August 07, 2017

ZOZOのスタートトゥデイが大幅増収増益で株式時価総額1兆円を突破 現状の課題と次の手は?

 クリックして人気blogランキングへ

 8月2日の日経新聞や繊研新聞にZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ社の2017年4-6月の今期第1四半期決算に関する記事が掲載されていました。

 同四半期は

 商品取扱高 595億円 40.9%増

 営業利益    79億円 59.3%増

 連結純利益  55億円 54.5%増

と絶好調の業績を受けて 8月1日付の同社株価時価総額が1兆円を突破したとのことです。

 日経の記事によれば、この時価総額は上場小売業ではセブン&アイ、ファストリ、楽天、ニトリ、イオンに次ぐ6位とのこと、

 同社の業績と勢いを株式市場が

 流通業界における時代のリーディングカンパニー

 と評価した結果であり、今後、流通の歴史に記されるであろうニュースになるでしょうね。

 好業績の要因は同社の発表にもありますが、

 - 低価格ブランドの導入とその伸び

 - クーポンによる販売促進

 - ツケ払い制度による低年齢層の会員獲得と買い上げ促進

 などがあるようです。

 あと、「買い替え割」という下取りも既存ユーザーの購買頻度を上げる上で、それなりに購入促進になっているのではないかとお察しします。

 最近のZOZOのサイトを見ると・・・

 ホントに楽天などで活躍して来た、販売管理費が比較的低く、
 
 単価1900円、2900円中心で単品大量販売をするような低価格ブランドが幅を利かせて来ましたよね。

 そして、クーポンの発行の頻度も ものすごい。

 業界では、かつてはルミネ10%オフキャンペーンが市場で最も爆発的な売上が上がる起爆剤でしたが、今ではそれも落ち着いて来て、

 それに代わって、消費者も業界関係者も、関心が「ZOZOのクーポン」に移っているようですね。 

 ブランドがクーポン対象になると、その期間中は売上が5倍以上に伸びると言いますから・・・

 同社の狙い通り

 低年齢層の客層増と
 クーポンによる単価の高い商品の買い上げアップの効果

 があったと思いますが・・・

 一方で、セレクト系など既存ブランドの伸びは落ちて・・・

 売上を伸ばすにはクーポンに依存する体質が生まれ、利益は薄くなる・・・

 モール内も低価格商品で荒れるなど、正直、売上起爆剤をだいぶやり尽くした感も否めません。

 お客様とZOZOにとってはよいかも知れませんが、出店ブランドとの3者のウィン・ウィン・ウィンが成立しているのか?どうか?

 ZOZO依存が進むとスポイルされるブランドも少なからず出てくるのではないか?とちょっと疑問や心配も感じ始めている次第です。


 話は変わりますが、今期中に立ち上げが予定されているZOZOの自社ブランドに業界が注目していますね。

 買収案件や募集人材から業界関係者がいろいろな憶測をしていますが・・・

 私は、前澤社長のことですから、もちろん革新的なものを狙うと思いますが、

 最新技術の話題先行で、すぐに儲かるかどうかわからない奇抜なものではなく、

 顧客ソリューションにつながり、ZOZO自身もすぐに売上利益につながる、

 斬新でも「遊びなし」のものが前提になると見ています。

 そういう意味では聞こえはベタかも知れませんが、

 低価格ベーシック商品をその最有力候補として挙げたいですね。

 簡単に言えば、ZOZOに出店していないユニクロの代替え商品

 同社が展開するファッションコーディネートアプリ「WEAR」を見ればわかるように、

 ユーザーが最もコーディネートに取り入れている=ZOZOで販売しているブランドと相性のよい商品群であり (そこを 指をくわえて見ている経営者はいないでしょう)

 まずブランド品1品を選んだユーザーが運賃無料にするのに手ごろな買い足し商品にもなる価格帯であり

 ベーシックであればまとめ買いも期待できますからね。

 それを物流の混乱が続いているユニクロよりも速く届ける。

 関連エントリー- ベーシック(定番)アイテムの役割

 以前、ファッションを強化するAmazonがアメアパを買収するなんで噂があった時に非常に納得したのを覚えていますが、ファッション最大モールとしてそんなソリューションはありかなと思います。

 もっとも、ユニクロと同じことをしても芸がないので・・・

 例えば、オンデマンドで、極力 製品在庫リスクなし、欠品なし、できるだけ機械化して国内生産で行う、また、アイテムによっては丈詰めなどでパーソナライズするなど

 これらはもちろん、全くの想像に過ぎませんが、そんな流通イノベーション、ソリューションであれば・・・

 これまでのZOZOの商品やサービスを補完できる、極めて合理的で王道のアプローチではないかと思います。

 また、イギリスでは地産地消をキーワードにしたこんな状況も起こっていますのでご参考まで。

 関連エントリー- 英国発 地産地消のウルトラ・ファストファッションの波は日本にもやって来るのか?

 いろいろ想像は尽きませんが、

 流通業界の革新児であるスタートトゥデイ社らしい商品が実際にリリースされるのを楽しみに待ちましょう。

 
 いずれにしても、同社の独走はしばらく続きそうで、目が離せませんね。

 一方で、出店している既存ブランドはZOZOと上手に付き合いながらも・・・

 ZOZO依存体質から抜け出し、自社ECでいかに実店舗との相乗効果を出すか?

