May 25, 2020

世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

4cimg0441 世界の大手アパレル専門店各社の2019年度の売上高や利益などをまとめる機会ができましたので、   毎年恒例になりました売上高のランキングTOP10を共有させていただきます。
 円建て比較にあたり、為替レートは2020年1月末の €=120.3円、スウェーデンクローナ=11.32円、US$=109.06円、英国£=142.87円で換算しています。 

 尚、アメリカのTJXやROSSのようなオフプライスストア、また、昨年まで1年遅れの売上高で掲載していた欧州の非公開大手アパレルチェーンC&Aの売上高はいよいよ掴めなくなりましたので、今回から除外しております。

 

順位 社名 本社;決算期 売上高 前年増減 営業利益 営業利益率 期末店舗数 基幹業態
1位 インディテックス (西;2020.1期) 3兆4028億円 +8% 5740億円 16.9% 7,469 ZARA
2位 H&M (瑞;2019.11期) 2兆6347億円 +11% 1963億円 7.5% 5,076 H&M
3位 ファーストリテイリング (日;2019.8期) 2兆2905億円 +8% 2576億円 11.2% 3,589 UNIQLO
4位 GAP (米;2020.1期) 1兆7867億円 -1% 626億円 3.5% 3,919 OLD NAVY
5位 Lブランズ (米;2020.1期) 1兆4084億円 -2% 2813億円 2.0% 2,920 Victoria's Secret
6位 プライマーク (愛;2019.9期) 1兆1132億円 +4% 1304億円 11.7% 373 Primark
7位 ネクスト (英;2020.1期) 6230億円 +3% 1102億円 17.7% 498 NEXT
8位 アセナリテール (米;2019.7期) 5990億円 -16% -742億円 赤字 3,445 Ann Taylor,Justice
9位 しまむら (日;2020.2期) 5219億円 -4% 229億円 4.4% 2,214 しまむら
10位 アメリカンイーグル (米;2020.1期) 4698億円 +7% 254億円 5.4% 1,095 AEO

                                  

以下、ランキングは昨年と大きく変わりはありませんが、1位~5位と気になるところにコメントさせて頂きますね。

1位のインディテックスは

安定の増収、二けた増益を達成しました。
65%の売上シェアを占めるZARAの店舗のスクラップ&ビルドと世界202か国に販売できるオムニチャネルのプラットフォームは整い、
2019年度はこれから数年間の飛躍が見込まれるであろう初年度の年でしたが、あいにく期末に発生した新型コロナショックの拡大と見込まれる店舗休業、売上減、過剰在庫増に対応して、2019年度の利益から在庫評価損を338億円計上しました。これも同社の余裕に他なりません。

2位のH&Mは

屈辱的な3年連続の減益後、二けた増収増益で歯止めをかけましたが、その営業利益高も、売上高が半分だった10年前の水準にも及ばず、という状態です。
新社長(女性)に変わって、これから、ようやく店舗のスクラップ&ビルドとEC強化が進むことになりそうですが、
欧州と中国の苦戦にどう対処するのか、課題は山積みのようです。

3位のファストリは

3年連続の増収増益を好調の中国とGU復活で成し遂げました。
成熟市場のユニクロ国内事業の既存店は微減、国内の成長はEC次第となります。

4位のGAPは

減収減益、GAPとバナリパのリストラは続きます。
オールドネイビーの分社化を中止し、オールドネイビー出身の女性新社長に今後を委ねます。
リストラ中に店舗が増えたのは、オールドネイビーと買収したJanie & Jack(キッズ)の店舗が増えたためです。

5位のLブランズは

ヴィクトリアズシークレット(VS)のリストラ、事業売却失敗もあり、減収大幅減益です。
売上の6割を占めるVSは既存店-7%で事業赤字。
一方、ヘルス&ビューティのバス&ボディワークス(BBW)は既存店+10%増、営業利益率23%と絶好調。
今後、BBWの分社化を計画しているようです。

以下、めぼしいところを付け加えますと、

6位のプライマークは

増収増益維持も既存店売上は2年連続の減少中と、事業は拡大中も、陰りが見られます。
ドイツが不調、南欧はまずまずの模様。
店舗の増床、減床を行い、やライフスタイル部門に力を入れています。

7位のネクストは

店舗を減らし、既存店(店舗)売上は‐5.7%もECは12%増で増収増益。
EC売上比率はほぼ50%となり、同、営業利益貢献は52%に。
店舗をスクラップ&ビルドをしながら、ECの利便性強化とともに、オンライン注文の店舗受け取りであるクリック&コレクト比率50%を誇ります。
ECと店舗を活かし、他社の商品も運ぶ、自社インフラを生かした物流プラットフォーム化への取り組みが進みます。

今回も、ランキングを作成するにあたって目を通させて頂いた各社の決算書から学ぶべきことは、
インディテックスとNEXTのように、

顧客購買行動の大転換の時代に・・・

出店に頼る成長ではなく、

いかに、既存店をスクラップ&ビルドして、
儲かる店舗、役目を果たせる店舗として残すか、
そして、ECと店舗を融合させ、いかに、
店舗を持っている強味を発揮できるか、

更に、構築したオンラインとオフライン(店舗)と物流網を・・・
いかに、更なる顧客購買行動の変化を先回りして、プラットフォームとして磨き上げるか?
ということでしょう。

ユニクロも、しまむらも店舗網を持ち、物流をコントロールできる「プラットフォーマー」としてのビジョンを描ければ、
まだまだ国内での伸びしろはありそうです。

さて、来年の2020年度のランキングですが・・・アメリカの大手はアメリカンイーグルを除いて、業態の成熟期~衰退期という局面とアマゾンエフェクトもあり、不振業態のバイアウト、既存店スクラップの嵐。
そこに世界的なコロナショックがのしかかります。
来年は、ランキングが大きく変わることが予想されます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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いつもお読み頂きありがとうございます。


