February 28, 2017

誰のどんなシーンをハッピーにするために仕事をするか?~ストアブランドのペルソナとユーザーエクスペリエンス

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 ちょっと前の記事ですが、WWDジャパンの2月13日号と2月20日号の2週に渡って紹介されていた 日本ショッピングンセンター全国大会でのジュンの佐々木社長とマッシュホールディングスの近藤社長のパネルセッションの記事を大変興味深く読ませていただきました。

 ジュンとマッシュと言えば、直近では、恵比寿アトレ西館など・・・都心ターミナル駅のファッションビルで次々に新しい衣食住のライフスタイル提案の業態を手掛け、ファッション好きな女性を楽しませてくれる両雄ですが・・・

 いつのまにか老舗のジュン年商約640億円、新興のマッシュ年商580億円と・・・年商規模も近づいて来ている両社のマーケットに対するアプローチの違いが如実に表れていて面白かったです。

 ジュンは国内外の独自のネットワークを活用した半歩先のカルチャーを提案する業態開発力に長け、

 マッシュは潜在需要を等身大で目に見える形にするスピード感が得意

 というように、両社長の言葉からは、「プロダクトアウト」的と「マーケットイン」的のコントラストもはっきり出ていたいような気がしました。

 記事の中で、なるほど!と 最も私の琴線に触れた部分はマッシュ近藤社長が語る同社の企業コンセプトのところでした。

「企業のベーシックコンセプトは『ウェルネスデザイン』
女性の24時間、起きてから寝るまでをさまざま角度から分析して少しでも幸せにしていきたい。その時間帯に起こるいろいろな事象を考えながら商品開発している。」 (以上「 」内引用)

 なるほど、だから

ストリートフォーマルの「スナイデル」で成功した後、

ホームウエアの「ジェラートピケ」、

自然派ヘア&スキンケアの「コスメキッチン」に発展し、

ラン&ヨガの「エミ」に取り組み・・・

さらに、最近オーガニックレストラン業態を始めたのだな、

と「女性の24時間」あるいは1週間のライフスタイルをベースにストーリー性や連続性が感じられた理由がとても納得が行ったものです。
 
 いつもマッシュの業態開発を見ていて感じていたことですが・・・

 確かに、日本の都心部の「女性の24時間」の等身大でもあり、

 一方で、私の中では、海外、特にアメリカ市場でファストファッションの洗礼を受けた2000年以降に大人の女性たちに支持をされてしっかりと業績を伸ばしている、

 Lブランズ(インナーウエア、ヘルス&ビューティ)やルルレモン(ヨガ&ラン)やアンソロポロジー(ライフスタイル全般)、はたまたホールフーズ(自然派食品スーパー)

 の取り組みや成功に重なるところがあるんですよね。 

 異業種というよりは、トレンドファッションがファストファッションによって価格が引き下げられ、行くところまで行ってしまい、

 それに辟易した女性たちの「もうトレンドファッションだけが関心事じゃないわよ」という気持ちを代弁するようなファッションから連続性のある業態たちとも言えます。

 いずれにしても、ブランド開発の基本である「ペルソナ」(対象顧客像およびライフスタイル)をリアルに想像し、等身大的にチャレンジされているところにすごく安定感を感じますね。

 
 ところで、ブランドを開発する時によく使われるこの「ペルソナ」というマーケティング用語・・・

 昔の、特に百貨店アパレル系ブランドでは、

そんな お金持ちでハイソな生活している人、本当にどれくらいいるのかな?とか、

ブランド開発している人がそんな生活していないし、

そもそも、できる給料をもらっていない、

なんていう矛盾がたくさんあったように思います。

 だから結局は、原点を忘れ、みんながトレンドを追いかけ、当てたかどうかのプロダクト(単品)志向の議論になり、同質化してしまう。

 一方、2000年以降のSPAの台頭はある意味 等身大なペルソナを設定して、というか、提供側本人たちそのもので、等身大のマーチャンダイジング(自分たちが欲しいかどうか?)に取り組む事例がたくさん出て来て、地に足のついたブランドも増えて来たように思います。 

 誰のためのどんなシーンのための商品を提供するのか?

 ブランドの「ペルソナ」を話題にするときに、私がよく引き合いに出す例のひとつに、アメリカのアーバンアウトフィッターズの事例があります。

 アーバンアウトフィッターズURL

 もともとアメリカのフィラデルフィアの大学のキャンパスの中の大学生協のようなインショップからスタートした同業態のペルソナは

 高校生までは親元で暮らし、大学に入学して初めて親元を離れて寮生活を始める18-20歳の男女。

 その世代が寮の部屋やライフスタイルに必要な 服、インテリア、文具、音楽、カルチャーブック、パーティグッズなどを品揃えするというのがコンセプトです。

 従って、出店は大学のキャンパスのある街に限るというものでした。

 また、日本の事例になりますが、かつてご成長のお手伝いをさせていただいた、現在、全国で絶好調のWEGO(ウィゴー)さんも 「エントランスストア」というコンセプトというか「ミッション」をお持ちでした。 

 それまで服は親に買ってもらっていた世代が、アルバイトを始め、自分で稼いだお金で初めて自分の好きな服を買う時のお店でありたい、というコンセプトで、

 当時とても共感しながら、そんなペルソナ像を思い浮かべながらお手伝いさせていただいたものでした。

 いずれも、お客様像や彼ら彼女らのライフスタイルシーンが思い浮かんできますよね。

 さて、皆さんは

 誰のどんなシーンをハッピーにするために仕事をしていますか?

 それは、ファッションブランド、ストアブランドに限らず、仕事に対する姿勢の基本だと思っています。

 【おススメ本】

 ファッション専門店の事例を用いて、顧客心理と在庫コントロールの大切さをわかりやすく解説したビジネス読本です。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   
 
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February 21, 2017

ファッション専門店のECサイトのあるべき姿とは?

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 前回の2月10日付繊研新聞折り込みオムニチャネル特集を読んだ感想の続きです。

 リアル店舗とECの在庫連携や在庫運用以外で、ECサイトはどうあるべきか?を考えさせられた企業事例を要約しながら、私の感想を添えてご紹介させていただきたいと思います。

 まず、サザビーリーグ社の事例から

 ・同社は以前グループポータルECサイトに複数ブランドを掲載していたものをブランドごとに解体して単独サイトにしたところ・・・プラスの効果が出て、16年のEC売り上げ伸び率は二桁増

 【コメント】 お客様は企業が見せたいものより、自分が知りたい目的の情報に早くたどり着きたいのですよね。


 次に、ビームス社の事例

 ・ECサイトをオフィシャルサイトと統合した結果、圧倒的にECサイトの訪問者数が伸びている

 ・オーダースーツを作るようなロイヤルカスタマーは実店舗で買われるが、そんな顧客さんでも情報収集にはウェブをかなり使っている。

 ・企業サイトとECを統合したのは、お客様がお忙しい中、すき間時間に少しでもビームスと接点を持ってもらうため。

 ・サイトは一括で欲しい情報を見ることができるようになり、すぐに店舗に連絡する手段になった。

 【コメント】 お客様の多くは、自分の空き時間にできるかぎりの情報を事前にネットでとっておいた上で・・・店頭で商品を確かめて、店舗スタッフさんからより深い知識を得て納得しながら、自分のペースでお買いものをしたいのですよね。


 続いて、ナノ・ユニバース社の事例

 ・同社では、すでに自社EC在庫と店舗フォロー在庫を共通にしてあり、店頭に在庫がなくても、店頭スタッフのアシストがあれば売上を立てることができる。

 ただし、逆に店頭の在庫をEC売上に引き当てるのには慎重である。

 なぜならEC売上比率約40%の同社にとって、EC売上の瞬発力は大きく、それを進めてしまったら店頭の在庫が不足して、VMD含めて、店頭が弱体化するから。

 【コメント】 以前ブログでご紹介したように、EC売上をイケイケで伸ばし、EC比率が高いブランドさん、あるいはECに販売計画がなく、そもそも店舗在庫を販売のあてにしているブランドさんではすでに店頭の弱体化が始まっているように思います。

 関連エントリー- 15年度のファッション商品のEC売上比率は7.8%に。10%目前に次なる課題は?


