August 27, 2009

古着を温めて新し着を売る

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 今回のタイトルは、8月26日の日経MJの見出しから。
 
 このブログでも、何度か次世代ファッション業態の注目株としてご紹介しているユーズド(古着)ミックスストアの代表格、WEGO(ウィゴー)とハンジローが大きく紹介されており、そのうまい(座布団2-3枚級?)、気の利いた見出しに心打たれて、ブログのタイトルに使わせて頂いた次第です。

 SPA化、ファストファッションの後追いがすすむ日本のファッション業界では、今後、ますますの大味化、同質化、トレンドの早期陳腐化が懸念されます。

 そんなウネリに「染まらない」業態のひとつが、ユーズドミックス業態だと思っています。

 不況下、日本に先駆けてH&M、ZARA、フォーエバー21といったファストファッションの嵐が吹き荒れ、アパレルSPAの元祖とも言えるリミテッドブランズ社がアパレル市場から退場するという異常事態が発生しているアメリカファッションマーケットで、これら日本のユーズドミックス業態と似た要素、コンセプトを持つアーバンアウトフィッターズグループがビクともせず、業績を伸ばしているのがその証です。

 今回は紹介されていませんが、ヒューマンフォーラム(京都)のSPINS(スピンズ)を含めた、いわゆるユーズドミックス御三家は、多店舗化していながら、それぞれの店が全く違う内装が施され、そのひとつひとつに怪しさ、ワクワク感が感じられるのが第一の魅力。

 その雰囲気は、劇場であったり、クラブであったり、学園祭であったり、フリーマーケットであったり、工事現場であったり・・・たまらないです。

 いまや各社、古着の品揃え構成比が2割程度に低下したとは言え、比較的他社と被らない独自のMDを圧倒的なSKU数と、ボリューム満点の在庫量でお出迎え。

 ファッション上級者には、個性を主張するパーツの掘り出し物を見つけるお店として、そして、ファッション初心者にとっては、こなれた値段で、トレンドのスタイリングが揃えられるエントリー(入口)ストアーとしてのポジショニングの両方を常におさえているところが素晴らしいですね。

 まさに次世代ファッションストアの代表格です。
 
 それぞれの年商規模は、

 WEGOが100億円、ハンジローが60億円、スピンズが50億円規模にまで成長しています。

 記事の結びにある

 「長い年月を経て光り輝く古着と、今という時代を切り取ることで輝く新品」

 というフレーズ・・・

 低価格化、ファスト化・・・今のファッションビジネストレンドに何か行きづまりを感じたら、一度、彼らの店頭に行き、ワクワクしながらお買いものをしている若いお客さんの姿、熱気を肌で感じてみてください。忘れかけてた何かを思い出せるかもしれませんよ(笑)。 
  
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August 19, 2009

ブックオフグループがドンドンダウン・オン・ウェンズデイのFCに加盟

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 8月17日の日経新聞、19日の繊研新聞に中古本チェーン最大手のブックオフグループが、ヘイプが展開する最近注目のリサイクルファッションチェーン、ドンドンダウン・オン・ウェンズデイの既存店舗2店を引き受け、FC加盟店入りしたことに関する記事が掲載されていました。

 ブックオフグループは本に次ぐ第二のリユース事業を模索中。中でも「ファッション」リユース店に必須な運営ノウハウを得るため、一方、ドンドンダウン側は、感性とイベント性ではポテンシャルがある事業ながら粗削りなオペレーションにブックオフのリユース事業マニュアル化ノウハウを得るための提携となるようです。

 以前から、ファストファッション時代に突入した日本で、ファッション好きの生活者の感性に耐えうるファッションリサイクル事業の多店舗化には潜在性というか急務的な何かを感じていましたが、今回の両社の提携がお互いの文化の相互理解により、上手くいくことを期待しています。

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関連エントリー-リサイクルファッションマーケットの認知と成長のための一考察

