November 23, 2020

島精機が進める商品企画のデジタルトランスフォーメーション、ヤーンバンク

Shima-seiki-211月23日の日経MJにニット編み機大手の島精機が9月に始めた「ヤーンバンク」に関する記事が掲載されていました。

記事によれば、このサイトに糸メーカーが販売するセーターおよびニットアイテム用の糸の情報を登録しておき、ユーザーであるアパレルメーカーのニットアイテムの企画者は、オンライン上で探している糸を検索、絞り込みの上、登録情報が閲覧出来、パソコン上でバーチャルでデザイン中の商品企画に置換えたり、サンプル作成シミュレーションをしたり、気に入った糸があれば、メーカーに糸見本の取り寄せの連絡ができるというマッチングサイトのしくみです。

糸メーカーは無駄になるかも知れないことをわかっていながら、営業用に現物サンプル台帳を大量につくらなくてもよいですし、ユーザー側はわざわざ複数メーカーの大量のサンプル台帳にひと通り目を通さなくても、探している糸に効率よくたどり着けるメリットがあるようです。

10月中旬段階で日本、中国など31社の糸メーカーが参加した、とのことです

(参考:国際展示会に出展する糸メーカーは150~200社あるとのこと)

この「ヤーンバンク」の取り組みは、商品企画の効率化、営業の効率化が図れ、時間や資材の無駄が減る、今後のサービスの広がりへの期待を込めて、ファッション商品生産のデジタル化の良い取り組みだな、と思いました。

その昔、筆者がアパレル生産にたずわわっていたころは、布帛(織物)からニットまで、たくさんの生地や糸のサンプル台帳に囲まれていたのを思い出します。素材メーカーの営業の方々がスーツケース2つくらい持って営業に回っていた姿も思い出されます。

シーズンが終わって、何年か経って、倉庫整理の時に、上司から処分しろ、と言われて・・・頂いた台帳も、とても綺麗な台帳もあるので、もったいないな、と思ったものでした。

話を元に戻して・・・

将来的には、アパレルメーカーのデザイナーさんやマーチャンダイザーさんたちが、バーチャルでサンプルを確認した上で、クラウドでプログラミングが行われ、産地でそのままサンプル作成までしていただけると、いろいろと話が早いことも多いのではないかと思いました。そこまでできれば、量産しなくても、オンライン注文のオーダー生産も出来てしまうかも知れませんね。(以上、勝手な妄想)

記事には、「糸の世界初のプラットフォームになる」、とあります。

布帛(織物)の生地の世界では、すでに台湾を拠点にした、世界の生地メーカーと世界の商品企画者をオンラインで結びつける、こんなクラウドサービスを提供している会社もあるようです。

https://frontier.cool/

商品企画開発の現場にも、3D CAD含め、IT企業のソリューションが入り込んで来ているのをよく耳にします。

ものづくりには、人が確認しなければいけない、アナログの部分も欠かせませんが・・・

確かにデジタルに置き換えれば省ける部分もたくさんあるので、効率がよく、無駄のない、そして、無駄な在庫をつくらない取り組みが業界の中で進むことを楽しみにしています。

いつもお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題ですね。実はZARAも以前からベーシックが稼ぎ頭。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になるでしょう。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本


 

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November 16, 2020

着回しの利く、究極の定番を磨け

Hermes-margielaa

先週、11月11日の日経MJ の1面、「仕事着はもう買わない」という見出しに目が止まりました。

20ー30代の80人を対象にコロナショック前後で働く女性の服の消費がどう変わったかを調査した特集記事でした。

アパレル市場の中で、働く女性の服の市場は最も大きな市場のひとつ

購入単価と購買頻度がその他の客層よりも圧倒的に高めなマーケットであることは言うまでもありません。

記事の内容は、80人という限られた対象者の調査かも知れませんが、コロナビフォア・アフターの購買行動の変化の傾向はある程度浮き彫りになっているのではないかと思いました。

・商談がなければ上着はジャケットからカーディガンへ
・通勤が減れば、オフィス服の必要枚数は減る
・駅ビル中心にお買い物していた人がネットに移行して、その安さにびっくり
・巣籠もり間の断捨離でZARAのようなファストファッション系の着なくなった服を捨てて、ユニクロを買うようになった

・定番を買うようになった

一方で、

・1着あたりの価格はむしろ高くなった、という傾向もあるようです。

そして、興味深いのは、

オフィス着への支出を減らした人も、
頻度は減っても1着あたりの支出を増やした人も

1万円弱ぐらいの価格は避けるようになったのが共通点とのこと。

1万円と言えば、駅ビルのセレクトショップ系のプライスポイント。

オフィスでそつなく、小奇麗に着ることができる服の価格帯の商品群が弱くなっているのは、市況にも通じるところがあります。

そこから

ユニクロのような割安な定番や
長く着ることができる上質の逸品

といった2つの需要へ向かっている、と読み取れます。

さて、そんな傾向があぶり出されて
提供する側のファッション企業さんは、今後、どんな対応をされますか?

まず、過去に固執するより
顧客の今、それから今後の体験や生活シーンを想像する想像力が大切でしょう。

定番ベーシック志向となれば、
もちろん、ユニクロが益々強くなることが想像できますが・・・

ユニクロが全体の主役になることはない、でしょう。

ユニクロ自身もそうなろうとはしていないでしょう。
むしろ、以前から、存在感のある、「究極の脇役」になることを目指している、と思います。

(ひとりごと:今回11年ぶりに発売した+Jは、その中でも主役級かも知れませんが・・・)
 

そんな中で、これからのファッションブランド、ストアブランドの役割とは?