 

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May 18, 2020

百貨店アパレル大手、レナウンが民事再生法を申請

東証一部上場の老舗アパレル企業、レナウンが15日に民事再生法を申請し、
そのニュースは、週末から、業界のみならず、経済界を駆け巡りました。

厳密に言うと、同社自身ではなく、債権を持つ、子会社が申請したことや、
中国の親会社の役員による不服申し立ての可能性もあり、
民事再生法適用、スポンサー探しにあたっても、複雑な事情があることが日経新聞に詳しく書かれています。

レナウン経営破綻 社長「不在」、四半世紀の悲劇

かつて、ベストセラーになったビジネス本「誰がアパレルを殺すのか」の主旨は、

20200519_152349

①百貨店アパレルのライセンスビジネス依存と

②商慣習である委託販売(その後、消化仕入)によって、在庫所有権者自身(アパレル)が在庫および損益をコントロールしづらい構造が

90年代以降、百貨店および百貨店アパレルを時代遅れにし、ダメにした、とブログ筆者は読み取りましたが・・・

そのビジネスモデルによって日本一のアパレル企業であった、という過去の成功体験が強すぎて、
最もそこから抜け出せなかったメーカーの一つがレナウン社だったのではないか?と思います。

拙著「アパレル・サバイバル」(2019年2月)でも述べましたが、

90年以降、ファッションビジネスのカギとなる現場は

バイヤーと営業の商談の場(百貨店、量販店時代)から

2000年代には直営店の店頭(SPA、ファストファッション時代)へと移り、

今や、顧客のスマホの中(デジタルシフトの時代)にある

というように、10年単位で顧客行動とビジネスモデルを見直さなければならなかった、
ファッション流通市場が変貌した今となっては、再生はそう簡単ではないでしょう。

ファッション流通のジャーナリストである松下久美さんが今回の報道を受けて書かれている記事

民事再生法を申請したレナウン、30年間のリストラの歴史と、4つのタラレバを考える

の中でブログ筆者が一番、痛かったと思うのは、

最終的には400億円を投じたという、そもそも高額過ぎたアクアスキュータムの買収判断と、それを活かせなかったことですが

当ブログの過去(2013年)にアクセスをたくさん頂いた投稿

世界市場を勝ち抜くには布帛(ふはく)が重要

の中で、

多くのアパレルメーカーさんと80年代から90年代にかけてものづくりのお手伝いをさせて頂いた経験から述べさせて頂いたように、

同じアパレルメーカーと言っても、どんな品種、製造方法、採算の採り方が企業体質の根底にあるのか? 

そんな出自の違い、しみついたDNAもビジネススタイル、財務体質、企業の耐久性に表れるものだと思っています。

コロナショックは、あくまでも弾きがねのひとつに過ぎず・・・

これから、いままで溜まっていたもの、そして、いずれは下さなければならなかったさまざまな結論に覚悟して向かい合うことを各社に迫る時代の幕開けに過ぎないように思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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August 02, 2019

顧客が求める価格でどこまで品質、価値を上げることができるかにチャレンジする

ようやく梅雨が明けたところですが、夏のバーゲンもピークを過ぎ、
店頭の服の価格も在庫も乱れる時期ですね。

お盆を過ぎれば秋の新作プロパー品を店頭に並べ始めるところが増えますが、
当然、すぐに売れるわけではありません。

売れない理由を残暑のせいにするかも知れませんが、
そもそも立ち上がりの秋のプロパー価格が
夏のバーゲン価格よりも各段に高いわけで・・・

来店するお客さんたちは、気温以上にその価格差に対して、
拒絶反応を示していることも売れない大きな要因だと毎年感じるものです。

ですから、どんなに「いい商品」をつくって並べようが・・・
バーゲン価格商品を店頭から引き揚げてから
少なくとも2週間は間を置かないと秋物は売れ始めないというのが
長年、店頭現場や販売データを見てきて感じるところです。

7月29日の日経MJにワークマンの小浜社長の商品開発に関するインタビュー記事が掲載されていました。

記事は価格政策、プライスポイント(最多価格帯)の話から始まります。

(以下「   」内 引用)

小浜社長は「作業服屋としてのプライスポイントがある」と語り、

「Tシャツで最も売れるプライスポイント(最多価格帯)は500円、販売価格が1500円になると売上が急激に落ちる。」

「数を売りたいのだから当然プライスポイントを狙って行く」

「レインウエアーであれば数が売れるのは1900円、2900円、そこで差別化しようとしても限界がある。
 いくらまでならいけるかというと、過去のデータでは5800円ですごく(売上数)が落ちる。
 でも4900円だったら魅力があれば選んでもらえるギリギリのライン。
 じゃあその4900円でどこまで良い物ができるか挑戦したのが、『R006』という今売れているカッパなんです」

と続けます。

(以上 「  」内 引用)

 確かに、以前、ワークマンプラスの店頭で、このレインウエアーR006を手に取ったことがありますが、

 R006 透湿レインスーツSTRETCH

 名の知れたアウトドアブランドであれば20,000円は下らないだろうクオリティに感心をしたのを覚えています。

 今回の記事を読んで、

 当たり前のことかも知れませんが、顧客に支持されているチェーンというのは、

 ただ安さを追求するのではなく・・・

 品種別に顧客が求める価格、プライスレンジ、プライスポイントを分析・検証した上で、

 その設定に対してベストを尽くしているのだな。とあらためて感じたものでした。

 

 価格政策と言えば・・・

 2017年に拙著「ユニクロ対ZARA」の中国語翻訳版が中国本土で出版されたおかげで、昨年、今年と中国の大手、中堅アパレルチェーン幹部の方々向けの研修講師としてアパレルチェーン本社が集中する中国の杭州や広州に呼んで頂くことが多くなりましたが、

