July 05, 2018

しまむらがZOZOTOWNに出店。 両社のメリットとその先の狙いは?

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 6月27日の日経MJなどにファッションセンターしまむらを展開するしまむらが7月9日(月)にZOZOTOWNに出店することに関する記事が掲載されていました。

 しまむら@ZOZOTOWN新規 オープン告知サイト

 しまむらの粗利率(売上総利益率)は例年32~33%。

 これを持ち前のローコストオペレーションにより、

 23~24%の低い販売管理費率に押さえ

 9%前後の営業利益率を上げている企業です。

 一方、ZOZOの販売手数料は

 単価が高く、売上ランキング上位クラスの取引が太いブランドでも売上高の20%台前半、低単価のブランドでは35%以上のようですので・・・

 低粗利率とローコストオペレーションを武器にするしまむらのZOZO出店は難しいのではと見ていましたが・・・

 まあ、販売手数料が25%前後であれば・・・

 しまむら側もZOZO側もビジネスが成り立たないわけではないので、どこかで折り合いをつけた模様です。

 両社が組むメリットを少し考えてみました。

 まず、しまむらのメリットです。

 業界の多くのブランドのEC売上の6割~7割のシェアを占める、

 業界でもっとも売れるECモール=ZOZOTOWNに出店し、

 後発と言われるしまむらが、今オンラインで何が起こっているのかをスピード体験できる。

 地方、郊外に店舗が多いしまむらでお買い物をしたことがない、都心部の客層にしまむらの商品を手に取ってもらえる。

 しまむら未経験者からすれば安いけど、試してみれば品質がいいことに驚くでしょう。

 次にZOZOのメリットです。

 しまむらが得意とする地方、郊外立地の客層、特にティーンズとZOZO客層よりも年齢の高い主婦層にリーチ出来る。

 特に客数という意味では、日本のファッション専門店の中ではユニクロとしまむらはダントツに多いですからね。

 客単価は低いかも知れませんが、新規顧客大量獲得のメリットは大きいでしょう。

 最近ZOZOがとみに増やしている楽天などから流入した低価格帯の商品群を好む客層に新たな選択肢が生まれることになるでしょう。

 とは言え、おそらく両者の取り組みはお互い様子見というところでしょうか。

 しまむらも損益の関係から粗利率の高めのオリジナル商品から始めるので…

 当初は限定的な取り組みになりそうですね。

 しかし 日本のファッション流通業界の中で最多クラス、

 「ファッションセンターしまむら」だけで1,400

 グループ合計で2,000を越える国内店舗網と全国の店舗にほぼ毎日商品を届ける独自のトラック物流網は業界随一間違いないしまむらグループ。

 ZOZOで注文した商品がしまむらの物流網にのせて全国の店舗で受け取れるとか、返品受付できたら・・・

 東京や関西の都市部にはまだ、しまむらの店舗はあまりありませんが、

 地方や郊外立地の客層には何かしらのメリットを生み出せるのでないか?

 と思いますがいかがでしょうかね。

 「EC後発のしまむらがいよいよファッションモールに出店」というニュースよりも…

 ファッションEC国内最大のZOZOTOWNと

 ファッション流通国内最大級の店舗網と物流網を持ったしまむらが

 ECモール運営者と出店ブランドの関係だけでなく

 その先の取り組みを行う可能性については、とても興味があります。

 両社がそんな共通の利害を見出し・・・ そんな話も視野に入れて交渉を始めていたら、

 流通が変わる結構、面白いことになると思うんですがね・・・

 関連エントリー-しまむらが2018年からネット通販を開始 独自の物流網をどう活かせるか?
 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
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March 23, 2018

ZARA(ザラ)のインディテックスグループの2017年決算は増収増益~実店舗とオンラインの完全統合モデルを着実に進め安定的な成長が続く

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 3月14日に発表されたZARAのインディテックスグループの2018年1月期決算レポートに目を通しました。

 売上高は 3兆4203億円 前年比9%増 
 営業利益は 5824億円 同  7%増
 営業利益率 17%    同0.2%減
 期末店舗数 7475店    同 +183店
 為替レートは1月31日の€=135円で換算

 でした。

 一方、2017年11月に締めたH&Mの決算は

 売上高 2兆7600億円 前年比4%増 
 営業利益は 2838億円 同 14%減
 営業利益率 10.3% 同 2.1%減
 店舗数 4739店   同 +388
 為替レートは1月31日のSEK=13.8円で換算

でした。

 安定的な増収増益を続けるファッション専門店世界売上ランク1位のインディテックスは、
 一方で売上が伸び悩み、連続減益となり、CEOがデジタル戦略に乗り遅れたと猛省する2位のH&Mを大きく引き離しましたね。

 両社の営業利益額が2倍も差がついたのが印象的です。

 株式時価総額に関しては10.5兆 vs 2.9兆と3倍以上もの差です。 

 今回の決算数値、インディテックス自身も若干伸びが鈍化したように見えますが・・・

 同社はこの説明として、ここ半年間の急激なユーロ高の影響を挙げており、(ユーロの商品原価に対して、売上高の回収が為替で目減りしたことによる利益率の低下)

