February 15, 2017

ファッション専門店のオムニチャネルリテイリングの取り組み事例の記事を読んで~在庫運用編

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 2月10日の繊研新聞に折り込まれていたオムニチャネル特集は大変読み応えがありました。

 広告を除く記事の部分はECに取り組む企業へのアンケートと業界オムニチャネル担当者の対談から構成されており、先進企業とその背中を追う企業のECやオムニチャネルリテイリングへの取り組みから業界全体が向かっている方向やステージと進捗度がとてもよく理解できました。

 そもそも、同じブランドが複数販路で販売するマルチチャネルの先にあるオムニチャネルのオムニという概念は「全能」の意味、つまり理想郷なのでゴールに到達することは極めて難しい道のりです。

 しかしながら、理想的なゴールのイメージを想像して、仮説を立てて、信念を持って進まなければ、

 IT業者が提案する最新技術論やすぐにできる他社のものまねや目先の施策の延長に終始し、

 担当者や現場がどこに向かっているのか?何のためにやっているのか?と振り回され、迷子になってしまい、投資も無駄になってしまうことでしょう。

 ゴールとは・・・

 店舗、オンラインにとらわれることなく、顧客のお悩みを解決する 「ユーザー・エクスペリエンス(顧客体験)」 に基づくものでなければならないことは言うまでもありません。

 私は店頭在庫最適化のための在庫コントロール支援を生業にしているため、オムニチャネル関連の記事の中でも、特に在庫運用のところに目が行きますので、在庫関連の話題をご紹介しましょう。

 まず、店舗とECの在庫連携に関するアンケート結果からは

 質問項目別の「実現済み」の取り組みと「実現したい」取り組みの回答数の差を出してみると
業界各社の在庫連携の進捗度と今後の課題を読み取ることができます。

 簡単に整理すると・・・

 「ECでの実店舗の在庫表示」 (どの店に行けばその商品を手に取ることができるか)

は「実現済み」数が「実現したい」数を上回り、多くのの企業で実現し始めているようですが・・・

 EC在庫の活用、すなわち

・店頭での欠品をEC在庫からお客様のご自宅にお届けること、

・EC注文商品の店舗での受け取り、

・ECからの店頭在庫の取り置き

・店頭での欠品をEC在庫から店舗にお取り寄せすること、

の順に、

 「実現したい」数が「実現済み」数を大きく上回り、
 
 お客様が実際に買いたい商品を特定した後に、お客様と商品在庫をマッチングさせるための運用部分が現時点で実現途上であることがわかります。

 これらは、お客様とその要望を実現しようとする店舗スタッフのためにも是非、早く実現していって欲しいですね。

 次に、具体的な企業の事例紹介を読む中で感じたことは、

 百貨店アパレルよりも専門店の方が、EC担当に店舗販売経験者が多いこともあると思いますが、

 顧客目線で店頭起点のオムニチャネル実現の意識が高く、それに向けた動きが進んでいるのはもちろんのことなのですが、

 その中でも、駅ビル、SCで好調が続く婦人靴SPA、「オリエンタルトラフィック」の事例にあるように、

 やはり、SKUが多く、在庫過多になりがちで、その一方でぴったりのサイズが無いと売り逃しが発生しがちなアイテム(靴など)を扱っている業態の方が、

 一般アパレルよりも顧客の需要と在庫をマッチングさせる在庫運用に対して切実である、ということです。

 記事によれば、同社は、昨年から

・店舗在庫とEC在庫を共有し、

・店頭の欠品をEC在庫から店舗に取り寄せたり、

・お客様のご自宅にお送りすることが実現できるようになったことで、

 店頭での売り逃し削減の効果に手ごたえを感じ始めているようですね。

 これはとてもいい感じでオムニチャネル時代の在庫運用が着々と進んでいると思いました。

 オリエンタルトラフィックの取り組み事例を読みながら・・・

 私が独立以来、現在まで10年以上も「在庫コントロール」を生業にして、多くのファッション専門店さんのコンサルティングやお手伝いをして来た、その背景にある「原体験」を思い出しました。

