October 22, 2018

ファストリ2018年8月期決算は年商2兆円突破で増収大幅増益。事業別に四半期業績を考察してみると。

 先ごろユニクロを展開するファーストリテイリングの2018年8月期決算が発表され、年商は2兆1300億円と
いよいよ2兆円を超えましたね。
 
 営業利益率も11.1%と10%台を回復した好決算。

 ユニクロ事業では海外ユニクロ事業が国内ユニクロ事業の売上高を上回り、営業利益についても国内海外とも大幅増益。

 特に海外事業の利益改善が顕著で・・・
 前年比は国内の124%に対し、海外は156%で

 営業利益額は国内外でほぼ同水準となりました。

 日本一のアパレルチェーンであるユニクロは海外売上構成比が50%を超えるまさにグローバル小売業ですね。

 ちなみに、世界のブランド価値ランキングを毎年評価しているインターブランドの定義では海外売上比率が30%を超えるブランドをグローバルブランドと定義づけています。

 このユニクロ事業の大幅増益の要因を四半期ごとに見てみることで、

 ユニクロの利益体質を筆者なりに深掘り、考察してみました。

 過去のエントリー ファーストリテイリングの2018年8月期中間決算は増収増益。 世界一への課題は秋冬依存体質と春夏シーズンの収益性?

でも指摘しましたが・・・

 ユニクロは上半期(秋冬)で利益の7~8割を稼ぎ、下半期(春夏)の特に夏が在庫処分が多いようで儲からず、通年利益を薄めてしまう体質。

 この秋冬依存体質が改善されることが、春夏に利益を稼ぐグローバルツートップ、ZARAやH&Mに並ぶ収益性がつくためのカギになると筆者は見ています。

 以下、ユニクロ(ファストリ)の決算が始まる9月から1Q~4Qのそれぞれの四半期を秋・冬・春・夏と見立てて季節別の稼ぎ方を考察してみます。

 過去3年 2015年~2017年のユニクロの国内海外事業の四半期業績を見ていると

 1Q秋の売上が最も高く、秋→冬→春→夏と売上構成比が下がって行く傾向があります。

 以下 2015年~2017年 四半期ごとの売上構成比

           1Q  2Q  3Q  4Q   
ユニクロ(国内) 29% 28% 24% 19%
ユニクロ(海外) 29% 29% 23% 19%

 同期間の3年累計営業利益率に関しては、
 
 秋で利益を稼いで、冬は処分もあって利益率が下がり、

 春は利益率を一旦持ち直しますが・・・夏は薄利多売で在庫処分という体質が見て取れます。

           1Q  2Q  3Q  4Q 通期
ユニクロ(国内) 20.1% 12.1% 13.8% 3.5% 13.2%
ユニクロ(海外) 13.5% 8.6%  8.4% -2.1% 7.8%

 これに対して前期の2018年8月期は売上の傾向は同じながら

           1Q  2Q  3Q  4Q   
ユニクロ(国内) 30% 27% 24% 19%
ユニクロ(海外) 29% 28% 23% 20%

 同期の営業利益率は
 
           1Q  2Q  3Q  4Q  通年
ユニクロ(国内) 21.1% 14.6% 14.9% -0.7% 13.8%
ユニクロ(海外) 18.0% 13.7% 15.2% 3.5% 13.3%

と2Q冬と3Q春の利益率が良くなっているのがわかります。

 おそらく、

○昨年の寒波のおかげで冬の2Qの利益が値下げを抑制出来、粗利を高水準に保てたこと。

○4月に夏日が多かったことで春の3Qに夏が例年より早く立ち上がり、利益貢献したことが要因ではないかと思われます。

 一方、1Q~3Qでしっかり稼げたので 4Q夏は思い切って在庫を一掃をしたのでしょうね。

 4Q夏は国内は赤字、海外も前年比減益ながら、通期では増収大幅増益の着地というわけです。

 このように見ると冬の寒波と夏の前倒しによって幸運だった決算?とも言えないではないですが・・・

 同社によれば、

 各国の幹部が東京有明に集まって国際在庫コントロール(過不足調整)を始めた成果が出始めた年でもあるようです。

 果たしてユニクロの収益性回復は本物なのか?

 暖冬で寒波が来ず、夏の始まりが遅くなるのであればまた元の収益率になってしまうのか?

 気候についてですが・・・

 筆者は、ここ何年かの気温の変化をクライアント企業さんたちとの在庫最適化の取り組みの視点からご一緒に見ていると、これは地球温暖化の傾向のためでしょうか?

 夏が長くなり、冬も長くなる、一方、春と秋が年々短期化する傾向を強く感じています。

 この傾向は ファッショントレンドよりも、寒くなった、暑くなったの実需に大きく左右されるユニクロにとっては有利に働くという気もしないではありません。

 いずれにしても、ユニクロの前期の稼ぐ力は本物なのか?今後の動向に注目ですね。


 ところで、参考までに微増収も減益だったジーユー事業の四半期(シーズン)別体質も考察してみました。

 四半期売上構成比
           1Q 2Q 3Q 4Q   
2017年8月期  29% 20% 30% 21% 
2018年8月期  29% 21% 29% 21%

とトレンド発信型というだけのことはあり、ユニクロに比べると

春夏、秋冬ともシーズン立ち上がりの秋と春にしかけて売るべく、1Qと3Qに売上の比重をかけるものの・・・

 冬が弱いのがわかります。

 次に四半期ごとの営業利益率推移です。

          1Q  2Q  3Q  4Q  通年
2017年8月期  11.8% 1.5% 12.6% -3.1%  6.8%
2018年8月期  14.8% 0.2% 9.7%  -7.3%  5.5%

なるほど、 ジーユーは秋で稼いで冬は処分でトントン、

春は秋なみに稼いで夏は処分で赤字という体質なんですね。 

 前期2018年8月期の 秋はまずまずだったようですが、

 春がヒット商品不在?だったのでしょうか?

