March 27, 2017

世界最大の低価格スポーツ用品チェーン 仏DECATHLON(デカトロン)の衝撃

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 3月中旬に2泊3日で上海のリサーチに行って来ました。

 今回のリサーチの目的は2つあり、

 ひとつは、昨年「ユニクロ対ZARA」の中国語訳本のおかげで3回ほど中国ファッションチェーン幹部向けの研修に招聘される機会があり、

 参加された企業含め中国のローカルチェーンが、市場のトップシェアを占めるユニクロやH&MやZARAらグローバルチェーンに対して、どんな棲み分けをしているのか?のリサーチを行うこと。

 そして、もうひとつは、日本未上陸のフランスの大手スポーツ量販チェーン

 Decathlon(デカトロン) の店舗を視察することでした。

 ひとつめのマーケットリサーチに関しては、

 今回は限られた時間の中で、どんなプレイヤー(ブランド)がどんな店構え、品揃えをしていて、どのチェーンに勢いがあるのかを確認するにとどまりましたが・・・今後チェックすべきブランドはだいたい頭にインプットすることができました。

 このあたりの詳細は、今回現地でお会いした、上海拠点でグローバルに活躍するVMDのプロ、内田文雄さんのブログが詳しいので是非、こちらを参考にしてみて下さい。

 グローバルで勝てるVMD:中国ファストファッション最新情報

 さて、今回のエントリーのメインは、もうひとつの目的であるDecathlonデカトロン視察レポートです。

 Decathlon SA 社(デカトロン)はフランス本社でグローバルに展開する売上高世界1位のスポーツ量販チェーンです。

 2016年12月末時点で、ヨーロッパを中心に

 世界28か国に進出し、1176店舗を展開し、
 
 年商 約 1兆2000億円(€=120円換算)を売り上げています。

 同社は売上全体の33%を母国 フランス(301店舗)で稼ぎますが、
 
 国外売上のうち、もっとも大きなマーケットが中国(214店舗)になります。

 これだけ大きなグローバルチェーンなのに日本未進出、しかもアメリカにも一度進出していますが、その後、撤退しているため、日本では意外と知られていなかった、

 未だ見ぬファッション・ライフスタイル系強豪グローバルチェーンストアのひとつです。

 日本未進出ではありますが、日本語のサイトがあるのでご覧ください。

 DECATHLON デカトロン 日本語サイト

 以前から多くの中国人から同社の名前は聞いていましたが・・・今回、初めて店舗を訪問することができました。

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 耀华路の上海万博跡 世博源店

 店舗を訪問して驚くのはスポーツカテゴリーの豊富さ、価格の安さ、そして集客力です。

 スポーツの楽しさと恩恵をできるだけ 多くの人に
 高い機能と美しくシンプルなデザインを 兼ね備えた製品をできるだけ低価格で

 をコンセプトに 考えられるすべてのスポーツカテゴリー、大衆スポーツはもちろん、

 ヨガのようなライフスタイル系から乗馬のようなハイソなスポーツまで、ギアからウエアー、シューズまで、すべてカテゴリー別に設けられたプライベートブランド(PB)で開発しています。
 
 Decathlon 展開カテゴリーとブランドリスト
 
 店舗の印象は 日本の店舗で例えれば・・・

 ゼビオあるいはヴィクトリアの売り場に

 ユニクロあるいはニトリ方式で開発されたPB(SPA) が並び
 
 価格はユニクロ価格から西松屋価格?で販売されている

 スポーツに特化したメガストア(カテゴリーキラー)とでも言いましょうか。

 日本のスポーツ業界には、スポーツやシューズはナイキやアディダスのようなナショナルブランドしか売れないというような定説?がありましたが・・・

 では、なぜ同社は世界で一兆円以上も売り上げて更に拡大を続けているのでしょうか?

 どんなマーケットでも二極化は進んでおり・・・

 低所得層だって、お金をかけたくない人たちだって…スポーツやレジャーを楽しめる大衆化を実現しているからではないでしょうか。

 今回、訪問した上海万博跡の世博源店はこども連れのファミリー層で大賑わい、商品を手に取って試したり、遊んで楽しんでいる子供たちの姿がありました。(ちなみに向かいの店はユニクロ)

 もうひとつDecathlonの店舗で興味を持ったのは店舗でのRFIDの活用です。

 商品すべての原産国表示(洗濯絵表示)ラベルがある位置にRFID(IC)タグが縫い込まれており、購入しようとする複数商品をレジ台に置いた瞬間 精算金額が表示されたのには驚きました。

 レジ担当は、値札を取りながら点数を確認し、代金を受け取って袋詰めするだけ。1490682558370_2

 店舗でお買いものをした印象は、ライフスタイル提案でカッコいいお店というよりは、

 ユニクロと同じ 価格訴求のウエアハウス型。

 誰でも、スポーツをするのに、こだわりたいアイテムと、とりあえず間に合わせでいいというアイテムがあると思いますので・・・
 
 ブランドやハイスペックな機能などにこだわりがなく、価格が安ければとりあえずこれで十分というアイテムに関しては、ここでほとんどが事足りてしまう、と思いました。

 ある意味、合理的という意味で未来のチェーンストアのひとつの形を感じたものでした。

 ご興味ある方は日本でも 通販で買うことができますのでチェックしてみて下さい。

 Decathlonデカトロン通販サイト(日本語)
 
 日本語のウェブサイト、通販サイトが整っているところを見ると、日本上陸も時間の問題かも知れません。


 【お知らせ】

 拙著「ユニクロ対ZARA」の簡体字翻訳版「如此不同如此成功:优衣库 VS ZARA」が今年の1月に中国本土で出版されました。

 日本語版はこちら  
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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February 07, 2017

H&Mのグローバル戦略、次の照準マーケットはいよいよ日本市場?

