October 23, 2017

カリスマ経営者の後継者選び

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 10月21日の日経新聞にファーストリテイリング柳井会長の後継者に関するインタビュー記事が掲載されていました。

 記事によれば同氏は70歳になる2年後に後継者に社長を譲り、会長職に専念するとのこと。後継者は外部からではなく、現在、内部に40人強いる執行役員の中から選出されるとのことです。

 柳井氏は「創業者に引退はない」とし、社長を譲った後は「会長職で今の仕事は将来こういうふうにした方がよい」とアドバイスする立場を想定されているようです。

 経営のスピード判断のために、体力があり、ITの知見を持つ方が有力候補とのことですが・・・

 誰がなったとしても、すべてをご自身で考え、アグレッシブに決断して来られたオールマイティのオーナーの後継者のプレッシャーは並大抵のものではないことは想像に難くありません。

 経営スタイルの形に「正解」はひとつではないと思いますが、業界を見渡すと・・・

 創業家によるワンマン経営もありますし、

 得意なことをそれぞれが役割分担して創業者とNo2が二人三脚で成長するスタイルもあるようです。
 
 「ユニクロ対ZARA」の執筆を通じて、ファストリの柳井会長は前者、同社がその背中を追っているZARA(インディテックス社)のアマンシオ・オルテガ氏は後者と理解をしました。

 ZARAの創業者であるオルテガ氏は商品やものづくりが好きな現場主義の方で、現場の人の話に耳を傾けながら、自分でフットワークよく動く職人肌。 

 1975年のZARA創業後、1980年代に事業拡大にあたり、ITに興味があったものの、自分には手におえないと判断したため、コンピューターに詳しい大学教授であったホセ・マリア・カステリャーノ氏をスカウトして、後に副社長(COO)に抜擢します。

 その後、オルテガ氏はものづくりに専念、インフラ周りをカステリャ―ノ氏が分担し、オルテガ氏が国内で実現していた人海戦術的なSPA(製造小売業)オペレーションをより効率よく、さらにグローバル展開する上で、インフラ整備含めてIT化し・・・

 更にそれを加速するための調達資金のために株式公開に踏み切ったのがカステリャーノ氏です。

 2005年に退職されますが、1984年の入社から約20年間のカステリャーノ氏の功績が今のZARAのサプライチェーンやインフラの基盤づくりと急成長に大きな貢献をもたらしたことは間違いありません。

 カステリャーノ氏の後任として、2005年以降、NO2のCEOとして経営を主導するのは弁護士出身のパブロ・イスラ氏です。 

 同氏は急成長(年率20%成長)の後の持続可能な成長(同10%成長)の担い手です。

 イスラ氏はサステイナブル経営に注力し、

 経営やサプライチェーンの環境を法務に明るい立場から整え、世界の株式市場から資金を調達し、既存のインフラに更に磨きをかけるべく投資をして今日に至ります。

 この オルテガ x イスラ体制は10年が経過しましたが・・・

 2030年のゴールから逆算した経営を行っているので、もう10年くらいは続きそうな感じですね。

 関連エントリー-ZARAのインディテックスグループ、サステイナブル経営からインフラ投資への好循環

 ZARA(インディテックス社)の2人のNO2との2つの時代を通じて共通しているのは

 オルテガ氏は全く表に出ずに、常に商品開発現場にいて、表の顔はNO2に任せて来たところでしょうか。

 表の顔としても印象の強い、強烈なカリスマを持った経営者の後任はやはり比較をされることも多いので、そういう意味でのやりづらさもあるでしょうね。

 果たして、ファストリではどんな方が柳井氏の後継者として選ばれるのか?

 業界の関心は尽きませんね。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 事業を経営する創業者の理念や時代とともにそれを支えて来た体制を理解するのも面白い。
 ユニクロとZARAはそういった観点からも真逆のアプローチと言えます。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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October 09, 2017

実店舗とオンライン、5年後のファッション消費の未来から考えよう

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 10月5日の繊研新聞にJDAソフトウエアがプレスリリースしたインターネットショッピングに関する消費者意識調査に関する記事が掲載されていました。

 同調査資料のオリジナルをご覧になりたい方はこちらから
 
 2017年インターネットショッピングに関する消費者意識調査


 この調査は

 18歳以上の男女を対象にしたインターネット調査ですが(有効回答数2093人)

 私が注目したのは2点

 今後ファッション消費において、

 1.どれくらいの割合がオンライン経由でなされ、

 そのうち

 2.どれくらいがクリック&コレクト(オンライン注文の自宅以外受け取り)を利用するのか?

