October 05, 2017

ZARAのインディテックスグループ、サステイナブル経営からインフラ投資への好循環

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 先週、東京ビッグサイトで開催されたIFF MAGIC (インターナショナルファッションフェア)2017秋展において 2009年以降 世界のアパレル専門店の中で売上、利益とも世界一をキープし続けているZARA(ザラ)を展開するインディテックスグループの直近の取り組みについて講演をさせていただきました。

 拙著「ユニクロ対ZARA」(2014年11月日本経済新聞出版社) 出版直後の IFF 2015春展でも講演をさせていただきましたが、

 その時の講演の様子は YOUTUBEでご覧になれます。 

 あれから2年半が経ち、ZARAがその強さを確固とするために取り組んで来た

 サプライチェーンマネジメント、オムニチャネルリテイリング、サステイナブル経営の3つのキーワードについてお話しさせていただいたものです。 

 ひとつ目のサプライチェーンマネジメントに関しては、

 品揃えの65%にあたるトレンド商品はスペイン近隣国で生産し、残りの35%のベーシックをアジアにアウトソーシングする「ハイブリッド型生産ポートフォリオ」の強みについて。 

 そして、前者の近隣国で実践している「スケーラビリティ」が追求できるサプライチェーン工程の内製化と設備投資についてのお話しをしました。

 アパレルの原料・素材が製品となって店頭で販売されるまでのサプライチェーンの工程のうち、多くの競合他社がその多くをアウトソーシングしているのに対し・・・

 ZARAでは多くの工程を内製化し、自らコントロールしていることで知られています。

 しかし、何でもかんでも内製化しているのではなく、確固としたポリシーがあり・・・

・どこでもつくることができるベーシック商品や

・トレンド商品に関しても縫製(アッセンブル)工程
 
 はアウトソーシング(外注)しながら・・・ 

 その一方で、「スケーラビリティ」が追求できる、すなわち、機械化、自動化、IT化によって効率化が図れる工程やインフラ設備については積極的に投資を行い、自前で抱え、磨きをかけて来たのです。

 「スケーラビリティ」とは規模を拡大するほど単位あたりのコストが安くなることを意味します。

 ZARAは目先のコスト削減を問題にするのではなく・・・

 その出自である製造業的発想を持ち、むしろ自前で抱えた方がメリットがあると判断したものは、投資をすることによって、中長期的に生産性を上げて行く、単位あたりのコストを下げて行くことを重視する企業であることに・・・

 今回の講演資料をまとめていて、あらためて気づき、感心したものでした。

 関連エントリー- ユニクロが挑むハイブリッド型マーチャンダイジング


 ふたつ目は、ZARAが2年前から経営方針として取り組む いわゆるオムニチャネルリテイリング、

 Seamlessly integrated online-offline store model   実現に向けてのお話です。

 日本ではEC強化が叫ばれることはあっても、ほとんどの企業が、まだまだオムニチャネル化どころか、マルチチャネルつまり、同じ商品を売っていても、直営店とECが関連性の薄い別々の販路である状態から抜け出せていないのが現実です。

 一方、ZARAが提唱する このSeamlessly integrated online-offline store model というフレーズは 

 「オムニチャネル」という言葉より・・・ オンラインを活用して、どういうお店を目指しているのかがわかりやすくていいですよね、

 そしてそのポリシーの下、同社は着実にその方向に向かっているのがわかります。

 ZARAはこの経営方針に近づくため、

 ・クリック&コレクト(オンライン注文商品の店舗での受け取り)を推奨し、
 (オンライン商品の店舗受け取り比率66%)

 ・顧客の利便性を追求したオムニチャネル対応スマホアプリ”InWallet”を自社開発して普及を始め、

 これらの取り組みを促進するために

 ・RFIDの世界のZARA全店舗への導入を完了し、店舗作業を軽減させながら、在庫データの精度を高めています。

 関連エントリー- ZARA(ザラ)のテクノロジー活用はあくまでも店舗への集客第一・店舗作業軽減が目的


 そして、最後にサステイナブル経営です。

 同社は持続可能な成長を行うために、グローバル企業の中でもいち早く、2002年からサステイナビリティレポートを発行しています(アニュアルレポートに組み込んで本格的に取り組んだのは2005年度から)。