 最後にワールド社の事例、

 ・EC を各ブランドの売上一番店としてとらえて品ぞろえを重視し仕入枠の中で配分している。中にはEC店長を置くブランドもある。
 (別の記事ではEC店長を置いているブランドは他ブランドよりも順調に売上を伸ばしているとのこと)

 【コメント】 実際にZOZO店が一番店となっているブランドさんも少なくないはずです。

 社内の組織はどうであれ、お客様から見たらEC店もリアル店舗も同じ横並びでどっちで買おうが構わないのが現実でしょう。

 リアル店舗で商売人としてセンスを培った店長経験者にお客様の購買行動とリアルの他店に配慮しながらEC店を運営してもらえたら・・・いい業績を残すでしょうね。

 また、店頭現場では発揮できなかった、現場とは違った潜在的なタレント(ハマリ役)の発掘にもつながるかも知れません。


 さて、皆さんのあるいは皆さんがよく利用されるファッションブランドにとってECサイトはどんな存在になっていて・・・どっちの方向に向って進化しているでしょうか?

 ブランドのイメージを伝えながら、商品を購入する販路のひとつというだけではなく・・・
 
 お客様の情報収集の時間を短縮する機能

 そして

 お買い物の時間を短縮する機能

 であるべきでしょう

 また、これからは

 決済をスムーズにする「決済手段」 

 という視点も加わってくるかと思います。

 
 今回のオムニチャネル特集は後半半分は広告ですが、前半半分については、さすが、繊研新聞さん、とても充実して読み応えのある特集記事でした。


 最後にビームスさんのECビジネス責任者の方のコメントで締めくくりたいと思います。

 「購買は実店舗でいい。やっぱり私たちは店頭を大事にしたい。EC担当者なのに、変ですけどね。」

 全然、変じゃありませんよ。 それが私たちファッション小売業に携わるものの使命(ミッション)であり、モチベーションです。

 最近の各メディアによれば、同社では店頭を起点にしたEC改革が進んでおり、業界の中でも頭一つ抜きんでた感じがしますね。

 お客様が店頭で素敵な商品に出会う場を次々に演出、アシストするために・・・

 業界のEC担当者の方々にはますます頑張って欲しいです。 応援しています。

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January 18, 2017

適正品番数とメリハリ発注

 1月14日の日経新聞にユナイテッドアローズやしまむらなどのアパレル専門店大手が2017年春夏の品揃えについて最大3割の商品数を減らす方針であることに関する記事が掲載されていました。

 衣料大手、商品数絞り込み 売れ筋や定番に集中

 記事によれば、両社とも過剰だった商品数を減らすことによって売れ残り在庫の値下を抑制し、一方で、売れ筋商品に絞り込んで在庫を充実させることによって売り逃しをなくすことに労力を振り向けることが狙いのようです。

 この「商品数(品番数)が多い、少ない」の議論は・・・

 毎シーズン業界各社が繰り返しているある意味「永遠の悩み」ですが(笑) 

 何を基準に多い、少ないと言っているのかが不明確なことが多いのも現実です。

 記事で取り上げられている大手の2社さんはそれなりのデータやロジックに基づいてお話しされていると思いますが、

 中小・中堅の小売企業さんは、おそらく、

 期末在庫の品番別消化率(売上数量÷純仕入数量)を見て、
 売上上位品番は消化率が極めて高く、
 逆に下位に消化率の低い商品がゴソっとあり、
 これらの多数の下位品番は本当に必要だったのか?と感じたから

 という理由が多いのかも知れません。

 仕事柄、新しい成長期にあるクライアント企業さんと取り組みが始まると、

 「うちは品番数が多すぎる、適正品番数はどれくらいでしょうか?」と問われて、あるべき品番数の議論をすることがよくありますが・・・

 逆に「ところで、通常 店頭に展開できる品番数(キャパ)の基準はありますか?」と聞き返すと、明確な答えが返ってこない場合が多いものです。

 そんな場合、ご一緒に什器調査をして什器の棚卸を行い、
 商品計画のための標準となる展開スペース(器の大きさ)を定めた上で、
 シーズン中にそれらの什器の中でどれくらいの頻度で商品を入れ替えるか

 を確認して・・・

 はじめて適正品番数の基準となる数値が出てくるなんて話も少なくありません。

 いわゆる小売業の「定数定量」の基本となる話です。

 実際、そんな作業をやってみると・・・

 バイヤーやMDなど仕入れ担当者の仕入総額は予算内に収まっていても、

 仕入品番数が「基準」をはるかに上回り、どう見ても定数(販売スペース)から溢れんばかりの品番数・・・(汗)

 売上TOP品番は黙っていても各店で優遇されるのでともかく、

 そうでない個々の商品に各店で十分な販売機会(スペースと販売期間)が与えられなかったために・・・結果、売れ残った商品がたくさんあった、全体の消化率が低かったということに気付くことになります。

 そんなことを反省しながら・・・次のシーズンに向けては、店頭什器配列を確認しながら、

 店頭展開可能な標準品番数x回転数に多少の+α(プラスアルファ)の品番数を上乗せして品揃え計画を組み始めることになります。

 店舗数がまだ少ない時期は、店舗投入時に売場から多少商品が溢れていても、行動力のある本部販売部、商品部のスタッフが店舗に通う頻度が高ければ、人海戦術で店舗間で調整つけながら、最終的には売り切ってしまうことも出来たでしょう。

 しかし、ある一定の事業規模を超えてくると(その境目はおおよそ20店舗前後でしょうか?)・・・

 全店に目が行き届かなくなり、これまでと勝手が変わって、コントロールが難しくなり、商品数の過剰が経営課題のひとつとして上がるようになるものです。

 いずれにしても、品番数が多い、少ない、の議論は、まずはこの商品計画の基準となる店頭の「定数定量」を一度、把握した上で行いたいものですね。


 また、適正品番数に関連してよく話題になることとして、事業拡大局面(多店舗出店中)における品番数の在り方があります。

 店舗数が急増して、仕入担当者の売上・仕入予算が一気に増えると、品番あたりの発注量を増やすのではなく、ついついむやみに品番数(商品のバリエーション)を増やしてしまう、いろいろなものを買いたくなる、というジレンマに陥ることがあるものです。

 予算が大きくなったからと言って、けっして既存の店舗の売場面積が大きくなったり、急に商品回転が高まるわけではないんですけどね・・・。

 そうすると、品番数を増やしたがために、品番ごとの発注量に十分なメリハリがつけられなくなり、結果的には、売上上位品番はすぐに欠品して売り逃し、十分に販売機会が与えられなかった下位品番たちが売れ残る。 売れ筋を追加しようにも後者の在庫が多いために、追加仕入もできない、というループに陥る話です。

