August 03, 2020

ファッション小売業のEC化率はどこまで上がるのか?

ファッション流通の専門家としてメディアインタビューを受ける時に、最近よく聞かれる質問のひとつに、
ファッション商品のEC売上比率はどこまで上がるのか?というものがあります。

先日、ECエバンジェリストのZOEさんこと川添隆さんと一緒に登壇させて頂いた

日経サロンの日経特別講座でも話題になりました。

講座のハイライトをご紹介して頂いた noteはこちら

小売業の最先端で何か起きているのか

経済産業省の統計レポートによれば、
2018年度の衣料服飾雑貨などの国内小売市場全体が
13 兆 6790 億円
なのに対して、うち通販売上は
1 兆 7728 億円とのことで
EC化率は12.9 %になります。

このレポートによれば、衣料服飾雑貨はBtoCの通販、物販分野では食品や家電をおさえて、
最も売上規模が大きいカテゴリーに位置付けられています。

さて、この12.9%が今後、どこまで増えるのか?というのが今回のテーマです。

EC普及国、アメリカやイギリスや中国では20-24%くらいという数字を目にしたことはありますし、

ユニクロのファーストリテイリングは長期的にグローバルで30%(2019年8月期は11.6%)を目指し、
ZARAのインディテックスグループも中期的に25%(2020年1月期は14%)になることを予測しています。

先行国の事例や過去からの延長線上でどれだけ伸びるのか、と考えるアプローチもあるかと思いますが、

既述の日経サロンでも話題にしたのですが、

ひとつの視点として、EC化率がすでにかなり高い水準にある海外企業事例、
イギリスのNEXT(ネクスト)のケースから考察してみるのもありでしょう。

NEXTはファストリの柳井会長がユニクロを立ち上げる時に参考にした海外SPAのひとつ
現在、イギリスではプライマークに続き、2番目に大きなアパレル専門店の老舗で、
このブログでも毎年公表している世界アパレル売上高ランキングでは7位にランクインしている大手です。

関連エントリーーアパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

日本でもスポーツのゼビオ社がフランチャイズ展開していますので店舗を見たことがある方もいらっしゃるかと思います。

同社の世界のEC売上比率(主にイギリス国内)は
2020年1月で49.2%あり、営業利益のEC貢献比率は51.7% もあります。
ファイナンス売上を除いて物販売上だけを分母にすると
EC売上比率は 53.6%と過半を占めています。

そして、このEC売上のうち、クリック&コレクト 
つまり、オンラインで注文した商品を店舗で受け取る比率が
約50%と、半分が店舗で受け取られているのです(同社IRレポートより)。

これは、N1dsc02017 毎日、夜12時までにオンラインで注文した商品が、
イギリス国内に展開する約500店舗の中から

顧客が指定した店舗で
翌日の昼過ぎには、送料無料で受け取れるという

顧客にとって利便性が高く、顧客もNEXTも双方、宅配運賃負担がないサービス環境を整えたゆえに
実現した、高いEC売上比率と店舗受け取り比率の高さに他なりません。

NEXTの場合は、オンライン注文品はすべてがオンライン決済ですので約50%がEC売上比率ということになりますが、
仮にオンラインで受取予約をして、店舗で決済するとすると、
単純計算、EC売上比率は差し引き、25%になるかも知れません。

実は、国内ユニクロもオンライン注文の44%が店舗で受け取られ(2019年8月期)
少し前の数字ですが、ZARAもグローバルで66%が店舗で受け取られているという実績があります。

つまり、オンラインで商品を買うと決めても、オンラインで決済するか、店舗で決済するかで
EC売上比率のカウントのしかたも変わってくるわけです。

目先はEC売上を増やせ、という号令に忠実に
宅配を前提としたEC売上を増やすことに集中してもよいかと思いますが、
中長期的には顧客の利便性、経費負担、国内宅配物流環境などなど、大局的な視点で見直すべきかと思います。

関連エントリーーEC拡大時代に理解しておきたい、実店舗販売とEC販売の損益構造の違い

オンラインショッピングが普及して以来、

顧客は
・オンラインで商品を検討し、
・ショップで商品を確かめ
・ショップまたはオンラインで購入する
・同じものであればオンラインでリピート購入する

という行動が当たりまえになりました。コロナ禍でその購買行動は加速したことでしょう。

そうすると、宅配を前提としたEC化率、あるいはEC売上比率はあくまでも計算上の結果、企業側の論理であり、

宅配売上比率を高めるよりも、

いかにオンラインをフル活用して、顧客の新しい購買行動にストレスのない 
OMO(Online merges with Offline)環境を整えるか、 あるいは

ZARAのインディテックスが10年来ビジョンとして掲げ、あと数年で完成する予定のスローガンを借りれば

Fully integrated store and online platform(店舗オンライン完全統合プラットフォーム)

の環境を実現するか?という議論をすべきではないか、ということになります。

まずは、顧客購買行動を起点にビジョン(未来のショッピングシーン)を描き、
そのゴールに向けて環境を整えることに力を尽くしたいですね。

EC化率は、あくまでも、その結果に過ぎません。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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June 29, 2020

