November 17, 2009

都心店への1日複数回配送

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 11月16日の日経MJ、「ブランド深化論」のコーナーで、来年創業35年を迎えるセレクトショップ御三家の1社、シップスが取り上げられていました。

 創業から、最近の派生ブランドを中心とした多業態化のチャレンジまでいろいろな話を、いちファンとして楽しく読ませていただきましたが、この記事の中で、取り上げたいのは、同社が都内の店舗に対しての配送を1日2回に増やした、という記述です。

 流通業界には、多頻度配送は経費高という見方があるかもしれませんが、少ない在庫で最大の売上を上げることが好調企業の共通項になりつつある昨今、

○物流経費をどう安くするか?

 も大切ですが、

○機会損失を減らし、消化を高め、シーズン末在庫を極力残さず、歩留りを高めるためのきめ細かい物流

 が見直されているのも現実だと思います。

 都心の店舗は家賃も高いので、バックヤードを最小限にとどめて、できるだけ売場面積を広くとり、バラエティ豊かな品揃えを提案しながら、効率も高めたい、

 各店で売れる可能性のあるものは、むやみに店舗に振り切らず、必要最小限な分だけ、店舗に配置しておき、ぎりぎりまで、共有在庫として確保。売れた店で、売り逃しが起こらないように、きめ細かく補充したい。

 都心の高効率な店は、時間単位でチェックしても、余りある売上利益を上げることもできる、と考えるファッション企業が次々に出てきています。

 昨年日本に上陸したH&Mや渋谷109(マルキュー)の一部のブランドも、都心で高販売効率を上げているいくつかの企業は、すでに、1日最多3回までの配送を実現しているのが現状。

 この話は、業種は違いますが、なぜコンビニが1日5回配送するのかを考えるとわかりやすいかもしれません。

 ますます都心部出店が注目されるファッション流通業界ですが、そんな裏方業務への各社の取り組みにも余念がありません。

 関連エントリー‐グローバル企業の物流・出店戦略

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13.業務改革(SCM,QR etc) | | Comments (0) | TrackBack (0)

October 15, 2009

「強い流通」3つの法則

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 今日の見出しは、10月14日の日経新聞から。

 今年の3~8月期決算で好調だった専門店のキーワードを、安さ以外の3つの法則としてまとめてありましたのでご紹介、解説してみたいと思います。

 1.「ついで買い」を誘う
 価格訴求、集客力のある単品を目当てに来た顧客がそれ以外の商品もついで買いをし、セット率(一人あたりの購買点数)が上がることによって客単価を上げた事例

 企業例:ユニクロ、ハイディ日高(ラーメンチェーン)

 2.自ら開発、自ら売る「製造小売」
 中間段階を省き低コスト、最近の円高の恩恵も受ける

 企業例:ニトリ、ABCマート

 3.大量売切りモデル
 余分な商品在庫を持たず、なおかつ売り切る力をしくみ化、組織的に行っている

 企業例:しまむら、ポイント

 このうち、2については、このブログで普段からテーマにしているSPA(製造小売業)化の話なので、解説割愛させていただくとして、

 まず、1の「ついで買い」についてですが・・・

 客数は減るものとして、単価を上げた企業は今、総崩れでしょう。だって、その二つは反比例するものですから、客数減に拍車をかけるだけです。

 一方、むやみに、無計画に低価格商品を投入した企業も客単価減を客数増でカバーしきれず前年割れの様相ではないでしょうか。←物流コスト増、店舗作業増にもつながってしまったのでは?

