March 06, 2019

米GAP(ギャップ)社の2019年1月期決算は増収減益。OLD NAVYを分社化してGAPの更なるリストラへ

 2月28日に発表された米GAP(ギャップ)社の2019年1月期決算は

売上高は   4.6%増の1兆8065億円

営業利益は 7.9%減の 1484億円

営業利益率は 8.2%(前年は9.3%)

の増収減益でした。 US$=108.9円換算

期末店舗数は3666店舗(前比+72)です。


 好調の低価格業態 OLD NAVYは出店+既存店増収と好調も・・・

リストラが進むGAPとBANANA REPUBLICが芳しくなくなかった模様です。

 事業別に見ると

 売上の47%を占める OLD NAVY は8.3%増(既存店3%増)

 同 31%を占める GAPは3%減(同5%減)

 同 15%を占める BANANAは3%増(1%増)

会社全体の既存店売上前年比はトントンです。


 同じタイミングで同社は

米国中心(国内売上比率90%)に好調なOLD NAVYを別会社として切り離し 

残りのブランドを展開する存続会社は向こう2年間でGAPの230店舗の閉鎖など事業リストラに入ることを発表しています。

 この分社化後は単純に

 9523億円規模の旧GAP社と

 8542億円規模の新OLD NAVY社 

 の2社に別れることになりますが・・・

 事業別の過去の既存店の前年比や国外売上比率をを見たところ

既存店売上前年比  3年前対比    5年前対比
OLD NAVY      110%     115%
GAP            91%       81% 
BANANA         92%       82%
全体            101%      97%

国外売上比率
OLD NAVY   9%
GAP        42% 
BANANA    15%
全体        20%

とのことなので、

 アメリカ国内中心に低価格で成長を続けるOLD NAVYを活かし・・・

存続会社に残ったブランドは投資家のご意向で煮るなり焼くなり・・・って感じになってしまうのでしょうかね。

 昨年夏にアメリカを視察した時のGAPやOLD NAVYの店舗の印象ですが
 
彼らよりも規模が大きくなり、販売力のあるTJMaxx(ティージェーマックス)やROSS(ロス)のようなオフプライスストアとの競合にかなり晒されている印象を受けました。

 TJMaxxのプライスポイント(最多価格帯)はOFF後で$19.99、ROSSに至っては同じく$13.99くらいのトップスを
数多く品揃えして販売しているという印象です。

 もともとブランドをOFFして安く販売するオフプライスストアですが、

 顧客にわかりやすい、ズバリ価格設定戦略を採っていますし、アンダーウエアなどの日用品は在庫が充実しています。

 きっとそれが宝物探しの楽しみだけではなく、デイリーユースとしても支持されている要因のひとつでもあるでしょう。

 一方のGAPやOLD NAVYは・・・「らしさ」のあるズバリ価格を通すというよりは、日本のGAPのように従来よりも高めの当初価格をつけて・・・

 しょっちゅう30%-50%OFFで販売するという悪癖が染みついてしまっているような気がして残念でした。

 かつてはそこまではやっていなかったと思うのですが・・・

 オフプライスストア、ディスカウントストア、Amazon含めたオンラインストアがシェアを高めるレッドオーシャンなアメリカのアパレル市場で・・・

 かつて世界一に君臨したGAPがリストラを経てどのような再生が図れるのか? 

 やはりかつては世界一であったTHE LIMITED STOREがファンドの手に渡った後に、最終的に全店閉鎖になったような末路はあまり期待したくはないのですがね・・・

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから

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February 19, 2019

これから10年のファッション消費を考えるビジネス書「アパレル・サバイバル」発売

 筆者3冊目のビジネス書となる

 「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞出版社)

 が今週2月21日(木)に発売、書店の店頭に並ぶことになりました。


 前著「ユニクロ対ZARA」(2014年初版;リンクは2018年更新文庫本)では

 21世紀の勝ち組モデルとして

 ユニクロのベーシック衣料型SPA(アパレル製造小売業)と
 ZARAのトレンドファッションを低価格で販売するファストファッション型SPAの

 それぞれのビジネスモデルを比較することによってアパレルビジネスの構造や急所を解説させて頂きました。

 同著の初版から4年、

 日本でファストファッションブームを巻き起こしたH&Mの上陸から10年が経過し

 あらたな流通革新が起こっているのはお気づきの通りです。

 今回の流通革新は

 オフラインからオンラインへ

 企業から消費者へ
 
 価格から時間へ

 と主戦場と担い手が変わり、テーマも変わって行く大きな転換期なので

 変化のスピードはこれまで以上に速くなることでしょう。

 筆者は日本において、新たな流通革新が欧米の後を追いながら10年周期で起こると見て・・・

 ファストファッションブーム後から海外の動向を観察して来ましたが

 欧米で起こり始めたその波がいよいよ日本にもやって来たように感じています。

 本書のメインテーマは

 「ショッピングのデジタルシフト」

 「溢れるクローゼットの持続可能な循環」

 です。

 英米の先進事例の店頭体験で感じたインスピレーションをもとに

 生活者のショッピングのお困りごと起点で整理して仮説を立て

 オンラインで芽生え始めたショッピング革新の事例を多数取材して

 書き上げました。

 未来を語るので賛否両論あろうかとは思いますが(笑)

 本書がきっかけとなり

 過去の延長線上ではなく、

 生活者のお困りごと起点で

 未来の理想の状態(ビジョン)を描きながら

 そこから逆算する形で

 新しい、斬新な革新の議論が始まることを期待して問題提起をしています。

 出版社さんのご意向もあり挑発的なタイトル・表紙になっていますが・・・(笑)

 未来を前向きに考えるための一冊に仕上げたつもりです。

 店頭でお見かけになりましたら是非お手に取っていただければ幸いです。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
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February 12, 2019

H&Mの2018年11月決算は3年連続の増収大幅減益 縮まるユニクロ(FR)との差

 1月31日に発表されたH&Mの2018年11月期決算は

 売上高 2兆5,311億円(5%増)
 営業利益 1,863億円(25%減)