 に関する数値です。

 まず前者については

 インターネットでも実店舗でも、どちらでも購入できる商品の場合、インターネットと実店舗のどちらで購入することが多いですか?という質問に対して、

 小売全体では約70%が実店舗で購入するに対し、洋服/靴/ファッションは75.5%が実店舗で購入するとのこと。

 この結果は、昨今、業界識者の方々が語り始めている「ファッション専門店のEC売上比率の限界点は30%にあり?」という議論に近いものがあるかも知れません。

 また、

 過去1年間にクリック&コレクト(オンライン注文商品の店舗など自宅外受け取り)を利用しましたか?という質問に対しては

 今回(2017)は18%が利用経験ありと答え、前年(2016)の14%に比べて増えています。

 ちなみに同社は同じ調査を英国でも行ったため、比較数値が出て来ますが、

 英国ではクリック&コレクト利用経験者比率は54%と過半数です。

 日本の場合、なぜクリック&コレクトを利用するか?という理由としては

 配送手数料がかからない    44%
 自宅より確実に受け取れる   42%
 自宅への配送より便利      34%

 一方、クリック&コレクトにおいてのトラブル体験は

 日本では74%の利用者が持っており、これは英国の54%よりも高い数値となっていますが、日本の上位の理由は・・・

 店員が商品をなかなか見つけられない、時間がかかった 39%
 受け取りの専用スペースがない  29%
 対応する店員がおらず待たされた 18%

 とのことです。 
 
 ストレス軽減のためには、同サービスが社内でしっかり通達され、

 アルバイトさん含めて店舗スタッフもそういったお客様が来店された時の対応が周知徹底されているかどうかにかかっていそうです。

 これまで、日本のクリック&コレクトがどれくらい進んでいるかを数字で掴めませんでしたが、今回、初めて数字に触れて、日本でもまだ低い数値ながら、徐々に増えていることがわかりました。

 また、クリック&コレクトが普及しているイギリス(体験者比率54%)との比較を見て・・・以前、私がイギリスの老舗SPAであるNEXTのアニュアルレポートを読んだ時にこんな数字が出ていたのを思い出しました。

 これは2016年1月期のものですが、

 オンライン注文を店舗で受け取る比率が過去5年間に急増

 2010年     2015年
  13%  ⇒   55%

 これは同社が2010年からオンラインビジネスに力を入れ、サービスの認知とサービス精度向上に努めたからに他なりません。

 この数字を思い出して、JDA社の英国のクリック&コレクトに関する調査結果とNEXTの実態が近いこと、

 そして、英NEXTのオンライン注文のクリック&コレクト比率が2010年に 日本の2016年と同じ水準であり(それぞれ13%と14%)、その5年後にNEXTではオンライン注文をする過半数(55%)の顧客が自宅外で受け取るようになったことからすると・・・

 日本でもひょっとすると、2021年ごろにはオンライン注文者の過半数がクリック&コレクトを利用するようになるのかも知れない?という仮説が描けるのではないかと思いました。

 もっとも、企業がそれに耐えうるフルフィルメントなどインフラ投資を着実に進め、店頭と一体となって、店頭でのトラブル比率を下げることがキモになることは言うまでもありません。

 JDA社の資料によれば、日本の小売企業はまだECのシステム周りに投資をしているのに対して、

 欧米ではその先を行って、フルフィルメントへの投資が旺盛とのことです。

 これから5年後、ファッション消費の未来はどうなっているでしょうね。そんなことを想像しながら・・・

 未来から逆算して、オムニチャネル時代にインフラ投資を進めながら、トップがリーダーシップをとって店頭を巻き込んで社内でお客様のメリットを周知徹底する、

 そんな取り組みをそろそろ進めなければ・・・業界で取り残されるというか、顧客から「遅れている店」というレッテルを貼られてしまいそうな局面に入って行きそうです。

 関連エントリー-ロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える


 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 オムニチャネル対応も顧客中心主義の信念の延長線上にある ユニクロ、ZARAのSPAビジネスモデルを比較しながらわかりやすく解説しました。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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August 14, 2017

ユニクロ中国大量出店の課題

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 8月13日の日経新聞の一面によれば、ユニクロが好調な中国市場で出店を加速し、

 現在 約540店舗、年100店舗のペースで出店しているところを、今後、1.5倍の年150店舗ペースとし、2020年には日本の約840店舗を上回る1000店舗体制にするとのことです。

 ユニクロ、中国店舗数が日本超す 20年にも1000店に 店長候補を短期育成

 2020年グループ年商3兆円達成に向けて(2017年8月期は1.85兆円の見通し)、

 国内ユニクロ事業が伸び悩む中、FR社の中で最も期待できる成長エンジンは海外ユニクロ事業、特に営業利益率を国内ユニクロ並みの二桁をたたき出せるようになった中国事業です。

 記事によれば、中国において

 1. 地方都市への出店加速と 
 2. 店長の高速育成 

 後者は具体的には 大卒採用者の条件を学生時代のユニクロでのアルバイト経験による入社前からの業務習得を必須にすることによって入社間もない社員をこれまでよりも速いペースで店長に抜擢することで、年100人以上の店長づくりができる制度をとし、今後の大量出店に臨むようです。

 拙著、「ユニクロ対ZARA」の後半部分でも指摘しましたが・・・

 ユニクロの海外、特に中国市場の深耕にあたっては2つの課題があると思っています。

 1つめは店舗網を都心部から地方へ広げるにあたっての課題です。

 日本国内では地方展開から都心部に攻め込む形で拡大・成功したユニクロは・・・

 地方出店時のローコストオペレーションが徹底する中で、都心に攻め込む過程で販売効率を高め、利益(額)を増やす形でご利益を得たと言ってもよいと思います。

 「しまむら」しかり、「ニトリ」しかり、地方出身のナショナルチェーンが地方でさほど売れなくてもしっかり利益を残せる体質をもってして、都心部で売れる立地に出店して成功する事例はいくつもありますね。

