億円 +2% 非公開 非公開 1425 C&A
8位 アセナリテール (米;2018.7期) 7167億円 -1% 37億円 0.5% 4622 Ann Taylor Justice
9位 ネクスト (英;2019.1期) 5954億円 +2% 1088億円 18.3% 507 NEXT
10位 しまむら (日;2019.2期) 5459億円 -3% 254億円 4.7% 2205 しまむら
 

                                    
備考-米TJMaxx、Ross のオフプライスストア2社は、売上規模でトップ10に入る規模ですが、メーカーや専門店が放出した過剰在庫を販売する二次流通マーケットのため除外しました。

 

 以下 ランキングに対する解説です。

 継続的な増収増益となったのはZARAのインディテックス(以後ZARA)、ユニクロのファーストリテイリング(以後ユニクロ)およびプライマークの3社です。

 このうちZARAとユニクロの好調と他社の苦戦の要因をいくつかの視点から考察してみます。

 まず、増収増益を続ける1位のZARAと増収ながら大幅減益を喫した2位のH&Mの違いです。

 同じトレンドファッションを低価格販売するファストファッションを提供する両社の明暗はどこにあったのか?というと、

 

 価格戦略、サプライチェーンマネジメント、デジタルシフトの3点の違いにあったようです。

 

 まず、価格戦略については「低価格」と言っても、H&Mが各国で市場最低価格戦略を採るのに対し、ZARAは百貨店のような高額市場価格決定者に対してその何割安というような相対的な低価格戦略を採る違いがあります。

 前者が更なる低価格競争のレッドオーシャンに巻き込まれるのに対して、後者はむしろ商品や品質での勝負ができます。

 

 次にサプライチェーンについては、H&Mは市場最低価格を追求するにあたり、産地を人件費が安く、生産リードタイムの長い東南アジアや西アジアにシフトせざるを得なかったのに対し、ZARAは従来の近隣国での生産を継続しています。

 トレンドファッションにとって、生産リードタイムの長期化はリスクを抱えこむことは間違いなく、

 そのためH&Mは多くの値下げに見舞われたことが粗利益の低迷の主要因となった模様です。

 

 そして、3つめは・・・

 

 中国、アメリカで旺盛な出店を続けて店舗数を増やしたにも関わらず伸び悩んだH&Mに対して

 ZARAは既存店の最適化(スクラップ&ビルド、改装、増床)を優先して店舗をたった15店舗しか増やさず・・・

 一方、オンライン投資による通販の拡大で全社、既存店とも増収増益、高収益率を維持しました。

 

 続いてユニクロについては、寒波によって秋冬商材が売れ、夏気温の早期化によって夏物が定価のままでよく売れるなど、天候に助けられたことは事実です。

 一方で、成熟期に入って久しいユニクロ国内事業を、それを見越して、早くから手を打って来たユニクロ海外事業、特に中国事業がカバーできるようになったことは大きいですね。

 現在では、海外事業は中国を中心に2ケタ増の成長軌道に乗り、国内ユニクロ事業を上回る収益力をつけています。


 低迷、リストラが続く、米GAP、Lブランズ、英NEXT、日本のしまむらに共通して言えるのは成熟マーケットである母国の国内売上に頼り過ぎていることが挙げられます。

 業態が市場で成熟するにあたって、消費の変化に対して次の新しい成長ドライバーを用意できなければ・・・

 企業として増収増益を継続できないことは言うまでもありません。

 

 時代の転換期にZARAとユニクロのグローバル戦略やデジタルシフトと

 一方、低迷した競合企業の明暗は多くの国内市場のみに頼る流通企業の教訓になるのではないでしょうか?

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから  

 【おススメ本】

 グローバルで快走をつづけるZARAとユニクロ、その強みと課題は? H&Mを苦しめ、追撃する超低価格プライマークはいずれは日本にもやって来るのか?

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

 

いつもお読み頂きありがとうございます。

 

 

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