この夏のバーゲン期にニューノーマルを考えよう

緊急事態宣言が解けてから1か月

6月の第2週くらいに西東京の駅ビルをいくつか覗く機会があった時、

赤いPOPを多用して思い切った春物の処分に売場を割いているショップもあれば、

これから着ることができる正価商品を前面に打ち出し、
後方で赤、黄色以外のスペシャルプライスPOPを使って春や初夏の値下げ販売をしているショップもあり、

各ブランドそれぞれの事情がある、それが店頭に表れているのが普通の姿
だよね、と思ったのを思い出しました。

毎年、夏のバーゲンの時期は館(商業施設)ごとのスタート時期が話題になりますが、Dsc02059

今年は

混雑を避けるために、商業施設としてセール期間を設けず
7月の1ヶ月は売り方をテナントに任せるという駅ビル

ブランド(テナント)の在庫消化協力のために、
バーゲンを大々的に告知するという百貨店

などなど                                              

考え方はいろいろですが、館(商業施設)の事情ではない、
お客様の安全と入居テナントの在庫事情を鑑みているという点では共通しているようです。

(画像はロンドンオックスフォードストリート2019夏)

筆者は

適品を
気温にあわせて(適時)、
値下げを前提にしない顧客が求めるプライス(適価)で店頭提案する

不人気商品は早期に消化を図って換金(ECでもよし)、売場から一掃し、
できるだけ早く人気商品、新しい商品に入れ換え店頭鮮度を高める
正価のままで売り切り可能な人気商品はバーゲンになっても値下げしない

のが正常で

イベントとしてのバーゲン期間はあってもよいですが、

そんな時にも前面はセール品でも、奥には今からしばらく着ることができるサイズの揃った新作がある

バーゲン以外のいわゆるプロパー期も
旬な新作が前面を飾り、(売場面積に寄りますが)奥には処分コーナーもある

という状態が普通でよいのではないかと思っています。

まあ、百貨店はプロパー期とバーゲン期で掛け率が違うので同じ時期に混在すると面倒なのかも知れませんが、
そんな事情がなければ、

いつ行っても、店頭にいろんなショッピングの楽しみ方があるのがお客様にとっても
ブランド側にとっても自然体かなと思えてなりません。

特に地球温暖化の影響もあって、年間5か月もある夏シーズン(最高気温25度以上の日々)の在り方は
しっかり考え直さなければますます利益が出なくなることに危機感を感じます。

この夏のバーゲンやセールの在り方がイレギュラーではなく
顧客側もブランド側もWINWINとなる
あるべき姿(ニューノーマル)を考える機会になればいいなと思う今日この頃です。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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【参考書籍】

2013年の本ですが、長年の顧客購買行動分析と在庫コントロールの経験とノウハウを有名企業事例を用いてわかりやすくまとめました書籍です。

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

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June 22, 2020

コロナショック後の店舗の役割の変化~固定費をシェアしてフル活用するダークストア併用という生き残り方

6月21日の日経新聞、「料理人『脱店舗』に活路」という見出しで
コロナショックで休業を迫られた飲食店の今後の生き残り策を模索する事例記事が掲載されていました。

記事では、
1軒あたりの固定費を軽くするために
客席を設けず、複数の飲食店が利用できる共同宅配用厨房施設を貸し出すクラウドキッチンの事例や
客席を減らして、厨房を拡張し、移動販売用のキッチンカー向けの仕込みに力を入れる事例などが紹介されていました。

記事には出ていませんでしたが、アメリカでは「ダークキッチン」と言って、
宅配やテイクアウト専門飲食店向けに共同キッチンの賃貸を運営する会社も多数存在していると聞きます。
※ダークというのは、通常の店舗ほど照明が明るい必要がない、作業中心の拠点であることを意味します。

ファッション専門店も、コロナショックで飲食店、宿泊施設と共に大打撃を受けた業種のひとつ

今後も起こりうる疫病ショック時にも耐えうる店舗や施設の在り方について、
これから議論が進むと思いますので、異業種の事例ながら、とても興味深く読ませて頂きました。

そもそも店舗の役割って何でしょう?

店舗の機能を考えられるだけ列挙して、店舗以外に代替えできる機能をそぎ落として行った時、
果たして何が残るか?と考えた時、既述の飲食店で言えば、究極は
シェフが料理を加工する「キッチン」ということになるんでしょうね。

では、ファッションストアでは何でしょう?