例えば、長く、愛着してもらえる、ブランドらしい、究極の着まわし服の開発に力を入れてみたらどうか?

おそらく、そのアイテム候補は、既にブランドの中で強みとしているアイテム群の中にあるのではないか?と思います。

そんな核となるアイテムにフォーカスして、毎年クオリティを磨きながら、・・・

それらを活かしながら、そのシーズンらしい、新しい買い足し、買い替えを提案を行う。

それが、今回の記事を読んでの筆者の感想です。

いつもお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題ですね。実はZARAも以前からベーシックが稼ぎ頭。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になるでしょう。

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November 09, 2020

ファーストリテイリング20年8月期決算に見る、国内ユニクロ事業の凄さ

Uq-tokyo-2WWDジャパンに月イチで連載させて頂いている、ファッション流通系上場企業の決算書から学びを得る「ファッション業界のミカタ」。 
本日発売の11月9日号には、先日発表された、ファーストリテイリングの20年8月期決算資料に目を通して感じたことをまとめています。

今回の決算は、国内ユニクロ事業の第4四半期(4Q=20年6月~8月)の凄さに尽きますね。

コロナショックによって、売上高前年比64%、同営業利益前年比25%と  落ち込んだ、国内ユニクロ事業の第3四半期(3Q=20年3月~5月)で、危機感を覚えた同社は、

続く第4Q(6月~8月)では、「執念」と言ってもよい、売上高前年比121%を計上し、営業利益については、前年比447%という驚異的な数字を叩き出しました。

この数字が意味するのは、

・分母の大きい3Q(春、初夏プロパーの3-5月)の国内ユニクロ事業の売上高のマイナスはカバーできなかったものの、同3Qで発生した営業利益の前年比マイナス分の約9割を4Qで取り返した。

・国内ユニクロ事業単体はコロナ禍においても、通期で売上前年比92.4%と減収も、営業利益は前比102.1%と増益。

・4Q内だけで見ると、海外ユニクロ事業とGU事業の4Qの営業利益前年比のマイナス分を国内ユニクロ事業の営業利益前年比増益分でカバーしている状態。

このように、同事業の3Qのマイナスを挽回したり、4Qに他事業が落とした営業利益をカバーするくらい、国内ユニクロ事業が頑張った、という話だけでも凄いのですが・・もうひとつ、同社にとっては、意味がある数字を計上しています。

それは、夏シーズンの収益性の改善です。

このブログでも何回か指摘させていただきましたが、日本の多くのアパレルと同様に、ユニクロも、単価が高めの秋冬で売上・利益を稼いで、春はまだしも、夏に儲からない(低利益率)という構造があります。

国内ユニクロ事業の例年の4Qの営業利益率は、2-3%と一桁台前半。19年8月期は3.3%、18年8月期に至ってはマイナス(赤字)と儲かりませんでした。

ちなみにZARAのインディテックスやH&Mは秋冬に比べ、春夏シーズンの営業利益率は安定しています。

これはある意味、日本のアパレル流通の体質的な問題で、とは言え、地球温暖化が進む日本、グローバル企業として、これから東南アジアに拡大するにあたっても、大きな課題のひとつになる、と見ていました。

ところが、20年8月期、国内ユニクロ事業の第4四半期(6-8月)は実に見事な12.3%と立派な営業利益率を上げています。

これは、売上の前年比20%増を、それだけ売るだけの在庫があって、それらを叩き売ったから成し遂げることができた数字ではなく・・・売上だけでなく、利益もしっかり確保した、ということを意味しています。

また、値下げを控えたため、在庫を残してるわけではなく、4Qに全社で行った仕入調整も含め、
現在では、FR全社で在庫水準は前年並みに落ち着ているようです。
(3Q時点では前年比20%増まで膨らんだ在庫が、4Q末には前年並みに着地)

営業利益改善の要因は、商社を介在させずに、直貿による値入(当初粗利)のアップと値下げコントロールによって粗利改善し、また、RFID、セルフレジなどIT投資で人件費が減るなど、販管費を削減した結果とのことです。

この20年8月期の国内ユニクロ事業4Qを切り出してみると、
いよいよ、「夏に弱かったユニクロ」からの脱却か? と期待ができますね。

そうすると、今後の、更なる拡大の課題のひとつをクリアする糸口がつかめたわけで・・・今後も同様の粗利&経費コントロールができれば、他のシーズンはもっと儲かる可能性も出てくるわけです。

その後、9月以降も 国内ユニクロ事業は

9月既存店売上前年比(EC含む) 110% 
10月既存店前年比(同上)   116.2%

と2か月計で既存店前年比113.8%と絶好調

今年の秋冬の気温の低さは、間違いなくユニクロにとっては、アドバンテージ。
今期も国内ユニクロ事業を中心に、いい決算になる可能性が高くなりました。

そうすると、次なる国内ユニクロ事業の課題は、

EC拡大の壁となる、ECは単価が低いと儲けづらいという出荷単価問題。

こちらについても、同社はいろいろ手を打っていらっしゃるようなので、
また、機会があれば意見を述べさせて頂きたいと思います。

関連エントリー‐世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

いつもお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になるでしょう。

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November 03, 2020

【間もなく締切】11月19日(木)開催 ZOOMオンラインセミナー「ファッション専門店の在庫最適化の実践2020」

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【11月16日時点 まだ残席ございます。】

毎回好評を頂いております、ファッション業界専門セミナー「ファッション専門店の在庫最適化の実践 2020年版」を今年は初のオンライン開催致します。

今回のセミナーでは、アフターコロナ時代を見据えた販売計画の業務再構築のヒントになる

・商品計画と販売計画の基本
・社内計画共有の流れ
・販売計画と店舗への在庫配分
・帳票の着眼点とアクション
・シーズン商品を売り切るための鉄則 など

ファッション商品を店舗およびECで販売する事業者様向けに、ディストリビューション再構築を切り口に
シーズン中に利益を高め、過剰在庫を持ち越さないために知っておきたい10の原則を解説します。

