February 12, 2018

ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング(GLR)の働く女性のための新業態で考える ファッションストアの新部門開発のセオリー

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 1月25日の日経新聞や2月2日の日経MJにユナイテッドアローズ(UA)が展開するグリーンレーベルリラクシング(GLR)が働く女性に向けた品揃えに特化した新業態「Lurow GREEN LABEL RELAXING」を立ち上げることに関する記事が掲載されていました。

 既存のGLRの品揃えの中から通勤や職場でも使えそうな服・雑貨を切出し、3月1日のアトレ川崎(33.9坪)の1号店を皮切りに今後数店舗の出店を予定しているようです。

 UA社 プレスリリース ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング ウィメンズオンリーショップ「Lurow GREEN LABEL RELAXING」をスタート アトレ川崎に1号店新規出店


 これまで、業界のいろいろな新業態や大型化に伴う新部門導入のニュースリリースを目にして来ましたが、

 「うーん、これは厳しそう」というケースが多い中、

 今回の同ブランドのライン・ロビング型のスピンアウト業態は大きな伸び代を感じ、とても安心して見守れるなと思いました。
 
 ※ 念のため、「ライン・ロビング」とはある専門分野に特化して品揃えを豊富にすることによって、近隣の競合店から客層を奪うカテゴリー戦略のマーケティング用語です。

 その理由は2つあります。

 ひとつは

 以前当ブログでもTOKYO BASEのCITY(シティ)立ち上げに関連した記事をエントリーしましたが、

 TOKYO BASEが都心で働く女性に向けた服の新業態「シティ」をSPA方式で本格展開


・百貨店のキャリアブランドと

・働く女性をメインターゲットとするZARAが創造したマーケット

の間には意外と各ブランドが中途半端にしか攻めていない大きなマーケットがあると思っています。

 ユニクロが万人に受ける低価格良品質のベーシックのマーケットをおさえ、

 ZARAやH&Mといった外資ファストファッションブランドやGUなどが百貨店の半額以下で低価格トレンドファッションマーケットをおさえた後の

 残された数少ない巨大マーケットのひとつ と言っても過言ではないでしょう。

 TOKYO BASEのCITYは 都心駅ビルを中心にプライスポイント10000円超の、いわばUAのビューティアンドユース(BY)くらいの価格でそのマーケットを狙い、

 今回GLRのLUROW(ルロウ;輝く+成長を合わせた造語だそうです・・・)はその価格帯の下を潜り、

 おそらく従来のGLRのプライスポイントからすると・・・

 最多価格帯 7900円あたりで駅ビルと近郊SCを股にかけても通用する価格帯で提供するのでしょう。

 それゆえ、少なくとも、前者よりは大きな売上規模になるでしょうね。

 成功する可能性が高いと思う2つめの理由は

 今回の新業態は小売業が店舗の大型化やスピンアウト型の新業態に取り組む時に

 新しい部門(カテゴリー)導入を検討するにあたり、取るべきセオリーに則っていると感じるためです。

 そもそも、その企業、あるいはストアブランドの出自(出身)や、どんなビジネスからスタートし、どんなビジネスで儲けているかは、

 「企業(ブランド)体質」や「ビジネスモデル」という観点から無視してはならないことは言うまでもありません。

 その中で非常に大事な要素は、

 顧客の視点に立てば、取扱商品の「顧客購買頻度」という観点です。

 企業側の経営数値で言えば、それにほぼ近い数値で表れる「年間商品回転率」にも置き換えることができると思います。

 つまり、既存の取扱商品と比べて、新しい部門(カテゴリー)あるいはフォーカスする部門の
「顧客購買頻度」は相対的に高いのか低いのか?という視点です。

 購買頻度が高い方向に新部門開発をする時は、相対的に商品が良く回転するので、

 「これは売れる!儲かる!」という実感がすぐ得られるので上手く行き、

 その逆は、

 当初は新しい商品が入るので新鮮に感じるかも知れませんが・・・

 すぐに「上澄み」が取られ、既存商品と比べて

 「なんでこんなに売れないの?在庫が重い!」と感じ、シビレを切らして上手く行かないケースが多いように思います。

 このロジックから、これまでの業界の歴史の中で成功したと思う成功パターンをいくつか挙げると、

○ メンズやユニセックスカジュアル中心の店がレディースの取扱いを増やす

○ 古着を扱っていたカジュアル店が新品の取扱いを増やす

○ 紳士服を扱っていたところがカジュアルウエアに取り組む

○ 生活雑貨を中心に扱っていたストアが服の取扱いを増やす

○ レディスカジュアル中心のストアが職場にも着て行けるキレイめ服を増やす

○ 子供服を扱っているストアがママのカジュアル服の品揃えを増やす

などが挙げられるでしょうか。

具体例としては

 1つめはセレクトショップやユニクロ、2つめはユーズドミックス店、3つめはユニクロなど(旧ポイント社もそうですね)、4つめは旧トリニティアーツのニコアンドやスタジオクリップなど、5つめはニコアンドやグローバルワークなど、6つめはしまむらバースデイなどあたりでしょうかね。

 一方、上記の逆を行って、成功したという事例はほとんど聴きません。

 ここ数年の中で、上記のセオリーを無視して、上手くいかなかった事例はいくつもありますが、ひとつだけ挙げると・・・

 アパレル専門店が店舗大型化のため、ライフスタイル業態に転換しようとして、生活雑貨の品揃えを増やしたケースでしょうか。上記で言えば4番目の逆パターンを行った例です。