 そして、2015年からは 国連加盟国が2030年までに理想の世界をつくるために合意した、国家や企業が目指すべき17の開発目標=サステイナブル・ディベロップメント・ゴール(SGD’s)に沿って自社の経営の優先事項を決め、その進捗状況を毎年アニュアルレポート(年次報告書)で発表し始めました。

 サステイナブル・ディベロップメント・ゴール(SGD’s)とは


 このSDG’sとは旧来型のコーポレートガバナンスやCSR(企業の社会的責任)への取り組みをより進化させて・・・多くのグローバル企業が取り組み始めたサステイナビリティ経営のガイドラインのようなもので、

 ユニクロのファーストリテイリングも2016年から4つの目標に取り組み始めましたが、ZARAのインディテックス社では17の目標すべてを自身の企業活動に関連づけてレポートしています。

 特に、同社の取り組みがわかりやすいなと思ったのは・・・

 多くの企業が従来のCSRの延長で行っている・・・店頭から遠く離れたところで行われているような・・・環境保護や取引先の人権・労働環境監視や慈善活動などに取り組むだけでなく、

 店頭からお客さまにも見える、事業そのものと結びつけて、とてもわかりやすい取り組みでSDG’sの目標に向かっていることです。

 例えば、 

 ・ RFIDやアプリなどのIT投資をしていることも、お客様と持続可能な、長いお付き合いをするために、お客様のお買い物環境をより便利に快適にするための投資であるという説明であったり、 

・ 環境にできるだけインパクトを与えない素材を使った商品開発=ZARA JOIN LIFE コレクションに力を入れていることだったり (現在 全売上の5%に相当するまでになったそうです)

・ 商品の配送販売に使用される資材(ダンボール、ハンガー、セキュリティタグなど)のリサイクル・再利用を徹底することであったり

 店舗や商品やお客様の買い物環境の改善も2030年までに実現すべき理想的な状態に組み入れて、取り組んでいます。

 目先の業績だけに追われるのではなく、10年以上も先である2030年の理想の姿から逆算して今やるべきことを考えるなんて・・・さすが、トップを走る企業の余裕ですよね。

 そして、ZARAはその安定的な成長率や高い利益率だけではなく・・・

 長年、サステイナブル経営に取り組んでいる、その企業姿勢が世界の機関投資家から大いに評価され、サステイナブル経営を行う企業に積極的に投資するというコンセプトの世界のESG投資からたくさんの資金を集めています。
 
 その資金が、同社の株式時価総額を12兆円超にまで押上げることにつながり・・・
 
 時価総額3兆円台のH&Mやファーストリテイリングとは4倍もの差をつける結果となっています。

 これらの株主から集めた資金は当然、ZARA始めインディテックス社のブランドのサプライチェーン、物流、IT強化のための更なる投資の原資となり・・・

 ますます競合他社を引き離す収益性を生み出すための強いインフラ基盤が着々と整って行くという話につながります。

 この サステイナブル経営⇒ 株式時価総額アップ ⇒ インフラ投資 ⇒ 収益性の向上 

 の循環を作り上げた同社の経営スタイルは しばらくは敵なしというところではないでしょうかね。

 関連エントリー ZARAインディテックスグループのサステイナビリティ経営

 関連エントリー-ZARA(ザラ)のデマンド型ファッションバリューチェーン


 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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May 15, 2017

ZARAのインディテックスグループのサステイナビリティ経営

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 前回のブログ記事 

  世界アパレル専門店売上ランキング2016

 のデータ整理にあたり、各社の年次報告やファイナンシャルレポートに目を通していて、

 最も感心したことのひとつが

 世界ランク1位のインディテックスグループの現会長兼CEOパブロ・イスラ氏が決算発表時にまとめられた同社の2016年度のトピックのハイライトのところでした。

 企業の社会的責任(CSR)が問われる昨今、世界のいろいろな企業がその社会貢献度合いをアピールしているわけですが、

 インディテックスグループも弁護士出身のパブロ・イスラ氏が2005年に創業者であるアマンシオ・オルテガ氏や彼を長年支えたホセ・マリア・カスティリャ―ノ(当時副社長)氏にかわって経営トップになって以来掲げているのが