 まあ、後者の方が、まだリカバーしやすいですが・・・

 現代の客単価の上げ方は、一品単価を微減(←ここのコントロールがミソ)させて、ついで買いも誘いセット率を上げて客単価を上げるのが勝ち組企業のやり方です。ユニクロしかり、マクドナルドしかり。プライスライン戦略をしっかりおさえた上でのハイ&ロー価格政策が巧みですね。

 3の大量売切りモデルについて・・・

 この両社は、ファッション商品の特性をしっかり理解し、商品の販売期間(=賞味期限)を業界平均よりも短く設定しています。多頻度企画、多頻度投入、一回あたりの仕込み量は、その短い期間に「必要十分」な量だけしか行いません。

 そして、その期間内に確実に商品を売り切るオペレーションが徹底されている企業の典型例ですね。

 だから、失策があって、値下げしても、売上点数はしっかりさばくので、売上高は届かなくても、客数は減らないというロジックです。

 ファッション企業は、この2社をしっかり見習ましょう。   

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September 04, 2009

粗利ミックスと商品回転ミックス

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 昨夜は、複数の成長中勝ち組ファッションSPA(製造小売)企業の幹部の方々とお食事をご一緒する機会に恵まれました。

 裏話も含めて、いろいろな刺激的な話題が展開され、さすが皆さん非常に前向き!楽しいひとときをご一緒させていただきましたが、その中で、個人的に、あらためて考えさせられたのが、タイトルにある、粗利ミックス、商品回転ミックスでした。

 アパレルのSPA化が進むと、どうしても、高粗利率、高営業利益率経営志向になります。特に株式公開していると投資家の目もありますので当然かもしれません。

 多くの企業が同じ方向(売れ筋追及、粗利率向上)でSPA化を果たすと、早晩、店頭は同質化し、飽和し、「小売の輪」の理論ではありませんが、価格的に下をくぐる連中が出てきて、いずれは店頭が陳腐化=つまらなくなる可能性があるのではないかと思ってしまいます。

 一番最初にそれを上手に行った資本力のある企業はその王道を貫けばよいと思いますが、二番手以降はその地位の維持は保証されていません。

 私は、同じアパレル専門店チェーンでも、たまたま、服飾雑貨、アクセサリー、バラエティーグッズ、靴のバイヤー経験や営業経験があるので、洋服屋ってのは、「ファッション」という切り口であれば、お客さんがワクワクし、来店客数、来店頻度を稼げれば、結果、売上安定につながるので、「何でもあり」という頭も持っていますし、一方で、経営企画室長経験もあるので、当然効率も重視します。

 SPA化、ファスト化、低価格化が進むファッション業界の中で、今こそ、多くのファッション企業の方々には、是非、小売の基本とされている粗利ミックス、商品回転ミックスの妙味の追及をテーマにし、チャレンジしていただきたい、と思っています。

 つまり、同じアパレル(洋服)でも、セレクトするもの、自社開発するもののバランス(価格的にも松竹梅戦略を)、洋服以外の服飾雑貨、アクセサリーなど雑貨の構成比の高め方とバランス、その中でも、粗利率の高いもの、低いもの、商品回転の良いもの悪いもののバランスのとり方ですね。

 品揃えを評価する時、見るべき経営効率、販売効率は、ひとつではないだろう、ってことです。

 それがごちゃまぜになって、店頭を見たお客さんってワクワクするのではないかと思っています。

 当然、同じ雑貨といっても、趣味の世界と、ファッション、実用では、価格帯も購買頻度=商品回転も違うので、分けて考えなきゃいけないですがね・・・

 あと、今って、もともと、服とか、肌着だとか、雑貨とか、靴とか・・・従来、卸会社が伝統的に決めていた原価率の常識って崩れていると思います。ゼロベースで考えた方がいいのではないかと。

 そんな常識のとらわれず、生産現場に踏み込んで行くと、意外といいものが安く調達できたりするので、経営効率も落とさずに維持できたりできるものです。

 また、ジリ貧になるのなら、多少チャレンジして、若干粗利率が下がっても、客数、販売点数、販売効率が上がって、経費率が下がって、営業利益率が維持できればいい話ですしね。そういうお店の方が店頭はずっと楽しかったりして・・・