 もちろん 例外はあるでしょうし、ビジネスの成否は、最終的には

 経営者の辛抱強さと信念をもって取り組む人材によるところにつきます。

 ただし、顧客購買行動をベースにしたセオリーを無視した新部門開発は・・・無謀と言わざるを得ませんね。

 上記の2つの観点から、

 都心部や近郊の働く女性のマーケットは購買頻度も高いですし、比較的お金もかけます。

 ゆえに、ファミリーカジュアル業態で鍛えられたGLRの新業態は「スーツ屋さん」にならなければ・・・

 高効率業態として安心して成長が見込めるのではないか?と私は見ています。

 日頃いろいろな店舗を見ていて・・・商売人が多いなと感心することが多いGLRの取り組みに

 今後とも注目しております。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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January 23, 2018

プロパー(正価)消化率を高める施策

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 1月の繊研新聞に連日掲載されている主要企業の社長さんが今年の抱負を語るトップインタビュー。

 1月18日の大手アパレル、ジュンの佐々木社長のコメントの中に多くの企業で参考になる事例が掲載されていたのでご紹介させていただきますね。

 記事によれば、

 同社では本社のオフィス内にテスト店舗を作り、

 商品企画段階で実際に商品を並べてみることによって

 コーディネートしにくい商品やカラーを発見し、

 似寄商品を整理するなど店頭での品揃えのムダやムラの検証を開始、

 その結果、ビス、ロペ・ピクニック、アダム・エ・ロペなどの同社の基幹ブランドで

 プロパー消化率が約5%上がる成果が出たとのことです。

 これ地味な作業かも知れませんが・・・実際に筆者の複数のクライアント先でも実践してプロパーおよび最終消化率が上がる成果を出している施策のひとつで・・・

 多くの企業さんに推奨していることのひとつでもあります。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社) の執筆後、多くの方から、どうしたらZARAのようにプロパー消化率を高められるのか?というご質問を頂きました。

 もちろん、ZARAの無駄な在庫を作りこまない、3週分の在庫をつくり足すというサプライチェーンの内製化による「離れワザ的」QR(クイックレスポンス)オペレーションもその理由のひとつですが・・・

 その前提として、本社企画段階でデザイナーの方々がVMD担当の協力を得て、

 店頭を模倣したショールームで実際に商品を並べて、

 一緒に販売する商品との相性を検証するところから始めていることも大きな要因のひとつです。

 拙著の中でも明らかにしましたが、シーズン期末に在庫が残る商品の要因(=死に筋商品の正体)はいくつもありますが、

 それを回避する上で、そもそも、

〇 売場で展開できないほどの品番数をつくらない

〇 コーディネートできないカラーをむやみに増やさない

はストアマーチャンダイジングの基本だと常々豪語して来ました。

 相当頭の良い方なら長年の経験や勘で頭の中でわかるかも知れませんが・・・

 誰もが一番わかりやすいのは、店頭と同じ環境に実際並べてみてみんなで議論することです。

 そのためには自社の店頭にはどんな什器があるのか?その共通項を棚卸してみることから始めるべきでしょう。(これ意外と出来ていない企業さん多いですよね)

 自分のクローゼットの中でも、買ったにもかかわらず全く着ない「失敗商品」って、いくつもあると思いますが、

 商品そのものが悪いわけではなく、自分の持ち物とコーディネートの相性が悪い、「お友達」がいないのが要因ってケースはよくあることです。

 いい商品をつくれば売れる?

 売上を増やすにはカラー数を増やすべき?

 品番数は多いほど売れる?

 プロモーションをかまして、気合で売れば売り切れる?

 それぞれ一理ありますが・・・単品志向、ヒット商品狙いだけでなく、

 お客様のクローゼット(コーディネート)起点、店頭最適を起点に仕事をしたいものですね。

 商品を仕込み(発注し)終わってサイが振られる前に・・・

 死に筋商品の芽はあらかじめ摘み取っておきたいものです。

 関連エントリー‐適正品番数とメリハリ発注

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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January 09, 2018

その付加価値を顧客にしっかり伝えていますか?

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  昨年、半年間 塾生として参加した和仁達也先生のキャッシュフローコーチ養成塾

 粗利率は別名 「付加価値率」と呼びますね、という話を聴いてハッと気づかされたことがありました。

 企業経営は「ビジョン」と「キャッシュフロー」の両輪が健全に回ってこそ繁栄するコンセプトを軸にする和仁先生のその日の講義は

 業界によって粗利率は違う、その違いはどれだけ付加価値をもたらしているかの違いだ、として、

 一般的に生産者がつくった完成品を流通させる問屋さんやスーパーのような小売業は粗利率が低く・・・

 顧客が注文してから材料から手間暇かける飲食店は粗利率が高いという話から始まりました。

 私たちのファッション専門店の業界の粗利率は45%~60%の間が多いでしょうかね。

 先生の話では、企業の利益の源泉である、粗利(高あるいは率)を高めるには2つの手段があり・・・

 ひとつは 「価値を高めること」 

 もうひとつは 「価値を伝えること」 

であると。

 「商品力の強化」の号令のもと、多くの企業のバイヤーさんやマーチャンダイザー(MD)さんが日々、価値を高める努力はしていると思いますが・・・

 後者の「価値を伝えること」に関しては業界を見渡しても、意外と徹底できている企業は少ないかも知れないと思ったものでした。

 顧客(エンドユーザー)に仕入れた商品や開発した商品の付加価値を伝えるには

 リアル店舗にしても、オンラインにしても

○ 各種広告宣伝

○ 店頭VMDやPOP 

○ 接客トーク 

 (オンラインでは「ささげ」がこれらにあたりますでしょうか)

などが考えられますが、

 仕入担当のバイヤーやMDが忙しさにかまけて? 