 丸2日間の研修の中で、聴講者から最も反応がよいコンテンツのひとつが ユニクロとZARAの価格設定に対する考え方です。

 中国では、「定倍率」と言って、

 原価の4倍とか、5倍とか、コストに一定倍率をかけて販売価格を設定することが多いようです。

 一方、ユニクロやZARAのような人気チェーンストアは、
 例え「ファッション」と言えども、

 品種別に顧客が自ブランドに対して求めているプライスポイント(最多価格帯)を把握し、商品開発の前にまず、売値=販売価格を先に決めます。(決め方はユニクロとZARAで違います)

 そのプライスポイントをお客様との暗黙の「約束価格」と定め、毎シーズン、ブラさない

 そして、その販売価格=プライスポイントの範囲内で、どうしたらお客さんに満足してもらえる品質や価値を実現しながら、企業側としても利益もしっかり残せるかを考えながら商品開発に入る

 という手順を原則としています。 

 言わずと知れた、チェーンストアの「プライスポイント戦略」です。

 もし、販売価格を定めずに、商品開発から先に入り、

 コストプラス(販売価格をコストの何倍にするか?)的に原価積み上げ式で販売価格を決めて・・・

 毎シーズン 作り手の都合でプライスポイント(最多価格帯)が変わる、

 時にはお客様に手が出しづらい、あるいは、
 
 ちょっと高くて迷わせてしまう価格になってしまう。

 原価がそうなったのだからしかたない、と決め込んで販売する。

 そうすると、顧客は期待よりも価格が高いので、手が出ない、

 企業は売上が芳しくないため、値下げを始め、ようやく顧客が納得する価格になった時に売れ始める

 顧客はすぐに値下げになると考え、ブランド側は値下げしても利益が取れる、原価率の低いもののつくり方を考える。

 そんなことを今でも繰り返しているアパレル専門店は中国に限らず、日本でも少なくないようです。

 これに対して、最初から顧客が望む、納得して買える価格設定をしてその制約の中でベストを尽くしながら商品開発を始めるチェーンの方が、断然コスパが良く感じられ、結果、値下げ総額は少なく済む、というのはZARAやユニクロなど、勝ち組チェーンストアが実証しているようです。

 今でも、タイムセールやクーポンやバーゲンセールなど値下げ販促施策に耐えるために安い原価(低原価率)でつくることを考え、
結果、商品の品質を下げて、値下げをしなければ売れない面(ツラ)の商品を店頭やオンラインに並べてしまう悪循環に陥っているブランドが絶えないようです。

 そうではなく、まずは、顧客が望む(アフォーダブル)価格を探り、その顧客との暗黙の「約束価格」で

 どれだけ良い商品をつくれるかにチャレンジしてみる。

 それこそが、今、サバイバル時代に求められている商品開発手法の王道ではないか、

 とあらためて感じる今日この頃です。

 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 

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いつもお読み頂きありがとうございます。

 

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May 20, 2019

世界アパレル専門店売上ランキング2018 トップ10

 世界の大手アパレル専門店各社の2018年度の売上高や利益などをまとめる機会ができましたので、毎年恒例になりました売上高のランキングTOP10を共有させていただきます。

 円建て比較にあたり、為替レートは2019年1月末の €=125.1円、スウェーデンクローナ=12.0円、US$=108.9円、英国£=142.8円で換算しています。
 
 尚、7位のC&Aのみ非公開企業で2018年決算が入手できませんでしたので Deloitte Global Powers of Retailing 2019と2018を参考にした2017年度の売上高を表示しています。

順位 社名 本社;決算期 売上高 前年増減 営業利益 営業利益率 期末店舗数 基幹業態
1位 インディテックス (西;2019.1期) 3兆2720億円 +3% 5452億円 16.7% 7490 ZARA
2位 H&M (瑞;2018.11期) 2兆5374億円 +5% 1868億円 7.4% 4968 H&M
3位 ファーストリテイリング (日;2018.8期) 2兆1300億円 +14% 2362億円 11.1% 3445 UNIQLO
4位 GAP (米;2019.1期) 1兆8065億円 +5% 1484億円 8.2% 3666 OLD NAVY
5位 Lブランズ (米;2019.1期) 1兆4421億円 +3% 1346億円 9.3% 2943 Victoria's Secret
6位 プライマーク (愛;2018.9期) 1兆683億円 +6% 1204億円 11.3% 360 Primark
7位 C&A ヨーロッパ (独;2018.2期) 8231億円 +2% 非公開 非公開 1425 C&A
8位 アセナリテール (米;2018.7期) 7167億円 -1% 37億円 0.5% 4622 Ann Taylor Justice
9位 ネクスト (英;2019.1期) 5954億円 +2% 1088億円 18.3% 507 NEXT
10位 しまむら (日;2019.2期) 5459億円 -3% 254億円 4.7% 2205 しまむら
 

                                  
備考-米TJMaxx、Ross のオフプライスストア2社は、売上規模でトップ10に入る規模ですが、メーカーや専門店が放出した過剰在庫を販売する二次流通マーケットのため除外しました。

 以下 ランキングに対する解説です。

 継続的な増収増益となったのはZARAのインディテックス(以後ZARA)、ユニクロのファーストリテイリング(以後ユニクロ)およびプライマークの3社です。

 このうちZARAとユニクロの好調と他社の苦戦の要因をいくつかの視点から考察してみます。

 まず、増収増益を続ける1位のZARAと増収ながら大幅減益を喫した2位のH&Mの違いです。

 同じトレンドファッションを低価格販売するファストファッションを提供する両社の明暗はどこにあったのか?というと、

 価格戦略、サプライチェーンマネジメント、デジタルシフトの3点の違いにあったようです。

 