・ブランドの世界観を見せる場所?
・商品の現物を確かめる場所?
・思いがけなかった商品に出会う場所?
・スタッフから商品の説明を受け、知識を得る(接客の)場所?
・気に入った服や靴を試着するための場所
・買いたい商品を手に入れる、そこから商品を持ち帰えることができる在庫拠点
などなどと列挙して行きます。

そんなブレストをしたら、いろいろな意見が出ると思いますが(楽しそうです♪)、
筆者は「試着」というキーワードが究極の機能のひとつとして残ると思っています。

もちろん、正解はひとつではないと思いますが・・・
ブランドまたはショップが行きついた究極の機能にまずは絞って、そこに付加価値を肉付けして行くという作業をしたら、

お客様にとっても、店舗スタッフにとっても、そしてそれに合わせて採算を考えて行ったら
理想の店舗の在り方に行くつくかも知れませんね。

100年に一度の疫病ショック、
10年に一度のファッション流通革新の節目が重なった今、

新常識(ニューノーマル)を模索するにあたって、
過去の延長線上の「改善」ではなく、
白紙からグランドデザインを考え直すことも大事ではないかと思った次第です。41cimg0394

実は、先日、これから2-3年間で1200店舗を閉めると発表した 

ZARAを運営するインディテックスグループも
店舗のスクラップ&ビルドを行うことでそんなビジョンを描いているようです。

いつ行っても新商品が入荷していて、トレンディな着こなしのアイデアがもらえて、商品を試着出来て、
店舗からでも、自宅からでもオンラインで購入できるステーション

RFIDの導入と店舗作業(フロント・バック)の分業によって、
店舗のバックヤード在庫もEC販売できるインフラを整えています。 (画像はスペイン・ア・コルニャのZARA;2014年取材時)

これが世界的に完成したら、(以下は筆者の想像です)
今後、今回のようなコロナショックのようなことが起こっても、

世界の店舗から商品情報・在庫情報を発信して、
顧客に最も近い近隣店舗でオンライン注文品を受け付け、店舗から出荷するのでしょうね。
テイクアウト専用に入店せずとも受け取れる受取カウンターを設置してもいいかもです。

普段はVMDが楽しめ、フィッティングが出来る体験店舗が、有事の時にはダークストア(EC専用店舗型倉庫)として機能し、
送料無料、返品無料の施策を打って顧客の自宅をフィッティングルーム代わりにするのでしょう。

普段から試着体験を提供する店舗としての信頼があれば、日頃からも、そして、有事の時でもオンラインからでも顧客の要望、需要をフォロー出来る。

これからのファッションストアの在り方って、そんな姿もありなのではないでしょうか?

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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June 15, 2020

インディテックスグループ(ZARA)既存店の大量スクラップ&ビルドによりEC連動型店舗へのモデルチェンジを加速

6月10日に発表されたZARAのインディテックスグループの2020年度第1四半期決算に目を通しました。
4cimg0441_20200615133601 日経新聞や繊研新聞などの一部の報道では
コロナショックによる店舗休業によるダメージが甚大で売上高前年比45%の減収により、営業利益は大幅減益となり、四半期赤字に転落したと共に

グループ全体で現在世界に7412ある店舗を2022年までに1200店舗閉鎖することが強調され、

この3カ月間で5割伸ばしたECを強化する(現在の年間EC売上比率14%から25%へ)、さすがの世界一のアパレル企業も新型コロナによってデジタルシフトが迫られた、というような論調で書かれていますが・・・

 

それらに抜け落ちている大事な視点を補足をさせて頂くと、

実際は 
・これら1200店舗が役目を終えたZARA以外のブランドの小型店が中心であり、
・閉店の一方で並行して450店舗のEC連動型の大型店を新規出店することで、
結果、
・店舗は全体で600店舗くらい減るものの、売場面積は逆に毎年2.5%増え、既存店売上も4~6%伸ばす計画であること

が同社のオリジナルプレスリリースを読むとわかります。

ですから、同社の場合は、業績不振のアメリカのチェーン店とは違って、閉店数が多いことだけを取り上げて「ヤバいのか?」

悲観することではなく、より健全な状態に向かっていると見るべきでしょう。

これらの施策は、メディアが言うようなコロナショックがあったからの急展開ではなく、もともと同社が2012年あたりから始め、ここ3年で加速していたいわゆるオムニチャネル(OMO)施策の総仕上げに過ぎないんですよね。
同社ではこれを fully integrated store and online platform と呼びます。

実際、過去6年間に
1729店舗を閉店して、
1106店舗を増床し、
2556店舗を改装し、
3671店舗を新規出店しています。

その間は店舗数も売場面積も純増でしたが、
これからは、店舗数は純減も、売場面積の純増は維持し、
よりECを店舗と連動させ、

同社が以前から描いていた
「新しい顧客購買行動のビジョン」に投資を続ける
というだけの話なんです。

今回の赤字には閉店予定店舗の減価償却の積み増しも多く含まれています。
(前期は売上が落ちることを見越して、在庫引当金=評価損の原資を計上しました)

また、大量閉店と言うと、雇用はどうするんだ?という意見もあると思いますが、同社はEC対応する大型店のEC対応要因として受け皿を用意していると言い、雇用に対する配慮も欠かせません。

危機に背中を押されるのではなく、
まずは未来の顧客像やビジネスのビジョンを描き、
顧客は進化して行くにも関わらず、自分たちが変わらないことへの危機感に対し
行動を続けているのがインディテックスグループの姿です。