 を本気で考えなければならない局面でもあるのではないでしょうか? 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 トレンドとベーシックの商品管理のそれぞれのお手本はZARAとユニクロ。両社の理念とビジネスモデルをわかりやすく解説しました。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第17位】↑up(17.8.7現在)


 

|

July 24, 2017

TOKYO BASEが都心で働く女性に向けた服の新業態「シティ」をSPA方式で本格展開

 クリックして人気blogランキングへ

 7月19日の繊研新聞に「ステュディオス」「ユナイテッドトウキョウ」を展開し、絶好調が続く新興東証一部上場企業TOKYO BASE(トウキョウベース)が、この春に「ステュディオス」の派生業態として大人の女性のための服として立ち上げていたセレクトショップ「ステュディオス・シティ」を「シティ」というブランドでSPA業態に転換するという記事が掲載されており、大変興味深く読ませていただきました。

 記事によれば、「シティ」のコンセプトは

・(都心で)働く女性向けの上質な服を

・海外ラグジュアリーブランドと同水準の生地を用い

・旬のモードトレンドを盛り込んで

・原価率50%のものづくりを行う

・素材は小売価格の20%を基準にする

 というものです。

 私も常日頃から

 都心で働く女性のための上質でコストパフォーマンスのよい服は
 
 ほとんどのアパレル企業がまだまだ攻めきれていない。 日本のみならず、

 新興国において女性の社会進出が進むにつれて、グローバルレベルでも通用するカテゴリーのひとつだと思っていました。

 要はマーケット的に百貨店キャリアブランドとZARAの間に位置づくと思いますが、

 百貨店で販売されているキャリア服(原価率20-25%)は・・・モノは良くても高くて買いづらい。

 これに対する価格とクオリティのバランスのアンチテーゼであり、また

 国内100店舗になってすでに大人の女性のワードローブの選択肢のひとつとして認知度が確立されたZARAに関しても・・・

 価格はこなれているけれども、もう少しきちっとしたい、物足りない、

 と考える働く女性のための服は

 飽和状態になったアパレルマーケットにおいて残された・・・

 数少ない?あるいは最後の巨大マーケットのひとつではないかと。

 そこに若くて、今、業界で最も勢いのある同社が取り組むのは大変興味深いなと思いました。


 ところで、1975年にアマンシオ・オルテガさんがZARAを立ち上げた時のコンセプトは・・・

 当時女性の社会進出が急速に進むスペインにおいて・・・

 オフィスで働く女性をいかにこなれた価格でおしゃれになってもらうか?でした。

 そこで独自のSPA手法を用いて百貨店クオリティのリーズナブルプライスを追求したのがZARAの始まりです。

 ZARAの創業当時の思いはグローバル展開する今でも全く変わっていません。

 そして、そんな働く女性に対する愛があるからこそZARAは世界で支持をされ続けている訳です。

 お客様に対する想いを、自らの流通革新の信念で実現する。

 TOKYO BASEの谷社長もそんな信念をお持ちであることを想像しながら、

 これからのチャレンジにも注目して行きたいと思います。

 ちょっと前の記事ですが・・・

 関連エントリー-絶好調TOKYO BASEの決算発表資料を読んで

 関連エントリー-次世代セレクトショップ、STUDIOUS(ステュディオス)の勢いが止まらない

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 世界中の女性をおしゃれにしたい。そんな思いでスペインの西の端の街で創業したオルテガさんは信念を貫き、ZARA(インディテックス)を世界一にした。

 本書を通じて、ZARAのビジネスモデルだけでなく、オルテガさんのファッションビジネスに対する想いを感じ取って頂きたいです。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第20位】↓down(17.7.24現在)


 

|

July 03, 2017

ヤマダ電機がホームファッション市場に参入、流通大手が業界の際を超えてくる

 クリックして人気blogランキングへ

 7月1日の日経新聞に家電量販店最大手のヤマダ電機が30日に開業した家具雑貨店「インテリアリフォームヤマダ」(前橋市)に関する記事が掲載されていました。

 記事の見出しは 「ヤマダ、ニトリに挑戦状」とあるように、

 大手寡占市場で競争が激しく今後の大きな成長が見込めない家電量販市場(7兆円規模)トップのヤマダ電機が

 中小事業者が中心で、最大手のニトリ(年商5129億円;売上シェア15%前後?)が30期連続増収増益でひとり勝ちを続けるホームファッション市場(3兆5000億円)に参入したという話です。

 ちょっと簡易的にネットで調べてみましたが、国内ホームファッション市場のニトリに次ぐ売上上位企業は、

 1300億円規模のコクヨ(ファニチャー部門のみ)
 1000億円規模の無印良品(インテリアカテゴリーのみ)
 767億円のIKEA あたりのようで、

 以下は 年商500億円~100億円規模に大塚家具や島忠(ホームセンター事業除く)などが数社あり、多くが100億円未満といったところでしょうかね。

 ホームファッション市場は家電市場のおおよそ半分の規模ですが・・・

 ヤマダ電機は同社の企業力を動員して中小を駆逐すれば、ホームファッション市場でもニトリに迫るシェアが取れる余地があると踏んだのでしょうか?

 ヤマダ電機の山田会長は 

 「(今後 同業態を)2~3年で100店舗に広げる」と語り、

 一方、ニトリの似鳥会長は

 「切磋琢磨し、互いに客に喜んでもらう商品を出していきたい。大いに結構だ」とコメントを寄せています。

 ちなみに以下が両社の最新業績です。

                  年商      粗利率    営業利益率
ヤマダ 2017年3月期 1兆5630億円  29.1%   3.7%
ニトリ  2017年2月期   5129億円  54.2%   16.7%


 ヤマダの年商はニトリの3倍ですが、営業利益はニトリがヤマダの1.5倍、

 ナショナルブランドの価格競争で粗利率の低い家電業界にいる山田会長にとって、
 
 ホームファッション業界の商品開発をしているニトリの粗利率はとても魅力的に見えることでしょう。
 
 (ちなみに家具業界 大塚家具の粗利率は53%、島忠 家具部門の粗利率は43%)

 もっとも、ニトリはチェーンストアとして、古くから独自に苦労を重ねて商品の自社開発をして来ました。

 (ペガサスクラブのチェーンストアのPB開発理論を自ら行い、自ら磨きあげた「仕様書発注」の本格PB商品開発=SPA型です)