 そんな局面でどうすべきか?の解も、答えは同じだと思っています。 

 やはり、売場に基づいて適正品番数を定め、上位(見込み)品番と下位品番の役割に応じてメリハリ発注を行うことに尽きるでしょう。

 いくつかのブランドが成長局面でブレイクスルーしたのを見て来ましたが・・・

 その共通項として言えることは、

 売れると見込んだ商品、あるいはみんなで売ろうと決めた商品(品番)を絞り込んで定め、販売ピーク週などの大事な時にむけて、十分な在庫を積み込み、全社一丸となってMAX販売できた実感をどれだけ全社共有できているかだと思います。

 在庫の奥行がなく、すぐに欠品してしまう商品をいくらたくさん持っていても、ブレイクスルーの実感は得られませんから。

 売上が好調だった時の売上ベストセラーを振り返ればわかるように、いつの時代も売上は売れる上位商品に集中するものです。

 そしてその時の集中度合(売上上位構成比)を参考にして、上位に来るであろう商品をどれだけ売るかを決め、その時に欠品しないだけの必要な仕入を行う。 

 小売の商売もスポーツと同じで、そんな勝った、うまくいった時のイメージトレーニング(販売計画)とそれに向けた行動(周到な準備)がなくしては目標達成はありえないでしょう。

 【おススメ本】

 ファッション消費の顧客購買心理を考えるビジネス読本

 おかげさまで多くのアパレル専門店、SPAさんでMD計画の参考文献として愛読していただいています。

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November 01, 2016

絶好調TOKYO BASEの決算発表資料を読んで

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 10月24日の繊研新聞にステュディオスやユナイテッドトウキョウを展開する東証マザーズ上場TOKYO BASEの2017年2月期 第2四半期決算関連および谷社長のインタビュー記事が掲載されていました。

同社については2年前にもこのブログでエントリーしましたが、

次世代セレクトショップ、STUDIOUS(ステュディオス)の勢いが止まらない

 毎年30%以上の成長を続け、昨年には東証マザーズに上場、

 ファッション消費が冷え込んでいると言われている中で、毎月繊研新聞に掲載されている月次の主要ファッションビルの好調テナント情報にも「ステュディオス」と「ユナイテッドトウキョウ」は常に名を連ねていましたから・・・目が離せない企業としてメディアの報道にはいつも目を止めておりました。

 特に、ここ数年、上場した後に業績が悪化するファッション流通企業が続出という印象がぬぐい切れない株式市場の中で、

 売上規模はまだ年商100億円に満たないものの、上場後も30%の高成長と10%の高営業利益をしっかり確保しているところには感心します。

 今回あらためて決算資料などを読んでみたところ、いろいろな気づきがありましたのでご紹介したいと思います。

 同社の強みはいくつかありますが、ひとつは品揃えの差別化でしょう。

 セレクトショップと言っても旧世代とは違って欧米インポートブランドへの憧れから始まったものではなく、新世代らしくドメスティックブランドに特化して販売しているところ(ステュディオス)、また、もうひとつのユナイテッドトウキョウはいわゆるSPA型ですが、MADE IN JAPANにこだわっています。

 なかなか一般の消費者からは身近ではない東京コレクションのデザイナーブランドのこだわりや国内の産地が得意とする単品(アウターなら岐阜、ニットなら新潟、山形など)の魅力を

 ルミネやZOZOTOWNと言ったメジャーな販路に乗せて、同社の店舗スタッフが情熱をもって紹介、接客販売しています。

 そして原価率が限りなく50%に近い40%台ということなので若い世代が手を出しやすく、またバリューを感じられる価格設定になります。

 次に少数精鋭による販売効率や生産性の高さです。

 販売効率は店舗数やおおよその売場面積からざっと計算してみましたが直営店の月坪売上が60万円くらいでしょうか?

 また、163人(正社員99人+PAさん64人の従業員換算)で年商60億円を売り上げるのでひとりあたり売上高は単純計算37百万円超となりますのでファッション小売業の中ではトップクラスの生産性です(UAやユニクロあたりと比べても2割高い)。

 また、店舗では売上や人件費だけでなく、店長が店舗の営業利益まで管理し、同時に在庫消化を意識するために在庫回転率をKPIにしているので、

 若くして(平均年齢約28歳)、経営感覚を身につける環境におかれています。 

 その結果がプロパー消化85%!在庫回転率11回転(前期)!!だとか・・・。

 ファッションが好きなだけでなく、同時に数値管理ができる社員を雇い、育成する、それに対して報いる(平均年齢28.9歳で平均年収459万円)という経営スタイルもいままで業界の中には少なかった発想です。

 ちょっと話はそれますが、今回決算書、特にPL(損益決算書)を見ていて思ったのは、同社のようにEC売上比率が高い企業が増えてくると、同じ小売業でも、従来とは違ったPLの見かたをしなければいけなくなるなと思ったことです。

 つまり、直営店とECではPL構造、特に販売管理費構造が違います。

 直営店は人件費、家賃、減価償却などを意識し、ECの場合は、特にECモールでの売上が主力となると、販売手数料という項目のインパクトが大きくなります。

 したがってEC売上比率に基づいて、PLを直営店とEC2つに分解して、販売管理費を配分して考え、それぞれの成長性と収益構造を見て行かなければいけないな、と。

 日本ではまだそんな決算発表資料を見たことありませんが、

 欧米のSPA(GAP、L BRANDS、NEXTなど)には直営店とオンラインの損益をわけて説明しているところが多いように思います。

 今後日本でもそんな決算発表が主流になるかも知れませんね。

 さて、順風満帆の同社ですが、今後の課題と感じたことを乗り越えて行く期待を込めていくつか・・・

 ひとつはルミネ、ZOZOを主力にしている現在の販売効率をベースにしてしまうと、今後、それらほど高い販売効率の出店余地は極めて限られているので、今後の成長にあたってのビジネスモデルというかKPIの標準値をどう設定して行くかというところでしょう。

 前期でメンズの売上構成比65%、ウィメンズが35%。

 多くのセレクトショップがメンズ出身でその後、ウィメンズを伸ばして成長していったように、ウィメンズの強化は高効率を維持するカギのひとつだと思いますが・・・

 将来的には坪効率主義より大型化を図って一店舗あたりの売上高を高める(ネガティブではない意味で坪効率を薄める)などの転換を視野に入れておく必要もあるのではないかと思われます。

 そういった意味も含めて、ECもひとつのカギでしょう。

 現在のEC売上比率31%に対して将来的には50%に引き上げたいという目標を掲げているようですが、やはりそこでも引き続きZOZO依存なのでしょうかね(現在90%がZOZO経由)? 