ショッピングのオンライン活用が増え、販売のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する転換期
これまでの業務を一旦整理して見直し、新しい着眼点、業務再構築のヒントを見つけて頂けるように・・・今回のセミナーが参加者の皆さんにとってそんな機会になれば幸いです。

-セミナー詳細-

【タイトル】 

「ファッション専門店の在庫最適化の実践 2020」
シーズン中に利益を高め、過剰在庫を持ち越さないために知っておきたい10の原則

【開催日時】 

2020年11月19日(木)15:00~18:00(14:45受付開始)

【場  所】 

オンライン(ZOOM)での開催となります

【講  師】 

このブログの筆者 齊藤孝浩(タカ サイトウ) ファッション専門店の在庫最適化コンサルタント ディマンドワークス代表
「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞出版社)
「ユニクロ対ZARA」(日本経済新聞出版社)
「人気店はバーゲンセールに頼らない」(中央公論新社)の著者

【主な内容】
〇ファッション小売業の在庫最適化とは?
〇シーズン商品の商品管理・販売管理の原則
〇販売計画を直営店やEC担当と共有するためのポイント
〇販売計画に基づく店舗への在庫配分
〇理想的な在庫の持ち方の見極めとアクション
〇直営店と自社ECの在庫の活かし方
〇シーズン商品を売り切るための鉄則 など

【参 加 費】 

お一人 22,000円(消費税込)
事前 銀行振り込み あるいは クレジットカード支払い
※参加された方限定で、後日、1社様1回1時間程度の無料オンラインフォローアップサービスをご提供いたします。フォローアップとは、セミナーでの気づき、学びを、持ち帰って現場で運用してみた後に経過状況をご一緒に整理し、次のステップの方向性を明らかにするお手伝いをさせて頂くスポットサービスです。是非この機会も有効にご活用下さい。

【延 長 戦】 

セミナー終了後、30分のオンライン延長戦(質疑応答、・意見交換会)あり

【定  員】 

先着25名様(定員になり次第締め切りとさせていただきます)
参加費振込またはクレジットカード決済をもって正式なお申込みとなります。

【参加対象の方】 

ファッション専門チェーン、EC事業者の経営者様、経営幹部様、事業または商品仕入・管理部門の責任者の方など、業務の再構築をご検討の方にメリットのある内容です。

また、事業会社様の在庫最適化業務を外部から支援されているシステム会社さんや業務委託契約の方も参加いただけます。

【セミナー形式】

講義の合間にブレイクアウトセッションを使いグループワークを交え他の参加者の方々とも意見交換ができる環境を設けて進めます。同じお悩みを持つ他社の参加者の方々と交流することでセミナーの価値を 倍以上に吸収いただけます。

※更に、セミナーでの学びを、しばらく現場で実践された後に、あらためて講師と対話ができるオンラインフォローアップサービスの機会を活かすことによって、業務改善をスピードアップいただければと思います。

■申し込みはこちらのフォームから
お申込みページへ

 

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November 02, 2020

全員参加のデータ活用経営に舵を切り、社内で埋もれている才能を発掘する

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ワークマンの専務取締役兼CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)である土屋哲雄氏が書かれた
「ワークマンの『しない経営』」(ダイヤモンド社)を読みました。

 先に出版され、ベストセラーになっている
「ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか」
(日経BP;酒井大輔著)とダブる内容も少なくありませんが・・・ご本人の言葉で、ワークマン躍進のカギになっている大事なポイントを深堀りした内容でとても読み応えがありました。

前半では、タイトルにある「(余計なこと、無駄なことは)しない経営」について、
後半では、社員全員がデータに基づいて仮説検証型の仕事をする社風に変貌した「エクセル経営」について詳しく書かれています。

このうち、後半を読んで、感じたことをまとめてみます。

土屋氏が入社した8年前には店舗の在庫データすら取らない会社だった、「アナログワークマン」(土屋氏談)を、
CIOである同氏が中心になって、

①社内研修を行って販売データ、在庫データを活かすためのエクセル活用という武器を与え、
②データから仮説を立てて行動する社員が増え、
③そういった方々が昇進し、社風が変わり、

その結果、近年の業績拡大、ワークマンプラスの新業態開発にもつながったというストーリーです。

なぜ、今どき、AIじゃなくてExcelなのか?は以下のまとめから感じて頂くか、
本書に明確に書いてあるので是非読んでみて下さいね。

ワークマンのエクセル経営について、いくつかご紹介すると、

・SV(スーパーバイザー)がFC加盟店訪店時、店番を入力するだけで、品揃えの改善アドバイスする際に使える、新規導入推奨商品一覧データ

・商品部の仕入担当者が、製品発注時に活用できる、商品特性にあわせたカラー、サイズ別構成比検討データ

・FC加盟店のオーナーが毎日閉店時に行う補充発注が、ボタン一つで完了する一括発注システム

これらは社内のエクセル研修を受けた後に社員たち自らが関心に基づいて開発したExcelファイルが社内のオフィシャルツールとなり、
仕事が速く、的確に済み、かつ成果が上がるようになったものの一例です。

