September 21, 2020

ZOZOの決算書から学ぶECビジネスの損益

20200921_163102

WWDジャパンさん向けの連載記事のためにZOZOTOWNを運営するZOZO社の決算書20年3月期および21年第1四半期に目を通しました。

Paypayモール出店によって40代、50代の新しい客層が順調に獲得され、
ZOZOTOWNもコロナ禍で商品取扱高が増え、同社のECの売上は好調、社としては増収増益のまずまずの決算だったようです。

気になったことを3つほど挙げると

ひとつは単価の下落です。
 
20年3月期通期の
平均単価は 3,946円 (前年度は4,201円)
出荷単価は 8,292円 セット率 2.10 (前年度は8,774円;同 2.09)
と下落しています。

コロナ禍の出店ブランドの在庫処分もあり、21年3月期第1四半期に至っては
3,443円まで下落(前年同期は3,903円)しています。

ファッション性が売りのZOZOTOWNですら、
平均単価がファッション市場マスマーケットの価格帯である3900円にまで低下していることに驚きました。

次に、出荷1件あたりの収益性です。

ZOZOの損益計算書や開示データを時系列で見ていると、
ECビジネスの販売管理費の構造やマクロトレンドがよくわかります。

ECビジネスの販売管理費の上位を占める荷造運賃、物流関連費、広告宣伝費について、

グロス金額(費用総額)ではなく、出荷1件あたりで割り出してみると

・荷造運賃は高止まり、
・物流関連費は人件費の見直しで増加傾向
・以前より広告宣伝費やポイントの出費を抑えて・・・

「利益率」こそ底を打って、回復中ではありますが、

そもそも、出荷単価が下落しているため、
出荷1件あたりの利益額(単価)は下落傾向というのが実態です。

要は、単価は下がるので、1件あたりの粗利額(同社にとっては販売受託手数料)は下がる、

一方、1件あたりにかかる荷造運賃やその他物流関連費(人件費がメイン)は高止まり、

歩留まり利益は店舗運営型小売業よりも多額にかかる広告宣伝費を調整弁として、どれだけ使うか次第という構造に見えます。

「ECは家賃がかからないので、店舗販売の小売業より儲かる」と豪語される方は少なくありませんが
ECは店舗販売と根本的に経費構造が違う、と言うのが正しい言い方ですよね。

むしろ、販売単価、粗利率によって、物流経費や広告宣伝費の使い方では薄利になってしまう可能性もはらんでいると見るべきでしょう。

みっつめは、今後の収益バランスのとり方です。

通販受託事業のこの傾向に対して、
ZOZO社はトップラインである売上高に関しては全体の商品取扱高を増やしながら、受託手数料収入額を増やす。
その一方で、通販事業の利益率の低下傾向を、モノを動かさない広告事業や新しいサービス事業を増やして利益貢献するように、目下、強化中というわけです。

アマゾンの通販事業は薄利で、AWSで利益を稼ぐという構造に近づいていきますね。
これはプラットフォーマーの必然なのかも知れません。

ZOZO社自体はそれでいいかも知れませんが・・・出店ブランド(事業者)はその傾向を理解してECビジネスに取り組まなければなりません。

ファッションECマーケットは、
単価は下落傾向、競争が激しくなると、以前よりも広告宣伝費が余計にかかる、
販売管理費の主要費目である送料や物流関連費用は下がらない。

この構造やビジネストレンドを理解した上で、
販売単価、粗利の確保、送料無料のハードルをどこに設けるか、値下げやクーポンやポイント付与などの販促施策の加減も考えるべきでしょう。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

次のステージに向けての在庫最適化と人財育成を切り口にした業務再構築支援~ZOOMを使ったオンラインアドバイザーサービスも実施中。詳しくはこちら

【オススメ本】顧客の新しい購買行動、オンライン・オフラインが融合する時代の顧客心理と在庫コントロールがテーマです。

|

September 14, 2020

お客様目線の商品名を使って商売する

筆者も講師のひとりを務めさせていただきましたDsc_6436 繊研新聞社主催のオンライン連続講座「通販サイトのはじめ方」 の全3回が先週で終了しました。

講師陣は3年前から一緒に(ファッション業界の)「オムニチャネル時代のバックヤード勉強会」を運営して来た5人の専門家メンバーで、筆者は2回目のECの損益構造を担当しました。

先週の3回目、ファナティックの野田大介さんフレイヴァ・プロジェクツの髙木勝さんが担当されたECの集客方法とお買い上げアップの内容を聞いていて一番納得した内容のひとつが・・・野田さんがお話しされた 「商品名をお客様目線で変更する」という話でした。

要は、業界で仕事をしていると、どうしても、業界内で通用する業界用語を多用してしまいがち。そんな業界用語が販売管理システムに登録されているから、と言って、そのままECサイトの商品名にしても、一般のお客様にはモール内やサイト内でも見つけてもらえない、という話です。

例えば、売り手はデニムパンツという商品名をつけがちですが、多くのお客様はジーンズというキーワードで探す(検索する)可能性が高いです。

野田さんは、デニムパンツの商品をお客様目線の「ジーンズ」で検索できるようにすれば、確実に売上は上がる。それを妨げているのは、業界特有の「かっこいいか?かっこ悪いか?」の感覚だと言います。

ちょっと前に、筆者もあるブランドのEC公式サイトを見ていて、具体的に何かを探してみようとして、検索ウィンドウに「シャツ」と入れてみました。

すると、「お探しのものは見つかりません」と出ます。トップページにかっこいいシャツが出ていたので、他にどんなシャツがあるのかを探すために行った行為でした。「ジャケット」や「セーター」も同様。

