November 15, 2017

ECとリアル店舗、ファッション消費の未来とパーソナライゼイション

 クリックして人気blogランキングへ

 11月6日発売のWWD ジャパン 創刊2000号記念号 は1979年の創刊時からこれまでのファッション流通の出来事が年代別にレビューされていて大変読み応えがありました。

 もちろん、歴史を振り返るだけでなく、キーパーソンたちが未来を語るコメントも多数あり、

 特に後半162-163ページにある 

 米パーソナルスタイルパッケージ提案ECサイト 「Stitch Fix(ステッチフィックス)」 の創業者でありCEOのカトリーナ・レイク氏と 

 ECの世界から英老舗セレクトショップ 「BROWNS(ブラウンズ)」のCEOに就いたホリー・ロジャース氏のインタビュー記事

 「独自のパーソナライゼイションを追求 2人のCEOが語る小売りの未来とは?」

 は正しく ファッション消費の未来、これからの10年 ファッション流通業界が取り組まなければならないことを示唆する内容で大変興味深く読ませていただきました。

 特に共感した部分を引用、紹介させていただきますね。

 まず、Stitch Fixはご存じでしょうか?

 STITCH FIX

 2011年アメリカで創業されたパーソナルスタイル提案ECサイト。

 登録時、85の質問に答えた顧客の好みから、AIが700ブランドの中から商品を選定、その後、スタイリスト(人間)が補正したコーディネートアイテム5点(アウター、トップス、ボトムス、服飾雑貨)がパッケージで顧客の自宅に届くECファッションサービス。

 顧客は気に入ったものだけを購入し、そうでないものはコメントをつけて返品するというものです。これを定期的に繰り返す中で顧客の選別行動に基づき、AIがその後の商品選定の精度を高めて行きます。

 アメリカで 現在220万人の会員がおり、75人のデータサイエンティストがAIをメンテし、3400人のスタイリストが対応しており、年商1100億円 (粗利率44%)にまで成長し、この度、上場申請をしたそうです。

 同社のCEO が語る ミッションは (以下 「  」内 引用)

 「消費者から求められているのは自分にぴったりのジーンズがみつかること。 モールを一日中探し回りたいわけではなくて、快適かつきれいに見えるジーンズを見つけたいだけ」

 「モールのいろんな店をさまよって、店員に買い物を助けてもらう今の形が将来まで続くわけがないし、30個ものブラウザを開いて何を買えばいいのか悩む行為もあり得ない。私には、どちらの行動も将来まで存続しているとはどうしても思えない。」

 「(ファッション購買の未来は) 商品の大半はオススメ機能に基づいて購入されると思います。

 (我々は)その人に完全にフィットするものは提供できないけど、その人に最適な1着を提供します。
将来的にはカスタムフィットを行うこともあり得ますが、すでに大量の服が流通していますからね。」

 「データを理解し、顧客のニーズと在庫をうまくマッチさせることで在庫を効率的に回し、リスクを最小限に抑えている」

 そして

 「パーソナライゼイションという切り口から集めた情報を新たな顧客に当てはめることで成長を続けている。」

 以上 「  」内 引用

 「パーソナライゼイション」というと カスタムメイドに取り組む(作りたがる)会社が多いですが、その労力は結構大変なものですし、限界を感じてしまいます。 

 それよりは、すでに流通している商品の中から顧客の需要と在庫をマッチングする、大量の情報から、絞り込んで差し上げることによってショッピングのストレスを解消したり、時短によりライフタイムを有効に使っていただくことがソリューションにつながる

 という点は筆者の専門分野である、在庫最適化や在庫コントロールのコンセプトに通じるものがあり、とても共感したものでした。 

 かつてはアナログでやっていたパーソナルスタイリストを AI(ロボット)とスタイリスト(人間)が協働で行うところにも未来を感じますね。

 続いて オムニチャネルリテイリングを推進する英老舗セレクトショップ「BROWNS」。

 BROWNS

 「BROWNS」はイギリスをマーケットリサーチされる方にとっては定番の定点観測場所、

 そこへ 百貨店、ラグジュアリーブランドを経て、ラグジュアリーブランドのECサイト「ネッタポルテ」の創業メンバーだった女性がCEOに着任して目下オムニチャネル対応で改革中。 そんな彼女のコメントです。

 「(我々のゴールは)リアル店舗とオンラインストアの機能を統合して良い循環をつくること

 例えば、顧客が自宅で欲しいものをウィッシュリストへ追加していく。

 そのアイテムを店で試着するときに、顧客の専任スタッフはウィッシュリストを見てアイテムを事前に準備しておく。

 さらには、顧客が選んだアイテムの他に、オススメのものも一緒に準備しておける。

 そうやって、全部のテクノロジーやサービスを顧客満足度のために結集し、循環させることがゴールです。」

 以上 「 」内 引用

 これはまさしくリアル店舗をもつ企業がこれから5-10年内に実現しなければいけない最も重要なショッピングのシーンのひとつでしょうね。

 生活者はファッションを買わなくなったのではない、お金がないわけでもない。

 また、これまでさまざまなショッピングのストレスがたくさんのファッション消費を楽しめない方々を生んでしまったかも知れません。

 ストレスなく、気の利いたファッションが的確に、時短とともに手に入るようになれば

 まだまだファッション消費は活性化し、より多くの人に楽しんでもらえるものになるのではないか?