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June 09, 2009

ウィゴー(WEGO)が若槻千夏の古着ブランドを支援

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 6月8日の繊研新聞にユーズドミックスチェーン御三家のひとつ、WEGO(ウィゴー)が、昨年からアメリカ古着の買い付け、ネットでの国内販売活動を始めていたタレントの若槻千夏ちゃんを支援し、この夏から彼女が買付する古着とオリジナルの新品をミックスした新ブランド ”WC” の店頭販売、単独店舗の出店をすることに関する社長インタビュー記事が掲載されていました。

 自らが欧米古着の買い付け、ちっちゃなお店での店頭販売という起業スタイルからビジネスをスタートし、いまや古着を取り扱うファッションストアでは国内トップ、年商104億円規模に登りつめたウィゴーの中澤社長ですが、最近では買い付けたい古着(80-90年代のタイトめ)と実際出回っている古着(2000年以降のビッグサイズ)のギャップから同社の古着取り扱い構成比は15-20%に低下。顧客の需要に応えながら古着との相性のよい新品の開発、調達、構成比アップを進めていたところ。

 これに対し一年以上の古着買付販売の試行錯誤を続けて来た若槻千夏ちゃんと組んだのは、同社の古着の原点の再確認とともに、彼女のチャレンジと自身の起業ストーリーと重なるところがあったからのようです。

 参入障壁がなく、小資本での起業も可能なアパレル業界では、その昔、ロスアンゼルスやパリで古着を買付し、フリーマーケットでの販売からスタートしたといった起業家の方々も少なくありませんでしたね。そんな経験を持つ企業家さん、社長さんたちのサクセスストーリーはいつも聞いていて元気になるものです。

 また、起業以来、低価格ながら一点ものの古着を核にすえ、無理に背伸びをせず、おしゃれ初心者のための「エントランス(入口)ファッションストア」のポジショニングを貫いてきたウィゴーのビジネスコンセプトにも共感するところ大です。

 その点において、ウィゴーは、都心で寮生活を始める大学生のための品揃え、出店立地にこだわった米アーバンアウトフィッターズのポジショニングに似ているところがあると思います。

 U29世代のファッションには欠かせないパーツである古着。

 巷のタレントコラボ企画とは一味違ったWEGOの「古着再確認」プロジェクトは、渋原系ブームの後押しもあり渋谷から原宿に流れる客層を取り込みながら、面白いチャレンジになるのではないでしょうか。

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July 02, 2008

ハンジロー(HANJIRO)が中小型店を全国展開へ

 7月2日の日経新聞、新興・中小企業欄にユーズドミックス業態御三家(WEGO、ハンジロー、スピンズ)の一角、ハンジロー(HANJIRO)を展開する光商事が、ハンジロー業態の日本全国大都市への200坪超の大型店集中出店が一段落したとして、今後、60坪クラスの中型店、10坪クラスの小型店も視野に入れて、出店加速することに関する記事が掲載されていました。

 記事によると、同社は、現在12店舗で、今期年商70億円の見通しとのこと。

 ハンジローHANJIROホームページ

 これまでは、人財の成長に合わせて、1店舗あたり年商5億円超見込める大都市にのみ、大型店を年1店舗程度づつしか出店しない方針でしたが、既存の12店舗によるブランド力、知名度に手ごたえを得ての方針展開というか、出店政策第2フェーズへの突入といったところでしょうか。

 ユーズドミックス業態は、既存カジュアルファッションチェーンに比べて、高層階、地下といった一般的には物販に不利な立地でも、彼らが放つ独特な世界観、魅力からファッションに敏感な若者を十分集客する力を持っていると思います。その分、家賃もいい条件で入居するアドバンテージも持っていると思います。
 
 先日多くのアクセスをいただいた、エントリー、ファッションスクール生の服の購買行動調査でも、ハンジロー、WEGOなどのユーズドミックス業態は高い支持を得ている結果が出ていましたね。

 これまでの同社の出店傾向を見ていると、当面は、東京や人口の多い政令指定都市などに集中した出店になると思われますが、新世代のファッション業態の代表格である彼らが、旧態依然とした旧世代のファッションストアをひっくり返していく様を各所で見ることになりそうな気がします。 

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April 27, 2008

ライフスタイルストアの域に迫るハンジロー(HANJIRO)