 だから、リテイルビジネスに携わる方々は、店頭を持っているメリットを活かして、チャレンジのPDCA(仮説検証)サイクルをどんどん回して行きたいですよね。

 お客さんのワクワク感と経営効率の両立のために。

 そんなことで、我が業界は、まだまだ、やること、いっぱいあるなぁ~と思ったひと時でした。
  
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September 01, 2009

OEM生産とODM生産

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 アパレル業界がファストファッション化あるいは対抗策?を志向する流れの中で、ここのところ、時流にあわせて、繊研新聞や日本繊維新聞にアパレルSPA(製造小売)企業あるいは専門店が活用するOEM生産とODM生産に関する記事が数多く掲載され、興味深く読ませていただいております。

 業界でいうところの、SPA(=Speciality store of Private label Apparel の略)は、一般に「製造小売業」と訳されますが、英語の直訳の通り、「自社ブランドのラベルがついた商品を販売するアパレル専門店、ブランド直営店」というのが実際のところで、グローバルSPA大手のGAP、H&M、日本のユニクロ、無印良品、ポイントの各業態、マルキュー系しかり、生産に関しては、商社、生産代行業者経由かダイレクトかは別にして、協力工場に委託、つまり分業しているケースがほとんどです。

 自社工場またはグループ工場で多くの生産をバーティカル(垂直的)にコントロールしているのは、思いつくところでは、ZARAのインディテックスグループくらいでしょうか。

 その取り組みの中で、OEM(Original Equipment Manufacturing)生産とODM(Original Design Manufacturing)生産の違いを、簡単に言うと、

・OEMは発注する小売側が商品企画を行い、製造仕様書を発行し、サンプルチェックも自己責任で行う

 のに対し、

・ODMは商品企画までも仕入先業者に任せ、製品の形になった提案サンプルを見て、買うか買わないかを即断する

 ものです。

 日本上陸後、たった1店舗で大旋風を巻き起こしている、米フォーエバー21がその手法を取ることで特に話題になっているODM生産は確かに手軽、その利点は

1 企画が外部の複数のソースということで情報ソースが豊富(ある意味無限大)

2 製品サンプルになるまでのプロセスが省け、バイイング、つまり買うか買わないかの判断に徹することができる

3 デザイナー、パタンナーなどの企画開発担当者や生産担当などを社内に置かなくて済む(人件費削減)

4 仕様書作成や社内確認作業がなくなりスピードアップ(ファスト化)する

と言ったところでしょうか。

 そんなわけで、多くのSPAが、ODM生産に注目しますが、同じSPAでも、専門店出身SPAとアパレル(卸)出身SPAでは、活用する上での事情が違いますので、どういうことになるか、しっかり理解しておく必要があると思います。

 共に生活者から見れば同じ小売業の体をなしていますが、それぞれの強みの違いは

○専門店出身SPA・・・店頭起点で、しくみか背中を見ろかは別にして店頭で商売人、人材育成の文化がある、売り切る力がある

○アパレル出身SPA・・・本部を中心に、体系的な商品企画、もの作りの文化、よりいいものを生活者に届けよう、商品の完成度を追求するこだわりがある

 ところでしょう。逆にそれぞれの弱みは逆方の強みと言ってもよいと思います。

 最近の関連記事を読んでいると、前者の専門店出身SPAがODM業者を活用するのはいいと思いますが、後者のアパレル出身SPAが自社企画をして、OEM代行メーカーと取り組むのではなく、スピードと手軽さを理由にODMメーカーを活用して、強みであるはずの商品企画をも任せているようなところがあるようですね。そんな話を聞くとちょっと心配になってしまいます。

 すなわち、無防備で、ビジネスモデルだけを真似てカンタンに「強み」を放棄するのは、いかがなものかと・・・

 現実的にはリスクを張りづらい商社(OEM中心)から、生地を機動的に動かせ、独自に企画提案機能を持った生地コンバーターの製品部隊(ODM)にビジネスのウエイトが移って行っているという図式かもしれませんが