 お2人のインタビュー記事を読んでいて、これからますます変わるショッピング環境にあわせて

 まだまだビジネスチャンスはたくさんありそうだと感じたものでした。 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第26位】↓down(17.11.13現在)


 

|

November 06, 2017

いよいよ年内発売開始、ZOZOTOWNのプライベートブランド(PB)の概要が徐々に明らかに

 クリックして人気blogランキングへ

 11月1日の繊研新聞や11月3日の日経MJに先ごろ発表されたスタートトゥデイ第2四半期決算を受けてZOZOTOWNの今後の施策に関する記事が掲載されていました。

 引き続き増収増益の絶好調が続く中で、各紙の記事は前澤社長が自ら説明した今後の

 「送料」と「プライベートブランド(PB)」に関する内容が中心でした。

 送料に関しては、「送料自由化」のテストを経て11月1日から一律200円に決定しましたね。

 この新送料決定までのプロセスが非常に見事だったので、ちょっと整理してみましょう。

 まず、購入者が任意に選べる「送料自由化」(=購入代金に関わらず顧客が希望する送料で発送する;0円=無料も含む)の中間報告では平均が96円、無料を選んだ顧客が43%あったとのことでしたので、
 
 有料を選んだ残り57%の顧客が選んだ送料の平均はおそらく170円弱だったと推計されます。

 そして、これまで5000円以上の購入者が送料無料、それ未満は有料で一律399円だったので、

 前者と後者の構成が半々だったら今回の新送料設定での両者のプラスマイナスはほぼトントン

 5000円以上     0円+200円=200円
 5000円未満   399円-200円=199円

 おそらく、平均出荷単価が8186円ということなので、5000円以上の方が多数と推測できます。これにより、ZOZOはこれまで送料を頂けなかった顧客からも送料を頂く「有料化」=「送料無料撤廃」を果し、

 運送会社の運賃立て替え収入総額が増えることによって・・・運賃値上げによる経費増にある程度充当することが出来るようになりますね。

 一方、運送会社の値上げを

 単純に顧客に転嫁したモールや
 
 頑張って値上げしませんと宣言して経費増になっているモール・・・

 いろいろあると思いますが・・・

 同社は 顧客、ZOZO自身(そして株主対策)、運送会社 すべてに納得感のある、

 「送料値下に見える実質値上げ」は見事だったと言わざるを得ません。 

 さすが商売人です。

 次に業界が注目する、今後のZOZOの更なる成長を左右すると言っても過言ではない、プライベートブランド(PB)について。

 今回、「全貌の半分~2/3を語る」と前置きして始まった前澤社長自らのプレゼンテーションで出たキーワードを列挙すると 以下の通りです。

・年内ZOZOTOWNで販売スタート (海外でもアメリカ・ドイツで来春から販売スタート)

・誰もが1枚や2枚、1本や2本持っている超ベーシックアイテムを、最高品質、バリュープライスで提供する 

・成功すれば世界中のアパレル企業を超える規模感のブランドになりうる

・ファッションに関心のない層への洋服で根源的な課題を解決するもの

・これまでファッションブランドが使ったことのない設備を使って製造

・科学やテクノロジーの力でサイズ・シルエットなど究極のフィット感を実現 

・究極のフィット感を実現するために設備投資 9億円 研究開発 5億円を 使った

また、

・デザインや価格面で既存出店ブランドと競合しない

・コーディネートが得意な販売員を100人募集する。着こなしの分析や解析もしてゆく

・あまり在庫リスクを抱える商売にはならない

とも発言されています。

以前のエントリー
 ZOZOのスタートトゥデイが大幅増収増益で株式時価総額1兆円を突破 現状の課題と次の手は?

 の後半部分で 筆者は ユニクロと競合するベーシックを最有力に挙げましたが、

 この方向はどうやら正しいようで・・・ 

 ただ、これまでファッションブランドが使ったことがない、特殊な設備を利用するとしているところが意味深で楽しみです。

もうひとつ、

・ファッションに関心のない層への洋服で根源的な課題を解決するもの

・コーディネートが得意な販売員を募集とのこと

というところがとても気になりました。

 もしかしたら、PB商品の単品開発&販売にとどまらず、ZOZOTOWN既存出店ブランドの在庫も活用して

 アメリカで急成長中のパーソナルスタイリングパッケージ提案型ファッションECサイトである

 Stich Fix(スティッチフィックス) 

 の日本版もスタートするのではないか?

 とも思えてきました。

 年内発売とのこと、リリース間もなくですね。 

 どんな商品、アイデアが飛び出すのか、楽しみにしていましょう。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第21位】↓down(17.11.06現在)


 

|

September 07, 2017

ロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える

 クリックして人気blogランキングへ

 8月末のロンドン視察のもうひとつの目的はイギリスで普及しているクリック&コレクトの現場を視察し、実際に体験してみることでした。

 「クリック&コレクト(CLICK&COLLECT)」とは・・・オンライン(自社ECサイト)で購入を決めた商品を宅配ではなく、顧客の都合のよい店舗で受け取ることです。

 このクリック&コレクトがEC売上急増中の日本のファッション消費の未来図のひとつになるかどうかにとても関心があったためです。

 実際、ロンドンのオックスフォードストリートやリージェントストリートを歩くと・・・

 2年前の視察と比べて、明らかに、百貨店から専門店、TOPSHOP、NEXT、H&M、ZARA、UNIQLOのようなチェーンストアまで、店頭のウィンドウに「CLICK&COLLECT」のロゴや店内でも受け取り場所を案内するサインがたくさん見受けられ、かなり普及して来たのだなと感じられました。

 それらの店舗の受け取り場所で観察すると・・・

 私が訪問したチェーンストアでは日中の時間帯だったからでしょうか・・・商品を受け取りに来ている顧客をほとんど見かけませんでしたが、

Dsc_08431

 セルフリッジやジョンルイスといった百貨店の専用カウンターの夕方近くでは常時3-4人の受け取り顧客がカウンターに滞留し、セルフリッジではその場でプレゼントラッピングを依頼する顧客や鏡の前で婦人靴を試着し、スーツ姿の販売員に接客を受けるという姿も見受けられました。

 店舗に在庫がない商品のオンライン購入を勧めている英老舗アパレルチェーンNEXTではレジ前のカタログとパソコンが置いてあるカウンターで店舗スタッフと一緒に商品を検索する女性の姿も見かけました。

 IR(広報)によれば、NEXTではオンラインで注文して、都合のよい店舗で受け取るクリック&コレクト比率は注文件数の55%にあたるそうです(イギリス国内)。 一方、ZARAでは66%(グローバル平均)とのことです。

 日本でいろいろな方々とこの「クリック&コレクト」の話をすると・・・

 ヤマト運輸を筆頭にきめ細かい宅配便のサービスをかつ安価で当たり前のように享受している日本において、クリック&コレクトの顧客にとってのメリットに疑問をもつ方が大多数なのが実情です。