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 H&Mの2016年11月期レポートに目を通しました。

 売上高(VAT含まず)は2兆3841億円で6%の増収も、営業利益 2954億円の12%の減益 と増収減益でした。
(この時点で今年度もZARAのインディテックスグループの世界一が確定です)

 特に、前年57%だった粗利益が 55.2%と下降したため、14.9%だった営業利益率が12.4%に下落。 

 減益の要因としては、アジアからのドル建て商品調達が大半を占めるH&Mにとってドル高による商品原価増に加えて、世界的な天候不順で値下げが増えたこと、そして、欧米の社会情勢や消費者のオンラインへのシフトが挙げられていました。

 今回の決算は、グローバル資本主義(人件費の安い国でつくり、経済大国に深耕する)を最も地で行っていたH&Mにとって受難の時、グローバルレベルでパラダイムシフトが始まっていることを印象づける決算だったのではないでしょうか?

 そのため、同社は10-15%の出店増を成長ターゲットにしていた成長戦略をリアル店舗+オンライン売上で10-15%成長する方針に切り替え、既存店の見直しとオムニチャネル&デジタル投資に力を入れることを宣言しています。

 さて、気になるのは日本市場への影響ですので、国別のパフォーマンスを見てみましょう

 まず、売上トップ10の国(売上構成比65%を占める)の伸び率は芳しくありません。

 これまで米国、中国を集中出店国にしていた同社ですが、特に中国は店舗を2割増やして444店舗にしている割には、売上は7%程度しか伸びておらず、決して効率が良いとは言えません。

 一方、売上構成比上位20か国(これで売上構成比85%)に視野を広げると、15位の日本、18位のロシア、20位のトルコなどの伸び率がいいですね。

 その中でも日本は1店舗あたりの売上高が単純計算ながら、9億円以上と世界平均の1.4倍とトップクラスです。

 この度、H&Mの日本法人の社長さんに同社の中での「超」の付く若手生え抜きエリートスウェーデン人の方が抜擢されました。

 国別パフォーマンスを分析すると、本社経営陣であれば、次に力を入れるべき国は、日本、ロシア、トルコ、カナダ、メキシコ、オーストラリアであることはわかっているでしょう。

 H&Mは売場面積が広いので、坪あたりの販売効率を見ると日本では効率が悪い店舗に見られがちですが・・・

 1店舗あたりの売上高が大きいので、それほど売れていないようでも、ローコストオペレーションで採算が合わせやすいのと、店舗拡大の市場に対するインパクトも小さくありません。

 日本66店舗で売上規模が600億円を超えて来たH&Mがそろそろ100店舗超体制に向けてアクセルを踏み始めるタイミングかと思います。

 年商1800億円を超えて快走するGUとH&Mの低価格競争、レッドオーシャンに巻き込まれないように、

 2008年H&M日本上陸時以上に彼らに振り回されることなく、自社のブランドの立ち位置を明確にして、気を引き締めて取り組まなければならない時です。


  関連エントリー-ファストファッションの次に来る流通革新

 【おススメ本】

 今年も世界一がほぼ確定したインディテックスのZARA。ユニクロとの比較によりその理由に迫りました。 
  
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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January 11, 2017

ZARA(ザラ)のテクノロジー活用はあくまでも店舗への集客第一・店舗作業軽減が目的

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 1月8日のWWD JAPAN.COM に昨年11月23日に約半年ぶりに改装オープンしたZARA新宿東口店とZARAが世界的に導入を完了したテクノロジーに関する記事が掲載されていました。

  「ザラ」のココがすごい!新宿店に見る最新技術 × おもてなしのベストプラクティス

 この記事の内容はすでにWWD JAPAN12月5日号の紙面で読ませていただいたものでしたが・・・

 あらためてZARAの強みを噛みしめながら取り上げさせていただきます。

 詳細は上記リンク先の全文をお読みいただければわかりますが、

 記事で気になるところをピックアップすると

 RFID(商品へのICチップの取り付け)や関連ITの店舗導入によって

・全商品の位置の特定が容易になり、販売動向や在庫の把握が高速化され、従来の作業が軽減し・・・
 接客や店舗と本部のコミュニケーションに時間が費やせるようになったこと
 (同社のルーティンである店頭サイズ欠品対応作業や試着済み商品戻しはこれにより格段にスムーズになったことでしょう)

・顧客は試着室からサイズ変更依頼のタッチパネルでスタッフにサイズ違いを持って来てらうリクエストができるようになったこと 
 (RFIDによって、サイズを探すスタッフの効率も上がっていることでしょう)

・店舗間オンラインの在庫ステイタスが把握できるようになり、在庫効率が上がるとともに、顧客がいつでもどこでも(店舗でもECでも)購入でき、都合のよいところ(最寄店舗でも自宅でも)で商品を受け取れるようになったこと

 それにより、日本だけの数字ではないかも知れませんが、(宅配無料にも関わらず)EC注文商品の店舗受け取り比率が66%にまで高まって来たということです。
 
 また、

・スペインでは(レジ待ち時間削減のための)アプリによるモバイル決済サービス(登録クレジットカード決済)が始まっており、いずれは日本でも実現されるだろうこと

 あたりでしょうか。

 いずれにしても、店舗に来店する顧客が中心に置かれ、

 それを手助けするスタッフの作業が軽減されているところに従来からの信念が貫かれていて

 あらためて共感というか敬服します。

 ZARAのビジネスモデルと収益性のキモは 

・週二回新商品を必要な分だけ店頭に並べること

・その商品に対する顧客の反応をよりどころに本部は毎週店舗から情報を吸い上げ、追加生産や新商品の開発に活用していること

・商品開発のヒントを得た本部は商品を3-4週でつくり、世界の顧客(店頭)にフィードバックすること

・結果、シーズンが進むほど顧客が欲しがる商品で店頭は満たされ、値下げや売れ残りが極めて少なく抑えられること

 にあります。 (詳しくは拙著「ユニクロ対ZARA」でわかりやすく解説しています。店舗オペレーションは「人気店はバーゲンセールに頼らない」をあわせてお読みください。)