どうやら、このブランドのサイトでは、(日本のブランドですが)すべての商品名およびカテゴリー表示すらも英語表記、そのため、SHIRTでは検索結果が出ますが、シャツでは出なかったという話のようでした。
確かに、シャツよりSHIRTの方がかっこいいかも知れませんが、お客さんは、日本のサイトでわざわざ英語では検索しない、と思います。

せっかく、ひとつひとつのモデル着用の画像はかっこいいですし、デザインの詳細紹介も丁寧なんですがね。

顧客がとるであろう、購買行動(検索行動)に引っかからなければ、その努力も十分に生かせないというわけです。

雑誌や店舗では見たままですが、EC時代になると、より顧客目線で商売することの大切さを思い知らされます。

一般のお客さんがどんなキーワードで検索するか、顧客目線の商品名は大いに意識して商売すべきですね。それを知るところから商売は始まるかも知れません。

あたりまえを、あたりまえに。

そんなマインドセットができるかできないか、だけでも、結構な差が出そうな気がしています。

【お知らせ】
アフターコロナ時代を見据えて、粗利高最大化と在庫消化のために
ディストリビューションから販売計画実行を見直す
「ファッション専門店の在庫最適化の実践セミナー2020」
を11月中にオンライン開催する予定です。

これから事業部で本格的に在庫コントロールに取り組みたい、
再構築したい、組織と役割を見直したいという企業さん向けの内容です。

9月中に募集を始めますが、こちらに登録をしておいていただければ、
詳細が決まり次第、メールにてご案内申し上げます。
セミナー案内ご希望の方は こちら>>>

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

次のステージに向けての在庫最適化と人財育成を切り口にした業務再構築支援~ZOOMを使ったオンラインアドバイザーサービスも実施中。詳しくはこちら

【参考書籍】

顧客購買行動と品揃え計画および在庫最適化を考えるビジネス読本

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

電子書籍 Kindle版 紙の本の在庫が少なくなりました。ご希望の方は弊社までメールでお問合せください。

|

August 24, 2020

オンライン接客の可能性

コロナショックの外出自粛、休業の間にMinistry-of-supply 多くのストアやブランドがEC売上を伸ばし、
いわゆる「オンライン接客」が話題となり、
力を入れるところが増えました。

筆者の解釈では、「オンライン接客」の定義は広く、

ライブ動画で商品紹介を配信してチャット質問に答えたり、
ZOOMなどで1対1(複数もあり)のビデオ接客をしたりする
双方向性のある接客だけでなく、

そもそも、ブランドや商品に興味を持った顧客が
ネット検索してホームページやオンラインショップを閲覧するところからオンライン接客というものは始まっていますし、

ブログ更新やSNS発信
メルマガやプッシュ通知
メール、チャットでの問い合わせ

などの従来のマーケティングツールはもちろん、

店舗に来店した後、サイトで購入した後のフォローアップまで

スマホを駆使して情報を取得する「顧客の新しい購買行動」に、オンラインを活用して対応することはすべて「オンライン接客」の一部である
と捉えています。

この数か月の間で、オンライン接客について非常に可能性を感じたことが2つありました。

ひとつは、ZOOMなどのツールを使ったビデオ接客時、
顧客は自宅、ショップ側は店舗またはショールームにいるわけですが、

接客スタッフが顧客との対話の中で要望を引き出しながら、商品紹介をするだけでなく、
顧客側は自分の手持ち服を見せながら、これに合う服はありますか?というような聞き方ができる環境にいるという利点です。

つまり、顧客はわざわざ店舗にも行かなくてもよい、
ショップ側は店舗に来店できない顧客をお相手にできるという
時空的というか、物理的なメリットだけでなく、

どこまで開示するかは顧客次第ですが、顧客側も自宅にいるメリットとして、
クローゼットの中の服との相性について相談ができるわけです。

これは明らかに、店舗における接客にはない、
特に、顧客側のアドバンテージでしょう。

拙著「アパレルサバイバル」でも力説しましたが、

店舗やオンラインで品定めをする顧客の最大関心事は、
今、手に取っている、見ている服が、自分の手持ち服とコーディネートできるか?その上で着回しがどれだけ利くか?
ということでしょう。

店舗では、今シーズンのブランド側の重点販売商品や今シーズンの売れ筋商品を力説してショップ側が売りたい単品を提案して来ますが、
そんな接客の中で、顧客の本当の不安は、手持ち服と合わず、コーディネートがしづらい、着る機会が少ないなどで、結局は着なくなって、無駄になることによる「失敗」です。

顧客は手持ち服を具体的に見せることができれば、伝えられない歯がゆさや、「失敗」の不安から解放されますし、

店舗スタッフも決して、押し売りしているわけではないと思うのですが、
顧客のクローゼットの中身が具体的にわからないが故にできなかった、顧客のワードローブを思いやる接客が実現するわけです。

そんなビデオ接客での気づきが、今後、顧客との信頼関係を深め、顧客の手持ち服と相性のよい服を提案することが当たりまえの世界が実現
することを期待しています。

ふたつめは、リモート接客への人財活用の利点です。

つまり、ショップ側の接客スタッフは、ツールによっては、
どこにいても、都合にあわせて、短時間でも接客対応可能になる、という可能性です。

例えば、顧客からの問い合わせやちょっとした接客に対し、
これまでは、本社や店舗にいるスタッフが対応するのが常識でしたが、
事情によって、家庭に入られた、あるいは引っ越しにより遠方にいる経験者の方が、可能な曜日、時間帯だけ、在宅のまま対応することも可能になるということです。