 英NEXTでクリック&コレクト比率が高い理由はDsc_05221

 - 夜12時までに注文すれば翌日12:00以降に商品が指定の店頭で受け取れること

 - 宅配の場合3.99ポンド(600-700円)かかる運賃が無料になること

 - 国内540店舗という店舗網により生活圏、通勤圏に受け取り易い店舗があること

 - 一方、英国にはヤマト運輸のような2時間単位の時間帯で配達指定ができる宅配便がそうそう存在しない

 などが挙げられます。 ちなみに店舗受け取りは1-2点の購入者が多く、多数注文の場合は運賃を払って宅配にするケースが多いそうです。

 実際、数日の滞在期間中に外国人旅行者でもクリック&コレクトが可能だった百貨店のジョンルイス(John Lewis)と国内に多数の受け取り専用店舗を持つ通販会社アルゴス(Argos)で購入体験をしましたが・・・

 オーダーから受け取りまで実に事務的で、スムーズに済む印象を受けました。

 購入心理からすると、早朝でも夜でも自分が時間に余裕のある時間帯で商品を選び、クレジットカードで決済まで済ませておく。

 自宅でいつ届くか?と待つことなく、外出ついで、仕事帰りなど、自分の都合で近くに寄った時に店舗でピックアップすればよい。待ち時間はほとんどない。

 という感覚です。

 EC発達の理由は、ECの方が安いから、という商品もあると思いますが、

 第一は利便性と時短だと思います。

 忙しい中、買い物時間を短縮できる、レジ待ちや代金支払い処理が短縮できる、短縮というか、自分の都合がよい時にお買いものの面倒な工程を自分のペースで済ませる、という感覚でしょうかね。

 日本でこの「クリック&コレクト」の普及を考える時のネックはいくつかあります。

 ひとつは

 日本では、百貨店にしても、駅ビルやSCにしても、ECモールにしても、何かと場所を貸している商業施設側(館)と借りているテナント(ブランド店舗)という構図が多く、

 なおかつ、固定家賃ではなく、売上歩合家賃制が多いので、ブランド側の自由が利かないことが多いところでしょう。

 したがって、オンラインで決済を済ませておくのではなく、商品はあくまで仮予約で店舗に取り寄せておいて、店舗で決済するという形になるでしょうね。(日本では「無印良品」がそのパターン) 

 それには他社任せのECモールではなく、自社EC(オンラインサイト)の活用が前提になりますが・・・

 もうひとつは

 これまできめ細かいサービスで届けてくれていた宅配便の未来です。

 果たしてECの普及が今の倍になったとしても、今までのように同じ良質なサービスをかつ安価で提供できるのでしょうか?それが難しくなってきているのは昨今の宅配便クライシスの報道の通りです。

 また、コンビニ受け取りや駅の宅配ロッカーが普及すれば倍の量に耐えきれるのでしょうか?という疑問もあります。

 いずれにしても、ブランド側が自社ECに力を入れ、物流も整え、店舗での受け取りのメリットを明確に打ち出すことによって、サービスの認知度が高まれば・・・

 受け取りのひとつの選択肢として、これまでよりも件数が増えて行くであろうし、そこに実店舗を持つ企業のオムニチャネル時代のビジネスチャンスがある、というのが私の見方です。

 最後に、クリック&コレクトを世界的に推奨しているZARAのインディテックスグループが昨年から経営方針に掲げているフレーズをご紹介しましょう。

 Seamlessly integrated on-line and off-line store model

 (継ぎ目なく統合されたオンラインと実店舗のストアモデル)

 彼らが目指しているのは、オンラインでもオフラインでも、

 顧客がいつどこにいても情報を得ることができて、

 欲しい商品をスムーズに見つけることができ、

 どこでも購入でき、都合のよいところで受け取ることができる。

 返品交換する時も同様である。

 顧客をビジネスの中心において・・・それをいかにサポートして行くか?

 そんな世界を目指して同社はインフラを着々と整えています。

 日本の小売ビジネスは「顧客満足」と言いながら・・・

 百貨店、ショッピングセンター、ECモールなど「販路(チャネル)」に頼った発想が強く・・・

 何かとそれらの都合が先に立ち、顧客が不便を被ることも少なからずありますよね。

 SPAが製販垂直統合によってサプライチェーンの分業の常識を崩したように・・・

 Vertically integrated manufacturing and distribution store model

 これからのオムニチャネル時代は「販路」の常識を崩す必要がある、

 Seamlessly integrated on-line and off-line store model
 
 と同社が宣言しているフレーズのように思えてなりません。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 2008年のH&Mの日本上陸以降、グローバル競合の波に飲み込まれた日本のファッション流通市場。グローバルな視点で考える上でも参考にしていただければ幸いです。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第22位】↓down(17.9.7現在)


 


|

August 07, 2017

ZOZOのスタートトゥデイが大幅増収増益で株式時価総額1兆円を突破 現状の課題と次の手は?

 クリックして人気blogランキングへ

 8月2日の日経新聞や繊研新聞にZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ社の2017年4-6月の今期第1四半期決算に関する記事が掲載されていました。