 サステイナブルな(持続可能な成長のための)経営です。

 「ユニクロ対ZARA」の執筆にあたり、1990年代後半からの直近までの同社の年次報告書に目を通しましたが・・・

 2005年に同氏が就任して以来、それまで業績や財務状況中心だった約200ページ程度の年次報告書(アニュアルレポート)が

 400ページを超えるサステイナビリティレポートに変わり、(半分の200ページがCSR=企業の社会的責任に関するページ)

 グローバルな年率20%の急成長から10%程度の持続可能な成長に舵を切り始めたことに気づいたものでした。

 2005年と早くからサステイナビリティに取り組み始めたのは、グローバルに展開するファッション流通企業の中では、かなりの先駆けであり、

 そんなところにも同社の時代の先を行く経営ポリシーが感じられたものでした。

 今回の決算ハイライトの中では、特にアピールされたのが、母国であるスペイン国内経済に対する貢献です。

 気になったトピックをいくつかご紹介すると・・・

-1年間にスペイン国内で2480人の新たな雇用を創出したこと(これは毎年発表していること)

-この1年に7500社に上るスペイン国内企業がインディテックス社に請求書を発行したこと。 

 その総額は人件費フルタイムベースで50,000人の雇用に相当する
 (つまり、同社の社員以外にスペイン国内だけで50,000人の雇用を支えている。)

-スペイン政府が年間に徴収する法人税の2%をインディテックスグループが支払ったこと

 全体の約6割の商品をスペインおよび近隣国で生産して、世界93カ国に販売する
 
 地元から世界へ展開するグローバル企業の同社が、

 自社の繁栄、売上利益だけでなく、

 国内産業も潤し、雇用面でも、税収面でも母国にも貢献しているというアピールです。

 また、環境に配慮したグローバルなサステイナビリティへの取り組みに関しては

-電子レシートによるペーパレス化への取り組み

 顧客が自社開発したスマホアプリinWalletをインストールして、クレジットカードを登録しておくと、

 レジでの決済が短時間で済み、更にアプリ内に電子レシートの記録が残るので、
 紙のレシートを発行する必要がない=ペーパレスの促進です。

- ダンボールの再利用と再生 
 
 倉庫から店舗へ商品を送る際に使う段ボール箱を5回リユースする。
 その後は通販用のパッキンに再生加工して利用する。

- 不要な服の回収、リサイクル 

 着なくなった服の店頭回収はもちろん家庭回収にも取り組む (団体と組んでスペインからスタート)

 などなど

 同社の取り組みを聞いていると・・・多くの専門店やチェーン店がいかに周回遅れなのかを感じざるを得ません。

 ビジネスモデルや収益性だけでなく、地元に貢献しながらグローバルな環境にも配慮する同社の姿勢や取り組みからもいろいろ学ぶところはありそうです。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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 ZARAとユニクロのこれまでの歩みを整理しながら・・・未来も考えてみました。
 
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May 08, 2017

世界アパレル専門店売上ランキング2016 トップ10

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 世界の大手アパレル専門店各社の2016年の売上高や利益などをまとめる機会ができましたので、毎年恒例になりました売上高のランキングTOP10を共有させていただきます。

 円建て比較にあたり、為替レートは2017年1月末の €=121.7円、スウェーデンクローナ=12.9円、US$=113.8円、英国£=142.4円で換算しています。
 
 尚、6位のC&Aのみ2016年決算が入手できませんでしたので Deloitte Global Powers of Retailing2017と2016を参考にした2015年度の売上高を表示しています。


ランキング          売上高   前年比  営業  期末  基幹業態
                              利益率 店舗数  
1位-Inditex        2兆8,368億円 +12%  17.2% 7,292  ZARA
 (西インディテックス;17.01期)                          

