November 29, 2009

米Trader Joe's(トレーダー・ジョーズ)に見る、価格以上の価値

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 11月27日の日経MJ、「米国小売り見聞」のコーナーで、不況の中、業績好調で、業界の中でも高い坪効率を上げている食品スーパーとして、「Trader Joe's(トレーダー・ジョーズ)」が紹介されていました。

 トレーダー・ジョーズの見出しに目に留まって読み始めたのですが、記事を書かれているのは・・・おぉ、お世話になっている、

 アメリカ店舗視察のプロ、米R2リンクの鈴木敏仁さん

ではありませんか~。

 私も10年前、アメリカ、カリフォルニア州在住時、大ファンだった、トレーダー・ジョーズ・・・「グルメ・スーパー」って言ったらよいのでしょうか、普通のスーパーよりも小型(平均280坪)ですが、ワインやチーズや輸入食材が多くて、こだわりがある割には、ディズカウンターのような安さ。

 日本で言えば、成城石井っていうより、カルディーコーヒーファームをベースにヴィレッジヴァンガードやタワレコの楽しさを付加したようなお店だったというイメージがあります。

 この記事の中で刺激されたのは、同社が、「Well Educated,Under-paid」=教育水準はそこそこあり、知的だが、可処分所得が低い消費者、に顧客ターゲットを絞ったマーチャンダイジング政策で成功している、というくだりです。

 記事によれば、トレーダージョーズは、創業以来、その層にターゲットを絞ることによって、「安さと商品のこだわりの両立」を目指し、そうすると、ナショナルブランドの知名度におんぶせず、自力で調達し、売りぬく技術がはぐくまれ、ローコストオペレーションを徹底して来れたとのこと。

 結果、現在85%になったプライベートブランドが、

 「どれもこだわりがある上に品質が高くしかも安い」ため

 絞り切った客層だけでなく、知的で品質がよいので、高所得層にも支持され、価格が安いので、低所得層にもマッチしているのが同社の業績好調要因のひとつとのことです。

 最近の日本のファッションマーケットにおける低価格戦略や値下げ攻勢を見ていると、「あんたたち景気悪くなったんだから、安けりゃ買う」だろというような風潮を肌で感じ、辟易します。確かに、競合他社にやられたら、負けじと追随する気持ちはわからないでもないと思いますが、果たしてそれだけでいいのでしょうか?

 安くするために、引き算ばかりしていては(トレードオフ)、顧客は離れるばかり、価格以上の付加価値(足し算=トレードオン)をしなければ、先はありません。

 米トレーダージョーズの記事を読んでいて、わが業界各社が、まだまだやれることはたくさんあるのではないかと思ったものです。

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November 22, 2009

ロクシタン(L'OCCITANE)、成長の秘訣はアパレルSPAばりの短サイクルMD

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 11月20日の日経MJに、1998年日本本格参入から10年間、2ケタ成長を続ける女性に人気のコスメ製造・販売ストアブランド、仏ロクシタン(L'OCCITANE)に関する記事が掲載されていました。

 都心の路面、百貨店、有力ファッションビルの好立地に店舗を構え、通りがかる度に、店頭イメージを頻繁に変えてくる面白いコスメストアだな、という印象を持ち、また、毎月の主要ファッションビルのテナント別業績にも、多くの館で好業績を上げているお店としてマークをし、気になっていたロクシタン。

 L'OCCITANE EN PROVENCEホームページ

 今回の記事には、その業界の常識を打ち破るビジネスモデルと成長の理由がとてもわかりやすく解説されています。

 フランス本社で、南仏プロバンスの植物原料を使い、肌に優しいコスメを提供するロクシタンは、世界70カ国・地域で1200店舗を運営し、日本では、現在、68店舗を展開、年商は、日経推計で前年比4割増の150億円。

 記事で、気になったロクシタン成長の秘訣をまとめると

○新商品投入のスピードの速さ
 大手化粧品メーカーが春夏、秋冬の年に2回の大型商品投入し、広告宣伝費を投入して半期を通じて、同じ商品を売り続けてゆくのに対して、ロクシタンは、3-4週に一度、店頭に新商品を投入し、その都度全体の3割の商品を入れ替えるという細かさ。