 同四半期は

 商品取扱高 595億円 40.9%増

 営業利益    79億円 59.3%増

 連結純利益  55億円 54.5%増

と絶好調の業績を受けて 8月1日付の同社株価時価総額が1兆円を突破したとのことです。

 日経の記事によれば、この時価総額は上場小売業ではセブン&アイ、ファストリ、楽天、ニトリ、イオンに次ぐ6位とのこと、

 同社の業績と勢いを株式市場が

 流通業界における時代のリーディングカンパニー

 と評価した結果であり、今後、流通の歴史に記されるであろうニュースになるでしょうね。

 好業績の要因は同社の発表にもありますが、

 - 低価格ブランドの導入とその伸び

 - クーポンによる販売促進

 - ツケ払い制度による低年齢層の会員獲得と買い上げ促進

 などがあるようです。

 あと、「買い替え割」という下取りも既存ユーザーの購買頻度を上げる上で、それなりに購入促進になっているのではないかとお察しします。

 最近のZOZOのサイトを見ると・・・

 ホントに楽天などで活躍して来た、販売管理費が比較的低く、
 
 単価1900円、2900円中心で単品大量販売をするような低価格ブランドが幅を利かせて来ましたよね。

 そして、クーポンの発行の頻度も ものすごい。

 業界では、かつてはルミネ10%オフキャンペーンが市場で最も爆発的な売上が上がる起爆剤でしたが、今ではそれも落ち着いて来て、

 それに代わって、消費者も業界関係者も、関心が「ZOZOのクーポン」に移っているようですね。 

 ブランドがクーポン対象になると、その期間中は売上が5倍以上に伸びると言いますから・・・

 同社の狙い通り

 低年齢層の客層増と
 クーポンによる単価の高い商品の買い上げアップの効果

 があったと思いますが・・・

 一方で、セレクト系など既存ブランドの伸びは落ちて・・・

 売上を伸ばすにはクーポンに依存する体質が生まれ、利益は薄くなる・・・

 モール内も低価格商品で荒れるなど、正直、売上起爆剤をだいぶやり尽くした感も否めません。

 お客様とZOZOにとってはよいかも知れませんが、出店ブランドとの3者のウィン・ウィン・ウィンが成立しているのか?どうか?

 ZOZO依存が進むとスポイルされるブランドも少なからず出てくるのではないか?とちょっと疑問や心配も感じ始めている次第です。


 話は変わりますが、今期中に立ち上げが予定されているZOZOの自社ブランドに業界が注目していますね。

 買収案件や募集人材から業界関係者がいろいろな憶測をしていますが・・・

 私は、前澤社長のことですから、もちろん革新的なものを狙うと思いますが、

 最新技術の話題先行で、すぐに儲かるかどうかわからない奇抜なものではなく、

 顧客ソリューションにつながり、ZOZO自身もすぐに売上利益につながる、

 斬新でも「遊びなし」のものが前提になると見ています。

 そういう意味では聞こえはベタかも知れませんが、

 低価格ベーシック商品をその最有力候補として挙げたいですね。

 簡単に言えば、ZOZOに出店していないユニクロの代替え商品

 同社が展開するファッションコーディネートアプリ「WEAR」を見ればわかるように、

 ユーザーが最もコーディネートに取り入れている=ZOZOで販売しているブランドと相性のよい商品群であり (そこを 指をくわえて見ている経営者はいないでしょう)

 まずブランド品1品を選んだユーザーが運賃無料にするのに手ごろな買い足し商品にもなる価格帯であり

 ベーシックであればまとめ買いも期待できますからね。

 それを物流の混乱が続いているユニクロよりも速く届ける。

 関連エントリー- ベーシック(定番)アイテムの役割

 以前、ファッションを強化するAmazonがアメアパを買収するなんで噂があった時に非常に納得したのを覚えていますが、ファッション最大モールとしてそんなソリューションはありかなと思います。

 もっとも、ユニクロと同じことをしても芸がないので・・・

 例えば、オンデマンドで、極力 製品在庫リスクなし、欠品なし、できるだけ機械化して国内生産で行う、また、アイテムによっては丈詰めなどでパーソナライズするなど

 これらはもちろん、全くの想像に過ぎませんが、そんな流通イノベーション、ソリューションであれば・・・

 これまでのZOZOの商品やサービスを補完できる、極めて合理的で王道のアプローチではないかと思います。

 また、イギリスでは地産地消をキーワードにしたこんな状況も起こっていますのでご参考まで。

 関連エントリー- 英国発 地産地消のウルトラ・ファストファッションの波は日本にもやって来るのか?

 いろいろ想像は尽きませんが、

 流通業界の革新児であるスタートトゥデイ社らしい商品が実際にリリースされるのを楽しみに待ちましょう。

 
 いずれにしても、同社の独走はしばらく続きそうで、目が離せませんね。

 一方で、出店している既存ブランドはZOZOと上手に付き合いながらも・・・

 ZOZO依存体質から抜け出し、自社ECでいかに実店舗との相乗効果を出すか?

 を本気で考えなければならない局面でもあるのではないでしょうか? 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 トレンドとベーシックの商品管理のそれぞれのお手本はZARAとユニクロ。両社の理念とビジネスモデルをわかりやすく解説しました。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第17位】↑up(17.8.7現在)


 

|

July 24, 2017

TOKYO BASEが都心で働く女性に向けた服の新業態「シティ」をSPA方式で本格展開

 クリックして人気blogランキングへ

 7月19日の繊研新聞に「ステュディオス」「ユナイテッドトウキョウ」を展開し、絶好調が続く新興東証一部上場企業TOKYO BASE(トウキョウベース)が、この春に「ステュディオス」の派生業態として大人の女性のための服として立ち上げていたセレクトショップ「ステュディオス・シティ」を「シティ」というブランドでSPA業態に転換するという記事が掲載されており、大変興味深く読ませていただきました。