メール対応やチャット対応、はそうでしょう。

この業務は、誰でも出来る業務ではなく、そのショップ、ブランドを熟知した接客対応のプロだった方だからこそ、の話です。

そんな人財=宝のような方々が、いろいろな制約で働けなくなってしまうのを
長年、いろいろ目にして来て、本当に残念だと思っていました。

しかし、オンライン接客アリ、リモート接客アリの時代に、これまで活用しきれなかった人財を、あらためて活かせる環境が整って来た予感がします。

もちろん、コールセンターのように、どこかに集めなければ、というセキュリティの問題が課題になるようですが、
これからはそういった問題を技術的に解決し、新しい働き方、新しい顧客対応の未来が広がることを期待しています。

当然のことながら、これから、すべてがオンラインになるとは思っていません。

しかし、多くの選択肢が生まれ、明るい可能性が広がっているのは事実ではないでしょうか?

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

次のステージに向けての在庫最適化と人財育成を切り口にした業務再構築支援~ZOOMを使ったオンラインアドバイザーサービスも実施中。詳しくはこちら

【オススメ本】業界は溢れ始めた顧客のクローゼットのワードローブに寄り添う取り組みを、そんな姿勢から未来に向けて新しい信頼関係が生まれる時代であること提言しています。


|

April 27, 2020

コロナショックによる購買行動の変化に対応しよう

時折ブログの転載をしていただいている、ファッションスナップドットコムさんにコロナ後の世界がどうなるのかの寄稿をご依頼頂き、
専門である顧客購買行動に基づく在庫の最適化の視点からコラムを書かせて頂きました。

特別寄稿連載 コロナ後:ファッション流通編 コロナショックによる購買行動の変化に対応する

詳しい内容はリンク先をご覧いただければと思いますが、

多くの人が1か月以上の外出自粛、在宅中心の生活をすることによって、
この間に体験、感じたことが、コロナ後の行動に少なからず影響を及ぼすであろう、
であれば、どんな購買行動の変化が起こるかを予測しよう、
そして、それに対応する準備をスピードをもって進めよう

という提言です。

この間、行動に大きく影響を与えたのは

ひとつはオンラインの強制体験による、
「オンライン」で解決するという行動選択肢の急浮上でしょう。

仕事では、リモートワーク、つまり、オンラインミーティングの活用が進み、
やってみたら、手軽で、わざわざ顔を突き合わせて会わなくても、
意外と事足りてしまうことがどれだけ多いか?実感された方も少なくないでしょう。

これから、あらゆる仕事が、

・会って話すべきことか、
・オンラインミーティングで済ませられることか

を考えることになるでしょう。

すると、無駄な出張がなくなる、
逆になかなか時間が取れなくで会えなかった方々、遠く離れた方々とのオンラインを介したコミュニケーションの時間が増える
ことが期待されます。

このビジネスチャンスは企業にとっても、個人にとっても
活かすか、どうかで、大きな差になるはずです。

お買い物も同様です。

普段、リピート購入している消耗品は、アマゾンなどオンラインで手軽にできます。
今までオンライン通販のヘビーユーザーでなかった方も
こういう時は、オンラインで済ますことができるんだ、意外と手軽。
わざわざ買いに行かなくてよい、
オンラインを活用すると、時間と手間がこんなに節約できると実感されたはずです。

そんな体験から、外出自粛、店舗休業が解除された後も

・お買い物もオンラインで済ませるものと、
・わざわざ買いに行く必要があるものの線引きが

コロナショック前よりも、はっきりして来たのではないでしょうか?