 そして、世界のホームファッションの楽しさを学んで築き上げた「コーディネート」の発想で・・・

 従来は回転率の低かった家具、インテリアの購買頻度を上手く上げて来ました。

 一方、商品開発というより、バイイングパワーやM&Aで拡大して来たヤマダ電機にはそう易々とこの利益率は享受できないでしょうけどね。

 今回の記事を読んで感じたのは、

 今後、飽和市場を主戦場とする大手流通業者が異業種に参入してくることが多くなるだろうなということ。

 特に、粗利率が高く、それほど寡占が進んでいない業界は隣の芝生は青く見え、狙われることでしょう。

 ですから、ホームファッションだけでなく、アパレル業界にも・・・

 資本力を持ち、ローコストオペレーションを得意とするディスカウント型の大手流通企業が参入して来てもおかしくはありません。

 ニトリの実用衣料進出は噂されていますし、大手ドラッグストアの中にも、大手ディスカウントストアの中にもアパレル部門強化の動きをする企業があります。

 逆にアパレル業界だって、なぜか多くの経営者が大好きな?飲食をやるよりも・・・

 コスメ市場に参戦することの方が利益を確保できるように思います。

 これから流通業界は異種格闘技戦の時代。 

 自らの業界しか知らない世間知らずにならないように・・・

 顧客視点でリテールマーケットの視野を広げ、異業種のビジネス構造を研究して、その時に備えるべきでしょう。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 異業種流通業の方へ アパレルビジネスの急所と トレンドファッションとベーシック商品の商品管理の違いを両社のビジネスモデルと使ってわかりやすく解説しました。ご一読頂ければ幸いです。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第23位】↓down(17.7.3現在)


 

|

May 30, 2017

ジーンズカジュアルショップからの脱却

 クリックして人気blogランキングへ

 5月26日の繊研新聞に靴のチヨダグループのジーンズカジュアルチェーン、マックハウスの白土社長のインタビュー記事が掲載されており、

 「ジーンズカジュアルは幻想」という見出しに目が止まり興味深く読ませていただきました。

 以下 気になったフレーズを少し引用、紹介させて頂きます。

 以下引用

 「我々は長年にわたり、『ジーンズカジュアル業界』などという言葉を使ってきましたが、そんな定義はもはや幻想で、ずっと昔に終焉(しゅうえん)を迎えていたんです。」

 (中略)

 「今後は『暮らしに役立つ』をキーワードに、ジーンズカジュアルから実需衣料中心のビジネスモデルに転換します。ジーニングやアメカジ一辺倒のMDからの脱却を図るとともに、強化してきた『ビジカジスタイル』など新たな提案への挑戦を繰り返すことで、客数増による売り上げ拡大を図ります。」

 以上引用

 元記事は繊研新聞の繊研plus マックハウス白土氏“ジーンズカジュアル業界”は幻想

 にも掲載されています。

 正直、この話はもうすでに10年くらい前に誰かが語っていてもおかしくない話のように聞こえます。

 ユニクロの柳井会長は20年前にそう思い行動していたかも知れません。

 しかし、ライトオンと並びいわゆるジーンズカジュアルチェーン大手の一角、「当事者」であるマックハウスの社長さんがそう自覚されて、メディアで発言したことに意味があると思いました。

 白土社長の経歴を拝見すると東京靴流通センターやSHOE PLAZAでおなじみのマックハウスの親会社、チヨダ出身で、4年前にマックハウスの社長に就任されたようです。

 おそらく社長就任後、数年、「ジーンズカジュアル業界」に付き合って来られたと思いますが、同氏は長年その業界にいる方ではないので「客観視」が出来き、ようやくそう公言ができるようになったというところでしょうね。

 ジーンズカジュアルチェーンとは

 リーバイスやエドウィンなどのナショナルブランドジーンズを壁面にドンと在庫を構えて、同時にライセンスブランドのトップスを中心にアメカジテイストのアパレルや雑貨を品揃えする専門店。

 かつては5900円や7900円くらいのエドウィンやリーバイスのジーンズが稼ぎ頭で、あわせて2900円や3900円のライセンスブランドのトップスをお客様に買ってもらい売上を立てるビジネスモデルでした。

 ところが、2000年代のユニクロは自社開発により3900円でナショナルブランド7900円並みのクオリティのジーンズを実現し、その後、H&M、ZARAなども3900円~4900円のジーンズを販売し、おしゃれな3900円のジーンズが一般化。

 GUは990円でジーンズの価格破壊を行い、それまでの「ジーンズはナショナルブランドしか売れない」という「ジーンズカジュアル業界」の神話を崩しました。

 おそらく、この時点が実際のターニングポイントだったんでしょうね。

 その前後のリーバイスの高価格路線の失敗や、本業はうまく行っていたものの金融投資失敗によって伊藤忠に買収されたエドウィン社のガタつきもその後の「業界」の弱体化に拍車をかけたことでしょう。

 最近 ベストセラーになっている「誰がアパレルを殺すのか」を読み終えました。

 前半では主に百貨店および百貨店アパレルがダメになった話が中心ですが、

 その要因として、委託販売(売れ残った在庫はメーカーが何とかしてくれる)や海外著名ブランドのライセンスブランドへの過度な依存が挙げられていますが・・・

 この話は実は百貨店業界だけでなく、実はジーンズカジュアル業界にも一部当てはまる話です。

 つまり、エドウィンのジーンズの委託販売に近い入れ替え制や大衆受けするナショナルブランドのライセンス商品の知名度に過度に依存した結果、ユニクロやグローバルSPAが牽引した2000年代以降のアパレル業界のSPA化やグローバル競合の変化の波に乗り遅れてしまったんだろうなと。

 ところで、マックハウスの親会社の白土社長の出身であるチヨダ、特に「東京靴流通センター」業態はもともと古くから自社開発商品の靴の多い業態です。

 郊外ロードサイド立地で販売効率は決して高くはありませんが、徹底したローコストオペレーションで堅く利益を残すビジネスモデルです(そういう意味では同じ靴チェーン大手でもABCマートとは真逆のビジネスモデル)

 「そちらの世界」から来られた白土社長からすると、ジーンズカジュアル業界の商慣習は「ぬるま湯」に感じられたかも知れません。

 さて、もし、何事も遅すぎることはない、とするならば・・・

 マックハウスが「(旧)ジーンズカジュアルショップ」から脱却してどのように変わるのか? 