 記事によれば、「シティ」のコンセプトは

・(都心で)働く女性向けの上質な服を

・海外ラグジュアリーブランドと同水準の生地を用い

・旬のモードトレンドを盛り込んで

・原価率50%のものづくりを行う

・素材は小売価格の20%を基準にする

 というものです。

 私も常日頃から

 都心で働く女性のための上質でコストパフォーマンスのよい服は
 
 ほとんどのアパレル企業がまだまだ攻めきれていない。 日本のみならず、

 新興国において女性の社会進出が進むにつれて、グローバルレベルでも通用するカテゴリーのひとつだと思っていました。

 要はマーケット的に百貨店キャリアブランドとZARAの間に位置づくと思いますが、

 百貨店で販売されているキャリア服(原価率20-25%)は・・・モノは良くても高くて買いづらい。

 これに対する価格とクオリティのバランスのアンチテーゼであり、また

 国内100店舗になってすでに大人の女性のワードローブの選択肢のひとつとして認知度が確立されたZARAに関しても・・・

 価格はこなれているけれども、もう少しきちっとしたい、物足りない、

 と考える働く女性のための服は

 飽和状態になったアパレルマーケットにおいて残された・・・

 数少ない?あるいは最後の巨大マーケットのひとつではないかと。

 そこに若くて、今、業界で最も勢いのある同社が取り組むのは大変興味深いなと思いました。


 ところで、1975年にアマンシオ・オルテガさんがZARAを立ち上げた時のコンセプトは・・・

 当時女性の社会進出が急速に進むスペインにおいて・・・

 オフィスで働く女性をいかにこなれた価格でおしゃれになってもらうか?でした。

 そこで独自のSPA手法を用いて百貨店クオリティのリーズナブルプライスを追求したのがZARAの始まりです。

 ZARAの創業当時の思いはグローバル展開する今でも全く変わっていません。

 そして、そんな働く女性に対する愛があるからこそZARAは世界で支持をされ続けている訳です。

 お客様に対する想いを、自らの流通革新の信念で実現する。

 TOKYO BASEの谷社長もそんな信念をお持ちであることを想像しながら、

 これからのチャレンジにも注目して行きたいと思います。

 ちょっと前の記事ですが・・・

 関連エントリー-絶好調TOKYO BASEの決算発表資料を読んで

 関連エントリー-次世代セレクトショップ、STUDIOUS(ステュディオス)の勢いが止まらない

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 世界中の女性をおしゃれにしたい。そんな思いでスペインの西の端の街で創業したオルテガさんは信念を貫き、ZARA(インディテックス)を世界一にした。

 本書を通じて、ZARAのビジネスモデルだけでなく、オルテガさんのファッションビジネスに対する想いを感じ取って頂きたいです。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第20位】↓down(17.7.24現在)


 

|

July 03, 2017

ヤマダ電機がホームファッション市場に参入、流通大手が業界の際を超えてくる

 クリックして人気blogランキングへ

 7月1日の日経新聞に家電量販店最大手のヤマダ電機が30日に開業した家具雑貨店「インテリアリフォームヤマダ」(前橋市)に関する記事が掲載されていました。

 記事の見出しは 「ヤマダ、ニトリに挑戦状」とあるように、

 大手寡占市場で競争が激しく今後の大きな成長が見込めない家電量販市場(7兆円規模)トップのヤマダ電機が

 中小事業者が中心で、最大手のニトリ(年商5129億円;売上シェア15%前後?)が30期連続増収増益でひとり勝ちを続けるホームファッション市場(3兆5000億円)に参入したという話です。

 ちょっと簡易的にネットで調べてみましたが、国内ホームファッション市場のニトリに次ぐ売上上位企業は、

 1300億円規模のコクヨ(ファニチャー部門のみ)
 1000億円規模の無印良品(インテリアカテゴリーのみ)
 767億円のIKEA あたりのようで、

 以下は 年商500億円~100億円規模に大塚家具や島忠(ホームセンター事業除く)などが数社あり、多くが100億円未満といったところでしょうかね。

 ホームファッション市場は家電市場のおおよそ半分の規模ですが・・・

 ヤマダ電機は同社の企業力を動員して中小を駆逐すれば、ホームファッション市場でもニトリに迫るシェアが取れる余地があると踏んだのでしょうか?

 ヤマダ電機の山田会長は 

 「(今後 同業態を)2~3年で100店舗に広げる」と語り、

 一方、ニトリの似鳥会長は

 「切磋琢磨し、互いに客に喜んでもらう商品を出していきたい。大いに結構だ」とコメントを寄せています。

 ちなみに以下が両社の最新業績です。

                  年商      粗利率    営業利益率
ヤマダ 2017年3月期 1兆5630億円  29.1%   3.7%
ニトリ  2017年2月期   5129億円  54.2%   16.7%


 ヤマダの年商はニトリの3倍ですが、営業利益はニトリがヤマダの1.5倍、

 ナショナルブランドの価格競争で粗利率の低い家電業界にいる山田会長にとって、
 
 ホームファッション業界の商品開発をしているニトリの粗利率はとても魅力的に見えることでしょう。
 
 (ちなみに家具業界 大塚家具の粗利率は53%、島忠 家具部門の粗利率は43%)

 もっとも、ニトリはチェーンストアとして、古くから独自に苦労を重ねて商品の自社開発をして来ました。

 (ペガサスクラブのチェーンストアのPB開発理論を自ら行い、自ら磨きあげた「仕様書発注」の本格PB商品開発=SPA型です)

 そして、世界のホームファッションの楽しさを学んで築き上げた「コーディネート」の発想で・・・

 従来は回転率の低かった家具、インテリアの購買頻度を上手く上げて来ました。

 一方、商品開発というより、バイイングパワーやM&Aで拡大して来たヤマダ電機にはそう易々とこの利益率は享受できないでしょうけどね。

 今回の記事を読んで感じたのは、

 今後、飽和市場を主戦場とする大手流通業者が異業種に参入してくることが多くなるだろうなということ。

 特に、粗利率が高く、それほど寡占が進んでいない業界は隣の芝生は青く見え、狙われることでしょう。

 ですから、ホームファッションだけでなく、アパレル業界にも・・・

 資本力を持ち、ローコストオペレーションを得意とするディスカウント型の大手流通企業が参入して来てもおかしくはありません。

 ニトリの実用衣料進出は噂されていますし、大手ドラッグストアの中にも、大手ディスカウントストアの中にもアパレル部門強化の動きをする企業があります。

 逆にアパレル業界だって、なぜか多くの経営者が大好きな?飲食をやるよりも・・・

 コスメ市場に参戦することの方が利益を確保できるように思います。

 これから流通業界は異種格闘技戦の時代。 

 自らの業界しか知らない世間知らずにならないように・・・

 顧客視点でリテールマーケットの視野を広げ、異業種のビジネス構造を研究して、その時に備えるべきでしょう。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 異業種流通業の方へ アパレルビジネスの急所と トレンドファッションとベーシック商品の商品管理の違いを両社のビジネスモデルと使ってわかりやすく解説しました。ご一読頂ければ幸いです。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第23位】↓down(17.7.3現在)


 

|

May 30, 2017

ジーンズカジュアルショップからの脱却

 クリックして人気blogランキングへ

 5月26日の繊研新聞に靴のチヨダグループのジーンズカジュアルチェーン、マックハウスの白土社長のインタビュー記事が掲載されており、

 「ジーンズカジュアルは幻想」という見出しに目が止まり興味深く読ませていただきました。

 以下 気になったフレーズを少し引用、紹介させて頂きます。

 以下引用

 「我々は長年にわたり、『ジーンズカジュアル業界』などという言葉を使ってきましたが、そんな定義はもはや幻想で、ずっと昔に終焉(しゅうえん)を迎えていたんです。」

 (中略)

