July 06, 2020

気温に合わせて品ぞろえ計画、在庫運用を考え直す

コロナ渦で
春ものはほぼ販売機会を失い、
夏ものは店舗再開まもなく、来店客数減への不安から早期値下げに入り、
秋・冬ものの仕入れを調整することを余儀なくされ・・・

今年は毎年、話題になる、バーゲンをいつから始めるかの議論や、
季節ごとの品ぞろえの在り方の話どころではなくなりましたが・・・

今後、ある程度在庫消化が進み、アフターコロナのニューノーマルへの再出発に向けて、
あらためて、シーズン(四季)がどうなっているのかを考えるために直近気温データを整理してみましたので
ポイントだけ共有をさせて頂きますね。

業界では古くから、年間12ヶ月を四季で割って、20180821_180506それぞれが3ヶ月ずつあることを前提として品ぞろえを考えて来たものでしたが、

参考:ほぼアパレル小売業の四半期に連動
 秋 9月-11月
 冬 12月-2月
 春 3月-5月
 夏 6月-8月

ここ10年くらいは気温の変化によって必要になったら買う、
体感温度が売上を左右する「実需購買」が主流になったことは
長年多くのクライアント企業さんとご一緒に週次の販売データを見てきて感じることです。

季節ごとの需要を動かす気温条件を経験値から

秋 最低気温が15度を下回る日が続く
冬 最低気温が8度を下回る日が続く
春 最高気温が15度を上回る日が続く
夏 最高気温が25度を上回る日が続く

と定義し、

気象庁のデータから、
過去、3年間の東京の最高気温、最低気温、天気などをダウンロードしてグラフにしてみると
以下のような感じになります。
(上記の季節と気温の定義に違和感のある方は、是非、独自の基準でやってみて下さいね)
 
2017年 秋以降のそれぞれの四季の始まりと顧客の着用期間の仮説

        秋       冬       春      夏
17~18年 10/13~1か月、11/16~3.5か月、2/28~2.5か月、5/14~5か月
18~19年 10/17~1か月、11/20~3カ月、 3/9~2.5か月、5/22~5.5か月
19~20年 10/21~1か月、11/21~3カ月弱、2/11~2.5か月、5/2~ ?(6か月?)           

ここからわかることは

秋は3年連続で10月中旬から約1か月しかない、少しずつ始まりが遅くなっている
冬は3年前の3.5か月から徐々に短くなり、昨冬はとうとう3カ月に満たなかった
春は3年連続で2.5か月はある、早く始まれば、早めに夏に移行するため、春が長引くことはない
そして
冬が圧縮された分、夏が3年前の5か月からまもなく6か月になろうとしている

上記は東京に限ったたった過去3年間のデータではありますが、
ここにも、地球温暖化による「暖冬」と「残暑」の証が見て取れます。

さて、それがわかったら・・・
天気を後ろ向きな、業績が悪かった「言い訳」に使うのではなく、
それを前提に対応するための前向きな仮説に使いたいところですね。

上記データからの「問いかけ」としては、

Q1 例年1か月しかない、秋。それでも、またがっつり計画を組みますか?
Q2 毎年少しづつ短くなる冬に、それでもまだまだ大きな期待を続けますか?
  ①売れたら儲かるかも知れない博打が後遺症にならないように、
  いかに上手に手じまいすることを考えますか?
  ②あるいは来年もまた売れるものなら在庫を持っても安全ですか?
Q3 春は毎年、売れ残りと売り逃しを繰り返している感がありますが、
  2か月は販売チャンスがありますね。但し、スタート時期が不安定。
  どう夏につなぎますか?
Q4 5か月を超える長い夏対策をあらためてどう考えますか?

などなど

Q1~Q3は割り切りの話、
一番の問題はQ4 でしょうか?

業界では季節をサブシーズンに細分化し、初夏、盛夏、晩夏、初秋などと運用しているところも少なくありませんが、
いくらわけても、ネックは「7月はバーゲン」の常識だとすると・・・

バーゲン前が2か月、バーゲン期が1か月、そしてバーゲン後に2か月も夏気温が続き日々があるということですね。
特にバーゲン後が考えどころです。

また、その間の天気も見過ごせません。

年間降雨日数は年間の1/3近い100日~110日あり、
そのうち毎年、その半分の55日が梅雨を含む夏にあるということも考慮しなければなりません。

変化はチャンスと言いますが・・・

過去の常識にとらわれず、顧客の新しい需要、購買行動にあわせて品揃え計画を一から考え直す

足元のEC強化も大切ですが、行く行くは品揃えと売り切りの在り方に返ってくる話です。

ある意味、「リセット」の機会である今を
よい機会ととらえるか、引き続き過去の成功体験にすがるかで
夜が明けた時の風景も変わって来そうです。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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【参考書籍】