 計算上、販売手数料は比較的優遇されているようですが・・・ZOZOも自社ブランド(PB)を始めると言ってますし、将来競合しないとも限りませんし・・・、資本関係があるわけではないので重要セグメントは自らコントロールできる管理化においておきたいところです。

 また、私は、MADE IN JAPANのSPAである「ユナイテッドトウキョウ」のグローバルな可能性に期待をしていますが、

 今後は、それぞれの国内工場との単品の取り組みではなく、むしろ素材からサプライチェーンマネジメントに踏み込んで、日本の製品をコレクションとして世界に売り込むべく、

 日本を起点にして世界に送り込む、アトリエや品質管理やSCM&ロジスティックスの体制作りを整えていただきたいですね。

 価格帯は違いますが、ZARAがスペインでやっているオペレーションの日本産地ならではオペレーションが日本発信でできないだろうか?と密かに期待しております。

 以上、好き勝手なこと申し上げましたが・・・同社のような全く違う発想をもった新世代の企業ががんばって、ファッション消費の未来を切り開いていってもらいたいな、と期待の星である同社の成長をこれからも楽しみに見守って行きたいと思っています。

 【おススメ本】

 ファッション商品を目の行き届くところでつくり、世界中の女性をおしゃれにするためにいち早く届けることに情熱を燃やしたZARAの創業者、アマンシオ・オルテガさんの起業家精神に触れていただければ幸いです。
 
 出版から2年経った今でも、おかげさまでアマゾン小売ジャンルランキング1位になることもしばしばあり、感謝しております。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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October 27, 2016

成熟市場イギリスで高収益を上げるNEXT(ネクスト)のオムニチャネルリテイリング戦略

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 毎年このブログで最もアクセスを頂いているエントリーのひとつに世界アパレル専門店売上ランキングがありますが、2015年度のランキングで最も注目すべき企業は8位にランクするイギリスのNEXT(ネクスト)でしょう。

 世界アパレル専門店売上ランキング2015 トップ10

 英NEXT(ネクスト)は1864年創業のベーシックカジュアルの老舗アパレルチェーンで、

 米GAPと並び、ユニクロのSPA(製造小売業)お手本のひとつになったことでも知られています。

 売上規模ではプライマークに抜かれ、TOP10の中では成長率も左程高くない成熟ブランド、日本でもゼビオがフランチャイズ展開をしていますが、コンサバでちょいとイケていないブランド(失礼!)に見られがちなため、これまで業界関係者もあまり注目して来なかったのが正直なところです。

 しかし、NEXT(ネクスト)は2016年1月期決算で年商7152億円、20.5%の営業利益率をたたき出す世界の中でもトップクラスの高収益率の企業です。

 以下は事業ごとの売上構成比と営業利益に関する数値です。

事業        売上構成比 前年比 営業利益シェア 営業利益率
英国直営店事業  57.2%   +1.1%  47.2%      16.9%
通販事業      40.0%   +7.7%   47.6%      24.4%
他海外FCなど   2.8%     -15.5%   5.2%        37.9%
合計         100%    +3.0%   100%      20.5%

 通販事業の売上構成比40.0%は小売チェーンの中でも極めて高いですが、営業利益構成比47.6%には驚かされますね。 

 同社の通販事業(NEXT DIRECTORY)は英国を中心に世界70か国に展開し、過去20週以内に1回以上オーダーしているアクティブユーザーが457万人いるNEXTが手掛けるカタログおよびECビジネスの総称です。

 同事業は

            事業内シェア 営業利益率
1)英国通販事業   77.4%    27.5%
2)LABEL事業    10.8%    12.2%
3)海外通販事業   11.8%    15.7%

の3つから構成されます。

 ネクストの通販事業の構成比の高さと収益性の理由をまとめると・・・

 まずは、1988年にカタログ通販を始め、1999年にはインターネット通販を開始するなど、業界の中でも早くから取り組んだ先行者利得があるでしょう。

 次に、ZOZO TOWNの「ツケつけ払い」ではありませんが、通販購入者は代金を分割払いができるクレジット決済(掛け売り)口座を設けていることも挙げられます。これにより、顧客の購買のハードルは下がりますね。

 また、自ら築いた顧客網、通販および物流インフラを活用して・・・

 本来競合するはずのナショナルブランドやインターナショナルブランドをセレクトし、ネクストの通販アカウントを持っている顧客に販売代行するLABEL(レーベル)というファッション商品のECモールのような機能を果たす事業があります。

 これも既存顧客のまとめ買いや囲い込みに一役買っているようです。

 さらに同社の通販事業の資料に目を通していて、着目すべきことは、

 EC購入客の店舗での受け取り比率55%という高さでしょう。これは5年前の13%から飛躍的に上がった数字のようで、その理由はいくつかあります。

 イギリスでは日本のヤマト運輸ほどきめ細かい対応を取る業者が出てきていないため、ECで注文した商品を不在により自宅で受け取りできない確率が高いことが挙げられます。

 これに対して、NEXTは国内540の店舗網(アクセスポイント)と独自の物流網をフル活用し、注文した翌日の昼には送料無料で顧客の指定した店舗で商品を受け取れるというサービスを実施した結果です。
 
 同社の資料を見ていて、ECモールを活用して通販売上を上げることに躍起になっている日本企業にとって、意外と「店舗での商品受け取り」というのは盲点だったのではないか?と思いました。

 店舗での商品受け取りは顧客にとって、

 運賃を払う必要がなく、自分の都合にあわせて受け取ることができ、あらかじめ決済を済ませていれば、お会計をする手間もいりません。

 もし、商品を確認したり、試着をしたければ、店舗のフィッティングルームを使えますし、場合によってはその場で交換返品もできるでしょうし、また、店舗で気に入った商品が見つかれば買い足しも可能です。

 一方、小売り側も

 既存の物流網に載せることができれば追加の運賃コストはかからないし、顧客が来店してくれれば、ついで買いも期待できます。

 接客販売するお店であれば、そんな絶好のご提案のチャンスはないでしょう。

 ある商品を受け取りに来られるお客様がいらっしゃるとなれば、それに合うこんな商品もご提案してみよう、あんな商品はどうだろうか?とお待ちしている間も店舗スタッフさんのモチベーションが高まるのではないでしょうか?

 あと余談ですが、通販で使われるダンボールの廃棄問題や無駄にトラック便や運転手さんを走らせたりする環境問題、労働問題も少なくなるでしょうから環境的、社会的にもよいのではないでしょうか?
 
 もちろん、商品をどのように受け取りたいかは、お客様のお望み次第ですが・・・

 以上のように店舗受け取りには顧客、店舗双方にたくさんのメリットがありますね。

 そこに徹底的に投資をして来たNEXTの事例は・・・直営店とECのインフラを顧客のためにフル活用した、業界の中でも極めて正統派のオムニチャネルリテイリングのお手本のひとつだと思います。

 昨今、ゾゾタウンやアマゾンなどECモールを経由しての通販売上の向上に努力してきたアパレルブランドは少なくありません。

 その結果、各社の売上に占めるEC売上比率は高まり、業界平均も5%を超え10%へと向かっています。

 しかし、以前ご紹介したエントリーのように

 ECモールに任せきりにして、店舗業務との調和を取らないことによる課題も徐々に顕在化し始めているようです。

 15年度のファッション商品のEC売上比率は7.8%に。10%目前に次なる課題は?

 やはり、直営店を持つファッション専門店であれば、倉庫で宅配業者さんにダンボールを渡して、あとはよろしく!ではなく・・・

 商品を自らの手でお客様に届けるところまでしっかりとフォローしたいですよね。

 2008年に始まった流通革新である「ファストファッション」からまもなく10年、

 次の10年のテーマとなる流通革新がはっきり見えてきました。

 それは「オムニチャネルリテイリング」に他なりません。

 これまでのECモール依存から今後は自社ECの強化へ、そして、

 商品の店舗での受け取りを促進し、直営店とECインフラが一丸となった本格的なオムニチャネルリテイリングに取り組む時です。

  ECモール~宅配便に任せていたお客様との接点を店舗をキーステーションにして取り戻そう!