彼らが今、何を考えているのかを常にウォッチしていれば、
規模にかかわらず、我々も活用できる未来へのヒントが得られます。
なぜなら、彼らが長年観ているのは、競合ではなく、「顧客だけ」ですから。

まだまだその背中から学ぶことはたくさんありそうです。

関連エントリー‐世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

いつもお読み頂きありがとうございます。


 

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June 02, 2020

コロナショック後のファッション流通企業の経営の視点(後編)

コロナショックとの共存とその後を見据えて、
ファッション流通業界の経営がどのような変革に迫られるのか?の後編です。Photo_20200602111801

1.企業の財務体質の見直し 手元資金と固定費
2.在庫の持ち方の基準変更 消化率から在庫週数へ
3.評価基準の変化 売上重視から粗利(生産性)重視へ
4.販売と働き方のデジタルシフト

 

3つめは 評価基準の見直し です。(1,2は前編へ

結論を先に言えば、
誰にもわかりやすかった売上高を基準にするよりも、より利益に直結する粗利や生産性を追求した企業が勝ち残る、という話です。

これまで、ファッション流通業界では
売上高を基準にして、さまざまな費用を売上構成比で評価することが主流でした。

右肩上がりの市場であれば・・・

売上を増やせば、利益も増えますから、それで問題なかったでしょう。

一方、小売業界全般を見渡すと、売上高ではなく、粗利高を分母にして、「分配率」という考え方もあります。

これは例えば、

労働分配率=人件費÷粗利高
販促分配率=広告宣伝費÷粗利高
不動産分配率=地代家賃÷粗利高  などで

稼ぐ粗利高に対してそれぞれの経費をどれだけ分配するかと考えるものです。

実は、分母を売上高から粗利高に変えるだけで、視点が変わり、行動に変化が起きるものです。

例えば、労働分配率に関して言えば、
「労働分配率を一定にする」と定義(予算化)すれば、

粗利高が増えれば、営業利益が増えるのは当然ですが・・・
同時に人件費を増やすことができます。

その分、手間が増えてしまったのなら人の頭数を増やさなければなりませんが、
同じ人員で粗利高を増やせたのなら、賞与を増やす原資になり、

つまり、経営側も働く人もウィンウィンになるわけです。

一方、売上高を分母にしてしまうと、

売上目標を達成するために、安売りを行って、粗利率を下げてでも、何とか売上目標を達成したとした場合
どんなことが起こるでしょうか?

粗利高は未達でも固定費は変わらず、従って営業利益は減ることになりますね。

にもかかわらず、売上目標を達成したために、売上貢献した社員には報奨金(賞与)を支給し、
人件費が増えて更に利益を削る羽目になることもあるわけです。

何が言いたいか、というと、

売上高を目標基準にするよりも、ストレートに粗利高を目標にする方が効率よく
経営も従業員もハッピーになれるか?という話です。

これは、販促費の費用対効果を測る際や

物流費を削るべきか、むしろ粗利高を高めるために使うべきかの判断をする時も有効だと思っています。

店間移動の配送費は、無駄な追加経費(悪)なのか?それによって定価販売のチャンスを広げ、粗利を高める必要経費(良)なのか?

粗利との見合いで考えると物流費の見方も変わって来ますよね。

関連して、「生産性」という言葉がありますが、これは、

期間(年、月、日、時間)あたり、一人当たりの粗利高を指します。

これは、ひとりがどれだけ効率よく粗利高を稼ぐのか?を表す指標です。

販売管理費、固定費の見直しが迫られる今、限られたリソースで、利益の唯一の原資である粗利高を確保する
「生産性」指標は避けては通れない指標になります。

これまで、一部の企業でしか採用されてこなかった

粗利重視、生産性向上の思想が、今後、より注目されるようになりそうです。

 

最後は販売と働き方のデジタルシフトです。

この2か月の間に、多くの方々が体験し、その使い勝手の良さを実感されたように、
Eコマースやオンラインミーティングは「ニューノーマル(新しい常識)」としてより定着することでしょう。

〇 Eコマースの体制を強化して、顧客との接点と選択肢を増やし、

〇 オンラインミーティングシステムを社内外の打ち合わせにフル活用して、出張費・交通費といった経費を節約して、
時間を効率よく使って、生産性を上げる

そして、創出された時間を余裕を持ってオフラインの大切なことに費やす

企業も、働く人もその点にフォーカスすれば・・・
豊かな企業活動、働き方、遊び方、生活が待っているはずです。

コロナショックが、企業の理想のビジョン、そして、より、ありたい自分に向かうように

いつかは取り組もうと思っていたことを、今すぐ進めることの後押ししてくれるきっかけになれば、

この2か月は貴重な2か月だっと結論づけられることと思います。

  執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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June 01, 2020

コロナショック後のファッション流通企業の経営の視点(前編)

約2か月続いた首都圏の緊急事態宣言が解除され、段階的に生活が再開することになりました。
感染第二波に気をつけながら、一日も早い正常化を祈るばかりです。

今回はコロナショックとの共存とその後を見据えて、
ファッション流通業界の経営がどのような変革に迫られるのか?について、いくつかのトピックを綴ってみたいと思います。