顧客購買行動と品揃え計画および在庫最適化を考えるビジネス読本

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

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June 15, 2020

インディテックスグループ(ZARA)既存店の大量スクラップ&ビルドによりEC連動型店舗へのモデルチェンジを加速

6月10日に発表されたZARAのインディテックスグループの2020年度第1四半期決算に目を通しました。
4cimg0441_20200615133601 日経新聞や繊研新聞などの一部の報道では
コロナショックによる店舗休業によるダメージが甚大で売上高前年比45%の減収により、営業利益は大幅減益となり、四半期赤字に転落したと共に

グループ全体で現在世界に7412ある店舗を2022年までに1200店舗閉鎖することが強調され、

この3カ月間で5割伸ばしたECを強化する(現在の年間EC売上比率14%から25%へ)、さすがの世界一のアパレル企業も新型コロナによってデジタルシフトが迫られた、というような論調で書かれていますが・・・

 

それらに抜け落ちている大事な視点を補足をさせて頂くと、

実際は 
・これら1200店舗が役目を終えたZARA以外のブランドの小型店が中心であり、
・閉店の一方で並行して450店舗のEC連動型の大型店を新規出店することで、
結果、
・店舗は全体で600店舗くらい減るものの、売場面積は逆に毎年2.5%増え、既存店売上も4~6%伸ばす計画であること

が同社のオリジナルプレスリリースを読むとわかります。

ですから、同社の場合は、業績不振のアメリカのチェーン店とは違って、閉店数が多いことだけを取り上げて「ヤバいのか?」

悲観することではなく、より健全な状態に向かっていると見るべきでしょう。

これらの施策は、メディアが言うようなコロナショックがあったからの急展開ではなく、もともと同社が2012年あたりから始め、ここ3年で加速していたいわゆるオムニチャネル(OMO)施策の総仕上げに過ぎないんですよね。
同社ではこれを fully integrated store and online platform と呼びます。

実際、過去6年間に
1729店舗を閉店して、
1106店舗を増床し、
2556店舗を改装し、
3671店舗を新規出店しています。

その間は店舗数も売場面積も純増でしたが、
これからは、店舗数は純減も、売場面積の純増は維持し、
よりECを店舗と連動させ、

同社が以前から描いていた
「新しい顧客購買行動のビジョン」に投資を続ける
というだけの話なんです。

今回の赤字には閉店予定店舗の減価償却の積み増しも多く含まれています。
(前期は売上が落ちることを見越して、在庫引当金=評価損の原資を計上しました)

また、大量閉店と言うと、雇用はどうするんだ?という意見もあると思いますが、同社はEC対応する大型店のEC対応要因として受け皿を用意していると言い、雇用に対する配慮も欠かせません。

危機に背中を押されるのではなく、
まずは未来の顧客像やビジネスのビジョンを描き、
顧客は進化して行くにも関わらず、自分たちが変わらないことへの危機感に対し
行動を続けているのがインディテックスグループの姿です。

彼らが今、何を考えているのかを常にウォッチしていれば、
規模にかかわらず、我々も活用できる未来へのヒントが得られます。
なぜなら、彼らが長年観ているのは、競合ではなく、「顧客だけ」ですから。

まだまだその背中から学ぶことはたくさんありそうです。

関連エントリー‐世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

いつもお読み頂きありがとうございます。


 

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June 08, 2020

ファッション小売業の在庫は在庫日数(週数)で考えよう~H&Mの中長期時系列分析から

WWDジャパンさんの月イチ連載20200608_144754中 上場企業の決算書からビジネスの視点を学ぶ「ファッション業界のミカタ」が2年目に入りました。先月の5月11号と今週の6月8日号は
2回に分けてH&Mの①大量出店による成長の課題と②年々重くなる在庫問題について
レポートさせて頂きました。

企業の業績をよくありがちな前年比だけで見るのではなく、
中長期の数字を時系列に並べて・・・見つけた課題を深堀するのが
筆者が採るアプローチですが、

H&Mの日本上陸後、2009年以降の4半期の業績を並べてみて、気が付いたことをまとめてみました。

まず、同社の営業利益のピークは2015年11月期です。

その後、出店による売上増は続くものの・・・

残念ながら営業利益は一度もピークを超えることが出来ていません。

直近の2019年11月期は前年比、増収増益ながら、
ピークの2015年11月期対比 店舗数は129% 売上高は128% 営業利益は64%、
10年前対比でみると、    店舗数は255%、売上高は229%、営業利益は80%
という状況です。

要は、規模は肥大しているのに、販売効率が下がって儲からなくなっているという、チェーンストア拡大のジレンマです。

これは筆者の持論ですが、営業利益高のピークアウトはその企業や業態が成長期を終え、成熟期に入った時期と考えられ、
従って、あそこが営業利益のピークアウトだったのかも、と2年連続で減益を実感したら、

何か次の手を打たなければ、衰退期を待つだけ、ということになると思っています。

その頃(2016~2017年)、H&Mがどういう状況だったかというと、ZARAのインディテックスとの世界シェアトップ争いの真っただ中で、
H&Mは出店余地の大きい、世界の2大大国であるアメリカと中国で店舗数と売上高を積み上げていましたが、
中国では大量出店して店舗数を増やしても・・・販売効率(1店舗あたり売上高)は下がる一方、それでも、出店を続けていたのでした。