2位-H&M         2兆4,802億円 + 6%  12.4% 4,351  H&M
 (瑞エッチアンドエム;16.11期)                         
  
3位-Fast Retailing    1兆7,864億円 + 6%  7.1%  3,160  Uniqlo  
 (日ファーストリテイリング;16.08期)                            

4位-Gap          1兆7,657億円  -2%  7.7%  3,659  Old Navy 
 (米ギャップ;17.01期)                              
                                           Gap 
                                              
5位- L Brands      1兆4,309億円  +3%  15.9%   3,074  Victoria's 
 (米エルブランズ=リミテッド;17.01期)                      Secret
                                             
6位-C&A Europe     1兆0,446億円  -0.2%   n/a   1,577  C&A
 (独シーアンドエー;15年度)                            
         
7位-Primark         8,471億円   +11% 11.6%   315  Primark
 (愛プライマーク;16.09期)                            

8位-Ascena retail      7,960億円   +46%  1.3%  4,906  Ann taylor
 (米アセナ;16.7期)                                Justice
                                           LaneBryant   
                                                   

9位-Next           5,834億円   -2%  20.2%   538  NEXT 
 (英ネクスト;17.01期)                               


10位-Shimamura       5,654億円   +4%   8.6%  2,066  しまむら
 (日しまむら;17.2期)                               
                                                                     

備考-米TJMaxx、Ross のオフプライスストア2社は売上規模はトップ10に入る規模ですが、メーカーや専門店が放出した過剰在庫を販売する二次流通マーケットのため除外しました。また、中国で拡大を続け、売上規模では9位あたりに位置すると目されるE.LandWorld(韓国)は売上規模以外の実態が掴めないため除外しました。

以下 解説です。

 1位のインディテックスグループは12%増収、9%営業増益と着実な増収増益(以下利益は営業利益を指します)。

 進出国を5か国増やし93か国とし、グローバル展開を続けながら、この1年は特にロシア、中国、メキシコ、イタリアに数多く出店したようです。

 ブランド別ではZARAが絶好調、ZARA HOMEが好調。

 一方で、主要各国でオンラインビジネス(EC)を強化し実店舗とECを合わせた既存店売上の伸びは・・・なんと10%増でした。 

 2位のH&Mは6%の増収も12%の減益に終わりました。

 同期も中国、アメリカへの集中出店をしましたが、店舗数を増やしたほど売上は伸びず、またドル建てで行っている商品調達コストの増加、世界的な温暖な気温にともなう値下げ増による粗利率の低下が痛手でした。

 同社は今後、ただ店舗数を増やすことによる売上拡大を見直し、既存店とEC強化による売上拡大に成長目標を切り替えるとしています。

 3位はファーストリテイリング。いよいよGAPを抜いて世界3位に浮上しましたが・・・6%増収も23%減益、そして営業利益率(7.1%)の落ち込みが気になります。

 国内ユニクロ事業、海外ユニクロ事業の中の中国事業、グローバルブランド事業の中のジーユーが同社の売上と利益の3本柱。

 グローバルブランドとしては欧米への展開も必要かも知れませんが・・・

 主力事業3本柱が稼ぐ利益を喰わないように、ほどほどにすることが利益率回復のカギになるでしょうね。

 また、国内ユニクロ事業が価格政策を見直したことによって、ユニクロとジーユーのカニバリが始まっている気がします。

 今後はファストリさんも、投資家さんも日本国内事業に関してはユニクロ単体ではなく、ユニクロ+ジーユーで評価する必要があるのではないでしょうか。

 4位のGAPは米国内の不採算店舗の大量整理が続き2%減収22%減益と減収大幅減益。

 比較的堅調なのは米国OLD NAVYのみ。当期のGAPの米国内リストラやOLD NAVY日本撤退で止血は完了したのでしょうか?
 