 話は少し長くなりますが、オムニチャネル時代にも大事なことだと思いますので、ご参考になればと思いお話させていただきます。

 私のコンサルティングのバックグラウンドには、アパレルチェーン勤務時代に、多店舗出店中のチェーンストアにおける在庫コントロールを会社ぐるみで運用したプロジェクトリーダーとしての実務体験があるわけですが、

 さらに、その原点になっているのは、服飾雑貨バイヤー時代の靴の仕入と在庫運用の経験です。

 アパレルチェーンの中でも服飾雑貨バイヤーは孤軍奮闘(特に中途採用ですし)、仕入から店頭在庫管理まで、何から何までひとりで行わなければなりませんでした。

 当時は、商品仕入を行いながら、毎週末にはどこかの店頭に立ち、売場とバックヤード在庫を整理しながら、自ら靴を接客販売するとともに、同時に全店の靴の在庫コントロールに気を回す苦労の毎日。

 サイズが少なく、選択肢の豊富なアパレルと比べて、お客様にぴったりのサイズでないと買って頂けない靴について、

 せっかく店頭でお気に入りの商品を見つけて頂いたのに、その店にサイズがないことでお客様をがっかりさせないように、

 たとえその時、その店にサイズ在庫がなくても、いかにしてどこかの店にある在庫を探し出してお客様の手に届けるか

 に躍起になっていたものでした。

 当時、前任者が全くサイズ登録していなかった靴の在庫を(ひどい!)、順次サイズ管理ができるようにシステムに再登録しながら、JANコード(値札)も貼り替え始めると・・・

 靴の売上が徐々に上がり、過剰だった在庫がみるみる消化し始める現象が起こりました。

 これは各店の各商品のサイズ別在庫が各店でデータ上確認できるようになり、それを知った各店のスタッフたちが積極的に客注を取り始めたためでした。

 お客様は欲しい商品を手にすることが出来た、それを店舗スタッフがお手助けできた。

 その後、社内で在庫コントロールのプロジェクトが全店の賛同と協力を得て進めることができた背景には、

 そんな店頭での「ユーザー・エクスペリエンス」を思い浮かべながら、自らがお客様最適、店頭在庫最適に取り組んだ原体験に基づく信念が社内に通じたからだと思っています。

 私の体験談は、お客様との接点である各店の在庫を最適化しながら、更に、全店で正しい在庫を把握できるように努めれば、同時に「客注」もストレス少なく進むという話ですが・・・

 今、小売業界では在庫の精度はともかく、「客注」という行為はどこでもあたりまえの話になりましたよね。 

 それは「客注」がお客様のためになるし、どこでも当たり前のように行われているから「標準装備」になったわけです。

 そして、今そして、これからもビジネスがリアル店舗だけでなく、EC(オンライン)にも広がっても、たとえ技術は以前と変わっても、

 お客様が欲しい商品を実際に手に入れたい、それをお手伝いするのが小売業のミッション

 であることに変わりはありません。

 むしろ、店頭在庫と倉庫在庫とEC在庫を正しく把握できれば、オムニチャネル時代は昔よりも、ずっとお客様のお役に立てる時なのですよね。

 IT技術論に煙に巻かれず、また、事業部の垣根(リアルvsEC)を飛び越えて・・・

 小売業は「ユーザー・エクスペリエンス」に真摯に向かい合い、そしてそれを早く実現したものがお客様にますます喜ばれる時代になるはずです。

 ちょっと古い記事ですが・・・

 関連エントリー-絶好調、「オリエンタルトラフィック」の強み

 【おススメ本】

 ファッション専門店の事例を用いて、顧客心理と在庫コントロールの大切さをわかりやすく解説したフビジネス読本です。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   
 
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February 10, 2017

「オンワードHDのオーガニック化粧品ベンチャー買収」のニュースで考えるアパレルビジネスノウハウの異業種活用

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 先週2月2日の日経新聞にアパレル大手のオンワードホールディングス(HD)が、米カリフォルニア拠点で日本でオーガニック化粧品(ヘアケア、スキンケア)を販売する米ベンチャー企業を買収し、化粧品分野に参入することに関する記事が掲載されていました。