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トピックは

1.企業の財務体質の見直し 手元資金と固定費
2.在庫の持ち方の基準変更 消化率から在庫週数へ
3.評価基準の変化 売上重視から粗利(生産性)重視へ
4.販売と働き方のデジタルシフト

の4つです。少し長くなるので、前編と後編の2回に分けてご紹介をさせて頂きますね。

まずは企業の財務体質の見直しから・・・

緊急事態宣言によって、休業店舗が増え、
ファッション流通企業は店頭で売上が計上できなくなり、当面の手元資金の確保が足元の最大経営課題となりました。

店頭販売している小売業は、日銭さえ稼げていれば、ある程度はキャッシュが回せるビジネスなので・・・
意外と、手元資金を潤沢に確保している企業が少ない傾向にあるものです。

一般的な、手元資金の潤沢さを表す財務指標に

手元流動性比率(日数)=手元資金÷1日あたりの売上高

というものもありますが、

日銭商売の小売業にとっては、今回のような場合、売上がゼロだった時に、手元資金で何か月分の販売管理費(固定費)の支払いをがまかなえるか、つまり何ヵ月間耐えられるかを考慮するのが現実的かと思います。

筆者の造語になりますが、

手元資金経費耐久月数=現預金(期末フリーキャッシュフロー)÷1か月あたりの販売管理費(固定費)

とでも言いましょうか?

今回のコロナ禍のように、今後もまた、2~3カ月、店頭売上がなくなることがあるとしたら・・・

果たして、固定費の何か月分の手元資金を持っていたら、

これまで育てて来た大切な人材を手放さず、未来に役立つ資産を守りながら・・・

落ち着いて、未来が考えられるだろうかと、経営陣の方々は痛感されたことと思います。

一時的には借入に頼りながらも
将来的には計画的に税引き後利益(繰り越し利益)を積み上げて手元資金を積み上げて行きたいところです。

ご参考までに、
5月に現代ビジネス(講談社)online向けにワークマンのビジネスモデルと財務体質について寄稿させて頂いた記事があります。

コロナ禍「アパレル壊滅」の中、ワークマンが一人勝ち「真の理由」
強みは商品開発力だけではなかった

記事の6ページ目には、日本の上場ファッション専門店の売上高上位トップ10企業の手元資金の経費耐久月数を計算した一覧表を掲載していますが、ワークマンはその中でもダントツの販売管理費の22カ月分の手元資金を持っている計算になります(2020年3月末時点)。

ちなみにトップ5は

ワークマン 22.3か月分
ファーストリテイリング 16.2か月分
西松屋チェーン 10.6か月分
パルグループ 9.7か月分
しまむら6.8か月分になります。

※いずれも記事を書いた時点で公開されていた直近四半期または期末決算の決算短信を元に計算。

高い収益性による手元資金だけでなくて、必要十分に絞り込まれた販売管理費によるローコストオペレーションも耐久性を強める要素であることは言うまでもありません。

コロナショックを機に、多くの企業さんが販売管理費(の固定費)の見直しも行われたと思いますが、
固定費はただ削りやすいものを減らすのではなく・・・
粗利高を効率的に生み出す固定費とそうでない固定費を見極めて判断する必要があるかと思います。

続いて、ふたつめは在庫の持ち方の基準変更についてです。

3月の後半から4月、5月の店頭売上のほとんどが吹き飛んでしまったアパレル業界では、

いわゆる春と初夏という2つのシーズンの在庫がオンラインや一部の店舗でしか販売できなかったため、
大きな値下げ販売と残在庫に苦しむことになりました。

それは、おおよそ売上2.5か月分に相当する在庫です。

これまでファッション業界では、
特にメーカー系企業を中心に春、夏、秋、冬という
4つのシーズン単位で一度に3カ月~6ヶ月分の商品をつくり込み

それをシーズン中に売り減らして行くという手法が
とられて来ました。

その際、主にメーカー系SPAやメーカー品を取り扱う百貨店やセレクトショップなどでは

仕入れた商品がどれだけ売れたかを表す、

消化率=売上数量(原価)÷仕入数量(原価)x100

が販売進捗、在庫管理手法のメインに用いられて来ましたが、

コロナショックを機に、主に小売業が活用している
在庫日数(週数)管理が、あらためて
仕入れ、在庫管理のスタンダードとして注目されそうです。

在庫日数(週数)=現在在庫数(原価)÷1日(週)あたりの売上数(原価)

つまり、生産リードタイムを考慮して、販売計画を立て
当面(何日分、何週分)必要な商品在庫を調達する。

売上と需要内容に応じて、販売計画を立て直し(※ここ重要)