一方のインディテックスは・・・店舗のスクラップ&ビルト、店舗数拡大よりも店舗の大型化(売場面積拡大)に力を入れ、
ECへの集中投資を進めていたのですね。

両者の明暗は、過去3年間の業績の通りです。

次に、今月号では、H&Mの在庫状況に着目しました。

H&Mは11月決算で、冬物をたんまり持っている時期なので、冬が終わって在庫が軽くなる1月決算や2月決算の会社と期末の在庫回転率を比較するのはフェアではない、と長年思っています。

あと、小売業の実務に携わるものとして、会計期末だけで計算する在庫回転率にはいつも違和感を持っています。
正直、期末だけ在庫を絞れば回転率は高回転に演出できますからね。銀行や投資家には高効率の会社という印象を持ってもらえます。

従って、今回はH&Mの四半期ごとの期末の在庫日数の推移で評価をしてみました。

それから、在庫日数の計算式って、通常は 

在庫日数=期末在庫原価÷過去の期間中1日あたりの平均売上原価

で計算される方が多いと思いますが、

ファッションビジネス、特にアパレルビジネスにおいては、期末在庫ってものは、これから迎える月あるいは四半期に売るシーズン在庫をどれだけ持っているのかが大事なことなので、筆者は期末在庫を翌四半期(あるいは月)の1日あたりの売上原価で割るアプローチを取ります。

(筆者流)在庫日数=期末在庫原価÷翌四半期の1日あたりの売上原価

※実務レベルで試してみたい方は翌月または翌四半期の予算ベースの売上原価で割ってみて下さい。

以上の前提でH&Mの四半期ごとの在庫日数を時系列に眺めてみると、

やはり、健全なのは、2014年から2015年にかけてです。実際に、90日台で在庫が回っています。

日本企業のように商社を介さず、直貿のH&Mからすれば、Ex-Factorベースの在庫なら90日台なら上等でしょう。インディテックスもそんなもんです。

ところが、その後、じわりじわりと在庫は重くなり、2017年には130日台に膨らみ、
最悪だったのは2019年11月期1Q(冬の終わり)の142日、
2019年11月期末(冬真っただ中)には何とか、128日まで落とすことができたという状態です。

でも、まだ、業績がよかった時に比べても1.35倍くらい抱えているのです。

ユニクロや無印良品のようなベーシックならまだしも、
高速で在庫を回したいトレンドファッション系のH&Mが130日台=4か月以上分の在庫を常に抱えながら商売をしているのって結構リスク大きいと思いますね。

これは、H&Mのグローバル低価格競争上の問題にあると思っています。

好調だった2015年ころまでは、店頭で見ても結構、中国製やトルコ製でデザイン性の高い商品を作って高速回転させていた印象だったのですが、今は、各国での価格競争上、店頭商品は圧倒的にバングラディッシュやカンボジアあたりが増えましたよね。

これらの原産国は比較的ベーシックなものに強味があり、また発注から仕上がり、そして、東南アジア、西南アジアからは欧米への輸送に時間がかかりますから、
例えコスト的には競争力があっても、必然的にファストファッションにとっては在庫リスクが高くなる、
長いリードタイムと在庫日数の長期化という課題と向き合わなければならなくなるのです。

これは実は他人事ではなく、安い人件費を求めて産地を遠く、遠くに持って行っている日本のファッション流通企業も気をつけなければならない課題ではないでしょうか?

さて、社長が代わられて、

これから効率を落としての大量出店の見直し、ファッションストアとしての在庫の適正化の問題

の改革を進めるH&M社。

製品のサステイナブル性ももちろん大事ですが・・・サステイナブルな経営のためにどんな舵取りをするのか?
21世紀、世界の「ファッションの民主化」を旗手として、一時代をつくった同社のリ・ブランディングを見守ることと致しましょう。

  執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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June 02, 2020

コロナショック後のファッション流通企業の経営の視点(後編)

コロナショックとの共存とその後を見据えて、
ファッション流通業界の経営がどのような変革に迫られるのか?の後編です。Photo_20200602111801

1.企業の財務体質の見直し 手元資金と固定費
2.在庫の持ち方の基準変更 消化率から在庫週数へ
3.評価基準の変化 売上重視から粗利(生産性)重視へ
4.販売と働き方のデジタルシフト

 