 「今後は『暮らしに役立つ』をキーワードに、ジーンズカジュアルから実需衣料中心のビジネスモデルに転換します。ジーニングやアメカジ一辺倒のMDからの脱却を図るとともに、強化してきた『ビジカジスタイル』など新たな提案への挑戦を繰り返すことで、客数増による売り上げ拡大を図ります。」

 以上引用

 元記事は繊研新聞の繊研plus マックハウス白土氏“ジーンズカジュアル業界”は幻想

 にも掲載されています。

 正直、この話はもうすでに10年くらい前に誰かが語っていてもおかしくない話のように聞こえます。

 ユニクロの柳井会長は20年前にそう思い行動していたかも知れません。

 しかし、ライトオンと並びいわゆるジーンズカジュアルチェーン大手の一角、「当事者」であるマックハウスの社長さんがそう自覚されて、メディアで発言したことに意味があると思いました。

 白土社長の経歴を拝見すると東京靴流通センターやSHOE PLAZAでおなじみのマックハウスの親会社、チヨダ出身で、4年前にマックハウスの社長に就任されたようです。

 おそらく社長就任後、数年、「ジーンズカジュアル業界」に付き合って来られたと思いますが、同氏は長年その業界にいる方ではないので「客観視」が出来き、ようやくそう公言ができるようになったというところでしょうね。

 ジーンズカジュアルチェーンとは

 リーバイスやエドウィンなどのナショナルブランドジーンズを壁面にドンと在庫を構えて、同時にライセンスブランドのトップスを中心にアメカジテイストのアパレルや雑貨を品揃えする専門店。

 かつては5900円や7900円くらいのエドウィンやリーバイスのジーンズが稼ぎ頭で、あわせて2900円や3900円のライセンスブランドのトップスをお客様に買ってもらい売上を立てるビジネスモデルでした。

 ところが、2000年代のユニクロは自社開発により3900円でナショナルブランド7900円並みのクオリティのジーンズを実現し、その後、H&M、ZARAなども3900円~4900円のジーンズを販売し、おしゃれな3900円のジーンズが一般化。

 GUは990円でジーンズの価格破壊を行い、それまでの「ジーンズはナショナルブランドしか売れない」という「ジーンズカジュアル業界」の神話を崩しました。

 おそらく、この時点が実際のターニングポイントだったんでしょうね。

 その前後のリーバイスの高価格路線の失敗や、本業はうまく行っていたものの金融投資失敗によって伊藤忠に買収されたエドウィン社のガタつきもその後の「業界」の弱体化に拍車をかけたことでしょう。

 最近 ベストセラーになっている「誰がアパレルを殺すのか」を読み終えました。

 前半では主に百貨店および百貨店アパレルがダメになった話が中心ですが、

 その要因として、委託販売(売れ残った在庫はメーカーが何とかしてくれる)や海外著名ブランドのライセンスブランドへの過度な依存が挙げられていますが・・・

 この話は実は百貨店業界だけでなく、実はジーンズカジュアル業界にも一部当てはまる話です。

 つまり、エドウィンのジーンズの委託販売に近い入れ替え制や大衆受けするナショナルブランドのライセンス商品の知名度に過度に依存した結果、ユニクロやグローバルSPAが牽引した2000年代以降のアパレル業界のSPA化やグローバル競合の変化の波に乗り遅れてしまったんだろうなと。

 ところで、マックハウスの親会社の白土社長の出身であるチヨダ、特に「東京靴流通センター」業態はもともと古くから自社開発商品の靴の多い業態です。

 郊外ロードサイド立地で販売効率は決して高くはありませんが、徹底したローコストオペレーションで堅く利益を残すビジネスモデルです(そういう意味では同じ靴チェーン大手でもABCマートとは真逆のビジネスモデル)

 「そちらの世界」から来られた白土社長からすると、ジーンズカジュアル業界の商慣習は「ぬるま湯」に感じられたかも知れません。

 さて、もし、何事も遅すぎることはない、とするならば・・・

 マックハウスが「(旧)ジーンズカジュアルショップ」から脱却してどのように変わるのか? 

 その昔、「ジーンズカジュアル業界」に身を置いていたひとりとして注目していたいと思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 ユニクロはどのようにしてジーンズカジュアルショップから脱却したのか?その変遷についても紐解いています。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第25位】↓down(17.5.30現在)


 

|

April 07, 2017

都心ファッションビルで進む衣料品売場の縮小

 クリックして人気blogランキングへ

 4月3日の繊研新聞の一面に都心部のファッションビル、パルコ、ルミネ、ジョイナス、オーパなどで進む、衣料売場を縮小して雑貨、コスメ、食物販、飲食の業態を充実させる動きに関する記事が掲載されていました。

 一部 「レジ客数は増えたが、平均単価が下がり、館全体の売上は期待ほどは伸びていない」というところもあるようですが、

 記事を読む限り、来店客数が増えて、衣料フロアーにも好影響が出ていると評価しているところが多いように感じました。

 これらの動きは記者の方が書かれているような、衣料品が不振だから、その代わりに非衣料品のフロアを増やしたり、衣料から非衣料にテナントを入れ替えるのではなく、

 より購買頻度が高く、単価も安い(気軽に買える)雑貨やコスメや食のファッション性が高まり、生活者の関心がそういったカテゴリーに広がっていることに対応した結果と言えましょう。

 成熟市場においては、衣料品や靴、バッグなどの服飾雑貨が満たされ、

 ファストファッション化が進んで選択肢が豊富になれば、

 次にヘアスタイル、スキンケア、インナーウエア、アクセサリー、そしてヘルシー志向とともにフィットネス系スポーツやオーガニックな食品に関心が広がるのは必然でしょう。

 これは数年来 欧米ファッションマーケットを見て来て感じていたことですし、

 日本でも先進企業はそういった方向性で事業展開を進めていましたし、

 先月視察した中国の上海都心部でも同じ現象が起こっていました。

 上海では、

・商業施設で飲食フロアーが最上階だけでなく、2層くらい増え、地下はもちろん1階にも広がり

・韓流ブームの影響もあって、ヘアケアやスキンケア商品を扱う業態が増え、

・縮小した衣料フロアの各店はテナント数が減って大型化、低価格化が進んでいるという具合です。

 この変化(数年前との比較)を現地の方々に話したところ、

 衣料品はTモール(タオバオのファッションECモール)など、ネットで買う機会が圧倒的に増えた、

 商業施設に期待しているのは、家族や友人たちと楽しく過ごす場所と時間、そういった意味で飲食フロアーが広がるのは当然、衣料品の購入はそのついでのようなものだ、

 とも言っていました。

 これには納得です。

 先の繊研新聞の記事では「衣料品の再生なしには施設全体の活性化にはつながらない」というコメントがありましたが、果たしてそうでしょうか?