 の増収大幅減益でした。SEK=12.03円で換算

 これは3年連続の増収大幅減益で

 営業利益率は3年前の14.9%と比べ
 7.4%と大幅に収益率が下がっています。

 四半期ごとに振り返ると・・・

 2017年の第4四半期の失策により過剰在庫を抱えた
 2018年の第1四半期=冬シーズンに大幅値下げを強いられ、

 第2四半期=春は長引いた寒波のあおりを受け苦戦、

 第3四半期=夏と秋 以降は粗利回復も 
 出店と物流および出遅れたデジタルシフトへの投資が先行し、営業利益率は下がります。

 同社はこの1年も引き続き出店を続けて

 アメリカ、中国、イギリス、ドイツの大国に集中出店して

 229店舗を増やし4,968店舗としましたが、

 42店を純増させて578店舗としたアメリカで

 店舗が増えたにもかかわらず、まさかの6%の減収と苦杯を喫しました。

 一方、ロシアや東欧は大きく伸ばしているようです。

 日本は6店舗を増やし91店舗となり1%増の550億円 

 1店舗あたりの販売効率はまだ世界平均の1.2倍ありますが・・・

 一時期よりもだいぶ落ち着きましたね。

 これにより

 先に決算発表をした

 世界第3位のユニクロのファーストリテイリング(FR)の2018年8月期

 売上高   2兆1,300億円(14.4%増)
 営業利益額 2,362億円 (33.9%減)

 と比べると

 H&MとFRの売上高の差は18%程度に縮まり・・・

 営業利益は・・・

 なんとFRがH&Mを上回った、

 いやH&MがFRを下回る結果になったことがわかります。


 今の勢いですと、

 2-3年もすればFRはH&Mの売上を抜き、
 
 世界第2位の売上高のアパレルチェーンに浮上する可能性も出てきましたね。

 気になる世界一のZARAのインディテックスは

 第3四半期までで

 売上高    7.4%増収、
 営業利益額 3%増 (各国の現地通貨ベースでは14%増)

 粗利率は58.0%と0.6%増、
 営業利益率16.7%は変わらず。(いずれも前年同時期比)

 という、伸び率は少し下がっていますが、収益率をキープした中間実績。

 ちなみに同社の店舗数は
 7,442店舗と前年比62店舗を減らし

 スクラップ&ビルド中で売場面積を拡大しながらデジタルシフト投資の真っ最中。

 利益率を下げ、苦戦するライバルたちを尻目に

 出店を抑え、中期的な成長調整期間に入った感があります。

 ここ最近のH&Mの苦戦は

 1.リアルでは価格で下をくぐるプライマーク
  オンラインではASOS、Boohooなどの
  ウルトラファストファッション勢の台頭

 2.H&MのCEOが自ら指摘するように
  デジタルシフト対応の遅れ
  EC売上は22%のびてEC売上比率は14.5%も
  ZARAらに比べ、オンラインと店舗を融合する
  オムニチャネル対応が遅れていること

 3.低賃金を追った生産地のシフトとリードタイムの長期化と
  自らが扱うファストファッションのあるべき店頭商品回転とのギャップの拡大

 の3つにあると見ています。

 この

 ・価格で下をくぐってくる企業の台頭と競合

 ・ショッピングのデジタルシフトの出遅れ

 ・安い人件費、低い原価を追うがための生産リードタイムの長期化

 の問題は決してH&Mら大手グローバルSPAだけでなく・・・

 日本のファッションチェーンにとっても
 他人事では済まされない教訓ではないでしょうか?

 H&Mは今後、

 Find in store 近隣店舗在庫照会
Click&Collect オンライン注文の店舗受け取り
Scan&Buy  店舗からのオンライン注文
In-store mode スマホを店内モードにしての店舗体験の充実
Online return in store オンライン注文商品の店舗返品

 など、デジタルシフト先行企業が顧客のスマホとオンライン情報をつなげて
 店舗を中心に行う各種オムニチャネル施策に力を入れると宣言しています。

 世界のファッションマーケットを変えた
 ファストファッションチェーンの雄、
 グローバル企業H&Mが
 今後、どのようにリカバリー、キャッチアップするか?

 その動向には世界のファッションチェーンが注目しています。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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 ユニクロが世界2位、そして1位になる可能性は?時期は?

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January 14, 2019

ファーストリテイリングの第1四半期決算は増収減益 問われる秋冬依存体質脱皮と夏に儲ける力

 2019年 本年もよろしくお願いいたします。

 今年1本目のブログはファストリテイリングの2019年8月期第1四半期決算のお話からです。

 1月10日に発表された同社の第1四半期決算は4.4%の増収、8.1%(-100億円)の営業減益でした。

 海外ユニクロ事業は12%の増収、12%の営業増益(+61億円)をキープしましたが、

 国内ユニクロ事業が暖冬による4%の減収、30%の大幅減益(-162億円)

 で足を引っ張ったものです。

 今回の決算発表は単に国内苦戦、海外好調という話だけではなく

 同社にとっては今後解決すべき課題が浮き彫りになった結果だったとも思います。


 以前も当ブログで

 2018年8月期の同社ユニクロの復調を取り上げた時にも指摘しましたが、

 ファストリ2018年8月期決算は年商2兆円突破で増収大幅増益。事業別に四半期業績を考察してみると

 ユニクロは秋冬でガッツリ儲けて・・・春夏、特に夏で利益を吐き出す体質があります。

 同社の秋冬物、特に1Qは年間の利益の4割くらいを稼ぐ重要な四半期なので、

 そこを落としたということは結構、痛いと見るべきかな、と

 これは、ファストリに限らず、冬のアウターで売上、利益の多くを稼ぐ、

 日本の多くのアパレル企業には言えることなのですが・・・

 地球温暖化が進み、春と秋が短くなり、

 夏が長くなり、冬は寒波がくればアウターは売れる、暖冬なら売れない

 という傾向は今後も続きそうで、

 各社、秋冬商戦に依存し過ぎる体質からの脱皮と

 春夏、特に夏にいかに利益を残せるかが問われているように思います。

 参考までに、過去のブログで

 ユニクロとZARA(インディテックス)とH&Mのシーズンごとの売上構成比、利益の残し方の違いも比較していますので、マニアックな話しですが、よろしければご覧ください。

 ファーストリテイリングの2018年8月期中間決算は増収増益。 世界一への課題は秋冬依存体質と春夏シーズンの収益性?

 グローバルSPAの中でもユニクロの業績が国内に限らず、グローバルでも秋冬の利益に大きくかかっているのに対し、

 ZARAやH&Mも秋冬の売上シェアはそれなりに大きいものの、夏に利益率を落とさないという体質の違いがあります。

 それは、彼らが同じ北半球の中でもロシアとシンガポールほどの気温差があっても、

 1つの本部で世界統一企画を提供するにはどうしたらよいかを考えた末つかんだ知恵、工夫なのでしょう。

 ※注 北半球と南半球はMDは違います。また、世界統一企画でも各国がその中から何を選ぶかは国別担当に任されています。

 夏が長くなっているのは日本に限らず、グローバルトレンドのようですから、

 夏を1発勝負ではなく、細分化して考え、2回戦以上がある前提に臨み、いかに後半戦の的中率を高めて利益を残す企業が今後勝ち残る時代になることでしょう。

 ユニクロのように日本よりも気温が高いアジアで事業を拡大しようと思えば尚更でしょうね。

 シーズンごとのMDは日頃の在庫最適化のコーチング現場でもよく話題になりますが、

 春は深追いしてはいけないシーズン(得てして力が入りがちですが・・・)

 むしろ夏を早めに立ち上げ当たりを見て、6月に売場をどれだけ人気商品で埋めつくし、
ベストな品揃えで6月のプロパー販売からその後のバーゲン期まで店頭鮮度高く駆け抜けることができるか?