3つめは 評価基準の見直し です。(1,2は前編へ

結論を先に言えば、
誰にもわかりやすかった売上高を基準にするよりも、より利益に直結する粗利や生産性を追求した企業が勝ち残る、という話です。

これまで、ファッション流通業界では
売上高を基準にして、さまざまな費用を売上構成比で評価することが主流でした。

右肩上がりの市場であれば・・・

売上を増やせば、利益も増えますから、それで問題なかったでしょう。

一方、小売業界全般を見渡すと、売上高ではなく、粗利高を分母にして、「分配率」という考え方もあります。

これは例えば、

労働分配率=人件費÷粗利高
販促分配率=広告宣伝費÷粗利高
不動産分配率=地代家賃÷粗利高  などで

稼ぐ粗利高に対してそれぞれの経費をどれだけ分配するかと考えるものです。

実は、分母を売上高から粗利高に変えるだけで、視点が変わり、行動に変化が起きるものです。

例えば、労働分配率に関して言えば、
「労働分配率を一定にする」と定義(予算化)すれば、

粗利高が増えれば、営業利益が増えるのは当然ですが・・・
同時に人件費を増やすことができます。

その分、手間が増えてしまったのなら人の頭数を増やさなければなりませんが、
同じ人員で粗利高を増やせたのなら、賞与を増やす原資になり、

つまり、経営側も働く人もウィンウィンになるわけです。

一方、売上高を分母にしてしまうと、

売上目標を達成するために、安売りを行って、粗利率を下げてでも、何とか売上目標を達成したとした場合
どんなことが起こるでしょうか?

粗利高は未達でも固定費は変わらず、従って営業利益は減ることになりますね。

にもかかわらず、売上目標を達成したために、売上貢献した社員には報奨金(賞与)を支給し、
人件費が増えて更に利益を削る羽目になることもあるわけです。

何が言いたいか、というと、

売上高を目標基準にするよりも、ストレートに粗利高を目標にする方が効率よく
経営も従業員もハッピーになれるか?という話です。

これは、販促費の費用対効果を測る際や

物流費を削るべきか、むしろ粗利高を高めるために使うべきかの判断をする時も有効だと思っています。

店間移動の配送費は、無駄な追加経費(悪)なのか?それによって定価販売のチャンスを広げ、粗利を高める必要経費(良)なのか?

粗利との見合いで考えると物流費の見方も変わって来ますよね。

関連して、「生産性」という言葉がありますが、これは、

期間(年、月、日、時間)あたり、一人当たりの粗利高を指します。

これは、ひとりがどれだけ効率よく粗利高を稼ぐのか?を表す指標です。

販売管理費、固定費の見直しが迫られる今、限られたリソースで、利益の唯一の原資である粗利高を確保する
「生産性」指標は避けては通れない指標になります。

これまで、一部の企業でしか採用されてこなかった

粗利重視、生産性向上の思想が、今後、より注目されるようになりそうです。

 

最後は販売と働き方のデジタルシフトです。

この2か月の間に、多くの方々が体験し、その使い勝手の良さを実感されたように、
Eコマースやオンラインミーティングは「ニューノーマル(新しい常識)」としてより定着することでしょう。

〇 Eコマースの体制を強化して、顧客との接点と選択肢を増やし、

〇 オンラインミーティングシステムを社内外の打ち合わせにフル活用して、出張費・交通費といった経費を節約して、
時間を効率よく使って、生産性を上げる

そして、創出された時間を余裕を持ってオフラインの大切なことに費やす

企業も、働く人もその点にフォーカスすれば・・・
豊かな企業活動、働き方、遊び方、生活が待っているはずです。

コロナショックが、企業の理想のビジョン、そして、より、ありたい自分に向かうように

いつかは取り組もうと思っていたことを、今すぐ進めることの後押ししてくれるきっかけになれば、

この2か月は貴重な2か月だっと結論づけられることと思います。

  執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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June 01, 2020

コロナショック後のファッション流通企業の経営の視点(前編)

約2か月続いた首都圏の緊急事態宣言が解除され、段階的に生活が再開することになりました。
感染第二波に気をつけながら、一日も早い正常化を祈るばかりです。

今回はコロナショックとの共存とその後を見据えて、
ファッション流通業界の経営がどのような変革に迫られるのか?について、いくつかのトピックを綴ってみたいと思います。

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トピックは

1.企業の財務体質の見直し 手元資金と固定費
2.在庫の持ち方の基準変更 消化率から在庫週数へ
3.評価基準の変化 売上重視から粗利(生産性)重視へ
4.販売と働き方のデジタルシフト

の4つです。少し長くなるので、前編と後編の2回に分けてご紹介をさせて頂きますね。

まずは企業の財務体質の見直しから・・・

緊急事態宣言によって、休業店舗が増え、
ファッション流通企業は店頭で売上が計上できなくなり、当面の手元資金の確保が足元の最大経営課題となりました。

店頭販売している小売業は、日銭さえ稼げていれば、ある程度はキャッシュが回せるビジネスなので・・・
意外と、手元資金を潤沢に確保している企業が少ない傾向にあるものです。

一般的な、手元資金の潤沢さを表す財務指標に

手元流動性比率(日数)=手元資金÷1日あたりの売上高

というものもありますが、

日銭商売の小売業にとっては、今回のような場合、売上がゼロだった時に、手元資金で何か月分の販売管理費(固定費)の支払いをがまかなえるか、つまり何ヵ月間耐えられるかを考慮するのが現実的かと思います。

筆者の造語になりますが、

手元資金経費耐久月数=現預金(期末フリーキャッシュフロー)÷1か月あたりの販売管理費(固定費)

とでも言いましょうか?