 春夏シーズン一番の販売ピークとなるゴールデンウイークを前に、首都圏、関西圏ファッションマーケットを歩いて回りました。

 今回、とても感心したファッションストアのひとつが、WEGO、スピンズとともに、ユーズドミックス業態御三家の一角であるHANJIRO(ハンジロー)です。 

 ハンジローについては、原宿に初出店された10年ほど前から、ヤングファッションの新しい買い回り先として、定点観測のひとつに位置づけ、このブログでも何回かご紹介してきました。

 記述のユーズドミックス業態も、「ユーズド=古着」と言えども古着屋さん特有の個性、生活者からの期待を残しつつ、今や古着と新品の構成比が逆転し、売上ベースでは、7割以上が非古着、オリジナル新品商品と言われています。

 それゆえ、各社古着屋さんというカテゴリーよりも、新しいファッションストア業態と位置づけた方が適切かと思います。

 ハンジローの魅力のひとつは、出店場所と立地条件にあわせた店舗の世界観でしょう。

 小売業は、都心部の路面であれば1階、ビルインであれば、同じ客層のフロアに同居することによって、集客を望むのが一般的です。

 しかしながら、同社の出店場所は、私が知りうる限り、路面であれば1階にはなく、ビルインであれば不利と言われる高層階に単独出店と業界の常識の逆を行くケースばかりです。

 それゆえにか、あるいは、それを狙ってか、特に路面店では、エントランス(入口)から売り場に行きつくまでのスペースを十分に取っています(これも常識の逆)。その間で、「よくぞ、わざわざこんな不便なところまでいらっしゃいました」と言わんばかりのおもてなしの心、エンターテインメント性充ち溢れた工夫がされており、「おっと、ここまでやるか、これは恐れ入った」とびっくりすることが多いですね。

 全店内装は違いますが、白壁をベースとしたカントリー調の階段、金魚やベタなどの観賞魚がお出迎えしてくれたり、天井から流星のごとく降って来そうな照明群、無数の鏡などがあるところを通過した後に天井高のある大きな売場に行きつくという演出は共通しているようです。(個人的にBGMにビョークがよくかかっているのもいいですね。)

 一店舗づつ全く違う、感性溢れる内装ながら、一方で、意外と什器や商品陳列がとても規格化、カセット化されて一定の法則、リズムをもって構成されていることにも気がつきます。

 マネキンによるコーディネート提案もファッションストアの中では群を抜いて多いのも特徴です。
 
 これらは、お客さんの見やすさ、わかりやすさ、ここちよさ、一方で、商品管理のしやすさ、感性とビジネスのバランスを感じる点で感心しますね。

 同社は都心部に特化して大型店を出店し、店舗数より一店舗当たりの売上高を求めるとともに、人の成長に合わせて、急速には多店舗化をしないという展開をしているように見受けられます。

 ハンジローにご興味を持たれた方は、原宿明治通り沿いのYMビルのお店もよいですが、京都河原町(是非向いのWEGOとともにご覧ください、WEGOもエネルギッシュでヤングのパワーを感じるユーズドミックスのいいお店です)と吉祥寺(丸井の裏のタワレコ跡地バナリパの上)のお店をお勧めします。

 日本で、数少ない、欧米で新しいファッション業態に出会った時のような感覚が味わえるファッションストアではないかなと思います。

 ファッション業界は、構造的不況とか言われていますが、きっと何か感じるものがあるはずです。

 HANJIRO(ハンジロー)HP

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March 23, 2008

八木通商がトゥモローランド傘下のセレクトショップチェーンを買収

 3月21日の日経MJに、繊維専門商社の八木通商が、セレクトショップ大手、トゥモローランドから、同社傘下でセレクトショップ「エリオポール」などをチェーン展開するインターブリッジ社の発行済み株式の92.5%を取得し、子会社化したことに関する記事が掲載されています。

 八木通商は、セレクトショップファンにおなじみの「モンクレール」、「マッキントッシュ」、「GTA」、「ヘンリーコットンズ」など、欧州ブランドを代理店として、育成しながら販売することで定評のある専門商社。 

 八木通商取扱いブランド

 買収したインターブリッジは、20代後半から30代前半の女性を対象としたセレクトショップ、「エリオポール」などセレクトショップ20店舗(FC、アウトレット含む)を展開。また、地方個店への卸売も手がけているようです。