 大きくコケて、夏の処分も過激に行う必要があった、と見てもよいかと思います。

 追記ですが、10月29日の日経MJのジーユー関連の記事によれば、

 ジーユーは業績改善のために、今後ベーシック構成比を大幅に増やすとの方針を持っているようです。

 これは兄貴であるユニクロのように2Q冬を強化し、春でトレンドリスクを追いすぎないようにするための施策なのでしょうか?

 ジーユーのここ数年の伸び悩みは、そのひとつがユニクロの価格の見直し(プライスラインの下方修正)だと
思っていますが、

 ジーユーが自らベーシック化してゆけば・・・

 ユニクロと競合する路線に入って行き、差別化が難しくなるのではないかとの懸念も否めません。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから
 
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April 16, 2018

ファーストリテイリングの2018年8月期中間決算は増収増益。 世界一への課題は秋冬依存体質と春夏シーズンの収益性?

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 4月12日にリリースされたファーストリテイリング(FR)の2018年8月期上期決算(2017年9月~2018年2月)は

 売上高   1兆1867億円 前年比16.6%増
 
 営業利益   1704億円    同   30.5%増

 営業利益率  14.4%(+1.6%)

の 二桁の増収増益。 

 この上期の好業績を受けて 通期見通しを

 売上高   2兆1100億円 前年比 +13.3%

 営業利益   2250億円   同 +27.5%

 営業利益率  10.7%(+1.2%)

 に 上方修正されました。

 また、同時に、2022年度にグループ年商3兆円の目標を掲げましたね。

 世界最大のアパレル専門店企業である、ZARA(ザラ)を展開するインディテックスグループ(ITX) は
 2018年1月期決算で3兆円を突破したので、

 FR社は 4年半遅れでITX社の背中を追うことになります。

 この上半期(秋冬)のユニクロ国内事業、海外事業の合計の

 ユニクログローバル事業の売上高、営業利益は過去最高。

 売上高に関しては海外事業がいよいよ国内事業を抜きましたね。

ユニクロ(国内)
 売上高    4936億円
 営業利益    887億円
 営業利益率 18.0%

ユニクロ(海外)
 売上高    5074億円 
 営業利益    807億円
 営業利益率   15.9%

ユニクロ計
 売上高    10、010億円
 営業利益   1694億円
 営業利益率   16.9%

 ユニクロ事業の営業利益がここまで良かったのは海外事業の躍進、利益改善が大きいですが・・・

 筆者はこの秋冬の世界的な寒波にだいぶ助けられたところもあるかとも思っています。


 さて、上半期(秋冬シーズン)は良かったユニクロ(FR社)ですが・・・

 FR社の場合、これからの春夏シーズンが弱く、利益率が低いのが長年の課題です。

 四半期で業績を見ている投資家さんたちはよくご存じだと思いますが・・・

 FR社は上半期(秋冬)で稼いだ利益、その収益性を下半期(春夏)で薄めてしまうという体質を持っています。

 いい機会だったので、四半期(≒季節)ごとのユニクロとZARA(ザラ)とH&Mの

 売上と収益性を比較してみましたのでご紹介させていただきますね。

 以下は
 
 ユニクロ国内事業、海外事業、ZARA(ITX)、H&Mの四半期ごとの

 売上構成比と営業利益率の過去3年平均を並べたものです。

 平均と言っても3年時系列で数字を見たところ、実態を表していると言っても間違いありませんので
 こちらに基づいて話しを進めてみます。

 お断りですが、
 
 決算期はユニクロは8月期
 ZARAは1月期
 H&Mは11月期と違うので

 各社の四半期を春夏秋冬のそれぞれのシーズンに当てはめて

 ユニクロの決算期がはじまる秋を先頭にして比較できるように並べてみました。

 (注:ユニクロが今回発表した2018年8月期上期は含まず2017年8月期までのデータです)

UQとH&Mの四半期 9-11月 12-2月 3-5月 6-8月
ZARAの四半期 8-10月 11-1月 2-4月 5-7月
【売上構成比】 年間
ユニクロ(国内) 29% 28% 24% 19% 100%
ユニクロ(海外) 29% 29% 23% 19% 100%
ITX 25% 30% 21% 24% 100%
H&M 26% 23% 25% 26% 100%
【営業利益率】 年間
ユニクロ(国内) 20.1% 12.1% 13.8% 3.5% 13.2%
ユニクロ(海外) 13.5% 8.6% 8.4% ‐2.1% 7.8%
ZARA(ITX) 20.3% 17.7% 14.9% 15.8% 17.3%
H&M 12.7% 8.4% 15.9% 12.4% 12.5%