このように、仕事においても、お買い物にしても、
オンラインの強制体験によって、「時間」の価値と使い方が見直され、

オンラインで済ませてしまうもの、あえてオフラインに時間をかけるもの
という選択肢の中で行動するようになると見ています。

すると、行動の入口に「普通の道具」としてのオンラインをフル活用するようになるわけで、

オンラインで情報が取れないとか、
わざわざお店に行かないと在庫があるかどうかわからないとか・・・

顧客の大事な「時間」を無駄遣いさせるブランドや店舗は、
よっぽど希少価値がない限りは
その時点で顧客の選択肢から脱落するということを覚悟しないといけない、

という時代になるわけです。

これ、今までも言われていたことなのですが・・・

コロナショックに後押しされ、もう、待ったなしになったという感じです。

また、ファッション商品の購入については
オンラインを活用した情報提供、商品提供の環境整備の加速だけでなく、
別の課題もあります。

それは、ファッションのほとんどは外出先で会う人に合わせて選び、着こなすものですから・・・

この間、在宅中心で、外出しないのであれば、ほとんどの人にとって、
クローゼットの中の手持ち服で十分だったはず。

在宅期間中は、一部のファッション愛好家を除けば、
新しい服を買うのではなく、

むしろ、手持ち服の見直し(今後も活かしたいorもう着ない、処分したい)
の時間になったのではないかと見ています。

ここ10年のファストファッションの功罪もあり、世の中には安価なコスパ服が増え、
今や顧客のクローゼットには溢れんばかりの服があるでしょう。

それにあらためて気づいた方も多いはず。

拙著「アパレル・サバイバル」の後半でも提言したり
WWDジャパンへの寄稿でも述べさせていただきましたが、

「ファッション市場『大転換』に挑む 2020年代の流通革新と勝ち残る企業の条件とは」

これからは、

ただ業界が提案するファッショントレンドに基づく新しい服を売ることを考えるのではなく、

1)ユーザーがこれからも大事に着回したい服 を起点に
2)そこに、どんなアイテムを取り入れたら今シーズンのトレンドを楽しめるか

というユーザーのお気に入りの服を起点にする、という視点を持って毎シーズンの新商品を提案すべきですし、

一方で

3)着なくなった服をどう手放すか
の手助けをすべきではないか、

と考えます。

あくまでも、これらは筆者の仮説ですが、

コロナショックは収束すれば、顧客行動は元に戻るのではなく、

ユーザーは試練や体験の中から価値観を変え、
行動を変えるはず。

それを予測して、それへの対応を考えることこそ、
「顧客中心」の発想だと思います。

みなさんのお客様は今、何を考え、今後、どんな行動に移すでしょうか?

そして、それに対して、どんな対応をすればよいのでしょうか?

アフターコロナ、あるいはコロナとの共存の時代に、

ブランドや企業や店舗の「在り方」を考える時です。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

次のステージに向けての在庫最適化と人財育成を切り口にした業務再構築支援~ZOOMを使ったオンラインアドバイザーサービスも実施中。詳しくはこちら

【オススメ本】未来のファッション消費行動を想像しながら、そのビジョンに向けてこれから取り組むべきことを考えるビジネス書です

 

|

June 24, 2019

ショッピングのデジタルシフト時代には店舗損益を「2階建て」で考えよ

5月に中国企業向け研修に講師として伺った際に
中国・杭州でいくつかのニューリテール体験をする機会がありました。

そのひとつがメディアで話題のアリババが展開する生鮮食品スーパー、
フーマー・フレッシュ(フレシッポ)です。

この事業、
当初、坪あたり売上高をスーパーマーケットの業界水準の倍にすることを
存続条件にスタートした事業だそうです。

事業責任者は常識外の高い目標に、
オンラインをフル活用して事業を構築することを考えました。

店舗は品揃えの豊富さと生鮮食品の新鮮さ、そして美味しさを体験する場所と位置付けました。

訪問してみると、日本の紀伊国屋のような、輸入食材も豊富な高級スーパーの品揃え。

鮮魚は生け簀(いけす)に泳ぐ元気な魚介類を中心に販売します。

店舗内のフードコートでは購入した鮮魚の調理もしてもらえ、出来立て料理が美味しく味わえます。

店舗で商品の品質と鮮度を体験し、不安が払拭されて信頼した消費者には・・・

忙しい時には来店せずともオンライン注文してもらえればスピード宅配するサービスを提供しました。

店舗の中ではオンライン注文された商品を軽快な動きでピックアップして保冷バッグに詰め込むスタッフの姿、

そして、ピックアップ後の商品が入った保冷バッグが天井レールを伝わって配送エリアに吸い込まれて行く様も
あえて来店客に見せるための演出なのでしょう。

顧客の購買心理とライフスタイルのために考え抜かれた生鮮スーパー

その結果は・・・繁盛店の店舗売上にそれ以上のオンライン売上が加算されることにより、

実質、坪当たり売上高は業界水準の倍以上になり、現在、中国都心部で多店舗化を進めているとのことです。

顧客はオンラインで情報を取り、
オフラインの店舗で商品を確認し・・・

店舗で買うか、オンラインで買うかは顧客の都合で決めるのが常識となった時代。

そんな時代に、日本でも店舗単体の損益にかつてとは違った厳しい異変が起こっています。

だからといって不採算店舗を閉鎖すると、その店舗近隣客からのEC売上も減るというのは
先行するアメリカの話。

それだけ、店舗とオンライン売上は密接に関連しているのですよね。

 

企業は、顧客の購買行動にあった新しい買い方を提案するだけでなく・・・

それぞれの損益も関連付けて評価して行かなければ

店舗も店舗スタッフも正当な評価がされず報われないままに終わってしまいそうな時代。

 

例えば、店舗で見たあとにオンラインで売れたものは、
店舗の売上・粗利にオンラインの関連売上および粗利を加算した上で
「2階建て」損益を考える発想が必要になったのではないか?

これからそれらの売上を裏付ける、商業施設との家賃契約やカウントするための技術的な議論や投資を進める必要がありますが、

中国の生鮮スーパー、フーマー・フレッシュの成功事例は

新しい時代には、これまでとは全く常識の違う発想をする必要があることを
教えてくれているのではないか?

そして、デジタル化は遅かれ早かれ、それを可能にするはずと感じたものでした。

追記 これらの詳しい話はWWD2019年7月8日号 「ファッション業界のミカタ」でも触れています。

【オススメ本】 おかげさまで3刷!中国語繁体字への翻訳も進行中です。欧米の最新デジタルショッピング事情、日本の10年後を示唆する事例を取り上げました

 

|

February 19, 2019

これから10年のファッション消費を考えるビジネス書「アパレル・サバイバル」発売

 筆者3冊目のビジネス書となる

 「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞出版社)