人事評価にあたり、コミュニケーション力という、持って生まれた、育てることが難しい才能を重視するだけでなく、
データに基づいて考え、成果を出すという、
多くの人ができる、「再現性がある」業務遂行力を重視した経営への舵切りが、
(同氏曰く)当時、成長の限界に近づいていたというワークマンの近年の突破力へとつながった、とのことです。

同著を読んでいて、ブログ筆者(私)が中途採用で小売業に転身した時のことを思い出しました。

著者(土屋氏)と同様、小売未経験者として、小売業に転職した私は、
小売業経験の長い諸先輩社員たちとの経験の差を埋めるために、
日々、定形帳票に加えて、Excel加工したデータをフル活用することを考えました。

当初、雑貨バイヤーだった私は、
会議や発表の場では、経験値や感覚にとらわれず、販売データ(売上/在庫)に基づき発言をし、
週の前半にはデータに基づいて仮説を立てて、週の後半に店舗に行っては、
データに基づいて店舗のスタッフと会話をし、一緒に販売も行いました。

そして、翌週、本社でデータを見て、振り返って検証することを繰り返すことで、
小さな成果を積み上げ、徐々に信頼を勝ち得て行きました。

このプロセス、忙しかったけれど、楽しかったことを今でも思い出します。

その後、全社・全店の在庫運用・在庫管理を任されるディストリビューターの部署の立ち上げを任された時には
複数の部署から人材を集め、社員の方々の感覚値、経験値を裏付けるために、データ活用を推進したものでした。

すると、それまで、営業部や商品部内で声の大きい先輩方に埋もれて目立たなかったメンバーが
データの真実に裏打ちされた自信のある発言をするようになり、多くの社員を数字をもって説得して行くようになったのです。

そして、それまで、勢いで評価されていた社員も、
データ活用するスタッフに、データの見方について、相談にくるようになるではありませんか。

そのメンバーたちがその後、トップに評価され、昇進して行ったことは言うまでもありません。

小売業退職後、私は、コンサルとして独立した後も、
クライアント先では、お客様と会社の利益のために、
在庫を切り口とした、データ活用ができる人材を育成することが、
最大ミッションのひとつになっています。

そんな現場でも、
やはり、そのメンバーの中からデータの裏付けが楽しくなり、
水を得た魚のように、仕事にやりがいを見つけ
頭角を現し、発言が変わり、会社の利益アップに貢献して行く方々と
何人も出会い、
私自身、彼ら、彼女らが活躍する姿が最高の報酬と感じて来たものでした。

小売業には、毎日蓄積される、たくさんのデータがあります。
データが多すぎて、活用しきれないほど、と言ってもよいかも知れません。
私自身も事業会社時代は深堀りしすぎて、疲れ切ったこともありました(笑)

また、前年踏襲のままでは芸がありませんが、
データの見方、切り方、使い方によっては、
行動データとして、一般化して翌年以降も活用できるデータもたくさんあります。

そして、ECが伸び盛りの今、商品データや販売の結果データだけでなく、
顧客情報、購買行動情報も含めて、ますます、新しいデータが蓄積されて行きます。

そういったデータの分析を外部のデータサイエンティストだけに任せるのは実にもったいない話です。

なぜなら、実はそういったことに好奇心を持ち、
実務経験と共に活かせる人材、社内によい影響を与える人材が社内にきっといるからです。

社内のデータ活用は是非、そういった社内の埋もれた才能発掘とセットで考えていただきたいと思います。

業績が伸びている企業は・・・

自分の可能性に気づいて、社員自身が工夫をしながら
商売人として成長し続けている社員同士が、切磋琢磨している企業。

経営陣は、ビジョン(方向性)を明らかにし、
そんな方々に成長・活躍の舞台をつくるだけでいい。
それこそが、ある意味、本書のタイトル「(余計なことは)しない経営」ではないか、と思います。

それが本書を読んでの私の感想であり、
私が長年いろいろな企業を見ていて感じていることでもあります。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【お知らせ】
アフターコロナ時代を見据えて、粗利高最大化と在庫消化のために
ディストリビューションから販売計画実行を見直すための
「ファッション専門店の在庫最適化の実践セミナー2020」
を11月19日にオンライン開催します。

まだ残席ございます。
これから事業部で本格的に在庫コントロールに取り組みたい、
再構築したい、組織と役割を見直したいという企業さん向けの内容です。

セミナーのご案内およびお申し込みは こちら>>>

次のステージに向けての在庫最適化と人財育成を切り口にした業務再構築支援~ZOOMを使ったオンラインアドバイザーサービスも実施中。詳しくはこちら

 

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October 26, 2020

米投資ファンドのABG、ブランド再建・再生のエコシステム

Forever2110月24日の日経新聞にブルックスブラザーズ、バーニーズニューヨーク、フォーエバー21など、経営破綻をした著名アパレルを次々に買収して、再建することで成長しているオーセンティックブランズグループ(ABG)の創業者のインタビュー記事が掲載されており、興味深く読ませていただきました。

記事に掲載されていた、同社がこれまで買収したブランドを挙げると

プリンス(2012)、ジューシークチュール(2013)、ジョーンズニューヨーク(2015)エアロポステール(2016)ノーティカ、ナインウエスト(2018)バーニーズニューヨーク(2019)、フォーエバー21、ラッキーブランド、ブルックスブラザーズ(2020)など