 特に ユニクロとZARAの違いに注目して頂きたいですが、

 共に春夏に比べて秋冬の売上構成比が高いのは同じです。

 ユニクロ(国内、海外とも) 58%:42%
 ZARA             55%:45%

 これは両者とも秋冬と春夏の単価の差が大きいからであると考えます。

 次に季節別売上構成比とそれぞれの営業利益率を見てみると

 ユニクロの売上構成比は 

 秋の構成比が最も高く、冬から春、夏にかけて売上高が下がる特徴があります。

 また、営業利益に関しては

 ユニクロは秋(1Q)次に冬(2Q)でガッツリ儲け

 春夏はシーズンを追うごとに収益性が下がって行きます。

 特に立ち上がりの秋と冬の利益率の差

     同様に   春と夏の利益率の差

 が大きいですね。

 これらの数字からそれぞれのシーズン立ち上がりに仕込んだ商品を価格を下げながら・・・

 「売り減らし販売」をしていることがわかります。

 一方のZARA(ITX)は

 売上構成比に関しては

 秋よりも冬に売上が上がり

 春よりも夏に売上が上がる

 傾向があります。

 またユニクロと比べて

 営業利益率に関しては

 秋冬の立ち上がりの秋の利益率に比べ

 冬はセール期(1月)を含むはずなのに利益率がそれほど落ちない

 春夏の立ち上がりの春の利益率に比べ

 夏はセール期(7月)を含む割に、逆に利益率が上がっている

ことがわかります。

 つまり、シーズン立ち上がりに用意した商品に対し

 シーズン中に反省を行って、改良することによって

 店頭商品の内容が尻上がりに良くなっている=お客様に支持され利益を稼げる

 品揃えになっていると言えそうです。


 これはまさしく拙著「ユニクロ対ZARA」の中でも明らかにした

 両社の

 「つくったものを売り切る」のか

 「売れるものをつくる」のか

 の体質を数字が如実に表していますよね。


 ユニクロが世界一を目指すのであれば・・・

 規模だけでなく、

 秋冬だけに頼る、春夏に儲けられない体質から抜け出す

 ことが大きな鍵になることでしょう。

 これは今後、東南アジアで、更には南半球での拡大も視野にいれたユニクロには・・・

 避けて通れない課題でしょうね。


 ちなみにH&Mは

 秋冬よりも春夏が強い傾向があります。

 秋(同社にとっては4Q)で決算期末の追い込みを行い

 そのの反動か? 冬(翌第1四半期)は売上利益ともに下がる構図を持っていますから、

 残暑や暖冬になると弱く、寒波のご利益も少ないかも知れません。

 タイムリーに暑い夏が来て、夏物が売れ、

 残暑がなく、運よく秋が到来すれば、強いのでしょうが・・・

 それらが崩れると弱い体質?なのではないでしょうか?


 グローバルトップ3と言っても、

 それらの体質の違いから・・・

 シーズンごとの勝負のしかたが違う、稼ぎ方が違うことはとても興味深いですね。

 グローバルトップの競合は単なる規模の拡大だけでなく

 地政学や気温帯をも考慮した・・・

 各地での顧客購買心理とそれに対する柔軟な対応こそが

 勝負の分かれ目になる、ハイレベルな競争の様相を呈しています。

 関連エントリー‐世界アパレル専門店売上ランキング2016 トップ10

 関連エントリー‐ZARAのインディテックスグループ、サステイナブル経営からインフラ投資への好循環

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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August 14, 2017

ユニクロ中国大量出店の課題

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 8月13日の日経新聞の一面によれば、ユニクロが好調な中国市場で出店を加速し、

 現在 約540店舗、年100店舗のペースで出店しているところを、今後、1.5倍の年150店舗ペースとし、2020年には日本の約840店舗を上回る1000店舗体制にするとのことです。

 ユニクロ、中国店舗数が日本超す 20年にも1000店に 店長候補を短期育成

 2020年グループ年商3兆円達成に向けて(2017年8月期は1.85兆円の見通し)、

 国内ユニクロ事業が伸び悩む中、FR社の中で最も期待できる成長エンジンは海外ユニクロ事業、特に営業利益率を国内ユニクロ並みの二桁をたたき出せるようになった中国事業です。

 記事によれば、中国において

 1. 地方都市への出店加速と 
 2. 店長の高速育成 

 後者は具体的には 大卒採用者の条件を学生時代のユニクロでのアルバイト経験による入社前からの業務習得を必須にすることによって入社間もない社員をこれまでよりも速いペースで店長に抜擢することで、年100人以上の店長づくりができる制度をとし、今後の大量出店に臨むようです。

 拙著、「ユニクロ対ZARA」の後半部分でも指摘しましたが・・・

 ユニクロの海外、特に中国市場の深耕にあたっては2つの課題があると思っています。

 1つめは店舗網を都心部から地方へ広げるにあたっての課題です。

 日本国内では地方展開から都心部に攻め込む形で拡大・成功したユニクロは・・・

 地方出店時のローコストオペレーションが徹底する中で、都心に攻め込む過程で販売効率を高め、利益(額)を増やす形でご利益を得たと言ってもよいと思います。

 「しまむら」しかり、「ニトリ」しかり、地方出身のナショナルチェーンが地方でさほど売れなくてもしっかり利益を残せる体質をもってして、都心部で売れる立地に出店して成功する事例はいくつもありますね。

 ところが、ユニクロの海外の場合、中国もそうですが、都心部から地方に拡大するという、逆に販売効率が下がる方向での拡大を模索するという、日本国内での成功とは逆のパターンを行わなければならないという課題があります。 

 ローコストで始まり、その後、高い販売効率や利益額を得るときには「都心はこんなに売れるのか、儲かるのか」とうまみを享受できると思いますが・・・

 ハイコストで始まった企業体質を、拡大とともに、全体的に下がって行く販売効率にどうコストコントロールを行って対応するのか、損益構造見直し、ある意味、体質改善は結構チャレンジングなことだと思います。

 2つめは出店に店長の育成が追いつくかの課題です。

 出店ペースに店長育成が追い付かず、前者の要因と相まって崩壊したチェーンは数知れず・・・

 これに対して、これまでの国内ユニクロ事業が見事だったのは、

 店舗数を劇的に増やさず、1店舗あたりスクラップ&ビルドで大型化させ・・・売場面積は広げながらも、店長数を激増させずに・・・出店と店長育成のペースを合わせて成長の壁を上手に乗り越えて来た歴史があります。 

 中国では逆に相当のスピードで大量出店をしようとしているわけですよね。

 正直、過去のチェーンストアの失敗の法則から考えると危うさも感じますが・・・

 これまでも多くの常識を覆して成長を続けて来た同社が・・・

 これからの海外での成長局面をどう乗り越えて行くのか?引き続き注目をしていたいと思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 ユニクロは大国深掘り出店、ZARAはグローバル分散出店。同じSPAでも出店に限らず、真逆の戦略がいろいろあって面白い。両社を比べれば世界のファッション市場が見えてくる。
 