 記事に主力商品の年間MDプランが一覧表になって掲載されていますが、よくよく見ると、それぞれの主力商品の展開時期が、アパレルビジネスのシーズンを細分化した、「サブシーズン」のくくりとほぼ同じくらい、年間13MDほどある短サイクルMDを組んでいることになります。これは驚き。

○幅広く、バランスのとれたカテゴリー展開
 上記が実現できる背景として、売上に対する商品(カテゴリー)構成比の違いを大手化粧品メーカー、コーセーとの比較するグラフが出ています。

 コーセーがスキンケア50%、メーキャップ40%、その他10%

 なのに対して、

 ロクシタンは、ヘアケア26%、ボディーケア25%、スキンケア24%、その他フレグランスなど25%

 という展開バランス。

 ひとつのカテゴリーに偏ることなく、幅広く、バランスよく展開することによって、主力商品打ち出しをその時の生活社のライフスタイル、モチベーションに合わせてローテーション、店頭に変化を持たせる演出ができるのは、このカテゴリー展開とバランスにあるようです。

○売上の3割を占めるという、割安ミニサイズ詰め合わせ
 いろいろ試して自分に合うものを見つけたい、節約したい、という顧客のソリューションにかなった企画商品が豊富。

 それ以外にも、DMを中心とした顧客囲い込み、予約販売による需要予測、方向修正など、ロクシタンのいろいろなビジネス戦略が掲載されていて楽しく、感心しながら読ませていただき、また、とても勇気づけられました。

 化粧品業界以外にも、靴、服飾雑貨、アクセサリーなど、ファッション商品なのにもかかわらず、今でも、企業決算都合の半期だとか、業界が勝手に決めた古典的な2つのシーズン、ロングサイクルでモノづくりをしていて、「アパレル業界とは違う」からシーズンを細分化できない、変えられない、と言われている業界がいくつもあります。

 しかし、このロクシタンのチャレンジは、業界大手が相変わらず、旧態依然とした商品サイクルを展開しているのに対し、生活者のライフサイクルの視点、ファッションの視点にたって、短サイクル化で生活者のライフサイクルに合わせ、ソリューションに応えて成長をしている好事例だと思います。

 業界の常識(作り手の都合)だと言って、できない理由を並べ立てる前に、できる方法を考えて実行している化粧品業界の新星、ロクシタンに勇気づけられるとともに、同社から学ぶことがたくさんあるのではないかと思った次第です。 

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November 04, 2009

ABCマートのアパレル参入

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11月2日の日経MJに、靴専門店チェーン大手、業界2位のABCマートが11月から発売している保温性肌着「ヒートブレス」に関する記事が掲載されていました。

 同社はこれまで店頭で靴および靴関連商品のほかに、ソックス、レギンス、パックTシャツなどその他商品の展開を広げており、「ついで買い」で積み上がった衣料の販売実績は、現段階で同社の全体売上高の3%にも上っている模様。

 今回の「ヒートブレス」ののち来春には涼感素材品を投入する予定だそうで、5年くらいの間に衣料売上構成比を5%までもって行く計画とのことです。

 ここ1年に何回かABCマートで靴の接客を受けたことがありますが、各スタッフさんが、靴を試し履きするお客さんにこういった商品を押し付けがましくない程度に、積極的に勧めている姿を見て、その徹底ぶりに何度も感心した覚えがあります。スタッフさんも実際に身につけているから説得力があります。

 チェーンストアとは言え、接客を前提とする靴販売において、一客あたりの販売点数(セット率)が限りなく1(足)に近いのではもったいないですからね。生活者目線で横展開できる関連商品であれば、どんどん提案し、売れるモノなら何でも売ってしまおうという同社の商売人魂には学ぶところがあると思います。

 毎年、既存店の売り上げが、気合じゃなくて、実際に上がるような仕掛けをしっかり打つことで定評のある同社ですが、いよいよその手段がアパレル関連に及んで来ましたね。同社の創業者の三木さんはもともとアパレル業界出身だったと思いますので、いずれはアパレル市場進出?なんて妄想も頂いていますが・・・それよりは業界1位の奪取が先ですね(笑)
 