 まず、価格戦略については「低価格」と言っても、H&Mが各国で市場最低価格戦略を採るのに対し、ZARAは百貨店のような高額市場価格決定者に対してその何割安というような相対的な低価格戦略を採る違いがあります。

 前者が更なる低価格競争のレッドオーシャンに巻き込まれるのに対して、後者はむしろ商品や品質での勝負ができます。

 次にサプライチェーンについては、H&Mは市場最低価格を追求するにあたり、産地を人件費が安く、生産リードタイムの長い東南アジアや西アジアにシフトせざるを得なかったのに対し、ZARAは従来の近隣国での生産を継続しています。

 トレンドファッションにとって、生産リードタイムの長期化はリスクを抱えこむことは間違いなく、

 そのためH&Mは多くの値下げに見舞われたことが粗利益の低迷の主要因となった模様です。

 そして、3つめは・・・

 中国、アメリカで旺盛な出店を続けて店舗数を増やしたにも関わらず伸び悩んだH&Mに対して

 ZARAは既存店の最適化(スクラップ&ビルド、改装、増床)を優先して店舗をたった15店舗しか増やさず・・・

 一方、オンライン投資による通販の拡大で全社、既存店とも増収増益、高収益率を維持しました。

 続いてユニクロについては、寒波によって秋冬商材が売れ、夏気温の早期化によって夏物が定価のままでよく売れるなど、天候に助けられたことは事実です。

 一方で、成熟期に入って久しいユニクロ国内事業を、それを見越して、早くから手を打って来たユニクロ海外事業、特に中国事業がカバーできるようになったことは大きいですね。

 現在では、海外事業は中国を中心に2ケタ増の成長軌道に乗り、国内ユニクロ事業を上回る収益力をつけています。

 低迷、リストラが続く、米GAP、Lブランズ、英NEXT、日本のしまむらに共通して言えるのは成熟マーケットである母国の国内売上に頼り過ぎていることが挙げられます。

 業態が市場で成熟するにあたって、消費の変化に対して次の新しい成長ドライバーを用意できなければ・・・

 企業として増収増益を継続できないことは言うまでもありません。

 時代の転換期にZARAとユニクロのグローバル戦略やデジタルシフトと

 一方、低迷した競合企業の明暗は多くの国内市場のみに頼る流通企業の教訓になるのではないでしょうか?

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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 グローバルで快走をつづけるZARAとユニクロ、その強みと課題は? H&Mを苦しめ、追撃する超低価格プライマークはいずれは日本にもやって来るのか?

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いつもお読み頂きありがとうございます。


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March 20, 2019

ZARAの2019年1月期決算は一桁台の増収増益もデジタルシフトと店舗最適化が進む

3月13日に発表されたZARAを展開するスペインインディテックスグループの2019年1月期決算に目を通しました。
売上高3兆2720億円(3.2%増)
営業利益 5453億円(1.0%増)
営業利益率 16.7%(-0.3%)
期末店舗数 7490店舗(+15店舗)
2019年1月末のユーロ=125.15円で換算
と増収増益ではありますが、結果の数字だけを見ると・・・
これまでほぼ10%内外の増収増益を続けてきた同社にしては一見、減速と受け取られそうな数値です。
同社はあわせて為替レートの影響を受けない、 出店96か国における現地通貨ベースの前年比も発表しており、
売上高は7%増 
オンラインを含む既存店売上は4%増 
全売上の12%を占めるオンライン売上高は27%増
(オンラインを展開している国のみのオンライン売上比率は14%)
当期利益は12%増
だったとのことで、これまで同様に順調な成長が続いているとコメントしています。
ちなみに既存店売上高のうちオンラインの伸びを差し引いたリアル店舗のみの増減率は公表していませんが、
各種公表数字から推計すると、±0のトントンから微増くらいかなと思われます。
今回の決算で注目した数字は2つあります。
ひとつは店舗数が全世界でたった15店舗しか純増しなかったことです。
これまでは
2015年 2016年 2017年
+330店 +279店 +183店
と毎年3桁店舗を増やして来ましたが・・・
2018年度は370店舗を新規出店する一方で、355店舗を閉店し、226店舗を改装し、うち112店舗を増床しています。
結果、期末の売場面積は前年に比べ5%増えています。
要は果敢にスクラップ&ビルドを進めて収益性の質を高め、店舗の大型化
=店舗最適化を進めているのです。
同社は2012年~2018年の間に店舗の9割が最適化されたとしています。
もうひとつは収益率の安定です。
以下世界一のインディテックスと世界2位のH&Mの過去5年間の売上総利益率と営業利益率の推移です。
H&Mが下降を辿る一方でインディテックスはほぼフラットと言えるでしょう。
参考までにファーストリテイリングの数字も載せておきます。
売上総利益率(粗利率)の推移
     2014  2015   2016   2017   2018
ITX   58.3%  57.8%  57.0%  56.3% 56.7%
H&M   58.8% 57.0%  55.2% 54.0%  52.7%
FR    50.6% 50.5% 48.4% 48.8%  49.3%
営業利益率の推移
     2014   2015   2016  2017   2018
ITX    17.7%  17.6%  17.2%  17.0% 16.7%
H&M   16.9%  14.9%  12.4% 10.3%  7.4%
FR    9.4%   9.8%   7.1%  9.5%  11.1%
この違いは
価格戦略
商品調達
デジタルシフト対応
にあります。
詳しくは月刊販売革新(商業界)来月号に寄稿させて頂いていますが・・・
ZARAはH&Mやユニクロに比べ、市場最低価格戦略ではなく、百貨店をベンチマークした価格戦略をとっています。
そのため、世界の最貧国にファッションをつくりに行くジレンマから解放され、
自ら生産のスピードと量をコントロール。
更に世界的なショッピングのデジタルシフトに対応し、IT開発の内製化による積極投資に余念がありません。
要はインディテックスは時代に最も先回りしているアパレルチェーンと言っても過言ではないのです。
拙著「ユニクロ対ZARA」の中でも述べましたが同社は毎年規模の拡大だけに邁進する企業ではなく・・・
3年に一度くらいの頻度で次のステージへ脱皮する踊り場というかジャンプ台を調える特徴があります。
そして踊り場の後は更に飛躍するということを繰り返して来ました。 充電した後の、同社の今期以降の打ち手、業績に注目しましょう。
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March 06, 2019