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July 24, 2017

TOKYO BASEが都心で働く女性に向けた服の新業態「シティ」をSPA方式で本格展開

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 7月19日の繊研新聞に「ステュディオス」「ユナイテッドトウキョウ」を展開し、絶好調が続く新興東証一部上場企業TOKYO BASE(トウキョウベース)が、この春に「ステュディオス」の派生業態として大人の女性のための服として立ち上げていたセレクトショップ「ステュディオス・シティ」を「シティ」というブランドでSPA業態に転換するという記事が掲載されており、大変興味深く読ませていただきました。

 記事によれば、「シティ」のコンセプトは

・(都心で)働く女性向けの上質な服を

・海外ラグジュアリーブランドと同水準の生地を用い

・旬のモードトレンドを盛り込んで

・原価率50%のものづくりを行う

・素材は小売価格の20%を基準にする

 というものです。

 私も常日頃から

 都心で働く女性のための上質でコストパフォーマンスのよい服は
 
 ほとんどのアパレル企業がまだまだ攻めきれていない。 日本のみならず、

 新興国において女性の社会進出が進むにつれて、グローバルレベルでも通用するカテゴリーのひとつだと思っていました。

 要はマーケット的に百貨店キャリアブランドとZARAの間に位置づくと思いますが、

 百貨店で販売されているキャリア服(原価率20-25%)は・・・モノは良くても高くて買いづらい。

 これに対する価格とクオリティのバランスのアンチテーゼであり、また

 国内100店舗になってすでに大人の女性のワードローブの選択肢のひとつとして認知度が確立されたZARAに関しても・・・

 価格はこなれているけれども、もう少しきちっとしたい、物足りない、

 と考える働く女性のための服は

 飽和状態になったアパレルマーケットにおいて残された・・・

 数少ない?あるいは最後の巨大マーケットのひとつではないかと。

 そこに若くて、今、業界で最も勢いのある同社が取り組むのは大変興味深いなと思いました。


 ところで、1975年にアマンシオ・オルテガさんがZARAを立ち上げた時のコンセプトは・・・

 当時女性の社会進出が急速に進むスペインにおいて・・・

 オフィスで働く女性をいかにこなれた価格でおしゃれになってもらうか?でした。

 そこで独自のSPA手法を用いて百貨店クオリティのリーズナブルプライスを追求したのがZARAの始まりです。

 ZARAの創業当時の思いはグローバル展開する今でも全く変わっていません。

 そして、そんな働く女性に対する愛があるからこそZARAは世界で支持をされ続けている訳です。

 お客様に対する想いを、自らの流通革新の信念で実現する。

 TOKYO BASEの谷社長もそんな信念をお持ちであることを想像しながら、

 これからのチャレンジにも注目して行きたいと思います。

 ちょっと前の記事ですが・・・

 関連エントリー-絶好調TOKYO BASEの決算発表資料を読んで

 関連エントリー-次世代セレクトショップ、STUDIOUS(ステュディオス)の勢いが止まらない

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 世界中の女性をおしゃれにしたい。そんな思いでスペインの西の端の街で創業したオルテガさんは信念を貫き、ZARA(インディテックス)を世界一にした。

 本書を通じて、ZARAのビジネスモデルだけでなく、オルテガさんのファッションビジネスに対する想いを感じ取って頂きたいです。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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January 07, 2016

ユニクロは中国の売上高が母国日本のそれを上回るという快挙を実現できるだろうか?

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 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 

 日経新聞に連載されている「アジアひと未来」楽しく読ませて頂いています。

 1月7日の「国境越え輝く異才の見出し」の記事に登場した3人のうちのひとりはユニクロを中国で拡大する立役者であるファーストリテイリングの潘寧氏。

 同氏の記事はこれまでに目に付く度に必ず読んでいましたが、今回の記事は同氏の学生時代からの原体験や店舗時代の苦労、中国人として日本から学んだこと、中国の消費の常識を変えたいという将来の夢について、ジャパニーズドリームを掴んだ同氏の生き様と信念についてわかりやすく書かれた記事で、とても納得しながら読ませていただきした。

 このような出来上がったものに乗るサラリーマン的ではない、創業に近い体験や苦労、限界のない未来へのヴィジョン、信念を持った方が中国、アジアを統括されているのであれば柳井会長もしばらく信頼して任せることができるでしょうね。

 世界を見渡しても、地元に密着するところからビジネスをスタートし、その後ドメスティックに特化して成長するか?海外展開に求めるか?の成長戦略を考えるのが小売りチェーンのビジネススタンス。

 海外展開の選択肢を選んだ小売業でも ホームマーケット(ある企業がその国を基盤に大きくなったという場所)の売上を他国が一国で上回るという快挙を成し遂げた企業は・・・私が知りうる限りこれまでありません。

 市場規模は大きくても 実は「ガラパゴス」なアメリカのチェーンストアは問題外ですし、

 グローバルチェーンと言われるZARAのインディテックスもスペインの売上構成比は約20%、H&Mも実質ホームマーケットであるドイツが約20%、グローバルに展開して、海外売上比率が高く、ホームマーケットの構成比は少しずつ下がることはあっても・・・彼らの中国やアメリカの売上がそれらホームマーケットの売上を抜くというのは現実的に難しいと思います。

 しかし、ユニクロの場合は中国の売上がホームマーケットである日本の売上を抜くということに関して、かなり高い確率で可能ではないかと思えます。

 なんせ世界最大の人口を擁し、アパレル市場もアメリカに次いで日本よりはるかに大きい単独2位の規模である中国で、すでにユニクロは売上規模でNO1のアパレルチェーンになっていますし、潘氏のような第二創業者的な発想のできる人材がいらっしゃれば更に現実味を帯びてくるというわけです。