 いずれにせよ、アパレル出身SPAさんが、ODMを活用する場合は、専門店出身SPAの強みをしっかりベンチマークして、小売勝ち組企業の文化、体質を取り入れながら、取り組んだ方がいいと思うんですけどね~、と考える今日この頃です。

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関連エントリー-日本人の開拓者精神、ハングリー精神

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July 17, 2009

日本のアパレル品質基準を取り巻く環境の変化

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 昨日のエントリーにも関連する話ですが・・・7月17日の繊研新聞、1面下の記者コラム「め・て・みみ」に、これからの日本のアパレル業界の品質基準についての問題提起があり、かつてアパレル生産の品質管理に苦労をしていたころの自分を思い出しながら、共感もしながら、読ませていただきました。

 内容は、コストを追求して、中国はもちろんそれ以外に広がりつつあるバングラデシュなどの幅広い海外生産地。用途に対してベスト(best)ではなくとも必要十分(enough)なクオリティを提供するファストファッションが、日本の生活者にすんなり受け入れられ、現状、さほど品質が問題になっていない事例をあげて、今、グローバルビジネスの波に巻き込まれ、生活者の意識、環境が変わる日本のファッション市場の中で、これまで「世界一品質に厳しい」と豪語してきた日本のアパレル業界の品質基準のあり方を問うものでした。

 「供給側が考えるほど、消費者は品質に敏感なんだろうか?」
 
 「高級品ならともかく、中低価格品まで過剰な品質基準で縛ることが、消費者のためになるのだろうか。」
 
 (以上記事から引用。)

 アパレルメーカー(作る企業)と小売(売る企業)の分業の歴史の中で、「天然素材」という、不安定な素材をメインに使った「手工業製品」でありながら、小売店頭で、顧客クレームを絶対に起こさないための日本のアパレルメーカー、商社、製造工場のベストなクオリティを実現するための品質管理の努力は並大抵のものではなかったと思います。

 百貨店から量販店まで、その商品の賞味期限、販路、価格を問わず、といってもいいでしょう。

 それは、日本のあいまいな取引習慣や、いざというとき、揚げ足を取る、取られる材料になっていたこと(売れなければ、それを理由に返品、もともとの発注責任が問われない)が、より複雑に、厳しくしていたことも否定できないのではないかと思うことも多いです。

 その構造は、常にベストな、鉄板な?クオリティを実現するために、払われる時間、手続き、コスト・・・そのすべてが、鮮度や手軽さが問われるはずのファッション業界で、「スピード」と「価格」に跳ね返ってくる・・・
 
 H&Mの日本上陸にあたって、多くの業界専門家が同社の品質は日本の生活者に通用しないのでは?と指摘。

 銀座店オープン当初こそ、素材の甘さ、たたみ皺、糸始末の悪さに対しての業界の方々の酷評も多く耳にしましたが、スピーディに学習を重ねる彼らの店頭は、みるみる改善、いまや、これまで百貨店や専門店でしかお買い物をして来なかった(選択肢がなかった?)生活者に耐えうる、必要十分な商品、クオリティを提供していると言ってもよいのではないでしょうか?店頭を見るたびにその改善度に感心させられるものです。

 1シーズンしか着ないのだから、安いのだから、安かろう、悪かろうでよい、というつもりは毛頭もありません。むしろ、いまでは、業界のスタンダードと言えるユニクロの品質改善努力を見たら、そんなことを言い訳にしている企業は、市場から退場を迫られます。

しかしながら、旧態依然とした流通や商慣習が、業界に課してきた呪縛、店頭価格アップで生活者にツケを払わせて来たコスト構造は、この品質基準問題も含め、抜本的に見直しをされなければいけない時であることは間違いないと思います。

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関連エントリー-必要十分な品質

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July 16, 2009

アパレル海外生産のチャイナプラスワン

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 ここのところ繊研新聞や日本繊維新聞といった業界紙が頻繁に取り上げる話題の中で、気になっているもののひとつに自由貿易協定(FTA)があります。