 【おススメ本】

 すべてはお客様の期待を店頭で叶えるためにある。それが本書を書き終えた時に感じた、ユニクロとZARAからの最大の学びでした。
 
 出版から2年経った今でも、おかげさまでアマゾン小売ジャンルランキング1位になることもしばしばあり、感謝しております。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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October 20, 2016

ファーストリテイリング2016年8月期決算と今後の課題

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 10月13日に発表されたユニクロを展開するファーストリテイリング(ファストリ)の16年8月期決算発表の報道やリリースIR資料に目を通しました。

 売上高は1兆7864億円と前年比6%の増収、本業の儲けである営業利益は1272億円と同22%減の増収減益、営業利益率は7.1%(前年9.8%)に終わりました。

 同社はここ何年間、売上高に関しては年率20%超の高成長を続けて来ましたが・・・

 昨年度は一桁増(6%)に減速、また、今期2017年8月期も3.6%増の1兆8500億円の予測とのことなので、同社はひとつの踊り場を迎えたようです。

 これは大黒柱である国内ユニクロ事業の伸び悩みと成長エンジンであるはずの海外ユニクロ事業の減速が要因です。

 また、7.1%という営業利益率を見ると・・・いよいよファストリも普通の企業レベルの収益性に戻ってしまったのか、という印象を否めません。

 この現状を踏まえて、同社は2020年にグループ年商5兆円を達成する目標を取り下げ、3兆円に下方修正をし、17年8月期は各事業のやり方を見直すための1年になる模様です。

 とは言っても、その後、2020年までに3兆円の目標を達成するためには、それに続く18年~20年の3年間は18%の年平均成長率を維持しなければなりませんので、これもまた簡単なことではなさそうです。

 今回の決算発表でファストリの売上規模が米GAPを抜いて世界3位になったという報道がありますが、

 これは米GAPが今期第3四半期までが前年比3%減の減収基調であることと、1ドル=103円という円高の為替をベースにしたもので・・・

 もし、今後ドル高が進めば、GAPを売上で抜くのは2018年度まで待たなければならなくなりそうです。

 今回の決算発表は通期のネガティブな結果に対して、下期の回復基調(増収増益)を強調した決算発表でしたが・・・

 通期を通しても評価すべき点が何点かあります。

 ひとつは海外ユニクロ事業の中のグレーターチャイナ地域(中国、香港、台湾)の収益性です。

 売上高は3328億円(前年比9.3%)で営業利益は365億円と11%の営業利益率を上げています。

 海外ユニクロ事業合計が6554億円の売上、374億円の営業利益ですので、グレーターチャイナ地域の売上シェアは50%ながら、営業利益のほとんどを稼いでいるわけで、差し引くといかにそれ以外の地域が規模だけが拡大しているだけで儲けていないかがわかります。

 もうひとつは、GU(ジーユー)の成長率と収益率です。年商は1878億円(32.7%増)に対して、222億円の営業利益で営業利益率は11.8%にまで高まって来ました。これは立派なものです。

 メディアでは国内ユニクロ事業の伸び悩みだけが語られることが多い中で 国内のユニクロとGUの売上を足すと、

 7998億円+1878億円=9876億円

 日本のアパレル小売市場規模は約9兆3500億円(繊研新聞推計)と言われていますので、そうすると、ファストリの2ブランドだけで10.6%の市場占有率にもなるわけです。

 おそらく、これ、ユニクロだけだったら成し遂げることができなかった国内シェア率の高さではないでしょうか?

 しかも、同社の広告宣伝費の使い方はアパレル業界に限らず消費財マーケットの中でもトップクラスですので、

 ユニクロやGUの価格設定や売り方や在庫の処分のしかたが毎シーズンアパレル消費市場全体に大きなインパクトをもたらすことは間違いありません。

 ちなみに同社の中で構成比と収益力のあるセグメントだけを抜きだして売上高と営業利益を合算すると次の通りになります。

                   売上高   営業利益 (率)
国内ユニクロ(UQ)事業   7998億円 1024億円(12.8%)
UQグレーターチャイナ地域 3328億円 365億円(11%)
GU                1878億円 222億円(11.8%)

3事業計          1兆3204億円 1611億円 (12.2%)

グループシェア         73.4%   126.7%

 この三つの事業に特化している方が、世界の株主もお喜びになるのではないかと思われる数字ですね。

 さて、これからの同社の見通しと課題ですが、

 GUに関しては、今までのようなユニクロとの棲み分けを行っていれば、しばらくはこの伸びを継続できると思われます。

 もし喰い合うとしたら、ユニクロが売上の伸び悩みに業を煮やして売価変更を含めてGUとバッティングする価格帯を増やした時に起こりうるくらいでしょうか?

 海外ユニクロ事業に関しては、経営資源をグレーターチャイナ地域に徹底的に集中して突き進むべきでしょうね。

 ユニクロは中国ではすでに業界NO1で独走状態。

 業務上、中国に研修講師で招かれて、いろいろなチェーン店の幹部の方々をお相手に話をしたり、当地のアパレル流通業界を見聞きする限り・・・しばらくユニクロを脅かすチェーン店が現れる可能性は薄いと思われます。

 一方、100億円規模の大赤字で海外ユニクロ事業の収益を喰ってしまっているアメリカ事業はいい加減リストラすべきではないかと思えてなりません。

 そして、屋台骨となるユニクロ国内事業ですが・・・実は、私は悲観的には見ていません。

 以前も世界アパレル専門店売上高ランキングのエントリーでもご紹介しましたが・・・ファストリさんは自身よりも格下?と思っているかも知れませんが、第8位の英NEXT(ネクスト)の取り組みは大いに参考になります。

 世界アパレル専門店売上ランキング2015 トップ10

 英NEXT(ネクスト)はイギリスにおけるGAPやユニクロのようなベーシックカジュアルの代名詞的なSPAであり、ファストリの柳井会長もユニクロを立ち上げるにあたりベンチマークした老舗ブランドのひとつとして知られています。

 同社の高い営業利益率=20%のその理由のひとつは
 
 成熟市場イギリスにおいて、早くから通販(カタログ、EC)に力を入れ、通販売上高比率が40%を超えているところにあります。

 国内に540店舗ある直営店はここ数年、店舗数を増やすことなく、スクラップアンドビルトで、大型化を図り、総売場面積は着実に増やして微増収を続けています(既存店ベースでは微減傾向)。

 独自の店舗網と物流網をフル活用して、ECサイトでの商品注文の翌日には顧客が指定店舗で商品を受け取れるサービスを提供し、通販事業の営業利益高は直営店よりも格段に高いという現実。

 世界を見渡しても、マルチチャネルではなく、オムニチャネルリテイリングを本格的に実践している事例として、チェーンストア企業各社がお手本にすべきなのは・・・

 アメリカの先端IT技術を駆使する新興業態などではなく・・・イギリスの老舗NEXTではないかと思っています。

 ということで、NEXTの事例を見れば、ファストリが掲げるEC売上比率30%の目標も夢ではありませんし、営業利益構造の回復も見えてくる、そして、何より、ユニクロを購入する生活者の利便性も高まる・・・おそらく現在有明プロジェクトで試行錯誤している物流改革はその準備だと思われます。

 国内ユニクロ事業には成熟マーケットでの出店飽和の中でもまだまだやることがたくさんありますね。海外の先輩たちが背中を見せてくれています。

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September 30, 2016

15年度のファッション商品のEC売上比率は7.8%に。10%目前に次なる課題は?