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October 17, 2009

在庫コントロールは生鮮食品売場に学べ

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 先日、国内外の大手ファッション企業の最前線で働く30代の方々がコアメンバーの懇親会に招かれ、最近のファッションSPA企業事情、各社の業務オペレーションの違い、その背景にある企業ポリシーに関する話題で場が盛り上がりました。

 特に国内のファッションチェーンから外資系へ転職された方、外資系で何回か転職した経験をもつ方が何人かいらっしゃったので、同じ職種、業務でも会社によって考え方、やり方が違うことをあらためて知ることが出来るとともに、たくさんの気づきをいただいたものでした。 Yさん、呼んで下さってありがとうございました。
 
 そのメンバーの中に、たまたまスーパーの生鮮食品売場で働いている方がいらっしゃり、彼は、

 ・アパレルの方が儲かるのは何故か?
 ・食品売場がファッションビジネスから学べることは何だろう?

 と高い問題意識をもって、ファッション業界の方々の話を聞いたり、いろいろな質問をされていました。

 そのやりとりを興味深く聞いていて思ったのですが、

 アパレルは、食品に比べると、確かに季節のメリハリもハッキリしていて、単価も高く、粗利率も高いかもしれないけれど・・・最近、ファッション業界で勝ち組かそうじゃないかの分かれ目のひとつに

 店頭鮮度管理の精度の高さ

 っていうのがあって、その点においては、むしろ生鮮食料品売場の方が、その技術には長けているのではないかと。

 すなわち、アパレル業界の勝ち組企業では、もちろん商品企画、品質がしっかり出来ていることが前提となりますが、

○いかに射程(発注→店頭)を短くして的中率を高めるか?

○いかに余計な在庫を抱えずにマーケットの変化に対応していくか?

○そのために必要な、統計に基づく情報分析力、勘と度胸、行動力によって回す仮説検証PDCAサイクルを応援する企業文化、しくみをどう整えるかを常にブラッシュアップしている。

そして、

○その中で、店頭を起点とした「商売人」がどれだけ育成され続けているか?

ということが企業の利益率(歩留り)と成長率を支えていることは間違いないでしょう。

 そういう観点で見ると、いかにファッション商品のワンシーズンや半年分の発注販売計画を緻密に行っても、生鮮食品売場の日々の勘かも知れませんが(と言っても経験に基づく統計です)、トライアンドエラーと修正を積み上げた結果には敵わないのではないか?と思えてきます。

 だって、彼らは、「毎日」天気と顧客動向を見ながら、どれだけ売るか、どれだけ仕込むか、どうしたら在庫を残さないか、いつ値下げするか、プロパー消化率は?最終消化率は?・・・なんて、ファッション業界の多くの企業が、シーズン単位で考えていることを毎日繰り返しているんですからね。ヒトが商売から「学ぶ」頻度が決定的に違うわけです。

 「食べられる分だけ取りなさい」

 とはファッション業界のある勝ち組企業の幹部の方が、現場に余計な在庫を持たせないよう、諭すために語っている言葉です。もちろん

 「売り切れる分だけ仕入なさい」という意味ですが、非常にわかりやすかったので、感心し、心に残っている言葉のひとつです。

 また、私は、

 精度を高めること、とは、今より少し、細かい単位に分解して考えること

 だと思っています。

 そんな意味で、ファッション業界がより圧倒的に射程が短く、日々店頭鮮度を考え、在庫コントロールを行っている生鮮食品売り場をベンチマークし、学べることがたくさんあるのではないかと思ったものでした。  

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September 26, 2009

ABCクッキングスタジオのエンターテインメント性

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 9月25日の日経MJに、全国100ヵ所以上で料理教室を展開するABCクッキングスタジオに関する記事が掲載されていました。

 新しいショッピングセンターを視察に行くと、よく見かけるなぁと思っていた料理教室。ガラス張りで中の様子がよく見えるので、個人的に料理の大好きな私は、かけ足でテナントを見ている途中に、歩き疲れを癒すべく、ABCクッキングの前で、しばし立ち止まって、ファッショナブルなキッチン、クッキング教室の様子を眺めていることも少なくありませんでした。