サイトを見ると、同社が現在抱えるブランドは計50ブランドあるようで、上記以外に日本でもおなじみなのは、AIR WALK、VISON、VOLCOMあたりでしょうか。(右上の画像はシアトルダウンタウンのフォーエバー21)

傘下企業の年商は1兆円を超える、米国最大級の投資ファンド、ブラックロックらの資金に支えられたファッションビジネス専門の投資ファンドです。

https://www.authenticbrandsgroup.com/

創業者でCEOのジェイミー・ソルター氏はカナダ出身で、マーケティング畑に強く、スノーボードブランドのRIDEの創業者の一人、その後、スポーツ系ブランドのベンチャー向け投資会社に携わり、2010年ABG社の創業に至った人物(Wikipediaより)

同社は、国際的な知名度を持ったブランドながら、ブランド力のなさ、商品力の弱さでもない、負債などの財務上の問題で破綻したブランドを買収し、再建することを生業として、

主に、不採算店を閉め、リブランディング(若返りなど)を行い、更に、知名度を利用したライセンススキーム(ブランド使用権のライセンス収入)を行う、など、これまでそれぞれが構築して来た「ブランドの価値」を最大限に活かすことを得意としているようです。

アメリカはとかくチャンスとあれば、ビジネスを急拡大し、更に、経営者が代われば、気がつけば企業肥大、オーバーストア、なんて話がたくさんありますからね。

特に小売業は日本も含め、古今東西で、採算や人材育成のスピードを度返しした、ダボハゼ的な過剰出店が自滅的経営破綻にいたるのが破綻の最大の要因です。

昨今も、アマゾンエフェクトによるショッピングのオンラインシフトやコロナショックはあくまでも、きっかけであって、多くの米国小売チェーンの経営破綻の本当の理由は・・・販売効率の悪い店の過剰出店投資と積みあがった不採算店舗の山による資金ショートだと思っています。

そうなってしまったら、仕方ないので、まずは資金繰りに切りをつけて、リストラして、身軽にし、リブランディングできれば良し、できない場合はライセンスブランドとして生き残る。

もっとも、ライセンスしか選択肢がなくなったブランドは、最もお金になるであろう量販系にライセンスされることが多いと思いますが・・・

これから世界的に拡大の余地があるアパレル市場は、世界の人口動態からしても、低価格マーケットですから・・・破綻した、かの著名ブランドの知名度も、最終的には量販系マーケットでの需要に活かされることになる、というわけですね。

経済が右肩上がりの成長期はブランドの立ち上げラッシュ、

一方、マーケットも成熟期に入れば、ブランド破綻のままでは、もったいない、各ブランドのライフサイクルの最後にライセンスという出口を用意する必要が増えてくるでしょうね。

ブランドライフサイクルの中で、一旦役目を終えたブランドも知名度さえあれば、ライセンスブランドとして再利用というエコシステムがファッションマーケットにあってもよい。

ABG社の記事を読んでいて、これからの時代、そんなブランド再建、再生のありかたをビジネスにする企業の必要性を感じたものでした。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【お知らせ】

アフターコロナ時代を見据えて、粗利高最大化と在庫消化のために
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を11月19日にオンライン開催します。

これから事業部で本格的に在庫コントロールに取り組みたい、
再構築したい、組織と役割を見直したいという企業さん向けの内容です。

セミナー案内および申し込みは こちら>>>

【参考書籍】

顧客購買行動と品揃え計画および在庫運用を通じた在庫最適化を考える小売ビジネス読本

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

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October 19, 2020

Circular Economy サーキュラーエコノミー(循環型経済):ZARAのインディテックス社のこれから10年の経営テーマ

Photo_20201019195601サステナビリティ(持続可能性)やサステイナブル経営という言葉が全産業のテーマになり、メディアでそのキーワードを見かけない日はないくらいですが・・・

何をもってサステナブルなのかが今一つしっくりこない方も少なくないと思います。環境のために、社会のために、企業統治をしっかり、と言っても、企業の本業と直接結びつかない、ピンとこない取り組みが多いように筆者も感じています。

そんな中、ZARAを展開するインディテックス社のアニュアルレポートを読んでいて、腹落ちしたことがあったので、ご紹介したいと思います。

同社は2005年、パブロ・イスラ現CEOがナンバー2になったくらいからSustainabilityという言葉を使っていますが・・・

近年、そのサステイナブル経営の中核に置いているテーマのひとつに、Circular Economy(サーキュラーエコノミー)という言葉があります。和訳すると「循環型経済」となりますでしょうか?

このサーキュラーエコノミーについて理解する上で、

従来のリニア・エコノミー、一部の企業で取り組みが始まったリユース・エコノミー、そして、その先にある理想の状態であるサーキュラー・エコノミーの順に説明しましょう。(右上の図参照;出典はオランダ政府の資料です。) 

リニア・エコノミーとは、従来型の経済。新しい原材料を使って、製品化し、使用後に、廃棄をするという流通経済です。

リユース・エコノミーとは、新しい原材料を使って、製品化し、使用後に、リサイクルできるものは、再び原材料に使って製品化を行い、出来ないものは廃棄するという流通経済です。

これに対して、

サーキュラー・エコノミーとは、
製品化にあたって、そもそもリサイクルできない原材料は使わない。使用後は、そのリサイクル可能な原材料、素材を原料にして新製品をつくる。出来るかぎり使用後のリサイクル素材を使うが、必要に応じて、足りない分だけ、やはりリサイクル可能な新しい原料を足してつくる。
ということで、使用後の廃棄を行わない流通経済のことを意味します。