 5位のLブランズは3%増収も9%減益と久々の減益となりました。

 ビューティ部門=バス&ボディワークスは引き続き好調だったようですが、基幹ブランド ヴィクトリアシークレットの既存店売上が前年割れして不振に終わったのが要因です。

 アメリカで常勝を続けて来たLブランズの陰りは一時的なものなのか?今期の動向に注目です。
 
 6位以下に関しては・・・

 8位に浮上した米アセナリテールはアンテイラーの買収によって売上規模を拡大し、黒字化を果したもの。

 9位のネクストは既存店のスクラップ&ビルトと高いEC売上比率(42%)で20%の高営業利益率を保っていますが・・・

 イギリスのEU離脱宣言など社会情勢不安による既存店の減収およびECの減速が減収減益(2%減収3%減益)の要因のようです。

 同社は情勢を厳しく受け止めているようで、今期の予測も楽観できないものとしています。

 同社の店舗のスクラップ&ビルトとEC強化による収益性の維持は成熟市場における勝ち残りモデルのひとつ。日本企業も注目に値します。

 さて、

 今回のTOP10を見渡すと増収増益は インディテックス、プライマーク、しまむらの3社のみ

 営業利益率が15%を超える高収益企業は ネクスト、インディテックス、Lブランズの3社 

 明らかにインディテックスグループのひとり勝ちの様相です。 

 1年前のランキングでも指摘しましたが、

 ファッションビジネスにおいては・・・

 長いリードタイムをかけて低賃金の国においてローコストでつくり、

 つくったものを売り切るビジネスモデルはリスクが大きく(売上は上がるが利益をコントロールしづらい)、

 そういったグローバル資本主義的なビジネスモデルに陰りというか「限界」が見え始めたように思います。

 マーケットの変化にあわせて顧客が欲しいものを、コストは多少高くても目が行き届く近隣国において小ロット短サイクルでつくり足し、

 値下げと期末在庫を抑えることでしっかり利益を残すインディテックスグループのビジネスモデルにあらためて軍配が上がったと言えます。

 インディテックスグループはその一方で、ECビジネスを売上を補完する新たな販路としてではなく・・・

 お客様に店舗に足を運んでいただくためのマーケティングツールとしてフル活用して成果をあげています。

 今回のTOP10企業を始め(H&M、ファストリ、Lブランズ、プライマーク、ネクスト・・・)多くのグローバル企業が、これまでの手法を反省し、インディテックスグループのオペレーションを見習い

 短納期生産と中長期生産の折衷=ハイブリッド生産に取り組み

 ECを強化しながら既存店への来店頻度を高めるオムニチャネル・リテイリングに力を入れている

 のが昨今のグローバルトレンドです。

 これらを規模の違いと考えるのか?日本は海外と違うと切り捨てるのか?

 私はこれらの課題はどんな企業にも突きつけられている・・・将来 勝ち残るための問題提起だと思っています。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 
 【おススメ本】

 アパレルビジネスの特性も、世界のファッション流通マーケットも・・・ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAを比較すれば よりわかりやすくなる!
 
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March 13, 2017

社会インフラとなった通販と宅配便を取り巻くラストワンマイル問題~ファッション流通企業にできること

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 日経新聞の紙上では、この2週間一日も欠かさず、ECの拡大と宅配便 最大手ヤマト運輸を中心とした宅配便を取り巻く厳しい状況に関する記事が掲載されていましたね。

 インターネット通販(EC)の急激な拡大、宅配業界の長時間労働、慢性的なドライバーおよび配達スタッフ不足、宅配便と受取人のすれ違い、通販の運賃をめぐる問題・・・日経新聞では「宅配クライシス」との見出しをつけています。

 ECと宅配便の問題は、流通業界に従事していれば、ビジネス上も、もちろん個人的にも他人事ではない話なので、関連記事には毎日、目を通しています。

 特に、

 配達時の不在率2割による再配達のコストとムダと、
 Amazonなど大手ECモールの安価な配送料金体系

 を中心に 毎日 同じような内容を違う切り口で記事にしている感も否めませんが、

 われわれの社会インフラ同然となった宅配便がパンク寸前であり、

 現状のままではサステナブル(持続可能な成長)な状況ではないこと

 を世間一般に伝えるには、これくらい繰り返し記事にする必要もあったのかも知れません。

 報道のおかげで誰もが、うすうす感じていたことを見直すきっかけになったのではないでしょうか?