米GAP(ギャップ)社の2019年1月期決算は増収減益。OLD NAVYを分社化してGAPの更なるリストラへ

 2月28日に発表された米GAP(ギャップ)社の2019年1月期決算は

売上高は   4.6%増の1兆8065億円

営業利益は 7.9%減の 1484億円

営業利益率は 8.2%(前年は9.3%)

の増収減益でした。 US$=108.9円換算

期末店舗数は3666店舗(前比+72)です。


 好調の低価格業態 OLD NAVYは出店+既存店増収と好調も・・・

リストラが進むGAPとBANANA REPUBLICが芳しくなくなかった模様です。

 事業別に見ると

 売上の47%を占める OLD NAVY は8.3%増(既存店3%増)

 同 31%を占める GAPは3%減(同5%減)

 同 15%を占める BANANAは3%増(1%増)

会社全体の既存店売上前年比はトントンです。


 同じタイミングで同社は

米国中心(国内売上比率90%)に好調なOLD NAVYを別会社として切り離し 

残りのブランドを展開する存続会社は向こう2年間でGAPの230店舗の閉鎖など事業リストラに入ることを発表しています。

 この分社化後は単純に

 9523億円規模の旧GAP社と

 8542億円規模の新OLD NAVY社 

 の2社に別れることになりますが・・・

 事業別の過去の既存店の前年比や国外売上比率をを見たところ

既存店売上前年比  3年前対比    5年前対比
OLD NAVY      110%     115%
GAP            91%       81% 
BANANA         92%       82%
全体            101%      97%

国外売上比率
OLD NAVY   9%
GAP        42% 
BANANA    15%
全体        20%

とのことなので、

 アメリカ国内中心に低価格で成長を続けるOLD NAVYを活かし・・・

存続会社に残ったブランドは投資家のご意向で煮るなり焼くなり・・・って感じになってしまうのでしょうかね。

 昨年夏にアメリカを視察した時のGAPやOLD NAVYの店舗の印象ですが
 
彼らよりも規模が大きくなり、販売力のあるTJMaxx(ティージェーマックス)やROSS(ロス)のようなオフプライスストアとの競合にかなり晒されている印象を受けました。

 TJMaxxのプライスポイント(最多価格帯)はOFF後で$19.99、ROSSに至っては同じく$13.99くらいのトップスを
数多く品揃えして販売しているという印象です。

 もともとブランドをOFFして安く販売するオフプライスストアですが、

 顧客にわかりやすい、ズバリ価格設定戦略を採っていますし、アンダーウエアなどの日用品は在庫が充実しています。

 きっとそれが宝物探しの楽しみだけではなく、デイリーユースとしても支持されている要因のひとつでもあるでしょう。

 一方のGAPやOLD NAVYは・・・「らしさ」のあるズバリ価格を通すというよりは、日本のGAPのように従来よりも高めの当初価格をつけて・・・

 しょっちゅう30%-50%OFFで販売するという悪癖が染みついてしまっているような気がして残念でした。

 かつてはそこまではやっていなかったと思うのですが・・・

 オフプライスストア、ディスカウントストア、Amazon含めたオンラインストアがシェアを高めるレッドオーシャンなアメリカのアパレル市場で・・・

 かつて世界一に君臨したGAPがリストラを経てどのような再生が図れるのか? 

 やはりかつては世界一であったTHE LIMITED STOREがファンドの手に渡った後に、最終的に全店閉鎖になったような末路はあまり期待したくはないのですがね・・・

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから

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February 19, 2019

これから10年のファッション消費を考えるビジネス書「アパレル・サバイバル」発売

 筆者3冊目のビジネス書となる

 「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞出版社)

 が今週2月21日(木)に発売、書店の店頭に並ぶことになりました。


 前著「ユニクロ対ZARA」(2014年初版;リンクは2018年更新文庫本)では

 21世紀の勝ち組モデルとして

 ユニクロのベーシック衣料型SPA(アパレル製造小売業)と
 ZARAのトレンドファッションを低価格で販売するファストファッション型SPAの

 それぞれのビジネスモデルを比較することによってアパレルビジネスの構造や急所を解説させて頂きました。

 同著の初版から4年、

 日本でファストファッションブームを巻き起こしたH&Mの上陸から10年が経過し

 あらたな流通革新が起こっているのはお気づきの通りです。

 今回の流通革新は

 オフラインからオンラインへ

 企業から消費者へ
 
 価格から時間へ

 と主戦場と担い手が変わり、テーマも変わって行く大きな転換期なので

 変化のスピードはこれまで以上に速くなることでしょう。

 筆者は日本において、新たな流通革新が欧米の後を追いながら10年周期で起こると見て・・・

 ファストファッションブーム後から海外の動向を観察して来ましたが

 欧米で起こり始めたその波がいよいよ日本にもやって来たように感じています。

 本書のメインテーマは

 「ショッピングのデジタルシフト」

 「溢れるクローゼットの持続可能な循環」

 です。

 英米の先進事例の店頭体験で感じたインスピレーションをもとに

 生活者のショッピングのお困りごと起点で整理して仮説を立て

 オンラインで芽生え始めたショッピング革新の事例を多数取材して

 書き上げました。

 未来を語るので賛否両論あろうかとは思いますが(笑)