 各国の現地通貨ベースでは10%の増収、12%の増益だと説明しています。

 既存店売上も世界のすべての地域で伸びており、グローバル平均で5%の増収(オンライン含む)とのことで、万事健全であるとのことです。

 今回の決算のトピックを3つ挙げると、

 まず、初めてオンラインの売上比率を開示しましたね。

 オンライン売上比率は 全体の売上に対して 10%
 オンライン販売を実施している地域の売上に対しては  12%
 前年比41%の増収とのことです。

 ざっと計算すると、実店舗だけでは約7%の増収 

 期末店舗数の伸びは2.4%増ですが、売場面積を7%増やしています。
 
 そうすると、既存店リアル店舗単体レベルでも微増収は続けている模様です。

 ふたつめは 積極的な店舗のスクラップアンドビルドと好立地への大型化しての移転の加速です。

 H&Mの引き続き旺盛な出店と比べると、店舗数の純増数(新店-閉店)は鈍化(2.4%増)したかに見えますが・・・

 これは成長を緩めているのではなく、むやみに店舗を増やすよりも、スクラップ&ビルドで店舗の量よりも質への転換に力を入れています。

 今年度524店出店していますが、341もの店舗を閉め、一方で、144店を改装し、122店を大型化しています。その結果、既述のように売場面積は7%増。

 これはすべてのファッションチェーンに言えることですが、

 世界中でオンライン経由の売上が増える中、既存店の質の見直しは同時に行わなければならない経営戦略のひとつであることは言うまでもありません。

 オンライン売上のアップだけに力を入れて、うつつを抜かしていると、不採算店舗や低利益率の店舗がいずれは遅かれ早かれお荷物になり、経営を深刻に圧迫することは間違いありません。

 同社は過去6年間の間に全体の80%の売場スペースがリニューアル済みとのことで、

 このあたりの対応もこれから本格化するオムニチャネル時代に臨戦体制の準備に怠りありませんね。

 3つめは 同社が「ビジョン」に掲げる 「実店舗とオンラインの完全統合モデル」へのアクセルです。

 この度 チェアマンであり、CEOであるパブロ・イスラ氏の下にCOO(最高執行責任者)としてに選任されたカルロス・クレスポ氏は

 IT、ロジスティック、運送、労務、商品調達およびサステイナビリティの各部署をコーディネートする役割の担当役員です。

 これからの同社の明確なビジョン実現にあたって最高執行責任者にこのポストを担わせるということは、
同社のビジョン実現へのスピードアップの覚悟を感じます。

 また、オンラインの新サービスとしては、マドリッド、ロンドン、パリ、上海など世界の一部の都市でオンライン注文の同日受け取りサービスを始め、

 スペイン、イギリス、フランス、中国など複数の国で翌日配送が始まっています。 

 それから、スペインやイギリスの一部の大型店で、オンライン注文の店舗での自動ピックアップ装置を導入・稼働させ始めるとのことです。

 筆者が最近講師を務めたある講演で、

 「ZARAにとって、Amazonは脅威か?」という質問がありましたが・・・

 今回の決算を見ても、施策を聴いても、AmazonPrimeに負けないくらいの配送の利便性を自前主義でしっかり準備されているようですね。

 インディテックス社はしばらく死角なし、

 そして、世界のすべてのファッションリテイラーが進むべき道の半歩先を行くお手本のひとつ

 と言っても言い過ぎではなさそうです。

 関連エントリー‐世界アパレル専門店売上ランキング2016 トップ10

 関連エントリー‐ZARAのインディテックスグループ、サステイナブル経営からインフラ投資への好循環

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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 【関連書籍】
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  
 
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March 13, 2018

購買行動を予測して未来の企業戦略へ舵を切れ

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 3月12日から日経新聞の1面で連載が始まった「消費変貌」はメディアや企業などがよりどころにしていた消費統計や市場統計のこれまでの常識が覆る話の連続でとても興味深く、必読です。

 3月12日(月)の1回目では、これまでケイタイ・スマホなどの通信費が被服(洋服)消費を圧迫する原因のひとつと言われて久しいものがありますが・・・

 記事によれば、「ケイタイ払い」にした商品購入は例え「服」でも「通信費」として請求が来て、家計費の統計上は通信費に紛れこむ。実際の通信費(通話料・パケット料)そのものは00年から17年にかけて半減しているのが実態とのこと。

 また、今日、3月13日(火)の2回目は、メルカリのような個人中古品売買やレンタルなどのCtoC市場の急拡大も従来のアパレルなどの業界市場統計に表しづらいという話です。

 SNS投稿するために、インスタ映えする素敵な服を購入し、一度だけ着用してフリマアプリで手放す消費者も増えているようで・・・同時に、それらをそこそこいいものが安価で買える、と喜んで購入する消費者も増えていますよね。

 そうすると、これまでの百貨店、量販店、専門店、通販のような各販路の企業の売上に基づく販路別市場統計を見て産業の栄枯盛衰を語るのではなく・・・

 消費者行動にフォーカスして、つまり、豊富になった選択肢の中での購買ポートフォリオ、ひとりの人がそれらの選択肢をどう使い分けるかを予測して、3年後、5年後の企業戦略を考えなければならない時代になったわけですよね。

 例えば、アパレル市場では、ECなどの通販の販路シェアが15%程度と言われていますが(通販専業含む)、

 今後 平均的な消費者が

 服の購入は 70%はリアル店舗で購入するが、20%はECで買い、10%は中古マーケットやレンタルを利用する

 なんて世界はそう遠くない未来に起こりそうです。

 いやいや、若い方々や新しいものをすぐに取り入れる方々はもうすでにそれ以上にECやフリマ経由が多いかも。

 ファッション専門店の経営者の方々はそれでもリアル店舗だけにこだわりますか?

 フリマアプリを敵視し、それを使っている方々の消費を見聞きして、最近の○○は消費意欲がない!と言いますか?

 それはお金がないのではなく、むしろお金を有効に使う、賢い消費者(スマートショッピング)なんではないんですか?