 ところが、ユニクロの海外の場合、中国もそうですが、都心部から地方に拡大するという、逆に販売効率が下がる方向での拡大を模索するという、日本国内での成功とは逆のパターンを行わなければならないという課題があります。 

 ローコストで始まり、その後、高い販売効率や利益額を得るときには「都心はこんなに売れるのか、儲かるのか」とうまみを享受できると思いますが・・・

 ハイコストで始まった企業体質を、拡大とともに、全体的に下がって行く販売効率にどうコストコントロールを行って対応するのか、損益構造見直し、ある意味、体質改善は結構チャレンジングなことだと思います。

 2つめは出店に店長の育成が追いつくかの課題です。

 出店ペースに店長育成が追い付かず、前者の要因と相まって崩壊したチェーンは数知れず・・・

 これに対して、これまでの国内ユニクロ事業が見事だったのは、

 店舗数を劇的に増やさず、1店舗あたりスクラップ&ビルドで大型化させ・・・売場面積は広げながらも、店長数を激増させずに・・・出店と店長育成のペースを合わせて成長の壁を上手に乗り越えて来た歴史があります。 

 中国では逆に相当のスピードで大量出店をしようとしているわけですよね。

 正直、過去のチェーンストアの失敗の法則から考えると危うさも感じますが・・・

 これまでも多くの常識を覆して成長を続けて来た同社が・・・

 これからの海外での成長局面をどう乗り越えて行くのか?引き続き注目をしていたいと思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 ユニクロは大国深掘り出店、ZARAはグローバル分散出店。同じSPAでも出店に限らず、真逆の戦略がいろいろあって面白い。両社を比べれば世界のファッション市場が見えてくる。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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August 07, 2017

ZOZOのスタートトゥデイが大幅増収増益で株式時価総額1兆円を突破 現状の課題と次の手は?

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 8月2日の日経新聞や繊研新聞にZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ社の2017年4-6月の今期第1四半期決算に関する記事が掲載されていました。

 同四半期は

 商品取扱高 595億円 40.9%増

 営業利益    79億円 59.3%増

 連結純利益  55億円 54.5%増

と絶好調の業績を受けて 8月1日付の同社株価時価総額が1兆円を突破したとのことです。

 日経の記事によれば、この時価総額は上場小売業ではセブン&アイ、ファストリ、楽天、ニトリ、イオンに次ぐ6位とのこと、

 同社の業績と勢いを株式市場が

 流通業界における時代のリーディングカンパニー

 と評価した結果であり、今後、流通の歴史に記されるであろうニュースになるでしょうね。

 好業績の要因は同社の発表にもありますが、

 - 低価格ブランドの導入とその伸び

 - クーポンによる販売促進

 - ツケ払い制度による低年齢層の会員獲得と買い上げ促進

 などがあるようです。

 あと、「買い替え割」という下取りも既存ユーザーの購買頻度を上げる上で、それなりに購入促進になっているのではないかとお察しします。

 最近のZOZOのサイトを見ると・・・

 ホントに楽天などで活躍して来た、販売管理費が比較的低く、
 
 単価1900円、2900円中心で単品大量販売をするような低価格ブランドが幅を利かせて来ましたよね。

 そして、クーポンの発行の頻度も ものすごい。

 業界では、かつてはルミネ10%オフキャンペーンが市場で最も爆発的な売上が上がる起爆剤でしたが、今ではそれも落ち着いて来て、

 それに代わって、消費者も業界関係者も、関心が「ZOZOのクーポン」に移っているようですね。 

 ブランドがクーポン対象になると、その期間中は売上が5倍以上に伸びると言いますから・・・

 同社の狙い通り

 低年齢層の客層増と
 クーポンによる単価の高い商品の買い上げアップの効果

 があったと思いますが・・・

 一方で、セレクト系など既存ブランドの伸びは落ちて・・・

 売上を伸ばすにはクーポンに依存する体質が生まれ、利益は薄くなる・・・

 モール内も低価格商品で荒れるなど、正直、売上起爆剤をだいぶやり尽くした感も否めません。

 お客様とZOZOにとってはよいかも知れませんが、出店ブランドとの3者のウィン・ウィン・ウィンが成立しているのか?どうか?