 今回の同社のテクノロジー改革も 

〇ECを展開しても・・・それはあくまでもブランディング(アクセスの良さ、利便性含む)と店舗へお客様を誘導・集客することが第一目的であること

〇それにより、より多くの来店されたお客様が新商品に対してたくさんの反応を残していってくれること

 そして、

〇RFIDによって店舗作業が軽減されることによって、

 店舗スタッフがスムーズそして頻繁に、量的にも質的にもより充実した情報(顧客の反応)をスペイン本部にフィードバックできるように行われており、

 上記の同社の強みに磨きをかける上で大いに貢献しているというわけです。


 私も12月のセールが始まる前に改装されたZARA新宿東口店を覗きに行って来ました。

 3層 2300坪 約700坪は改装前に比べて1.5倍と圧巻。

 売場面積・売上ともに日本一、そして、同店の売上高は世界でもTOP10の常連だとのことです。

 改装前よりも壁面フェイスアウト(服が正面を向いている)が多くなり、什器あたりの品番数が絞られ、

 一方でSKUあたりの店頭在庫数が増えていますので、

 以前のスリーブアウト(袖が外を向いている)陳列中心の打ち出しよりも

 スタイリングがわかりやすく、売り逃しが少ない店頭在庫展開になっていますので、売上好調も頷けます。

 現在はセール中の売場展開なので、全く違う商品陳列方法ですが、

 ご興味ある方は3週後くらいに新しくなった旗艦店を是非覗きに行ってみてください。いろいろな気づきがありますよ。

 WWDの記事の最後に、ZARA他3ブランドに続く今後のインディテックスグル―プの別ブランドの日本展開の可能性についての質問に対して、広報本部長のヘスス・エチェバリアさん(執筆の際はお世話になりました)は

 出店要請(空き物件)があるとかないとかではなく、ブランドとしてベストなタイミングで出たいというコメントで締めくくられていましたが、マッシモデュッティには是非、早く来て欲しいですね。

 Mossimo Dutti ウェブサイト

 関連エントリー-アダストリアのICタグの物流実証実験とRFID活用の課題

 【おススメ本】

 オムニチャネルリテイリングも一枚上手のZARA。そこに通ずるファッションビジネスの信念を書籍を通じて感じとっていただければと思います。 
  
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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December 31, 2016

ファストファッションの次に来る流通革新

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 年末に発売されたファッション販売2月号の特集「ファッション業界2017年の焦点」の中で「ファストファッション」をテーマに寄稿させていただきました。

 月刊「ファッション販売」17年02月特大号 

 国内外の大手SPAやチェーンストアの価格動向と市場に対するインパクトについて述べた記事の本文とは別に「TOPIC」というコラムで「ファストファッションの次に来る流通革新」について触れさせていただきました。

 2008年にH&Mが日本に上陸した時から始まった日本のファストファッションブーム。

 その10年前の1998年にはユニクロのフリースブームから始まるSPA(アパレル製造小売業)による良質廉価の流通革新がありました。 

 このようにファッション流通市場では10年サイクルで新しい流通革新が起こり、生活者のファッション消費を変えて来たのです。

 そのファストファッションブームからまもなく10年が経ちます。

 日本より早くファストファッションの洗礼を受けた欧米で何が起こっているのか?

 日本のファッション流通市場の未来のインスピレーションを得るべく、私は毎年欧米のファッション都市をリサーチして日本のファストファッションブームの次に来る流通革新の芽を探して来ましたが・・・ここに来て確信を得ています。

 ひとつはイギリスでプライマークが、アメリカでTJMaxxのようなオフプライスストアが、そして、日本ではしまむらやGUが巻き起こしているディスカウンターによる都心部での「更なる低価格化」です。

 もうひとつは、すでにお馴染みのキーワードになった「オムニチャネルリテイリング」です。

 これまでの流通革新である

 「豊富な品揃え」⇒「低価格化」⇒「品質向上」⇒「トレンド(デザイン)の低価格化」

 と言った商品やマーチャンダイジングに関する革新よりも・・・

 むしろ顧客にどう商品を手渡すかという商品の提供方法に関する革新に他なりません。

 前者の更なる低価格化は、そもそもレッドオーシャンに飛び込むようなものなので、大資本には敵わないでしょう。

 それゆえに、ファッション流通業界各社は後者の「オムニチャネルリテイリング」にフォーカスすべきです。

 2011年にアメリカでオムニチャネルリテイリングというキーワードが話題になって、

 2013年の正月のこのブログでその年の流通業界のキーワードとして日本でもおこりつつあるこのムーブメントのご紹介をさせていただきました。

 「オムニチャネルリテイリング」は今年の流通業界注目の重要キーワード

 その後、スマホやアプリの進化とともに(WEAR、メルカリ含め)、消費者の購買行動の変化が起こり、

 直営既存店よりも、いかにEC売上を伸ばすかが業界関心事となり、多くの企業が主にZOZOやAMAZONを中心としたECモールの力を借りてEC売上の拡大に力を入れて来ました。

 以前のエントリー

 15年度のファッション商品のEC売上比率は7.8%に。10%目前に次なる課題は?

 でも触れましたが、

 昨今のECを取り巻く関心事の中心はEC売上拡大から「ラストワンマイル」、

 つまりお客様にECで買っていただいたら、宅配便で送りっぱなしで終わりではなく・・・

 お客様の手に確実にお届けするまでしっかり責任を持つこと、そして

 その手渡す接点をチャンスとしてしっかりと活かすための攻防に入りつつあります。

 これまでのように倉庫でダンボールをヤマト運輸や佐川急便に任せればそれでよいのでしょうか?

 コンビニで受け取ってもらえばそれでよいのでしょうか?

 ヤマト運輸が2020年までに宅配受け取り用のロッカーを全国に5000箇所作ると言っていますが、日本中にロッカーが完備すればそれでよいのでしょうか?・・・

 直営店を持つリテイラーそして商売人としては、何か他人任せのような気がしませんか?

 ファストファッションブームから10年が目前となった、これからの10年はオムニチャネルリテイリングの精度を高めることが流通革新のテーマになることは間違いないでしょう。

 直営店からECサイトへの送客がテーマだった過去から現在、

 これからの未来はECで購入したお客様をできるだけ直営店に立ち寄ってもらえるよう努めて行きたいです。

 これって、目に見えないところで起こっている競争なので、うかうかしていると気が付いたら乗り遅れていたということになりかねません。

 この取り組みに乗り遅れると・・・ファストファッションブームの時よりも痛手になることは間違いなさそうです。

 今年もブログをお読みいただきありがとうございました。

 業務多忙につきブログの更新の頻度が落ちた一年でしたが、

 来年も生活者を取り巻くファッション消費の変化とそれに応えるファッション流通企業の愚直な改善努力の好事例をできる限り読者のみなさんと共有して行きたいと思います。

 それでは皆さんよいお年を!