 そんな未来の消費を受け入れるなら・・・

 経営者の方々は世の中のリアル店舗での購入が現在の7割になった時にどんな企業戦略や経営を考えますか?という話です。

 当然、不採算店舗は遊ばせているわけにはいかないし、1店舗あたりの損益分岐点も低くなければならない
そのために、生産性向上(売場面積、人、時間当たりの売上や利益)にも取り組まなければならない 

 ドンブリではなく、より戦略的な経営をしなければならなくなるでしょう。

 仕事柄 海外専門店の財務諸表レポートにも目を通す機会がありますが、

 例えば 先進国の中でもEC化が進んでいるというイギリスで、

 EC売上比率が40%で営業利益率20%を上げるNEXT(ネクスト)という ユニクロもその昔お手本にした老舗アパレルSPA企業があります。

 そのNEXT社の財務レポートを読むと

 当社は既存店の損益分岐点は低く、例え、既存店の売上が今より下がったとしてもしっかりと営業利益が残せる体質だと何パターンかシミュレーションする箇所があったりします。

 初めてその資料を見た時はちょっと弱気な?ネガティブな印象を受けましたが・・・

 ある意味 消費が大きく変わることを前提にして・・・それでもリアル店舗が負の遺産ではないということを
株主に対して説明する勇気のある会社なんだなと受け止めることができます。

 これからは店舗の維持・拡大だけではなく、

 消費者購買ポートフォリオの変化に基づいた 販路多様化戦略と合わせて 

 既存店の筋肉質な利益体質づくりもしっかり行わなければ生き残れない時代なのだな

 そしてその変化のスピードはこれまでよりも格段に速いな

 と痛感させられることの多い今日この頃です。

 関連エントリー‐ファッション消費市場に新しい巨大販路の台頭―フリマアプリ「メルカリ」に三井物産などが84億円を出資

 関連エントリー‐世界アパレル専門店売上ランキング2016 トップ10
 
 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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February 26, 2018

店頭起点からオンライン起点へ~ビジネスのカギはお客様と店頭の間、入店前のオンラインにあり

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 2月23日の日経新聞一面に外食チェーン大手の日本マクドナルドが顧客がスマホで事前注文、決済もでき、入店と同時に注文内容がキッチンに伝わり、顧客の待ち時間を短縮するしくみの導入に関する記事が掲載されていました。

 記事によれば、2018年に一部店舗で実験を始め、2019年以降、日本で展開する2900店舗全店へ拡大するとのこと。

 人手不足、店舗の生産性向上、混雑緩和、顧客も待ち時間が短縮される、時短・利便性向上のスマートショッピングの取り組みです。

 昨年の夏に英ロンドンにマーケット視察に行った時の話ですが、宿泊ホテルの近くのマクドナルドでは

 入口とカウンターの間にあるタッチパネルで注文する仕組み(クレジットカードで決済可)と同時に

 スマホアプリで事前注文して店舗で受け取るクリック&コレクトのしくみが併用され、すでに導入済みでした。

 ネットを検索したところ、アメリカでも昨年、同様のしくみの導入が進んだようですね。

 米コーヒーチェーンのスターバックスコーヒーでも、アメリカで2015年から始まった「モバイルオーダー&ペイ」というアプリを使った事前注文&店頭ピックアップが買上全体の10%を超えたというニュースを読みました。日本でも導入が待たれますね。

 ファッション流通に目を移しても、日本の都心部のショッピングの近未来とも言えるロンドンでは・・・

 外食チェーンだけではなく百貨店や専門店でもクリック&コレクト(オンライン注文の店舗受け取り)は標準装備

関連エントリーロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える

 「クリック&コレクト」(オンライン注文の店舗受け取り)と合わせて

 「スキャン&バイ」(店舗で気になった商品をスマホアプリでバーコードをスキャンして商品詳細情報を得たり、そのままオンラインで注文したり、在庫のある近隣店舗を表示する)

 に取り組むチェーンも増えているようです。

 日本では売上歩合家賃で儲けている商業施設とテナント(ブランドやストア)の利害が障害になって顧客の利便性、スマートショッピングは遅れがちです。

 力のあるユニクロ、ZARA、H&Mなどの大型チェーンではアプリを介してクリック&コレクトもスキャン&バイ(日本のH&Mではスキャン&ゲットと呼んでいます)とも導入済みのところも増えて来ましたがね。

 これまで小売業は「店頭起点」という言葉で業務改革を行って来ましたが、

 いまや、スマホでの情報収集から始まるお買いものは・・・お客様と店頭の間のオンラインで始まる時代です。

 ビジネスのカギは・・・店頭を越えてお客様と店頭の間、入店前の「オンライン起点」にどう業務の焦点と軸足を移せるか?がポイントになりそうですね。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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February 19, 2018

ZOZOTOWN(ゾゾ)が米STITCH FIX の日本版「おまかせ定期便」のサービスをスタート ~パーソナルスタイルサブスクリプションサービスの課題と未来

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 ZOZOTOWNが2月15日から 米STITCH FIX(スティッチフィックス)の日本版と言える サブスクリプション型のオンラインパーソナルスタイリングサービスである「おまかせ定期便」のサービスをスタートしましたね。

これは顧客の性別、年齢、身長、体重、テイスト、好みに関するアンケート、良く買うブランド、主要サイズ(肩幅、バスト、ウエスト上下、ヒップ、股下)などを入力することで、スタイリストが選んだ5-10点の商品が1ヵ月、2ヵ月、3か月の頻度で送られてくるもので、気に入らない商品は無料で返品できるというオンラインパーソナルスタイリングサービスです。