 昨夜も 朝刊の広告を見て朝Amazonで注文したあるビジネス誌を帰宅時に届けてもらったことにあらためて驚き、忙しいのにいつも気持ちのよい挨拶と笑顔で届けてくれるドライバーの方々にはいつも頭が下がる思いです。

 そんな、「サービスが先、利益は後」 のヤマト運輸の精神で築き上げられた物流のジャパンクオリティをリスペクトしながら・・・

 短期的な総量規制の議論ではなく、これからも間違いなく増え続けるEC活用を、

 利用者側も含め、社会全体でサステナブル(持続可能な成長)になるように共存して行きたいところです。

 報道は特に、

 ECモールとそれを宅配業者から受け取る消費者に焦点があてられていますが・・・

 すぐに要らないものは 当日受け取れるかどうかわからないのに無理に当日配送にしないとか

 本当に急いでいる人だけがそのサービスを享受して追加料金を払うとか

 「えっ、もう届いたの?」というサプライズなスピードも ちょっと「過剰サービス」とも言えるものは料金の見直しも必要でしょうし、

 街に宅配ボックスを増やしたりすることも必要かも知れませんが、同時に受け取り側の放置に関するモラルも問われるでしょう。

 また、コンビニや郵便局や宅配便の配送所などでの受け取りだけでなく、

 日本よりもECの購買行動が進んでいる中国では一般的だという、職場受け取り、なんていうのも検討してもよいかも知れません。

 (商業ビルでは「物流部」とやらが受け取って預かっているらしい)

 そして、報道では、ECモールと消費者側の議論ばかりですが、

 直営店をもつチェーン店のEC注文商品の場合は、
 
 既存の物流ルート(倉庫→店舗)に乗せて店舗で受け取って頂く「クリックアンドコレクト」の推進にも取り組みたいところです。

 宅配便のサービスのスピードやクオリティが日本ほど充実していないヨーロッパや車社会のアメリカでは、ECサイトで注文したものを自ら店舗にピックアップしに行く 

 店舗受け取り=クリックアンドコレクト が かなり普及しています。

 例えば、イギリスのアパレルチェーンNEXTではEC注文商品のうち店舗で受け取られるクリックアンドコレクト比率が55%、欧州のZARAでは66%と広報されています。 

 つまり、過半数の注文者が自分のペースで、店舗で受け取っている現実があります。

 お忙しいお客様の情報収集や品定めはEC(WEB)で、

 商品確認と受け取りは店舗でして頂く

 そんな機能分担の推進こそが・・・

 これからファッション流通業界ができる 「宅配クライシス」を回避しながら、サステナブル(持続可能な成長)を実現する取り組みのひとつだと信じています。

 現状は、

 ブランド社内の直営店とEC事業の壁があったり、商業施設でも、家賃が売上歩合になっていることから、

 いろいろなしがらみがあってEC注文商品の店舗受け取りの実現のハードルがあるようですが・・・

 忙しくて、ECで注文する機会が多くなり、店舗に足を運ばなくなったお客様に・・・

 あらためて、ご来店の機会をつくり、お客様のペースで商品を受け取っていただく。 

 そして、場合によってはついで買いのショッピングも楽しんでいただける

 WIN WIN 関係の取り組みになるはずです。
 
 「サービスが先、利益は後」 

 ジャパンクオリティの宅配物流網を築き上げたヤマト運輸の企業精神に学んで

 需要の先読みをしてサービスに力を入れ、修正をしながら磨きをかける企業さんこそが・・・すでに始まったオムニチャネル時代のリーダーになるはずです。

 関連エントリー
 15年度のファッション商品のEC売上比率は7.8%に。10%目前に次なる課題は?
 成熟市場イギリスで高収益を上げるNEXT(ネクスト)のオムニチャネルリテイリング戦略