 本書がきっかけとなり

 過去の延長線上ではなく、

 生活者のお困りごと起点で

 未来の理想の状態(ビジョン)を描きながら

 そこから逆算する形で

 新しい、斬新な革新の議論が始まることを期待して問題提起をしています。

 出版社さんのご意向もあり挑発的なタイトル・表紙になっていますが・・・(笑)

 未来を前向きに考えるための一冊に仕上げたつもりです。

 店頭でお見かけになりましたら是非お手に取っていただければ幸いです。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
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February 12, 2019

H&Mの2018年11月決算は3年連続の増収大幅減益 縮まるユニクロ(FR)との差

 1月31日に発表されたH&Mの2018年11月期決算は

 売上高 2兆5,311億円(5%増)
 営業利益 1,863億円(25%減)

 の増収大幅減益でした。SEK=12.03円で換算

 これは3年連続の増収大幅減益で

 営業利益率は3年前の14.9%と比べ
 7.4%と大幅に収益率が下がっています。

 四半期ごとに振り返ると・・・

 2017年の第4四半期の失策により過剰在庫を抱えた
 2018年の第1四半期=冬シーズンに大幅値下げを強いられ、

 第2四半期=春は長引いた寒波のあおりを受け苦戦、

 第3四半期=夏と秋 以降は粗利回復も 
 出店と物流および出遅れたデジタルシフトへの投資が先行し、営業利益率は下がります。

 同社はこの1年も引き続き出店を続けて

 アメリカ、中国、イギリス、ドイツの大国に集中出店して

 229店舗を増やし4,968店舗としましたが、

 42店を純増させて578店舗としたアメリカで

 店舗が増えたにもかかわらず、まさかの6%の減収と苦杯を喫しました。

 一方、ロシアや東欧は大きく伸ばしているようです。

 日本は6店舗を増やし91店舗となり1%増の550億円 

 1店舗あたりの販売効率はまだ世界平均の1.2倍ありますが・・・

 一時期よりもだいぶ落ち着きましたね。

 これにより

 先に決算発表をした

 世界第3位のユニクロのファーストリテイリング(FR)の2018年8月期

 売上高   2兆1,300億円(14.4%増)
 営業利益額 2,362億円 (33.9%減)

 と比べると

 H&MとFRの売上高の差は18%程度に縮まり・・・

 営業利益は・・・

 なんとFRがH&Mを上回った、

 いやH&MがFRを下回る結果になったことがわかります。


 今の勢いですと、

 2-3年もすればFRはH&Mの売上を抜き、
 
 世界第2位の売上高のアパレルチェーンに浮上する可能性も出てきましたね。

 気になる世界一のZARAのインディテックスは

 第3四半期までで

 売上高    7.4%増収、
 営業利益額 3%増 (各国の現地通貨ベースでは14%増)

 粗利率は58.0%と0.6%増、
 営業利益率16.7%は変わらず。(いずれも前年同時期比)

 という、伸び率は少し下がっていますが、収益率をキープした中間実績。

 ちなみに同社の店舗数は
 7,442店舗と前年比62店舗を減らし

 スクラップ&ビルド中で売場面積を拡大しながらデジタルシフト投資の真っ最中。

 利益率を下げ、苦戦するライバルたちを尻目に

 出店を抑え、中期的な成長調整期間に入った感があります。

 ここ最近のH&Mの苦戦は

 1.リアルでは価格で下をくぐるプライマーク
  オンラインではASOS、Boohooなどの
  ウルトラファストファッション勢の台頭

 2.H&MのCEOが自ら指摘するように
  デジタルシフト対応の遅れ
  EC売上は22%のびてEC売上比率は14.5%も
  ZARAらに比べ、オンラインと店舗を融合する
  オムニチャネル対応が遅れていること

 3.低賃金を追った生産地のシフトとリードタイムの長期化と
  自らが扱うファストファッションのあるべき店頭商品回転とのギャップの拡大

 の3つにあると見ています。

 この

 ・価格で下をくぐってくる企業の台頭と競合

 ・ショッピングのデジタルシフトの出遅れ

 ・安い人件費、低い原価を追うがための生産リードタイムの長期化

 の問題は決してH&Mら大手グローバルSPAだけでなく・・・

 日本のファッションチェーンにとっても
 他人事では済まされない教訓ではないでしょうか?

 H&Mは今後、

 Find in store 近隣店舗在庫照会
Click&Collect オンライン注文の店舗受け取り
Scan&Buy  店舗からのオンライン注文
In-store mode スマホを店内モードにしての店舗体験の充実
Online return in store オンライン注文商品の店舗返品

 など、デジタルシフト先行企業が顧客のスマホとオンライン情報をつなげて
 店舗を中心に行う各種オムニチャネル施策に力を入れると宣言しています。

 世界のファッションマーケットを変えた
 ファストファッションチェーンの雄、
 グローバル企業H&Mが
 今後、どのようにリカバリー、キャッチアップするか?

 その動向には世界のファッションチェーンが注目しています。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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 ユニクロが世界2位、そして1位になる可能性は?時期は?

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

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January 14, 2019

ファーストリテイリングの第1四半期決算は増収減益 問われる秋冬依存体質脱皮と夏に儲ける力

 2019年 本年もよろしくお願いいたします。

 今年1本目のブログはファストリテイリングの2019年8月期第1四半期決算のお話からです。

 1月10日に発表された同社の第1四半期決算は4.4%の増収、8.1%(-100億円)の営業減益でした。

 海外ユニクロ事業は12%の増収、12%の営業増益(+61億円)をキープしましたが、

 国内ユニクロ事業が暖冬による4%の減収、30%の大幅減益(-162億円)

