April 07, 2017

都心ファッションビルで進む衣料品売場の縮小

 クリックして人気blogランキングへ

 4月3日の繊研新聞の一面に都心部のファッションビル、パルコ、ルミネ、ジョイナス、オーパなどで進む、衣料売場を縮小して雑貨、コスメ、食物販、飲食の業態を充実させる動きに関する記事が掲載されていました。

 一部 「レジ客数は増えたが、平均単価が下がり、館全体の売上は期待ほどは伸びていない」というところもあるようですが、

 記事を読む限り、来店客数が増えて、衣料フロアーにも好影響が出ていると評価しているところが多いように感じました。

 これらの動きは記者の方が書かれているような、衣料品が不振だから、その代わりに非衣料品のフロアを増やしたり、衣料から非衣料にテナントを入れ替えるのではなく、

 より購買頻度が高く、単価も安い(気軽に買える)雑貨やコスメや食のファッション性が高まり、生活者の関心がそういったカテゴリーに広がっていることに対応した結果と言えましょう。

 成熟市場においては、衣料品や靴、バッグなどの服飾雑貨が満たされ、

 ファストファッション化が進んで選択肢が豊富になれば、

 次にヘアスタイル、スキンケア、インナーウエア、アクセサリー、そしてヘルシー志向とともにフィットネス系スポーツやオーガニックな食品に関心が広がるのは必然でしょう。

 これは数年来 欧米ファッションマーケットを見て来て感じていたことですし、

 日本でも先進企業はそういった方向性で事業展開を進めていましたし、

 先月視察した中国の上海都心部でも同じ現象が起こっていました。

 上海では、

・商業施設で飲食フロアーが最上階だけでなく、2層くらい増え、地下はもちろん1階にも広がり

・韓流ブームの影響もあって、ヘアケアやスキンケア商品を扱う業態が増え、

・縮小した衣料フロアの各店はテナント数が減って大型化、低価格化が進んでいるという具合です。

 この変化(数年前との比較)を現地の方々に話したところ、

 衣料品はTモール(タオバオのファッションECモール)など、ネットで買う機会が圧倒的に増えた、

 商業施設に期待しているのは、家族や友人たちと楽しく過ごす場所と時間、そういった意味で飲食フロアーが広がるのは当然、衣料品の購入はそのついでのようなものだ、

 とも言っていました。

 これには納得です。

 先の繊研新聞の記事では「衣料品の再生なしには施設全体の活性化にはつながらない」というコメントがありましたが、果たしてそうでしょうか?

 私は「後戻り」することはないと思いますが・・・

 むしろ、生活者のライフスタイルと興味の変化に関心を持ち、

 衣料品を手がけるファッションストアとて、雑貨、コスメ、ヘアケア、スキンケアなどとの共存や提案のしかたを考えるべき時代なのでしょう。

 次世代の勝ち組はそんなことに取り組んだ企業の中から生まれるはずです。

 3年後のファッションビルの構成が生活者の関心に合わせてどのように変わっているかが楽しみです。

 【お知らせ】

 拙著「ユニクロ対ZARA」の中国語簡体字翻訳版 「如此不同如此成功:优衣库 VS ZARA」が今年の1月に中国本土で出版されました。

 日本語版はこちらです。  
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第23位】↓down(17.4.7現在)


 

|

February 10, 2017

「オンワードHDのオーガニック化粧品ベンチャー買収」のニュースで考えるアパレルビジネスノウハウの異業種活用

 クリックして人気blogランキングへ

 先週2月2日の日経新聞にアパレル大手のオンワードホールディングス(HD)が、米カリフォルニア拠点で日本でオーガニック化粧品(ヘアケア、スキンケア)を販売する米ベンチャー企業を買収し、化粧品分野に参入することに関する記事が掲載されていました。

 ネット記事はこちら
オンワード、VB買収し化粧品参入 自然派商品で顧客開拓


 同社が買収した事業の通販サイトKOKOBUYも主力商品のproductも、ネットで検索したレベルでは、品数も少なく、決して大した規模ではないようですが・・・

 アパレル企業に近年取り扱いが広がる、いわゆる「ライフスタイル提案」ビジネスと言われるカテゴリーの中で、(なぜがアパレルがやりたがる)カフェや家具やインテリア雑貨なんかよりも・・・

 ずっと「ファッション」に親和性があって、地に足がついていると感じていた ヘアケア、スキンケアを中心とした自然派化粧品分野に

 オンワードHDが資本を注入して足を踏み入れることについて、とても興味を持ちました。

 今、商業施設を見渡せば、駅ビルのルミネなどのもっともトラフィックが多く、アクセスの良い場所に売場が広がっているのがオーガニック化粧品ブランドであることは誰もがお気づきのことでしょう。

 私自身も、ジョンマスター、キールズ、マークス&ウェブなどの製品には毎日お世話になっているヘビーユーザーのひとりであります(笑)

 欧米先進市場を見てもわかるように、成熟ファッションマーケットにおける生活者の関心事は、女性に限らず、時代に敏感な男性も含め、

 服→ヘアスタイル→スキンケア

 (アンチエイジングも含みますからジェンダレス&エイジレスの幅広い客層、そして自然派に訴えれば教養層=客単価高につながります)

 と必然的に進むものだと思います。

 業界の好調企業「マッシュスタイルラボ」が スナイデル(トレンドアパレル)、ジェラートピケ(ホームウエア)の成功の後に、

 仕入型ではありますが、コスメキッチン(ヘアケア、スキンケア)に取り組んだ時に、この会社は(顧客目線、マーケットインで)「さすが!わかってる」と唸ったものでした。

 ヘアケア、スキンケアのビジネスは、端(はた)から見れば、原価率が低く、粗利が稼げそう、そして消耗品なので、アパレルよりも購買頻度も高そう・・・それゆえにおいしそうなビジネスに見えます。

 しかしながら、肌に触れるものなので面倒な薬事法が立ちはだかりますから・・・なかなか取り組みづらそうな参入障壁が高いビジネスに感じられます。

 それゆえに、オンワードHDのように潤沢な資本力活かして、ノウハウごと買ってしまうというのが正解なのでしょうね。

 オンワードHDは これまで買収したペットグッズのクリエイティブヨーコも、ダンス用品のチャコットも、ライフスタイル自転車販売のSAKULA(サクラ)も・・・とても目の付け所がよく、

 それぞれの業界の中で、一人勝ちであったり、上手にライフスタイル提案をしている素敵な会社を買収していながら、純投資ビジネスとしては成功しているかも知れませんが・・・

 アパレルのノウハウを熟知した企業が買収した意味や相乗効果を十分に活かし切っているのかどうかは未知数です。

 買収したビジネスから新しいコンテンツ(カテゴリー)をこれまでの既存の顧客さんに提供することも大事ですが・・・

 むしろ、買収によって新たにリーチした客層にいかにアパレルビジネスで培ったノウハウで買収事業に磨きを掛けながら、新しい価値を提供できるか?