 が今週2月21日(木)に発売、書店の店頭に並ぶことになりました。


 前著「ユニクロ対ZARA」(2014年初版;リンクは2018年更新文庫本)では

 21世紀の勝ち組モデルとして

 ユニクロのベーシック衣料型SPA(アパレル製造小売業)と
 ZARAのトレンドファッションを低価格で販売するファストファッション型SPAの

 それぞれのビジネスモデルを比較することによってアパレルビジネスの構造や急所を解説させて頂きました。

 同著の初版から4年、

 日本でファストファッションブームを巻き起こしたH&Mの上陸から10年が経過し

 あらたな流通革新が起こっているのはお気づきの通りです。

 今回の流通革新は

 オフラインからオンラインへ

 企業から消費者へ
 
 価格から時間へ

 と主戦場と担い手が変わり、テーマも変わって行く大きな転換期なので

 変化のスピードはこれまで以上に速くなることでしょう。

 筆者は日本において、新たな流通革新が欧米の後を追いながら10年周期で起こると見て・・・

 ファストファッションブーム後から海外の動向を観察して来ましたが

 欧米で起こり始めたその波がいよいよ日本にもやって来たように感じています。

 本書のメインテーマは

 「ショッピングのデジタルシフト」

 「溢れるクローゼットの持続可能な循環」

 です。

 英米の先進事例の店頭体験で感じたインスピレーションをもとに

 生活者のショッピングのお困りごと起点で整理して仮説を立て

 オンラインで芽生え始めたショッピング革新の事例を多数取材して

 書き上げました。

 未来を語るので賛否両論あろうかとは思いますが(笑)

 本書がきっかけとなり

 過去の延長線上ではなく、

 生活者のお困りごと起点で

 未来の理想の状態(ビジョン)を描きながら

 そこから逆算する形で

 新しい、斬新な革新の議論が始まることを期待して問題提起をしています。

 出版社さんのご意向もあり挑発的なタイトル・表紙になっていますが・・・(笑)

 未来を前向きに考えるための一冊に仕上げたつもりです。

 店頭でお見かけになりましたら是非お手に取っていただければ幸いです。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから


 

|

January 25, 2019

ZOZOARIGATOが問う、各社の販売価格設定とオムニチャネル時代の経営ポリシー

 ZOZOTOWNが12月25日に始めたZOZOARIGATOが業界で大きな話題になっています。

 月額500円または年間3000円の会費を払えば、常時サイト上の商品が全品10%OFFになるというもの
 
 新規登録者は初月の購入はすべて30%オフになるようです。

 このメンバーシッププログラムの建前は

 割引された金額は購入者が日本赤十字のような団体に寄付したり、

 購入ブランドを応援するために還元できるというチャリティー企画ですが、

 多くの購入者は割引分すべてをご褒美として自分で受けとるでしょうから

 実態は会員割引プログラムと見るべきでしょう。

 ZOZOの平均出荷単価から考えると 

 年4回おおよそ年間30,000円以上買う人はお得になるって感じでしょうか。

 割引原資はZOZOが全額負担というものの

 サイトでカテゴリーまたはブランド検索後のページを見た人には

 すべての商品にご丁寧に

 「ZOZOARIGATOメンバーなら今すぐ30%OFF」

 というバナーとともに割引後の価格のバナーがついていますので・・・結構なディスカウントサイトのような見えかたです。

 この施策に対して、

 昨年内にアウトレットモールへの出店も慎重なオンワード樫山が、

 続いて百貨店でもセール販売をしないミキハウスなどが

 ZOZOTOWNからの撤退を決め

 多くのブランドがセール品を残しながらも、春夏の新商品を非表示にしたり、出品を取り下げたとのことです。

 その後、出店ブランド多数からの苦情を受け

 ZOZOはブランド側が会員割引のバナーを表示するかしないかのオプションが選択できるようにシステム改修すると発表しています。 (1月23日付日経新聞)

 これは表示、非表示の話であって・・・

 全品割引することに変わりはありませんから、

 果たしてこれで済む話なんでしょうかね。

 そもそも

 在庫を買い取った小売業がいくらで売るかは自由でしょうが

 在庫所有権と価格決定権がブランド側にあるはずなのにZOZOが割引分は負担するとは言え

 ZOZO側がOFFタグをつけて割引後の新価格表示をして、常時一律割引をするような表現をしてもよいものかと違和感を覚えます。

 理屈としては

 大手百貨店だってカード会員には常時5%-10%のポイントを還元してますし、

 ルミネだって期間限定ルミネカード10%OFFキャンペーン以外の時にも同社のカードで決済すれば引き落とし時5%OFFになりますから

 何が違うんだ?ということでしょうが、

 派手な直引きにより、

 明らかに、同じ商品が、直営店よりも、自社サイトよりも、つまり、常時何処よりもZOZOTOWNが安くなることは出店ブランドにとって大問題でしょう。

 もっと多くの会社がオンワード樫山のような経営判断をしても良さそうなものの…

 表示を選択式に変えてくれればそれでよいと

 売れているから、まあ、それでいいかと

 多くのブランドがこのまま黙認してしまうような状態になることを懸念しています。

 そんなこと上記のようにどこでもやってるでしょう、

 どこだって売れなければすぐ値下げだってしているから同じじゃないか

 と感じるようであれば、すでに感覚が麻痺していると言わざるを得ないでしょう。

 常時全品同率割引と

 売れない商品の価格見直しや消化促進のための単品値下げ

 とは意味が違いますから…

 いいんでしょうか?