 で足を引っ張ったものです。

 今回の決算発表は単に国内苦戦、海外好調という話だけではなく

 同社にとっては今後解決すべき課題が浮き彫りになった結果だったとも思います。


 以前も当ブログで

 2018年8月期の同社ユニクロの復調を取り上げた時にも指摘しましたが、

 ファストリ2018年8月期決算は年商2兆円突破で増収大幅増益。事業別に四半期業績を考察してみると

 ユニクロは秋冬でガッツリ儲けて・・・春夏、特に夏で利益を吐き出す体質があります。

 同社の秋冬物、特に1Qは年間の利益の4割くらいを稼ぐ重要な四半期なので、

 そこを落としたということは結構、痛いと見るべきかな、と

 これは、ファストリに限らず、冬のアウターで売上、利益の多くを稼ぐ、

 日本の多くのアパレル企業には言えることなのですが・・・

 地球温暖化が進み、春と秋が短くなり、

 夏が長くなり、冬は寒波がくればアウターは売れる、暖冬なら売れない

 という傾向は今後も続きそうで、

 各社、秋冬商戦に依存し過ぎる体質からの脱皮と

 春夏、特に夏にいかに利益を残せるかが問われているように思います。

 参考までに、過去のブログで

 ユニクロとZARA(インディテックス)とH&Mのシーズンごとの売上構成比、利益の残し方の違いも比較していますので、マニアックな話しですが、よろしければご覧ください。

 ファーストリテイリングの2018年8月期中間決算は増収増益。 世界一への課題は秋冬依存体質と春夏シーズンの収益性?

 グローバルSPAの中でもユニクロの業績が国内に限らず、グローバルでも秋冬の利益に大きくかかっているのに対し、

 ZARAやH&Mも秋冬の売上シェアはそれなりに大きいものの、夏に利益率を落とさないという体質の違いがあります。

 それは、彼らが同じ北半球の中でもロシアとシンガポールほどの気温差があっても、

 1つの本部で世界統一企画を提供するにはどうしたらよいかを考えた末つかんだ知恵、工夫なのでしょう。

 ※注 北半球と南半球はMDは違います。また、世界統一企画でも各国がその中から何を選ぶかは国別担当に任されています。

 夏が長くなっているのは日本に限らず、グローバルトレンドのようですから、

 夏を1発勝負ではなく、細分化して考え、2回戦以上がある前提に臨み、いかに後半戦の的中率を高めて利益を残す企業が今後勝ち残る時代になることでしょう。

 ユニクロのように日本よりも気温が高いアジアで事業を拡大しようと思えば尚更でしょうね。

 シーズンごとのMDは日頃の在庫最適化のコーチング現場でもよく話題になりますが、

 春は深追いしてはいけないシーズン(得てして力が入りがちですが・・・)

 むしろ夏を早めに立ち上げ当たりを見て、6月に売場をどれだけ人気商品で埋めつくし、
ベストな品揃えで6月のプロパー販売からその後のバーゲン期まで店頭鮮度高く駆け抜けることができるか?

 暖冬で厳しかった冬商戦に落胆している場合ではなく、夏でどうリカバリーするかを考えたいところです。

 さて、ファストリの話に戻りますが、

 同社の2018年度決算には寒波によって例年よりも利益率が高かった1Qと2Qの利益以外にも

 もうひとつラッキーがありました。

 それは2018年3月~4月の気温の上昇により

 夏物が早めに定価でよく売れたことです。

 春を積み込むブランドさんたちは在庫を残したものの

 各シーズンを早めに立ち上げるユニクロにはラッキーな初夏だったはずです。

 ファストリは今回、2019年8月期の通期予測を計画通りの増収増益ので据え置きましたが、

 それは残された3つの四半期で30%以上の増益を果さなければならないことを意味します。

 2つのラッキーに支えられた2018年8月期を越えて

 前年以上によいパフォーマンスを出すには特に春夏(3Qと4Q)に一工夫がいることでしょう。

 過去にもさまざまなハードルを乗り越えて来た同社がどのように対処するのか・・・

 しっかり見守って行きたいと思います。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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December 27, 2018

ワークマンプラス 対 デカトロン

 日経トレンディが2019年ヒット予測ランキングの1位に「デカトロン&ワークマンプラス」を挙げて以来、

 デカトロンって何?と思われた方がググられているようで

 過去のブログ記事(2017年3月)

 世界最大の低価格スポーツ用品チェーン 仏DECATHLON(デカトロン)の衝撃

 にアクセスが増えています。

 デカトロンはフランス本社、世界50カ国に進出し、1500店舗を展開し(本国フランスと中国に店舗が多い)、

 世界 年商1.3兆円規模の80種のスポーツカテゴリーをカバーするプライベートブランド中心の低価格スポーツ用品専門SPA型チェーン

 日本においては

 2017年に自社ECサイトを開設して通販から始め、

 今年、大阪靭公園横に小さなパイロットショップを設け、

 2019年春には西宮ガーデンズに本格的な大型店を出店する予定の

 日本の消費者やチェーンストアがまだ本格遭遇してない、残された 日本未進出 外資黒船チェーンのひとつです。

 詳しくは上記の過去のブログをお読みいただければと思いますが・・・

 11月以降、筆者が非常に興味深く、注目しているのは、

 作業服のフランチャイズチェーン=ワークマンの一般生活者も着用できる機能ウエアに特化した新業態

 「ワークマンプラス」が出店拡大するにあたり、

 日本ではまだ無名の「デカトロン」を自ら盛んに引き合いに出して

 同じ土俵というか、リング?(笑)に一緒に上るための話題作りをしているところです。

 まず、11月8日の繊研新聞では、

 ワークマンの栗山社長が

 「デカトロンを手本に、シーン別の売り場づくり、コーディネートで訴求する魅せ方、販促での打ち出し、店舗数を武器に、店舗網を拡大します。(引用)」

 と、これまでデカトロンを研究していたことを明かしています。

 続いて12月14日づけのワークマン社のプレスリリース 

 「WORKMAN Plus」の今後の出店計画

 では 何と、

 西宮ガーデンズに1号店をオープンする 「デカトロンを迎え撃つ」と名指しし、

 これから近隣に出店するワークマンプラス新店2店舗と100店舗を超えるワークマンの既存店のコーナー拡充でデカトロンへの包囲網をつくり、「西宮戦争」をしかけ、制すると宣言しているのです。