 私は「後戻り」することはないと思いますが・・・

 むしろ、生活者のライフスタイルと興味の変化に関心を持ち、

 衣料品を手がけるファッションストアとて、雑貨、コスメ、ヘアケア、スキンケアなどとの共存や提案のしかたを考えるべき時代なのでしょう。

 次世代の勝ち組はそんなことに取り組んだ企業の中から生まれるはずです。

 3年後のファッションビルの構成が生活者の関心に合わせてどのように変わっているかが楽しみです。

 【お知らせ】

 拙著「ユニクロ対ZARA」の中国語簡体字翻訳版 「如此不同如此成功:优衣库 VS ZARA」が今年の1月に中国本土で出版されました。

 日本語版はこちらです。  
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第23位】↓down(17.4.7現在)


 

|

February 10, 2017

「オンワードHDのオーガニック化粧品ベンチャー買収」のニュースで考えるアパレルビジネスノウハウの異業種活用

 クリックして人気blogランキングへ

 先週2月2日の日経新聞にアパレル大手のオンワードホールディングス(HD)が、米カリフォルニア拠点で日本でオーガニック化粧品(ヘアケア、スキンケア)を販売する米ベンチャー企業を買収し、化粧品分野に参入することに関する記事が掲載されていました。

 ネット記事はこちら
オンワード、VB買収し化粧品参入 自然派商品で顧客開拓


 同社が買収した事業の通販サイトKOKOBUYも主力商品のproductも、ネットで検索したレベルでは、品数も少なく、決して大した規模ではないようですが・・・

 アパレル企業に近年取り扱いが広がる、いわゆる「ライフスタイル提案」ビジネスと言われるカテゴリーの中で、(なぜがアパレルがやりたがる)カフェや家具やインテリア雑貨なんかよりも・・・

 ずっと「ファッション」に親和性があって、地に足がついていると感じていた ヘアケア、スキンケアを中心とした自然派化粧品分野に

 オンワードHDが資本を注入して足を踏み入れることについて、とても興味を持ちました。

 今、商業施設を見渡せば、駅ビルのルミネなどのもっともトラフィックが多く、アクセスの良い場所に売場が広がっているのがオーガニック化粧品ブランドであることは誰もがお気づきのことでしょう。

 私自身も、ジョンマスター、キールズ、マークス&ウェブなどの製品には毎日お世話になっているヘビーユーザーのひとりであります(笑)

 欧米先進市場を見てもわかるように、成熟ファッションマーケットにおける生活者の関心事は、女性に限らず、時代に敏感な男性も含め、

 服→ヘアスタイル→スキンケア

 (アンチエイジングも含みますからジェンダレス&エイジレスの幅広い客層、そして自然派に訴えれば教養層=客単価高につながります)

 と必然的に進むものだと思います。

 業界の好調企業「マッシュスタイルラボ」が スナイデル(トレンドアパレル)、ジェラートピケ(ホームウエア)の成功の後に、

 仕入型ではありますが、コスメキッチン(ヘアケア、スキンケア)に取り組んだ時に、この会社は(顧客目線、マーケットインで)「さすが!わかってる」と唸ったものでした。

 ヘアケア、スキンケアのビジネスは、端(はた)から見れば、原価率が低く、粗利が稼げそう、そして消耗品なので、アパレルよりも購買頻度も高そう・・・それゆえにおいしそうなビジネスに見えます。

 しかしながら、肌に触れるものなので面倒な薬事法が立ちはだかりますから・・・なかなか取り組みづらそうな参入障壁が高いビジネスに感じられます。

 それゆえに、オンワードHDのように潤沢な資本力活かして、ノウハウごと買ってしまうというのが正解なのでしょうね。

 オンワードHDは これまで買収したペットグッズのクリエイティブヨーコも、ダンス用品のチャコットも、ライフスタイル自転車販売のSAKULA(サクラ)も・・・とても目の付け所がよく、

 それぞれの業界の中で、一人勝ちであったり、上手にライフスタイル提案をしている素敵な会社を買収していながら、純投資ビジネスとしては成功しているかも知れませんが・・・

 アパレルのノウハウを熟知した企業が買収した意味や相乗効果を十分に活かし切っているのかどうかは未知数です。

 買収したビジネスから新しいコンテンツ(カテゴリー)をこれまでの既存の顧客さんに提供することも大事ですが・・・

 むしろ、買収によって新たにリーチした客層にいかにアパレルビジネスで培ったノウハウで買収事業に磨きを掛けながら、新しい価値を提供できるか?

 つまり、既存顧客の客単価を上げるだけでなく、新規顧客とリピーターを増やすことができたら買収の本当の意味での相乗効果があるというものでしょう。

 その点、以前もブログで紹介しましたが、

 アメリカのSPA(アパレル製造小売業)の元祖「ザ・リミテッド」の全店閉店と創業者レスリー・ウェクスナー氏から学ぶこと

 アメリカのLブランズはアパレル企業が時代の変化にあわせて、周辺ライフスタイル事業を買収したり、新規事業を立ち上げて、「アパレル企業ならでは」の磨きをかけるノウハウに長けている世界レベルのお手本と言えます。

 同社はアパレル小売業から始まり、サプライチェーンマネジメントを強みとしたSPA(アパレル製造小売業)手法で進化し、GAPより先に、20世紀に年商規模世界一のアパレル専門店に登りつめます。

 その後、21世紀になると、アパレル市場が成熟したと見るや、それまでに買収していたヴィクトリアズシークレット(インナーウエア、ホームウエア)や自ら立ち上げたバス&ボディーワークス(ヘアケア、スキンケア)にアパレルSPAの週次管理や高速サプライチェーンマネジメントのノウハウを注入し、

 従来のインナー業界や化粧品業界の業界常識を超える販売効率や商品回転率や収益率を実現します。

 2007年に出身母体であるアパレル事業をファンドに売却しても、その後、アメリカで

 アパレルだけに頼らない21世紀型のファッションストア企業、世界的にも最も収益力の高いファッションリテイル企業の一社として成功をし続けているわけです。

 アメリカにアパレル出身で、生活者視点で、時代に合わせて事業転換を図って来た世界のお手本となるファッションチェーンモデルがある。 それがLブランズの今の姿だと思います。

 オンワードHD社にとって、今回の買収が売上利益を増やすだけの投資で終わるのか、Lブランズのように、次代に合わせて脱皮して一皮むけるきっかけになるのか?
 