 つまり、既存顧客の客単価を上げるだけでなく、新規顧客とリピーターを増やすことができたら買収の本当の意味での相乗効果があるというものでしょう。

 その点、以前もブログで紹介しましたが、

 アメリカのSPA(アパレル製造小売業)の元祖「ザ・リミテッド」の全店閉店と創業者レスリー・ウェクスナー氏から学ぶこと

 アメリカのLブランズはアパレル企業が時代の変化にあわせて、周辺ライフスタイル事業を買収したり、新規事業を立ち上げて、「アパレル企業ならでは」の磨きをかけるノウハウに長けている世界レベルのお手本と言えます。

 同社はアパレル小売業から始まり、サプライチェーンマネジメントを強みとしたSPA(アパレル製造小売業)手法で進化し、GAPより先に、20世紀に年商規模世界一のアパレル専門店に登りつめます。

 その後、21世紀になると、アパレル市場が成熟したと見るや、それまでに買収していたヴィクトリアズシークレット(インナーウエア、ホームウエア)や自ら立ち上げたバス&ボディーワークス(ヘアケア、スキンケア)にアパレルSPAの週次管理や高速サプライチェーンマネジメントのノウハウを注入し、

 従来のインナー業界や化粧品業界の業界常識を超える販売効率や商品回転率や収益率を実現します。

 2007年に出身母体であるアパレル事業をファンドに売却しても、その後、アメリカで

 アパレルだけに頼らない21世紀型のファッションストア企業、世界的にも最も収益力の高いファッションリテイル企業の一社として成功をし続けているわけです。

 アメリカにアパレル出身で、生活者視点で、時代に合わせて事業転換を図って来た世界のお手本となるファッションチェーンモデルがある。 それがLブランズの今の姿だと思います。

 オンワードHD社にとって、今回の買収が売上利益を増やすだけの投資で終わるのか、Lブランズのように、次代に合わせて脱皮して一皮むけるきっかけになるのか?
 
 興味を持って見守りたいと思います。

 【おススメ本】

 ベーシックとトレンドファッション・・・アパレルSPA(製造小売業)の勝ち組のビジネスモデルが1冊で早わかり
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第23位】↓down(17.2.10
現在)


 

|

September 10, 2016

全米で好調を続けるオフプライスストア、TJマックス

 クリックして人気blogランキングへ

 9月9日の日経MJ「米国流通現場を追う」、いつも勉強させていただいている流通コンサルタント、鈴木敏仁さんのTJマックスに関する記事が掲載されており興味深く読ませていただきました。
 
 百貨店のメイシーズが100店舗の閉鎖計画を発表するなど、伝統的なファッション流通企業の業績が下降するアメリカ市場で、増収増益を続けるのがオフプライスストア業態のTJマックスです。

 TJマックスを展開するTJX社のURL

 繊研新聞に毎月アメリカの上場流通企業の既存店売上増減をまとめた記事が掲載されていますが、
その中で常に安定的な増収を続けているのが、

・TJマックスを運営するTJXやROSSといったオフプライスストア
・コストコのようなホールセールクラブ、また、
・ヴィクトリアズシークレットを展開し、ランジェリーやヘルス&ビューティアイテムにフォーカスをするLブランズ

 の3つです。

 オフプライスストアについてはこのブログでも何回か取り上げましたが、

 アメリカのコモディティ衣料需要を支えるオフプライスストア(2013.10.3)

 全米最大の百貨店グループ、メイシーズ (Macy's) がいよいよオフプライスストア業態に参入(2015.5.12)

 簡単に言えば、市場で過剰在庫となった著名ナショナルブランドやスポーツブランドの商品を専門店やメーカーから買い取り、常時ディスカウントで販売することを特徴とするファッションディスカウントチェーンです。

 顧客にとっては、ポロラルフローレン、カルバンクラインなどの著名ブランドのアンダーウエア、ホームウエア、Yシャツなどのデイリーウエアが20―70%OFFのディスカウントプライスで買うことが出来、

 なおかつ郊外ロードサイドのスーパーマーケットやドラッグストア立地にあるので、「(デイリー対応であれば)このアイテムなら、これで十分」という目的買いや掘り出し物目当ての幅広い客層に支持されているわけです。

 その最大手がTJマックスやマーシャルズを展開するTJX社で、世界売上は3兆円を超え、アメリカだけでも年商2兆円規模の巨大チェーンになります。

 記事の中で特に興味深かったのは、

 はっきりとは公表はされていないものの、ラルフローレンの最大の取引先がTJマックスであることが「業界では周知の事実」であると紹介されていたところ。

 いつ行ってもポロラルフローレンの2-3パックのアンダーウエアが$20弱という安価で販売され、なおかつ在庫を切らさずにビシッと揃っているので、やはりそういうことだったのか(専用商品の供給?)、と納得したものでした。

 まあ、これだけ企業規模が大きければ、業界の過剰在庫だけで品揃えを組むことは難しいですものね。

 他にも同業態向けに専売商品を供給している有名ブランドはたくさんあることでしょう。

 また、顧客に低価格で商品を提供することをモットーとするディスカウンターならではの約17%の販売管理費率の低さにはあっぱれですね。

 同社の2015年年次報告書によれば粗利率が28.8%、販売管理費が16.8% で12%の営業利益率をしっかり残しているようです。

 アメリカでは、そんなオフプライスストア各社の拡大や好調を羨み、百貨店のノードストローム(ノードストロームラック)やメイシーズすらも同業態を作って参入している始末⇒ 上記のリンク先で取り上げています。