 これまで中国一極集中だった日本のアパレル海外生産。

 人件費が上がる中国に比べて、工賃が安い国で、一定の条件、例えば素材と縫製の両方を現地または地域内の2カ国間で調達できれば通常10%弱かかる日本のアパレル製品の輸入関税が無税になるという制度で、大手アパレル企業が「チャイナプラスワン」政策として、取組始めています。

 ちなみに、繊研新聞によると、縫製工場の労働者の賃金比較、上海で月額190-290ドル(上海基本給249.4ドル)に対し、カンボジアで80-100ドル、(ハノイ95.8ドル)、バングラデシュで43-68ドル(ダッカ57.4ドル)だそうです。(カッコ内は繊研新聞09.11.17付け記事より)

 これまでに適用されている協定の内容を簡単に整理すると、

1)特恵関税(0%)の
 ミャンマー
 カンボジア
 バングラディシュ
 ラオス
 ※布帛は生地持ち込みでも適用、カットソーは現地での紡績が必要
  現状、自国でカットソーの紡績ができるのはバングラのみとのこと

2)自国で素材、縫製を行えば関税0%の
 ベトナム
 シンガポール
 マレーシア
 タイ
 インドネシア
 フィリピン
 ブルネイ

 これに、この度加わったのが、

3)下記アセアン内の国で素材、縫製手配をすれば関税0%
 ミャンマー
 カンボジア
 ラオス
 ベトナム
 シンガポール
 マレーシア
 タイ
 インドネシア
 フィリピン
 ブルネイ

 という日本アセアン包括的経済連携(AJCEP)です。

 これらを冷静に見ても、もっとも注目されるのは、自国内で素材~縫製が完結出来、工賃の安いバングラデシュのカットソーでしょう。 それから、ジーユーの990円ジーンズが話題のカンボジア(これは素材は持ち込み)でしょうか。

 以前から、海外や国内でもファッションストアに行くと、商品そのものと併せて、その原産国にものすごく興味のある私・・・それを見ているだけで世界旅行をしているような幸せな気分になる、ちょっとオタクっぽいですが(笑)・・・

 特に06年に欧米のクオタ(国別輸入制限枠)制度が撤廃されてから、彼らの、適品適地生産政策が徹底されているのに気が付きます。つまり、クオタが調達できる国であればどこでもよいではなく、かといって、日本のような中国一極集中でもなく、商品特性、賞味期限、コスト、調達のスピードに応じて原産国を使い分けているのがはっきりわかるのですよね。

 だから、今、外資系SPAの店頭は、アパレル製品のグローバルソーシング(調達)の教科書だと思っています。
 
 なんでもかんでも、作り込みの売り減らしにするかQRにするか、ALL OR NOTHINGにしてしまう日本企業は見習うべき。

 一度、最近、日本国内でも見れるようになった外資SPA、H&M、ZARA、GAP、フォーエバー21の店頭を見てみてください。とみにバングラデシュ製の低価格ベーシックカットソー、すなわちTシャツ、タンクトップ、ポロシャツが急激に増えているのがわかります。(本協定とは関係ありませんが、トルコ製もちょっと気にとめておいてください)

 何枚も買って着てますが、悪くない。特にH&Mのバングラ製1790円スキッパーはシルエットもよく、お気に入りのひとつです。
 
 これに目をつけ、商社が定番的な商品、ドレスシャツ、ユニフォーム、スラックスなどで、ベトナム、ミャンマー、カンボジアあたりにすでに進出していますが、先ごろ合弁工場を設立して、稼働させつつあるユニクロもさすが、先行組でしょう。