スタートゥデイ社のプレスリリースでは

 服を選ぶのが面倒 ゆっくり服を選ぶ時間がない、似合う服がわからない などのお悩みが解消され、
 多くの方々にファッションをお楽しみいただける
 自分専属のスタイリストを持つような新しい体験

というようなフレーズで告知しています。

 ZOZOに関連する過去のブログエントリー 
 いよいよ年内発売開始、ZOZOTOWNのプライベートブランド(PB)の概要が徐々に明らかに

 でも触れましたが、ZOZOが、コーディネートが得意な販売員を大量募集していたので・・・米STITCH FIXの日本版を始めるのではないかと思っていましたが、早々に始めて来ましたね

 これは顧客の身体ヌードサイズを正確に計測するZOZOSUITを既存ビジネスに活かす手段のひとつだと思いますので、とても興味深いです。

 ご存じのない方に、米STITCH FIX(SF社)を簡単にご紹介すると 

 2011年に日系アメリカ人であるカトリーナ・レイク氏によって立ち上げられたサブスクリプション(定期購入)型のパーソナルスタイリストサービスで、

 多くのアンケート項目に基づき、コーディネートされたアウター、トップス、ボトムス、雑貨 計5点が定期的に送られてくるもので、気に入ったモノだけを購入し、要らないものは返品できるというサービスです。全部返品すると$20のスタイリング料がチャージされる、すべて購入すると25%OFFになります。

 AIがアンケートや購入後のコメントに基づき同社の在庫から5点以上のトータルコーディネートできるアイテムを選定し、人間のスタイリストがそれに補正を加えるという、「AIと人間のコラボ」というところに未来を感じ、非常に興味を持っていたビジネスモデルでした。

 当初はアナログに近いオペレーションでスタートした同社も、AIに明るい共同経営者や投資家が加わり、急成長、現在 全国220万人の顧客、75人のデータサイエンティスト、3400人のスタイリストを抱え、年商1100億円を上げ、2017年11月にナスダクに上場した世界のファッションテック業界の注目株です。

 Stitch Fix

 アメリカではたくさんの奇抜なアイデアを持ったベンチャー企業が生まれ、メディアが過剰に騒ぎすぎるきらいがありますが・・・

 正直、まだ規模が大きくないものをどう評価するべきかわからないものも、たくさんあります。

 その中で、1000億円規模になった同社は立派なビジネスとして評価するに値します。

 SF社のサービスを知っていただければわかるように、ZOZOのおまかせ定期便サービスは その日本版と言ってもよいでしょう。

 AmazonFashionより先に始めたのは流石、前澤さんのフットワークです。 

 そして、ZOZOSUITが実際に配られれば更にその精度が高まりますね。

 ただ、このサービスの課題として想定しなければならないのは、ネットを検索していると、この素敵に見えるSF社のサービスの課題を指摘する顧客購買行動に関するデータがあることです。 

 それによると、定期購入者の客単価(一回あたりの購買額)が、回数が進むにつれて下がるという傾向が指摘されていることです。ですから、いかに新規顧客をたくさん獲得するかが成長のカギだと。

 これは筆者の推測ですが、当初、思いがけない商品パッケージが来てワクワクするのに対し、

 その後、顧客の好みを聴けば聞くほど(AI、アルゴリズムの精度が高ければ高いほど)・・・

 新鮮味がなくなり、飽きてくるという心理が働くからかも知れません。

 このあたり、過去データをベースにするAIの限界かも知れませんので、ここにちょっとしたサプライズを演出できるかどうかが今後の成功のカギなんでしょうね。

 筆者もリアル店舗で接客を受ける時、せっかく店舗スタッフさんが自分に似合いそうな色や柄を提案してもらっても、結局は100枚持ってそうなアイテムの色、柄を選んでしまいがちな自分がいます。

 でも、自分じゃ選ばないなというアイテムや柄や色を紹介してくれるからこそ、ちょっとワクワクするのかも知れませんよね。

 もし、自分の好みだけで選んでいたら、コンサバから抜け出せないし・・・

 今は筆者のトレードマークのひとつになっているポケットチーフを入れ始めることもしなかっただろうし、黒を着ることもなかったかも知れないし・・・そこそこの金額を購入しているスキンケア系だってあるコスメ店の店頭でのインプットが無ければしなかったかも知れません。

 そのような新しい提案はリアルの人間にしかできないことではないでしょう。

 顧客の好みに合わせ続けるだけではなく、ダメだしされようが、半歩先あるいはちょっとしたチャレンジにつながる サプライズを提案してくれたら 飽きることなく、もっとファッションを楽しめるのかも知れませんね。 

 AIがそこまで進化してくれたら大したものです。どんな未来情報を加味するかだと思いますが、そんな未来に期待しましょう♪

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 ※ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
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February 15, 2018

アマゾン・ドットコムの2017年度決算は大幅増収増益も通販事業は営業赤字

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 今年2018年は2008年から始まるファストファッションブームから10年目にあたるファッション流通の節目の年。

 もう数年前から変革は起こり始めていますが、これからもマーケットや購買行動の激変をリードするのはAmazonやZOZOなどのオンライン起点の企業であることは間違いなさそうです。

 1月19日のエントリー アマゾンと小売りの未来~あらためて考えるアマゾン・エフェクト 

 でもアマゾンドットコムの損益構造に触れましたが・・・

 2月1日にリリースされた 同社の2017年度の決算発表書類に目を通す機会がありましたので、

 過去4年間の時系列収益数値を共有させていただきたいと思います。
 
 米アマゾン・ドットコム社の4年間時系列 事業別売上高&営業利益(本業の儲け)
 (単位10億円 $=120円換算)