 ところで、このオフプライスストア業態にまつわる最近の動向の中で、百貨店各社のオフプライス業態への参入とともに、気になっているのが、同業態の都心部への進出です。

 本来はローコストオペレーション故、家賃の安いロードサイドを主戦場としていたはずのディスカウンターやオフプライスストアが、たとえば、ニューヨークのマンハッタンのど真ん中に、TJマックスやマーシャルズやノードストロームラックが出店するなど、都心部への進出が見受けられるようになったことです。

 今後、アメリカで

・移民を含め都市部に人口が密集し、
・外国人観光客も増え、そして、
・都心部にある大型店業態(百貨店、GMS、書店、家電量販店などなど)が業績悪化やアマゾンとの競争で撤退した後に安い家賃で出店できるようになれば・・・

 この傾向は進むのではないかと見ています。

 イギリスでは近年のファッションディスカウンターのプライマーク(世界売上ランク7位)の都心部での拡大がその一例ですし、

 日本でもドンキホーテやしまむらの都心部での拡大傾向にも通じるところがあるのではないでしょうか?

 都心部では安いものは売れないと思う業界関係者はいまだに少なくありません。

 しかし、人口が多ければ多いほど安い商品を望む人、服にお金をかけたくない人の数は郊外よりも圧倒的に多いわけで・・・ディスカウンターは都市部でも歓迎され、家賃が見合う物件が現れれば、十分採算が取れると見ています。

 というわけで、世界的に都心部の競合はますます厳しくなりそうです。

 【おススメ本】

 グローバル時代のファッション流通を考える上で参考にしていただければ参考です。
 ファストファッションの次に来る流通革新(未来予測)についても触れています。

 おかげさまで今でもアマゾン小売ジャンルランキング1位になることもあり、感謝しております。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第2位】↓down(16.9.10現在)


 

|

June 29, 2016

世界アパレル専門店売上ランキング2015 トップ10

 クリックして人気blogランキングへ

 世界の大手アパレル専門店各社の2015年の売上高や利益などをまとめる機会ができましたので、毎年恒例になりました売上高のランキングTOP10を共有させていただきます。

 円建て比較にあたり、為替レートは2016年1月末の €=131.2円、スウェーデンクローナ=14.1円、US$=121円、英国£=172.4円で換算しています。
 
 尚、6位のC&Aのみ2015年決算が入手できませんでしたので Deloitte Global Powers of Retailing2016と2015を参考にした2014年度の売上高を表示しています。


ランキング          売上高   前年比  営業  期末  基幹業態
                              利益率 店舗数  とシェア
1位-Inditex        2兆7,420億円 +15%  17.6% 7,013  ZARA
 (西インディテックス;16.01期)                          65%

2位-H&M         2兆5,501億円 +19%  14.9% 3,924  H&M
 (瑞エッチアンドエム;15.11期)                         95 %超
  
3位-Gap          1兆9,114億円  -4%  9.6%  3,721  Old Navy 
 (米ギャップ;16.01期)                              42%
                                           Gap 
                                            36%  
4位-Fast Retailing    1兆6,817億円 +22%  9.8%  2,978  Uniqlo  
 (日ファーストリテイリング;15.08期)                         82%   

5位- L Brands      1兆4,706億円  +6%  18%   2,978  Victoria's 
 (米エルブランズ=リミテッド;16.01期)                      Secret
                                            63% 
6位-C&A Europe     1兆1,125億円  -6%   n/a   1,575  C&A
 (独シーアンドエー;14年度)                            100%
         
7位-Primark         9,218億円   +8% 12.6%   293  Primark
 (愛プライマーク;15.09期)                            100%

8位-Next           7,152億円   +3%  20.5%   540  NEXT 
 (英ネクスト;16.01期)                               97%

9位-Ascena retail      5,811億円   +0%  -4.9%  3,895  Justice
 (米アセナ;15.7期)                                 27%
                                          LaneBryant   
                                     23%              
10位-Shimamura       5,460億円   +7%   7.3%  2,015  しまむら
 (日しまむら;16.2期)                              81% 
                                                                     

備考-米TJMaxx、Ross のオフプライスストア2社は売上規模はトップ10に入る規模ですが、メーカーや専門店が放出した過剰在庫を販売する二次流通マーケットのため除外しました。また、中国で拡大を続け、売上規模では9位あたりに位置すると目されるE.LandWorld(韓国)は売上規模以外の実態が掴めないため除外しました。

以下 解説です。

 1位のインディテックスグループは基幹ブランドZARAほか8ブランドを中心に中国、メキシコ、ロシアなどの新興国を中心に分散出店を行い、グローバルレベルの既存店も8.5%増と好調で二桁の増収増益を果しました。

 2位のH&Mは19%の増収も5%の微増益に終わりました。同社は当期もアメリカ、中国への集中出店で引き続き売上の大幅拡大を果しましたが、利益が伸びなかった要因としては、商品調達をドル建てで行っていることによる商品コストの増加、世界的な温暖な気温にともなう秋ものの値下げ増による粗利率の低下を挙げています。

 3位のGAPは米国内の不採算店舗の大量整理により減収減益。既存店もマイナス4%とまだトンネルの出口が見えないですね。 今期はアメリカのリストラを進め、日本のOLD NAVYを全店閉鎖し、中国に集中すると言いますが、果たしてどうなるでしょうか・・・

 一方、4位のファーストリテイリングは国内ユニクロ事業の堅調に加え、海外ユニクロ事業の中でも中国事業の好調、グローバルブランド事業の中のジーユーの好調が加わり増収増益に寄与。