 中国製はあたりまえになった我が国で、これから、目の肥えた日本の生活者が、良質で低価格のバングラデシュ製、カンボジア製の商品を手にすることも多くなりそうですね。

関連エントリー-ユニクロがバングラデシュに合弁工場設立

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June 16, 2009

ECによる在庫適正化へのチャレンジ

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 6月16日の日本繊維新聞、「マイナス成長時代の指針」に、急成長中、EC総合サイト、ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイの前澤社長のインタビュー記事が掲載されていました。

 ネット上のアウトレットやファミリーセール専門業者が台頭する中で、同社がアウトレットをやらないと断言する理由を聞かれて

 (以下引用)

 「アウトレットもファミリーセールも余剰商品を前提にして成り立つ商売ですよね。ECビジネスの発展の先にあるのは、アパレル製品供給の適正化という”流通革命”です。それによってファッション業界を活性化しようというのが僕たちの目標。アウトレットとは本質的に相容れないと考えています。」

 「ECをもっとうまく使えば、余分な製品をつくらないくてよくなる。最終的には機会ロス、在庫ロスをゼロにするのがEC企業としての僕らの使命だと思っています。そうなれば無理に価格を下げるセールやアウトレットに頼る必要もなくなります。」

 (以上引用)

 リアル店舗ではありますが、日ごろ在庫コントロールのコンサルティングをさせていただいていて、すごく共感するところがあったので、引用させていただきました。

 なぜならば、在庫コントロールの本質も、適正供給の追及、「売り切る」ための理念と技術にありますからね。

 そして、その成果は、「いつ行っても鮮度溢れる店頭」という形で表れるはずです。

 特にメーカー出身SPA、直営店系の方々とお話をしていて、時折、違和感を感じることに、「セール予算」であったり、各品番、セールで売る分を見込んで「多め」に発注する、という行為があります。

 計画通りに売り切れないために、常時、実現粗利よりも値入を取り、その差を「値下予算」として確保しておくのは分かるのですが・・・端からプロパーで売れないと分かっている量をあえて作るということに、何か最初から「負け戦」をしているようだなぁと感じる時があるのです。

 必然的に、売れなければセールで売ればよい、アウトレットに回せばよい、と現場のプロパー(当初価格)で「売り切る」執念が薄れてしまいますね。

 結果は、生活者の価格不信、プロパー消化率の低下、セール比率、残品率の上昇となって現れます。

 スタートトゥデイのZOZOの話も、適量(売れる分=売ろうとする分)完全買取、プロパー売り切りに執念を燃やしている、そして、シーズン中にEC上で一元管理された在庫とすべての顧客とを直接つなげているところに強みがあるわけで、本質的な「在庫コントロール」を行う上での条件は整っていると言うことができるのではないでしょうか。

 ECではありませんが、ファストファッションにしたって、今着たいものを「リアルタイムに」「ベストプライスで」「適正供給」されるからあまり値下をせずとも次々に売り切れて行くわけであって、基本、彼らは、イベントとしてのセールはたくみに利用していますが、セール期を設ける必要がなく、52週シームレスな鮮度溢れる店頭展開になるわけです。

 今でも、1月と7月のセールを基本に売り減らし型MDを組んでいらっしゃる企業も、そろそろ発想の転換が迫られている時ではないでしょうか?

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関連エントリー-ZOZO TOWN(ゾゾタウン)のスタートトゥデイがアパレルEC事業支援の子会社設立

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June 03, 2009

g.u.(ジーユー)の今夏約5割の商品は990円以下

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 プレスリリースを受けて、6月3日の一般紙、業界紙、TVニュースが、一斉に、ユニクロのファストリグループの低価格業態、g.u.(ジーユー)が、新価格戦略第2弾として、この夏、490円、990円の商品を拡大し、展開商品の半分を990円以下にすることに関するニュースを取り上げました。

 第1弾の990円ジーンズ発売からg.u.の既存店は前年比70%増の増収、勘違いされた顧客がユニクロに殺到して、ユニクロにも相乗効果があったようですが、追随するGMS、量販チェーンなどの価格戦略を振り回すかのようなプライスリーダー的な動きは、ユニクロの柳井会長らしいと思いました。