 暖冬で厳しかった冬商戦に落胆している場合ではなく、夏でどうリカバリーするかを考えたいところです。

 さて、ファストリの話に戻りますが、

 同社の2018年度決算には寒波によって例年よりも利益率が高かった1Qと2Qの利益以外にも

 もうひとつラッキーがありました。

 それは2018年3月~4月の気温の上昇により

 夏物が早めに定価でよく売れたことです。

 春を積み込むブランドさんたちは在庫を残したものの

 各シーズンを早めに立ち上げるユニクロにはラッキーな初夏だったはずです。

 ファストリは今回、2019年8月期の通期予測を計画通りの増収増益ので据え置きましたが、

 それは残された3つの四半期で30%以上の増益を果さなければならないことを意味します。

 2つのラッキーに支えられた2018年8月期を越えて

 前年以上によいパフォーマンスを出すには特に春夏(3Qと4Q)に一工夫がいることでしょう。

 過去にもさまざまなハードルを乗り越えて来た同社がどのように対処するのか・・・

 しっかり見守って行きたいと思います。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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December 27, 2018

ワークマンプラス 対 デカトロン

 日経トレンディが2019年ヒット予測ランキングの1位に「デカトロン&ワークマンプラス」を挙げて以来、

 デカトロンって何?と思われた方がググられているようで

 過去のブログ記事(2017年3月)

 世界最大の低価格スポーツ用品チェーン 仏DECATHLON(デカトロン)の衝撃

 にアクセスが増えています。

 デカトロンはフランス本社、世界50カ国に進出し、1500店舗を展開し(本国フランスと中国に店舗が多い)、

 世界 年商1.3兆円規模の80種のスポーツカテゴリーをカバーするプライベートブランド中心の低価格スポーツ用品専門SPA型チェーン

 日本においては

 2017年に自社ECサイトを開設して通販から始め、

 今年、大阪靭公園横に小さなパイロットショップを設け、

 2019年春には西宮ガーデンズに本格的な大型店を出店する予定の

 日本の消費者やチェーンストアがまだ本格遭遇してない、残された 日本未進出 外資黒船チェーンのひとつです。

 詳しくは上記の過去のブログをお読みいただければと思いますが・・・

 11月以降、筆者が非常に興味深く、注目しているのは、

 作業服のフランチャイズチェーン=ワークマンの一般生活者も着用できる機能ウエアに特化した新業態

 「ワークマンプラス」が出店拡大するにあたり、

 日本ではまだ無名の「デカトロン」を自ら盛んに引き合いに出して

 同じ土俵というか、リング?(笑)に一緒に上るための話題作りをしているところです。

 まず、11月8日の繊研新聞では、

 ワークマンの栗山社長が

 「デカトロンを手本に、シーン別の売り場づくり、コーディネートで訴求する魅せ方、販促での打ち出し、店舗数を武器に、店舗網を拡大します。(引用)」

 と、これまでデカトロンを研究していたことを明かしています。

 続いて12月14日づけのワークマン社のプレスリリース 

 「WORKMAN Plus」の今後の出店計画

 では 何と、

 西宮ガーデンズに1号店をオープンする 「デカトロンを迎え撃つ」と名指しし、

 これから近隣に出店するワークマンプラス新店2店舗と100店舗を超えるワークマンの既存店のコーナー拡充でデカトロンへの包囲網をつくり、「西宮戦争」をしかけ、制すると宣言しているのです。

 デカトロンは2020年の東京オリンピック&パラリンピックによるスポーツ文化の盛り上がりを商機と見極め中国に続く大きな市場である日本の攻略のために上陸するタイミング、

 一方、郊外立地で安くて丈夫な作業服を中心に地味に店舗網を拡大していたワークマン(直近決算期末で821店舗)が一般の消費者から機能性を評価されて注目され始め、ブレイク前夜のチャンス

 かたや世界年商1.3兆円の巨大企業デカトロン 

 かたや 現在4店舗ですが、数年内に100店舗体制、年商200億円をめざすという ワークマンプラス  
 (ワークマン自身は 直近決算で 821店舗 店舗年商797億円)

 ワークマンが、今こそチャンスとばかり、デカトロンの2019年日本本格上陸、出店・拡大のタイミングに上手く乗じて・・・自らも飛躍・拡大する目論みを強く感じるのです。


 ちょうど、12月24日付 WWDジャパンには、デカトロン・ジャパンの取材記事が掲載されており、大変興味深く読ませていただきました。

 デカトロン・ジャパン社長は 記事の中で、競合としてワークマンの名は出さず(笑) むしろ、モンベルを意識しているようです。

 また、同社が低価格を実現するための秘訣として、

1) 製造直販型のSPA方式を採用することによってコストコントロールを徹底していること
2) プロモーションに経費をかけず、その分、低価格を追求すること
3) 研究開発施設を多数設けるなど、高機能低価格を実現する研究を重ねていること

を挙げていました。

 なるほど、デカトロンは広告宣伝、プロモーションにはお金をかけない企業ポリシーだけれど・・・

 ワークマンが名指しでメディアを煽ってくれれば、勝手に宣伝になる、こんなありがたいことはない。

 一方、これまで日本で知名度の低かったデカトロンが実は巨大グローバル企業ということで、メディアで注目を浴びれば・・・

 話題のワークマンプラスも、対バン、比較対象役として、メディアも両社を取り上げやすくなりますし、実際、比較できる方が生活者にもわかりやすい、ということで、話題性は高まることになる訳で・・・

 デカトロンにとっても、ワークマンプラスにとっても好都合なことになるでしょう。

 2019年は両社の競演が面白いことになりそうですね。

 
 思い起こせば、ユニクロの飛躍のきっかけになった原宿進出の際には、ユニクロがお手本として研究し続けた、そして、日本で拡大中だったアメリカのGAP(ギャップ)の存在がありましたね。 GAP(ギャップ)なくして今のユニクロはなかったかも知れません。

 また、ニトリの飛躍のタイミングにも、それまで同社が長年研究し続けたスウェーデンのIKEA(イケア)の存在、日本での拡大、メディアと生活者の両社の比較検討があり、切磋琢磨の末、日本企業であるニトリの成長を後押ししたという図式があったと思います。

 ユニクロ対GAP、ニトリ対IKEAを日本勢がローカル戦を制したように・・・

 ワークマンプラス対デカトロンの図式をつくり上げることによって 

 ローカル企業ワークマンは外資大手の「テコの力」を利用して、局地戦を制し、飛躍のジャンプ台とすることはできるのか?