 次年度のランキングでは同社がリストラが続くGAPを抜いて3位に浮上する可能性も高いです。 

 5位のLブランズは基幹ブランドであるヴィクトリアズシークレットを中心に店舗の大型化と既存店の5%増収で好業績を維持。

 6位以下では、二桁の増収増益を続けていたプライマークの減速(前期までは前年比二桁増収)、

 EC(ダイレクトビジネス)の構成比が上がって(同期NEXTブランドにおける売上高構成比41%、営業利益構成比50%)、収益率が高まるネクストが特筆されますね。

 プライマークは昨年の夏にロンドンで視察をしましたが、バングラデシュでの悲劇の反省を受けてか、原産国をルーマニアやベトナムにシフトしていたのが印象的でした。

 今回のランキングでは、

 高い営業利益率を上げているインディテックス、Lブランズ、ネクストの3社とそれ以外の企業に明暗が分かれた結果になったように思います。

 ドル建てでアジアを中心に商品調達をするH&M、GAP、ファーストリテイリング、プライマークなどは今後も商品原価の高騰や為替変動のリスクや主要マーケットでの天候の影響を免れることはないでしょう。

 これに対して、インディテックスは原価が高くても本社近くスペイン近隣で小ロット短サイクルで商品を調達して在庫リスクを軽減しながら値下を抑える手法に磨きをかけています。また、88か国に出店するグローバルビジネスであることは、為替リスクの分散にもつながります。

 Lブランズはアメリカがファストファッションの洗礼を受け続ける約10年前に、アパレル(外衣)よりもインナーウエアやヘルスアンドボディケアといったビューティ部門に事業ドメインを切り替えて以来、アメリカ市場でのひとり勝ちが続きます。

 ネクストは実店舗の出店よりもカタログおよびインターネットによる通販比率を高めて(41%)、高い営業利益率を維持しています。

 ◎ 商品原価を下げるより在庫コントロールによって適正価格の実現
 ◎ アパレル一辺倒からビューティ部門の強化
 ◎ ECビジネスの拡大

 この3つがポストファストファッション時代のグロ―バルビジネスの成功のカギと言えそうです。
 
 【おススメ本】

 アパレルビジネスの特性も・・・世界のファッション流通マーケットも・・・ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAを比較すれば よりわかりやすくなる!

 台湾・香港での中国語(繁体字)版も好評発売中。今年は韓国、中国本土(簡体字)の訳本も出版されます。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第1位】→stay(16.6.29現在)


 

|

March 05, 2016

ファッション消費市場に新しい巨大販路の台頭―フリマアプリ「メルカリ」に三井物産などが84億円を出資

 クリックして人気blogランキングへ

 繊研新聞の一面、2月22日~3月2日の間に連載されていた「私が服を買う理由」(全6話連載)は2児のママから男子大学生まで、身の丈に合った現代の消費者のリアルなファッション消費の実態と本音がつづられており、とても楽しく読ませていただきました。

 全6話の中でこれからのファッション消費、ファッションマーケットに最も影響を及ぼすのは第1話の「また売ればいい」の見出しで紹介されていた2児のママの話=フリマアプリ「メルカリ」を活用して服の売買を楽しむ新しいファッション消費のカタチでしょう。

 記事では子育ての片手間、着なくなった服を次々にメルカリにアップし、月に8万円売り上げる月もあるという主婦を紹介。 

 メルカリでは売るだけではなく、懐かしいブランドやアイテムを見つけては、購入もし、届いた商品が例え失敗だったとしても、

 「また売ればいい」

 という感覚で楽しむ彼女の行為はサイドビジネスというより、目に見えぬ相手とのコミュニケーション、ゲームを楽しんでいるという感覚と感じ取れました。

 私がフリマアプリに関心を持ち、注目し始めたのは2年前。 

 年に1回、明治大学や青山学院大学などの大学で「ファッションビジネス論」(IFI大学講座)に登壇し、SPA(アパレル製販垂直統合小売業)のビジネスモデルやファストファッションの革新性や功罪について講義をさせて頂いていますが・・・

 聴講した学生さんたちからの講義レポートに「フリマアプリ」に関する記述が多数現れ始めたころです。

 講義ではファストファッションの弊害のひとつとしてファッショントレンドの陳腐化を加速する点を挙げ、使い捨てられるファッション商品の行き場を考える社会問題の解決も必要という問題提起に対して、

 複数の学生さんがフリマアプリの活用を当たり前のように書かれていたのがきっかけでした。

 早速、私もメルカリをダウンロードして・・・実際に出品まではしていませんが、そのインスタグラムを上げるのとさほど変わらないくらいの手軽さと・・・画像の精度は正直素人っぽいものばかりではありますが、未来の消費の可能性を想像しながら、関心をもって動向を見守っていると・・・

 まもなく、日本最大のファッションECサイト、「ZOZOTOWN」のスタートトゥデイも「ZOZOフリマ」でフリマアプリ市場に参入を表明した時に・・・

 新しい巨大な潜在マーケットの出現を感じたものでした。

 そして、先日3月3日付けの日経新聞によれば 三井物産はじめ複数の投資ファンドなど計6社がその「メルカリ」の合計84億円規模の第三者割当増資の引き受けに応じたとのことです。

 同紙記事などによれば、フリマアプリ「メルカリ」は13年2月創業以来、日米合計で3200万件(国内2500万、米国700万ダウンロードされ、月間の流通額はすでに国内だけでも100億円超に上るとのこと。