 ZOZO依存が進むとスポイルされるブランドも少なからず出てくるのではないか?とちょっと疑問や心配も感じ始めている次第です。


 話は変わりますが、今期中に立ち上げが予定されているZOZOの自社ブランドに業界が注目していますね。

 買収案件や募集人材から業界関係者がいろいろな憶測をしていますが・・・

 私は、前澤社長のことですから、もちろん革新的なものを狙うと思いますが、

 最新技術の話題先行で、すぐに儲かるかどうかわからない奇抜なものではなく、

 顧客ソリューションにつながり、ZOZO自身もすぐに売上利益につながる、

 斬新でも「遊びなし」のものが前提になると見ています。

 そういう意味では聞こえはベタかも知れませんが、

 低価格ベーシック商品をその最有力候補として挙げたいですね。

 簡単に言えば、ZOZOに出店していないユニクロの代替え商品

 同社が展開するファッションコーディネートアプリ「WEAR」を見ればわかるように、

 ユーザーが最もコーディネートに取り入れている=ZOZOで販売しているブランドと相性のよい商品群であり (そこを 指をくわえて見ている経営者はいないでしょう)

 まずブランド品1品を選んだユーザーが運賃無料にするのに手ごろな買い足し商品にもなる価格帯であり

 ベーシックであればまとめ買いも期待できますからね。

 それを物流の混乱が続いているユニクロよりも速く届ける。

 関連エントリー- ベーシック(定番)アイテムの役割

 以前、ファッションを強化するAmazonがアメアパを買収するなんで噂があった時に非常に納得したのを覚えていますが、ファッション最大モールとしてそんなソリューションはありかなと思います。

 もっとも、ユニクロと同じことをしても芸がないので・・・

 例えば、オンデマンドで、極力 製品在庫リスクなし、欠品なし、できるだけ機械化して国内生産で行う、また、アイテムによっては丈詰めなどでパーソナライズするなど

 これらはもちろん、全くの想像に過ぎませんが、そんな流通イノベーション、ソリューションであれば・・・

 これまでのZOZOの商品やサービスを補完できる、極めて合理的で王道のアプローチではないかと思います。

 また、イギリスでは地産地消をキーワードにしたこんな状況も起こっていますのでご参考まで。

 関連エントリー- 英国発 地産地消のウルトラ・ファストファッションの波は日本にもやって来るのか?

 いろいろ想像は尽きませんが、

 流通業界の革新児であるスタートトゥデイ社らしい商品が実際にリリースされるのを楽しみに待ちましょう。

 
 いずれにしても、同社の独走はしばらく続きそうで、目が離せませんね。

 一方で、出店している既存ブランドはZOZOと上手に付き合いながらも・・・

 ZOZO依存体質から抜け出し、自社ECでいかに実店舗との相乗効果を出すか?

 を本気で考えなければならない局面でもあるのではないでしょうか? 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 トレンドとベーシックの商品管理のそれぞれのお手本はZARAとユニクロ。両社の理念とビジネスモデルをわかりやすく解説しました。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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July 31, 2017

オリエンタルトラフィック 店頭起点の商品企画の強み

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 7月31日の繊研新聞一面に創業15年、2016年8月期に80店舗を超え、年商100億円を達成した婦人靴専門店「オリエンタルトラフィック」を展開するダブルエー社の記事が掲載されていました。

 私が生業にしている「ファッション専門店の在庫コントロール」支援の原点にあるのは・・・

 アパレルチェーン勤務時代の店頭でのジーンズや靴のようなサイズの多いアイテムの接客販売経験にあると思っていますので、

 日ごろから元気な靴専門店さんには注目しています。

 特に「オリエンタルトラフィック」は・・・婦人靴チェーンの中でも都心部の主要駅ビルで毎月好調店舗に名前が上がる常連ですからね。 駅ビルやSCでお店の前を通るとつい覗いてしまいます。 

 7年前に同社について書いたブログ記事には・・・今でも数多くのアクセスを頂いていますので

 「オリエンタルトラフィック」をご存じない方のために記事をご紹介をさせて頂きます。

 関連エントリー-絶好調、「オリエンタルトラフィック」の強み

 もうひとつ今年書いたオムニチャネル関連の記事でも同社の事例を取り上げているので併せてご紹介します。

 関連エントリー-ファッション専門店のオムニチャネルリテイリングの取り組み事例の記事を読んで~在庫運用編

 
 今回の繊研新聞の記事で感心したのは、

 同社では本部勤務のスタッフが週末のうち1日は店頭に立つのが日常業務で、

 企画スタッフも自らの店頭での接客の気づきに基づいて商品企画を行っているというところです。

 シーズンあたり80型と絞り込まれた品番数は

 「お客様の顔が見えると好きなものがわかる。どんな素材を使ったらいいか、店でどう販売したいか」(記事から引用)