 【おススメ本】

 オムニチャネルリテイリングも一枚上手のZARA 書籍を通じてファッションビジネスに対する信念を学んでいただければと思います。 
 
 出版から2年経った今でも、おかげさまでアマゾン小売ジャンルランキング1位になることもしばしばあり、感謝しております。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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January 27, 2016

単なるベーシック回帰ではない、ベーシック+デザイン=ミニマリズムの大衆化の時代

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 1月26日の日経新聞 「GLOBAL EYE」に工業デザイナーの深沢直人氏の記事が掲載されておりとても興味深く読ませていただきました。

 同氏はアメリカのパソコンのマウスをデザインして知名度を高めたデザインコンサルティング会社に勤め、その中でも米アップルからご指名で仕事を受け、帰国後は無印良品の壁掛け式CDプレーヤーを手がけるなど「ミニマリズム」の提唱者、経営に助言できるデザイナーとしても名高いお方。

 iPhoneの普及以来、「ミニマリズム」が支配的になったというアメリカから、同氏に声がかかることが多くなった背景に、アメリカの消費に過度なデザインから「ほどほど」「これでいい」というシフトが見られることと重ねあわせて解説していた記事の内容に、昨今の世界の消費トレンド、デザイントレンドに共通するピンと来るものを感じました。

 これまで世界の先進国のファッション消費トレンドが品揃え→低価格化→専門化→品質→デザインと10年周期で回っていることを毎年IFI大学講座(明治大学、青山学院大学、東京経済大学など)でファッション流通のグローバルマクロトレンドとして講演して来ましたが・・・

 H&Mが日本に上陸した2008年、そして翌年の2009年のファストファッションブーム(デザインの低価格化)から7-8年が経過し、そろそろ日本でも次の消費トレンドがやって来て良さそうなものと 

 ここ数年次のトレンドを肌で感じるために欧米を視察した内容を生徒さんに共有していたものでしたが・・・ 

 昨年夏の北欧リサーチで感じたことと今回の記事が一致し、とても納得したものでした。

 アメリカ西海岸のノームコアのトレンドを見ると「ベーシック回帰」(退化)か?と思ってしまいがちですが・・・北欧で出会った未来はスウェーデンを中心とした洗練された大衆ミニマルデザインの潮流でした。

 身近な例で言うと、H&MのCOSです。

 COS URL

 日本ではまだ青山に一店舗 (横浜に2号店ができるようですね)。

 しかし、昨夏のロンドン、ストックホルム、ヘルシンキ、コペンハーゲンの視察旅行先で印象的だったのは・・・

 どの都市の同店を覗いても、おしゃれなヨーロッパの大人の女性たちが爆買いしている姿を目の当たりにし、単なるベーシックではない、デザインをそぎ落とし過ぎない、こなれた値段のデザインされたスタイリッシュなベーシックの潮流がCOSにはあり、

 アパレルに限らず、北欧の都心部の多くの消費財にその潮流が見られたことでした。

 日本にはまだあまり紹介されていない スウェーデンの無印良品とも言えるGranitもそのひとつです。

 Granit URL

 無印良品は不要なものを取り去ったシンプルデザインと評されますが、バブル世代後期(笑)の?私としては・・・ 

 コンセプトには大いに共感できても・・・実際のプロダクトに落とした時(特にアパレルは) むしろそぎ落とし過ぎ、それは「ミニマルデザイン」というものではなく、「清貧」的にすら感じてしまうことがあるのが正直なところです。

 それに対して、COSやGranit にはベーシック、シンプルながらも近代的なフォルムを加えた、進化版ベーシックであり、スタイリッシュな新しさ=これからのミニマルデザインを感じます。

 おそらくユニクロが欧米で広がらない理由は 競合関係や価格やサイズの問題だけではなく、もしかしたら、こういった新しい潮流である「ミニマリズム」ではなく、旧来型の「ベーシック」を提案しているため、新しさが伝わらないからなのではないかとも思えて来ます。 もちろん成熟していない新興国では今のままでよいと思いますが・・・

 その点が海外消費者が感じる ユニクロとMUJIの評価の違いなんでしょうね。

 ただの「ベーシック」だけではつまらない、「デザイン」されていても高価ではない、スタイリッシュで手ごろなベーシックが大衆化して行く、そんな違いのわかる「ほどほどの」デザインの時代が間もなく日本でも始まるはずです。

 無印良品が一皮むけるのか?無印と競演しながら台頭する新しい彗星が現れるのか?

 そのあたりを注目しておきましょう。 

 追伸: ご興味があれば、是非 北欧をデザイン、消費の視点で旅してみて下さい。

 昨夏 北欧に発つ前に読んだ本にあった
 
 「北欧では フィンランドがデザインし、スウェーデンがつくり、コペンハーゲンが売り、ノルウェイが買う」 

 という各国の役割分担のフレーズに妙に共感しながら旅をし・・・スウェーデンの大衆ミニマルデザインとプロダクトに未来の日本の姿を感じたものでした。


 【おススメ本】

 低価格ベーシック衣料の品質の常識を変えたユニクロととトレンドファッションの価格の常識を変えたZARA。

 二つのブランドの生い立ちとビジネスモデルを知ることによって未来のファッション消費を考える本です。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 

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October 15, 2015

ファーストリテイリング(ユニクロ)の決算サマリーを読んで感じた今後の課題

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 10月8日のファーストリテイリングの2015年8月期の決算発表を受けて、翌日以降の日経新聞、日経MJ、繊研新聞などでは