◆売上高 2014 2015 2016 2017 前年比
北米 6,100 7,645 9,574 12,733 133%
インターナショナル 4,021 4,250 5,278 6,516 123%
通販事業計 10,121 11,895 14,852 19,249 130%
AWS 557 946 1,466 2,095 143%
合計 10,679 12,841 16,318 21,344 131%
◆営業利益 2014 2015 2016 2017 前年比
北米 43 171 283 340 120%
インターナショナル -77 -84 -154 -367 239%
通販事業計 -34 87 129 -27 -21%
AWS 55 181 373 520 139%
合計 21 268 502 493 98%
◆営業利益率 2014 2015 2016 2017 前年差
北米 0.7% 2.2% 3.0% 2.7% -0.3%
インターナショナル -1.9% -2.0% -2.9% -5.6% -2.7%
通販事業計 -0.3% 0.7% 0.9% -0.1% -1.0%
AWS 9.9% 19.1% 25.4% 24.8% -0.6%
合計 0.2% 2.1% 3.1% 2.3% -0.8%

 いよいよ世界で年商20兆円を超えたアマゾンの儲け=営業利益は 

 北米の通販事業でも営業利益率がわずか2.7%

 それを日本も主力のひとつであるインターナショナル通販事業の年々拡大する赤字(2017年は-5.6%相当)で打ち消して

 世界の通販事業合計では営業赤字。

 一方、急拡大で売上を伸ばし、売上シェア10%のAWS(クラウドレンタルサーバー)事業は25%の営業利益率で、同事業のみで会社の全体の利益を上げているという状態で・・・

 売上の90%を占める通販事業は米国では薄利、海外では赤字でも手を尽くしてシェアを拡大し、別事業(AWSクラウド事業)で儲けてその薄利をカバーしているという構図はここ数年変わりません。

 新聞紙上では売上高も税引き後利益もそれぞれ約30%の増収増益であるところを強調しますが・・・

 税引前では減益ですし、通販事業が赤字であることはあまり強調して報道されませんよね。

 既出のエントリーでも述べたことを繰り返しますが、

 アマゾンは通販の利益は度返しで、

 消費者を品揃えの豊富さ、価格の安さ、サプライズなサービスを次々に繰り出し、期待をどんどん高め・・・

 既存流通企業の品揃えやサービスの旧態依然さ、陳腐さを浮き彫りにし、後手を打たせ、

 競合を業績不振に追い込み、次々に駆逐し、そのサービスの優位性で消費者を益々自社の通販サイトに引き込み・・・

 利益よりも多くの顧客購買データを収集することを優先するという戦略を持った企業なんですよね。

 もちろん 把握した消費者購買行動データから次の手を繰り出すための投資を繰り返し、事業規模を拡大するが目的にあるわけです。

 その点からすると、これまで流通革新を起こして勝ち組と呼ばれて来た企業、

 低価格衣料の品質の常識を変えたユニクロにしても、

 トレンドファッションの価格の常識を変えたZARAやH&Mなどの外資ファストファッション企業にしても、

 彼らは本業で儲ける、営業利益をしっかり10%以上稼ぐことを前提にした

 同じ流通業者による「革新(イノベーション)」であったのと比べると

 流通業者ではなく、グローバルプラットフォーマーという異次元の立場から、利益度返しのアマゾンはある意味、掟破りであり・・・

 それゆえに、より強敵で、対応しようと思って同じ土俵に上ろうものなら・・・

 ほとんどの企業は利益は出せない、ということになるのです。

 そんな違った発想を持った企業のサービスと比較される既存の流通企業はどんな立ち位置で商売をするのか?

 これからは、正しくそれが問われる5年、10年になりそうですね。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 
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January 19, 2018

アマゾンと小売りの未来~あらためて考えるアマゾン・エフェクト

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 1月16日の日経新聞に「アマゾンと小売りの未来」というタイトルで日本、東南アジア、アメリカの流通業に携わる3人の識者のインタービューによる特集記事が掲載されていました。

 アマゾン・ドットコムの急成長が、既存の流通を脅かし、業績不振に陥る企業が増えて行く、いわゆる「アマゾン・エフェクト」をあらためて考える良い機会になりました。 

 ネットにも同記事が掲載されています。

 日経新聞 アマゾンと小売りの未来

 アマゾンは消費者とっては極めて便利なECモール、コンビニに次いで生活に欠かせないショッピングインフラのひとつとなりましたね。

 しかし、良品計画の金井会長が言われるように

 「アマゾンで働く人たちは『自分たちが小売業者だ』という意識は薄いだろう。(中略)アマゾンは膨大なデータを分析して新たな事業やサービスの開発にいかしている。たまたまビッグデータが集まる小売業をやっていて、小売りで儲(もう)ける優先順位が低い。だから低価格販売も可能となる。」(「  」内引用)

 米アマゾン・ドットコム社の2016年度の決算書(FORM10K)に目を通すと
 (単位10億円 $=120円換算)

◆売上高 2014 2015 2016
北米 6,100 7,645 9,574
インターナショナル 4,021 4,250 5,278
通販事業計 10,121 11,895 14,852
AWS 557 946 1,466
合計 10,679 12,841 16,318
◆営業利益 2014 2015 2016
北米 43 171 283
インターナショナル -77 -84 -154
通販事業計 -34 87 129
AWS 55 181 373
合計 21 268 502
◆営業利益率 2014 2015 2016
北米 0.7% 2.2% 3.0%
インターナショナル -1.9% -2.0% -2.9%
通販事業計 -0.3% 0.7% 0.9%
AWS 9.9% 19.1% 25.4%
合計 0.2% 2.1% 3.1%