今回のコロナ禍のように、今後もまた、2~3カ月、店頭売上がなくなることがあるとしたら・・・

果たして、固定費の何か月分の手元資金を持っていたら、

これまで育てて来た大切な人材を手放さず、未来に役立つ資産を守りながら・・・

落ち着いて、未来が考えられるだろうかと、経営陣の方々は痛感されたことと思います。

一時的には借入に頼りながらも
将来的には計画的に税引き後利益(繰り越し利益)を積み上げて手元資金を積み上げて行きたいところです。

ご参考までに、
5月に現代ビジネス(講談社)online向けにワークマンのビジネスモデルと財務体質について寄稿させて頂いた記事があります。

コロナ禍「アパレル壊滅」の中、ワークマンが一人勝ち「真の理由」
強みは商品開発力だけではなかった

記事の6ページ目には、日本の上場ファッション専門店の売上高上位トップ10企業の手元資金の経費耐久月数を計算した一覧表を掲載していますが、ワークマンはその中でもダントツの販売管理費の22カ月分の手元資金を持っている計算になります(2020年3月末時点)。

ちなみにトップ5は

ワークマン 22.3か月分
ファーストリテイリング 16.2か月分
西松屋チェーン 10.6か月分
パルグループ 9.7か月分
しまむら6.8か月分になります。

※いずれも記事を書いた時点で公開されていた直近四半期または期末決算の決算短信を元に計算。

高い収益性による手元資金だけでなくて、必要十分に絞り込まれた販売管理費によるローコストオペレーションも耐久性を強める要素であることは言うまでもありません。

コロナショックを機に、多くの企業さんが販売管理費(の固定費)の見直しも行われたと思いますが、
固定費はただ削りやすいものを減らすのではなく・・・
粗利高を効率的に生み出す固定費とそうでない固定費を見極めて判断する必要があるかと思います。

続いて、ふたつめは在庫の持ち方の基準変更についてです。

3月の後半から4月、5月の店頭売上のほとんどが吹き飛んでしまったアパレル業界では、

いわゆる春と初夏という2つのシーズンの在庫がオンラインや一部の店舗でしか販売できなかったため、
大きな値下げ販売と残在庫に苦しむことになりました。

それは、おおよそ売上2.5か月分に相当する在庫です。

これまでファッション業界では、
特にメーカー系企業を中心に春、夏、秋、冬という
4つのシーズン単位で一度に3カ月~6ヶ月分の商品をつくり込み

それをシーズン中に売り減らして行くという手法が
とられて来ました。

その際、主にメーカー系SPAやメーカー品を取り扱う百貨店やセレクトショップなどでは

仕入れた商品がどれだけ売れたかを表す、

消化率=売上数量(原価)÷仕入数量(原価)x100

が販売進捗、在庫管理手法のメインに用いられて来ましたが、

コロナショックを機に、主に小売業が活用している
在庫日数(週数)管理が、あらためて
仕入れ、在庫管理のスタンダードとして注目されそうです。

在庫日数(週数)=現在在庫数(原価)÷1日(週)あたりの売上数(原価)

つまり、生産リードタイムを考慮して、販売計画を立て
当面(何日分、何週分)必要な商品在庫を調達する。

売上と需要内容に応じて、販売計画を立て直し(※ここ重要)

また何日分、何週分の追加発注を行う、というアクションに活用できる計数で、

ドンと大量に仕入れて売り減らす、のではなく、売上の進捗に応じて買い増すという運用になります。

ファッションビジネス、特にアパレルビジネスはリスクマネジメントビジネスと言われます。

小売業の在庫管理のスタンダードが変われば、商品を供給する作り手側も春夏/秋冬シーズン単位の展示会受注方式から、ますます柔軟な期中対応が求められそうです。

前編はこのあたりで。

次回後編では 評価基準と販売方法、働きかたの変革の話に続きます。

  執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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May 19, 2020

ワークマンのビジネスモデルと財務体質の強さ(2020年3月期決算から)

先日、現代ビジネスonlineに寄稿させて頂いた、作業服、作業関連用品チェーン、ワークマンの最新決算(2020年3月期)を反映した記事をご紹介させていただきます。

コロナ禍「アパレル壊滅」の中、ワークマンが一人勝ち「真の理由」~強みは商品開発力だけではなかった

とかく注目される機能性商品やコスパと言った商品軸ではなく、それらのコスパを支えるビジネスモデルや財務体質にフォーカスしました。

持続可能なフランチャイズ(FC)ビジネス、20200515_210147

FCによる人件費の変動費化と物件取得による家賃負担はほぼなしというローコストオペレーションによる低粗利率ながらも高い営業利益率、

生み出された利益を未来への投資に向けるキャッシュフロー経営、

そして、

販売管理費の22カ月分もあるフリーキャッシュフロー(手元資金)を持つ財務体質の強さなどを取り上げました。

 