 インターブリッジHP

 記事によると、1999年に業績不振からトゥモローランド傘下に入り、2001年には黒字化、04年には債務超過を脱し、07年は前年比2割増の20億円と堅調とのことで、再生が一段落したところのようです。インターブリッジは、八木通商の卸先でもあったわけですが、この経緯からすると、商社によくある救済型の買収というより、前向きな買収の形と受け取れそうです。

 八木通商としては、もともと数店舗のブランド直営店は持っていたものの、インターブリッジの買収によって、同社が代理店を行う数多くのブランドの安定供給先が出来るだけでなく、リテイルビジネスを自ら本格的に行うことによって、よりリテイルマーケットに理解を深めれば、既存のセレクトショップ向け卸のビジネスにもプラスになることでしょう。

 また、追記となりますが、3月24日の繊研新聞によると、八木通商は、インターブリッジの既存の卸売機能を活用して、代理店となっているブランドの地方個店へのきめ細かい卸売対応の強化にも大きく期待しているようです。

 ファッション流通の中では、生活者からもっとも遠いところにいる企業のひとつである商社ですが、リテイルビジネスに参入し、より生活者に近づく取り組みは、今後も期待されるところだと思います。

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関連エントリー-八木通商の欧州アパレルファクトリーブランド支援政策

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March 05, 2008

ネペンテス、エンジニアード・ガーメンツの鈴木大器さんが第1回ベストメンズファッションデザインナー・イン・アメリカを受賞

 3月4日の繊研新聞に、ネペンテスが展開する、「エンジニアード・ガーメンツ」のデザイナー、NYを拠点に活躍される鈴木大器(すずきだいき)さんが、ファッション誌のGQと米ファッションデザイナー評議会が今年設立した「ベスト・ニューメンズウエアデザイナー・イン・アメリカ」の第一回優勝者に選ばれたとの記事が掲載されていました。

 「エンジニアード・ガーメンツ」は、セレクトショップファンにはおなじみですが、多くのアメリカのブランドやデザイナーがアジアや中南米に生産拠点を移し、国内工場が閉鎖されてゆくアメリカで、伝統的なアメリカの製法にこだわりながらデザイン、生産される日本企業がプロデュースするMADE IN USAのスポーツウエア、アウトドアウエアブランドです。

 ネペンテスHP
 エンジニアード・ガーメンツ

 ここのところ、アウトドアー老舗ブランドのウールリッチを日本のファッションリーダーストアやセレクトショップがこぞって買い付けしていますが、その理由は、そのラインを鈴木氏がプロデュースしているからというのも、知る人ぞ知る話ですね。

 アメリカのデザイナー以上にMADE IN USAにこだわる日本の鈴木氏の姿勢が評価されての第1回受賞なのでしょう。

 おめでとうございます&今後のご活躍も楽しみにしています。

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October 30, 2007

古着(ユーズド)ミックス業態の高層階での活躍に期待

 一足早く ファッション系ブログELASTIC さんが取り上げていらっしゃいますが、シブヤ経済新聞に11月3日、渋谷センター街のHMVの6階に古着&オリジナルミックス業態御三家(WEGO、ハンジロー、スピンズ)の一角、ハンジローが出店することに関するニュースがアップされています。

 シブヤ経済新聞~HMV渋谷に大型古着店「HANJIRO」-アパレル店を初誘致


 都心商業ビルの高層階は従来、大型の本屋かCD屋かあるいはレストラン街あたりと相場が決まっていたものでした。最近はユニクロやダイソーという選択肢もあるようですね・・・。

 そんなCD屋さん自身がもてあましているビルの高層階に、売上不振の青山ブックセンターに代わって、今回ハンジローが入るのはこれからの新しいテナントミックスのあり方を占う意味でとても興味深いと思います。

 寄り付き客数が少なく、それゆえ入居希望企業が少ない駅前ビル高層階に入居して、これまでテナントとデベロッパーの利益が一致してきた要素を考えてみると、

○品揃えが豊富ゆえ商品検索型、滞留時間が比較的長い購買行動がとられる業態
 例)本屋、CD屋

○あるいは同じ目的を満たす店がバラエティー豊かに集まっている
 例)飲食街

○絶対集客力のある低価格が売り物のカテゴリーキラー
 例)ユニクロ、百均

 いずれにせよ、生活者が「わざわざ足を運ぶ大型店」になりますね。

 こう整理してみると、客層はヤングに限られますが、古着ミックス業態やヴィレッジヴァンガードあたりも当てはまりますね。あるいは場合によっては、ここまで生活インフラ化したブックオフのような古書リユース店もありではないでしょうか?