図にすると、リニア・エコノミーが一方通行の直線なのに対し、サーキュラー・エコノミーでは出口が入り口に合流する、サークル状の形になるというわけです。

ZARAのインディテックス社という企業は、これまでおおよそ10年ごとに経営のビジョンを掲げて来ました。

2000年代はflexibility(柔軟性)のスローガンのもと、ファッション業界の中でも最もその言葉の意味するところに近い本格派SPA(アパレル製造小売業)モデルのグローバル展開に磨きを掛けました。

2010年代は2013年にfully integrated store and online platform(店舗とオンラインの完全統合)をテーマに、いわゆるオムニチャネルリテイリング、あるいはOMO(online merges offline)の実現に投資を行い、あと2年後の2022年には世界的、全ブランドで完成するとのことです。

そして、2015年以降、その次のビジョンとして、並行して取り組み始め、これから力を入れるのが、Sustainability(サステナビリティ)の中のCircular Economy(循環型経済)というわけです。

同社の最新のアニュアルレポートによれば、

〇同社の700人を超える全ブランドのデザイナーおよび、本社、主要国のヘッドクオーターの社員、計10,000人がサーキュラーエコノミー(循環型経済)のための教育プログラムを済ませた。

〇デザイナーたちは、サーキュラーエコノミーの発想に基づいて、素材選定を始めた。

〇リサイクルのために、同社が出資する企業と組んで、店頭はもちろん、スペイン国内の街角に数千もの不要ファッション商品回収ボックスを設置し、EC宅配の帰り便(届けた後に手ぶらで帰らず、顧客の不用品を回収する)も利用し、製品リユース、リサイクル素材開発のための不要品回収を強化している。

〇サーキュラーエコノミーの発想に基づく、リサイクル、環境に優しい素材を用いたJoin Lifeのタグのついた商品群は既に全商品の25%を占めている。

〇回収した素材をリサイクルする先端技術を研究するスペインの大学や研究機関に投資をするために、米MITと共同ファンドを立ち上げた。

などの取り組みが紹介されています。

そんな同社のレポートを読んでいて、10年以上先にあるファッション業界のモノづくりの未来を想像していました。

□ デザイン(コンテンツ)はもちろん、その時々の最新ファッショントレンド

□ 原材料として使う素材はすべてリサイクル素材(ボタン、裏地も含む)

□ リサイクル以外の新しい天然素材、合繊素材の新規素材調達には、国際的な年間利用枠が設定されていて、利用規制がかかっている。
企業はその範囲で素材調達をして、モノづくりをしなければならない。

もし、将来、そんな社会が到来するとしたら?・・・・

インディテックス社は業界の中で、いち早く、DX(デジタルトランスフォーメーション)のビジョンをまもなく完成させ・・・すでに10~20年後の未来の「ありかた」に向けて動き出しているのだな、と。

このサーキュラー・エコノミーの実現は、既出のオランダ政府の資料によれば、25年がかりになるだろうと言われています。

しかし、そんな先の未来も見越して、ビジョンを描いて、信念をもって早くから準備を進めた企業が、その時になれば、業界の中で優位に進めることになるでしょう。

そして、これからの時代のキーワードになるであろう「サーキュラー・エコノミー」についても、いち早く取り組み、業界の先進企業となっているインディテックス社の動向、ビジョンからはますます目が離せなくなりそうです。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

いつもお読み頂きありがとうございます。


 

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October 12, 2020

ニトリのアパレル事業成功の可能性

20200922_194530先日発表された、ホームファッションチェーン最大手=ニトリの2021年2月期の上半期決算は売上高前年比113.7%、営業利益同139.7%の大幅増収増益、過去最高益を更新し、同社は2020年通期決算を上方修正しました。

コロナ禍の消費が家の中に向く、いわゆる「巣ごもり需要」をしっかり取り込んだ格好で、休業に追い込まれなかった郊外フリースタンディング立地の強みを活かして、上半期の既存店買い上げ客数が114%増、加えて、これまで磨き上げて来たEコマースをフルに活かし、前年比156.3%となったのが大きな要因です。

同決算発表時に同社が、今後アパレル事業にも力を入れる、と宣言していたので、今回はニトリのアパレルビジネスの可能性について考えてみました。

ニトリ社は、筆者もかつて、小売事業会社勤務時代に学ばせて頂いた、故 渥美俊一先生のペガサスクラブの最優等生企業の1社で・・・アメリカや海外のチェーンストアに刺激を受けてビジネスのロマンを抱き、チェーンストア理論の原理原則を正しく理解され、試行錯誤を繰り返しながら、仕様書発注が基本で、自前工場まで持つ製造小売業を貫いて来られ、

出自は家具店ながら、季節にあわせてコーディネート提案をするという発想もしっかり持ち合わせていらっしゃる企業ということで、筆者はその取り組みや姿勢をリスペクトしている異業種企業のひとつでした。

今回、初めて、決算財務諸表を見て驚いたのは、その収益性と在庫効率の高さでした。

ニトリ
       2020年2月期(通期)  2020年8月期(半期)     
粗利率      55.2%         56.7%
販売管理費率   38.5%         34.3%   
営業利益率    16.7%         22.4%

在庫日数     74日          60日

※ お断り: 在庫日数は 期末在庫原価を翌四半期の1日あたりの売上原価で割っています。

一般的に、家具やインテリアショップチェーンは、取り扱いアイテムの顧客購買頻度がアパレルなどに比べて低いので、年間の在庫回転が低い代わりに・・・高い粗利率で稼ぐビジネスモデルと認識していたのですが・・・