 これにはびっくり、ダウンロード件数が国内だけで2000万件になったことにも驚いていましたが・・・

 メルカリが3年間で同社だけですでに年間1200億円規模の市場統計には表れない巨大CtoCビジネスの担い手になっていたとは・・・

 またメルカリの販売手数料は10%ですから・・・手数料収益は年間120億円規模ということになりますね(その他に少額換金手数料なども収益対象でしょう)。

 1社で年商1200億円規模となると・・・日本のアパレル専門店の年商トップ10に入る規模ですからね。 

 昨年、ファーストリテイリングの低価格業態、GU(ジーユー)が気が付いたら年商1400億円規模になっていたことにも驚きましたが・・・ 

 また一方で、リアル店舗を持たない、しかも通販市場などとも違って、市場統計にも表れない新たな巨大販路が登場したことに・・・

 ファッション消費のこれまでの常識、見かたを現実にあわせて変えなければならない時が来た、とちょっと衝撃を受けながら考えているところです。

 すでに日本のアパレル小売市場規模(約9兆円)の1%を突破し、これからもますます流通量が増え続けるであろう「メルカリ」とあわせて、

 フリマアプリ後発参入ではありますが、スタートトゥデイの先を見据えた布石にも注目すべきでしょう。

 同社は 

 スタイル投稿アプリ「WEAR」でコーディネートに合う欲しい商品を見つけ→
 
 ネット通販「ZOZOTOWN」で買い→ 

 着なくなったら・・・ いいブランドは「ZOZOUSED(クラウンジュエル)」に買ってもらい、

 あるいはSNS感覚で気軽に「ZOZOフリマ」で個人に売る

 という スマホを使いこなす現代人の新しいファッション消費ライフスタイルの

 「入口から出口まで」のインフラをいよいよ自己完結させたわけですからね。

 これからさまざまな相乗効果が見込めることは間違いなさそうです。

 「メルカリ」と「ZOZOフリマ」 同じフリマアプリでも そのアプローチは違っており、

 それぞれが ファッションEC拡大の次のファッション流通革新の芽になることは間違いと見ています。

 スマホというモバイルデバイスを手にした生活者を取り巻くファッション消費マーケットは・・・

 業界関係者の想像以上に急速に移り変わっています。

 【おススメ本】

 これまでのファッション流通革新の担い手のビジネスモデルを知り、次に来る流通革新を考えるヒントになれば幸いです。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 


いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第2
位】→stay(16.3.5現在)


 

|

January 27, 2016

単なるベーシック回帰ではない、ベーシック+デザイン=ミニマリズムの大衆化の時代

 クリックして人気blogランキングへ

 1月26日の日経新聞 「GLOBAL EYE」に工業デザイナーの深沢直人氏の記事が掲載されておりとても興味深く読ませていただきました。

 同氏はアメリカのパソコンのマウスをデザインして知名度を高めたデザインコンサルティング会社に勤め、その中でも米アップルからご指名で仕事を受け、帰国後は無印良品の壁掛け式CDプレーヤーを手がけるなど「ミニマリズム」の提唱者、経営に助言できるデザイナーとしても名高いお方。

 iPhoneの普及以来、「ミニマリズム」が支配的になったというアメリカから、同氏に声がかかることが多くなった背景に、アメリカの消費に過度なデザインから「ほどほど」「これでいい」というシフトが見られることと重ねあわせて解説していた記事の内容に、昨今の世界の消費トレンド、デザイントレンドに共通するピンと来るものを感じました。

 これまで世界の先進国のファッション消費トレンドが品揃え→低価格化→専門化→品質→デザインと10年周期で回っていることを毎年IFI大学講座(明治大学、青山学院大学、東京経済大学など)でファッション流通のグローバルマクロトレンドとして講演して来ましたが・・・

 H&Mが日本に上陸した2008年、そして翌年の2009年のファストファッションブーム(デザインの低価格化)から7-8年が経過し、そろそろ日本でも次の消費トレンドがやって来て良さそうなものと 

 ここ数年次のトレンドを肌で感じるために欧米を視察した内容を生徒さんに共有していたものでしたが・・・ 

 昨年夏の北欧リサーチで感じたことと今回の記事が一致し、とても納得したものでした。

 アメリカ西海岸のノームコアのトレンドを見ると「ベーシック回帰」(退化)か?と思ってしまいがちですが・・・北欧で出会った未来はスウェーデンを中心とした洗練された大衆ミニマルデザインの潮流でした。

 身近な例で言うと、H&MのCOSです。

 COS URL

 日本ではまだ青山に一店舗 (横浜に2号店ができるようですね)。

 しかし、昨夏のロンドン、ストックホルム、ヘルシンキ、コペンハーゲンの視察旅行先で印象的だったのは・・・

 どの都市の同店を覗いても、おしゃれなヨーロッパの大人の女性たちが爆買いしている姿を目の当たりにし、単なるベーシックではない、デザインをそぎ落とし過ぎない、こなれた値段のデザインされたスタイリッシュなベーシックの潮流がCOSにはあり、

 アパレルに限らず、北欧の都心部の多くの消費財にその潮流が見られたことでした。

 日本にはまだあまり紹介されていない スウェーデンの無印良品とも言えるGranitもそのひとつです。

 Granit URL

 無印良品は不要なものを取り去ったシンプルデザインと評されますが、バブル世代後期(笑)の?私としては・・・ 

 コンセプトには大いに共感できても・・・実際のプロダクトに落とした時(特にアパレルは) むしろそぎ落とし過ぎ、それは「ミニマルデザイン」というものではなく、「清貧」的にすら感じてしまうことがあるのが正直なところです。

 それに対して、COSやGranit にはベーシック、シンプルながらも近代的なフォルムを加えた、進化版ベーシックであり、スタイリッシュな新しさ=これからのミニマルデザインを感じます。

 おそらくユニクロが欧米で広がらない理由は 競合関係や価格やサイズの問題だけではなく、もしかしたら、こういった新しい潮流である「ミニマリズム」ではなく、旧来型の「ベーシック」を提案しているため、新しさが伝わらないからなのではないかとも思えて来ます。 もちろん成熟していない新興国では今のままでよいと思いますが・・・

 その点が海外消費者が感じる ユニクロとMUJIの評価の違いなんでしょうね。

 ただの「ベーシック」だけではつまらない、「デザイン」されていても高価ではない、スタイリッシュで手ごろなベーシックが大衆化して行く、そんな違いのわかる「ほどほどの」デザインの時代が間もなく日本でも始まるはずです。

 無印良品が一皮むけるのか?無印と競演しながら台頭する新しい彗星が現れるのか?