 世界で年商20兆円に迫るアマゾンの儲け=営業利益は 

 北米の通販事業ではわずか3%

 日本が主力のひとつであるインターナショナル通販事業では長年赤字(売上対比2~3%分くらいの赤字)が続き

 世界の通販事業合計では1%の営業利益も出していない状況 (2016年度営業利益率0.9%)

 一方、急拡大で売上を伸ばし、売上シェア9%のAWS(クラウドレンタルサーバー)事業は25%の営業利益率で会社全体の75%の利益を上げているという構図です。

 つまり、売上の90%を占める通販事業は薄利、あるいは地域によっては赤字でも手を尽くしてシェアを拡大し、別事業で儲けてその薄利をカバーしているというわけなんですよね。

 そんな構造の会社が

 アリックス・パートナーズ マネージング・ディレクター デビッド・バサック氏が言われるように

 「アマゾンは価格や配達サービスなどで高いハードルを設定してしまった。他社が同じサービスを提供し、その上で利益を出すのはとても難しく、多くの小売業者が苦しんでいる。」
(「  」内引用)

 要は、アマゾンは通販の利益度返しで、

 消費者を品揃えの豊富さ、価格の安さ、サプライズなサービスを次々に繰り出し、期待をどんどん高め・・・

 既存流通企業の品揃えやサービスの旧態依然さ、陳腐さを浮き彫りにし、後手を打たせ、

 競合を業績不振に陥らせ、次々に駆逐してしまうという戦略を持った企業なんですよね。

 その点からすると、これまで流通革新を起こして勝ち組と呼ばれて来た企業、

 低価格衣料の品質の常識を変えたユニクロにしても、

 トレンドファッションの価格の常識を変えたZARAやH&Mなどの外資ファストファッション企業にしても、

 彼らは本業で儲ける、営業利益をしっかり10%以上稼ぐことを前提にした革新であったのと比べると

 利益度返しのアマゾンはある意味、掟破りであり・・・それゆえに、より強敵で、同じ土俵に上ろうものなら、ほとんどの企業は利益は出せない、ということなのです。

 20年前のユニクロフリースブームから始まったSPAブーム、

 10年前のH&M日本上陸から始まるファストファッションブーム、

 これからの10年はその時よりも、競争は熾烈で、ゆえに、自社の立ち位置をより一層はっきりさせ、商品やサービスを磨かなければいかない

 商品そのものの価値を高めながら・・・スマホを操り、より利便性を求める消費者のために、コミュニケーション力やサービスを磨かなければならない厳しい時代です。

 寒波の気候に助けられ、アウターや防寒アイテムが売れたこの秋冬シーズンの業績の一時的な回復に浮かれることなく・・・

 流通業界は、今、危機感をもって革新を進めなければならない時代の真っただ中にいます。

 あらためて身を引き締めて臨むことに致しましょう。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 
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November 27, 2017

ユニクロが全世界の店舗にIC(RFID)タグ導入へ~RFID導入のご利益とは

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 ちょっと前のニュースですが、11月7日の日経新聞に ファーストリテイリングが展開するユニクロが1年以内に 国内海外 約2000店舗 全店に ICタグ(RFID)を導入することに関する記事が掲載されていました。 

 初期投資は数百億円に上る見込みで

 同社は同システム(RFID)の全店舗への導入によって
 
 「瞬時に在庫管理を済ませ、店員を接客に回し、来店客には会計の待ち時間や欠品を少なくするといった効果でメリットを出す」としています。

 店舗へのIC(RFID)タグの導入は、まずは入出荷検品、在庫検索、レジ精算、棚卸業務などの作業効率(生産性)向上、防犯管理などへの活用から始まり、その後、店舗内での顧客購買行動の追跡に期待されています。

 昨今、RFID導入のメディア記事を読んだり、ITベンダーさんの売り込みトークを聞いたりするたびに、思うのですが・・・ 彼らが語る 「瞬時に在庫管理を済ませ」というおおざっぱというかミスリードな表現に違和感を覚えるものです。

 以前 

 在庫データの精度を高めて「ラスいち(最後の一点)」を売り切れ

 というタイトルのエントリーでも触れましたが、

 導入実績のある企業さんたちの話を伺うと、

 RFIDは決して魔法の杖ではなく、導入すれば何でも解決するわけではなく、読み取り精度は決して100%とは言えず、

 とは言え、取り組みかた次第で作業効率が図れるというものです。

 たとえば 棚卸業務ひとつ取っても

 従来(バーコード対応)の棚卸の工程には大きくわけると

 1) 準備段階
 2) 全商品を一点ずつスキャン
 3) 誤差調査

の3つがある中で RFIDの導入によって

1)がほぼ不要になり、2)が瞬時で済む、その結果 3)の調査だけに集中できるようになるので、大幅時間短縮につながるというものです。

 これは、これまで 在庫データの精度を高めようと、1)~3)までの苦労を愚直にされて来た企業さんや店舗スタッフさんにとって在庫データを正確な状態にするのに時間短縮できるようになる、

 というご利益があるのであって、

 そもそも、棚卸というか、商品管理の本来の目的を理解していなかったり、

 ただやらされている感でいるために時間のかかる面倒な作業と考えて、3)をやっていなかったり、いい加減にしたりしてきたところにとっては・・・ 

 2)の作業が楽になるというだけで、相変わらず正しく在庫がつかめないままで・・・それ以上のご利益はないでしょうね。 

 ユニクロさんあたりはそのあたりしっかりやられて来た企業の一社だと思いますが、

 これまでそうでなかった企業さんは RFIDを検討する際に、

 まずは業務そのものを見直し、何故 在庫データを正しく把握する必要があるのかに立ち戻った上で 導入を検討すべきでしょうね。 

 そうすればタグ1枚のコストが高いか安いかではなく・・・

 業務の生産性が高まり、過剰在庫を減らすことによって得られる・・・労働時間短縮と在庫の値下げや廃棄ロスの低減と、導入およびタグのコスト(投資)が見合うかどうかという議論になりますからね・・・