 08年度 売上高163億円(36%増)
 現在の
 会員数22万人(29%増)
 教室数106ヵ所(43%増)
 社員・講師数 3540人

 記事によると、社名のABCは料理のイロハ、運営の基本は、DEF(デリシャス、エンジョイ、ファッショナブル)とのこと。

 記事を読んでいて、ひかれたところは・・・
 
○調理師ではなく、調理器具販売をしていた料理の素人である社長が、顧客から器具販売より料理を教えて!と言われたのが創業のきっかけ。

○実際に、家で手軽に作れるもの、本当に役立つことを教えるのがモットー。ゆえに、市販の顆粒だしを使ったり、油で揚げるべきものをオーブンで焼いたり、電子レンジを多用する割り切りも。

○時代にマッチしたレシピを迅速に取り入れるために、従来の半年以上かかっていたレシピ開発を4.4か月に短縮。業界でいち早く「弁当男子」など食のトレンドに対応。
 
○教室をリハーサルスタジオに見たて、演じる生徒に振り付けを施す講師という位置づけ。
それを、通りがかりの観客が、外から眺める様子は、ニューファミリーが集う、新しいショッピングセンターに欠かせないストリートライブ性を持った参加型のエンターテインメントと言っても過言はないでしょう。

 そして、料理企画のひとつひとつが、等身大であり、会員のライフスタイルシーンが思い浮かぶ、優しさを感じるところがいいですね。

 ファッションビジネスにも通ずることも少なくないな、と思いながら、楽しく記事を読ませていただきました。 
 
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August 05, 2009

前年に比べて、どんな工夫をしているか?

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 8月3日付けの日経MJにホームセンター最大手、カインズホームを展開するカインズの土屋社長のインタビュー記事が掲載されていました。

 都心部に店舗が少ないため、都心の方々にはあまりおなじみではないかもしれませんが、カインズ他ベイシアグループは、イオンやヨーカ堂のグループよりも進んだPB商品開発、徹底したコスト削減、不況時にも強い、勝ち組流通業のひとつに間違いありません。

 現社長に世代交代され、最近メディア露出が増えましたね~今回の記事はPB開発と同質化を避けるためにむしろ異業種をベンチマークするという姿勢(業界トップなので当然とも言えますが)について書かれていましたが、以前日経ビジネスの特集に感銘して書いたブログエントリーも参考までにご紹介しておきます。

 日経ビジネス記事「ベイシアの諦めない経営」を読んで

 先月中旬、企業の成功の秘訣をわかりやすく紹介するTBS系バラエティーTV番組、「がっちりマンデー」でも同社が取り上げられていましたが、私が同社に関して一番すごいと感じるのは全社あげてのコスト削減への執念です。

 聞くところによると、同社のトップは昔から、前年と同じこと、例えば「出店」にコストをかける時、担当者が何か考えて、工夫をした上で、前年よりも安いコスト見積を提出しないと絶対、稟議にハンコを押さないそうです。

 ただ「下請業者を叩け!」というのは安易で簡単かもしれませんが、それには限界がありますね。

 同社の場合、むしろ担当者がコストマインドを持って通常使う材料を工夫によって数量を減らしたり、調達方法や工程を変えることによって単価を下げるような考え抜いた「努力の跡」をスタンダードと考えるのです。

 番組では、具体的に、

 ・天井高を50センチ低くして、使用建材を減らし、1600万円の経費削減を行った。
 ・駐車場の車止めのペンキのラインを前と後の部分だけひいて、中間部はひかないことによって60万円経費削減した。

 などの事例が紹介されていました。

 ところで、コストを削減するのと同様に、売上を前年よりも上げる時も同じだと思います。

 右肩上がりの時代ならまだしも、今や、前年と同じことをやっていては、前年割れは必至です。

 前年より新しいやり方、工夫をして、人が成長している時、進化している時。そして、その新しいやり方や進化の度合いが顧客の心を打ち、支持されたときに初めて企業は成長し、「既存店売上」が前年を上回るのであって、たまたまヒット商品を当てたり、場当たり的な気合、精神論は、小手先の技、持続的成長をもたらすものではないと考えます。

 だから、経営者は常に、前年実績より高い予算をマネージャークラスや現場に課す時、それらの方々が、実際、変化をもたらす、どんな新しいやり方で仕事に取り組むのか、取り組んでいるのかを問わなければなりません。

 勝ち組流通企業は、そこんとこものすごくわかってらっしゃって、愚直に実践していると思うのですよね~。

 前年に比べて、どんな工夫をしているか?そして以前よりどれだけ成長、進化しているだろうか?