 に注目したいと思います。

 ご参考まで

 デカトロン  
 1店舗あたりの平均売上高  約8.7億円
 これから5年間で毎年2、3店舗ずつ出店し、その後出店加速 
 (WWDジャパンより)

 ワークマンプラス  
 1店舗あたり販売目標  約 2億円  (既存のワークマンは97百万円規模)
 数年で100店舗体制 年商200億円規模を目指す 
 (繊研新聞より)
 
 ※懸念材料 

  ワークマンの粗利率は有価証券報告書から試算すると44.6%
  ローコストオペレーションとFC活用の低い販管費で
  13%の営業利益を上げているビジネスモデル
  今の収益構造では、SCの家賃比率では採算が合わないのでは?
  やはり、ロードサイドのFC店中心の展開?


 話は変わりますが・・・ワークマンが属するベイシアグループ(カインズなど)は

 筆者の記憶では、故渥美俊一先生のペガサスクラブの会員さんだったと思います。

 筆者も事業会社勤務時代はペガサスクラブで多くを学びましたが、渥美先生の教えには

1 欧米視察で先進チェーンを定点観測しながら学び、
  チェーンストアシステムを利用して
  日本の消費者に欧米並みの安さと豊かさを提供すること

2 そのためにPB開発を推進し、広州交易会などで自ら工場を開拓して、
  直接仕様書発注を行うこと

3 店頭では単品ではなく、コーディネートで提案すること 

 などがありました。

 筆者の勝手な想像ではありますが、

 ワークマンは きっとそれらを学んでいて、

1 世界の中でも フランス デカトロンに学び、研究を重ねた

2 商社に頼らず、自ら工場と取引して自社商品を開発して商品バリューを出している

3 これから、店頭ではコーディネートで提案する

 同じペガサスクラブの優等生であるニトリ先輩と同じことを学び、

 自身の業界、市場に応用させながら・・・

 スポーツあるいは機能衣料の分野でユニクロ、ニトリに続き、

 流通革新を起こすことができるのか?

 ワークマンにとって、このチャンスを逃す手はないでしょう。

 かつて同門の一人だった身として・・・陰ながら応援させて頂きたいと思います。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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October 22, 2018

ファストリ2018年8月期決算は年商2兆円突破で増収大幅増益。事業別に四半期業績を考察してみると。

 先ごろユニクロを展開するファーストリテイリングの2018年8月期決算が発表され、年商は2兆1300億円と
いよいよ2兆円を超えましたね。
 
 営業利益率も11.1%と10%台を回復した好決算。

 ユニクロ事業では海外ユニクロ事業が国内ユニクロ事業の売上高を上回り、営業利益についても国内海外とも大幅増益。

 特に海外事業の利益改善が顕著で・・・
 前年比は国内の124%に対し、海外は156%で

 営業利益額は国内外でほぼ同水準となりました。

 日本一のアパレルチェーンであるユニクロは海外売上構成比が50%を超えるまさにグローバル小売業ですね。

 ちなみに、世界のブランド価値ランキングを毎年評価しているインターブランドの定義では海外売上比率が30%を超えるブランドをグローバルブランドと定義づけています。

 このユニクロ事業の大幅増益の要因を四半期ごとに見てみることで、

 ユニクロの利益体質を筆者なりに深掘り、考察してみました。

 過去のエントリー ファーストリテイリングの2018年8月期中間決算は増収増益。 世界一への課題は秋冬依存体質と春夏シーズンの収益性?

でも指摘しましたが・・・

 ユニクロは上半期(秋冬)で利益の7~8割を稼ぎ、下半期(春夏)の特に夏が在庫処分が多いようで儲からず、通年利益を薄めてしまう体質。

 この秋冬依存体質が改善されることが、春夏に利益を稼ぐグローバルツートップ、ZARAやH&Mに並ぶ収益性がつくためのカギになると筆者は見ています。

 以下、ユニクロ(ファストリ)の決算が始まる9月から1Q~4Qのそれぞれの四半期を秋・冬・春・夏と見立てて季節別の稼ぎ方を考察してみます。

 過去3年 2015年~2017年のユニクロの国内海外事業の四半期業績を見ていると

 1Q秋の売上が最も高く、秋→冬→春→夏と売上構成比が下がって行く傾向があります。

 以下 2015年~2017年 四半期ごとの売上構成比

           1Q  2Q  3Q  4Q   
ユニクロ(国内) 29% 28% 24% 19%
ユニクロ(海外) 29% 29% 23% 19%

 同期間の3年累計営業利益率に関しては、
 
 秋で利益を稼いで、冬は処分もあって利益率が下がり、

 春は利益率を一旦持ち直しますが・・・夏は薄利多売で在庫処分という体質が見て取れます。

           1Q  2Q  3Q  4Q 通期
ユニクロ(国内) 20.1% 12.1% 13.8% 3.5% 13.2%
ユニクロ(海外) 13.5% 8.6%  8.4% -2.1% 7.8%

 これに対して前期の2018年8月期は売上の傾向は同じながら

           1Q  2Q  3Q  4Q   
ユニクロ(国内) 30% 27% 24% 19%
ユニクロ(海外) 29% 28% 23% 20%

 同期の営業利益率は
 
           1Q  2Q  3Q  4Q  通年
ユニクロ(国内) 21.1% 14.6% 14.9% -0.7% 13.8%
ユニクロ(海外) 18.0% 13.7% 15.2% 3.5% 13.3%

と2Q冬と3Q春の利益率が良くなっているのがわかります。

 おそらく、

○昨年の寒波のおかげで冬の2Qの利益が値下げを抑制出来、粗利を高水準に保てたこと。

○4月に夏日が多かったことで春の3Qに夏が例年より早く立ち上がり、利益貢献したことが要因ではないかと思われます。

 一方、1Q~3Qでしっかり稼げたので 4Q夏は思い切って在庫を一掃をしたのでしょうね。

 4Q夏は国内は赤字、海外も前年比減益ながら、通期では増収大幅増益の着地というわけです。

 このように見ると冬の寒波と夏の前倒しによって幸運だった決算?とも言えないではないですが・・・

 同社によれば、

 各国の幹部が東京有明に集まって国際在庫コントロール(過不足調整)を始めた成果が出始めた年でもあるようです。

 果たしてユニクロの収益性回復は本物なのか?