また何日分、何週分の追加発注を行う、というアクションに活用できる計数で、

ドンと大量に仕入れて売り減らす、のではなく、売上の進捗に応じて買い増すという運用になります。

ファッションビジネス、特にアパレルビジネスはリスクマネジメントビジネスと言われます。

小売業の在庫管理のスタンダードが変われば、商品を供給する作り手側も春夏/秋冬シーズン単位の展示会受注方式から、ますます柔軟な期中対応が求められそうです。

前編はこのあたりで。

次回後編では 評価基準と販売方法、働きかたの変革の話に続きます。

  執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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May 25, 2020

世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

4cimg0441 世界の大手アパレル専門店各社の2019年度の売上高や利益などをまとめる機会ができましたので、毎年恒例になりました売上高のランキングTOP10を共有させていただきます。
 円建て比較にあたり、為替レートは2020年1月末の €=120.3円、スウェーデンクローナ=11.32円、US$=109.06円、英国£=142.87円で換算しています。 

 尚、アメリカのTJXやROSSのようなオフプライスストア、また、昨年まで1年遅れの売上高で掲載していた欧州の非公開大手アパレルチェーンC&Aの売上高が掴めませんでしたので、今回から除外しております。

(右の画像は2014年9月訪問時のインディテックスグループ本社正門)

順位 社名 本社;決算期 売上高 前年増減 営業利益 営業利益率 期末店舗数 基幹業態
1位 インディテックス (西;2020.1期) 3兆4028億円 +8% 5740億円 16.9% 7,469 ZARA
2位 H&M (瑞;2019.11期) 2兆6347億円 +11% 1963億円 7.5% 5,076 H&M
3位 ファーストリテイリング (日;2019.8期) 2兆2905億円 +8% 2576億円 11.2% 3,589 UNIQLO
4位 GAP (米;2020.1期) 1兆7867億円 -1% 626億円 3.5% 3,919 OLD NAVY
5位 Lブランズ (米;2020.1期) 1兆4084億円 -2% 281億円 2.0% 2,920 Victoria's Secret
6位 プライマーク (愛;2019.9期) 1兆1132億円 +4% 1304億円 11.7% 373 Primark
7位 ネクスト (英;2020.1期) 6230億円 +3% 1102億円 17.7% 498 NEXT
8位 アセナリテール (米;2019.7期) 5990億円 -16% -742億円 赤字 3,445 Ann Taylor,Justice
9位 しまむら (日;2020.2期) 5219億円 -4% 229億円 4.4% 2,214 しまむら
10位 アメリカンイーグル (米;2020.1期) 4698億円 +7% 254億円 5.4% 1,095 AEO

                                  

以下、ランキングは昨年と大きく変わりはありませんが、1位から5位及び気になるところにコメントさせて頂きますね。

1位のインディテックスは

安定の増収、二けた増益を達成しました。
約65%の売上シェアを占めるZARAの店舗の世界的なスクラップ&ビルドと世界202か国に販売できるオムニチャネルのプラットフォームは整い、2019年度はこれから数年間の飛躍が見込まれるであろう時期の初年度でしたが、あいにく期末に発生した新型コロナショックの拡大とそれによって見込まれる店舗休業、売上減、過剰在庫増に対応して、2019年度に稼いだ利益から在庫評価損を338億円計上しました。これだけの評価損を計上しても、10%を超える利益を上げるのは同社の収益力から来る余裕に他なりません。

2位のH&Mは

屈辱的な3年連続の減益後、二けた増収増益で歯止めをかけました。しかし、その前年増益の営業利益高も、売上高が半分だった10年前の水準にも及ばず、という状態です。2015年くらいを期に、グローバルでも成熟期に入ってしまったと思われるH&M。
新社長(女性)に変わって、これから、ようやく店舗のスクラップ&ビルドとEC強化が進むことになりそうですが、
欧州と中国の苦戦にどう対処するのか、課題は山積みのようです。

3位のファストリは

3年連続の増収増益を好調の中国事業とGUの復活で成し遂げました。
成熟市場のユニクロ国内事業の既存店は辛くも微増、国内の成長はEC次第となります。

4位のGAPは

減収減益、GAPとバナリパのリストラが続きます。
オールドネイビーの分社化を中止し、オールドネイビー出身の女性新社長に今後を委ねます。
リストラ中に関わらず店舗が増えたのは、オールドネイビーの出店と買収したJanie & Jack(キッズ)の店舗が増えたためです。

5位のLブランズは

ヴィクトリアズシークレット(VS)のリストラと事業売却失敗もあり、減収大幅減益です。
売上の6割を占めるVSは既存店-7%で事業赤字。
一方、ヘルス&ビューティのバス&ボディワークス(BBW)は既存店+10%増、営業利益率23%と絶好調。
今後、BBWの分社化を計画しているようです。

以下、めぼしいところを付け加えますと、

6位のプライマークは

増収増益維持も既存店売上は2年連続の減収中と、規模は拡大中も、陰りが見られます。
ドイツが不調、南欧はまずまずの模様。
店舗の増床、減床を行いながら個店の収益体制を整え、ライフスタイル部門の拡充に力を入れています。ちなみに同社はSNSは活用するが、ECはやらないと宣言しています。