 ただ、中国が最大マーケットになって企業としてそちらをメインにビジネスを考えてしまったとしたら・・・

 現在利益の7割を支える日本の消費者がその時の商品にどんな反応を示すか?という懸念は残されますが・・・あるいはその時ユニクロは中国企業になっているかも知れませんね。

 昨年12月にユニクロの海外店舗数がいよいよ国内店舗数を上回りました。 

 規模の逆転は売上高ベースではまだ少し先ですし、利益も更にその先だと思いますが・・・

 海外である中国一国の売上が母国日本のそれを上回るという世界的な快挙を・・・

 柳井会長がご健在の間に実現できるのかどうか?そんな視点からもユニクロの動向を見守りたいと思います。

 【おススメ本】

 低価格アパレルの品質の常識を変えて日本一になったユニクロとトレンドファッションの価格の常識を変えて世界一になったスペインインディテックスグループのZARA。

 世界のファッション流通マーケット、ビジネスモデルもこの2ブランドを比較すれば よりわかりやすくなる!
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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February 13, 2015

日本に学び、その良さを生かして世界に羽ばたいた国際企業

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 2月12日の日経新聞一面コラム春秋に、おそらく先ごろ深川で日本一号店をオープンしたブルーボトルコーヒーとおぼしき外資コーヒー店に関するコメントが掲載されていました。

 コラムによれば、コーヒー豆を厳選して、一杯ずつ時間をかけて丁寧に入れる同店の発想について

 「創業した米国人は店づくりのヒントを日本の喫茶店から学んだ」

 とのことです。

 日本から消えつつある喫茶店文化が海の向こうで、しかも時間が貴重品であるはずのITベンチャー企業を育てて来たシリコンバレーの投資家たちに支援され人気を博し、更に海外進出(文化の逆輸入?)も果たしたことに触れ、

「日本の喫茶店にも、自分たちが培ったコーヒー文化を押し立て、世界に羽ばたく道があったのかもしれない。」

 という一文に、先日ブログで書いた

 日本からもZARA(ザラ)のように母国と近隣国でつくり世界に売るグローバルSPAが生まれないだろうか?

という記事で書いたことにも通じる何かを感じました。

 ご存じのように、ナイキもオニツカタイガーを、アップルだってソニーをリスペクトして世界に羽ばたいたブランドなのは有名な話です。

 実は、既出のブログでご紹介したZARAの創業者オルテガさんだって、日本に学び、その良さに磨きをかけて世界一になった企業のひとつなのです。

 お金がない創業時、生地屋さんに掛けで売ってもらった原反(生地)を自らが運転するトラックで縫製工場に運び、完成品を店舗に届け、店頭で商品が売れて回収したキャッシュを持って生地屋に支払いに行って、また新しい生地を仕入れるという人海戦術、一人SPA時代がありました。

 自分がつくるファッションを世界中の女性に届け、おしゃれになってもらいたい、という思いから・・・

 この人海戦術スピードオペレーションをもっとシステマチックに世界に届けるにはどうしたらよいのか?と考え、

 IBMのコンピューターに精通した当時地元の大学教授だった方をブレーンとしてNO.2に据え(のちのZARAのインフラの基礎を築き、オルテガ氏と二人三脚で世界一に登り詰めたホセ・マリア・カステリャーノ氏)、

 また、ZARAがまだスペイン、ポルトガルで百店舗になるかならないかという80年ごろに日本のトヨタのジャストインタイム(JIT)システムを高く評価し、JITのコンサルを入れて工場の製造効率に取り組んだという話があります。

 つまり日本のトヨタ自動車の製造ノウハウを世界のファッション流通業界の中で最も評価、理解し、それを活かして世界一になったのがZARAであって、日本のファッション好きな女性たちの多くも回りまわって、その恩恵を受けているという話です。

 日本の技術や文化をリスペクトし、海外で自己流に取り入れて成功して、その恩恵をまた新鮮な形で日本人が享受しているという話は他にもあるのではないか?と思います。

 クールジャパンの世界への売り込みにはいろいろなアプローチがあるかと思いますが・・・

 そんな海外の賢者が脱帽した日本のいいところという視点で日本の技術や文化を再評価して再生したり、むしろ次世代が継承したくなるような新しい切り口にして生まれ変わることを支援したりするものも面白いかも知れないと思った次第です。

 【業界を学ぶ書籍のご紹介】

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 おかげさまで5刷、今年は中国、台湾、韓国で訳本が出版されます。

 ベーシックカジュアルの価格と品質の常識を変え日本一のアパレルチェーンとなり、世界一を目指して突き進むユニクロとトレンドファッションの価格の常識を変え、世界一となったスペイン インディテックスグループの基幹ブランドZARA (ザラ)。

 既存のファッション流通の常識に挑んだ2つのブランドの真逆のアプローチ、ビジネスモデル、2人の起業家が考える顧客満足、経営信念、人材育成、今後の成長の可能性まで・・・

 10数年両ブランドをウォッチし続けた専門家の立場から両者の成長の舞台裏をわかりやすく解説しました。

 

 「人気店はバーゲンセールに頼らない」 中央公論新社

  

 電子書籍 Kindle版もあります。

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February 02, 2015

日本からもZARA(ザラ)のように母国と近隣国でつくり世界に売るグローバルSPAが生まれないだろうか?