 暖冬で寒波が来ず、夏の始まりが遅くなるのであればまた元の収益率になってしまうのか?

 気候についてですが・・・

 筆者は、ここ何年かの気温の変化をクライアント企業さんたちとの在庫最適化の取り組みの視点からご一緒に見ていると、これは地球温暖化の傾向のためでしょうか?

 夏が長くなり、冬も長くなる、一方、春と秋が年々短期化する傾向を強く感じています。

 この傾向は ファッショントレンドよりも、寒くなった、暑くなったの実需に大きく左右されるユニクロにとっては有利に働くという気もしないではありません。

 いずれにしても、ユニクロの前期の稼ぐ力は本物なのか?今後の動向に注目ですね。


 ところで、参考までに微増収も減益だったジーユー事業の四半期(シーズン)別体質も考察してみました。

 四半期売上構成比
           1Q 2Q 3Q 4Q   
2017年8月期  29% 20% 30% 21% 
2018年8月期  29% 21% 29% 21%

とトレンド発信型というだけのことはあり、ユニクロに比べると

春夏、秋冬ともシーズン立ち上がりの秋と春にしかけて売るべく、1Qと3Qに売上の比重をかけるものの・・・

 冬が弱いのがわかります。

 次に四半期ごとの営業利益率推移です。

          1Q  2Q  3Q  4Q  通年
2017年8月期  11.8% 1.5% 12.6% -3.1%  6.8%
2018年8月期  14.8% 0.2% 9.7%  -7.3%  5.5%

なるほど、 ジーユーは秋で稼いで冬は処分でトントン、

春は秋なみに稼いで夏は処分で赤字という体質なんですね。 

 前期2018年8月期の 秋はまずまずだったようですが、

 春がヒット商品不在?だったのでしょうか?

 大きくコケて、夏の処分も過激に行う必要があった、と見てもよいかと思います。

 追記ですが、10月29日の日経MJのジーユー関連の記事によれば、

 ジーユーは業績改善のために、今後ベーシック構成比を大幅に増やすとの方針を持っているようです。

 これは兄貴であるユニクロのように2Q冬を強化し、春でトレンドリスクを追いすぎないようにするための施策なのでしょうか?

 ジーユーのここ数年の伸び悩みは、そのひとつがユニクロの価格の見直し(プライスラインの下方修正)だと
思っていますが、

 ジーユーが自らベーシック化してゆけば・・・

 ユニクロと競合する路線に入って行き、差別化が難しくなるのではないかとの懸念も否めません。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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June 18, 2018

ユニクロのAI(人工知能)を活用した需要予測の取り組み

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6月18日の日経新聞にユニクロがAI(人工知能)を活用した生産改革に乗り出すことに関する記事が掲載されていました。

 記事によれば、AIによって天候やトレンドなど大量のデータを解析して必要な商品枚数を予測する、

 いわゆる需要予測を行うようで、

 同社は、この度、今後の海外展開(出店)および、これらのデジタル投資のために社債を発行して2500億円を調達したとのことです。

 AIが、勘に頼ることが多いと言われるファッションビジネスを

 属人的な業務からある程度標準化した業務に転換し

 ベストプラスティス(上手くやっている人のオペレーション)を短時間で実行することによって

 これまで無駄だった人災的な?ロスが大幅に減ることは期待しておりますが・・・

 こと需要予測となるとどうなのかなぁ?とても関心を持っております。

 つまり、過去のビッグデータを集積して改善できることと

 一方、過去のデータは参考しながらも、変化する環境と購買心理を予測しなければならない需要予測は
また別物だとも思えますが・・・

 過去および現在にどれだけ未来に使える「生きた情報」があるのかに、

 業界最大手が取り組むことにとても興味があります。


 記事にあるように、天候や気温が予測できたらいいですよね。

 気温によって購買行動が変わることはわかっていますから。

 また、ある時期に、価格をどれだけ下げたら、どれだけ売上数量が伸びるのか?のデータも、

 ユニクロさんあたりであればすでに熟練MD(マーチャンダイザー)の経験値を元にしてその係数をお持ちでしょう。
 
 それが効率的にできればいいですね。

 毎年販売されている・・・その時期が来たら・・・ある程度条件が整ったら売れるベーシックなら

 それらの過去データから高い精度で予測可能な部分も多いのかも知れません。


 一方、ユニクロがその背中を追いかけているZARAを展開するインディテックスグループは、

 もちろんユニクロのようにベーシックの単品商品も扱いますが、

 トレンド商品のコーディネート提案に力を入れているため、

 過去に売れた商品のPOSデータよりも、

 むしろ顧客が試着をしたにも関わらず購買に至らなかった商品を分析することで

 これからシーズン中にどんな商品をつくり足すべきかを予測することで知られています。 

 そこには、興味を持ったのに、購入しなかったという・・・

 また違う角度の顧客の潜在需要の情報が含まれていますからね。

 おそらく、過去の販売実績データだけでなく、身近にあるけど体系化されていない・・・
 
 そんな未来予測のヒントも取捨選択して入れてあげないとAIはビジネスに有益な未来予測はしてくれないことでしょう。

 それから、

 商業施設の期間限定10%OFFだけでなく、クーポンを乱発するECモールが多数出現し、

 セール期に限らず、それ以外の時期にも商品を安く買う手だてを知っている、賢い消費者が増えている昨今、
値下げによる売上数増加予測もいままでとはちょいと勝手が違うのではないかとも思えます。

 もっとも、昔から、

 出来ないと決めつけず、どうすれば出来るか?にしっかり取り組んで成長してきたユニクロさんですから・・・

 何らかの解を見つけ出すことに期待しています。

 世界トップクラスのアパレルチェーンとトップクラスのITコンサル会社が組んだ

 業界の先端のAI活用の取り組みを興味をもって見守りたいと思います。


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May 14, 2018

世界アパレル専門店売上ランキング2017 トップ10

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 世界の大手アパレル専門店各社の2017年度の売上高や利益などをまとめる機会ができましたので、毎年恒例になりました売上高のランキングTOP10を共有させていただきます。

 円建て比較にあたり、為替レートは2018年1月末の €=135円、スウェーデンクローナ=13.8円、US$=108.8円、英国£=153.9円で換算しています。
 
 尚、7位のC&Aのみ2017年決算が入手できませんでしたので Deloitte Global Powers of Retailing2018と2017を参考にした2016年度の売上高を表示しています。