 ECやモバイルデバイス(スマホ含む)が普及して、

 店舗スタッフがお客様が欲しいと思った商品在庫を在庫データを検索して見つけ出してご提供する。

 一方、お客様ご自身もスマホで自分でみつけて、購入または取り寄せることが容易な時代になってきました。

 また、在庫データが正確であれば、最後の1点までも売り尽くしやすい環境が整いつつある中で、

 勝ち残りのためには以前よりも断然、在庫データの精度を高める必要性が高まって来たと感じています。

 欲しい商品を手にしたお客様とそのお買いものをお手伝いできた喜びのために・・・先端技術を理解し、正しく導入・運用したいものですね。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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October 09, 2017

実店舗とオンライン、5年後のファッション消費の未来から考えよう

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 10月5日の繊研新聞にJDAソフトウエアがプレスリリースしたインターネットショッピングに関する消費者意識調査に関する記事が掲載されていました。

 同調査資料のオリジナルをご覧になりたい方はこちらから
 
 2017年インターネットショッピングに関する消費者意識調査


 この調査は

 18歳以上の男女を対象にしたインターネット調査ですが(有効回答数2093人)

 私が注目したのは2点

 今後ファッション消費において、

 1.どれくらいの割合がオンライン経由でなされ、

 そのうち

 2.どれくらいがクリック&コレクト(オンライン注文の自宅以外受け取り)を利用するのか?

 に関する数値です。

 まず前者については

 インターネットでも実店舗でも、どちらでも購入できる商品の場合、インターネットと実店舗のどちらで購入することが多いですか?という質問に対して、

 小売全体では約70%が実店舗で購入するに対し、洋服/靴/ファッションは75.5%が実店舗で購入するとのこと。

 この結果は、昨今、業界識者の方々が語り始めている「ファッション専門店のEC売上比率の限界点は30%にあり?」という議論に近いものがあるかも知れません。

 また、

 過去1年間にクリック&コレクト(オンライン注文商品の店舗など自宅外受け取り)を利用しましたか?という質問に対しては

 今回(2017)は18%が利用経験ありと答え、前年(2016)の14%に比べて増えています。

 ちなみに同社は同じ調査を英国でも行ったため、比較数値が出て来ますが、

 英国ではクリック&コレクト利用経験者比率は54%と過半数です。

 日本の場合、なぜクリック&コレクトを利用するか?という理由としては

 配送手数料がかからない    44%
 自宅より確実に受け取れる   42%
 自宅への配送より便利      34%

 一方、クリック&コレクトにおいてのトラブル体験は

 日本では74%の利用者が持っており、これは英国の54%よりも高い数値となっていますが、日本の上位の理由は・・・

 店員が商品をなかなか見つけられない、時間がかかった 39%
 受け取りの専用スペースがない  29%
 対応する店員がおらず待たされた 18%

 とのことです。 
 
 ストレス軽減のためには、同サービスが社内でしっかり通達され、

 アルバイトさん含めて店舗スタッフもそういったお客様が来店された時の対応が周知徹底されているかどうかにかかっていそうです。

 これまで、日本のクリック&コレクトがどれくらい進んでいるかを数字で掴めませんでしたが、今回、初めて数字に触れて、日本でもまだ低い数値ながら、徐々に増えていることがわかりました。

 また、クリック&コレクトが普及しているイギリス(体験者比率54%)との比較を見て・・・以前、私がイギリスの老舗SPAであるNEXTのアニュアルレポートを読んだ時にこんな数字が出ていたのを思い出しました。

 これは2016年1月期のものですが、

 オンライン注文を店舗で受け取る比率が過去5年間に急増

 2010年     2015年
  13%  ⇒   55%

 これは同社が2010年からオンラインビジネスに力を入れ、サービスの認知とサービス精度向上に努めたからに他なりません。

 この数字を思い出して、JDA社の英国のクリック&コレクトに関する調査結果とNEXTの実態が近いこと、

 そして、英NEXTのオンライン注文のクリック&コレクト比率が2010年に 日本の2016年と同じ水準であり(それぞれ13%と14%)、その5年後にNEXTではオンライン注文をする過半数(55%)の顧客が自宅外で受け取るようになったことからすると・・・

 日本でもひょっとすると、2021年ごろにはオンライン注文者の過半数がクリック&コレクトを利用するようになるのかも知れない?という仮説が描けるのではないかと思いました。

 もっとも、企業がそれに耐えうるフルフィルメントなどインフラ投資を着実に進め、店頭と一体となって、店頭でのトラブル比率を下げることがキモになることは言うまでもありません。

 JDA社の資料によれば、日本の小売企業はまだECのシステム周りに投資をしているのに対して、

 欧米ではその先を行って、フルフィルメントへの投資が旺盛とのことです。

 これから5年後、ファッション消費の未来はどうなっているでしょうね。そんなことを想像しながら・・・

 未来から逆算して、オムニチャネル時代にインフラ投資を進めながら、トップがリーダーシップをとって店頭を巻き込んで社内でお客様のメリットを周知徹底する、

 そんな取り組みをそろそろ進めなければ・・・業界で取り残されるというか、顧客から「遅れている店」というレッテルを貼られてしまいそうな局面に入って行きそうです。

 関連エントリー-ロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから
 【おススメ本】

 オムニチャネル対応も顧客中心主義の信念の延長線上にある ユニクロ、ZARAのSPAビジネスモデルを比較しながらわかりやすく解説しました。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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September 18, 2017