 増収増益の文字や

 インターネット売上高比率を30%以上にする壮大な計画の見出し ・・・

 10月12日の日経MJ は各種課題に触れていましたが、

 他紙は全般的には 前向きな論調を全面に押し出す記事でしたね。  

 一方、発表の翌日以降 それとは裏腹に同社の株価は大きく値下がりしました。

 遅ればせながら、同社決算サマリーに目を通したところ、

 売上高は当初計画をクリアしたものの、

 期初 2014年8月期決算発表時       売上高計画 1兆6000億円 

 前期 2015年8月期第3四半期決算発表時    同   1兆6500億円

 2015年8月期 通期実績            売上高実績 1兆6817億円(21.6%増)


 営業利益以下 利益の部分が、期待外れとなり、投資家の期待を裏切った形です。

 期初 2014年8月期決算発表時       営業利益計画 2000億円 

 前期 2015年8月期第3四半期決算発表時    同     1800億円

 2015年8月期 通期実績            営業利益実績 1644億円(26.1%増)

 (  )内は 前年実績対比

 今期の実績だけを見れば

 21%の増収 26%の営業増益

 営業利益率9.8% で

 日本のアパレル業界の中では間違いなくトップクラス

 また、柳井会長が掲げる2020年グループ年商5兆円の目標に対しても、

 拙著「ユニクロ対ZARA」の中でシュミレーションした同社の年次売上と2年連続でほぼ同じ推移を続けています。

 このペースで行けば2016年8月期はいよいよ米GAPの売上高に並ぶかそれを抜いて・・・

 世界売上ランク3位に浮上する可能性も大ですね。

 しかし、3か月前(第3四半期)まで期待を持たせていた利益予測がこの3ヵ月間で伸び切らないどころか逆にへこんだのが今期以降に不安を残した格好になってしまったのでしょう。

 さらにセグメントごとに見てみると

 国内ユニクロ事業は

 店舗数を減らしながらも売場面積を維持し

 (ユニクロ成長エンジンの十八番である増床移転のスクラップアンドビルト)

 約10%の増収 約10%の営業増益 

 15%の営業利益率(前年比横ばい) 

 単体で見れば申し分のない業績と思いますが・・・

 グループ売上構成比は46%に下がったものの

 営業利益構成比の71%を占め・・・

 他事業の低収益率を支えてあげなければならない状況は変わっていません。

 海外ユニクロ事業は

 45%の増収、31%の営業増益と絶好調ですが、

 営業利益率は 8% → 7.2% に低下

 グレーターチャイナ(中国香港台湾)が46%増収、55%営業増益 

 営業利益率も 11.9% → 12.7%に 改善

 一方、事業計から差し引きすると

 それ以外の地域は増収も  営業減益
 
 おそらく韓国(1000億円超)を差し引いてしまうと・・・米国を中心に大赤字になるので韓国の業績をはっきり開示しないのでしょうね。

 また、 グローバルブランド事業は

 17%の増収と 営業黒字化 

 これは 年商1415億円となったジーユーが

 営業利益率 6.3% → 11.6% に改善 これはご立派

 逆にその他の事業合計は赤字です。

 このように 

○ 国内ユニクロ事業

○ 海外ユニクロ事業のグレーターチャイナ事業

○ ジーユー事業

がグローバルレベルの業績水準であって

その他の事業は足を引っ張っているのが現実というわけです。

 それにしても

 ジーユーの1415億円 営業利益率 11.6%にはびっくりしました。

 2006年立ち上げ以来10年足らず、

 単独ブランドで日本のアパレル専門店売上ランキングトップ10にランクインする

 ユナイテッドアローズ2015年3月期1310億円 
 
 西松屋         2015年2月期1285億円

 あたりを抜き去ったのですから びっくりです。

 決算サマリーに目を通して・・・

 やはりグローバルレベルでは売上は伸ばせていくらGAPに追いついたとしても

 営業利益率10%未満は 
               直近決算営業利益率
 1位 インディテックス  18%
 2位 H&M        17%
 3位 GAP         13%
 5位 Lブランズ      18%
 7位 プライマーク    13%
 8位 NEXT        20%

 らのグローバルSPAと比べると見劣りしますね。

 関連エントリー- 世界アパレル専門店売上ランキング2014 トップ10

 ファーストリテイリング=柳井さんは 「フォーカス」の得意な企業(方)なので

 正論を言えば、上記の3事業に徹底に戦力と投資を集中すべきなんでしょうね。 

 ただし、今期以降も

 国内ユニクロの値上げ後の客離れ?と価格調整力を持って日本のシェア拡大を目論むグローバルSPA(H&M、ZARA、OLD NAVYなど)との更なる競合

 中国の店舗開発の強力パートナーである万達グループの不動産開発熱のクールダウン

 ジーユーの低価格を脅かす 輸入原価の高騰 やCSR問題 などなど

 課題も山積みです。

 これに対して、現在5%程度のネット売上構成比を将来的に30%以上にするというちょっと無茶なハードルのようにも聞こえる計画ですが・・・

 実は 世界売上ランク8位の英NEXT社の基幹ブランドである“NEXT”の

 Directory(カタログ&インターネット)売上構成比が40%、

 営業利益に至っては50%を稼ぎ出していることを考えると・・・

  (NEXT社 アニュアルレポート参照)

 ファーストリテイリングのインターネット売上高比率30~50%も あながち無茶な目標ではありませんし、

 英国という成熟マーケットで成熟期に入ったローカルチェーンが

 グローバルSPAとの真正面からの対決を回避して利益率を高めている良き先輩の背中を参考にするのも 

 むしろ得策なのかも知れません。

 いずれにせよ また新しいステージに入ったファーストリテイリング、ユニクロに注目しましょう。

 【おススメ本】

 ユニクロは果たして世界一になれるのか?
 世界のファッション流通マーケットもこの2ブランドを比較すれば よりわかりやすくなる!