 その昔、「ジーンズカジュアル業界」に身を置いていたひとりとして注目していたいと思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 ユニクロはどのようにしてジーンズカジュアルショップから脱却したのか?その変遷についても紐解いています。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第25位】↓down(17.5.30現在)


 

|

April 07, 2017

都心ファッションビルで進む衣料品売場の縮小

 クリックして人気blogランキングへ

 4月3日の繊研新聞の一面に都心部のファッションビル、パルコ、ルミネ、ジョイナス、オーパなどで進む、衣料売場を縮小して雑貨、コスメ、食物販、飲食の業態を充実させる動きに関する記事が掲載されていました。

 一部 「レジ客数は増えたが、平均単価が下がり、館全体の売上は期待ほどは伸びていない」というところもあるようですが、

 記事を読む限り、来店客数が増えて、衣料フロアーにも好影響が出ていると評価しているところが多いように感じました。

 これらの動きは記者の方が書かれているような、衣料品が不振だから、その代わりに非衣料品のフロアを増やしたり、衣料から非衣料にテナントを入れ替えるのではなく、

 より購買頻度が高く、単価も安い(気軽に買える)雑貨やコスメや食のファッション性が高まり、生活者の関心がそういったカテゴリーに広がっていることに対応した結果と言えましょう。

 成熟市場においては、衣料品や靴、バッグなどの服飾雑貨が満たされ、

 ファストファッション化が進んで選択肢が豊富になれば、

 次にヘアスタイル、スキンケア、インナーウエア、アクセサリー、そしてヘルシー志向とともにフィットネス系スポーツやオーガニックな食品に関心が広がるのは必然でしょう。

 これは数年来 欧米ファッションマーケットを見て来て感じていたことですし、

 日本でも先進企業はそういった方向性で事業展開を進めていましたし、

 先月視察した中国の上海都心部でも同じ現象が起こっていました。

 上海では、

・商業施設で飲食フロアーが最上階だけでなく、2層くらい増え、地下はもちろん1階にも広がり

・韓流ブームの影響もあって、ヘアケアやスキンケア商品を扱う業態が増え、

・縮小した衣料フロアの各店はテナント数が減って大型化、低価格化が進んでいるという具合です。

 この変化(数年前との比較)を現地の方々に話したところ、

 衣料品はTモール(タオバオのファッションECモール)など、ネットで買う機会が圧倒的に増えた、

 商業施設に期待しているのは、家族や友人たちと楽しく過ごす場所と時間、そういった意味で飲食フロアーが広がるのは当然、衣料品の購入はそのついでのようなものだ、

 とも言っていました。

 これには納得です。

 先の繊研新聞の記事では「衣料品の再生なしには施設全体の活性化にはつながらない」というコメントがありましたが、果たしてそうでしょうか?

 私は「後戻り」することはないと思いますが・・・

 むしろ、生活者のライフスタイルと興味の変化に関心を持ち、

 衣料品を手がけるファッションストアとて、雑貨、コスメ、ヘアケア、スキンケアなどとの共存や提案のしかたを考えるべき時代なのでしょう。

 次世代の勝ち組はそんなことに取り組んだ企業の中から生まれるはずです。

 3年後のファッションビルの構成が生活者の関心に合わせてどのように変わっているかが楽しみです。

 【お知らせ】

 拙著「ユニクロ対ZARA」の中国語簡体字翻訳版 「如此不同如此成功:优衣库 VS ZARA」が今年の1月に中国本土で出版されました。

 日本語版はこちらです。  
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第23位】↓down(17.4.7現在)


 

|

February 10, 2017

「オンワードHDのオーガニック化粧品ベンチャー買収」のニュースで考えるアパレルビジネスノウハウの異業種活用

 クリックして人気blogランキングへ

 先週2月2日の日経新聞にアパレル大手のオンワードホールディングス(HD)が、米カリフォルニア拠点で日本でオーガニック化粧品(ヘアケア、スキンケア)を販売する米ベンチャー企業を買収し、化粧品分野に参入することに関する記事が掲載されていました。

 ネット記事はこちら
オンワード、VB買収し化粧品参入 自然派商品で顧客開拓


 同社が買収した事業の通販サイトKOKOBUYも主力商品のproductも、ネットで検索したレベルでは、品数も少なく、決して大した規模ではないようですが・・・

 アパレル企業に近年取り扱いが広がる、いわゆる「ライフスタイル提案」ビジネスと言われるカテゴリーの中で、(なぜがアパレルがやりたがる)カフェや家具やインテリア雑貨なんかよりも・・・

 ずっと「ファッション」に親和性があって、地に足がついていると感じていた ヘアケア、スキンケアを中心とした自然派化粧品分野に

 オンワードHDが資本を注入して足を踏み入れることについて、とても興味を持ちました。

 今、商業施設を見渡せば、駅ビルのルミネなどのもっともトラフィックが多く、アクセスの良い場所に売場が広がっているのがオーガニック化粧品ブランドであることは誰もがお気づきのことでしょう。

 私自身も、ジョンマスター、キールズ、マークス&ウェブなどの製品には毎日お世話になっているヘビーユーザーのひとりであります(笑)

 欧米先進市場を見てもわかるように、成熟ファッションマーケットにおける生活者の関心事は、女性に限らず、時代に敏感な男性も含め、

 服→ヘアスタイル→スキンケア

 (アンチエイジングも含みますからジェンダレス&エイジレスの幅広い客層、そして自然派に訴えれば教養層=客単価高につながります)

 と必然的に進むものだと思います。

 業界の好調企業「マッシュスタイルラボ」が スナイデル(トレンドアパレル)、ジェラートピケ(ホームウエア)の成功の後に、

 仕入型ではありますが、コスメキッチン(ヘアケア、スキンケア)に取り組んだ時に、この会社は(顧客目線、マーケットインで)「さすが!わかってる」と唸ったものでした。

 ヘアケア、スキンケアのビジネスは、端(はた)から見れば、原価率が低く、粗利が稼げそう、そして消耗品なので、アパレルよりも購買頻度も高そう・・・それゆえにおいしそうなビジネスに見えます。

 しかしながら、肌に触れるものなので面倒な薬事法が立ちはだかりますから・・・なかなか取り組みづらそうな参入障壁が高いビジネスに感じられます。

 それゆえに、オンワードHDのように潤沢な資本力活かして、ノウハウごと買ってしまうというのが正解なのでしょうね。

 オンワードHDは これまで買収したペットグッズのクリエイティブヨーコも、ダンス用品のチャコットも、ライフスタイル自転車販売のSAKULA(サクラ)も・・・とても目の付け所がよく、

 それぞれの業界の中で、一人勝ちであったり、上手にライフスタイル提案をしている素敵な会社を買収していながら、純投資ビジネスとしては成功しているかも知れませんが・・・

 アパレルのノウハウを熟知した企業が買収した意味や相乗効果を十分に活かし切っているのかどうかは未知数です。

 買収したビジネスから新しいコンテンツ(カテゴリー)をこれまでの既存の顧客さんに提供することも大事ですが・・・

 むしろ、買収によって新たにリーチした客層にいかにアパレルビジネスで培ったノウハウで買収事業に磨きを掛けながら、新しい価値を提供できるか?