在庫データの精度を高めて「ラスいち」を売り切れ

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 先日、東京ビッグサイトで開催されたRFIDなどの最先端自動認識技術で製造・流通・物流などをソリューションする企業事例を紹介する「自動認識総合展」に行って来ました。

 目的は「自動認識のベストプラクティス」というセミナーで

・アダストリア社が行っているRFIDを使った海外工場~店頭までの国際物流実証実験の経過報告や

・国内物流~店頭でのRFID活用の先進事例であるビームス社の取り組み

の話を聴講するためでした。

 システム会社が売り込むほどは万能ではないRFIDの活用を・・・

 現場主義の両社がどのように運用しているかについての具体的な話を伺うことができ、同技術との付き合い方についてとても腹落ちして勉強になりました。

 最も印象に残っている話のひとつが

 ビームス社のシステム担当役員さんからの話の中で・・・

 RFIDによる棚卸作業の効率化、そのご利益としての在庫データ精度の向上によって・・・

 これまで閾値(しきいち)の設定上の関係でECの販売対象にできなかったラスト1点(ラスいち)が販売可能になり、今年の夏のセール初日の売上が過去最高になったという話です。

 話しによれば、なんと、販売品番の約3割が「ラスいち」品番だったとのことで、これらが過去最高売上の要因のひとつであったことは間違いないでしょう。

 閾値(しきいち)とは、実際の在庫データに対し、どれだけを販売対象にするかという数値の設定です。 

 例えば、在庫データの精度が低ければ、未知の棚卸ロスのために、在庫にないものを販売してしまうことを回避するため、

 各社は在庫が最低2-3点以上の商品をEC販売の対象にし、ラスト1点というものはその対象から除外する(販売対象にしない)ものでした。

 同社では年間10回棚卸をするという、もともと棚卸業務に試行錯誤の上、磨きをかけていた会社さんですが、

 RFIDのおかげで棚卸時間作業が10分の1となり、時間短縮された分、在庫データの精度を上げることに注力できたというもので・・・

 ご苦労の結果、データ精度に自信が持てたため、ECのラスいちの販売に踏み切ったようです。

 これ、すごくいい話だなと思ったのは、

 RFIDもECもなかったころの私自身の専門店勤務時代の話になりますが、バイヤーや在庫コントローラーとして店舗と一緒に「ラスいち」在庫の売り切りに取り組んでいた時に同じようなご利益を感じていたからです。

 在庫過多に苦しんだ服飾雑貨と靴のバイヤー時代、在庫回転を悪化させる要因のひとつが・・・

 「ラスいち」品番を含む一桁在庫数の品番群であることに気付いたからです。

 在庫を整理しようと思って、意識的に在庫帳票を見たことがある方はおわかりだと思いますが、

 帳票のページ(データであれば行数)の大方が過去何年間か放置されたこれらの売れ残り在庫ではなかったでしょうか?

 売れ筋商品で消化率がよい商品でも、各店では数量が少なくなるとお客様の目に届かないところに置いてしまうものです。店舗によってはバックヤードの中のダンボールの中ということもあるでしょう。

 店舗も本部商品管理チーム(バイヤー、在庫コントローラー)もそれらが眼中になくなっているのが実情で、放置しておくといつの間にか塊状態で「死に筋」になっているものです。

 これらをお客様の目に触れるように、各店にラスいちコーナー(またはラック)を設けたり、定期的に集約店舗に集めたり、回収してアウトレットで販売したり、福袋に入れたり・・・そんなルーティンができている会社さんだったらいいのですが、

 私の前職時代含め、独立後、関与したクライアント企業さんの在庫データを見させていただいても、多くの企業で同じことが起こっていることに気が付きます。

 それを放置したままで、「うちは在庫回転が悪い、在庫回転を上げるにはどうしたらいいか?」と悩んでいることも少なくないものです。

 おそらく、そんなものに時間を掛けるのであれば、新商品を、直近の売れ筋を売れ、というのが多くの企業さんの考えでしょう。 

 しかし、放置しておけばおくほど、在庫回転が悪化(在庫日数が膨らむ)してゆくのが実態です。

 これらの売り切りにしっかり取り組めば

○ 売上のプラスになる
○ 在庫回転がよくなる
○ 商品管理が楽になる データも軽くなる

そして、

○ 商品管理に携わるすべてのスタッフが より前向きにお客様が望む売れ筋商品に集中できる

 というご利益がありますね。 

 ラスいち商品はかつての売れ筋商品の残りですから、サイズさえ合えば、商品自体はお客様にとって魅力的なはずですから・・・手遅れにならなければ値下をしなくても売り切れる可能性は高いですね。

 今では、ビームス社のようにEC店に集めて、ECで上手に売り切るという有力な選択肢も加わりましたね。

 そのためには、日ごろから商品管理をしっかり行い、在庫データの精度を意識する習慣をつけておくことが大切なのは言うまでもありません。

 オムニチャネル時代に・・・

 欲しいと思った商品を手に入れたい!と望むお客様のためにも、それをお手伝いしながら、商品をしっかり売り切る商売人にとっても・・・

 業務を円滑に行い、お客様に向き合うことに集中する上でもRFIDの上手な運用は大切である、

 とあらためて感じたものでした。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 本書を通じて お客様のためにIT、物流インフラ投資を続けて来たZARAのポリシーに触れていただければ幸いです。 
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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