 について、自身の店頭での接客体験をイメージしながら考え抜き、商品化すると言います。

 そんな地道で愚直な努力の積み重ねこそが・・・

 店頭を持った専門店やSPA型小売業の「強み」であることは間違いなく、当たり前の話だとは思うのですが・・・

 最近、残念ながら業界では商品企画や仕入れの担当者があまり売場に行かなくなったという話をよく耳にしますので、

 「元気のあるブランド」と「そうでないブランド」の境目は、まずは、そんな小売業としてのメリット、強みを活かしているかどうかの違いなのかなぁ、と感じてしまいます。


 ずいぶん前の話になりますが、私が講師をさせていただいた在庫コントロールをテーマにしたセミナーに同社の商品企画の女性の方に参加いただいたことがありました。

 私はいつもセミナーの始めに、参加者の方々とのブレストセッションとして

 「あなたにとって売れ筋商品と死に筋商品の違いは何ですか?」

 という質問を投げかけさせて頂き、何人かの方々からお答えを頂いた後に講演を始めることにしていたのですが・・・

 同社の女性の方からの答えが、これまでいろいろな方々から伺った答えの中で、最も印象的で素敵な答えだったと今でもよく思い出すことがあります。

 その答えとは・・・

 「売れ筋商品とは・・・お客様にとってのメリットが3つ以上ある商品、

 死に筋商品とは・・・お客様にとってのメリットが2つしかない商品」

 でした。

 販売計画に対しての消化率のような数値的な根拠を答えとして期待していた私は、その答えを聴いた時・・・

 とてもお客様目線で、純粋で、新鮮に感じ、目からウロコ、何か今まで長年探していたものに巡り合ったくらいの衝撃を受けたのを覚えています。
 

 お客様と日ごろから店頭で向かい合い、考え抜いているからこそ、つくり出せる価値。

 価格のわかりやすさだけでない・・・3つ以上の価値が商品に宿っているからこそ・・・

 同社の快進撃は続いているのでしょう。

 今、店頭を持っている専門店やSPA企業の方々は原点に立ち返って商品の価値を考え直すことが迫られているくらい厳しい局面と言えるでしょう。

 「わからなくなったら・・・迷ったら・・・現場に行って考える。そして、お客様の反応・行動を感じ、その声に耳を傾ける」

 私が小売チェーン勤務時代にもっとも大切にしていた行動指針のひとつです。

 小売業に奇策なし、売場で感じたリアルな気づきを業務のヒントとして活かしましょう。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【ウェブセミナー】

 8月2日(水)20:00~21:30
 ファッション専門店向けの無料ウェブセミナー開催します!先着50名様限定

 タイトル 「ファッション専門店の在庫コントロールの実践」
 (講師:齊藤孝浩/ファッション流通ブログde業界関心事執筆者)

 【このセミナーは終了いたしました】

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 セミナー詳細、参加申込URLは
 こちら 
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 【おススメ本】

 勝ち組は店頭を起点に考える。顧客購買心理と在庫コントロールの大切さをわかりやすく解説したビジネス読本です。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   

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July 27, 2017

【お知らせ】8月2日(水)開催 ウェブセミナー「ファッションストアの在庫コントロールの実践」参加お申込み開始します。


【このセミナーは終了しました。たくさんの参加ありがとうございました。】

8月2日(水) にファッション専門店様向け無料ウェブセミナー

「ファッションストアの在庫コントロール実践」を開催します。

 このセミナーは次のようなファッション専門店チェーン様に最適のセミナーです

- 店舗数が20店舗前後のファッション専門店様

- 店舗販売格差の顕在化によって在庫運用に課題を感じ始めた専門店様

- 店舗数が20以上ありながら人海戦術から抜けきれない専門店様

 上記のような専門店様にとって日々のお困りごとの解消につながる、店頭在庫最適化のヒントになる実践的なお話をさせて頂きます。

 【開催日時】 2017年8月2日(水)20:00~21:30(日本時間)ライブ

 【場所】 インターネットに接続されているパソコンであれば世界のどこにいらっしゃってもライブ視聴可能です。(注:参加には、PCもしくはMacにインストールされたGoogle chromeが必要です) 
 
 【タイトル】 「ファッションストアの在庫コントロールの実践」

 【講師】 齊藤孝浩(タカ サイトウ) ファッション専門店の在庫最適化コンサルタント
      (ディマンドワークス代表 ファッション流通ブログde業界関心事 執筆者)

 【内容】  シーズンごとにバイヤー、ディストリビューター、エリアマネジャー、店長が会社ぐるみでいかにピーク週に売上を高めるか、いかにシーズン末までに在庫を売り切るかを考える上での基本的な考え方から実践例までをご紹介します。
 
 〇店頭在庫最適化とは

 〇在庫コントロールを行うときの基本

 〇会社ぐるみの在庫コントロールのシーズン業務・週間業務

 〇在庫を持ちこさないための原則

 〇オムニチャネル時代の在庫コントロール  など  

 【視聴】  無料

 【定員】  先着50名様 事前登録制 (定員になり次第締め切りとさせていただきます)

 【このセミナーは終了しました。たくさんの参加ありがとうございました。】

 ウェビナー 「ファッションストアの在庫コントロールの実践」お申込み画面

 メルアドとお名前を登録するだけの簡単な登録です。 

 ※ 当セミナーはコクリポ社のウェビナーシステムを利用したライブ(生中継)セミナーです。
 
 ウェビナー(Webinar)とは、「Web上で開催されるセミナー」をもとにした造語です。
 事前登録された方だけが視聴できるインタラクティブなライブのウェブセミナーになります。 

 コクリポ ウェビナーとは
 
 このセミナーは、かつて富士通さん、東芝テックさん、NECさんなどのセミナーで何度か講演を行った人気コンテンツの要約&アップデイト版になります。

 以前 聴いていただいた方々もあらためてお聴きいただければ今だからこそ感じられる新しい気づきがあると思います。
 
 【ファッションビジネスを考えるおススメ本】

 お馴染みのファッション専門店の事例を用いて、顧客購買心理と在庫コントロールの大切さをわかりやすく解説したビジネス読本です。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   