順位 社名 本社;決算期 売上高 前年増減 営業利益 営業利益率 期末店舗数 基幹業態
1位 インディテックス (西;2018.1期) 3兆4203億円 8.7% 5823億円 17.0% 7475 ZARA
2位 H&M (瑞;2017.11期) 2兆7600億円 4.0% 2838億円 10.3% 4739 H&M
3位 ファーストリテイリング (日;2017.8期) 1兆8619億円 4.2% 1764億円 9.5% 3294 UNIQLO
4位 GAP (米;2018.1期) 1兆7248億円 2.2% 1609億円 9.3% 3594 OLD NAVY
5位 Lブランズ (米;2018.1期) 1兆3742億円 0.5% 1879億円 13.7% 3075 Victoria's Secret
6位 プライマーク (愛;2017.9期) 1兆0854億円 18.6% 1131億円 10.4% 345 Primark
7位 C&A ヨーロッパ (独;2017.2期) 8390億円 -3.1% 非公開 非公開 1575 C&A
8位 アセナリテール (米;2017.7期) 7234億円 -4.9% -142億円 赤字 4807 Ann Taylor Justice
9位 ネクスト (英;2018.1期) 6241億円 -1.0% 1169億円 18.7% 528 NEXT
10位 しまむら (日;2018.2期) 5651億円 -0.1% 428億円 7.6% 2145 しまむら
                                        備考-米TJMaxx、Ross のオフプライスストア2社は、売上規模でトップ10に入る規模ですが、メーカーや専門店が放出した過剰在庫を販売する二次流通マーケットのため除外しました。また、中国で拡大を続け、売上規模では9位あたりに位置すると目されるE.LandWorld(韓国)は売上規模以外の実態が掴めないため除外しました。

以下 ランキングに対する解説です。

 1位のインディテックスグループは9%増収、7%営業増益、と着実な増収増益。ローカル通貨ベースでの伸び率は10%の増収12%の増益だったようです。(以下利益は営業利益を指します)。

 進出国を1か国増やし94か国とし、グローバル展開を続けながら、この1年は特に香港、トルコ、メキシコに数多く出店したようです。

 一方、スペイン、中国はスクラップ&ビルドを進めているようです。

 また、ここ数年、ZARAが過去において手薄だったアメリカへの出店を強めているのも気になります。(ここ4年で87店舗へ倍増しました)

 初めて明かしたオンライン売上構成比は10%(展開国では12%)、前年比は41%増、既存店売上高もトップ10企業の中でダントツの5%増でした。

 2位のH&Mは4%の増収、14%の減益に終わりました。

 H&Mの減益は2年連続、営業利益率も10%の水準にまで落ちています。

 同社は同期も中国、アメリカへ集中して388店舗も出店をしましたが、

 店舗数を増やしたほど売上は伸びず、

 トップ10企業の他社は既存店のスクラップ&ビルドを行って店舗の純増数は鈍化しているにも変わらず、積極出店が裏目に出たようです。

 後述するプライマークの躍進やイギリスのウルトラファストファッション系ECサイト達にシェアを奪われているようです。デジタル戦略への遅れが業績に表われていることはH&MのCEO自身も認めています。

 3位はファーストリテイリング。4%増収も38%増益、営業利益率9.5%と復調しました。

 国内ユニクロ事業の回復、海外ユニクロ事業の好調が要因で、営業利益率も国内11.8%に対して海外10.3%と海外も相当稼ぐ力がついて来ましたね。

 その後の2018年上半期では、ユニクロの海外の売上は国内を上回り・・・

 営業利益の構成比が逆転するのも時間の問題。

 いよいよユニクロは国内事業一本打法から、海外で稼ぐブランドへの脱皮を果たしたと言えるのではないでしょうか?

 4位のGAPは米国内のGAPおよびバナリパの不採算店舗の大量整理にメドがついたようで、2%の増収、24%の増益とこちらも復調。 

 ただ、日本から撤退したOLD NAVYが北米において1ブランドで気を吐いている感が否めません。

 また、久々に同社の米国内売上比率を見ましたが・・・

 80%と年々ドメスティック比率が高まっています。かつて世界一だったGAPとて、アメリカのチェーン店は海外で通用しづらい?というジンクスを覆すことはできなかったのでしょうか。
 
 5位のLブランズは0.5%の微増収も13%の大幅減益。

 ビューティ部門=バス&ボディワークスは引き続き好調だったようですが、

 基幹ブランド ヴィクトリアシークレットが政策的に水着とアパレルの販売を中止したのが減益要因で、

 同社はランジェリーのMD改革も含めてこの結果は織り込み済みとしています。

 6位以下に関しては・・・

 6位に浮上したプライマークはいよいよ年商1兆超え。

 19%の増収、7%の増益、10%の営業利益率と、インディテックスに次ぐ好業績企業と言えそうです。世界ランクトップ5入りも時間の問題でしょう。

 昨年夏にロンドンでプライマークの新しい旗艦店(オックスフォードストリートの東側の店)を視察しましたが・・・

 同ストリート 西側の旧旗艦店と比べるとわかりますが、一皮むけておしゃれで、選びやすい店舗が印象的で、進化のほどを感じました。 特に、ロンドンハイストリートでH&Mを苦しめている様子が感じられます。

 同社は2015年にアメリカ進出を果たしていますが、こちらの方はまだ試行錯誤状態のようです。

 9位のネクストは既存店のスクラップ&ビルトと高いEC売上比率(40%超)で、これまで堅調な売上高と高い営業利益率を保って来ましたが・・・

 いよいよ踊り場を迎えているようです。

 同社の戦略は欧米日など成熟マーケットにおけるチェーン店の生き残り策のお手本になるかと期待をしていたのですが・・・ 10%近い既存店の減収は痛いです。

 世界のファッション流通の最激戦地、イギリス、ロンドンでは日本以上の熾烈な勝ち残り競争が繰り広げられているようです。

 さて、

 今回のTOP10を見渡すと大きな増収、増益を達成したのはインディテックス、プライマークの2社です。

 また、ファーストリテイリングとGAPの利益の復調も見て取れます。

 一方、これまで 高い利益率を上げながらポストファストファッション時代に勝ち残る施策のいくつかの選択肢として注目して来た、

 ビューティ部門を強化する米Lブランズ、

 クリック&コレクトを中心にオムニチャネルとそのプラットホームづくりに力を入れて来た英NEXT

の2社が今踊り場を迎えています。


 ここ数年着実に伸ばしているZARAとプライマークから見習うべきことは2点あると思います。

 まずひとつは、

 目の届く近隣国と人件費の安価な国をバランスよく使い分けるハイブリッド型生産 です。

 3年連続で申し上げる話になりますが・・・

 長いリードタイムをかけて低賃金の国においてローコストで商品をつくり、

 つくったものを売り切るビジネスモデルはリスクが大きく(売上は上がるが利益をコントロールしづらい)、

 そういったグローバル資本主義的なビジネスモデルが「限界」に近づきつつあります。

 ここ数年のH&Mの様子は、まさにその反面教師的な姿かも知れません。

 一方、見習うべきはZARAのインディテックス社の近隣国とアジア生産を組み合わせるハイブリッド生産です。

 超低価格のプライマークも、かつての反省を活かし、トルコや東欧などの近隣国 短サイクル生産とベトナム中国バングラデシュの中長期生産を併用して成果を上げているようです。