 つまり、既存顧客の客単価を上げるだけでなく、新規顧客とリピーターを増やすことができたら買収の本当の意味での相乗効果があるというものでしょう。

 その点、以前もブログで紹介しましたが、

 アメリカのSPA(アパレル製造小売業)の元祖「ザ・リミテッド」の全店閉店と創業者レスリー・ウェクスナー氏から学ぶこと

 アメリカのLブランズはアパレル企業が時代の変化にあわせて、周辺ライフスタイル事業を買収したり、新規事業を立ち上げて、「アパレル企業ならでは」の磨きをかけるノウハウに長けている世界レベルのお手本と言えます。

 同社はアパレル小売業から始まり、サプライチェーンマネジメントを強みとしたSPA(アパレル製造小売業)手法で進化し、GAPより先に、20世紀に年商規模世界一のアパレル専門店に登りつめます。

 その後、21世紀になると、アパレル市場が成熟したと見るや、それまでに買収していたヴィクトリアズシークレット(インナーウエア、ホームウエア)や自ら立ち上げたバス&ボディーワークス(ヘアケア、スキンケア)にアパレルSPAの週次管理や高速サプライチェーンマネジメントのノウハウを注入し、

 従来のインナー業界や化粧品業界の業界常識を超える販売効率や商品回転率や収益率を実現します。

 2007年に出身母体であるアパレル事業をファンドに売却しても、その後、アメリカで

 アパレルだけに頼らない21世紀型のファッションストア企業、世界的にも最も収益力の高いファッションリテイル企業の一社として成功をし続けているわけです。

 アメリカにアパレル出身で、生活者視点で、時代に合わせて事業転換を図って来た世界のお手本となるファッションチェーンモデルがある。 それがLブランズの今の姿だと思います。

 オンワードHD社にとって、今回の買収が売上利益を増やすだけの投資で終わるのか、Lブランズのように、次代に合わせて脱皮して一皮むけるきっかけになるのか?
 
 興味を持って見守りたいと思います。

 【おススメ本】

 ベーシックとトレンドファッション・・・アパレルSPA(製造小売業)の勝ち組のビジネスモデルが1冊で早わかり
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第23位】↓down(17.2.10
現在)


 

|

September 10, 2016

全米で好調を続けるオフプライスストア、TJマックス

 クリックして人気blogランキングへ

 9月9日の日経MJ「米国流通現場を追う」、いつも勉強させていただいている流通コンサルタント、鈴木敏仁さんのTJマックスに関する記事が掲載されており興味深く読ませていただきました。
 
 百貨店のメイシーズが100店舗の閉鎖計画を発表するなど、伝統的なファッション流通企業の業績が下降するアメリカ市場で、増収増益を続けるのがオフプライスストア業態のTJマックスです。

 TJマックスを展開するTJX社のURL

 繊研新聞に毎月アメリカの上場流通企業の既存店売上増減をまとめた記事が掲載されていますが、
その中で常に安定的な増収を続けているのが、

・TJマックスを運営するTJXやROSSといったオフプライスストア
・コストコのようなホールセールクラブ、また、
・ヴィクトリアズシークレットを展開し、ランジェリーやヘルス&ビューティアイテムにフォーカスをするLブランズ

 の3つです。

 オフプライスストアについてはこのブログでも何回か取り上げましたが、

 アメリカのコモディティ衣料需要を支えるオフプライスストア(2013.10.3)

 全米最大の百貨店グループ、メイシーズ (Macy's) がいよいよオフプライスストア業態に参入(2015.5.12)

 簡単に言えば、市場で過剰在庫となった著名ナショナルブランドやスポーツブランドの商品を専門店やメーカーから買い取り、常時ディスカウントで販売することを特徴とするファッションディスカウントチェーンです。

 顧客にとっては、ポロラルフローレン、カルバンクラインなどの著名ブランドのアンダーウエア、ホームウエア、Yシャツなどのデイリーウエアが20―70%OFFのディスカウントプライスで買うことが出来、

 なおかつ郊外ロードサイドのスーパーマーケットやドラッグストア立地にあるので、「(デイリー対応であれば)このアイテムなら、これで十分」という目的買いや掘り出し物目当ての幅広い客層に支持されているわけです。

 その最大手がTJマックスやマーシャルズを展開するTJX社で、世界売上は3兆円を超え、アメリカだけでも年商2兆円規模の巨大チェーンになります。

 記事の中で特に興味深かったのは、

 はっきりとは公表はされていないものの、ラルフローレンの最大の取引先がTJマックスであることが「業界では周知の事実」であると紹介されていたところ。

 いつ行ってもポロラルフローレンの2-3パックのアンダーウエアが$20弱という安価で販売され、なおかつ在庫を切らさずにビシッと揃っているので、やはりそういうことだったのか(専用商品の供給?)、と納得したものでした。

 まあ、これだけ企業規模が大きければ、業界の過剰在庫だけで品揃えを組むことは難しいですものね。

 他にも同業態向けに専売商品を供給している有名ブランドはたくさんあることでしょう。

 また、顧客に低価格で商品を提供することをモットーとするディスカウンターならではの約17%の販売管理費率の低さにはあっぱれですね。

 同社の2015年年次報告書によれば粗利率が28.8%、販売管理費が16.8% で12%の営業利益率をしっかり残しているようです。

 アメリカでは、そんなオフプライスストア各社の拡大や好調を羨み、百貨店のノードストローム(ノードストロームラック)やメイシーズすらも同業態を作って参入している始末⇒ 上記のリンク先で取り上げています。