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 1月30日(金)の繊研新聞に先日東京ビッグサイトで開催された2015年1月展JFW-IFFセミナーで 私が講師を務めさせていただいた

「書籍『ユニクロ対ZARA』より 今こそODMはSPA化を目指せ ZARA創業者オルテガ氏に学ぶ起業家精神」

の講演内容をまとめていただいた記事が掲載されました。

Img_20150131_095349
 拙著 「ユニクロ対ZARA」(日本経済新聞出版社)は 手前味噌になりますが、いろいろな読み方ができる書籍と思っていますが・・・
 
 講演ではIFF内にOEM企業やODM企業のSPAビジネスマッチングエリアがあったので、これまで専門店に販売してきた企画力のある企業さんの刺激になればと思い、

 特に製造業からSPA(アパレル製造小売業)化を果たしたZARA(ザラ)の創業者アマンシオ・オルテガ氏がどのようにSPA化を果たし、何を大切にしてグローバル展開をしてきたかを中心にお話しました。

 SPAと言えば世界を見渡してもH&M、ユニクロ、GAP、国内でもポイント、パル、クロスカンパニーなど小売出身SPAに圧倒的に勝ち組が多いもので、製造業(デザインチームと製造機能を傘下に持ったアパレルメーカー)出身のZARA(ザラ)はとても稀な存在です。

 ただし、製造業出身だからこそZARA(ザラ)のインディテックスグル―プは売上世界一になっただけでなく、利益率および利益の安定性でも突出している理由もあります。(その理由は是非拙著をお読み下さい)

 また、日本の多くの企業もそうなのですが、世界には中国など人件費の安い国で作って、経済大国(アメリカ、日本、ドイツ、イギリスなど)に売り込んで拡大した企業が多い中

 ZARA(ザラ)は母国スペインおよび近隣国(ポルトガル、モロッコ)を中心につくり世界に売り込んで成長したところもユニークな生き方と言えます。

 もっとも国際展開に関しては、

 人口約1億3千万人、GDP世界トップクラスの経済大国日本では企業は、まずは日本でどれだけビジネスを拡大できるかに集中しようと考えるのが普通でしょうし、

 (アメリカの流通業も同様です)

 一方、スペインは人口約4600万人、GDPに関してはヨーロッパで5番目の中規模国ですから、早くから国内ビジネスに限界を感じてグローバルに売り込もうと考える違いもあるかも知れません。

 (これはスウェーデンのH&MやIKEAも同じ)

 また、コストの観点から見ても、スペインの製造業の工員工賃は日本よりは安いですが(おおよそ7掛け)、中国より高いです(約3.5倍)。 (JETROホームページより)

 それなのに、どうしてZARAは決してコストが安いとは言えない母国および近隣諸国での生産にこだわったのか?

 それは、

 シーズン性のあるファッション商品の販売期間が短く、トレンドはいつ変化するかわからないから、顧客の需要をすぐに具現化するために、店頭と商品企画と製造現場を最短距離で結んで、目の行き届くところで、コストは高くても、無駄な在庫を抱え込まないように必要な分だけつくる、コストはかかっても、空輸などできるだけ速く届ける、それにより、できるだけ値下げをしないで売り切ることによって、

 店頭での顧客満足と企業利益の折り合いをつけて来たからと言えます。

 多くの企業の現実  コスト<値下げ   
 ZARAの考え方   コスト↑<値下げ↓ ⇒ 利益↑

 また、執筆後、スペイン大使館商務部に御礼をしに伺った時に、

 スペイン人は母国に愛着がある、とおっしゃっていた話も とても印象的でした。

 執筆中に思い続けていたことのひとつに

 ZARAのような企業がなぜスペインで生まれ、どうして日本で生まれなかったのか?

 という疑問があります。

 果たしてこれは 国内のコストだけの問題だったのでしょうか?

 オルテガ氏が創業したころ、お金がなくて、生地屋さんから掛けで買った生地を自らトラックで工場に運び、裁断し、縫い場に届け、自ら店頭に届けて、店頭で回収したキャッシュを持って支払ってまた生地を買うことを繰り返し、お兄さんと二人でスペイン中をトラックで走り回る毎日だったという話を知りました。

 まさに、自己完結型の一人SPA、今や世界一の企業のオーナーもそんなところから始まったんですね。

 余談ですが・・・そんなオルテガさんの創業秘話を知った時、昔、私が国内アパレル生産に携わっていたころにお付き合いをさせてもらった縫製工場のオヤジさん、自ら裁断した生地を内職に持って行き、縫いあがった商品を回収してプレス工場に届けて、そこから客先に出荷していたオヤジさんの姿を思い出しました。

 あのオヤジさんは果たしてご健在なのか、今どうしているかわかりませんが、もし、あのころ起業家精神が強かったらひょっとして・・・なんて夢みたいなことを想像してしまいました(笑)

 日本の製造業、流通業の分業は確かに日本経済を支えて来ましたが・・・

 これからも いままで通りの分業のままでいいのでしょうか?

 小売業の下請けのため、安く出さなければ成り立たない売値?

 商品の良さを消費者に直接伝えられない歯がゆさ?

 聞こえて来ない、実感できない消費者の本当の需要?

 円安、原価が上がる昨今、流通においてもイノベーションが求められています。

 流通にとってのイノベーションとは技術や発明ではなく、

 それまでの流通の常識を変えて 良いものをたくさんの人たちに届け、消費を豊かにすること。

 今でも小売出身SPA企業は安くつくって値下げをすればいいと思ってはしないか?

 デフレ時代の勝ち方はそれでよかったかも知れませんが・・・

 原価が上昇する局面では

 原価が高くても適正価格をつけて 値下げを抑える、

 あるいは

 今まで 手が届きづらかった良いものを流通イノベーションによってこなれた価格を実現して提供する

 ことを目指す時です。

 特に後者を目指す場合は ZARAのように 製造現場のことをよくわかっている企業さんが店頭の需要とスピードを理解した上で行う方が うまく行くかも知れません。 

 もし、売り先のバイヤーがそんな時代を理解できずに、安いモノづくりを要求し続け、悶々としながら経営を続けるのなら・・・

 ZARAの創業者オルテガさんが 簡単にキャンセルをしたり、マーケットを理解していないバイヤーに失望して自らSPA化を果たしたように・・・

 日本のOEM、ODM企業さん、アパレルメーカーさんでも自ら 日本発 次世代型製造業出身SPAを立ち上げる時かも知れません。

 そんな志のある経営者さんいらっしゃれば是非応援したいと思っています。

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 おかげさまで5刷、今年は中国、台湾、韓国で訳本が出版されます。