今、流通企業経営で最も関心が高いのが事業継続のための手元資金でしょう。

記事の最後から2ページ目では、大手上場企業のフリーキャッシュフローの比較をしてみました。

直近決算(通期、四半期)の
キャッシュフロー計算書のフリーキャッシュフロー÷損益計算書の1か月あたり平均販売管理費
を計算したもの。

その中でもワークマンは断トツに「有事耐久性」抜群ですね。

休業が続く、コロナ後の企業活動の中で、フリーキャッシュフローの確保と販売管理費の見直しは業界最大関心事のひとつになることでしょう。

同社のビジネスモデルの早わかり版です。よろしければご一読を。

  執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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May 18, 2020

百貨店アパレル大手、レナウンが民事再生法を申請

東証一部上場の老舗アパレル企業、レナウンが15日に民事再生法を申請し、
そのニュースは、週末から、業界のみならず、経済界を駆け巡りました。

厳密に言うと、同社自身ではなく、債権を持つ、子会社が申請したことや、
中国の親会社の役員による不服申し立ての可能性もあり、
民事再生法適用、スポンサー探しにあたっても、複雑な事情があることが日経新聞に詳しく書かれています。

レナウン経営破綻 社長「不在」、四半世紀の悲劇

かつて、ベストセラーになったビジネス本「誰がアパレルを殺すのか」の主旨は、

20200519_152349

①百貨店アパレルのライセンスビジネス依存と

②商慣習である委託販売(その後、消化仕入)によって、在庫所有権者自身(アパレル)が在庫および損益をコントロールしづらい構造が

90年代以降、百貨店および百貨店アパレルを時代遅れにし、ダメにした、とブログ筆者は読み取りましたが・・・

そのビジネスモデルによって日本一のアパレル企業であった、という過去の成功体験が強すぎて、
最もそこから抜け出せなかったメーカーの一つがレナウン社だったのではないか?と思います。

拙著「アパレル・サバイバル」(2019年2月)でも述べましたが、

90年以降、ファッションビジネスのカギとなる現場は

バイヤーと営業の商談の場(百貨店、量販店時代)から

2000年代には直営店の店頭(SPA、ファストファッション時代)へと移り、

今や、顧客のスマホの中(デジタルシフトの時代)にある

というように、10年単位で顧客行動とビジネスモデルを見直さなければならなかった、
ファッション流通市場が変貌した今となっては、再生はそう簡単ではないでしょう。

ファッション流通のジャーナリストである松下久美さんが今回の報道を受けて書かれている記事

民事再生法を申請したレナウン、30年間のリストラの歴史と、4つのタラレバを考える

の中でブログ筆者が一番、痛かったと思うのは、

最終的には400億円を投じたという、そもそも高額過ぎたアクアスキュータムの買収判断と、それを活かせなかったことですが

当ブログの過去(2013年)にアクセスをたくさん頂いた投稿

世界市場を勝ち抜くには布帛(ふはく)が重要

の中で、

多くのアパレルメーカーさんと80年代から90年代にかけてものづくりのお手伝いをさせて頂いた経験から述べさせて頂いたように、

同じアパレルメーカーと言っても、どんな品種、製造方法、採算の採り方が企業体質の根底にあるのか? 

そんな出自の違い、しみついたDNAもビジネススタイル、財務体質、企業の耐久性に表れるものだと思っています。

コロナショックは、あくまでも弾きがねのひとつに過ぎず・・・

これから、いままで溜まっていたもの、そして、いずれは下さなければならなかったさまざまな結論に覚悟して向かい合うことを各社に迫る時代の幕開けに過ぎないように思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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May 12, 2020

ファッション流通企業の決算書から学ぶ(後編)

2019年4月からWWDジャパンの紙面で月イチ連載している
ファッション流通企業の決算書からビジネスのヒントを読み解く

「ファッション業界のミカタ」

オンライン公開のまとめページの後編です。

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筆者はこれまで、長年にわたり、各社のプレスリリース、決算報告、各種メディア記事、店頭定点観測、
関係者インタビューなど様々な角度から企業分析を行い、クライアント企業さんはじめ、業界の多く方々が、お客様のために、明日のビジネスを切り開くための、実務のヒントを整理して言語化することを続けて来ました。

本連載は特に、経営者様や経営企画系や新規事業開発系のスタッフの方々のヒントになれば、という思いで続けているものです。
ご興味のあるところをお読みいただければ幸いです。

尚、WWDジャパンを定期購読していらっしゃる方は、ログインすれば、無料でお読みいただけますが、そうでない方は1記事100円の有料になっていますので、その点はご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

第6回
ファッションECの雄 ZOZOの決算書から学べること
テーマ:EC時代のKPI(重要業績評価指標)
ZOZOはIT系企業ですが、商品取り扱い高を売上高と見なせば、小売業と同じような評価ができます。
そして、デジタルシフトが進む時代は、売上高は客数x客単価から、会員数x年間購買額に変わることもZOZOの決算書が教えてくれます。しかしながら、出荷単価が下がれば、単位あたり粗利額は下がり、昨今上昇中の物流費によって利益は下がりつつあります。手放しに儲かるとは言えない、ECの採算について解説しました。