 ハンジローは原宿や新宿で高層階での実績は実証済、というかそれがビジネスモデル化して来たと言っても過言ではありません。

 例に挙げた従来型のテナントと私が言及している新興業態の違いは、後者は前者よりも扱い商品そのものは別として、生活者にそれぞれ「新しい価値」を提供していることだと思います。

 それゆえに前者よりも後者の方が粗利率が高いのも事実です。

 そんな業態の導入でまた、生まれ変わる都心駅前ビルの活性化を今後も楽しみにしたいと思います。

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August 30, 2007

ユナイテッドアローズが活用する商社機能

 8月28日の日経新聞、繊研新聞に総合商社の三菱商事が、セレクトショップ大手ユナイテッドアローズの発行済み株式の約3.41%を約30億円で取得し、資本・業務提携をすると発表したことに関連する記事が掲載されていました。

 同日のUA社の株価は+73円とマーケットから好感された模様です。ファッション流通各社の株価が低迷する中で同社の株価は、既存店の堅調な業績によって安定していますね。

 UA社は、自社株売却収入の30億円は運転資金に利用するとし、既存取引もある三菱商事との更なる業務提携については、

・物流ソリューションの活用によるコスト低減
・OEM生産機能を活かした新規事業創出の検討
・QR生産体制の構築
・ITインフラの整備
・商社金融機能の活用によるフリーキャッシュフローの拡大
・優良M&A案件の情報提供およびアドバイザー機能の活用

等について期待する模様です。

 2011年連結売上高1200億円を目指す(07年03月期は609億円)UA社。1業態24店舗限界説を掲げる同社にとって、4年後に倍の売上計画はかなり高いハードルだと思っていました。

 その実現のためには、出店スピードの加速とM&Aが必須ですが、その資金のリソースに「商社金融機能の活用によるフリーキャッシュフロー」を選択したわけですね。

 ユニクロやポイントなどの日本の大手SPA企業の高い経常利益率、キャッシュフローの源泉には商社金融機能があることは間違いありません。

 ひらたく言うと、商品仕入を商社経由にすることで多少商品原価が高くなっても、物流・経理管理の効率化とともに、店頭販売に合わせた在庫調整ができることと、商品代金の延べ払いによって、特に小売業においては店頭で毎日現金回収ができ、恒常的に生まれる「回転差資金」が出店など前向きな投資に利用できるという話です。

 「回転差資金」は、銀行借り入れ、株式市場での調達とならぶ、特に日々生活者から現金回収ができるリテール企業に与えられた資金調達のアドバンテージとも言えます。もっとも、店頭での高い商品回転と企業の信用がそろってできる話ですが。

 セレクトショップという「感性」と「希少性」を売り物にする企業でありながら、一方で、「規模の拡大」にチャレンジする、世界的にも稀有な例として、今後ともUA社の企業戦略に注目すべきところは大きいと思います。

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関連エントリー-ユナイテッドアローズの強さ

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February 04, 2007

ユナイテッドアローズのサンキューノート

 先月末に出版された「ユナイテッドアローズ 心に響くサービス」(丸木伊参著 日経新聞出版社)という本を読みました。

 同社の接客がなぜ他社より優れているかの理由がわかりますので、ファッションビジネスに従事されている方にお勧めしたいと思います。

 特に、第一章に登場する「サンキューノート」はその象徴のひとつだと思います。

 これは、ユナイテッドアローズ(UA)のスタッフひとりひとりが店頭で行った接客サービスに対して、一般顧客やファッションビルのデベロッパーから感謝された時の手紙や逸話が伝説のように詰まっているもので、日々更新され、イントラネットで社内公開され、なぜそれがすばらしいことなのかが幹部からコメントされ、特にすばらしいスタッフは表彰されるというものです。

 ファッションリテーラーとして、お客様に「ありがとうございます」と言うのは当たり前ですが、
 お客様に「ありがとう」と言われたことが何回ありますか?
 その時、素直にうれしかったですか?それをやりがいと感じられますか?そして、またがんばろう、もっと喜んでもらおうと思えますか?