 いよいよ台湾で中国語翻訳版も発売されました。 今後 韓国、中国本土と続きます。
 
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October 02, 2015

H&Mの集中出店の威力、グローバルチェーンの価格調整力

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 10月1日の繊研新聞に先ごろ発表されたH&Mの第3四半期決算(2014年12月~2015年8月までの9か月決算)の記事が掲載されておりましたので、気になって同社のIRプレスリリースに目を通しました。

 売上ベースで22%増収、営業利益ベースで12%の増益で、9か月経過時点で売上高は1兆8780億円(SEK=14.21円で換算)規模。 

 このペースで行けば年商2兆5000億円規模になりそうで、もしや、いよいよインディテックスを抜くのではと思ってインディテックスグループの財務レポートもチェックしたところ・・・

 インディテックスグループは上半期(2015年2月~2015年7月)で売上が前年比17%増(既存店は7%増)、営業利益は25%増で同様に快走中ですので、まだまだH&Mはインディテックスグループには追い付きそうもありません。

 注:当ブログのH&Mの売上高は他のチェーンと合わせるために常にVAT抜きで表示しています。 

 それにしてもH&Mの売上上位国の中で、集中出店を宣言している アメリカと中国でのの成長率はものすごいですね。

 第2位 アメリカ の53%増(現地通貨ベースでは22%増)
      381店舗 売上は年商規模で 3500億円 相当

 第5位 中国 の 51%増 ( 同   21%増) 
      299店舗   同 年商規模  1500億円  相当

 参考まで 17位の日本は14%増 ( 同    7%増)
       53店舗   同 年商規模  510億円相当

 欧州先進国攻略の後、H&Mの矛先は現在 世界1位と2位のマーケット アメリカと中国に向いているため、日本での勢いはそれほどでもありませんが、

 アメリカと中国を攻めつくした後に向かって来るのは世界3位のマーケット、日本に間違いないでしょう。

 その時、現在のアメリカや中国並みの20%超のペースでアクセルを踏まれたら日本のアパレルマーケットは毎年150~200億円以上のペースで喰われ続けることになるでしょうね。

 現在、H&Mが日本攻略の手を緩めているからといって安心せずに・・・数年後にどう棲み分けをするかしっかり考えるべきでしょう。

 同じ外資脅威論ながら、視点がちょっと変わりますが・・・

 以下は今年8月後半にグローバルファッションチェーン激戦区ロンドンでファッションチェーンの価格調査をした時のウィメンズシャツ・ブラウスプライスポイントの一覧です。

ブランド    プライスポイント £=190円 VAT付加価値税20%込み
TOPSHOP(英)  £36.00→  ¥6,840
NEXT(英)     £26.00→  ¥4,940
M&S(英)      £25.00↑  ¥4,750
ZARA Woman   £29.99↓  ¥5,698
ZARA Basic    £25.99↓  ¥4,938
Trf(ZARA)     £19.99↓  ¥3,798
UNIQLO      £19.90↓  ¥3,781
NEWLOOK(英)  £17.99→  ¥3,418
F21         £15.00↓  ¥2,850
H&M        £14.99↓  ¥2,848
Primark      £10.00→  ¥1,900

矢印は2年前の同時期との比較で上がったか下がったか変わらないかを示したものです。

 興味深いのは・・・

 ローカルチェーンは価格を維持または値上げ

 グローバルチェーンは逆に下げていたことです。

 原価高騰や為替によってローカルチェーンはローカルの損益を中心に考え、防戦一方。

 そこにつけ込むグローバチェーンはグローバルで損得を考え、

 価格を調整してマーケットシェアを拡大するための価格調整力を発揮するという構図です。

 そんな現象は日本では起こらないと誰が言えるでしょうか?

 最近、ユニクロの店頭価格とH&Mの価格があまり変わらないこと・・・

 アウターに至ってはユニクロとZARAの価格が近づいて来ていることにお気づきでしょうか?

 マーケットの再編はまだまだ起こりそうです。

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August 15, 2015

世界アパレル専門店売上ランキング2014 トップ10

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 遅ればせながら 世界の大手アパレル専門店各社の2014年の売上高や利益などをまとめる機会ができましたので、毎年恒例になりました売上高のランキングTOP10を共有させていただきます。

 円建て比較にあたり、為替レートは、すべて2015年1月30日時点のレート、ユーロ=¥133.8、スウェーデンSEK=¥14.3、US$=¥118.2、英ポンド¥176.9にて換算しています。
 
 尚、6位のC&Aのみ2014年決算が入手できませんでしたので Deloitte Global Powers of Retailing 2015と2014を参考にした2013年度の売上高を表示しています。

ランキング
                 売上高   前年比  営業  期末  基幹業態
                              利益率 店舗数  とシェア
1位-Inditex        2兆4,254億円 +8%   18%  6,683  ZARA
 (西インディテックス;15.01期)                          64%

2位-H&M         2兆1,637億円 +18%   17%  3,511  H&M
 (瑞エッチアンドエム;14.11期)                         95 %超
  
3位-Gap          1兆9,434億円  +2%   13%  3,709  Old Navy 
 (米ギャップ;15.01期)                              40.3 %
                                            Gap
                                            37.5 %  
4位-Fast Retailing    1兆3,829億円 +21%    9%  2,753  Uniqlo  
 (日ファーストリテイリング;14.08期)                         81.7 %   

5位- L Brands      1兆3,544億円   +5%   18%   2,969 Victoria's 
 (米エルブランズ=リミテッド;15.01期)                      Secret
                                            62.9% 
6位-C&A Europe     1兆1,509億円  +9%    n/a   1,607  C&A
 (独シーアンドエー;14.2年度)                            100%
         
7位-Primark         8,756億円  +16%   13%    278  Primark
 (愛プライマーク;14.09期)                             100%

8位-Next           7,123億円   +7%    20%    539  NEXT 
 (英ネクスト;15.01期)                               96.5%

9位-Ascena retail      5,664億円   +2%    4%   3,896  Justice
 (米アセナ;2014.7期)                               28.9%
                                          Lane Bryant   
                                            22.5%              
10位-Shimamura       5,118億円   +2%    7%    1,931 しまむら
 (日しまむら;15.2期)                               81% 
                                                                     備考-アメリカのオフプライスストアー(アパレルや小売チェーンが換金目的で放出したブランドを扱う)のTJX、Rossは、2次流通とみなし、除外しました。また、中国で拡大を続け、売上規模では9位あたりに位置すると目されるE.Land World(韓国;日本ではSPAOやMIXXOを展開後撤退)は売上規模以外の実態が掴めないため除外しました。