 これは、私が、常に自身に問いかけているフレーズでもあります。

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July 04, 2009

ABCマートが有名ブランドスニーカーを2990円で大量販売

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 7月3日の日経MJに靴専門店大手のABCマートが、3日より、同社の全店でナイキ、アディダス、プーマ、ニューバランス、コンバースなど、通常6000円~7000円で販売されているナショナルブランドスニーカーを2990円に値下げして販売することに関する記事が掲載されていました。

 対象品は、約50品目、セール期間中に合計15万足を販売する計画とのことです。

 一般紙の一面広告を使っての大々的な広告宣伝も見ましたが、相当インパクトがあるでしょうね。

 なにせ、これまで3900円でもチラシ目玉インパクトのあったものを2990円でそれも有名ナショナルブランドをほぼすべてカバーするラインナップですから・・・。

 日経MJの記事によると、同社は、この破格のセールを実施するにあたって、通常値入で仕入れた同社の商品在庫の利幅を削るのではなく、メーカーがシーズン末に処分に困っている過剰在庫を大量に安く買い叩いて、このセール玉に当てているとのこと。

 店頭での大幅値下げ、在庫処分表現にかかわらず、まあ、多少は売れない商品の値下げも混ぜているかもしれませんが、基本的には、同社の腹は痛まない、むしろ通常通りまたはそれ以上に利益が出る可能性もありますね。さすが業界内で、競合他社よりも商売が1枚も2枚も上手のABCマート。

 ジーンズ業界でも某ジーンズチェーンが行っているナショナルブランドジーンズ半額セールが話題になっていますが、からくりは同様のようで、各業界、ナショナルブランドメーカーの厳しさがひしひしと伝わって来ます。

 ABCマートが郊外型店舗大量出店にあたって、ナショナルブランドメーカーに正価が3900円、4900円の別注商品を作らせた時もさすがだと思いましたが、今回のセールも業界内での同社の商売センス、力の強さを思いしらされます。
 
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関連エントリー-ABCマートが低価格のNBスニーカー販売

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March 01, 2009

「スターバックスを世界一にするために守り続けてきた大切な原則」を読んで

 「スタバ」の愛称でおなじみのスターバックスコーヒーの三つの経営資産、「ヒト・モノ・カネ」のうち、モノ(商品)のハワードシュルツCEO、カネ(財務担当)のオーリン・スミス氏とともに、同社の「ヒト」を支え続けたハワード・ビーハー、スターバックスインターナショナル元社長が書かれた
 スターバックスを世界一にするために守り続けてきた大切な原則
 を読みました。

 同社の接客サービスレベルがチェーンストアの中で抜群に高いことは多くの方が認めるところだと思います。

 その秘密は、経営理念へのスタッフの理解を重視し、「マニュアル」を持たないところにある、というような話は聞いていましたが、この本を読んで納得しました。

 感銘を受けた話をいくつか・・・

 「私たちはコーヒーを売っているのではなく、コーヒーを提供しながら人を喜ばせるという仕事をしているのだ」

 という理念に基づき、いかにすべてのパートナー(店舗スタッフ)が現場で臨機応変な決定が下せるような独立性重視の企業文化をつくるか、に力を注ぐ。

 マニュアル化がチェーン化のスピードを加速するという考え方にアンチテーゼを唱え、顧客最前線にいるスタッフを「縛りつける」規則集のルールなんか要らない!全店で同じものを提供しなければならない「レシピ」や安全性や財産保全のための「ガイドライン」など最低限のものにとどめて、店頭のスタッフが上記の理念を念頭に置き、自ら考え、行動することを奨励する、という「ルールよりレシピ」の話。