 ところで、このオフプライスストア業態にまつわる最近の動向の中で、百貨店各社のオフプライス業態への参入とともに、気になっているのが、同業態の都心部への進出です。

 本来はローコストオペレーション故、家賃の安いロードサイドを主戦場としていたはずのディスカウンターやオフプライスストアが、たとえば、ニューヨークのマンハッタンのど真ん中に、TJマックスやマーシャルズやノードストロームラックが出店するなど、都心部への進出が見受けられるようになったことです。

 今後、アメリカで

・移民を含め都市部に人口が密集し、
・外国人観光客も増え、そして、
・都心部にある大型店業態(百貨店、GMS、書店、家電量販店などなど)が業績悪化やアマゾンとの競争で撤退した後に安い家賃で出店できるようになれば・・・

 この傾向は進むのではないかと見ています。

 イギリスでは近年のファッションディスカウンターのプライマーク(世界売上ランク7位)の都心部での拡大がその一例ですし、

 日本でもドンキホーテやしまむらの都心部での拡大傾向にも通じるところがあるのではないでしょうか?

 都心部では安いものは売れないと思う業界関係者はいまだに少なくありません。

 しかし、人口が多ければ多いほど安い商品を望む人、服にお金をかけたくない人の数は郊外よりも圧倒的に多いわけで・・・ディスカウンターは都市部でも歓迎され、家賃が見合う物件が現れれば、十分採算が取れると見ています。

 というわけで、世界的に都心部の競合はますます厳しくなりそうです。

 【おススメ本】

 グローバル時代のファッション流通を考える上で参考にしていただければ参考です。
 ファストファッションの次に来る流通革新(未来予測)についても触れています。

 おかげさまで今でもアマゾン小売ジャンルランキング1位になることもあり、感謝しております。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第2位】↓down(16.9.10現在)


 

|

June 29, 2016

世界アパレル専門店売上ランキング2015 トップ10

 クリックして人気blogランキングへ

 世界の大手アパレル専門店各社の2015年の売上高や利益などをまとめる機会ができましたので、毎年恒例になりました売上高のランキングTOP10を共有させていただきます。

 円建て比較にあたり、為替レートは2016年1月末の €=131.2円、スウェーデンクローナ=14.1円、US$=121円、英国£=172.4円で換算しています。
 
 尚、6位のC&Aのみ2015年決算が入手できませんでしたので Deloitte Global Powers of Retailing2016と2015を参考にした2014年度の売上高を表示しています。


ランキング          売上高   前年比  営業  期末  基幹業態
                              利益率 店舗数  とシェア
1位-Inditex        2兆7,420億円 +15%  17.6% 7,013  ZARA
 (西インディテックス;16.01期)                          65%

2位-H&M         2兆5,501億円 +19%  14.9% 3,924  H&M
 (瑞エッチアンドエム;15.11期)                         95 %超
  
3位-Gap          1兆9,114億円  -4%  9.6%  3,721  Old Navy 
 (米ギャップ;16.01期)                              42%
                                           Gap 
                                            36%  
4位-Fast Retailing    1兆6,817億円 +22%  9.8%  2,978  Uniqlo  
 (日ファーストリテイリング;15.08期)                         82%   

5位- L Brands      1兆4,706億円  +6%  18%   2,978  Victoria's 
 (米エルブランズ=リミテッド;16.01期)                      Secret
                                            63% 
6位-C&A Europe     1兆1,125億円  -6%   n/a   1,575  C&A
 (独シーアンドエー;14年度)                            100%
         
7位-Primark         9,218億円   +8% 12.6%   293  Primark
 (愛プライマーク;15.09期)                            100%

8位-Next           7,152億円   +3%  20.5%   540  NEXT 
 (英ネクスト;16.01期)                               97%

9位-Ascena retail      5,811億円   +0%  -4.9%  3,895  Justice
 (米アセナ;15.7期)                                 27%
                                          LaneBryant   
                                     23%              
10位-Shimamura       5,460億円   +7%   7.3%  2,015  しまむら
 (日しまむら;16.2期)                              81% 
                                                                     

備考-米TJMaxx、Ross のオフプライスストア2社は売上規模はトップ10に入る規模ですが、メーカーや専門店が放出した過剰在庫を販売する二次流通マーケットのため除外しました。また、中国で拡大を続け、売上規模では9位あたりに位置すると目されるE.LandWorld(韓国)は売上規模以外の実態が掴めないため除外しました。

以下 解説です。

 1位のインディテックスグループは基幹ブランドZARAほか8ブランドを中心に中国、メキシコ、ロシアなどの新興国を中心に分散出店を行い、グローバルレベルの既存店も8.5%増と好調で二桁の増収増益を果しました。

 2位のH&Mは19%の増収も5%の微増益に終わりました。同社は当期もアメリカ、中国への集中出店で引き続き売上の大幅拡大を果しましたが、利益が伸びなかった要因としては、商品調達をドル建てで行っていることによる商品コストの増加、世界的な温暖な気温にともなう秋ものの値下げ増による粗利率の低下を挙げています。

 3位のGAPは米国内の不採算店舗の大量整理により減収減益。既存店もマイナス4%とまだトンネルの出口が見えないですね。 今期はアメリカのリストラを進め、日本のOLD NAVYを全店閉鎖し、中国に集中すると言いますが、果たしてどうなるでしょうか・・・

 一方、4位のファーストリテイリングは国内ユニクロ事業の堅調に加え、海外ユニクロ事業の中でも中国事業の好調、グローバルブランド事業の中のジーユーの好調が加わり増収増益に寄与。

 次年度のランキングでは同社がリストラが続くGAPを抜いて3位に浮上する可能性も高いです。 

 5位のLブランズは基幹ブランドであるヴィクトリアズシークレットを中心に店舗の大型化と既存店の5%増収で好業績を維持。

 6位以下では、二桁の増収増益を続けていたプライマークの減速(前期までは前年比二桁増収)、

 EC(ダイレクトビジネス)の構成比が上がって(同期NEXTブランドにおける売上高構成比41%、営業利益構成比50%)、収益率が高まるネクストが特筆されますね。

 プライマークは昨年の夏にロンドンで視察をしましたが、バングラデシュでの悲劇の反省を受けてか、原産国をルーマニアやベトナムにシフトしていたのが印象的でした。

 今回のランキングでは、

 高い営業利益率を上げているインディテックス、Lブランズ、ネクストの3社とそれ以外の企業に明暗が分かれた結果になったように思います。

 ドル建てでアジアを中心に商品調達をするH&M、GAP、ファーストリテイリング、プライマークなどは今後も商品原価の高騰や為替変動のリスクや主要マーケットでの天候の影響を免れることはないでしょう。