 顧客に価値を伝えるための十分な商品知識や商品の付加価値情報をお客様最前線にいる店頭やEC担当者や販促担当者に事前に、十分に伝え切れていない現実ではないでしょうか?

 筆者の何社かのクライアント先でも それが組織的にルーティンとして出来ている会社と出来ていない会社で成果の表れ方が明らかに違うなぁ、と痛感したものです。

 商品の付加価値を顧客にどう伝えるか?

 そもそも、そういう意識をもって商品仕入や商品開発をしているかということが前提ですが・・・

 筆者も原稿を寄稿させて頂いた、ファッション販売2月号(年末から発売中)に 具体的かつ、シンプルにまとまっていて参考になる記事がありました。 

 筆者が寄稿したのは「ファッション業界2018年大予測」の方ですが、

 もうひとつの特集に「ショップスタッフの未来」という企画があり、その中の「他業種から学ぼう」というコーナーにあった化粧品業界の接客事例の話です。

 (化粧品以外にもホテル業界の事例も接客の未来を考える上で必読です)

 ちなみに化粧品業界、ファッション業界よりも粗利率高いですよね。 

 実際、現場の方が価値を伝えることに努めていらっしゃるからだとうなづけます。

 詳しくは本誌をお読みいただければと思いますが、簡単にまとめると

 ①勉強して商品知識を高める
  (商品そのものだけでなく、お客様のソリューションにつながる基礎知識全般)
 
 ②シーズンの売り込み商品を明確に決める
 
 ③その商品と一緒に使うと顧客メリットのある商品をあらかじめ決めておき、お勧めする

 ④チームで販売方法の共有をする(成功事例の横展開)

 これ、基本、王道、あたりまえのことに聞こえるかも知れませんが、ファッション専門店では徹底出来てないところが多いかも知れませんね。

 その現実に対して、勉強不足だと現場である店舗スタッフを責めるのではなく、

 そもそも、バイヤーやMDが体系づけて、あるいはルーティンとして、わかるように「伝えていない」ことが圧倒的に多いのが現実でしょう。

 オムニチャネル時代はウエブで調べてある程度の知識を持った顧客が来店する時代。

 それを前提にして仕事をしたいですよね。

 情報をもって来店されたお客様に

 「そんなことも知らないのか?」

 「そんなことわかってるよ!」

 「だったら自分で検索して自分で買うから接客はいらない!!」

 と思われて店舗スタッフさんが愛想を尽かされないように・・・

 仕入担当者は商品を仕入れて在庫を送り込むだけでなく、販売スタッフが商品知識をつけたり、付加価値をつけた情報をお客様に的確に伝えるために

 ・商品の付加価値をわかりやすく言語化する

 ・ブランドがオンラインで発信している情報をシンプルに的確にタイムリーに現場に共有する

 ・会議体やルーティン業務に落とす

 ・デイリー対応にはツール・デバイスも必要

 そんなコミュニケーション力や継続的な努力やデジタルツールが必須な時代だなと思います。

 日頃、クライアント企業さんの店頭の在庫最適化や生産性の向上に関与している傍ら・・・

 今年は、かかわったクライアント先ではそれらが着実に実現できるように尽力したい

 と年頭に心に誓ったものでした。

 今年もブログでオムニチャネル時代の業界マクロトレンドおよび現場寄りのミクロトレンドを綴って参ります。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 
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December 31, 2017

あなたが考える理想のファッション専門店の姿は何ですか?

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12月25日の日経新聞 未来面に掲載されていた

 「あなたが考える理想の小売業の姿は何ですか?」の企画記事はとても興味深く読ませていただきました。

 これは日経新聞が読者や企業と日本の課題について議論する「未来面」をスタートするにあって、

 さまざまな業界の経営トップが問いかけた質問に対して読者から投稿されたアイデアの中から優れたものを選びコメントを加えるというもので、

 その7回目にあたる今回はセブン&アイ・ホールディングス 井阪隆一社長が問いかけた

 「あなたが考える理想の小売業の姿は何ですか?」という質問への回答の紹介でした。

 詳しくは

 日経新聞 世界を変えよう あなたが考える理想の小売業の姿は何ですか
 
 をお読みいただければと思いますが、

 この中の 2番目 「隙間時間にアプリで買い物」 の

 空き時間にアプリを使ってオンラインで買い物を済ませ、仕事帰りに商品をピックアップして決済するアイデア は 

 まさに、世界のファッション流通業界でも進みつつあるオムニチャネルリテイリングの具体的な施策であるクリック&コレクトの進化版に他なりません。

 欧米では、

 顧客がオンラインで選び、決済も済ませた商品を会社帰りに店舗でピックアップしたり、

 マイページのウィッシュリストに載せた商品を販売スタッフと共有して店頭接客が始まるような

 事例が現れています。

 これらは2018年以降、間違いなく日本のファッション専門店の店頭にも浸透して行くことでしょう。

 それにしても、この「あなたが考える理想の小売業の姿は何ですか?」という質問はとてもいい質問ですね。

 迷走している流通業が、過去の延長線上で考える目先の業績に追われるだけでなく、

 今後どうあるべきかを考える上で、最も自問自答すべきことのひとつかも知れません。

 同企画のように、顧客(消費者)に問うのも悪くないですが・・・

 まずは、一度、自社にとっての「理想の状態」「最良の顧客体験シーン」を社員全員で顧客の立場に立って、自問自答のフリーディスカッションをしてみたらどうでしょうか?