 そして、そんなサプライチェーン改革と同時に進めなければならないもうひとつのチャレンジは

 ストアとオンラインの完全統合への道 です。


○ アプリによる来店前の顧客とのコミュニケーション

○ クリック&コレクト(オンライン注文の店舗受け取り)、

○ スキャン&バイ(店舗からのオンライン注文)

など、

 いわゆるオムニチャネル戦略に関してもZARAのインディテックスが半歩先を行っています。

 2018年はファストファッションからスマートショッピングの時代への大転換点。
 
 急成長しているからと言っても、プライマークのような更なる低価格路線を追及しても大資本には到底敵いませんので・・・

 ZARAの一連の取り組みを見習い、顧客の購買行動の変化に柔軟に対応できるサプライチェーンとオンラインの体制を早期に整えたいところです。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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April 16, 2018

ファーストリテイリングの2018年8月期中間決算は増収増益。 世界一への課題は秋冬依存体質と春夏シーズンの収益性?

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 4月12日にリリースされたファーストリテイリング(FR)の2018年8月期上期決算(2017年9月~2018年2月)は

 売上高   1兆1867億円 前年比16.6%増
 
 営業利益   1704億円    同   30.5%増

 営業利益率  14.4%(+1.6%)

の 二桁の増収増益。 

 この上期の好業績を受けて 通期見通しを

 売上高   2兆1100億円 前年比 +13.3%

 営業利益   2250億円   同 +27.5%

 営業利益率  10.7%(+1.2%)

 に 上方修正されました。

 また、同時に、2022年度にグループ年商3兆円の目標を掲げましたね。

 世界最大のアパレル専門店企業である、ZARA(ザラ)を展開するインディテックスグループ(ITX) は
 2018年1月期決算で3兆円を突破したので、

 FR社は 4年半遅れでITX社の背中を追うことになります。

 この上半期(秋冬)のユニクロ国内事業、海外事業の合計の

 ユニクログローバル事業の売上高、営業利益は過去最高。

 売上高に関しては海外事業がいよいよ国内事業を抜きましたね。

ユニクロ(国内)
 売上高    4936億円
 営業利益    887億円
 営業利益率 18.0%

ユニクロ(海外)
 売上高    5074億円 
 営業利益    807億円
 営業利益率   15.9%

ユニクロ計
 売上高    10、010億円
 営業利益   1694億円
 営業利益率   16.9%

 ユニクロ事業の営業利益がここまで良かったのは海外事業の躍進、利益改善が大きいですが・・・

 筆者はこの秋冬の世界的な寒波にだいぶ助けられたところもあるかとも思っています。


 さて、上半期(秋冬シーズン)は良かったユニクロ(FR社)ですが・・・

 FR社の場合、これからの春夏シーズンが弱く、利益率が低いのが長年の課題です。

 四半期で業績を見ている投資家さんたちはよくご存じだと思いますが・・・

 FR社は上半期(秋冬)で稼いだ利益、その収益性を下半期(春夏)で薄めてしまうという体質を持っています。

 いい機会だったので、四半期(≒季節)ごとのユニクロとZARA(ザラ)とH&Mの

 売上と収益性を比較してみましたのでご紹介させていただきますね。

 以下は
 
 ユニクロ国内事業、海外事業、ZARA(ITX)、H&Mの四半期ごとの

 売上構成比と営業利益率の過去3年平均を並べたものです。

 平均と言っても3年時系列で数字を見たところ、実態を表していると言っても間違いありませんので
 こちらに基づいて話しを進めてみます。

 お断りですが、
 
 決算期はユニクロは8月期
 ZARAは1月期
 H&Mは11月期と違うので

 各社の四半期を春夏秋冬のそれぞれのシーズンに当てはめて

 ユニクロの決算期がはじまる秋を先頭にして比較できるように並べてみました。

 (注:ユニクロが今回発表した2018年8月期上期は含まず2017年8月期までのデータです)

UQとH&Mの四半期 9-11月 12-2月 3-5月 6-8月
ZARAの四半期 8-10月 11-1月 2-4月 5-7月
【売上構成比】 年間
ユニクロ(国内) 29% 28% 24% 19% 100%
ユニクロ(海外) 29% 29% 23% 19% 100%
ITX 25% 30% 21% 24% 100%
H&M 26% 23% 25% 26% 100%
【営業利益率】 年間
ユニクロ(国内) 20.1% 12.1% 13.8% 3.5% 13.2%
ユニクロ(海外) 13.5% 8.6% 8.4% ‐2.1% 7.8%
ZARA(ITX) 20.3% 17.7% 14.9% 15.8% 17.3%
H&M 12.7% 8.4% 15.9% 12.4% 12.5%