 ZOZOTOWNが常時一番安く買える場所になってしまって…

 今回の施策はクーポン乱発の効き目が一巡して、

 ゾゾスーツによって見込んでいたPBによる売上増が暗礁に乗り上げてでも

 計画通りの高成長を維持し続けようするZOZOTOWNの執念でもあり、焦りでもあるように思います。

 そして

 期間限定でもない

 常時会員割引という最終兵器級の荒業・・・

 それを出店ブランドに対する告知から2週間後に実施したという話を聞くと結構な強引さも否めません。

 セールでもないのに当初から値引きされたらブランド価値が云々

 という話もありますが、

 消費者からの価格の信頼性というか

 こういうことがきっかけでマーケットにこれまで以上に割引が蔓延して、常態化してしまうことが問題でしょう。

 いつも割引、そもそも、当初価格の設定の根拠って何なの?定価で買うなんて馬鹿らしい

 どうせ、割引前提の上乗せ価格なんでしょう?

 という、価格設定そのものの信ぴょう性が、

 これまで以上に問われることでしょう。

 バーゲンでの値下げを前提にした定価設定ではなく、

 お客様がバリュー、コスパを感じられる適価を最初からつけるという

 あるべき姿からますます遠のいて行くことが心配です。

 そして、設定価格に対して、ますます低い原価でものづくりが進み・・・

 商品の品質が劣化して行くことがもっと心配です。

 報道によれば今回のZOZOの施策に対して、

 各ブランドの担当者たちは「施策に乗るか、撤退か」しか選択はないと返答されたとのこと。

 ZOZOTOWN依存度の高いブランドは当然、会社の存続がありますから、

 直ぐに撤退などという話には出来ないと思いますが、

 経営者さんの経営判断として、中長期的に

 ・売上確保のためにこのまま黙認したまま同じようなスタンスで出品を続けるのか?

 ・期限を決めて将来的には自社運営サイトにシフトする準備を加速するのか?

 あるいは、この施策に乗るか、撤退するのかではなく、

 ・ZOZOTOWNは在庫処分やアウトレットのような専売品を売って儲ける販路と割り切って

 メインのビジネスはリアル店舗と自社ECを活用した本格的オムニチャネル体制に舵を切り

 各販路を上手く使い分けるのか?

 アメリカではすでにAmazonとそんな共存を図る大手ブランドがいくつも現れているようです。


 かつて百貨店とアパレルメーカーとの関係がアパレルをダメにしたと指摘されたように

 時代変わってZOZOTOWNで急成長しているブランドたちが将来そう言われないように

 今、EC担当者レベルではなく、経営者さんに今後のビジョンと経営判断が問われている時ではないでしょうか?

 確かに、ZOZOTOWNの強引なやりかたには疑問ですが・・・

 今回の同社の施策は、時代の大きな転換期に、各社へ

 ブランドがどっちの方向に行くのか、腹を決めることを迫っている 

 とも見ることができるのではないでしょうか? 

 ZOZOARIGATOは単にファッションECモール最大手の過激な施策という話ではなく

 将来、ファッション流通の歴史を振り返った時に

 あの時が時代の転換点だったねと

 語られるようになる大きな出来事に思えてなりません。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから
 

 【関連おススメ本】

 5年前の本ですが、バーゲンで売ることを前提とした価格をつけない、そのためにむやみにつくり過ぎない

 適品、適時、適価、適量を追求することが大切であることをお伝えしたくて著したビジネス読本です。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   



 

|

February 26, 2018

店頭起点からオンライン起点へ~ビジネスのカギはお客様と店頭の間、入店前のオンラインにあり

 クリックして人気blogランキングへ

 2月23日の日経新聞一面に外食チェーン大手の日本マクドナルドが顧客がスマホで事前注文、決済もでき、入店と同時に注文内容がキッチンに伝わり、顧客の待ち時間を短縮するしくみの導入に関する記事が掲載されていました。

 記事によれば、2018年に一部店舗で実験を始め、2019年以降、日本で展開する2900店舗全店へ拡大するとのこと。

 人手不足、店舗の生産性向上、混雑緩和、顧客も待ち時間が短縮される、時短・利便性向上のスマートショッピングの取り組みです。

 昨年の夏に英ロンドンにマーケット視察に行った時の話ですが、宿泊ホテルの近くのマクドナルドでは

 入口とカウンターの間にあるタッチパネルで注文する仕組み(クレジットカードで決済可)と同時に

 スマホアプリで事前注文して店舗で受け取るクリック&コレクトのしくみが併用され、すでに導入済みでした。

 ネットを検索したところ、アメリカでも昨年、同様のしくみの導入が進んだようですね。

 米コーヒーチェーンのスターバックスコーヒーでも、アメリカで2015年から始まった「モバイルオーダー&ペイ」というアプリを使った事前注文&店頭ピックアップが買上全体の10%を超えたというニュースを読みました。日本でも導入が待たれますね。

 ファッション流通に目を移しても、日本の都心部のショッピングの近未来とも言えるロンドンでは・・・

 外食チェーンだけではなく百貨店や専門店でもクリック&コレクト(オンライン注文の店舗受け取り)は標準装備

関連エントリーロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える

 「クリック&コレクト」(オンライン注文の店舗受け取り)と合わせて

 「スキャン&バイ」(店舗で気になった商品をスマホアプリでバーコードをスキャンして商品詳細情報を得たり、そのままオンラインで注文したり、在庫のある近隣店舗を表示する)