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 9月21日の繊研新聞によれば、同紙が独自調査&推計した15年度の国内におけるファッション商品のEC売上規模は7250億円、前年と比べ29.5%伸び、全売上高に占めるEC比率は7.8%になったとのこと。

 これは通販専業も含む数字で、それらを除いた専門店およびメーカーの平均EC売上比率は8.1%という数字も掲載されていました。

 ここ1年の伸びは、それより前の3年間が一桁増で推移していたのと比べると(12年-8.8%増、13年-8.7%増、14年-6.3%増)、一気に伸びた格好で、

 特にZOZO TOWN(スタートトゥデイ)やファストリ(ユニクロ)や、もともと分母の大きい大手企業が在庫の充実などEC売上拡大政策に力を入れたことが大幅な伸び率に寄与しているようです。

 同日の同紙特集記事は調査対象となった各社の統計数字、売上を拡大した企業のECへの取り組み事例、IT企業の最新技術などの事例が多数掲載されており、大変充実した内容でした。


 さて、業界のEC売上高比率がいよいよ10%に近づき・・・今後も同比率20%、30%を目指して、このまま引き続きECの売上拡大に力をを入れて行けばよいのでしょうか?

 直営店を持つ専門店にとってはただEC売上比率を上げることだけが目的ではないのは言うまでもありません。

 クライアント企業さんの直営店とEC事業の損益(P/L)の違いを見せていただくことがありますが、平均でいうと、EC事業の営業利益率が直営店に比べ10%ほど高くなっている数字をよく見かけます。

 それは粗利率はECが在庫消化目的で使われていることもあって少し低くなるものの、

 店舗の家賃がかからず、人件費が最小限に抑えられるため・・・

 ECモール対する販売手数料を払ってでも、販売管理費が低くなるため、

 そのような結果になるものです。

 このEC事業の営業利益率の高さは・・・

 単にEC事業が直営店事業よりも儲かるという話ではなく、

 各ブランドがこれまで直営店を中心にしっかり、知名度向上とブランディングに力を行ってきたからこそ、お客様から信用を勝ち得たご利益であることを忘れてはいけません。

 ここ一年、いくつかのストアブランドさんと店頭を起点とした事業の業務改善の取り組みに関与させていただきましたが・・・

 その一環で店舗のヒアリングをしていると、ECの拡大に伴って、各社で共通して、店頭現場でちょっと困ったことが起こっていることに気づきました。

 それは、EC売上比率が20%を超えていたり・・・ECの販売計画が明確でなかったり(そもそも店舗の在庫があてにされている)する場合、

 あるはECの売上が予想以上に上振れしてしまったりしたために・・・

 店舗作業のうち、これまであまり負担にならなかった、ECで引き当てになった商品在庫の店から倉庫(EC店)への店間移動作業がそこそこの負担になって来たことです。

 ECで売約がついた商品は、結構、数量が多く、頻度も高く、スピードを要求されるため、店舗の精神的、作業的負担も少なくありません。

 EC店(特にZOZO)はおそらく全店の中でも売上1番店またはそれに順ずる売上になっているブランドも少なくなく、そのインパクトたるや既存店の作業にも影響を及ぼすわけです。

 経営サイドからすれば・・・昨今、ECの方が売上伸び率が高く、ECで売った方が営業利益率が高いからよいと判断するかも知れません。

 また、ECでご購入されたお客様のためだ、と思えば、誰もが文句を言わずに、作業をするでしょう。

 しかし、EC売上高比率が高まり、ECの伸び率も20-30%超になれば、それに伴って店頭現場で起こる変化に本格的に対処しなければならない局面になっていることでしょう。

 そして、作業そのものだけでなく、朝店舗スタッフさんが出社すると待っているのが、倉庫(EC店)への商品移動指示。

 どんなお客様がご購入になったのか?と想像する間もなく、指示書だけで商品を送り出す作業は少々モチベーションも下がるのではないでしょうか?

 私は店頭の在庫コントロールのご支援を生業にしていますが、いつもクライアント企業さんとの打ち合わせの中では「店舗を倉庫代わりにしてはいけない」ことを口を酸っぱくしてご指導しています。

 もともとは、

 本部の事情で店舗にあふれるほど、むやみに無駄な在庫を送り込まない、

 店舗の商品管理の手間が煩雑になるほど店舗に在庫を持たせたままにしない、

 あとで店間移動すればよいという前提で商品を送り込まない、

 という意味で運用していた言葉ですが・・・

 「オムニチャネルリテイリング」の掛け声のもと、各社がECの売上の拡大に躍起になっている今、

 店舗作業の実態把握と対処が後回しになり、違う意味で「店舗を倉庫代わりにしてしまっている」現場も少なくないかも知れないことを危惧しています。

 もし、危機感を感じたら・・・まずは、EC拡大にあたっての店舗の関連と店舗作業の実態把握を、そして、

 EC売上拡大にあたっては「店舗の販売計画」と同時に「ECの販売計画」をしっかり立てることが大事でしょう。 
 (EC急拡大局面でのグロス(合計)管理は店舗にしわ寄せが行きすぎる可能性が大です)

 また、ECの売上拡大で既存店+ECの前年比増収は確保しているものの
 (本部商品調達担当はそれでよいかも知れませんが・・・)、

 直営店だけのの実態は大幅前年割れだとしたら、ECと店舗を取り巻く業務全体を見直す時期かも知れません。

 ここ数か月、そんな業界のEC売上拡大の数字を見ながら・・・

 ECモールを活用したEC売上拡大というオムニチャネルリテイリング「第一幕」の

 次に来るであろう「第二幕」のについて考えています。

 最近、EC売上比率が驚異の40%を誇るイギリスのNEXTや

 ECを徹底的に店舗への集客の武器に使って、既存店増収を続けるZARAの事例を研究していますが、

 両社に共通する取り組み事例の中に我々が次に取り組むべき本格的なオムニチャネルリテイリングのヒントが見えてきます。

 それは、スバリ「ECでの購入商品の店舗での受け取りの促進(クリックアンドコレクト)」です。

 EC拡大によるマルチチャネル戦略(第一幕)から、直営店があるご利益を活かした本格的なオムニチャネルリテイリング戦略(第二幕)へ

 これらの話題はブログでも順次ご紹介して行きたいと思います。

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October 15, 2015

ファーストリテイリング(ユニクロ)の決算サマリーを読んで感じた今後の課題

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 10月8日のファーストリテイリングの2015年8月期の決算発表を受けて、翌日以降の日経新聞、日経MJ、繊研新聞などでは

 増収増益の文字や

 インターネット売上高比率を30%以上にする壮大な計画の見出し ・・・

 10月12日の日経MJ は各種課題に触れていましたが、

 他紙は全般的には 前向きな論調を全面に押し出す記事でしたね。  

 一方、発表の翌日以降 それとは裏腹に同社の株価は大きく値下がりしました。

 遅ればせながら、同社決算サマリーに目を通したところ、

 売上高は当初計画をクリアしたものの、

 期初 2014年8月期決算発表時       売上高計画 1兆6000億円 

 前期 2015年8月期第3四半期決算発表時    同   1兆6500億円

 2015年8月期 通期実績            売上高実績 1兆6817億円(21.6%増)


 営業利益以下 利益の部分が、期待外れとなり、投資家の期待を裏切った形です。

 期初 2014年8月期決算発表時       営業利益計画 2000億円 

 前期 2015年8月期第3四半期決算発表時    同     1800億円

 2015年8月期 通期実績            営業利益実績 1644億円(26.1%増)