 デカトロンは2020年の東京オリンピック&パラリンピックによるスポーツ文化の盛り上がりを商機と見極め中国に続く大きな市場である日本の攻略のために上陸するタイミング、

 一方、郊外立地で安くて丈夫な作業服を中心に地味に店舗網を拡大していたワークマン(直近決算期末で821店舗)が一般の消費者から機能性を評価されて注目され始め、ブレイク前夜のチャンス

 かたや世界年商1.3兆円の巨大企業デカトロン 

 かたや 現在4店舗ですが、数年内に100店舗体制、年商200億円をめざすという ワークマンプラス  
 (ワークマン自身は 直近決算で 821店舗 店舗年商797億円)

 ワークマンが、今こそチャンスとばかり、デカトロンの2019年日本本格上陸、出店・拡大のタイミングに上手く乗じて・・・自らも飛躍・拡大する目論みを強く感じるのです。


 ちょうど、12月24日付 WWDジャパンには、デカトロン・ジャパンの取材記事が掲載されており、大変興味深く読ませていただきました。

 デカトロン・ジャパン社長は 記事の中で、競合としてワークマンの名は出さず(笑) むしろ、モンベルを意識しているようです。

 また、同社が低価格を実現するための秘訣として、

1) 製造直販型のSPA方式を採用することによってコストコントロールを徹底していること
2) プロモーションに経費をかけず、その分、低価格を追求すること
3) 研究開発施設を多数設けるなど、高機能低価格を実現する研究を重ねていること

を挙げていました。

 なるほど、デカトロンは広告宣伝、プロモーションにはお金をかけない企業ポリシーだけれど・・・

 ワークマンが名指しでメディアを煽ってくれれば、勝手に宣伝になる、こんなありがたいことはない。

 一方、これまで日本で知名度の低かったデカトロンが実は巨大グローバル企業ということで、メディアで注目を浴びれば・・・

 話題のワークマンプラスも、対バン、比較対象役として、メディアも両社を取り上げやすくなりますし、実際、比較できる方が生活者にもわかりやすい、ということで、話題性は高まることになる訳で・・・

 デカトロンにとっても、ワークマンプラスにとっても好都合なことになるでしょう。

 2019年は両社の競演が面白いことになりそうですね。

 
 思い起こせば、ユニクロの飛躍のきっかけになった原宿進出の際には、ユニクロがお手本として研究し続けた、そして、日本で拡大中だったアメリカのGAP(ギャップ)の存在がありましたね。 GAP(ギャップ)なくして今のユニクロはなかったかも知れません。

 また、ニトリの飛躍のタイミングにも、それまで同社が長年研究し続けたスウェーデンのIKEA(イケア)の存在、日本での拡大、メディアと生活者の両社の比較検討があり、切磋琢磨の末、日本企業であるニトリの成長を後押ししたという図式があったと思います。

 ユニクロ対GAP、ニトリ対IKEAを日本勢がローカル戦を制したように・・・

 ワークマンプラス対デカトロンの図式をつくり上げることによって 

 ローカル企業ワークマンは外資大手の「テコの力」を利用して、局地戦を制し、飛躍のジャンプ台とすることはできるのか?

 に注目したいと思います。

 ご参考まで

 デカトロン  
 1店舗あたりの平均売上高  約8.7億円
 これから5年間で毎年2、3店舗ずつ出店し、その後出店加速 
 (WWDジャパンより)

 ワークマンプラス  
 1店舗あたり販売目標  約 2億円  (既存のワークマンは97百万円規模)
 数年で100店舗体制 年商200億円規模を目指す 
 (繊研新聞より)
 
 ※懸念材料 

  ワークマンの粗利率は有価証券報告書から試算すると44.6%
  ローコストオペレーションとFC活用の低い販管費で
  13%の営業利益を上げているビジネスモデル
  今の収益構造では、SCの家賃比率では採算が合わないのでは?
  やはり、ロードサイドのFC店中心の展開?


 話は変わりますが・・・ワークマンが属するベイシアグループ(カインズなど)は

 筆者の記憶では、故渥美俊一先生のペガサスクラブの会員さんだったと思います。

 筆者も事業会社勤務時代はペガサスクラブで多くを学びましたが、渥美先生の教えには

1 欧米視察で先進チェーンを定点観測しながら学び、
  チェーンストアシステムを利用して
  日本の消費者に欧米並みの安さと豊かさを提供すること

2 そのためにPB開発を推進し、広州交易会などで自ら工場を開拓して、
  直接仕様書発注を行うこと

3 店頭では単品ではなく、コーディネートで提案すること 

 などがありました。

 筆者の勝手な想像ではありますが、

 ワークマンは きっとそれらを学んでいて、

1 世界の中でも フランス デカトロンに学び、研究を重ねた

2 商社に頼らず、自ら工場と取引して自社商品を開発して商品バリューを出している

3 これから、店頭ではコーディネートで提案する

 同じペガサスクラブの優等生であるニトリ先輩と同じことを学び、

 自身の業界、市場に応用させながら・・・

 スポーツあるいは機能衣料の分野でユニクロ、ニトリに続き、

 流通革新を起こすことができるのか?

 ワークマンにとって、このチャンスを逃す手はないでしょう。

 かつて同門の一人だった身として・・・陰ながら応援させて頂きたいと思います。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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 ユニクロとZARAはそれぞれの領域でのファッション専門店のベストプラクティス(お手本)
 2014年11月に発売になったベストセラーの2018年データアップデート文庫版です。

 「ユニクロ対ZARA」 文庫本


 

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