 その際、前例から「できる、できない」、「誰の仕事が増える」、「誰の責任」など、「出来ない理由」を探して 貴重な芽を摘むのではなく・・・

 現在の課題とその理想のギャップを埋めるために まずは必要なことを具体的に挙げてみて、できることから取り組んでみたいですね

 今までのように、前年比ばかりに取らわれていたら、ジリ貧になるばかり・・・

 多少、大風呂敷になろうとも・・・

 理想の顧客体験シーンを描いて、そこから逆算するくらいの発想を持っていないと・・・目の前の壁は打開できない、未来も開けない時代ですよね。

 「あなたが考える理想のファッション専門店の姿は何ですか?」

 2018年 本格的なオムニチャネル時代の幕開けの年にあたり、

 リアル店舗とオンライン(EC)をどのように有機的に結び付け、相乗効果を図るのか?

 まずは「理想の状態=ビジョン」 を考えて共有してみたいものですね。


 今年もブログをお読み頂きありがとうございました。

 2018年も オムニチャネル時代そしてその先にあることにフォーカスをしてファッション流通の未来について綴って行きたいと思います。 よろしくお願いいたします。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 
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December 20, 2017

ZARA(ザラ)創業者のアマンシオ・オルテガ氏がアパレル事業から引退?

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12月16日のハーバービジネスオンラインや12月18日のWWDジャパンによれば

 ZARAの創業者であるアマンシオ・オルテガ氏がインディテックスグループ社関連53社の役員から外れ、アパレル事業から引退をされたという記事が掲載されていました。

 これはインディテックス社の広報による報道ではなく、スペインの法務局の商業登記簿の告示によるものだそうです(WWDジャパン)

 ファストファッションの巨人、ZARA創業者のアマンシオ・オルテガがアパレル事業からの引退を決意

 「ザラ」創業者のオルテガ氏が引退 ファッションビジネスで最も成功した1人


 拙著「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)の執筆の取材を通じて、同社の歴史や社風や経営体制について、文献に触れ、関係者インタビューを重ね、深く考えれば考えるほど・・・

 例え、同氏がいなくなってもZARAやインディテックスグループの他のブランドも順調に回り続けるだろうと思っておりましたので・・・

 今回、同氏が役員から外れるからと言って、業績に対する影響は全くないと確信しています。

 同社は、後継者に引き継ぐのが大変なカリスマワンマン経営者によるトップダウン型の経営ではなく、
ボトムアップ型の経営理念とオペレーションが企業文化にあります。 

 関連エントリー‐カリスマ経営者の後継者選び

 というか、ボトムアップ型というよりも、

 「店頭での顧客の需要」情報を起点とした高速サプライチェーンを実現することが「ミッション(使命感をもってやること)」であり、

 そのスピード感と柔軟性を維持するために、社員全員が真摯な「聴き上手」であることを「カンパニースピリッツ(行動規範)」とし、

 長年 オルテガ氏自らが行動をもってそれらを社内に示してきた会社です。

 ハーバービジネスオンラインの記事の後半にあるインディテックス社 現CEOパブロ・イスラ氏が語るオルテガ氏の秀でた長所という = 「謙虚さと聞く能力」

 これはまさに筆者が取材から一貫して感じたオルテガ氏像であり、同社内ではそれを見習った企業文化が熟成されていると言えます。

 ですから、社員はみな、いつもイライラしていたりすぐに決定をひっくり返したりする経営トップを見ているのではなく・・・

 また、保身のために情報にバイアスをかける中間管理職に悩まされることもなく・・・

 常に顧客の方を向いて仕事をしている。

 そして、その「顧客の需要ファースト」のスピリッツは 形骸化した標語でなく・・・
 
 誰がやっても同じ結果が出せるように、長年、最適化されたしくみとオペレーションに支えられ、アップデートしてきたと言えます。

 もともと、対外的な会社の「顔」として表にも出ずに、経営の意思決定にもほとんど口を出さなかったというオルテガ氏。

 ですから 今回の退任はあくまでもペーパー上の話だけであって、同社にとっては、実質何も変わらないのです。

 記事によれば、「オルテガ氏は、今後は不動産事業(おそらくインディテックス社の大株主であり、ファミリーの資産管理会社のことだと思います)と財団の経営に専念する」としているとありますが・・・

 これまで経営の意思決定にはほとんど口は出さなくても・・・

 長年 ZARA WOMANの商品企画が大好きで、「聴き役」として携わることを生きがいとしてこられた同氏のことですから・・・ 

 今後、役員から外れても、これまで通り、時間さえあれば、そのチームのそばに居続けて、商品企画を一緒に楽しまれるのではないかと思われますよ(笑)

 後継者問題に苦労しない会社のありかたとしても、オルテガ氏が率いたインディテックス社の企業文化から学ぶことは少なくありません。 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 
  
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October 23, 2017

カリスマ経営者の後継者選び

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 10月21日の日経新聞にファーストリテイリング柳井会長の後継者に関するインタビュー記事が掲載されていました。

 記事によれば同氏は70歳になる2年後に後継者に社長を譲り、会長職に専念するとのこと。後継者は外部からではなく、現在、内部に40人強いる執行役員の中から選出されるとのことです。