 これが店頭を持っている小売業の醍醐味であり、楽しさであり、それを多くのスタッフと分かち合うのが、ファッションビジネスのマネージメントクラスの使命ではないでしょうか?

 この「サンキューノート」のいくつかの事例を読むとわかるのですが、ファッション販売という行為や販売スタッフのイメージが、店頭でお客さんに商品を気に入っていただき、ご納得の上、実際に購入頂くところまでで完結していては、正直、そのようなサービスは実現できないであろう、とあらためて思いました。

 そうではなく、その時点はもちろんですが、その先、つまりご購入頂いた後のお客さんの状況や気持ちまでイメージして思いやることができるかどうかでその時々の対応が変わってくるわけで、その実行の差が顧客の感動を呼ぶというわけです。

 そして同社がすごいところは・・・

 「束矢(たばや)ルール」という社内ルールに以下のような文章があります。

 「お客様の要求を満たすことは、時には面倒くさく、能率が悪く、経費がかかることを肝に銘じ、ただひたすらお客様にサービスすることがユナイテッドアローズのつとめである。正しいサービスを行うことにより、正しい報酬をいただかねばならない。お客様あっての私たちである」

 一般的に顧客第一主義を掲げている企業でも、実際には、売上や効率や経費削減が優先される中で、同社は、会社をあげて「能率が悪くても、経費がかかってもお客様の要求を満たすこと」を奨励、バックアップしているという点ではないでしょうか。

 同社には、顧客からの感謝の「サンキューノート」と同様に、顧客からのクレームとその対処の事例が赤裸々に記されている「クレームノート」もあります。

 ところで、マニュアルにとらわれず、理念のもとに、考える商人育成を目指す同社の新入社員研修は、

○「あなたが、お客さんとして、店頭で受けた対応でうれしかったことは
 どんなことですか?」
○「あなたが、お客さんとして、店頭で受けた対応で嫌だったことは
 どんなことですか?」

 
 のグループディスカッションから始まるそうです。
 当然、前者を励行し、後者をやらないようにしようという話です。

 これらの話を読んでいて、私が、カジュアルチェーンで、カスタマーサポートの責任者を兼務していた時のことを思い出し、少々目頭が熱くなりました。

 どちらかというと、立場上、重いクレームの対処に当ったものでした。いつも「そりゃ誰でも怒るよなぁ」と共感、同情しながらスタートし、できる限りお客さんの気持ちになって、誠心誠意対処し、実際、自分が納得するところまで突き詰めるまで体も動かしました。正直、経費も時間もかかりましたし、それをスピーディーにこなさなければならないことは言うまでもありません。

 結果、「そこまでやってくれるとは思わなかった。最初はもう二度と利用しないと思ったけれど、あなたのような人が働いている会社はこれからも利用させていただきます。ありがとう」というメールを頂いたことは、今でも忘れはしません。それ以来、クレームが来ると、「よーし、この方をうちの会社のファンにするぞー」と思いながら対処を始めたものです。

 私も、そんなお客様からクレーム転じて感謝された事例、そうできなかった事例、もちろんスタッフが感謝された事例、含めて、社内のグループウエアの掲示板にそのプロセスを事細かに掲載して、お客さんが望んでいる「何か」をスタッフのみんなに伝えようとしたものでした。
 
 このUAの本には、他にも、明日から使える顧客満足向上のためのキーワードをいろいろ拾うことができます。是非一読ください。

 

 また、私の「顧客サービスのバイブル」、アメリカの百貨店、ノードストロームでパートから役員に上り詰めた女性が書いた同じく是非読んで頂きたい良書をお勧めしておきます。

 

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