 に取り組むチェーンも増えているようです。

 日本では売上歩合家賃で儲けている商業施設とテナント(ブランドやストア)の利害が障害になって顧客の利便性、スマートショッピングは遅れがちです。

 力のあるユニクロ、ZARA、H&Mなどの大型チェーンではアプリを介してクリック&コレクトもスキャン&バイ(日本のH&Mではスキャン&ゲットと呼んでいます)とも導入済みのところも増えて来ましたがね。

 これまで小売業は「店頭起点」という言葉で業務改革を行って来ましたが、

 いまや、スマホでの情報収集から始まるお買いものは・・・お客様と店頭の間のオンラインで始まる時代です。

 ビジネスのカギは・・・店頭を越えてお客様と店頭の間、入店前の「オンライン起点」にどう業務の焦点と軸足を移せるか?がポイントになりそうですね。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから
 
いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第15位】↓down(18.2.26現在)


 

|

April 21, 2017

ロコンドのRAOS(リアル・アズ・オンラインストア)計画のチャレンジ~業界のオムニチャネル化の課題

 クリックして人気blogランキングへ

 ネット通販(EC)での靴の購入のハードルを下げるために「自由に試着できる通販サイト」をコンセプトにしたECモール「ロコンド」で2010年に創業し、その後、

 同通販モールの運営を通じて構築したITと物流のしくみを活用して、ファッション企業のECがらみのバックオフィス業務も支援するロコンド社が、2017年3月に創業以来続いた赤字から黒字化のメドを立てて東証マザーズに上場しました。

 上場後、メディア露出が増えたため、同社の記事を読む機会が多くなりましたが、
 (3月20日付WWDJAPAN、4月13日付繊研新聞、4月21日付日経MJなど)

 同社のビジネスモデルの中でも私が注目しているのは ECモール「ロコンド」の拡大よりも、

 むしろその背景で同社がオムニチャネル化をめざす業界の急所(ウィークポイント)に気づき、力を注いでいる「プラットフォーム事業」の方です。

 同社は「ロコンド」を立ち上げた後に、自社ECをアウトソーシングするブランドや企業のEC運営業務を請け負い、更にEC向け物流をブランドの直営店向け在庫補充へと請負領域を拡大(ロコチョク)して来ました。

 その後、

 地方百貨店などで限られた店頭在庫でもECの豊富な倉庫在庫を活用して販売につなげることができる「ロコチョクD」というサービスに取り組んだり、
 
 ECや直営店向けの物流倉庫の運営を受託したり、

 今後はECのオンラインシステムを実店舗にも活用するサービスに力を入れようとするなど、

 オムニチャネル化を目指す業界において、

 オンライン側からオフラインの実店舗のオペレーションの課題を効率化しようという、

 一見ニッチ(隙間的)ながら、業界の極めて大きな課題を解決するサービスに取り組んでいるように見受けられます。

 おそらく、同社は数々のクライアント先との取り組みの過程で直営店を取り巻く安定稼働を重視した保守的なPOSや基幹システムの環境と、

 一方で、エンドユーザーの購買行動に対応すべくリアルタイム更新が前提で、更なる進化を続けるEC向けウェブシステムの環境の違いに触れ、壁を感じたのでしょう。

 私も日ごろ成長ファッション企業さんの直営店の店頭在庫最適化のための業務を生業にしているため、当然システムや物流などのインフラ整備にも対応していますが、

 最近ECの販売拡大にともなって、実店舗とEC双方の販売機会ロスをなくすための在庫の一元管理化を検討する上で、最もネックになることのひとつが、
 
 日次更新で動いている本部システムとリアルタイム更新で動いているECをどう同期化させるかの問題です。

 従来の本部基幹業務システムに関しては売上はともかく、在庫までをリアルタイムにするのは・・・

 理論的には可能なのですが、システムの安全稼働を考えると負荷も投資もかなり大きくなる。

 一方、ECのウェブシステムは売れたらその都度在庫を引き落とすリアルタイム更新が常識。

 これある意味、

 従来からの企業の業務上の都合 と スマホ経由で取った情報に基づいて行動する進化しつづける消費者が求めていることの壁

 とも言ってもいいかも知れません。

 業務を時代の要請にあわせるならば、いっそのこと、リアルタイム更新が常識のEC(オンライン)の考え方を中心にシステム全体をリニューアルしてしまった方がいいのではないかと思うことがしばしばあります。

 タイトルにあるロコンド社が構想する「RAOS(リアルアズオンラインストア)計画」とはその名の通りECの発想で実店舗も運営しようという発想だと解釈されます。
 
 私は業界の多くの人たちがそうであるように実店舗サイドからECをどう取り込もうかと見ているもののひとりですが、
 
 同社のようにECから事業をスタートした方々にとっては、逆側から見えていて、「そこがヘン(非効率)だよ・・・」と感じていることが少なからずあるはずです。

 そして、冷静にお客様目線で考えると、その逆側からの発想の方が、今、そしてこれからの時代にとっては正解=新常識 だと思えてなりません。

 これから事業を始める方々にとっては、そんな「新常識」を前提にしたしくみから始めた方がよいでしょう。

 一方で、既存のシステムのしがらみがある多くの企業は、どういち早く消費者の購買行動に合わせた「新常識」に乗り換えるかが今後の事業成長の鍵(カギ)になることでしょう。

 そんな問題提起をしているロコンドのチャレンジにとても共感しながら関心を持ちました。

 大きな取り組みはこれからだと思いますが、今後の動向に注目したいと思います。

 関連エントリー-流通段階と仕事の発想、サイクルの違い

 ※これ古いエントリーですが、業務サイクルと仕事の発想に関するお話です。直営店運営は週次、日次ですが、ECはリアルタイム更新が前提。どんどんスピードアップする市場にどうあわせて行くかが課題になりますね。

 【ファッションビジネスを考えるおススメ本】

 有名ファッション専門店の事例を用いて、顧客心理と在庫コントロールの大切さをわかりやすく解説したビジネス読本です。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   

いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第16位】↑up(17.4.21現在)


 

|

February 21, 2017

ファッション専門店のECサイトのあるべき姿とは?