同社の場合は、自社商品開発による高粗利率や営業利益率の高さだけでなく、
何より、際立った在庫日数の短さ(在庫回転数にする時は365÷在庫日数で判断下さい)

に目が留まりました。

おそらく、取り扱いアイテムの中で、顧客の家具の購買頻度は高くはないと思いますが・・・

季節にあわせて、コーディネートして着替えることを提案するファブリック(各種カバー類)、
防寒、冷感アイテムなどのシーズナル商品や、
低単価の消耗品(電球・乾電池、オフィスサプライなど)などが商品回転の高さに寄与しているのでしょう。

また、直貿(直輸入)が圧倒的に多いのですが、本来であれば、在庫過多になりがちなところを、在庫日数が長くならないように、サプライチェーン管理を徹底されているのでしょうね。

ちなみにアパレル大手のファーストリテイリング社とZARAのインディテックス社の直近の開示数字と比べてみると、

ファーストリテイリング
        2019年8月期(通期)     
粗利率         48.9%
販売管理費率      37.3%
営業利益率       11.0%
在庫日数        119日

インディテックス は 2020年1月期末はコロナ対策決算をしているイレギュラーなので、2019年8月の半期決算の数字で、平時で見てみます。

       2019年1月期(通期) 2019年8月期(半期)     
粗利率        56.7%     56.8%
販売管理費率     40.0%      40.9%    
営業利益率        16.7%     15.9%
在庫日数       102日      87日

これらの数字を見る限り、ニトリは国内中心事業ではありますが、財務構造や収益性や販売効率の良さは、世界トップクラスのアパレル企業に似ている、いや、それら以上に良い、と言えるかも知れません。

なぜ、同社の収益性や在庫日数(在庫回転)に着目したかというと、

小売業は粗利率x回転率ミックスのビジネスであり、構造が全く違うカテゴリーに手を出すと、既存のビジネスと折り合いが上手く行かなくなり、バランスを崩し(売れない、儲からない、在庫過多に苦しむなど)、早々に失敗、撤退になる事例が少なからずあるからです。

一方、既存ビジネスと客層が近い、あるいはすそ野を広げる効果があり、既存ビジネスと比べ、適度に利益率が高めで、適度に回転率が良ければ、儲かる、良いビジネスと認識され、次のビジネスの柱や成長エンジンになることもあり得ます。

例えば、ユニクロがかつて取り組んだ野菜などは、企業力はあり、志は評価できたとは思いますが、全く違うビジネス構造、本当に畑違いのへの取り組みが上手く行かなかった要因だったと見ています。

そういう意味で、ニトリの既存の損益構造や在庫効率は、製造小売業であること、数字を見る限り、アパレルのそれに近いことと、古くから、ホームファッションというカテゴリーの商品開発において、コーディネート思考を持っているという点で・・・

少なくとも、季節性のある、継続販売も視野に入れたベーシックアパレル群であれば、決して、全くの畑違いとは言えず、全く別のビジネスに取り組むわけではなく、社内理解度も早く、やりよう次第で上手く行く、規模の大きくなる可能性があるのではないかと期待ができます。

先日、ららぽーと立飛のニトリのアパレル業態 N+(エヌ・プラス)を拝見して、ミセス向けの2490円-2990円あたりがプライスポイントのベーシックアパレル店という印象を受けました。

かつての米リミテッド・ストアやタルボットを見る思いでしたが・・・日本では、ドゥクラッセやベルーナの間くらいの位置づけになるのかも知れません。

N+のオンラインサイトでは、ZARAの店頭提案のようにカラー別のコーディネート提案をアピールしていたので、コーディネートにこだわるニトリがどんな売場をつくっているのか?と思って見てみましたが・・・

あいにく売場が狭い(40坪程度)こともあり、カラーコーディネート提案ではなく、品番でくくった、あまり特徴のない、価格訴求の普通の品種別売場にしか見えませんでした。

アパレル経験者を雇い、まだ規模が小さいので、自前ではなく、アウトソーシングを活用して商品開発をしているとのこと。

しかしながら、ホームファッションの隣にあるマーケットとしての、婦人ベーシックアパレル市場は、同社にとって、決して悪くはない、大きく、新しい開拓市場のひとつではないか、と思ったものでした。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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【参考書籍】

ニトリの強さ、人財育成がよくわかる本です。

「ニトリの働き方」(大和書房)

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October 05, 2020

顧客の新しい行動様式と用途にあわせて商品提案する

9月のファッション専門店の月次売上速報が一通り発表されました。20201005_143941

これらの結果を見て、やはり、需要は

気温x顧客用途(必要性)x価格x店頭在庫鮮度 

の掛け合わせなのだなと感じました。

気温は20日前までは確かに残暑、しかし、4連休以降は9月にしては久しぶりの秋の気温だったと思います。
過去3年が、10月10日を過ぎなければ秋らしい気温にならなかったのに対し、
今年の9月の後半は秋ものにとって悪くはない、コロナウィルスに対する自粛ムードがなければ
アパレルにとっては、悪くない商売条件だったと思います。