7位のネクストは

採算のよい店舗は増床しながら、店舗を減らし、既存店(店舗)売上は‐5.7%も、ECの12%増が寄与して増収増益。
全体の売上に占めるEC比率はほぼ50%となり、営業利益に関してはECの構成比は52%に。
店舗をスクラップ&ビルドをしながら、ECの利便性を強化するとともに、オンライン注文の店舗受け取りであるクリック&コレクト比率は50%を誇ります。
ECと店舗を活かし、他社の商品も運ぶ、自社インフラを生かした物流プラットフォーム化への取り組みに力を入れている段階です。

今回も、ランキングを作成するにあたって目を通させて頂いた、各社の決算書から学ぶべきことは、
インディテックスとNEXTのように、

顧客購買行動の大転換の時代に・・・

出店だけに頼る成長ではなく、

いかに、既存店をスクラップ&ビルドで、
儲かる店舗、役目を果たせる店舗として残すか?
そして、ECと店舗を融合させ、いかに、
店舗を持っている強味を発揮できるか?

更に、構築したオンラインとオフライン(店舗)、そして物流網を・・・
いかに、更なる顧客購買行動の変化を先取りして、利便性の高いプラットフォームとして磨き上げるか?
ということでしょう。

ユニクロも、しまむらも店舗網を持ち、物流をコントロールできる「プラットフォーマー」としてのビジョンを描くごとができれば、
まだまだ国内での伸び代はありそうです。

さて、来年の2020年度のランキングですが・・・アメリカの大手アパレルチェーンはアメリカンイーグルを除いて、業態の成熟期~衰退期という局面とアマゾン・エフェクトもあり、不振業態の整理(バイアウト)、既存店スクラップの嵐です。
そこに2月以降の世界的なコロナショックがのしかかります。
来年は、ランキングが大きく変わることが予想されます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になるでしょう。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

いつもお読み頂きありがとうございます。


 

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May 19, 2020

ワークマンのビジネスモデルと財務体質の強さ(2020年3月期決算から)

先日、現代ビジネスonlineに寄稿させて頂いた、作業服、作業関連用品チェーン、ワークマンの最新決算(2020年3月期)を反映した記事をご紹介させていただきます。

コロナ禍「アパレル壊滅」の中、ワークマンが一人勝ち「真の理由」~強みは商品開発力だけではなかった

とかく注目される機能性商品やコスパと言った商品軸ではなく、それらのコスパを支えるビジネスモデルや財務体質にフォーカスしました。

持続可能なフランチャイズ(FC)ビジネス、20200515_210147

FCによる人件費の変動費化と物件取得による家賃負担はほぼなしというローコストオペレーションによる低粗利率ながらも高い営業利益率、

生み出された利益を未来への投資に向けるキャッシュフロー経営、

そして、

販売管理費の22カ月分もあるフリーキャッシュフロー(手元資金)を持つ財務体質の強さなどを取り上げました。

 

今、流通企業経営で最も関心が高いのが事業継続のための手元資金でしょう。

記事の最後から2ページ目では、大手上場企業のフリーキャッシュフローの比較をしてみました。

直近決算(通期、四半期)の
キャッシュフロー計算書のフリーキャッシュフロー÷損益計算書の1か月あたり平均販売管理費
を計算したもの。

その中でもワークマンは断トツに「有事耐久性」抜群ですね。

休業が続く、コロナ後の企業活動の中で、フリーキャッシュフローの確保と販売管理費の見直しは業界最大関心事のひとつになることでしょう。

同社のビジネスモデルの早わかり版です。よろしければご一読を。

  執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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May 18, 2020

百貨店アパレル大手、レナウンが民事再生法を申請

東証一部上場の老舗アパレル企業、レナウンが15日に民事再生法を申請し、
そのニュースは、週末から、業界のみならず、経済界を駆け巡りました。

厳密に言うと、同社自身ではなく、債権を持つ、子会社が申請したことや、
中国の親会社の役員による不服申し立ての可能性もあり、
民事再生法適用、スポンサー探しにあたっても、複雑な事情があることが日経新聞に詳しく書かれています。

レナウン経営破綻 社長「不在」、四半世紀の悲劇

かつて、ベストセラーになったビジネス本「誰がアパレルを殺すのか」の主旨は、

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①百貨店アパレルのライセンスビジネス依存と

②商慣習である委託販売(その後、消化仕入)によって、在庫所有権者自身(アパレル)が在庫および損益をコントロールしづらい構造が

90年代以降、百貨店および百貨店アパレルを時代遅れにし、ダメにした、とブログ筆者は読み取りましたが・・・

そのビジネスモデルによって日本一のアパレル企業であった、という過去の成功体験が強すぎて、
最もそこから抜け出せなかったメーカーの一つがレナウン社だったのではないか?と思います。