 実際、g.u.の店頭を何度か拝見し、立ち上げ当初に比べ、メーカー依存からユニクロ独自のサプライチェーンに切り替え、ユニクロの半値近い価格帯ながら、オリジナリティもクオリティーも格段に進化をしていることが認められます。

 メディアは、価格そのものをクローズアップし、その価格と価格以上のクオリティを実現したユニクログループのサプライチェーンはさすが、と取り上げますが、業界の方々の目下の関心は、1000円以下の品揃え中心で、ユニクログループが期待すべき損益がどこまで上げられるかというところにあると思います。

 月坪効率20万円の損益モデルでスタートした同業態は、当初3掛けの達成状況。これが70%増となった今でも、同10万円の推移と見られます。

 古い話ですが、アパレルチェーンストア勤務時代、経営企画の業務にも携わっていた私は、当時の経営トップから、990円の店頭商品(いわゆる1000円だま)がよく売れるので、全品990円の店を作ったら儲かるか?というお題を出され、何度もシュミレーションした経験があります(当時の経営者の宿題には相当鍛えられました(笑))。都心では家賃が高く、郊外立地で、相当のローコスト構造でなければ、難しく、一方、そういう立地では、客数は稼げても、思うように売上があがらないので、当時の私の答えはネガティブでした。

 もともとの坪効率がよい企業が坪効率の悪いビジネスモデルにチャレンジしても、結局は我慢ができないのが現実なのですよね~

 要は、ユニクロの半値ということは、倍の数量を売らないといけないわけで、g.u.は、都心近郊で、そんな前人未到のチャレンジに舵を切り始めたのだな~、と思いました。そのチャレンジのもくろみには、都心で出店を加速するというしまむら、あるいは、日本の業界というより、イギリスで絶好調のプライマークの存在を意識しているのでしょうかね?

 でも、ユニクログループができなければ、今の日本企業にはできない、と言ってもいいかもしれない話なので、今後の動向、注目していきたいと思います。
 
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関連エントリー-ジーユー(g.u.)の新価格宣言?990円ジーンズ!

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February 14, 2009

必要十分な品質

 2月12日の日経新聞の一面、「大転換」という連載記事を読んで・・・

 これまで先進国を中心に売上を伸ばして来た日本企業が、今後主力となる新興国市場に対応するための日本企業が取り組む「ダウンサイジング」が取り上げられていました。

 その中に、世界のファスナーシェアの4割を占めるおなじみ日本のYKK(吉田工業)が、品質基準を見直して価格が半分の第2のブランド「ARC」という廉価版のファスナーを立ち上げ、多くの中国企業が採用しているという話が掲載されており、興味深く感じました。

 YKK社は、年間生産74億本の7割を新興国に出荷しており、それまでの「YKK」ブランドの1万回の上げ下しに耐えうるファスナーの「過剰品質」が新興国で必要か?という自問自答から生まれてきたのが「ARC」だったようです。 

 YKKファスナーと言えばアパレル生産に携わっておられる多くの方がお世話になっていることでしょう。私も、冬のアウターウエアーやスポーツブランドの生産を担当していたころは、絶対安心品質のYKKのファスナーがほとんどの日本の大手アパレルメーカーご指名だったもので、その長い納期が、製品そのものの発注時期と生産リードタイムを決め、悩みのタネだったことを思い出します。

 「日本企業の多くはモデルチェンジのたびに価格を上げる経営に慣れ、割り高なコスト構造を引きずる。(記事からの引用)」

 我々の業界も耳の痛い話ですね。百貨店や量販店向けにアパレル製品を納めていると、時に過剰とも思われる品質基準をクリア―するために、生産業務の半分以上の時間と労力を品質管理室とのやりとりに費やしていたころを思い出します。一度どこかで品質クレームが起こると、その都度、厳しくなる品質基準。そんな労力、保険、リスクヘッジのためのコスト・・・しわ寄せは積みあがって、結果、顧客が払う価格に転嫁されるのは言うまでもありません。