以下 解説です。

 1位 のインディテックスはZARAを中心に8つのブランドのバランスを取りながら各国に出店し、安定的な成長を続けトップを維持。既存店売上高も世界レベルで5%の増収を確保。この間、多く出店した国の上位はロシア、中国、メキシコ、トルコ、日本です。

 2位 のH&Mは アメリカ、中国で圧倒的に出店を続け、高い増収を確保。今期も10%増ペースで伸ばす計画ですが、新規出店のほとんどをアメリカと中国に出店に充てる計画のようです。

 一方、既存店においては、ビューティ部門の強化を打ち出します。

 3位のGAPはGAPブランドの既存店減収をOLD NAVYの既存店増収でかろうじてカバーした模様。これまで均衡していたGAPとOLD NAVY両ブランドの売上構成比はOLD NAVYが優位となり、始めて両者に開きが出ました。

 今後はGAPブランドの大量退店によるリストラを強め、OLD NAVYを中心とした成長に舵を切る模様です。

 4位のファーストリテイリングは売上の伸び率は最も高いですが、グローバルトップの中では見劣りする営業利益率が気になります。

 海外ユニクロ事業とGUの急成長で嵩上げされた売上に対して・・・.改善はあるものの、まだ二桁の営業利益率が出せないそれらの事業の低い収益性を国内ユニクロ事業の高収益で支える構造。 そこからいつ抜け出せるか?が注目ですね。

 5位のLブランズは、ヴィクトリアズ・シークレットの安定的な既存店増収と利益率の高さで好調を堅持。

 2000年代に元々の母体であったアパレルSPA事業をあっさり売却して・・・見事なドメイン変更を敢行し、ファッション&ビューティー企業として、21世紀ファストファッション時代の共存モデルのひとつを確立しましたね。この点は世界中のファッション流通企業がベンチマークすべきところです。

 以下 7位のファッションディスカウンター、プライマークは継続的な高成長と2015年9月のアメリカ進出が注目されています。8位のネクストはEC売上の拡大とともに、堅実な利益体質の確保を実現。

 9位の米アセナ・リテイルはランキング初顔ですが・・・郊外路面の主婦向け低価格ファッション(dress burn)から始まり・・・その後、ジュニア向けファッション、クイーンサイズの婦人服業態など・・・ニッチマーケットを狙うアパレルチェーンを次々に事業買収し売上規模を拡大したユニークなビジネスモデルをとる専門店グループです。それぞれが成熟チェーンと思われるストアブランドばかりですが、それらをまとめ上げて、どこまで成長と利益の体質を構築できるかに注目です。

 さて、今期の注目は・・・

 中国とアメリカへの徹底集中出店により売上を伸ばすH&M。今の勢いが止まらなければ、今期末に安定成長を続けることをポリシーとするインディテックスの売上規模を超える可能性もあります。それをさせんとするインディックスはどこで売上を伸ばすのか?

 ユニクロの中国・韓国事業が絶好調のファーストリテイリングですが、「ユニクロ国内事業」頼みの収益体質が・・・今期2015年8月期決算以降でどこまで改善できるのか?

 そして2015年9月、アメリカに進出するプライマークが同国でも成功を収め、更なるグローバル成長に弾みをつけるのか?

 といったところでしょうか。

 2008年 H&Mの日本上陸以降 世界のファッション流通マーケットは完全にグローバルの波に飲み込まれました。

 海外の動向からも目を離さず、いずれ日本に影響が及ぶことを考え、そのころを見据えた 先回りしたビジネス思考と革新が求められています。

 追記 GAPの年商に誤りがありましたので訂正しました。 1兆6600億円→ 1兆9434億円
     訂正前の金額は前年のもの(当時の為替レート換算)でした。

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June 11, 2015

超グローバル企業 H&Mの本当の強さ

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 6月8日に発売された週刊ダイヤモンドの特集2は 「H&M 脱ファストファッションの野望」

 10ページに及ぶ特集企画にあたり、H&Mのビジネスモデルの整理や同社を取り巻く市場環境に関して記者の方に助言をさせていただきました。

 本特集記事は 拙著「ユニクロ対ZARA」(日本経済新聞出版社)なども参考にしていただきながら、最新データとCEOおよび幹部インタビューを取り混ぜ、「ZARA 対 H&M 対 ユニクロ」的にまとまっており、

 世界最大のファッションストア業態であるH&Mの現在と未来を考える上で示唆に富む内容も多く、とても読み応えのある内容に仕上がっていました。

 各国マーケットのファッションチェーンにとって、ユニクロやZARAに関しては、ある程度棲み分けできる相手かも知れませんが、

 H&Mに関しては、トレンドにしてもベーシックにしても・・・

 ファッション流通ビジネスで考えられるマーケティングの手だてを尽くし、

 世界統一かつ、各国の市場最低価格で提供するわけですから・・・

 ローカルファッションチェーンにとってこれほど脅威な存在はないでしょう。

 しかし、記事にもあるように ディスカウンターモデルと推測されるプライマーク(アイルランド 年商4757億円)がH&Mの価格の下をくぐり、英国市場を中心に年率20%超で急成長、今年はアメリカに進出します。

 一方、ASOS(エイソス;英 年商1855億円)や ZALAND(ザランド;独 年商3059億円)はEC(ネット通販)というローコストビジネスモデルで、H&Mと競合するオリジナルの低価格ファストファッションも提供し、H&Mを猛追している昨今、