 (  )内は 前年実績対比

 今期の実績だけを見れば

 21%の増収 26%の営業増益

 営業利益率9.8% で

 日本のアパレル業界の中では間違いなくトップクラス

 また、柳井会長が掲げる2020年グループ年商5兆円の目標に対しても、

 拙著「ユニクロ対ZARA」の中でシュミレーションした同社の年次売上と2年連続でほぼ同じ推移を続けています。

 このペースで行けば2016年8月期はいよいよ米GAPの売上高に並ぶかそれを抜いて・・・

 世界売上ランク3位に浮上する可能性も大ですね。

 しかし、3か月前(第3四半期)まで期待を持たせていた利益予測がこの3ヵ月間で伸び切らないどころか逆にへこんだのが今期以降に不安を残した格好になってしまったのでしょう。

 さらにセグメントごとに見てみると

 国内ユニクロ事業は

 店舗数を減らしながらも売場面積を維持し

 (ユニクロ成長エンジンの十八番である増床移転のスクラップアンドビルト)

 約10%の増収 約10%の営業増益 

 15%の営業利益率(前年比横ばい) 

 単体で見れば申し分のない業績と思いますが・・・

 グループ売上構成比は46%に下がったものの

 営業利益構成比の71%を占め・・・

 他事業の低収益率を支えてあげなければならない状況は変わっていません。

 海外ユニクロ事業は

 45%の増収、31%の営業増益と絶好調ですが、

 営業利益率は 8% → 7.2% に低下

 グレーターチャイナ(中国香港台湾)が46%増収、55%営業増益 

 営業利益率も 11.9% → 12.7%に 改善

 一方、事業計から差し引きすると

 それ以外の地域は増収も  営業減益
 
 おそらく韓国(1000億円超)を差し引いてしまうと・・・米国を中心に大赤字になるので韓国の業績をはっきり開示しないのでしょうね。

 また、 グローバルブランド事業は

 17%の増収と 営業黒字化 

 これは 年商1415億円となったジーユーが

 営業利益率 6.3% → 11.6% に改善 これはご立派

 逆にその他の事業合計は赤字です。

 このように 

○ 国内ユニクロ事業

○ 海外ユニクロ事業のグレーターチャイナ事業

○ ジーユー事業

がグローバルレベルの業績水準であって

その他の事業は足を引っ張っているのが現実というわけです。

 それにしても

 ジーユーの1415億円 営業利益率 11.6%にはびっくりしました。

 2006年立ち上げ以来10年足らず、

 単独ブランドで日本のアパレル専門店売上ランキングトップ10にランクインする

 ユナイテッドアローズ2015年3月期1310億円 
 
 西松屋         2015年2月期1285億円

 あたりを抜き去ったのですから びっくりです。

 決算サマリーに目を通して・・・

 やはりグローバルレベルでは売上は伸ばせていくらGAPに追いついたとしても

 営業利益率10%未満は 
               直近決算営業利益率
 1位 インディテックス  18%
 2位 H&M        17%
 3位 GAP         13%
 5位 Lブランズ      18%
 7位 プライマーク    13%
 8位 NEXT        20%

 らのグローバルSPAと比べると見劣りしますね。

 関連エントリー- 世界アパレル専門店売上ランキング2014 トップ10

 ファーストリテイリング=柳井さんは 「フォーカス」の得意な企業(方)なので

 正論を言えば、上記の3事業に徹底に戦力と投資を集中すべきなんでしょうね。 

 ただし、今期以降も

 国内ユニクロの値上げ後の客離れ?と価格調整力を持って日本のシェア拡大を目論むグローバルSPA(H&M、ZARA、OLD NAVYなど)との更なる競合

 中国の店舗開発の強力パートナーである万達グループの不動産開発熱のクールダウン

 ジーユーの低価格を脅かす 輸入原価の高騰 やCSR問題 などなど

 課題も山積みです。

 これに対して、現在5%程度のネット売上構成比を将来的に30%以上にするというちょっと無茶なハードルのようにも聞こえる計画ですが・・・

 実は 世界売上ランク8位の英NEXT社の基幹ブランドである“NEXT”の

 Directory(カタログ&インターネット)売上構成比が40%、

 営業利益に至っては50%を稼ぎ出していることを考えると・・・

  (NEXT社 アニュアルレポート参照)

 ファーストリテイリングのインターネット売上高比率30~50%も あながち無茶な目標ではありませんし、

 英国という成熟マーケットで成熟期に入ったローカルチェーンが

 グローバルSPAとの真正面からの対決を回避して利益率を高めている良き先輩の背中を参考にするのも 

 むしろ得策なのかも知れません。

 いずれにせよ また新しいステージに入ったファーストリテイリング、ユニクロに注目しましょう。

 【おススメ本】

 ユニクロは果たして世界一になれるのか?
 世界のファッション流通マーケットもこの2ブランドを比較すれば よりわかりやすくなる!

 いよいよ台湾で中国語翻訳版も発売されました。 今後 韓国、中国本土と続きます。
 
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June 11, 2015

超グローバル企業 H&Mの本当の強さ

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 6月8日に発売された週刊ダイヤモンドの特集2は 「H&M 脱ファストファッションの野望」

 10ページに及ぶ特集企画にあたり、H&Mのビジネスモデルの整理や同社を取り巻く市場環境に関して記者の方に助言をさせていただきました。

 本特集記事は 拙著「ユニクロ対ZARA」(日本経済新聞出版社)なども参考にしていただきながら、最新データとCEOおよび幹部インタビューを取り混ぜ、「ZARA 対 H&M 対 ユニクロ」的にまとまっており、

 世界最大のファッションストア業態であるH&Mの現在と未来を考える上で示唆に富む内容も多く、とても読み応えのある内容に仕上がっていました。

 各国マーケットのファッションチェーンにとって、ユニクロやZARAに関しては、ある程度棲み分けできる相手かも知れませんが、

 H&Mに関しては、トレンドにしてもベーシックにしても・・・

 ファッション流通ビジネスで考えられるマーケティングの手だてを尽くし、

 世界統一かつ、各国の市場最低価格で提供するわけですから・・・

 ローカルファッションチェーンにとってこれほど脅威な存在はないでしょう。

 しかし、記事にもあるように ディスカウンターモデルと推測されるプライマーク(アイルランド 年商4757億円)がH&Mの価格の下をくぐり、英国市場を中心に年率20%超で急成長、今年はアメリカに進出します。

 一方、ASOS(エイソス;英 年商1855億円)や ZALAND(ザランド;独 年商3059億円)はEC(ネット通販)というローコストビジネスモデルで、H&Mと競合するオリジナルの低価格ファストファッションも提供し、H&Mを猛追している昨今、