 特に ユニクロとZARAの違いに注目して頂きたいですが、

 共に春夏に比べて秋冬の売上構成比が高いのは同じです。

 ユニクロ(国内、海外とも) 58%:42%
 ZARA             55%:45%

 これは両者とも秋冬と春夏の単価の差が大きいからであると考えます。

 次に季節別売上構成比とそれぞれの営業利益率を見てみると

 ユニクロの売上構成比は 

 秋の構成比が最も高く、冬から春、夏にかけて売上高が下がる特徴があります。

 また、営業利益に関しては

 ユニクロは秋(1Q)次に冬(2Q)でガッツリ儲け

 春夏はシーズンを追うごとに収益性が下がって行きます。

 特に立ち上がりの秋と冬の利益率の差

     同様に   春と夏の利益率の差

 が大きいですね。

 これらの数字からそれぞれのシーズン立ち上がりに仕込んだ商品を価格を下げながら・・・

 「売り減らし販売」をしていることがわかります。

 一方のZARA(ITX)は

 売上構成比に関しては

 秋よりも冬に売上が上がり

 春よりも夏に売上が上がる

 傾向があります。

 またユニクロと比べて

 営業利益率に関しては

 秋冬の立ち上がりの秋の利益率に比べ

 冬はセール期(1月)を含むはずなのに利益率がそれほど落ちない

 春夏の立ち上がりの春の利益率に比べ

 夏はセール期(7月)を含む割に、逆に利益率が上がっている

ことがわかります。

 つまり、シーズン立ち上がりに用意した商品に対し

 シーズン中に反省を行って、改良することによって

 店頭商品の内容が尻上がりに良くなっている=お客様に支持され利益を稼げる

 品揃えになっていると言えそうです。


 これはまさしく拙著「ユニクロ対ZARA」の中でも明らかにした

 両社の

 「つくったものを売り切る」のか

 「売れるものをつくる」のか

 の体質を数字が如実に表していますよね。


 ユニクロが世界一を目指すのであれば・・・

 規模だけでなく、

 秋冬だけに頼る、春夏に儲けられない体質から抜け出す

 ことが大きな鍵になることでしょう。

 これは今後、東南アジアで、更には南半球での拡大も視野にいれたユニクロには・・・

 避けて通れない課題でしょうね。


 ちなみにH&Mは

 秋冬よりも春夏が強い傾向があります。

 秋(同社にとっては4Q)で決算期末の追い込みを行い

 そのの反動か? 冬(翌第1四半期)は売上利益ともに下がる構図を持っていますから、

 残暑や暖冬になると弱く、寒波のご利益も少ないかも知れません。

 タイムリーに暑い夏が来て、夏物が売れ、

 残暑がなく、運よく秋が到来すれば、強いのでしょうが・・・

 それらが崩れると弱い体質?なのではないでしょうか?


 グローバルトップ3と言っても、

 それらの体質の違いから・・・

 シーズンごとの勝負のしかたが違う、稼ぎ方が違うことはとても興味深いですね。

 グローバルトップの競合は単なる規模の拡大だけでなく

 地政学や気温帯をも考慮した・・・

 各地での顧客購買心理とそれに対する柔軟な対応こそが

 勝負の分かれ目になる、ハイレベルな競争の様相を呈しています。

 関連エントリー‐世界アパレル専門店売上ランキング2016 トップ10

 関連エントリー‐ZARAのインディテックスグループ、サステイナブル経営からインフラ投資への好循環

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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March 23, 2018

ZARA(ザラ)のインディテックスグループの2017年決算は増収増益~実店舗とオンラインの完全統合モデルを着実に進め安定的な成長が続く

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 3月14日に発表されたZARAのインディテックスグループの2018年1月期決算レポートに目を通しました。

 売上高は 3兆4203億円 前年比9%増 
 営業利益は 5824億円 同  7%増
 営業利益率 17%    同0.2%減
 期末店舗数 7475店    同 +183店
 為替レートは1月31日の€=135円で換算

 でした。

 一方、2017年11月に締めたH&Mの決算は

 売上高 2兆7600億円 前年比4%増 
 営業利益は 2838億円 同 14%減
 営業利益率 10.3% 同 2.1%減
 店舗数 4739店   同 +388
 為替レートは1月31日のSEK=13.8円で換算

でした。

 安定的な増収増益を続けるファッション専門店世界売上ランク1位のインディテックスは、
 一方で売上が伸び悩み、連続減益となり、CEOがデジタル戦略に乗り遅れたと猛省する2位のH&Mを大きく引き離しましたね。

 両社の営業利益額が2倍も差がついたのが印象的です。

 株式時価総額に関しては10.5兆 vs 2.9兆と3倍以上もの差です。 

 今回の決算数値、インディテックス自身も若干伸びが鈍化したように見えますが・・・

 同社はこの説明として、ここ半年間の急激なユーロ高の影響を挙げており、(ユーロの商品原価に対して、売上高の回収が為替で目減りしたことによる利益率の低下)

 各国の現地通貨ベースでは10%の増収、12%の増益だと説明しています。

 既存店売上も世界のすべての地域で伸びており、グローバル平均で5%の増収(オンライン含む)とのことで、万事健全であるとのことです。

 今回の決算のトピックを3つ挙げると、

 まず、初めてオンラインの売上比率を開示しましたね。

 オンライン売上比率は 全体の売上に対して 10%
 オンライン販売を実施している地域の売上に対しては  12%
 前年比41%の増収とのことです。

 ざっと計算すると、実店舗だけでは約7%の増収 

 期末店舗数の伸びは2.4%増ですが、売場面積を7%増やしています。
 
 そうすると、既存店リアル店舗単体レベルでも微増収は続けている模様です。

 ふたつめは 積極的な店舗のスクラップアンドビルドと好立地への大型化しての移転の加速です。

 H&Mの引き続き旺盛な出店と比べると、店舗数の純増数(新店-閉店)は鈍化(2.4%増)したかに見えますが・・・

 これは成長を緩めているのではなく、むやみに店舗を増やすよりも、スクラップ&ビルドで店舗の量よりも質への転換に力を入れています。

 今年度524店出店していますが、341もの店舗を閉め、一方で、144店を改装し、122店を大型化しています。その結果、既述のように売場面積は7%増。

 これはすべてのファッションチェーンに言えることですが、

 世界中でオンライン経由の売上が増える中、既存店の質の見直しは同時に行わなければならない経営戦略のひとつであることは言うまでもありません。

 オンライン売上のアップだけに力を入れて、うつつを抜かしていると、不採算店舗や低利益率の店舗がいずれは遅かれ早かれお荷物になり、経営を深刻に圧迫することは間違いありません。

 同社は過去6年間の間に全体の80%の売場スペースがリニューアル済みとのことで、

 このあたりの対応もこれから本格化するオムニチャネル時代に臨戦体制の準備に怠りありませんね。

 3つめは 同社が「ビジョン」に掲げる 「実店舗とオンラインの完全統合モデル」へのアクセルです。

 この度 チェアマンであり、CEOであるパブロ・イスラ氏の下にCOO(最高執行責任者)としてに選任されたカルロス・クレスポ氏は

 IT、ロジスティック、運送、労務、商品調達およびサステイナビリティの各部署をコーディネートする役割の担当役員です。

 これからの同社の明確なビジョン実現にあたって最高執行責任者にこのポストを担わせるということは、
同社のビジョン実現へのスピードアップの覚悟を感じます。

 また、オンラインの新サービスとしては、マドリッド、ロンドン、パリ、上海など世界の一部の都市でオンライン注文の同日受け取りサービスを始め、

 スペイン、イギリス、フランス、中国など複数の国で翌日配送が始まっています。 

 それから、スペインやイギリスの一部の大型店で、オンライン注文の店舗での自動ピックアップ装置を導入・稼働させ始めるとのことです。

 筆者が最近講師を務めたある講演で、

 「ZARAにとって、Amazonは脅威か?」という質問がありましたが・・・

 今回の決算を見ても、施策を聴いても、AmazonPrimeに負けないくらいの配送の利便性を自前主義でしっかり準備されているようですね。

 インディテックス社はしばらく死角なし、

 そして、世界のすべてのファッションリテイラーが進むべき道の半歩先を行くお手本のひとつ

 と言っても言い過ぎではなさそうです。

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 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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 【関連書籍】
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  
 
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