 これに対して、インディテックスは原価が高くても本社近くスペイン近隣で小ロット短サイクルで商品を調達して在庫リスクを軽減しながら値下を抑える手法に磨きをかけています。また、88か国に出店するグローバルビジネスであることは、為替リスクの分散にもつながります。

 Lブランズはアメリカがファストファッションの洗礼を受け続ける約10年前に、アパレル(外衣)よりもインナーウエアやヘルスアンドボディケアといったビューティ部門に事業ドメインを切り替えて以来、アメリカ市場でのひとり勝ちが続きます。

 ネクストは実店舗の出店よりもカタログおよびインターネットによる通販比率を高めて(41%)、高い営業利益率を維持しています。

 ◎ 商品原価を下げるより在庫コントロールによって適正価格の実現
 ◎ アパレル一辺倒からビューティ部門の強化
 ◎ ECビジネスの拡大

 この3つがポストファストファッション時代のグロ―バルビジネスの成功のカギと言えそうです。
 
 【おススメ本】

 アパレルビジネスの特性も・・・世界のファッション流通マーケットも・・・ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAを比較すれば よりわかりやすくなる!

 台湾・香港での中国語(繁体字)版も好評発売中。今年は韓国、中国本土(簡体字)の訳本も出版されます。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第1位】→stay(16.6.29現在)


 

|

March 05, 2016

ファッション消費市場に新しい巨大販路の台頭―フリマアプリ「メルカリ」に三井物産などが84億円を出資

 クリックして人気blogランキングへ

 繊研新聞の一面、2月22日~3月2日の間に連載されていた「私が服を買う理由」(全6話連載)は2児のママから男子大学生まで、身の丈に合った現代の消費者のリアルなファッション消費の実態と本音がつづられており、とても楽しく読ませていただきました。

 全6話の中でこれからのファッション消費、ファッションマーケットに最も影響を及ぼすのは第1話の「また売ればいい」の見出しで紹介されていた2児のママの話=フリマアプリ「メルカリ」を活用して服の売買を楽しむ新しいファッション消費のカタチでしょう。

 記事では子育ての片手間、着なくなった服を次々にメルカリにアップし、月に8万円売り上げる月もあるという主婦を紹介。 

 メルカリでは売るだけではなく、懐かしいブランドやアイテムを見つけては、購入もし、届いた商品が例え失敗だったとしても、

 「また売ればいい」

 という感覚で楽しむ彼女の行為はサイドビジネスというより、目に見えぬ相手とのコミュニケーション、ゲームを楽しんでいるという感覚と感じ取れました。

 私がフリマアプリに関心を持ち、注目し始めたのは2年前。 

 年に1回、明治大学や青山学院大学などの大学で「ファッションビジネス論」(IFI大学講座)に登壇し、SPA(アパレル製販垂直統合小売業)のビジネスモデルやファストファッションの革新性や功罪について講義をさせて頂いていますが・・・

 聴講した学生さんたちからの講義レポートに「フリマアプリ」に関する記述が多数現れ始めたころです。

 講義ではファストファッションの弊害のひとつとしてファッショントレンドの陳腐化を加速する点を挙げ、使い捨てられるファッション商品の行き場を考える社会問題の解決も必要という問題提起に対して、

 複数の学生さんがフリマアプリの活用を当たり前のように書かれていたのがきっかけでした。

 早速、私もメルカリをダウンロードして・・・実際に出品まではしていませんが、そのインスタグラムを上げるのとさほど変わらないくらいの手軽さと・・・画像の精度は正直素人っぽいものばかりではありますが、未来の消費の可能性を想像しながら、関心をもって動向を見守っていると・・・

 まもなく、日本最大のファッションECサイト、「ZOZOTOWN」のスタートトゥデイも「ZOZOフリマ」でフリマアプリ市場に参入を表明した時に・・・

 新しい巨大な潜在マーケットの出現を感じたものでした。

 そして、先日3月3日付けの日経新聞によれば 三井物産はじめ複数の投資ファンドなど計6社がその「メルカリ」の合計84億円規模の第三者割当増資の引き受けに応じたとのことです。

 同紙記事などによれば、フリマアプリ「メルカリ」は13年2月創業以来、日米合計で3200万件(国内2500万、米国700万ダウンロードされ、月間の流通額はすでに国内だけでも100億円超に上るとのこと。