次に、近郊、郊外の需要はかなり回復したように思いますが、都心部の回復が遅いですね。

これは、近郊、郊外で行動範囲が広くない生活をしている方々にとっては、感染対策をしながら普通の生活に戻り・・・

一方、都心に通う方々にとっては、着飾る必要性のある環境になかなか戻らないということだと思います。

そんな新しい生活様式に必要なものは売れ、必要でないものは需要が弱いということです。

百貨店やセレクトショップなど前年消費税増税前に、駆け込み需要を狙って、
冬のアウターを前倒し販売をした企業の前年のハードルの高さの指摘もありますが、

それよりは前年と比べて生活様式が変化したことによる、変化対応の遅れ、単価の高いアウターへの需要減が大きいのではないでしょうか。

そして、気温的にはチャンスはあったと思いますが、仕入抑制や持ち越し在庫消化を図ったために、店頭の鮮度を落さざるをえなかったところは売り逃しをし・・・

商売チャンスを活かすべく、しっかり新商品を揃えていたところが業績を伸ばしたという印象です。

これから冬に向けても同じことが続きそうな気がします。

コロナ自粛をものともせず、新しいベーシック商品の在庫を積み込むユニクロ

45日サイクルで新しい商品を次々に店頭に並べるという、もともとの強みに回帰して業績回復中のしまむら

この日本のアパレル専門店ツートップの秋冬業績には期待ができます。

郊外だから、都心だから、という立地だけではなく、また、EC売上構成比の高さだけではなく、

小売の商売というものは

気温x顧客の用途(必要性)x価格x店頭在庫鮮度

のかけあわせであるとあらためて感じます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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【参考書籍】

顧客購買行動と品揃え計画および在庫最適化を考えるビジネス読本

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

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September 29, 2020

11月19日(木)開催 ZOOMオンラインセミナー「ファッション専門店の在庫最適化の実践2020」のお知らせ

【11月3日時点 まだ残席ございます。】

今回はセミナーのお知らせです。191122

毎回好評を頂いております、ファッション業界専門セミナー「ファッション専門店の在庫最適化の実践 2020年版」を今年は初のオンライン開催致します。

今回のセミナーでは、アフターコロナ時代を見据えた業務再構築のヒントになる

・商品計画と販売計画の基本
・社内計画共有の流れ
・販売計画と店舗への在庫配分
・帳票の着眼点とアクション
・シーズン商品を売り切るための鉄則 など

ファッション商品を店舗およびECで販売する事業者様向けに、
シーズン中に利益を高め、過剰在庫を持ち越さないために知っておきたい10の原則を解説します。

ショッピングのオンライン活用が増え、販売のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する転換期
これまでの業務を一旦整理して見直し、新しい着眼点を見つけて頂けるように・・・今回のセミナーが参加者の皆さんにとってそんな機会になれば幸いです。

-セミナー詳細-

【タイトル】 

「ファッション専門店の在庫最適化の実践 2020」
シーズン中に利益を高め、過剰在庫を持ち越さないために知っておきたい10の原則

【開催日時】 

2020年11月19日(木)15:00~18:00(14:45受付開始)

【場  所】 

オンライン(ZOOM)での開催となります

【講  師】 

齊藤孝浩(タカ サイトウ) ファッション専門店の在庫最適化コンサルタント ディマンドワークス代表
「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞出版社)
「ユニクロ対ZARA」(日本経済新聞出版社)
「人気店はバーゲンセールに頼らない」(中央公論新社)の著者

【主な内容】
〇ファッション小売業の在庫最適化とは?
〇シーズン商品の商品管理・販売管理の原則
〇販売計画を直営店やEC担当と共有するためのポイント
〇販売計画に基づく店舗への在庫配分
〇理想的な在庫の持ち方の見極めとアクション
〇直営店と自社ECの在庫の活かし方
〇シーズン商品を売り切るための鉄則 など

【参 加 費】 

お一人 22,000円(消費税込)
事前 銀行振り込み あるいは クレジットカード支払い
※参加された方限定で、後日、1社様1回1時間程度の無料オンラインフォローアップサービスをご提供いたします。フォローアップとは、セミナーでの気づき、学びを、持ち帰って現場で運用してみた後に経過状況をご一緒に整理し、次のステップの方向性を明らかにするお手伝いをさせて頂くスポットサービスです。是非この機会も有効にご活用下さい。

【延 長 戦】 

セミナー終了後、30分のオンライン延長戦(質疑応答、・意見交換会)あり

【定  員】 

先着25名様(定員になり次第締め切りとさせていただきます)
参加費振込またはクレジットカード決済をもって正式なお申込みとなります。

【参加対象の方】 

ファッション専門チェーン、EC事業者の経営者様、経営幹部様、事業または商品仕入・管理部門の責任者の方など、業務の再構築をご検討の方にメリットのある内容です。

また、事業会社様の在庫最適化業務を外部から支援されているシステム会社さんや業務委託契約の方も参加いただけます。

【セミナー形式】

講義の合間にブレイクアウトセッションを使いグループワークを交え他の参加者の方々とも意見交換ができる環境を設けて進めます。同じお悩みを持つ他社の参加者の方々と交流することでセミナーの価値を 倍以上に吸収いただけます。

※更に、セミナーでの学びを、しばらく現場で実践された後に、あらためて講師と対話ができるオンラインフォローアップサービスの機会を活かすことによって、業務改善をスピードアップいただければと思います。

■申し込みはこちらのフォームから
お申込みページへ

 

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

次のステージに向けての在庫最適化と人財育成を切り口にした業務再構築支援~ZOOMを使ったオンラインアドバイザーサービスも実施中。詳しくはこちら

【参考書籍】

顧客購買行動と品揃え計画および在庫最適化を考えるビジネス読本

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

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