 クリックして人気blogランキングへ

 前回の2月10日付繊研新聞折り込みオムニチャネル特集を読んだ感想の続きです。

 リアル店舗とECの在庫連携や在庫運用以外で、ECサイトはどうあるべきか?を考えさせられた企業事例を要約しながら、私の感想を添えてご紹介させていただきたいと思います。

 まず、サザビーリーグ社の事例から

 ・同社は以前グループポータルECサイトに複数ブランドを掲載していたものをブランドごとに解体して単独サイトにしたところ・・・プラスの効果が出て、16年のEC売り上げ伸び率は二桁増

 【コメント】 お客様は企業が見せたいものより、自分が知りたい目的の情報に早くたどり着きたいのですよね。


 次に、ビームス社の事例

 ・ECサイトをオフィシャルサイトと統合した結果、圧倒的にECサイトの訪問者数が伸びている

 ・オーダースーツを作るようなロイヤルカスタマーは実店舗で買われるが、そんな顧客さんでも情報収集にはウェブをかなり使っている。

 ・企業サイトとECを統合したのは、お客様がお忙しい中、すき間時間に少しでもビームスと接点を持ってもらうため。

 ・サイトは一括で欲しい情報を見ることができるようになり、すぐに店舗に連絡する手段になった。

 【コメント】 お客様の多くは、自分の空き時間にできるかぎりの情報を事前にネットでとっておいた上で・・・店頭で商品を確かめて、店舗スタッフさんからより深い知識を得て納得しながら、自分のペースでお買いものをしたいのですよね。


 続いて、ナノ・ユニバース社の事例

 ・同社では、すでに自社EC在庫と店舗フォロー在庫を共通にしてあり、店頭に在庫がなくても、店頭スタッフのアシストがあれば売上を立てることができる。

 ただし、逆に店頭の在庫をEC売上に引き当てるのには慎重である。

 なぜならEC売上比率約40%の同社にとって、EC売上の瞬発力は大きく、それを進めてしまったら店頭の在庫が不足して、VMD含めて、店頭が弱体化するから。

 【コメント】 以前ブログでご紹介したように、EC売上をイケイケで伸ばし、EC比率が高いブランドさん、あるいはECに販売計画がなく、そもそも店舗在庫を販売のあてにしているブランドさんではすでに店頭の弱体化が始まっているように思います。

 関連エントリー- 15年度のファッション商品のEC売上比率は7.8%に。10%目前に次なる課題は?


 最後にワールド社の事例、

 ・EC を各ブランドの売上一番店としてとらえて品ぞろえを重視し仕入枠の中で配分している。中にはEC店長を置くブランドもある。
 (別の記事ではEC店長を置いているブランドは他ブランドよりも順調に売上を伸ばしているとのこと)

 【コメント】 実際にZOZO店が一番店となっているブランドさんも少なくないはずです。

 社内の組織はどうであれ、お客様から見たらEC店もリアル店舗も同じ横並びでどっちで買おうが構わないのが現実でしょう。

 リアル店舗で商売人としてセンスを培った店長経験者にお客様の購買行動とリアルの他店に配慮しながらEC店を運営してもらえたら・・・いい業績を残すでしょうね。

 また、店頭現場では発揮できなかった、現場とは違った潜在的なタレント(ハマリ役)の発掘にもつながるかも知れません。


 さて、皆さんのあるいは皆さんがよく利用されるファッションブランドにとってECサイトはどんな存在になっていて・・・どっちの方向に向って進化しているでしょうか?

 ブランドのイメージを伝えながら、商品を購入する販路のひとつというだけではなく・・・
 
 お客様の情報収集の時間を短縮する機能

 そして

 お買い物の時間を短縮する機能

 であるべきでしょう

 また、これからは

 決済をスムーズにする「決済手段」 

 という視点も加わってくるかと思います。

 
 今回のオムニチャネル特集は後半半分は広告ですが、前半半分については、さすが、繊研新聞さん、とても充実して読み応えのある特集記事でした。


 最後にビームスさんのECビジネス責任者の方のコメントで締めくくりたいと思います。

 「購買は実店舗でいい。やっぱり私たちは店頭を大事にしたい。EC担当者なのに、変ですけどね。」

 全然、変じゃありませんよ。 それが私たちファッション小売業に携わるものの使命(ミッション)であり、モチベーションです。

 最近の各メディアによれば、同社では店頭を起点にしたEC改革が進んでおり、業界の中でも頭一つ抜きんでた感じがしますね。

 お客様が店頭で素敵な商品に出会う場を次々に演出、アシストするために・・・

 業界のEC担当者の方々にはますます頑張って欲しいです。 応援しています。

 【おススメ本】

 ファッション専門店の事例を用いて、顧客心理と在庫コントロールの大切さをわかりやすく解説したフビジネス読本です。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   
 
いつもお読み頂きありがとうございます。
こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
blogrankings2  ビジネス・業界ブログランキング 【第14位】↑up(17.2.21
現在)


 

|