 これにはびっくり、ダウンロード件数が国内だけで2000万件になったことにも驚いていましたが・・・

 メルカリが3年間で同社だけですでに年間1200億円規模の市場統計には表れない巨大CtoCビジネスの担い手になっていたとは・・・

 またメルカリの販売手数料は10%ですから・・・手数料収益は年間120億円規模ということになりますね(その他に少額換金手数料なども収益対象でしょう)。

 1社で年商1200億円規模となると・・・日本のアパレル専門店の年商トップ10に入る規模ですからね。 

 昨年、ファーストリテイリングの低価格業態、GU(ジーユー)が気が付いたら年商1400億円規模になっていたことにも驚きましたが・・・ 

 また一方で、リアル店舗を持たない、しかも通販市場などとも違って、市場統計にも表れない新たな巨大販路が登場したことに・・・

 ファッション消費のこれまでの常識、見かたを現実にあわせて変えなければならない時が来た、とちょっと衝撃を受けながら考えているところです。

 すでに日本のアパレル小売市場規模(約9兆円)の1%を突破し、これからもますます流通量が増え続けるであろう「メルカリ」とあわせて、

 フリマアプリ後発参入ではありますが、スタートトゥデイの先を見据えた布石にも注目すべきでしょう。

 同社は 

 スタイル投稿アプリ「WEAR」でコーディネートに合う欲しい商品を見つけ→
 
 ネット通販「ZOZOTOWN」で買い→ 

 着なくなったら・・・ いいブランドは「ZOZOUSED(クラウンジュエル)」に買ってもらい、

 あるいはSNS感覚で気軽に「ZOZOフリマ」で個人に売る

 という スマホを使いこなす現代人の新しいファッション消費ライフスタイルの

 「入口から出口まで」のインフラをいよいよ自己完結させたわけですからね。

 これからさまざまな相乗効果が見込めることは間違いなさそうです。

 「メルカリ」と「ZOZOフリマ」 同じフリマアプリでも そのアプローチは違っており、

 それぞれが ファッションEC拡大の次のファッション流通革新の芽になることは間違いと見ています。

 スマホというモバイルデバイスを手にした生活者を取り巻くファッション消費マーケットは・・・

 業界関係者の想像以上に急速に移り変わっています。

 【おススメ本】

 これまでのファッション流通革新の担い手のビジネスモデルを知り、次に来る流通革新を考えるヒントになれば幸いです。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 


いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第2
位】→stay(16.3.5現在)


 

|

January 27, 2016

単なるベーシック回帰ではない、ベーシック+デザイン=ミニマリズムの大衆化の時代

 クリックして人気blogランキングへ

 1月26日の日経新聞 「GLOBAL EYE」に工業デザイナーの深沢直人氏の記事が掲載されておりとても興味深く読ませていただきました。

 同氏はアメリカのパソコンのマウスをデザインして知名度を高めたデザインコンサルティング会社に勤め、その中でも米アップルからご指名で仕事を受け、帰国後は無印良品の壁掛け式CDプレーヤーを手がけるなど「ミニマリズム」の提唱者、経営に助言できるデザイナーとしても名高いお方。

 iPhoneの普及以来、「ミニマリズム」が支配的になったというアメリカから、同氏に声がかかることが多くなった背景に、アメリカの消費に過度なデザインから「ほどほど」「これでいい」というシフトが見られることと重ねあわせて解説していた記事の内容に、昨今の世界の消費トレンド、デザイントレンドに共通するピンと来るものを感じました。

 これまで世界の先進国のファッション消費トレンドが品揃え→低価格化→専門化→品質→デザインと10年周期で回っていることを毎年IFI大学講座(明治大学、青山学院大学、東京経済大学など)でファッション流通のグローバルマクロトレンドとして講演して来ましたが・・・

 H&Mが日本に上陸した2008年、そして翌年の2009年のファストファッションブーム(デザインの低価格化)から7-8年が経過し、そろそろ日本でも次の消費トレンドがやって来て良さそうなものと 

 ここ数年次のトレンドを肌で感じるために欧米を視察した内容を生徒さんに共有していたものでしたが・・・ 

 昨年夏の北欧リサーチで感じたことと今回の記事が一致し、とても納得したものでした。

 アメリカ西海岸のノームコアのトレンドを見ると「ベーシック回帰」(退化)か?と思ってしまいがちですが・・・北欧で出会った未来はスウェーデンを中心とした洗練された大衆ミニマルデザインの潮流でした。

 身近な例で言うと、H&MのCOSです。

 COS URL

 日本ではまだ青山に一店舗 (横浜に2号店ができるようですね)。

 しかし、昨夏のロンドン、ストックホルム、ヘルシンキ、コペンハーゲンの視察旅行先で印象的だったのは・・・

 どの都市の同店を覗いても、おしゃれなヨーロッパの大人の女性たちが爆買いしている姿を目の当たりにし、単なるベーシックではない、デザインをそぎ落とし過ぎない、こなれた値段のデザインされたスタイリッシュなベーシックの潮流がCOSにはあり、

 アパレルに限らず、北欧の都心部の多くの消費財にその潮流が見られたことでした。

 日本にはまだあまり紹介されていない スウェーデンの無印良品とも言えるGranitもそのひとつです。

 Granit URL

 無印良品は不要なものを取り去ったシンプルデザインと評されますが、バブル世代後期(笑)の?私としては・・・ 

 コンセプトには大いに共感できても・・・実際のプロダクトに落とした時(特にアパレルは) むしろそぎ落とし過ぎ、それは「ミニマルデザイン」というものではなく、「清貧」的にすら感じてしまうことがあるのが正直なところです。

 それに対して、COSやGranit にはベーシック、シンプルながらも近代的なフォルムを加えた、進化版ベーシックであり、スタイリッシュな新しさ=これからのミニマルデザインを感じます。

 おそらくユニクロが欧米で広がらない理由は 競合関係や価格やサイズの問題だけではなく、もしかしたら、こういった新しい潮流である「ミニマリズム」ではなく、旧来型の「ベーシック」を提案しているため、新しさが伝わらないからなのではないかとも思えて来ます。 もちろん成熟していない新興国では今のままでよいと思いますが・・・

 その点が海外消費者が感じる ユニクロとMUJIの評価の違いなんでしょうね。

 ただの「ベーシック」だけではつまらない、「デザイン」されていても高価ではない、スタイリッシュで手ごろなベーシックが大衆化して行く、そんな違いのわかる「ほどほどの」デザインの時代が間もなく日本でも始まるはずです。

 無印良品が一皮むけるのか?無印と競演しながら台頭する新しい彗星が現れるのか?

 そのあたりを注目しておきましょう。 

 追伸: ご興味があれば、是非 北欧をデザイン、消費の視点で旅してみて下さい。

 昨夏 北欧に発つ前に読んだ本にあった
 
 「北欧では フィンランドがデザインし、スウェーデンがつくり、コペンハーゲンが売り、ノルウェイが買う」 

 という各国の役割分担のフレーズに妙に共感しながら旅をし・・・スウェーデンの大衆ミニマルデザインとプロダクトに未来の日本の姿を感じたものでした。


 【おススメ本】

 低価格ベーシック衣料の品質の常識を変えたユニクロととトレンドファッションの価格の常識を変えたZARA。

 二つのブランドの生い立ちとビジネスモデルを知ることによって未来のファッション消費を考える本です。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第3
位】↓down(16.1.27現在)


 

|

より以前の記事一覧