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July 21, 2017

【お知らせ】 夏休みスペシャル~ウェブセミナー「ファッションストアの在庫コントロールの実践」開催します。

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 来たる8月2日(水) ファッション専門店向け無料ウェブセミナーを開催します。

 タイトルは「ファッションストアの在庫コントロール実践」です。

 このセミナーは次のようなファッション専門店チェーン様に最適のセミナーです

- 店舗数が20店舗前後のファッション専門店様

- 店舗販売格差の顕在化によって在庫運用に課題を感じ始めた専門店様

- 店舗数が20以上ありながら人海戦術から抜けきれない専門店様

 上記のような専門店様にとって日々の店頭在庫最適化に向けたヒントにつながる実践的なお話をさせて頂きます。


 【開催日時】 2017年8月2日(水)20:00~21:30 ライブ

 【場所】 インターネットに接続されているパソコンであれば世界のどこにいらっしゃってもライブ視聴可能です。(注:参加には、PCもしくはMacにインストールされたGoogle chromeが必要です) 
 
 【タイトル】 「ファッションストアの在庫コントロールの実践」

 【内容】  シーズンごとにバイヤー、ディストリビューター、エリアマネジャー、店長が会社ぐるみでいかにピーク週に売上を高めるか、いかにシーズン末までに在庫を売り切るかを考える上での基本的な考え方から実践例までをご紹介します。

 〇店頭在庫最適化とは

 〇在庫コントロールを行うときの基本

 〇会社ぐるみの在庫コントロールのシーズン業務・週間業務

 〇在庫を持ちこさないための原則

 〇オムニチャネル時代の在庫コントロール  など  

 【視聴】  無料

 【定員】  先着50名様 事前登録制  

 7月27日(木)に当ブログ、ディマンドワークスホームページ上で事前登録を開始します。メルアドとお名前を登録するだけの簡単な登録です。 

 登録受付開始 視聴ご希望の方は7月27日(木)午前9:00以降に当ブログにアクセス下さい。 

 登録用URLをご案内いたします。

 ※ 当セミナーはコクリポ社のウェビナーシステムを利用したライブ(生中継)セミナーです。
 
 ウェビナー(Webinar)とは、「Web上で開催されるセミナー」をもとにした造語です。
 事前登録された方だけが視聴できるインタラクティブなライブのウェブセミナーになります。 

 コクリポ ウェビナーとは
 

 尚、このセミナーは、かつて富士通さん、東芝テックさん、NECさんなどのセミナーで何度か講演を行った人気コンテンツの要約版になります。

 以前 聴いていただいた方々もあらためてお聴きいただければ今だからこそ感じられる新しい気づきがあると思います。

 【ファッションビジネスを考えるおススメ本】

 有名ファッション専門店の事例を用いて、顧客心理と在庫コントロールの大切さをわかりやすく解説したビジネス読本です。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   

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June 17, 2017

アパレル企業の商業施設向け共同配送

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 6月17日の日経新聞に百貨店アパレルメーカーを中心に構成する日本アパレルファッション産業協会(アパ産協)が推進する、同一商業施設に対して他社との相乗り便で商品を届ける共同配送に関する記事が掲載されていました。

 百貨店アパレルメーカーは以前から百貨店向けには共同配送を行っていましたが、駅ビルやショッピングモール向けは各自に運送業者に依頼しておりました。

 これをアパレル各社が駅ビル、SC向けの商品を一旦運送会社の物流センターに商品を納品し、そこから運送会社が商業施設ごとに複数社分の荷物を同じトラックに混載して届けようというものです。

 記事によれば、導入した店舗向けに年間物流コストが3割削減したケースもあり、

 また同じアパ産協が進めているダンボ―ルサイズの規格統一(8サイズに集約)によって、共同購入されたダンボールのコストが2割削減された

 という話も紹介されています。

 昨今の物流問題はコストアップの話だけでなく、人手不足も深刻で、更にトラックを頻繁に走らせれば環境問題(CO2排出)も引き起こすことになります。

 コンビニや食品業界など、異業種では既に進んでいるこの共同配送の取り組み

 ファッション業界の商業施設向けでもどんどん進めてもらいたいところですね。

 関連して、日ごろから店舗周りの物流問題で是非改善したい、して欲しいと思っていることがあります。

 人手不足は店舗側でも深刻で、その対策として各社で生産性向上(人時生産性や人時売上高)が関心事となり、真剣に取り組むところが増えて来ました。

 その一環で、私も店舗作業軽減プロジェクトに取り組んでいると・・・

 一番ネックになることのひとつに、各店の商品入荷時間のバラつきが挙がります(昔からの課題ですが)。

 これまではしょうがないで済ませていた問題もこれからは待ったなし。

 大手チェーンでは独自の物流網を敷いて朝イチ着荷に取り組んでいますが、

 中堅以下では独自で行うのはなかなか難しく、個別に運送便会社にお願いせざるを得ませんが・・・

 個々の交渉ではなかなか着荷時間をコントロールすることができません。

 このあたりは是非、各商業施設さん側に音頭を取っていただき、

 商業施設の早朝入荷の受け入れと同時に
 
 各店の開店前に商品を店頭まで届けてもらえるサービス

 が実現するとどれだけ有り難いことか・・・

 記事にある

〇 商業施設までの共同配送

と併せて

〇 商業施設内の各店舗への朝イチ配送

 この両方が進むことによって、物流コスト問題と共に生産性が改善し・・・

 店頭スタッフが気持ちよく仕事をし、笑顔でお客様に接する時間が増えることを願っております。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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June 05, 2017