 柳井氏は「創業者に引退はない」とし、社長を譲った後は「会長職で今の仕事は将来こういうふうにした方がよい」とアドバイスする立場を想定されているようです。

 経営のスピード判断のために、体力があり、ITの知見を持つ方が有力候補とのことですが・・・

 誰がなったとしても、すべてをご自身で考え、アグレッシブに決断して来られたオールマイティのオーナーの後継者のプレッシャーは並大抵のものではないことは想像に難くありません。

 経営スタイルの形に「正解」はひとつではないと思いますが、業界を見渡すと・・・

 創業家によるワンマン経営もありますし、

 得意なことをそれぞれが役割分担して創業者とNo2が二人三脚で成長するスタイルもあるようです。
 
 「ユニクロ対ZARA」の執筆を通じて、ファストリの柳井会長は前者、同社がその背中を追っているZARA(インディテックス社)のアマンシオ・オルテガ氏は後者と理解をしました。

 ZARAの創業者であるオルテガ氏は商品やものづくりが好きな現場主義の方で、現場の人の話に耳を傾けながら、自分でフットワークよく動く職人肌。 

 1975年のZARA創業後、1980年代に事業拡大にあたり、ITに興味があったものの、自分には手におえないと判断したため、コンピューターに詳しい大学教授であったホセ・マリア・カステリャーノ氏をスカウトして、後に副社長(COO)に抜擢します。

 その後、オルテガ氏はものづくりに専念、インフラ周りをカステリャ―ノ氏が分担し、オルテガ氏が国内で実現していた人海戦術的なSPA(製造小売業)オペレーションをより効率よく、さらにグローバル展開する上で、インフラ整備含めてIT化し・・・

 更にそれを加速するための調達資金のために株式公開に踏み切ったのがカステリャーノ氏です。

 2005年に退職されますが、1984年の入社から約20年間のカステリャーノ氏の功績が今のZARAのサプライチェーンやインフラの基盤づくりと急成長に大きな貢献をもたらしたことは間違いありません。

 カステリャーノ氏の後任として、2005年以降、NO2のCEOとして経営を主導するのは弁護士出身のパブロ・イスラ氏です。 

 同氏は急成長(年率20%成長)の後の持続可能な成長(同10%成長)の担い手です。

 イスラ氏はサステイナブル経営に注力し、

 経営やサプライチェーンの環境を法務に明るい立場から整え、世界の株式市場から資金を調達し、既存のインフラに更に磨きをかけるべく投資をして今日に至ります。

 この オルテガ x イスラ体制は10年が経過しましたが・・・

 2030年のゴールから逆算した経営を行っているので、もう10年くらいは続きそうな感じですね。

 関連エントリー-ZARAのインディテックスグループ、サステイナブル経営からインフラ投資への好循環

 ZARA(インディテックス社)の2人のNO2との2つの時代を通じて共通しているのは

 オルテガ氏は全く表に出ずに、常に商品開発現場にいて、表の顔はNO2に任せて来たところでしょうか。

 表の顔としても印象の強い、強烈なカリスマを持った経営者の後任はやはり比較をされることも多いので、そういう意味でのやりづらさもあるでしょうね。

 果たして、ファストリではどんな方が柳井氏の後継者として選ばれるのか?

 業界の関心は尽きませんね。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 事業を経営する創業者の理念や時代とともにそれを支えて来た体制を理解するのも面白い。
 ユニクロとZARAはそういった観点からも真逆のアプローチと言えます。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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October 09, 2017

実店舗とオンライン、5年後のファッション消費の未来から考えよう

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 10月5日の繊研新聞にJDAソフトウエアがプレスリリースしたインターネットショッピングに関する消費者意識調査に関する記事が掲載されていました。

 同調査資料のオリジナルをご覧になりたい方はこちらから
 
 2017年インターネットショッピングに関する消費者意識調査


 この調査は

 18歳以上の男女を対象にしたインターネット調査ですが(有効回答数2093人)

 私が注目したのは2点

 今後ファッション消費において、

 1.どれくらいの割合がオンライン経由でなされ、

 そのうち

 2.どれくらいがクリック&コレクト(オンライン注文の自宅以外受け取り)を利用するのか?

 に関する数値です。

 まず前者については

 インターネットでも実店舗でも、どちらでも購入できる商品の場合、インターネットと実店舗のどちらで購入することが多いですか?という質問に対して、

 小売全体では約70%が実店舗で購入するに対し、洋服/靴/ファッションは75.5%が実店舗で購入するとのこと。

 この結果は、昨今、業界識者の方々が語り始めている「ファッション専門店のEC売上比率の限界点は30%にあり?」という議論に近いものがあるかも知れません。

 また、

 過去1年間にクリック&コレクト(オンライン注文商品の店舗など自宅外受け取り)を利用しましたか?という質問に対しては

 今回(2017)は18%が利用経験ありと答え、前年(2016)の14%に比べて増えています。

 ちなみに同社は同じ調査を英国でも行ったため、比較数値が出て来ますが、

 英国ではクリック&コレクト利用経験者比率は54%と過半数です。

 日本の場合、なぜクリック&コレクトを利用するか?という理由としては

 配送手数料がかからない    44%
 自宅より確実に受け取れる   42%
 自宅への配送より便利      34%

 一方、クリック&コレクトにおいてのトラブル体験は

 日本では74%の利用者が持っており、これは英国の54%よりも高い数値となっていますが、日本の上位の理由は・・・

 店員が商品をなかなか見つけられない、時間がかかった 39%
 受け取りの専用スペースがない  29%
 対応する店員がおらず待たされた 18%

 とのことです。 
 
 ストレス軽減のためには、同サービスが社内でしっかり通達され、

 アルバイトさん含めて店舗スタッフもそういったお客様が来店された時の対応が周知徹底されているかどうかにかかっていそうです。

 これまで、日本のクリック&コレクトがどれくらい進んでいるかを数字で掴めませんでしたが、今回、初めて数字に触れて、日本でもまだ低い数値ながら、徐々に増えていることがわかりました。