ファッション業界のミカタVol.6

第7回
「トップショップ」や「H&M」をしのぐ勢い 英「プライマーク」の脅威
テーマ:競合店定点観測
昨年の夏にロンドン視察に行った際の、まだ見ぬ競合、プライマークのレポートです。
H&Mの店舗より大きく、安い・・・そんな店舗が現れたら、レッドオーシャンも最終戦争ですね。筆者が、いずれ日本にも影響を及ぼす企業を海外視察でどう見ているのかの参考にしていただければと思います。

ファッション業界のミカタVol.7

第8回
秋で稼ぎ、夏に儲からない「ユニクロ」の国内事業
テーマ: 季節損益 秋冬依存脱却
ユニクロの課題のひとつは秋冬で利益を稼ぎ、冬で儲からないところ。地球温暖化が進み、暖冬に苦しむ日本のアパレル業界の同じ課題を抱えています。今後、人口増加で優良市場になるのは、熱帯の国々。ZARAやH&Mがどうしているかも比較解説しています。

ファッション業界のミカタVol.8

第9回
EC化率アップだけでは儲からない「ユニクロ」
テーマ: EC損益 出荷単価とコストと物流対策
第6回目で取り上げたZOZOよりも、更に単価の安い商品を扱うチェーンが果たしてECをどんどん伸ばして採算が合うのであろうか?という課題にユニクロが真正面から取り組んでいる様子を解説しました。筆者はユニクロあたりの単価がひとつの分岐点で、彼らの取り組みが低単価品のECの未来を占うような気がして注目しています。

ファッション業界のミカタVol.9

第10回
ワークマンの勝利の方程式とは?
テーマ: ローコストオペレーションとキャッシュフロー経営
機能性商品やコスパばかりが注目されるワークマンですが、本当の強みは決算書にありました。FCによる人件費の変動費化、店舗の自社物件化による家賃の軽減によって実現する低販売管理費によって実現できる商品バリューであることに気づくことができます。

ファッション業界のミカタVol.10

第11回
「無印」の今後の課題と本来の強み
テーマ: 購買(来店)頻度と四半期決算のバランス
グローバルでも唯一無二のライフスタイルストアから学ぶのは、品揃えの多様化ではなく、MDミックスの中のカテゴリー別の役割分担の理解です。MUJIはしっかり、購買頻度と高粗利率カテゴリーへ注力しているようです。

ファッション業界のミカタVol.11

第12回
インディテックスとワークマン 王道2社の見るべきポイント
テーマ: 脱前年対比 未来への投資 リスク分散
1年間でお伝えしたかったのは、前年比よりも中長期時系列評価をすべきこと、そして、稼いだ営業利益を何に投資するのか?というところでした。記事の中では、インディテックスの売上と営業利益を20年分並べて、5年に1回迎えた踊り場で次の飛躍の準備をする同社のセンスについて語っています。

ファッション業界のミカタVol.12

今週のWWDジャパン5月11日号から2年目を迎えました。
今、壁にぶつかっている、H&Mの成長戦略と過大出店の落とし穴について解説しています。記事は こちら 
チェーンストアの拡大戦略にあたり、参考にしていただければと思います。2年目からはPLだけでなく、BSやCFについても絡めて行きたいと思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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April 27, 2020

コロナショックによる購買行動の変化に対応しよう

時折ブログの転載をしていただいている、ファッションスナップドットコムさんにコロナ後の世界がどうなるのかの寄稿をご依頼頂き、
専門である顧客購買行動に基づく在庫の最適化の視点からコラムを書かせて頂きました。

特別寄稿連載 コロナ後:ファッション流通編 コロナショックによる購買行動の変化に対応する

詳しい内容はリンク先をご覧いただければと思いますが、

多くの人が1か月以上の外出自粛、在宅中心の生活をすることによって、
この間に体験、感じたことが、コロナ後の行動に少なからず影響を及ぼすであろう、
であれば、どんな購買行動の変化が起こるかを予測しよう、
そして、それに対応する準備をスピードをもって進めよう

という提言です。

この間、行動に大きく影響を与えたのは

ひとつはオンラインの強制体験による、
「オンライン」で解決するという行動選択肢の急浮上でしょう。

仕事では、リモートワーク、つまり、オンラインミーティングの活用が進み、
やってみたら、手軽で、わざわざ顔を突き合わせて会わなくても、
意外と事足りてしまうことがどれだけ多いか?実感された方も少なくないでしょう。

これから、あらゆる仕事が、

・会って話すべきことか、
・オンラインミーティングで済ませられることか

を考えることになるでしょう。

すると、無駄な出張がなくなる、
逆になかなか時間が取れなくで会えなかった方々、遠く離れた方々とのオンラインを介したコミュニケーションの時間が増える
ことが期待されます。

このビジネスチャンスは企業にとっても、個人にとっても
活かすか、どうかで、大きな差になるはずです。

お買い物も同様です。

普段、リピート購入している消耗品は、アマゾンなどオンラインで手軽にできます。
今までオンライン通販のヘビーユーザーでなかった方も
こういう時は、オンラインで済ますことができるんだ、意外と手軽。
わざわざ買いに行かなくてよい、
オンラインを活用すると、時間と手間がこんなに節約できると実感されたはずです。

そんな体験から、外出自粛、店舗休業が解除された後も

・お買い物もオンラインで済ませるものと、
・わざわざ買いに行く必要があるものの線引きが

コロナショック前よりも、はっきりして来たのではないでしょうか?