 ファッション流通における最強ビジネスモデルのひとつと言えども、決して予断を許せない状況です。


 今回の記事の中で 特に気になったH&M社の現在そして将来に向けての強さを表す2つのコメントがありましたので、ご紹介させて頂きたいと思います。

 ひとつめは

 世界58か国約3600店舗に対して、全世界共通の商品を一切 ローカライズせずに各国で販売するH&Mのデザイン部門前責任者のアンソフィー・ヨハンソン氏のコメント

 「インターネットを通じてグローバル化した世界では、誰もが同じ情報を同じタイミングで手に入れる。だから各国の違いよりも、類似性を重視している」

 私もこの業界で働き始めてあと数年で30年になりますが、

 20世紀(90年代まで)には欧州~アメリカ~アジアでファッショントレンドが伝わる時差があったもので、

 シーズンの半年前に欧米にリサーチや買い付け出張に行けば、半年後の日本の市場トレンドがある程度予測できる、

 そんな文化や情報の格差、時差を利用すればファッション流通ビジネス、特にマスマーケットではメシが喰えるなどと思われていいたころがありました。

 しかし、そんなビジネス環境は21世紀に入りインターネットとモバイルデバイスの普及で一変します。

 彼女が言うことは、グローバルトレンドはもちろん、ローカルトレンドにも言える話で、情報のグローバルレベルなスピード化の流れはもう誰にも止められないでしょう。

 そんな変化とどう付き合い、どう活用して市場を勝ち取るか?という話なのでしょう。

 自国のマーケットが大きくなく、ビジネスを始めたとたんにグローバルビジネスを考え始めざるを得ないヨーロッパ企業は常にグローバルでユニバーサルに通用する商品、サービス、ビジネスモデルを考えて来ました。 彼女のコメントはその発想をさらに21世紀の環境の変化に合わせて的確に表していると思います。

 グローバル時代には、そんな訓練を積んで来た欧州企業に一日の長があると言えます。

 次に、H&Mのカール・ヨハン・パーションCEOのコメント

 2020年(5年後)をメドに販売するすべての綿製品をリサイクルやオーガニックなど環境にやさしいサステナブル(持続可能)なものにすると宣言するH&M

 「環境負担を気に掛ける人は常に増え続けています。
 5-10年後には価格だけでなく、かなり多くの人がサステナビリティ
 を意識するようになると確信しています。」

 H&MにしてもIKEAにしてもそうですが、

 人件費の安い国で作り、先進国市場を徹底的に攻略し、

 ローカルの競合プレイヤーをこてんぱんにして、ファッション流通マーケットやライフスタイルの風景を変えてしまう「グローバル資本主義の権化」のような ファッション流通業=H&Mですが、

 ビジネス的に ただ儲けるだけでなく、同時に 将来を見据えてサステナビリティ 環境 人権 に関しても本気で語り、実行する 大人であること。

 教育を受け始めたころから世界と付き合うことを教えられ、ビジネスを始めた後も世界の環境と世界の人々とどう付き合うかを考えながら 実践してきた国民。 

 これは私が商社勤務時代に数年間おつきあいさせて頂いたスウェーデン企業の方々から感じたスウェーデン人に共通する私の印象です。

 決して偽善的ではない、本音で語る理想と実践力

 同じことをH&MのCEOのインタビューコメントの中にも感じたものでした。

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 グローバルに成長し続ける2つの巨大企業の真逆のアプローチをわかりやすく解説しました。 

 


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April 27, 2015

H&Mが上陸7年で国内50店舗体制に 

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 4月25日の日経新聞にさいたま新都心のコクーンシティ出店で日本国内50店舗目となったH&Mジャパンのクリス・エドマン社長のインタビュー記事が掲載されていました。

 記事によれば国内の主要な大都市圏にひととおり大型店(日本の一店舗あたりの平均売場面積は約575坪)の出店を済ませた同社は今後

〇 郊外ショッピングセンターへの大型店出店をする一方で

〇 大都市圏へは小型店出店を進め、

 年平均十数店舗の出店を進めるとのことです。

 2008年の上陸から7年、50店舗の大型店出店体制は計画通り?なかなかいいところではないでしょうか? 

 売上規模は推定になりますが、すべての店舗が年周り(12か月稼働)して年商500億円くらいでしょかね。

 H&MのIR情報によれば目下のグローバル出店戦略の中でのプライオリティはアメリカと中国です。

 両マーケットは世界的に見ても最も成長が見込め、出店余地があるマーケットであり、なおかつ仕入にドル決済が多いと目される同社はドル高基調も手伝い、両国に徹底集中出店するのが理にかなっており、得策と思われます。

 そんな環境下で同社の現在の出店戦略の中では、日本のプライオリティは左程高くはありませんが・・・

 まだ同社の中では16番目の売上の日本市場をそのマーケットポテンシャルの高さから見て、アメリカ、中国出店が落ち着き、チャンスと見るや徹底的に攻め込んでくることは違いないでしょう。

 以下は同社が母国スウェーデンよりも店舗を持っている国ですが(2015年2月末時点)

 ドイツ 439店舗
 USA  364店舗
 中国  299店舗(香港含む)
 UK   253店舗
フランス 205店舗

 このあたりの出店数を見ていると

 今後、日本では 郊外の大型店と都心部の小型店の「面」と「効率」のバランスを取りながら店舗数ベースで年20%増を維持し 

 2020年 東京オリンピックの年には120店舗、その3年後には200店舗くらいになっているのではないでしょうか?

 H&Mの小型店と言えば、ヨーロッパの都市、特にロンドンなどに行くと・・・

 ハイストリートのフルラインを揃える大型旗艦店から地下鉄駅の改札口付近に1カテゴリーに特化した小型店まで 

 H&Mの出店立地と売場面積の自由自在さを思い知らされます。

 これは店舗の中に多数の客層別シーン別サブブランドがあり、それらが更に細分化され、ユニット化されていて、店頭最小単位を起点にチームが組まれ、縦割りで商品企画、生産、デリバリー、売場管理が行われている同社の成せる業に他なりません(2008年上陸時に40数チームがあると聞きました)。

 つまり出店立地、売場面積に合わせて40以上あるフルラインの中から都度ベストな組み合わせを考えて売場を構成すればよいというわけです。=これぞグローバル統一MD

 そんな業をこれから日本でも見せてくれるわけですね。

 今後、大型店で多店舗出店をめざすファッション企業さん、ブランドさんにとって、同社のさまざまな出店形態はオペレーションの整理の意味でベンチマークすべきもののひとつとなるでしょう。

 【おススメ本】
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 21世紀、世界のファッション都市はヨーロッパのファッションチェーンと日本のユニクロによるグローバルウォーズ(世界大戦)が進む。これからのグローバルマーケットを読む上での背景をわかりやすくまとめました。
 
 

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