 これは、現在、お客さんの立場で考える店頭の裁量、心遣いを奪っている性悪説的?な店舗マニュアルを運用している企業の方々は、考えさせられる話かもしれません。

 そして、

 「あなたの挑戦がなんであれ、会社はあなたが『知る』ことに対して給料を支払う。もしあなたがなにも知らないとしても、会社はあなたが『学ぶ』ことに給料を払いつづける。だから、がんばって学んだほうが身のためだ。」

 成功体験をもつ、知識豊かな社員より、今は未熟でも、知らないことを知ろうと努力する人の可能性に会社は投資するという話。

 人が現場で学び、成長する過程において発する力が企業そのものを成長、進化させるということを、この会社は十分わかっており、その力を最大限に活用しているからこそ今のスタバがあるのだな、と確信しました。

 最後に、「ノーをなくす」の話。

 多くのお店の店頭で、顧客にお断りをするPOPや表記を見かけます。返品お断り、両替はご遠慮願います・・・などなど。これらのPOPやレシートの文言って、確かに企業側の事情はわかりますが、私もいつも見るたびに、不快に思っています。

 著者は、店頭の「ノー」は、顧客に、「そのお店は、企業側の都合で、いろんなことに『ノー』と言うお店なんだろうな」と印象づけ、一方、お店自らも、それ以外にも顧客に対してできないこと=「ノー」を次々に探そうとするだろう、と言います。

 であれば、どうしたらいつも「イエス」と言える環境、オペレーションを作り上げられるかを考える方が未来はあると。

 全く同感ですね。

 それ以外にも、店舗のブランディング、運営をする上で、考えさせられる話が多く、また、著者が、すべての話について、成功からではなく「失敗から学んだ」というところに、説得力があり、共感します。

 原題が It's Not About the Coffee とあるように、スターバックス社を舞台にした話ですが、コーヒーそのものについては、ほとんど触れらいません。

 むしろ、スタバが、人(ヒト)を中心に経営を行い、今の地位を築きあげる過程において、同社のチェーンストアにおけるサービスと人に対する考え方、人材育成、および人材マネージメントなどについての持論が事例とともに展開されており、コーヒーチェーン店に限らず、ブランディングをしようとするファッションストアを含めたあらゆるリテイルビジネスに携わる方に参考になる本ではないでしょうかね。
 
 特に、リテイルビジネスに携わる経営者、営業担当役員、店舗運営のマネージャー、人材育成担当者の方々、そして部下を持ち、職場の対人関係で悩んでいる方々にお勧めします。何かしら、応用して自社で使えるヒントが見つかるのではないかと思います。

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February 25, 2009

ニトリの逆算経営

 2月23日の日経MJの一面に22期連続増収増益見込みのホームファッションSPA、ニトリの強みに関する記事が掲載されていました。

 不況下に計画的な値下を敢行し、客数を増やし、日本マーケットでは、スウェーデンのイケア以外に向かうところ敵なしのニトリですが、その背景には「逆算経営」があるという話。

 「米国は百二十年かけて豊かになった。日本は、まねすれば半分の60年でできる。まず半分の30年で百店・売上高1000億円を目指し、価格は二分の一にする」

 これは、1972年に倒産の危機に追い込まれた似鳥社長が米国家具業界視察ツアーで「チェーンストア理論」の洗礼を受け、決意した目標で、計画はほぼ予定通りクリア、今後、2022年には1000店、1兆円、ニューヨーク、ロンドン両市場での上場が目標にあるようです。

 ○長期目標を立て、逆算して、今何をすべきかを決める。
 ○顧客のライフスタイルを豊かにするために、あるべき価格、品質を決め、それを実現するためにはどうすべきかを逆算して決める。

 それが記事が言うところのニトリの逆算経営です。
 
 リテイルビジネスに携わる多くの方が、アメリカのリテイルマーケットを見て、その豊かさを感じ、いつかは日本でもこんな豊かさを実現したい、グローバルに活動して、ローカルの生活者に貢献したい、という思いに駆られたことでしょう。小売業に転身する前、1年間、アメリカで過ごした私もその一人です。