このように、仕事においても、お買い物にしても、
オンラインの強制体験によって、「時間」の価値と使い方が見直され、

オンラインで済ませてしまうもの、あえてオフラインに時間をかけるもの
という選択肢の中で行動するようになると見ています。

すると、行動の入口に「普通の道具」としてのオンラインをフル活用するようになるわけで、

オンラインで情報が取れないとか、
わざわざお店に行かないと在庫があるかどうかわからないとか・・・

顧客の大事な「時間」を無駄遣いさせるブランドや店舗は、
よっぽど希少価値がない限りは
その時点で顧客の選択肢から脱落するということを覚悟しないといけない、

という時代になるわけです。

これ、今までも言われていたことなのですが・・・

コロナショックに後押しされ、もう、待ったなしになったという感じです。

また、ファッション商品の購入については
オンラインを活用した情報提供、商品提供の環境整備の加速だけでなく、
別の課題もあります。

それは、ファッションのほとんどは外出先で会う人に合わせて選び、着こなすものですから・・・

この間、在宅中心で、外出しないのであれば、ほとんどの人にとって、
クローゼットの中の手持ち服で十分だったはず。

在宅期間中は、一部のファッション愛好家を除けば、
新しい服を買うのではなく、

むしろ、手持ち服の見直し(今後も活かしたいorもう着ない、処分したい)
の時間になったのではないかと見ています。

ここ10年のファストファッションの功罪もあり、世の中には安価なコスパ服が増え、
今や顧客のクローゼットには溢れんばかりの服があるでしょう。

それにあらためて気づいた方も多いはず。

拙著「アパレル・サバイバル」の後半でも提言したり
WWDジャパンへの寄稿でも述べさせていただきましたが、

「ファッション市場『大転換』に挑む 2020年代の流通革新と勝ち残る企業の条件とは」

これからは、

ただ業界が提案するファッショントレンドに基づく新しい服を売ることを考えるのではなく、

1)ユーザーがこれからも大事に着回したい服 を起点に
2)そこに、どんなアイテムを取り入れたら今シーズンのトレンドを楽しめるか

というユーザーのお気に入りの服を起点にする、という視点を持って毎シーズンの新商品を提案すべきですし、

一方で

3)着なくなった服をどう手放すか
の手助けをすべきではないか、

と考えます。

あくまでも、これらは筆者の仮説ですが、

コロナショックは収束すれば、顧客行動は元に戻るのではなく、

ユーザーは試練や体験の中から価値観を変え、
行動を変えるはず。

それを予測して、それへの対応を考えることこそ、
「顧客中心」の発想だと思います。

みなさんのお客様は今、何を考え、今後、どんな行動に移すでしょうか?

そして、それに対して、どんな対応をすればよいのでしょうか?

アフターコロナ、あるいはコロナとの共存の時代に、

ブランドや企業や店舗の「在り方」を考える時です。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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March 30, 2020

オムニチャネル化を進める前に必要な、店舗側のステップとは何か?

クラウド在庫管理システムを提供するロジザードさんのコーディネートで、専門店が「オムニチャネル化」を進める前に必要なことをテーマにトークセッションをさせて頂きました。

お相手はオムニチャネルコンサルタントの逸見光次郎さん。

お互い、実務で苦労した経験も多く、独立後も現場に入り込んでお仕事をさせて頂いている機会も多いことから、かなり泥臭い(笑)、少なくともキレイごとだけではない、あるある話がたくさん飛び出しました。

オムニチャネル化を進める前に必要な、店舗側のステップとは何か?

オムニチャネル化を進める前に必要な、店舗側のステップとは何か?

オムニチャネル化も同じことなのですが、いつも店頭在庫最適化の業務再構築を支援させて頂くにあたり、心がけていることがあります。


それは、現場にこれまでの業務に加えて、新しい仕事を要求するだけでは、まず、うまく行きません。(というかキャパオーバーで対応出来ない)ので…
まずは、現場の方々が負担に感じてる作業をヒアリングして、その軽減案をご一緒に考えて取り組む、むしろ、やめるべき業務があれば洗い出して、不要と判断されれば、やめて頂く。
そして、みなさんが無理なく、お客様のために、前向きに成果を出せるような環境を整えてから進めることです。

正直、社内の微妙なしがらみや人間関係の中では口にだせなかったことでも、第三者だからこそ、客観的にご指摘できることも少なくありません。

今回のトークの中では、そもそも、客注(お取り寄せ)をするにも難があるような環境(しくみ、評価制度、人間関係)の中では・・・
まず、オムニチャネル化(実店舗とオンラインの両方でお客様のお買い物をご支援すること)は難しいだろう、
システム的に形は整ったとしても、お客様を満足させるレベルではならないだろう、ということを強調しています。

よろしければご一読ください。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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