 そのあたりを注目しておきましょう。 

 追伸: ご興味があれば、是非 北欧をデザイン、消費の視点で旅してみて下さい。

 昨夏 北欧に発つ前に読んだ本にあった
 
 「北欧では フィンランドがデザインし、スウェーデンがつくり、コペンハーゲンが売り、ノルウェイが買う」 

 という各国の役割分担のフレーズに妙に共感しながら旅をし・・・スウェーデンの大衆ミニマルデザインとプロダクトに未来の日本の姿を感じたものでした。


 【おススメ本】

 低価格ベーシック衣料の品質の常識を変えたユニクロととトレンドファッションの価格の常識を変えたZARA。

 二つのブランドの生い立ちとビジネスモデルを知ることによって未来のファッション消費を考える本です。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第3
位】↓down(16.1.27現在)


 

|

October 02, 2015

H&Mの集中出店の威力、グローバルチェーンの価格調整力

 クリックして人気blogランキングへ

 10月1日の繊研新聞に先ごろ発表されたH&Mの第3四半期決算(2014年12月~2015年8月までの9か月決算)の記事が掲載されておりましたので、気になって同社のIRプレスリリースに目を通しました。

 売上ベースで22%増収、営業利益ベースで12%の増益で、9か月経過時点で売上高は1兆8780億円(SEK=14.21円で換算)規模。 

 このペースで行けば年商2兆5000億円規模になりそうで、もしや、いよいよインディテックスを抜くのではと思ってインディテックスグループの財務レポートもチェックしたところ・・・

 インディテックスグループは上半期(2015年2月~2015年7月)で売上が前年比17%増(既存店は7%増)、営業利益は25%増で同様に快走中ですので、まだまだH&Mはインディテックスグループには追い付きそうもありません。

 注:当ブログのH&Mの売上高は他のチェーンと合わせるために常にVAT抜きで表示しています。 

 それにしてもH&Mの売上上位国の中で、集中出店を宣言している アメリカと中国でのの成長率はものすごいですね。

 第2位 アメリカ の53%増(現地通貨ベースでは22%増)
      381店舗 売上は年商規模で 3500億円 相当

 第5位 中国 の 51%増 ( 同   21%増) 
      299店舗   同 年商規模  1500億円  相当

 参考まで 17位の日本は14%増 ( 同    7%増)
       53店舗   同 年商規模  510億円相当

 欧州先進国攻略の後、H&Mの矛先は現在 世界1位と2位のマーケット アメリカと中国に向いているため、日本での勢いはそれほどでもありませんが、

 アメリカと中国を攻めつくした後に向かって来るのは世界3位のマーケット、日本に間違いないでしょう。

 その時、現在のアメリカや中国並みの20%超のペースでアクセルを踏まれたら日本のアパレルマーケットは毎年150~200億円以上のペースで喰われ続けることになるでしょうね。

 現在、H&Mが日本攻略の手を緩めているからといって安心せずに・・・数年後にどう棲み分けをするかしっかり考えるべきでしょう。

 同じ外資脅威論ながら、視点がちょっと変わりますが・・・

 以下は今年8月後半にグローバルファッションチェーン激戦区ロンドンでファッションチェーンの価格調査をした時のウィメンズシャツ・ブラウスプライスポイントの一覧です。

ブランド    プライスポイント £=190円 VAT付加価値税20%込み
TOPSHOP(英)  £36.00→  ¥6,840
NEXT(英)     £26.00→  ¥4,940
M&S(英)      £25.00↑  ¥4,750
ZARA Woman   £29.99↓  ¥5,698
ZARA Basic    £25.99↓  ¥4,938
Trf(ZARA)     £19.99↓  ¥3,798
UNIQLO      £19.90↓  ¥3,781
NEWLOOK(英)  £17.99→  ¥3,418
F21         £15.00↓  ¥2,850
H&M        £14.99↓  ¥2,848
Primark      £10.00→  ¥1,900

矢印は2年前の同時期との比較で上がったか下がったか変わらないかを示したものです。

 興味深いのは・・・

 ローカルチェーンは価格を維持または値上げ

 グローバルチェーンは逆に下げていたことです。

 原価高騰や為替によってローカルチェーンはローカルの損益を中心に考え、防戦一方。

 そこにつけ込むグローバチェーンはグローバルで損得を考え、

 価格を調整してマーケットシェアを拡大するための価格調整力を発揮するという構図です。

 そんな現象は日本では起こらないと誰が言えるでしょうか?

 最近、ユニクロの店頭価格とH&Mの価格があまり変わらないこと・・・

 アウターに至ってはユニクロとZARAの価格が近づいて来ていることにお気づきでしょうか?

 マーケットの再編はまだまだ起こりそうです。

 【おススメ本】

 世界のファッション流通マーケットもこの2ブランドを比較すれば よりわかりやすくなる!

 いよいよ台湾で中国語翻訳版も発売されました。 今後 韓国、中国本土と続きます。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第2位】↓down(15.10.01現在)


 

|

August 15, 2015

世界アパレル専門店売上ランキング2014 トップ10

 クリックして人気blogランキングへ

 遅ればせながら 世界の大手アパレル専門店各社の2014年の売上高や利益などをまとめる機会ができましたので、毎年恒例になりました売上高のランキングTOP10を共有させていただきます。

 円建て比較にあたり、為替レートは、すべて2015年1月30日時点のレート、ユーロ=¥133.8、スウェーデンSEK=¥14.3、US$=¥118.2、英ポンド¥176.9にて換算しています。
 
 尚、6位のC&Aのみ2014年決算が入手できませんでしたので Deloitte Global Powers of Retailing 2015と2014を参考にした2013年度の売上高を表示しています。

ランキング
                 売上高   前年比  営業  期末  基幹業態
                              利益率 店舗数  とシェア
1位-Inditex        2兆4,254億円 +8%   18%  6,683  ZARA
 (西インディテックス;15.01期)                          64%

2位-H&M         2兆1,637億円 +18%   17%  3,511  H&M
 (瑞エッチアンドエム;14.11期)                         95 %超
  
3位-Gap          1兆9,434億円  +2%   13%  3,709  Old Navy 
 (米ギャップ;15.01期)                              40.3 %
                                            Gap
                                            37.5 %  
4位-Fast Retailing    1兆3,829億円 +21%    9%  2,753  Uniqlo  
 (日ファーストリテイリング;14.08期)                         81.7 %   