 また、クリック&コレクトが普及しているイギリス(体験者比率54%)との比較を見て・・・以前、私がイギリスの老舗SPAであるNEXTのアニュアルレポートを読んだ時にこんな数字が出ていたのを思い出しました。

 これは2016年1月期のものですが、

 オンライン注文を店舗で受け取る比率が過去5年間に急増

 2010年     2015年
  13%  ⇒   55%

 これは同社が2010年からオンラインビジネスに力を入れ、サービスの認知とサービス精度向上に努めたからに他なりません。

 この数字を思い出して、JDA社の英国のクリック&コレクトに関する調査結果とNEXTの実態が近いこと、

 そして、英NEXTのオンライン注文のクリック&コレクト比率が2010年に 日本の2016年と同じ水準であり(それぞれ13%と14%)、その5年後にNEXTではオンライン注文をする過半数(55%)の顧客が自宅外で受け取るようになったことからすると・・・

 日本でもひょっとすると、2021年ごろにはオンライン注文者の過半数がクリック&コレクトを利用するようになるのかも知れない?という仮説が描けるのではないかと思いました。

 もっとも、企業がそれに耐えうるフルフィルメントなどインフラ投資を着実に進め、店頭と一体となって、店頭でのトラブル比率を下げることがキモになることは言うまでもありません。

 JDA社の資料によれば、日本の小売企業はまだECのシステム周りに投資をしているのに対して、

 欧米ではその先を行って、フルフィルメントへの投資が旺盛とのことです。

 これから5年後、ファッション消費の未来はどうなっているでしょうね。そんなことを想像しながら・・・

 未来から逆算して、オムニチャネル時代にインフラ投資を進めながら、トップがリーダーシップをとって店頭を巻き込んで社内でお客様のメリットを周知徹底する、

 そんな取り組みをそろそろ進めなければ・・・業界で取り残されるというか、顧客から「遅れている店」というレッテルを貼られてしまいそうな局面に入って行きそうです。

 関連エントリー-ロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える


 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 オムニチャネル対応も顧客中心主義の信念の延長線上にある ユニクロ、ZARAのSPAビジネスモデルを比較しながらわかりやすく解説しました。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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August 14, 2017

ユニクロ中国大量出店の課題

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 8月13日の日経新聞の一面によれば、ユニクロが好調な中国市場で出店を加速し、

 現在 約540店舗、年100店舗のペースで出店しているところを、今後、1.5倍の年150店舗ペースとし、2020年には日本の約840店舗を上回る1000店舗体制にするとのことです。

 ユニクロ、中国店舗数が日本超す 20年にも1000店に 店長候補を短期育成

 2020年グループ年商3兆円達成に向けて(2017年8月期は1.85兆円の見通し)、

 国内ユニクロ事業が伸び悩む中、FR社の中で最も期待できる成長エンジンは海外ユニクロ事業、特に営業利益率を国内ユニクロ並みの二桁をたたき出せるようになった中国事業です。

 記事によれば、中国において

 1. 地方都市への出店加速と 
 2. 店長の高速育成 

 後者は具体的には 大卒採用者の条件を学生時代のユニクロでのアルバイト経験による入社前からの業務習得を必須にすることによって入社間もない社員をこれまでよりも速いペースで店長に抜擢することで、年100人以上の店長づくりができる制度をとし、今後の大量出店に臨むようです。

 拙著、「ユニクロ対ZARA」の後半部分でも指摘しましたが・・・

 ユニクロの海外、特に中国市場の深耕にあたっては2つの課題があると思っています。

 1つめは店舗網を都心部から地方へ広げるにあたっての課題です。

 日本国内では地方展開から都心部に攻め込む形で拡大・成功したユニクロは・・・

 地方出店時のローコストオペレーションが徹底する中で、都心に攻め込む過程で販売効率を高め、利益(額)を増やす形でご利益を得たと言ってもよいと思います。

 「しまむら」しかり、「ニトリ」しかり、地方出身のナショナルチェーンが地方でさほど売れなくてもしっかり利益を残せる体質をもってして、都心部で売れる立地に出店して成功する事例はいくつもありますね。

 ところが、ユニクロの海外の場合、中国もそうですが、都心部から地方に拡大するという、逆に販売効率が下がる方向での拡大を模索するという、日本国内での成功とは逆のパターンを行わなければならないという課題があります。 

 ローコストで始まり、その後、高い販売効率や利益額を得るときには「都心はこんなに売れるのか、儲かるのか」とうまみを享受できると思いますが・・・

 ハイコストで始まった企業体質を、拡大とともに、全体的に下がって行く販売効率にどうコストコントロールを行って対応するのか、損益構造見直し、ある意味、体質改善は結構チャレンジングなことだと思います。

 2つめは出店に店長の育成が追いつくかの課題です。

 出店ペースに店長育成が追い付かず、前者の要因と相まって崩壊したチェーンは数知れず・・・

 これに対して、これまでの国内ユニクロ事業が見事だったのは、

 店舗数を劇的に増やさず、1店舗あたりスクラップ&ビルドで大型化させ・・・売場面積は広げながらも、店長数を激増させずに・・・出店と店長育成のペースを合わせて成長の壁を上手に乗り越えて来た歴史があります。 