 ネット記事はこちら
オンワード、VB買収し化粧品参入 自然派商品で顧客開拓


 同社が買収した事業の通販サイトKOKOBUYも主力商品のproductも、ネットで検索したレベルでは、品数も少なく、決して大した規模ではないようですが・・・

 アパレル企業に近年取り扱いが広がる、いわゆる「ライフスタイル提案」ビジネスと言われるカテゴリーの中で、(なぜがアパレルがやりたがる)カフェや家具やインテリア雑貨なんかよりも・・・

 ずっと「ファッション」に親和性があって、地に足がついていると感じていた ヘアケア、スキンケアを中心とした自然派化粧品分野に

 オンワードHDが資本を注入して足を踏み入れることについて、とても興味を持ちました。

 今、商業施設を見渡せば、駅ビルのルミネなどのもっともトラフィックが多く、アクセスの良い場所に売場が広がっているのがオーガニック化粧品ブランドであることは誰もがお気づきのことでしょう。

 私自身も、ジョンマスター、キールズ、マークス&ウェブなどの製品には毎日お世話になっているヘビーユーザーのひとりであります(笑)

 欧米先進市場を見てもわかるように、成熟ファッションマーケットにおける生活者の関心事は、女性に限らず、時代に敏感な男性も含め、

 服→ヘアスタイル→スキンケア

 (アンチエイジングも含みますからジェンダレス&エイジレスの幅広い客層、そして自然派に訴えれば教養層=客単価高につながります)

 と必然的に進むものだと思います。

 業界の好調企業「マッシュスタイルラボ」が スナイデル(トレンドアパレル)、ジェラートピケ(ホームウエア)の成功の後に、

 仕入型ではありますが、コスメキッチン(ヘアケア、スキンケア)に取り組んだ時に、この会社は(顧客目線、マーケットインで)「さすが!わかってる」と唸ったものでした。

 ヘアケア、スキンケアのビジネスは、端(はた)から見れば、原価率が低く、粗利が稼げそう、そして消耗品なので、アパレルよりも購買頻度も高そう・・・それゆえにおいしそうなビジネスに見えます。

 しかしながら、肌に触れるものなので面倒な薬事法が立ちはだかりますから・・・なかなか取り組みづらそうな参入障壁が高いビジネスに感じられます。

 それゆえに、オンワードHDのように潤沢な資本力活かして、ノウハウごと買ってしまうというのが正解なのでしょうね。

 オンワードHDは これまで買収したペットグッズのクリエイティブヨーコも、ダンス用品のチャコットも、ライフスタイル自転車販売のSAKULA(サクラ)も・・・とても目の付け所がよく、

 それぞれの業界の中で、一人勝ちであったり、上手にライフスタイル提案をしている素敵な会社を買収していながら、純投資ビジネスとしては成功しているかも知れませんが・・・

 アパレルのノウハウを熟知した企業が買収した意味や相乗効果を十分に活かし切っているのかどうかは未知数です。

 買収したビジネスから新しいコンテンツ(カテゴリー)をこれまでの既存の顧客さんに提供することも大事ですが・・・

 むしろ、買収によって新たにリーチした客層にいかにアパレルビジネスで培ったノウハウで買収事業に磨きを掛けながら、新しい価値を提供できるか?

 つまり、既存顧客の客単価を上げるだけでなく、新規顧客とリピーターを増やすことができたら買収の本当の意味での相乗効果があるというものでしょう。

 その点、以前もブログで紹介しましたが、

 アメリカのSPA(アパレル製造小売業)の元祖「ザ・リミテッド」の全店閉店と創業者レスリー・ウェクスナー氏から学ぶこと

 アメリカのLブランズはアパレル企業が時代の変化にあわせて、周辺ライフスタイル事業を買収したり、新規事業を立ち上げて、「アパレル企業ならでは」の磨きをかけるノウハウに長けている世界レベルのお手本と言えます。

 同社はアパレル小売業から始まり、サプライチェーンマネジメントを強みとしたSPA(アパレル製造小売業)手法で進化し、GAPより先に、20世紀に年商規模世界一のアパレル専門店に登りつめます。