5位- L Brands      1兆3,544億円   +5%   18%   2,969 Victoria's 
 (米エルブランズ=リミテッド;15.01期)                      Secret
                                            62.9% 
6位-C&A Europe     1兆1,509億円  +9%    n/a   1,607  C&A
 (独シーアンドエー;14.2年度)                            100%
         
7位-Primark         8,756億円  +16%   13%    278  Primark
 (愛プライマーク;14.09期)                             100%

8位-Next           7,123億円   +7%    20%    539  NEXT 
 (英ネクスト;15.01期)                               96.5%

9位-Ascena retail      5,664億円   +2%    4%   3,896  Justice
 (米アセナ;2014.7期)                               28.9%
                                          Lane Bryant   
                                            22.5%              
10位-Shimamura       5,118億円   +2%    7%    1,931 しまむら
 (日しまむら;15.2期)                               81% 
                                                                     備考-アメリカのオフプライスストアー(アパレルや小売チェーンが換金目的で放出したブランドを扱う)のTJX、Rossは、2次流通とみなし、除外しました。また、中国で拡大を続け、売上規模では9位あたりに位置すると目されるE.Land World(韓国;日本ではSPAOやMIXXOを展開後撤退)は売上規模以外の実態が掴めないため除外しました。

以下 解説です。

 1位 のインディテックスはZARAを中心に8つのブランドのバランスを取りながら各国に出店し、安定的な成長を続けトップを維持。既存店売上高も世界レベルで5%の増収を確保。この間、多く出店した国の上位はロシア、中国、メキシコ、トルコ、日本です。

 2位 のH&Mは アメリカ、中国で圧倒的に出店を続け、高い増収を確保。今期も10%増ペースで伸ばす計画ですが、新規出店のほとんどをアメリカと中国に出店に充てる計画のようです。

 一方、既存店においては、ビューティ部門の強化を打ち出します。

 3位のGAPはGAPブランドの既存店減収をOLD NAVYの既存店増収でかろうじてカバーした模様。これまで均衡していたGAPとOLD NAVY両ブランドの売上構成比はOLD NAVYが優位となり、始めて両者に開きが出ました。

 今後はGAPブランドの大量退店によるリストラを強め、OLD NAVYを中心とした成長に舵を切る模様です。

 4位のファーストリテイリングは売上の伸び率は最も高いですが、グローバルトップの中では見劣りする営業利益率が気になります。

 海外ユニクロ事業とGUの急成長で嵩上げされた売上に対して・・・.改善はあるものの、まだ二桁の営業利益率が出せないそれらの事業の低い収益性を国内ユニクロ事業の高収益で支える構造。 そこからいつ抜け出せるか?が注目ですね。

 5位のLブランズは、ヴィクトリアズ・シークレットの安定的な既存店増収と利益率の高さで好調を堅持。

 2000年代に元々の母体であったアパレルSPA事業をあっさり売却して・・・見事なドメイン変更を敢行し、ファッション&ビューティー企業として、21世紀ファストファッション時代の共存モデルのひとつを確立しましたね。この点は世界中のファッション流通企業がベンチマークすべきところです。

 以下 7位のファッションディスカウンター、プライマークは継続的な高成長と2015年9月のアメリカ進出が注目されています。8位のネクストはEC売上の拡大とともに、堅実な利益体質の確保を実現。

 9位の米アセナ・リテイルはランキング初顔ですが・・・郊外路面の主婦向け低価格ファッション(dress burn)から始まり・・・その後、ジュニア向けファッション、クイーンサイズの婦人服業態など・・・ニッチマーケットを狙うアパレルチェーンを次々に事業買収し売上規模を拡大したユニークなビジネスモデルをとる専門店グループです。それぞれが成熟チェーンと思われるストアブランドばかりですが、それらをまとめ上げて、どこまで成長と利益の体質を構築できるかに注目です。

 さて、今期の注目は・・・

 中国とアメリカへの徹底集中出店により売上を伸ばすH&M。今の勢いが止まらなければ、今期末に安定成長を続けることをポリシーとするインディテックスの売上規模を超える可能性もあります。それをさせんとするインディックスはどこで売上を伸ばすのか?

 ユニクロの中国・韓国事業が絶好調のファーストリテイリングですが、「ユニクロ国内事業」頼みの収益体質が・・・今期2015年8月期決算以降でどこまで改善できるのか?

 そして2015年9月、アメリカに進出するプライマークが同国でも成功を収め、更なるグローバル成長に弾みをつけるのか?

 といったところでしょうか。

 2008年 H&Mの日本上陸以降 世界のファッション流通マーケットは完全にグローバルの波に飲み込まれました。

 海外の動向からも目を離さず、いずれ日本に影響が及ぶことを考え、そのころを見据えた 先回りしたビジネス思考と革新が求められています。

 追記 GAPの年商に誤りがありましたので訂正しました。 1兆6600億円→ 1兆9434億円
     訂正前の金額は前年のもの(当時の為替レート換算)でした。

 【おススメ本】

 世界のファッション流通マーケットもこの2ブランドを比較すれば よりわかりやすくなる!

 いよいよ台湾で中国語翻訳版も発売されました。韓国、中国本土と続きます。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第1位】→stay(14.8.15現在)


 

|

May 12, 2015

全米最大の百貨店グループ、メーシーズ (Macy's) がいよいよオフプライスストア業態に参入

 クリックして人気blogランキングへ

 5月11日の繊研新聞に、アメリカ最大の百貨店グループ、メーシーズ(Macy’s)が同社初となるオフプライス・ストア業態 「メーシーズ・バックステージ」を開発し、今秋ニューヨーク州に4店舗をオープンすることに関する記事が掲載されていました。

 「オフプライス・ストア」って聞きなれない方も多いでしょう。

 アメリカではおなじみの業態ですが、わかりやすく言えば1店舗あたり500坪、1000坪クラスの

 大型のファッションブランドディスカウンターチェーンです。 アウトレットともまた違います。

 アメリカではアパレルメーカーやファッションブランドと百貨店、量販店、あるいは専門店チェーン間の取引は

 完全買い取りが常識ですが・・・

 小売チェーンは シーズン中に在庫が売り切れないと判断するや否や、自店でディスカウントを始めるのはもちろん、あわせて在庫換金目的で「クローズアウトマーケット」と呼ばれる不良在庫処分業者(俗に言うバッタ屋)に当シーズンの在庫を放出することがあります。