拙著「アパレル・サバイバル」(2019年2月)でも述べましたが、

90年以降、ファッションビジネスのカギとなる現場は

バイヤーと営業の商談の場(百貨店、量販店時代)から

2000年代には直営店の店頭(SPA、ファストファッション時代)へと移り、

今や、顧客のスマホの中(デジタルシフトの時代)にある

というように、10年単位で顧客行動とビジネスモデルを見直さなければならなかった、
ファッション流通市場が変貌した今となっては、再生はそう簡単ではないでしょう。

ファッション流通のジャーナリストである松下久美さんが今回の報道を受けて書かれている記事

民事再生法を申請したレナウン、30年間のリストラの歴史と、4つのタラレバを考える

の中でブログ筆者が一番、痛かったと思うのは、

最終的には400億円を投じたという、そもそも高額過ぎたアクアスキュータムの買収判断と、それを活かせなかったことですが

当ブログの過去(2013年)にアクセスをたくさん頂いた投稿

世界市場を勝ち抜くには布帛(ふはく)が重要

の中で、

多くのアパレルメーカーさんと80年代から90年代にかけてものづくりのお手伝いをさせて頂いた経験から述べさせて頂いたように、

同じアパレルメーカーと言っても、どんな品種、製造方法、採算の採り方が企業体質の根底にあるのか? 

そんな出自の違い、しみついたDNAもビジネススタイル、財務体質、企業の耐久性に表れるものだと思っています。

コロナショックは、あくまでも弾きがねのひとつに過ぎず・・・

これから、いままで溜まっていたもの、そして、いずれは下さなければならなかったさまざまな結論に覚悟して向かい合うことを各社に迫る時代の幕開けに過ぎないように思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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May 11, 2020

ファッション流通企業の決算書から学ぶ(前編)

2019年4月からWWDジャパンの紙面で月イチ連載している
ファッション流通企業の決算書からビジネスのヒントを読み解く

「ファッション業界のミカタ」

今年に入ってからオンラインでも公開になりました。
ちょうど、12か月、一周りしましたので、まとめページをつくってみました。

筆者はこれまで、長年にわたり、各社のプレスリリース、決算報告、各種メディア記事、店頭定点観測、関係者インタビューなど様々な角度から企業分析を行い、クライアント企業さんはじめ、業界の多く方々が、お客様のために、明日のビジネスを切り開くための、実務のヒントを整理して言語化することを続けて来ました。20200511_133950

本連載は特に、経営者様や経営企画系や新規事業開発系のスタッフの方々のヒントになれば、という思いで続けているものです。
ご興味のあるところをお読みいただければ幸いです。

尚、WWDジャパンを定期購読していらっしゃる方は、ログインすれば、無料でお読みいただけますが、そうでない方は1記事100円の有料記事になっていますので、その点はご理解のほどよろしくお願いいたします。

第1回 
決算書に見る最強SPA「ザラ」

テーマ:営業利益、時系列分析
ファーストリテイリング(ユニクロ)を含む、世界トップ5ファッション専門店企業の過去5年間の営業利益率比較をしながら、ZARAのインディテックスグループの営業利益率が競合の4社と比べて落ちない理由を分析してみました。

ファッション業界のミカタVol.1

第2回
アパレルチェーンの代表的な3つの収益モデル

テーマ:ビジネスモデルと損益計算書(PL)
世界ファッション専門店売上トップ10の10社を3つのタイプに大別して、それぞれの特徴と強みであるはずのビジネスモデルを崩すことのリスクについて述べています。ユニクロはZARAになってはいけませんし、しまむらはユニクロになってはいけないのです。

ファッション業界のミカタVol.2

第3回
事業のライフサイクルと営業利益の関係

テーマ:ブランドのライフサイクルを知って成熟期移行に備える
ユニクロとしまむらの長年の売上、店舗、営業利益データを使って
ライフサイクル、特に成長期から成熟期への移行期の見極め方について解説しました。筆者が過去に関与したコンサルプロジェクトでも何度も行った分析で、この考え方は大方当てはまっており、ひとつの仮説としての確信を得ています。

ファッション業界のミカタVol.3

第4回
中国で考えた2階建て店舗PLのススメ

テーマ:オムニチャネル時代の情報発信地としての店舗の損益の考え方
中国に研修講師に行った際に訪問したアリババの「フーマーフレッシュ」というスーパーで、今、日本で進むオムニチャネル時代の店舗の損益および評価の見直し方法のヒントを得ましたので紹介しています。ECは店舗がなければ売上は伸びないことは世界で実証されています。であれば、独立採算であったはずの、事業損益や店舗とECの関係、評価のしかたを見直さなければいけない時代です。少しでもヒントになれば。

ファッション業界のミカタVol.4

第5回
欧州企業の年次報告書から学ぶこと

テーマ:アニュアルレポートに見る企業姿勢
長年、欧米日の大手アパレル専門店のアニュアルレポートを読んでいて、感じたことをまとめたものです。欧州はサステイナブルを早くから全面に出し、アメリカは株主利益優先。日本は業績やビジネスの取り組みアピールが精いっぱい。という時代が続きましたが、日本もサステイナブル経営待ったなし、という感じです。それらの変化を時系列でとらえてみました。

ファッション業界のミカタVol.5

今回はこの辺で、
第6回目以降は次回に続きます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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