 その後、21世紀になると、アパレル市場が成熟したと見るや、それまでに買収していたヴィクトリアズシークレット(インナーウエア、ホームウエア)や自ら立ち上げたバス&ボディーワークス(ヘアケア、スキンケア)にアパレルSPAの週次管理や高速サプライチェーンマネジメントのノウハウを注入し、

 従来のインナー業界や化粧品業界の業界常識を超える販売効率や商品回転率や収益率を実現します。

 2007年に出身母体であるアパレル事業をファンドに売却しても、その後、アメリカで

 アパレルだけに頼らない21世紀型のファッションストア企業、世界的にも最も収益力の高いファッションリテイル企業の一社として成功をし続けているわけです。

 アメリカにアパレル出身で、生活者視点で、時代に合わせて事業転換を図って来た世界のお手本となるファッションチェーンモデルがある。 それがLブランズの今の姿だと思います。

 オンワードHD社にとって、今回の買収が売上利益を増やすだけの投資で終わるのか、Lブランズのように、次代に合わせて脱皮して一皮むけるきっかけになるのか?
 
 興味を持って見守りたいと思います。

 【おススメ本】

 ベーシックとトレンドファッション・・・アパレルSPA(製造小売業)の勝ち組のビジネスモデルが1冊で早わかり
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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February 07, 2017

H&Mのグローバル戦略、次の照準マーケットはいよいよ日本市場?

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 H&Mの2016年11月期レポートに目を通しました。

 売上高(VAT含まず)は2兆3841億円で6%の増収も、営業利益 2954億円の12%の減益 と増収減益でした。
(この時点で今年度もZARAのインディテックスグループの世界一が確定です)

 特に、前年57%だった粗利益が 55.2%と下降したため、14.9%だった営業利益率が12.4%に下落。 

 減益の要因としては、アジアからのドル建て商品調達が大半を占めるH&Mにとってドル高による商品原価増に加えて、世界的な天候不順で値下げが増えたこと、そして、欧米の社会情勢や消費者のオンラインへのシフトが挙げられていました。

 今回の決算は、グローバル資本主義(人件費の安い国でつくり、経済大国に深耕する)を最も地で行っていたH&Mにとって受難の時、グローバルレベルでパラダイムシフトが始まっていることを印象づける決算だったのではないでしょうか?

 そのため、同社は10-15%の出店増を成長ターゲットにしていた成長戦略をリアル店舗+オンライン売上で10-15%成長する方針に切り替え、既存店の見直しとオムニチャネル&デジタル投資に力を入れることを宣言しています。

 さて、気になるのは日本市場への影響ですので、国別のパフォーマンスを見てみましょう

 まず、売上トップ10の国(売上構成比65%を占める)の伸び率は芳しくありません。

 これまで米国、中国を集中出店国にしていた同社ですが、特に中国は店舗を2割増やして444店舗にしている割には、売上は7%程度しか伸びておらず、決して効率が良いとは言えません。

 一方、売上構成比上位20か国(これで売上構成比85%)に視野を広げると、15位の日本、18位のロシア、20位のトルコなどの伸び率がいいですね。

 その中でも日本は1店舗あたりの売上高が単純計算ながら、9億円以上と世界平均の1.4倍とトップクラスです。

 この度、H&Mの日本法人の社長さんに同社の中での「超」の付く若手生え抜きエリートスウェーデン人の方が抜擢されました。

 国別パフォーマンスを分析すると、本社経営陣であれば、次に力を入れるべき国は、日本、ロシア、トルコ、カナダ、メキシコ、オーストラリアであることはわかっているでしょう。

 H&Mは売場面積が広いので、坪あたりの販売効率を見ると日本では効率が悪い店舗に見られがちですが・・・

 1店舗あたりの売上高が大きいので、それほど売れていないようでも、ローコストオペレーションで採算が合わせやすいのと、店舗拡大の市場に対するインパクトも小さくありません。