 それらのブランド衣料をキャッシュで買い取って 常時20-80%OFFで販売するのがオフプライス・ストアチェーンです。 ブランド(卸)側も同じようにシーズン中に在庫をクローズアウトマーケットに放出することもよくあります。

 その結果 業界最大手のTJX とROSSという2社の売上だけでも(ともに上場企業)

 全米で3兆円近い売上規模の「オフプライス・ストア」という販路を形成している始末。

 T.J. Maxx ウェブサイト
 Marshalls ウェブサイト
 ROSS ウェブサイト

 私も 普段着に使える 品質の担保されたブランド衣料や靴やホームファッションが安く買えるということで、アメリカ在住時代は結構お世話になりましたし、アメリカ出張の際、下着が足りなくなった時はご安心、オフプライスストアで調達することも少なくありません。

 だってPOLOやCKの3PパックTや2Pブリーフが20ドル未満で売られているのですからね。

 2年前のリサーチレポートですが、ご興味のある方はどうぞ

 関連エントリー-アメリカマーケットリサーチ報告(その5) アメリカのコモディティ衣料需要を支えるオフプライスストア

 「サービスが伝説になる時」でおなじみの百貨店ノードストロームですら ノードストロームラックというオフプライス・ストア業態を全米に展開しています。

 Nordstrom Rack ウェブサイト

 一般的にオフプライスストアは郊外のスーパーマーケットと併設というパターンが多いですが、

 マンハッタンの繁華街のド真ん中(ユニオンスクエア)に このノードストロームラックがあり、すぐ近くにTJXグループの大型店があったのにはびっくりしました。

 それだけオフプライスストアでのショッピングというものがアメリカ人の生活には浸透しているんですよね。

 いくつかの百貨店グループが既にこのディスカウンター業態に参入しており、百貨店最大手のメーシーズもいよいよ参入、ということのようです。

 そんな規模で成り立っているということは、百貨店や専門店の仕入失策によるデッドストックだけではなく・・・

 著名なナショナルブランドがこのオフプライスストアチェーン向けに 確信犯的に在庫を多めに作ったり、専売品を作ったりして商品を供給しているということも否めないのではないでしょうか。

 私は、このオフプライス・ストアの存在が GAPやオールドネイビーなどのアパレルチェーンよりも

 ユニクロのアメリカ市場での最大の拡大障壁だと思っています。

 なんせ、アンダーウエア、ホームウエア、ワンマイルウエアにするには十分すぎるナショナルブランドの衣料がユニクロ並みの値段で販売されているのですから。

 そんなビジネスフォーマットは果たして将来 日本にもできるのでしょうかね?

 21世紀の欧米マーケットにおいて ZARAやH&Mなどのグローバルファストファッションが各国でアパレルマーケットを席巻した後に いったいどんなことが起こっているかというと・・・

 最も大きな流れは・・・ヨーロッパにおけるプライマークの台頭、アメリカにおけるオフプライスストアの更なる拡大 などが象徴する アパレルを更に安く売るディスカウントチェーンの台頭ですからね。

 将来日本でもそんなマーケットが形成されるとしたら、ドン・キホーテやブックオフグループのようなところがその担い手になるのでしょうか。

 【おススメ本】
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 過去、現在だけでなく、ユニクロのそしてZARAの将来のグローバル展開についても考察しています。
 
 

 いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第1
位】↑up (15.5.12現在)


 

|

November 29, 2014

セブンイレブンも12月から免税対応をスタート 

 クリックして人気blogランキングへ

 11月29日の日経新聞にセブンイレブンが12月から一部の店舗で外国人観光客向けに免税対応をすることに関する記事が掲載されていました。

 記事によればセブンイレブンは外国人観光客が多い東京浅草雷門前店と京都西院駅南店で専門カウンターを設けパスポートを確認した上で消費税8%の支払いを免除するというもの。同社は2015年の間に免税対応店を1000店まで広げる計画とのことです。

 10月から免税対象が食品や化粧品など単価の安い消耗品も免税対象になったことにともない、さすがセブンイレブン、コンビニの中でいち早く外国人観光客需要も取り込もうと動き始めましたね。

 記事によれば、今年1300万人になる見込みの外国人観光客の一人当たりの日本での平均消費額は約15万円(中でも中国人観光客平均は約23万円)、日本人の一人当たりの年間消費額が123万円とのことですから、

 外国人観光客が8人来てくれれば、日本人一人の年間消費額が創出されるという計算です。

 少子高齢化の国民だけでは経済がシュリンクする一方の日本において、外国からの観光客が増えることはありがたい話。

 今後の経済成長を維持するためには外国人観光客はもちろん今後、居住者の受け入れがキーであることは間違いありません。欧米先進国がすでにそうしているように・・・

 来年は外国人観光客に対する「免税対応」がファッション販売を含む消費市場全体の重要キーワードになることは間違いなさそうですので・・・各社、対応が急がれますね。

 おかげさまで 2冊目の執筆本となる拙著

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 が11月19日に発売されました。

 ベーシックカジュアルの価格と品質の常識を変え日本一のアパレルチェーンとなり、世界一を目指して突き進むユニクロとトレンドファッションの価格の常識を変え、世界一となったスペイン インディテックスグループの基幹ブランドZARA (ザラ)。

 既存のファッション流通の常識に挑んだ2つのブランドの真逆のアプローチ、ビジネスモデル、2人の起業家が考える顧客満足、経営信念、人材育成、今後の成長の可能性まで・・・

 10数年両ブランドをウォッチし続けた専門家の立場から両者の成長の舞台裏をわかりやすく解説しました。

 おかげさまで Amazon ビジネス書総合ランキング 8日間 トップ100入りしています。

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第1
位】→stay(14.11.29現在)


 

|

より以前の記事一覧