 中国では逆に相当のスピードで大量出店をしようとしているわけですよね。

 正直、過去のチェーンストアの失敗の法則から考えると危うさも感じますが・・・

 これまでも多くの常識を覆して成長を続けて来た同社が・・・

 これからの海外での成長局面をどう乗り越えて行くのか?引き続き注目をしていたいと思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 ユニクロは大国深掘り出店、ZARAはグローバル分散出店。同じSPAでも出店に限らず、真逆の戦略がいろいろあって面白い。両社を比べれば世界のファッション市場が見えてくる。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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August 07, 2017

ZOZOのスタートトゥデイが大幅増収増益で株式時価総額1兆円を突破 現状の課題と次の手は?

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 8月2日の日経新聞や繊研新聞にZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ社の2017年4-6月の今期第1四半期決算に関する記事が掲載されていました。

 同四半期は

 商品取扱高 595億円 40.9%増

 営業利益    79億円 59.3%増

 連結純利益  55億円 54.5%増

と絶好調の業績を受けて 8月1日付の同社株価時価総額が1兆円を突破したとのことです。

 日経の記事によれば、この時価総額は上場小売業ではセブン&アイ、ファストリ、楽天、ニトリ、イオンに次ぐ6位とのこと、

 同社の業績と勢いを株式市場が

 流通業界における時代のリーディングカンパニー

 と評価した結果であり、今後、流通の歴史に記されるであろうニュースになるでしょうね。

 好業績の要因は同社の発表にもありますが、

 - 低価格ブランドの導入とその伸び

 - クーポンによる販売促進

 - ツケ払い制度による低年齢層の会員獲得と買い上げ促進

 などがあるようです。

 あと、「買い替え割」という下取りも既存ユーザーの購買頻度を上げる上で、それなりに購入促進になっているのではないかとお察しします。

 最近のZOZOのサイトを見ると・・・

 ホントに楽天などで活躍して来た、販売管理費が比較的低く、
 
 単価1900円、2900円中心で単品大量販売をするような低価格ブランドが幅を利かせて来ましたよね。

 そして、クーポンの発行の頻度も ものすごい。

 業界では、かつてはルミネ10%オフキャンペーンが市場で最も爆発的な売上が上がる起爆剤でしたが、今ではそれも落ち着いて来て、

 それに代わって、消費者も業界関係者も、関心が「ZOZOのクーポン」に移っているようですね。 

 ブランドがクーポン対象になると、その期間中は売上が5倍以上に伸びると言いますから・・・

 同社の狙い通り

 低年齢層の客層増と
 クーポンによる単価の高い商品の買い上げアップの効果

 があったと思いますが・・・

 一方で、セレクト系など既存ブランドの伸びは落ちて・・・

 売上を伸ばすにはクーポンに依存する体質が生まれ、利益は薄くなる・・・

 モール内も低価格商品で荒れるなど、正直、売上起爆剤をだいぶやり尽くした感も否めません。

 お客様とZOZOにとってはよいかも知れませんが、出店ブランドとの3者のウィン・ウィン・ウィンが成立しているのか?どうか?

 ZOZO依存が進むとスポイルされるブランドも少なからず出てくるのではないか?とちょっと疑問や心配も感じ始めている次第です。


 話は変わりますが、今期中に立ち上げが予定されているZOZOの自社ブランドに業界が注目していますね。

 買収案件や募集人材から業界関係者がいろいろな憶測をしていますが・・・

 私は、前澤社長のことですから、もちろん革新的なものを狙うと思いますが、

 最新技術の話題先行で、すぐに儲かるかどうかわからない奇抜なものではなく、

 顧客ソリューションにつながり、ZOZO自身もすぐに売上利益につながる、

 斬新でも「遊びなし」のものが前提になると見ています。

 そういう意味では聞こえはベタかも知れませんが、

 低価格ベーシック商品をその最有力候補として挙げたいですね。

 簡単に言えば、ZOZOに出店していないユニクロの代替え商品

 同社が展開するファッションコーディネートアプリ「WEAR」を見ればわかるように、

 ユーザーが最もコーディネートに取り入れている=ZOZOで販売しているブランドと相性のよい商品群であり (そこを 指をくわえて見ている経営者はいないでしょう)

 まずブランド品1品を選んだユーザーが運賃無料にするのに手ごろな買い足し商品にもなる価格帯であり

 ベーシックであればまとめ買いも期待できますからね。

 それを物流の混乱が続いているユニクロよりも速く届ける。

 関連エントリー- ベーシック(定番)アイテムの役割

 以前、ファッションを強化するAmazonがアメアパを買収するなんで噂があった時に非常に納得したのを覚えていますが、ファッション最大モールとしてそんなソリューションはありかなと思います。

 もっとも、ユニクロと同じことをしても芸がないので・・・

 例えば、オンデマンドで、極力 製品在庫リスクなし、欠品なし、できるだけ機械化して国内生産で行う、また、アイテムによっては丈詰めなどでパーソナライズするなど

 これらはもちろん、全くの想像に過ぎませんが、そんな流通イノベーション、ソリューションであれば・・・

 これまでのZOZOの商品やサービスを補完できる、極めて合理的で王道のアプローチではないかと思います。

 また、イギリスでは地産地消をキーワードにしたこんな状況も起こっていますのでご参考まで。

 関連エントリー- 英国発 地産地消のウルトラ・ファストファッションの波は日本にもやって来るのか?