 ファッション流通における最強ビジネスモデルのひとつと言えども、決して予断を許せない状況です。


 今回の記事の中で 特に気になったH&M社の現在そして将来に向けての強さを表す2つのコメントがありましたので、ご紹介させて頂きたいと思います。

 ひとつめは

 世界58か国約3600店舗に対して、全世界共通の商品を一切 ローカライズせずに各国で販売するH&Mのデザイン部門前責任者のアンソフィー・ヨハンソン氏のコメント

 「インターネットを通じてグローバル化した世界では、誰もが同じ情報を同じタイミングで手に入れる。だから各国の違いよりも、類似性を重視している」

 私もこの業界で働き始めてあと数年で30年になりますが、

 20世紀(90年代まで)には欧州~アメリカ~アジアでファッショントレンドが伝わる時差があったもので、

 シーズンの半年前に欧米にリサーチや買い付け出張に行けば、半年後の日本の市場トレンドがある程度予測できる、

 そんな文化や情報の格差、時差を利用すればファッション流通ビジネス、特にマスマーケットではメシが喰えるなどと思われていいたころがありました。

 しかし、そんなビジネス環境は21世紀に入りインターネットとモバイルデバイスの普及で一変します。

 彼女が言うことは、グローバルトレンドはもちろん、ローカルトレンドにも言える話で、情報のグローバルレベルなスピード化の流れはもう誰にも止められないでしょう。

 そんな変化とどう付き合い、どう活用して市場を勝ち取るか?という話なのでしょう。

 自国のマーケットが大きくなく、ビジネスを始めたとたんにグローバルビジネスを考え始めざるを得ないヨーロッパ企業は常にグローバルでユニバーサルに通用する商品、サービス、ビジネスモデルを考えて来ました。 彼女のコメントはその発想をさらに21世紀の環境の変化に合わせて的確に表していると思います。

 グローバル時代には、そんな訓練を積んで来た欧州企業に一日の長があると言えます。

 次に、H&Mのカール・ヨハン・パーションCEOのコメント

 2020年(5年後)をメドに販売するすべての綿製品をリサイクルやオーガニックなど環境にやさしいサステナブル(持続可能)なものにすると宣言するH&M

 「環境負担を気に掛ける人は常に増え続けています。
 5-10年後には価格だけでなく、かなり多くの人がサステナビリティ
 を意識するようになると確信しています。」

 H&MにしてもIKEAにしてもそうですが、

 人件費の安い国で作り、先進国市場を徹底的に攻略し、

 ローカルの競合プレイヤーをこてんぱんにして、ファッション流通マーケットやライフスタイルの風景を変えてしまう「グローバル資本主義の権化」のような ファッション流通業=H&Mですが、

 ビジネス的に ただ儲けるだけでなく、同時に 将来を見据えてサステナビリティ 環境 人権 に関しても本気で語り、実行する 大人であること。

 教育を受け始めたころから世界と付き合うことを教えられ、ビジネスを始めた後も世界の環境と世界の人々とどう付き合うかを考えながら 実践してきた国民。 

 これは私が商社勤務時代に数年間おつきあいさせて頂いたスウェーデン企業の方々から感じたスウェーデン人に共通する私の印象です。

 決して偽善的ではない、本音で語る理想と実践力

 同じことをH&MのCEOのインタビューコメントの中にも感じたものでした。

 【おススメ本】
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 グローバルに成長し続ける2つの巨大企業の真逆のアプローチをわかりやすく解説しました。 

 


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March 23, 2015

リージョナルチェーンからナショナルチェーンへ、ヤングメンズカジュアル専門店 「コンファーム・イルズ(Confirm&ILL’S)」の躍進

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 3月20日の繊研新聞 「リージョナルチェーン店の模索」にイオンモールなどでヤングメンズカジュアル専門店(SPA) 「コンファーム・イルズ(Confirm&ILL’S)」を展開する株式会社ロボット(栃木県足利市)に関する記事が掲載されていました。

 私自身も独立前、アパレルチェーン勤務時代にティーンズ・ヤングカジュアルウエアや雑貨の仕入や店舗運営に携わっていたこともあり・・・

 各地のショッピングセンター視察の際にはもともとの目的とは別にいつもこの客層を対象にしている個性的なお店を見つけると、どんな品揃えをしているのか?どんなお客さんが集まっているのか?が気になってつい覗いてしまうのですが・・・北関東のイオンモールで時折見かけるコンファーム・イルズ(Confirm& ILL’S)もそのひとつでした。 

 どんな会社だろう?と検索エンジンでホームページを探しても見つからず、実態がよくわかっておりませんでしたが・・・さすが繊研新聞さん、今回の記事、大変興味深く読ませていただきました。

 ご参考までに
 イオンレイクタウン(埼玉県越谷)の Confirm& ILL’S のページ


 記事によれば同社は14年8月期ですでに年商42億円(前年比11%増)、今期は50億円を目指しているようで、メンズカジュアルが厳しかった昨年に既存店も6-9%伸ばしているとは・・・なかなか立派なものですね。

 この「コンファーム・イルズ(Confirm& ILL’S)」を繊研の記事の内容とは別に、これまでの私なりの印象でご紹介しましょう。

 20歳前後の男子を中心に郊外のやんちゃなヤングマインドをもったアダルトも含む幅広い客層をとらえる2つのブランドの複合アパレル専門店

 モードテイストの入ったストリートカジュアルの「コンファーム(Confirm)」と

 裏原テイストのきれい目ヒップホップカジュアルの「イルズ( ILL’S)」

 価格はトップスのプライスポイントで2900円あたりでしょうか。

 店内のすべてのマネキンが・・・パンツを腰履きし、ポケットに手を突っ込んで「がに股」で立ち、ベースボールキャップのツバを後ろにしてかぶっているのが特徴的で・・・

 どんな客層がお買いものをしているのかが目に浮かび、思わずニヤッとしてしまいます。

 そんなユニークでやんちゃなディスプレーとは裏腹に

 店内のクレンリネスは徹底し、

 スタッフは礼儀正しく

 商品を見ても、ものづくりがわかっている人が携わっていると思われる小綺麗なクオリティー(名古屋・岐阜・両国・錦糸町系のメーカーの別注も多いのかも知れません)

 要はちょっと不良っぽいのですが、汚くなく、きれい目でキチッとしてる感があって・・・結構女性や親から見ても好感が持てるところがミソなのでしょう。

 記事の最後に同社の磯野社長のコメントが掲載されており、「うちはまだまだ草野球レベル。厳しく仕事をするより、楽しく、「楽」をして仕事をする方が伸びる」としながらも、

 いずれは「世界第6位の小売業」の実現を社員さん(現在 約150人 この春54人の新入社員)に宣言されている大きな野心の持ち主でもあるようです。

 ちなみに「世界第6位」ってこんな感じですよ。ご参考までに。

 世界アパレル専門店売上ランキング2013 トップ10

 自社ブランド専門店=SPAのようですが、メーカー別注が多いのか?あえて原価率を高めに設定しているのか?

 粗利率は50%を切っているようですが、販売管理費を30%台後半に抑え、ローコストオペレーションで利益を出せる体質を目指しているようです。

 このローコストオペレーション体質は規模が大きくなり地方から都心部に攻め込む時にものを言いますので従業員満足を継続しつつ、維持をしてもらいたいと思いますね。

 また新しい視点でお店を見させていただけそうです。 今後の展開楽しみにしています。

 【おススメ本】

 ファッション専門店の顧客心理と在庫コントロールを考えるビジネス読本

 人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

  

 電子書籍 Kindle版も発売されました。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

 おかげさまで5刷、今年は中国、台湾、韓国で訳本が出版されます。

 ベーシックカジュアルの価格と品質の常識を変え日本一のアパレルチェーンとなり、世界一を目指して突き進むユニクロとトレンドファッションの価格の常識を変え、世界一となったスペイン インディテックスグループの基幹ブランドZARA (ザラ)。

 既存のファッション流通の常識に挑んだ2つのブランドの真逆のアプローチ、ビジネスモデル、2人の起業家が考える顧客満足、経営信念、人材育成、今後の成長の可能性まで・・・

 10数年両ブランドをウォッチし続けた専門家の立場から両者の成長の舞台裏をわかりやすく解説しました。

 

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