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 前著 「人気店はバーゲンセールに頼らない」はKindle版が発売されました。

 


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January 14, 2014

ユニクロの国外売上比率が30%を超え、いよいよ「グローバルブランド」入り

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 1月9日に発表されたファーストリテイリング2014年8月期第1四半期決算サマリーによれば、

 ユニクロの国内&海外事業合計売上高に占める海外事業の比率が30%を超え35%になった模様。

 2014年8月期 第1四半期
 
 国内ユニクロ事業 2084億円
 海外ユニクロ事業 1140億円
 ユニクロ事業 計  3224億円

 これは四半期ベースでも初めてのことで、通期予測でも32.7%の見込みとのです。

 2014年8月期 通期予測

 国内ユニクロ事業 7200億円
 海外ユニクロ事業 3500億円
 ユニクロ事業 計 1兆700億円

 世界のグローバルブランドのブランド価値を毎年ランキング形式で発表している

 インターブランド社による「グローバルブランド」の定義は

 売上高に占める国外売上比率が30%であることとあります。

 同組織の定義に従えばようやくユニクロも「グローバルブランド」の仲間入りですね。

 インターブランドについて

 ちなみに2013年に発表された 2011年度 BEST GLOBAL BRANDS 2013 TOP100 

 の中の ファッションブランドのランキングは次の通りです。

 The Top 100 List View

 (総合TOP3は 1位がアップル、2位がグーグル、3位がコカコーラ)

 17位  LOUIS VUITTON
 21位  H&M
 24位  NIKE
 26位  IKEA
 36位  ZARA
 38位  GUCCI
 54位  HERMES
 55位  ADIDAS
 60位  CARTIER
 72位  PRADA
 75位  TIFFANY
 77位  BURBERRY
 88位  RALPH LAUREN
 100位  GAP

 インターブランドに日本のドメスティックブランドとしてくくられているユニクロのブランド価値(金額)を見てみると、仮にグローバルランキングに入れてみても まだGAPよりも低く、100位圏外になりますが・・・

 2年後の「グローバルブランド」としての評価は何位になっているか楽しみですね。

 さて、海外事業が急成長中で1ブランド単体で年商1兆円を超える見込みのユニクロ(単体ブランド年商規模ではH&M、ZARAに次ぐ世界3位)ですが、課題もあります。

 2014年8月期 のユニクロ事業の営業利益率 見込み を見ると

 国内ユニクロ事業  15.9%
 海外ユニクロ事業   8.0%
 ユニクロ事業合計  13.3%

 と海外事業が今のところ十分に利益を稼げず、ユニクロ事業全体の営業利益率の足を引っ張っている格好です。

 出店優先で経費先行なのはわかりますが、海外の営業利益率が国内よりも低くてもよい、という訳には行きません。

 ZARAのインディテックスだって、H&Mだってグローバルで20%内外の営業利益率を出しているのですから・・・

 売上の拡大だけでなく、いつになったら海外が国内並みの利益率を上げられるのかも世界の投資家が関心を持っているところでしょう。

 グローバルファッションチェーンから学ぶ小売経営の新常識を紹介しています。

『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

 好評発売中です。 

  


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November 12, 2013

ニトリ、アメリカで鍛えられることが世界展開への最短距離、と西海岸に2店舗を開店

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 11月10日の日経MJ一面にアメリカ出店を果たしたホームファッションチェーン国内大手ニトリの“AKi HOME(アキホーム)”の特集記事が掲載されており、楽しく読ませて頂きました。

 私も10年以上前、アパレルチェーン勤務時代に「チェーンストア理論」を学んだ故渥美俊一先生主宰のペガサスクラブ。

 同クラブでチェーンストア理論を正しく実践して成功している優等生の筆頭に挙げられるがニトリ。

 アメリカのチェーンストアの品揃えの豊かさ、リーズナブル価格、買いものの楽しさに魅了され、40年もアメリカに足しげく通いながら、その流通革新に学び、独自商品を開発しながら

 日本の生活者のためにアメリカ並みの買いもの豊かさ目指して来たニトリの快進撃にはいつも共感しながら、エールをお送りしたい気持ちでおります。

 同社の海外出店は1か国目の台湾を6年で黒字化させた後の2か国目。

 多くの日本のチェーンストアがアジア進出を進める中、世界で一番競争が激しいアメリカで成功することが世界への最短距離であるとともにかつてアメリカで学んだことへの恩返しと考え(似鳥社長)

 まずは4年で黒字化を目指す、あきらめずに執念深く取り組むとのことです。

 記事では南カリフォルニアに2店舗開店後の店舗視察レポート、来店客インタビュー、全米ホームファッション市場でのマーケットポジショニングが紹介されていました。

・アメリカ人がデザインした木目調と白の国内のニトリとは全く違う印象の店内外装

・品揃えはまずは7割が日本のニトリと共通、3割現地に合わせて、顧客の反応をみて変更を加えることを前提とした取り組み。

・アメリカの大手専門チェーン、クレイト&バレルやベッドバス&ビヨンドのMDを意識しながら、価格はディスカウンターのターゲットやIKEAより安く、ウォルマート以上の品質を目指す。(ポジショニングマップから)

 Aki HOMEウェブサイト

 一に価格、二に品質、三にコーディネートを掲げながら・・・

 アメリカ流通から学んだことは前例の少なかった日本では通用しても、本国アメリカではどうなのか?

 上記のポジショニングは理屈では判るが中途半端ではないのか?