 日本66店舗で売上規模が600億円を超えて来たH&Mがそろそろ100店舗超体制に向けてアクセルを踏み始めるタイミングかと思います。

 年商1800億円を超えて快走するGUとH&Mの低価格競争、レッドオーシャンに巻き込まれないように、

 2008年H&M日本上陸時以上に彼らに振り回されることなく、自社のブランドの立ち位置を明確にして、気を引き締めて取り組まなければならない時です。


  関連エントリー-ファストファッションの次に来る流通革新

 【おススメ本】

 今年も世界一がほぼ確定したインディテックスのZARA。ユニクロとの比較によりその理由に迫りました。 
  
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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January 25, 2017

米オールドネイビーが日本から完全撤退

 GAPグループのオールドネイビーが1月22日をもって全店閉鎖となり、日本から完全撤退しました。

 オールドネイビーの日本サイト

 2012年にお台場に1号店をオープンして以来、3年半で53店舗を出店し、年商250億円規模にはなっていたと思われます。

 今回の撤退は 米GAP社のリストラの一環で、いくつかある同社のセグメントの中で

 日本が大半を占める「Old Navy Asia(オールドネイビーアジア)」が特に採算が悪い事業として経営陣に映ったからでしょう。

 一方の「Old Navy North America (オールドネイビー北米)」は同社の中の稼ぎ頭です。

 日本1号店の開業の時にもこのブログで指摘しましたが、

 米オールドネイビー(OLD NAVY)のリーズナブル価格に好感、ただし多店舗出店に課題も

 GAPとは違って内外価格差ほぼなしの正直プロパー価格設定(プライスポイント=最多価格帯1990円)での日本展開は、

 おぉ、これは郊外立地でユニクロやライトオンやアベイルやマックハウスなどにとって脅威になるぞと思いましたが、

 そもそも内外価格差なしだと 日本の場合 家賃負担が大きくなるため

 アメリカ並みの販売効率(売場面積あたりの売上高)では販売管理費の負担が大きくなりすぎ、営業利益が残しづらいこと

 が課題にあったと思います。

 そのような、「上手く回れば・・・」のチャレンジングなスタートに

 出店立地を精査しきれず、計画を下回る販売効率の店舗を多店化してしまったこと

 どこの売場を見ても、シーズン立ち上がりはそこそこ魅力的な売場だったものの、後半の売場の荒れ方(残品状況や値下げ度合)がひどかったこと 

 これは外資チェーンと一言で言っても、アメカジ売り減らし型のMDサイクルの問題かも知れません。

 そして、時折、GAPの日本流よろしく商品原価に関係なく、全品一律大幅値下げなんてこともやってましたからね。

 日本オリジナルを一定割合混ぜて補完していたGAPやバナリパとは違い、雑なMDオペレーションだったことも否めません。

 折しも為替のドル高基調ゆえ 

 アジアからのドル建て商品調達コストが高くつき(これは日本企業も同じ)、

 それに加えて、水揚げ(ドル建ての売上や利益)がアメリカ本社から見て目減りして見えたであろうことも撤退判断の背中を押したことでしょう。

 会社側から見れば、採算の余裕が少ないビジネスモデルに、あまりにも悪環境の中で、自滅、撤収したというのが客観的な感想です。

 一方、ネット上の生活者の評価を見ると、GAPよりOLD NAVYを残して欲しかったというようなファンのコメントも多く、(特に子供服を重宝して購入していた方々) 惜しまれながら撤退して行ったというところでしょうか。

 また、撤退してほっとしたアパレルチェーンの経営幹部の方々も少なからずいらっしゃることでしょう。

 時折、ブログで指摘していますが、国土が広く、家賃が安いアメリカで拡大したチェーン店は

 欧州や日本に来ると苦戦する傾向にあると思います。

 ところが、日本のGAPだけは例外で、アメリカ本国とは違う売り方、

 すなわち、当初、値段を高く設定してがっつり粗利を稼ぎ、50%OFFしてもそこそこ粗利益が残るという売り方にうまみを覚え、

 日本の高い家賃を吸収して生き残って来たと思います。

 日本の生活者もそのあたり慣れっこになってしまってますけどね。

 すると、このGAP方式こそが、アメリカのチェーンが日本で生き残る限られた手段のひとつなのかも知れないとも思えて来ます。

 しかし、ローカルで売り方を変えないといけないオペレーションをしている以上、世界中どこに行っても世界統一MD&オペレーションのZARAやH&Mには敵わないでしょうね。