 いろいろ想像は尽きませんが、

 流通業界の革新児であるスタートトゥデイ社らしい商品が実際にリリースされるのを楽しみに待ちましょう。

 
 いずれにしても、同社の独走はしばらく続きそうで、目が離せませんね。

 一方で、出店している既存ブランドはZOZOと上手に付き合いながらも・・・

 ZOZO依存体質から抜け出し、自社ECでいかに実店舗との相乗効果を出すか?

 を本気で考えなければならない局面でもあるのではないでしょうか? 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 トレンドとベーシックの商品管理のそれぞれのお手本はZARAとユニクロ。両社の理念とビジネスモデルをわかりやすく解説しました。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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July 31, 2017

オリエンタルトラフィック 店頭起点の商品企画の強み

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 7月31日の繊研新聞一面に創業15年、2016年8月期に80店舗を超え、年商100億円を達成した婦人靴専門店「オリエンタルトラフィック」を展開するダブルエー社の記事が掲載されていました。

 私が生業にしている「ファッション専門店の在庫コントロール」支援の原点にあるのは・・・

 アパレルチェーン勤務時代の店頭でのジーンズや靴のようなサイズの多いアイテムの接客販売経験にあると思っていますので、

 日ごろから元気な靴専門店さんには注目しています。

 特に「オリエンタルトラフィック」は・・・婦人靴チェーンの中でも都心部の主要駅ビルで毎月好調店舗に名前が上がる常連ですからね。 駅ビルやSCでお店の前を通るとつい覗いてしまいます。 

 7年前に同社について書いたブログ記事には・・・今でも数多くのアクセスを頂いていますので

 「オリエンタルトラフィック」をご存じない方のために記事をご紹介をさせて頂きます。

 関連エントリー-絶好調、「オリエンタルトラフィック」の強み

 もうひとつ今年書いたオムニチャネル関連の記事でも同社の事例を取り上げているので併せてご紹介します。

 関連エントリー-ファッション専門店のオムニチャネルリテイリングの取り組み事例の記事を読んで~在庫運用編

 
 今回の繊研新聞の記事で感心したのは、

 同社では本部勤務のスタッフが週末のうち1日は店頭に立つのが日常業務で、

 企画スタッフも自らの店頭での接客の気づきに基づいて商品企画を行っているというところです。

 シーズンあたり80型と絞り込まれた品番数は

 「お客様の顔が見えると好きなものがわかる。どんな素材を使ったらいいか、店でどう販売したいか」(記事から引用)

 について、自身の店頭での接客体験をイメージしながら考え抜き、商品化すると言います。

 そんな地道で愚直な努力の積み重ねこそが・・・

 店頭を持った専門店やSPA型小売業の「強み」であることは間違いなく、当たり前の話だとは思うのですが・・・

 最近、残念ながら業界では商品企画や仕入れの担当者があまり売場に行かなくなったという話をよく耳にしますので、

 「元気のあるブランド」と「そうでないブランド」の境目は、まずは、そんな小売業としてのメリット、強みを活かしているかどうかの違いなのかなぁ、と感じてしまいます。


 ずいぶん前の話になりますが、私が講師をさせていただいた在庫コントロールをテーマにしたセミナーに同社の商品企画の女性の方に参加いただいたことがありました。

 私はいつもセミナーの始めに、参加者の方々とのブレストセッションとして

 「あなたにとって売れ筋商品と死に筋商品の違いは何ですか?」

 という質問を投げかけさせて頂き、何人かの方々からお答えを頂いた後に講演を始めることにしていたのですが・・・

 同社の女性の方からの答えが、これまでいろいろな方々から伺った答えの中で、最も印象的で素敵な答えだったと今でもよく思い出すことがあります。

 その答えとは・・・

 「売れ筋商品とは・・・お客様にとってのメリットが3つ以上ある商品、

 死に筋商品とは・・・お客様にとってのメリットが2つしかない商品」

 でした。

 販売計画に対しての消化率のような数値的な根拠を答えとして期待していた私は、その答えを聴いた時・・・

 とてもお客様目線で、純粋で、新鮮に感じ、目からウロコ、何か今まで長年探していたものに巡り合ったくらいの衝撃を受けたのを覚えています。
 

 お客様と日ごろから店頭で向かい合い、考え抜いているからこそ、つくり出せる価値。

 価格のわかりやすさだけでない・・・3つ以上の価値が商品に宿っているからこそ・・・

 同社の快進撃は続いているのでしょう。

 今、店頭を持っている専門店やSPA企業の方々は原点に立ち返って商品の価値を考え直すことが迫られているくらい厳しい局面と言えるでしょう。

 「わからなくなったら・・・迷ったら・・・現場に行って考える。そして、お客様の反応・行動を感じ、その声に耳を傾ける」

 私が小売チェーン勤務時代にもっとも大切にしていた行動指針のひとつです。

 小売業に奇策なし、売場で感じたリアルな気づきを業務のヒントとして活かしましょう。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【ウェブセミナー】

 8月2日(水)20:00~21:30
 ファッション専門店向けの無料ウェブセミナー開催します!先着50名様限定

 タイトル 「ファッション専門店の在庫コントロールの実践」
 (講師:齊藤孝浩/ファッション流通ブログde業界関心事執筆者)

 【このセミナーは終了いたしました】

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 【おススメ本】

 勝ち組は店頭を起点に考える。顧客購買心理と在庫コントロールの大切さをわかりやすく解説したビジネス読本です。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   

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