 もちろん不安要素はいろいろありますが・・・

 来店客インタビューの評価を読むと

・明らかにサイズが小さい(50代女性)
・(店舗が小さいため)イケアよりも選択の幅が狭い(30代女性)

と言った従来の重厚長大型アメリカホームファッション市場との違いを指摘する意見もあるようですが、

 好意的な意見の中では、

・ウォルマートやターゲットのようなディスカウントストアに比べて品質と価格のバランスについての評価が高いことと、

・従来の大きな家具が自宅にフィットしないので(ニトリの)アキホームのサイズが好き(20代女性)

・店が小さくて買い物しやすい(20代男性)

などがあります。

 後者の意見がそこそこあるとなると、大きな家向けのホームファッションだけが全てではない、それに対応しきれていない、スキマがあり、そこに突破口があるのかも知れないと思えてきます。

 例えば、私がアメリカで結構好きなホームファッションストアのひとつに、クレート&バレルが展開するCB2(シービーツー)という都市生活者向けホームファッション業態がありますが

 デザインがよく、サイズもいわゆるアパートメントサイズのものが多く、日本の我が家にも取り入れたくなるものが少なくありません。

 CB2ウェブサイト

 今回出店された郊外型のモールにそういった需要がどれだけあるかわかりません。

 しかし、世界最大のマーケット=アメリカは成熟市場と言われながら、いまなお移民も受け入れながら成長を維持しているマーケット。

 固定概念にとらわれない多くの可能性があることでしょうから・・・

 今後 ニトリ流 仮説検証、試行錯誤をしながら・・・何かをつかみ取られることを楽しみにしております。


 【おススメ本】 

 売れ筋単品よりも、スタイリングで魅了する、グローバル企業から学ぶこれからのMDの新常識とは?

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

 全国書店で好評発売中です(新書コーナーにあります)。

 数時間あれば読めてしまいますし、すべての話が1話(約4ページ)完結型なので、
 興味のある話だけ読んでもOKです。
 
 お気軽に手にとってください。

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April 15, 2013

世界市場を勝ち抜くには布帛(ふはく)が重要

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 今回のタイトルは 4月8日付の繊研新聞に掲載されていた、今年9月に ポイント、トリニティアーツと経営統合するODMメーカー大手、ナチュラルナインの宮本社長の経営統合に向けたコメントです。

 私はとても共感しますね、この言葉に。

 アパレル業界の ものづくりは素材で大きく分けて、「カットソー」、「ニット」、「布帛(ふはく)」の3つに大別されます。

 「布帛(ふはく)」とは、ファッション業界でない方には聞きなれない言葉かも知れませんが、

 よく伸び縮みするジャージー生地(Tシャツやトレーナーに使われる)を使った「カットソー」でもない

 糸を編んで編地を作って組み立てるセーターなどの「ニット」でもない、

 基本的には伸び縮みの無い、織物生地を使った製品を指します。

 代表アイテムで言うと、コート、ジャケット、シャツ・ブラウス、パンツ、ジーンズ、スカートなどがそれにあたりますね。

 カットソー、ニット、布帛(ふはく)で 取り扱う素材特性、製品の製造工程が違うので、作る工場も、モノづくりの発想も変わってきます。

 日本のアパレルメーカーの栄枯盛衰の歴史を振り返ると、

 多くのカットソー出身のアパレルメーカーは衰退し、布帛出身のアパレルメーカーが堅く生き残っているという傾向があります。

 これは商社時代に大手アパレルさんと一通りお付き合いさせていただいた経験からいうと、

 カットソー出身のアパレルメーカーは何事も、結構 「どんぶり」だったことが多く、
 
 布帛出身のアパレルメーカーは積み上げ式の採算を取る、結構きっちりしていたという企業体質に起因しているのではないかと思っています。

 右肩上がりの時はスピード感のある前者が強いかも知れませんが、そうでない時代には「きっちりしている」後者が生き残ることは想像に難くありません。

 これと同じことを、最近、グローバル競争に巻き込まれた日本のSPA企業の事情に重ねあわせて考えてみます。

 日本のSPAで急成長したユニクロにしても、ポイントにしても、クロスカンパニーにしても、小売出身SPAで カットソーで成長したカジュアルウエア中心であることが共通点です。

 価格がこなれていて、生産納期も比較的短いのがカットソーの強み。また、多少サイズがおかしくても、生地が伸び縮みしますので、着ることができてしまうというところもあります。

 一方、グローバルで言うと、ZARAやH&Mも当然、カットソー商品もやっていますが、布帛に強い企業です。 

 布帛は伸び縮みしませんので、パタンナーをしっかりかかえ、どうしたら、お客さんに綺麗にフィットしながら、同時に着心地がよい服が作れるかを常に考えなければなりません。

 本来服ってそういうものなんでしょうけどね。

 カットソーで伸びた日本のSPA、布帛で鍛えられた欧州グローバルSPA、どちらに底力があるでしょうか?

 楽ちん肌着屋に徹するのなら別ですが、ファッションで勝負しようと思ったら、私は布帛に強い後者に軍配が上がると思っています。

 おそらく、ポイント社もそんな危機感から布帛に強いナチュラルナイン社との経営統合を決断したのでしょう。

 パタンナーを軽視して、パターン(型紙)を中国などの工場任せにする日本型SPAが増える中で、グローバル競争にあたって布帛やパターン(型紙)の重要性をもう一度考えて欲しいと思います。

 グローバルって、海外に行かなくても、グローバルSPAがじわじわ浸透している日本市場は・・・

 日本にいながらにして、すでにグローバルの競争に晒されているのですよ。

 弊社もそんな問題意識をもって、現在、今年の勉強会を準備中です。

 来月、5月16日から再スタートする弊社主催のアパレル商品知識勉強会では 

 2人のレディース向けベテランパタンナーにお願いをして、毎月 ヨーロッパの服作りの基本を、ZARAの商品の魅力を研究することを通じて学びたいと思っております。

 近日中に詳細の告知を行います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから

 拙著 「人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識」(中公新書ラクレ)

 おかげさまで Amazon 売上ベストセラー 

 アパレルファッション部門 1位
 サービス・小売部門    5~10位

 あたりで推移しています。 

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