 今、ファッションマーケットの中で、そんな日本の伝統的なALWAYSベスト(BEST)クオリティに対し、アンチテーゼかのように、ファストファッションの、顧客が求める商品の賞味期限を前提とした必要十分な品質=イナフ(ENOUGH)クオリティの挑戦状がつきつけられているような気がします。

 品質や感性ってものは、一度ベターなものを知ってしまうと、たとえ金回りが悪くなっても、易々クオリティを落としたくない、センスを落としたくない、と考える不可逆的なところもあると思います。しかし、一方で、何でもかんでもベストクオリティだから高いというのは通用しなくなりそうですね。今後、ますます、一定以上の品質や感性をクリア―した低価格商品が台頭し、それを後押しするわけですから。

 これだけ選択肢が増え、豊かになったマーケットで、目を肥やし、必要十分な品質を見極める生活者。そして、それに対応する企業も生活者の立場で柔軟でなければならない時代なのですね。

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December 20, 2008

サプライチェーンからディマンドチェーンへ

 今週の火曜日、12月16日付け日本繊維新聞の最終面に私が執筆させていただいた記事が掲載されましたので遅ればせながら概要をご紹介をさせていただきます。

 「ファッションの民主化~ファストファッションの挑戦状」というタイトルを頂いた3回シリーズ隔月連載の2回目になりますが、今回の内容は、

 ○戦後のファッション流通革命の歴史と

 ○SPA(製造小売業)がもたらした革新

 について論じてみました。

 その中で、私が『第4次ファッション流通革命』の担い手であるとする「ファストファッション」が、SPAモデルに則って、これまでの業界の常識であった、特にアパレルメーカー主導で業界の川上から川下に流れる一方通行の線=フローの形をしているサプライチェーンの発想を、生活者の需要・心理を起点にした輪=サークル型をしたディマンドチェーンの発想へのパラダイム転換を促していることを強調させていただきました。

 サプライチェーンとディマンドチェーンの違いをイメージ図をつけておきました。↓↓↓(日本繊維新聞掲載記事より)ちょっと見えづらいかな?

Photo

 この顧客を起点とするサプライチェーンである「ディマンドチェーン」という発想は、もともと90年代の中ごろに、アメリカの消費者行動学(ConsumerBehavior)の企業ケーススタディの第1人者のひとりであり、米リミテッド・ブランズのレス・ウエックスナー会長のブレーンであったオハイオ州立大学のロジャー・ブラックウェル教授が提唱し、日本でも2000年になって神戸大学の小川進教授の著書「ディマンドチェーン経営」にも著わされる発想ですが、あれから10年、最近、ようやく、この言葉が時流にハマるタイミングが来たかなと感じています。

 (余談ですが、私が自分の社名に命名した「ディマンドワークス」の由来もここから頂いたものです。)

 わかりやすく言うと、このブログでも称賛している「等身大MD」、すなわち、マルキューブランドやポイントのローリーズファームなどに代表される、ターゲット顧客と同じ生活感を持ち、ライフスタイルに共感できる商品企画チームが、ごく自然に自分たちと同じような生活者のために発信したMDは、いまや勝ち組企業の要件のひとつになっていますが、ファッションビジネスにおいては、これこそ、まさしくこのディマンドチェーンを体現したものであると思っています。

 そこでは、業界の理屈や古い慣習は排除され、純粋に共感、スピード、店頭鮮度といった生活者の利益のために、いかに、ディマンドチェーン(サークル)を速く回すかが競われるわけです。

 来年もますます広がるであろう、そんな企業のチャレンジ、そして、そんな考え方をもって仕事ができる人財の育成を応援して行きたいと思っています。

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関連エントリー‐ポイントの好業績を牽引する「等身大MD」

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