 オールドネイビーは惜しまれながら日本から撤退しましたが・・・

 アメリカの通販サイトから円建てで購入できるようです。

 オールドネイビーがお好きだった方は引き続き通販でお買い求めいただければと思います。

 OLD NAVY US 通販サイト

 【業界ビジネス読本】

 シーズン性のあるファッション商品の購買心理と在庫コントロールの原理原則を大手企業の事例を用いてわかりやすく説明しました。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   
 
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January 24, 2017

しまむらの値下げ品自動選別システム

 1月20日の日経新聞にしまむらの値下げ品自動選別システムに関する記事が掲載されていました。

 同システムは、初期の入荷量や販売実績データなどの情報から

 売れ行きの悪い商品を選別し、値下げの時期や幅を自動的に提示するもので、

 最終的な判断や店舗への指示は担当者(ヒト)が行っているようです。

 既に、2016年秋にファッションセンターしまむらで展開する1割の商品が自動選別されたようで、

 同社は更なる店舗拡大にあたり、担当者の業務負担を軽減する目的で、

 ファッションセンターしまむらでの対象商品を広げ、

 2018年2月までに 同社の別業態、バースデイ(子供服)やアベイル(ヤングカジュアル)でも稼働させるようです。

 量販系の小売りチェーンやSPAでは、計画通り売れない商品があった場合、期末セールを待たずに、顧客が欲しいと思う時期を逃さずに、シーズン中に値下げするのが一般的です。

 (レギュラー店またはアウトレットまたはWEBストアか値下後の場所はそれぞれですが)

 ただし、その値下げのタイミングや幅は属人的なケースがほとんどです。

 そのため、手遅れになって期末近くに大幅値下げが必要になったという場合が多いように思います。

 その理由は、

・商品ごとの販売計画がない=無計画な発注量

・販売期間が決まっていない、あるいは守ろうとしていない(理由をつけて先送り)

・値下げ対象とする基準があいまい

・値下げ予算の運用が担当者に任されている

といったところでしょうか?

 しまむらの場合は、全体の約4割と言われるトレンド商品(非定番品)に関して

 一部を除き、全店各SKU(カラーサイズ)1枚のみの投入=発注量一定

 原則投入してから5週間以内に売り切る ところてん式で投入消化管理

 値下げ枠(額)管理が徹底 (値入額‐粗利額目標)

 しているからこそ

 期限(5週以内)通りに売り切れないであろう商品を選別して設定されている「値下げ枠」を按分して振り分けることが可能なのでしょう。

 もっとも、しまむらのような商品投入&売り切り方法でなくても

 基本的には、上記のような項目にルールづけと会社基準を設定すれば商品選別とその値下げにいくら使ってよいかくらいは算出できます。最終判断は担当者や上長(ヒト)がすべきでしょうが。

 日頃のコンサル現場では、ウイークリーの品種、品番別の期末消化シミュレーションと値下げ推奨品番の選別、および値下げ枠管理はすでに行っていますが、

 今回の記事を読んで、更に、それぞれの単品にどれだけ値下げ枠を充てるかの気づきをいただきましたので、近々 提案してまずはExcelベースで取り組んでみようと思いました。

 今、ファッション流通現場の最大の課題は人手不足ですね。

 経営者は自動化、自動化を叫び、システム屋さんは(理論上は)できます、できますと言いますが・・・

 お客様やスタッフが「自動システム」に振り回されないことに注意しながら、また、使いこなせなくて投資額を無駄にしないように、省力化を考えていきたいですね。

 昨年 YOMIURI ONLINE に掲載された寄稿 

 しまむらが若い女性にパトロールされるワケ

 をご紹介します。

 ご興味あればリンク先を覗きに行ってみて下さい。

 【おススメ本】

 ファッション消費の顧客購買心理を考えるビジネス読本

 顧客心理への配慮と在庫コントロールロジックが明確な しまむら の事例もいくつか取り上げています。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   
 
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«適正品番数とメリハリ発注