ZARA(ザラ)のデマンド型ファッションバリューチェーン

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 5月中旬から月末にかけて日経新聞、日経MJ、繊研新聞、WWDジャパン各紙に

 先ごろスペインのZARA(インディテックス)本社および物流施設で開催された日本の記者向けメディアツアーのレポートが掲載されていました。

 私が2014年に「ユニクロ対ZARA」(日本経済新聞出版社)の執筆の際に同社を現地取材させて頂いた3年前からどんなことが変わったのか?に関心をもって各紙の記事を大変興味深く読ませて頂きました。

 記事の内容の中で当時(3年前)と変わったこと、そして、私にとって琴線に触れた部分をまとめてご紹介したいと思います。

 一番大きな変化は

 全世界のZARAの店舗にRFID(ICタグ)の導入が完了し、物流の精度が上がり、店舗の作業軽減が図られたことでしょう。

 同社では3年前(2014年)の取材時もRFIDの導入を着々と進めておりました。

 RFIDと言えば、世界の多くの小売チェーンが値札にチップを埋め込み、使い捨てで運用しているのに対し、

 同社は導入当初から「コスト」と「サステイナブル」の両方の観点から、回収再利用ができるように、値札ではなく、セキュリティタグ(防犯管理タグ)の中にチップを埋め込んで運用している説明を受けて、大変感心したものでしたが・・・

 今回の報道では、彼らが使っているRFIDタグは100回再利用(書き換え)が可能なものであり、その後もタグそのものがリサイクルできるという話(WWD)に驚かされました。

 RFIDの導入により、店舗では

 -毎月2日間かけて行っていた棚卸が1時間で終わる、

 -売れた商品をすぐに店頭に補充できる、

 -その際、在庫のロケーションを確認するのに短時間で済む

 などの作業軽減が図られたようです。

 作業の効率アップとタイムリー性によって、売り逃しを削減できたことにより、

 同社2016年度決算での既存店売上高10%増収にも寄与したことでしょう。

 2つめは 

 同社ではトレンド商品の的中率を上げ、在庫リスク軽減を図るために全生産の6割を近隣国(PROXIMITY)で行っていますが、その近隣国の4カ国目にトルコが加わったことです。

 3年前はスペイン、ポルトガル、モロッコの3か国を近隣国として挙げていましたが、

 私が「今後、グローバル展開を進めた時にスペイン、ポルトガル、モロッコの3つの近隣国の生産キャパシティで対応しきれるのか?」と質問したのに対し

 ヘスス・エチェバリア広報本部長は「その時はトルコを『近隣国』に入れることを想定している」とおっしゃっていましたのでそれが現実のものになったようです。

 実際、トルコは既存の近隣国と比べてスペインからだいぶ離れています(ZARAの物流拠点のあるスペインガリシア州からトルコまでは4000km強)。 

 しかし、トルコのイスタンブールは、同社が毎週2回世界の店舗に商品を空輸する際のルート便の定期ルート上にあるため、多少距離はあっても同社にとって近隣国と変わらないとの返事でした。

 スペイン-トルコと言えば、東京-ベトナムと同じくらいの距離でしょうか。

 そんな距離も空輸でつないで近隣国として手の内に入れてしまうのも真のグローバル企業ならではです。

 そして、3つめは

 シーズン前に素材展で買い付けた素材の「6割を備蓄する」という話(繊研新聞)。

 同社が素材(生地)を早めに手当てして、いつでもすぐに商品生産にかかれるように準備しておくことは周知のことでしたし、3年前にも本社併設の素材備蓄倉庫を拝見したものでしたが・・・

 買い付けた素材の6割もの量を自社で備蓄しているとは驚きでした。

 ここに、ZARAがシーズン中に店頭で顧客の声に真剣に耳を傾ける理由のひとつがあります。

 つまり、買い付けた素材はシーズントレンドから予測して決めたもの、そして、それらの素材を使ってどんな商品をつくるかの構想はもともとあったはずです。

 しかし、それが製品になった時、予想通りの量が売れるとは限らない、

 ここが多くの企業が頭を痛めるファッションビジネスの難しいところです。

 そのため、同社では、シーズンの始めに、まずは店頭に商品を並べる分だけ製品化しても(約3週分)・・・

 残りの素材をどんなデザイン、サイズバランスの製品にして店頭に送り込むかは決めていない、

 むしろ、シーズン中にどんなデザインが欲しいかは顧客に聴け、と考えているわけです。

 ファッションビジネスにおいては・・・

 デザイン、色、サイズ別の製品になったとたんに在庫リスクが発生します。

 一方、素材の状態であれば、他のデザイン、サイズへ転用ができますし・・・

 染色前の生地であれば色ごとの売れ行きに合わせて染める色の構成を考え直せばいい話です。

 そして汎用性のある素材なら翌年でも使えます。(実際ZARAには毎年コートに使っているウール生地があります)
 