 ニトリの快進撃を支えているのもそんな経営者のロマンや使命感なんですよね。これはユニクロの柳井会長にも共通するところがありますね。

 2月も20日締めのチェーンストアの既存店売上前年比が発表され始め、厳しい市況は続きそうですが、ニトリの逆算経営の話は、初心を思い出し、今一度、計画を立て直す、見直す勇気を与えてくれるような気がします。 

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関連エントリー-ニトリが、円高差益還元で268品目を値下げ
関連エントリー-IKEA(イケア)を迎え撃つニトリの品質管理改革
関連エントリー-価格をデザインせよ

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January 02, 2009

住友商事ネットスーパー事業参入の先見性

 1月1日の日経新聞に、大手商社の住友商事がネットスーパー事業に参入することに関する記事が掲載されていました。

 同社は、二百数十億円を投じて子会社の中堅スーパー「サミット」と共同で専用の配送センターや食品加工を設置。顧客が午前中にインターネット経由で生鮮食品、日用品を注文すると最短2-3時間、午後には自宅に商品が届くというもの。代金は、クレジットカードまたは銀行引き落とし。配送費は300円程度となる見込み。2009年10月から販売をスタートする予定とのこと。

 イオンやイトーヨーカ堂などの大手スーパーが店舗から配送するタイプのネットスーパーは増えて来ましたが、無店舗型のネットスーパー専業は大手では初めての試みとのことです。

 同社は、2019年までに、同インフラを利用して、自社以外にも中小規模のスーパー3-4社の配送も請負い、全国36ヵ所の配送センターを設置、会員数50万―60万世帯、年商1100億円を目指すとのこと。

 実は、このニュース、1月1日に自宅に届けられた4つの新聞(日経、日経MJ、繊研、日本繊維)の全記事のうちで、私の中で、もっとも「スパーク」した記事でした。

 三菱商事とイオンの資本提携、業務提携が年末に話題になったように、三井物産とセブン&アイ連合、伊藤忠とユニー連合、丸紅とダイエー連合など、大手商社が、既存の流通(GMS)と組んで川下流通の陣取り合戦に躍起になっている最中、既存流通(過去)と組むのではなく、無店舗型ネットスーパー(未来)にフォーカスし、投資を行うこの住友商事の一手が、他社よりも一歩も二歩も進んでいると思うのは私だけでしょうか?

 当然、「サミット」というスーパーマーケットを運営し、世界最大の通販グループ、独オットーと組んだ「住商オットー」(長年の提携も、現在は、株式売却し、契約解消済み)およびエディーバウアーでの学び、実績、TV通販最大手「ジュピターショップチャンネル」の運営など、先見の明を持って早くからリテイルマーケットで実践を重ねて来た同社だからできる発想、決断、投資なのでしょう。 

 ちなみに百貨店やスーパー(GMS)の市場規模が年々縮小する中で、食品宅配事業は2010年には07年の7950億円から1兆1250億円に拡大する見込みらしいです(日経記事より;矢野経済研究所調べ)。

 個人的な話になりますが、年の瀬にうっかり買い忘れたものがいくつかあって(すべて日用品)、それぞれ別のネット通販を行う3つの会社に注文を出しました。12月30日、31日にもなっていたので、どうせ到着は年明け5日過ぎか、と覚悟していましたが、いずれも年末年始全く関係なく、注文の翌日、または翌々日に商品が届けられたので、びっくりした経験をしました。

 また、それとは別に、知人から本を勧められたり、新聞広告や電車の中吊広告で興味を持った本があれば、即座にケイタイからアマゾンに注文するのが当たり前になっていますし、書店の店頭でおもしろそうな本を見つけても、ハードカバーは持ち帰るのも重いですから、直後にその場でアマゾンに注文してしまうなってことも多くなりました。

 そんなネット通販各社の努力は、今後も生活者に買い物に行く面倒、手間を大いに省き、あるいは、買い物に行っても手ぶらで帰ってこれることを実現することでしょう。

 店舗を増やす感覚で、ただ売上増を期待してネットビジネスに参入するのではなく、生活者の購買行動の半歩先回りした一手こそ今の時代に求められるビジネスセンスだと思います。

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関連エントリー‐住友商事の地に足のついたライフスタイルリテイル事業

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