 興味を持って見守りたいと思います。

 【おススメ本】

 ベーシックとトレンドファッション・・・アパレルSPA(製造小売業)の勝ち組のビジネスモデルが1冊で早わかり
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第23位】↓down(17.2.10
現在)


 

|

September 10, 2016

全米で好調を続けるオフプライスストア、TJマックス

 クリックして人気blogランキングへ

 9月9日の日経MJ「米国流通現場を追う」、いつも勉強させていただいている流通コンサルタント、鈴木敏仁さんのTJマックスに関する記事が掲載されており興味深く読ませていただきました。
 
 百貨店のメイシーズが100店舗の閉鎖計画を発表するなど、伝統的なファッション流通企業の業績が下降するアメリカ市場で、増収増益を続けるのがオフプライスストア業態のTJマックスです。

 TJマックスを展開するTJX社のURL

 繊研新聞に毎月アメリカの上場流通企業の既存店売上増減をまとめた記事が掲載されていますが、
その中で常に安定的な増収を続けているのが、

・TJマックスを運営するTJXやROSSといったオフプライスストア
・コストコのようなホールセールクラブ、また、
・ヴィクトリアズシークレットを展開し、ランジェリーやヘルス&ビューティアイテムにフォーカスをするLブランズ

 の3つです。

 オフプライスストアについてはこのブログでも何回か取り上げましたが、

 アメリカのコモディティ衣料需要を支えるオフプライスストア(2013.10.3)

 全米最大の百貨店グループ、メイシーズ (Macy's) がいよいよオフプライスストア業態に参入(2015.5.12)

 簡単に言えば、市場で過剰在庫となった著名ナショナルブランドやスポーツブランドの商品を専門店やメーカーから買い取り、常時ディスカウントで販売することを特徴とするファッションディスカウントチェーンです。

 顧客にとっては、ポロラルフローレン、カルバンクラインなどの著名ブランドのアンダーウエア、ホームウエア、Yシャツなどのデイリーウエアが20―70%OFFのディスカウントプライスで買うことが出来、

 なおかつ郊外ロードサイドのスーパーマーケットやドラッグストア立地にあるので、「(デイリー対応であれば)このアイテムなら、これで十分」という目的買いや掘り出し物目当ての幅広い客層に支持されているわけです。

 その最大手がTJマックスやマーシャルズを展開するTJX社で、世界売上は3兆円を超え、アメリカだけでも年商2兆円規模の巨大チェーンになります。

 記事の中で特に興味深かったのは、

 はっきりとは公表はされていないものの、ラルフローレンの最大の取引先がTJマックスであることが「業界では周知の事実」であると紹介されていたところ。

 いつ行ってもポロラルフローレンの2-3パックのアンダーウエアが$20弱という安価で販売され、なおかつ在庫を切らさずにビシッと揃っているので、やはりそういうことだったのか(専用商品の供給?)、と納得したものでした。

 まあ、これだけ企業規模が大きければ、業界の過剰在庫だけで品揃えを組むことは難しいですものね。

 他にも同業態向けに専売商品を供給している有名ブランドはたくさんあることでしょう。

 また、顧客に低価格で商品を提供することをモットーとするディスカウンターならではの約17%の販売管理費率の低さにはあっぱれですね。

 同社の2015年年次報告書によれば粗利率が28.8%、販売管理費が16.8% で12%の営業利益率をしっかり残しているようです。

 アメリカでは、そんなオフプライスストア各社の拡大や好調を羨み、百貨店のノードストローム(ノードストロームラック)やメイシーズすらも同業態を作って参入している始末⇒ 上記のリンク先で取り上げています。

 ところで、このオフプライスストア業態にまつわる最近の動向の中で、百貨店各社のオフプライス業態への参入とともに、気になっているのが、同業態の都心部への進出です。

 本来はローコストオペレーション故、家賃の安いロードサイドを主戦場としていたはずのディスカウンターやオフプライスストアが、たとえば、ニューヨークのマンハッタンのど真ん中に、TJマックスやマーシャルズやノードストロームラックが出店するなど、都心部への進出が見受けられるようになったことです。

 今後、アメリカで

・移民を含め都市部に人口が密集し、
・外国人観光客も増え、そして、
・都心部にある大型店業態(百貨店、GMS、書店、家電量販店などなど)が業績悪化やアマゾンとの競争で撤退した後に安い家賃で出店できるようになれば・・・

 この傾向は進むのではないかと見ています。

 イギリスでは近年のファッションディスカウンターのプライマーク(世界売上ランク7位)の都心部での拡大がその一例ですし、

 日本でもドンキホーテやしまむらの都心部での拡大傾向にも通じるところがあるのではないでしょうか?

 都心部では安いものは売れないと思う業界関係者はいまだに少なくありません。

 しかし、人口が多ければ多いほど安い商品を望む人、服にお金をかけたくない人の数は郊外よりも圧倒的に多いわけで・・・ディスカウンターは都市部でも歓迎され、家賃が見合う物件が現れれば、十分採算が取れると見ています。

 というわけで、世界的に都心部の競合はますます厳しくなりそうです。

 【おススメ本】

 グローバル時代のファッション流通を考える上で参考にしていただければ参考です。
 ファストファッションの次に来る流通革新(未来予測)についても触れています。

 おかげさまで今でもアマゾン小売ジャンルランキング1位になることもあり、感謝しております。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第2位】↓down(16.9.10現在)


 

|

より以前の記事一覧