 同社では、結構リスクを取って買い付けた素材を、

 売れるかどうかわからない商品にしてしまうではなく、

 できるだけ売れ筋商品になるように活かすために、

 毎週 仮説としての店頭商品に対する顧客の反応をヒントとして世界の店舗から本部へフィードバックして、

 改良版としてつくり足し続ける訳なんですね。

 そういう意味ではZARAが毎シーズン行っている行為は・・・

 シーズン中の「マス・テーラーメイド」なのかも知れません。

 日頃から交流もあるWWDジャパンの記者である松下さんはZARAのオペレーションを

 「顧客のニーズや店頭情報を基点としたデマンドチェーン」

 と表現されました。

 まさしくこのフレーズが日経MJの記事に取り上げられた私のコメントにある

 「マーケットイン」の意味するところです。

 マーケットインとはすでに店頭にある自社や他社の売れ筋を後追いすることではありません。

 顧客の反応をヒントに未来の需要を予測して手を打つことです。

 プロダクトアウト型のサプライチェーンからマーケットイン型のデマンドチェーンへ

 グローバル競合の勝ち残りのために企業の発想の転換が迫られています。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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May 15, 2017

ZARAのインディテックスグループのサステイナビリティ経営

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 前回のブログ記事 

  世界アパレル専門店売上ランキング2016

 のデータ整理にあたり、各社の年次報告やファイナンシャルレポートに目を通していて、

 最も感心したことのひとつが

 世界ランク1位のインディテックスグループの現会長兼CEOパブロ・イスラ氏が決算発表時にまとめられた同社の2016年度のトピックのハイライトのところでした。

 企業の社会的責任(CSR)が問われる昨今、世界のいろいろな企業がその社会貢献度合いをアピールしているわけですが、

 インディテックスグループも弁護士出身のパブロ・イスラ氏が2005年に創業者であるアマンシオ・オルテガ氏や彼を長年支えたホセ・マリア・カスティリャ―ノ(当時副社長)氏にかわって経営トップになって以来掲げているのが

 サステイナブルな(持続可能な成長のための)経営です。

 「ユニクロ対ZARA」の執筆にあたり、1990年代後半からの直近までの同社の年次報告書に目を通しましたが・・・

 2005年に同氏が就任して以来、それまで業績や財務状況中心だった約200ページ程度の年次報告書(アニュアルレポート)が

 400ページを超えるサステイナビリティレポートに変わり、(半分の200ページがCSR=企業の社会的責任に関するページ)

 グローバルな年率20%の急成長から10%程度の持続可能な成長に舵を切り始めたことに気づいたものでした。

 2005年と早くからサステイナビリティに取り組み始めたのは、グローバルに展開するファッション流通企業の中では、かなりの先駆けであり、

 そんなところにも同社の時代の先を行く経営ポリシーが感じられたものでした。

 今回の決算ハイライトの中では、特にアピールされたのが、母国であるスペイン国内経済に対する貢献です。

 気になったトピックをいくつかご紹介すると・・・

-1年間にスペイン国内で2480人の新たな雇用を創出したこと(これは毎年発表していること)

-この1年に7500社に上るスペイン国内企業がインディテックス社に請求書を発行したこと。 

 その総額は人件費フルタイムベースで50,000人の雇用に相当する
 (つまり、同社の社員以外にスペイン国内だけで50,000人の雇用を支えている。)

-スペイン政府が年間に徴収する法人税の2%をインディテックスグループが支払ったこと

 全体の約6割の商品をスペインおよび近隣国で生産して、世界93カ国に販売する
 
 地元から世界へ展開するグローバル企業の同社が、

 自社の繁栄、売上利益だけでなく、

 国内産業も潤し、雇用面でも、税収面でも母国にも貢献しているというアピールです。

 また、環境に配慮したグローバルなサステイナビリティへの取り組みに関しては

-電子レシートによるペーパレス化への取り組み

 顧客が自社開発したスマホアプリinWalletをインストールして、クレジットカードを登録しておくと、

 レジでの決済が短時間で済み、更にアプリ内に電子レシートの記録が残るので、
 紙のレシートを発行する必要がない=ペーパレスの促進です。

- ダンボールの再利用と再生 
 
 倉庫から店舗へ商品を送る際に使う段ボール箱を5回リユースする。
 その後は通販用のパッキンに再生加工して利用する。

- 不要な服の回収、リサイクル 

 着なくなった服の店頭回収はもちろん家庭回収にも取り組む (団体と組んでスペインからスタート)

 などなど

 同社の取り組みを聞いていると・・・多くの専門店やチェーン店がいかに周回遅れなのかを感じざるを得ません。

 ビジネスモデルや収益性だけでなく、地元に貢献しながらグローバルな環境にも配慮する同社の姿勢や取り組みからもいろいろ学ぶところはありそうです。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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 ZARAとユニクロのこれまでの歩みを整理しながら・・・未来も考えてみました。
 
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