 【おススメ本】

 ファッション専門店の事例を用いて、顧客心理と在庫コントロールの大切さをわかりやすく解説したビジネス読本です。 オムニチャネル時代になっても、ファッションビジネスのキモは在庫コントロールにあることは変わりありません。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   
 
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October 15, 2015

ファーストリテイリング(ユニクロ)の決算サマリーを読んで感じた今後の課題

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 10月8日のファーストリテイリングの2015年8月期の決算発表を受けて、翌日以降の日経新聞、日経MJ、繊研新聞などでは

 増収増益の文字や

 インターネット売上高比率を30%以上にする壮大な計画の見出し ・・・

 10月12日の日経MJ は各種課題に触れていましたが、

 他紙は全般的には 前向きな論調を全面に押し出す記事でしたね。  

 一方、発表の翌日以降 それとは裏腹に同社の株価は大きく値下がりしました。

 遅ればせながら、同社決算サマリーに目を通したところ、

 売上高は当初計画をクリアしたものの、

 期初 2014年8月期決算発表時       売上高計画 1兆6000億円 

 前期 2015年8月期第3四半期決算発表時    同   1兆6500億円

 2015年8月期 通期実績            売上高実績 1兆6817億円(21.6%増)


 営業利益以下 利益の部分が、期待外れとなり、投資家の期待を裏切った形です。

 期初 2014年8月期決算発表時       営業利益計画 2000億円 

 前期 2015年8月期第3四半期決算発表時    同     1800億円

 2015年8月期 通期実績            営業利益実績 1644億円(26.1%増)

 (  )内は 前年実績対比

 今期の実績だけを見れば

 21%の増収 26%の営業増益

 営業利益率9.8% で

 日本のアパレル業界の中では間違いなくトップクラス

 また、柳井会長が掲げる2020年グループ年商5兆円の目標に対しても、

 拙著「ユニクロ対ZARA」の中でシュミレーションした同社の年次売上と2年連続でほぼ同じ推移を続けています。

 このペースで行けば2016年8月期はいよいよ米GAPの売上高に並ぶかそれを抜いて・・・

 世界売上ランク3位に浮上する可能性も大ですね。

 しかし、3か月前(第3四半期)まで期待を持たせていた利益予測がこの3ヵ月間で伸び切らないどころか逆にへこんだのが今期以降に不安を残した格好になってしまったのでしょう。

 さらにセグメントごとに見てみると

 国内ユニクロ事業は

 店舗数を減らしながらも売場面積を維持し

 (ユニクロ成長エンジンの十八番である増床移転のスクラップアンドビルト)

 約10%の増収 約10%の営業増益 

 15%の営業利益率(前年比横ばい) 

 単体で見れば申し分のない業績と思いますが・・・

 グループ売上構成比は46%に下がったものの

 営業利益構成比の71%を占め・・・

 他事業の低収益率を支えてあげなければならない状況は変わっていません。

 海外ユニクロ事業は

 45%の増収、31%の営業増益と絶好調ですが、

 営業利益率は 8% → 7.2% に低下

 グレーターチャイナ(中国香港台湾)が46%増収、55%営業増益 

 営業利益率も 11.9% → 12.7%に 改善

 一方、事業計から差し引きすると

 それ以外の地域は増収も  営業減益
 
 おそらく韓国(1000億円超)を差し引いてしまうと・・・米国を中心に大赤字になるので韓国の業績をはっきり開示しないのでしょうね。

 また、 グローバルブランド事業は

 17%の増収と 営業黒字化 

 これは 年商1415億円となったジーユーが

 営業利益率 6.3% → 11.6% に改善 これはご立派

 逆にその他の事業合計は赤字です。

 このように 

○ 国内ユニクロ事業

○ 海外ユニクロ事業のグレーターチャイナ事業

○ ジーユー事業

がグローバルレベルの業績水準であって

その他の事業は足を引っ張っているのが現実というわけです。

 それにしても

 ジーユーの1415億円 営業利益率 11.6%にはびっくりしました。

 2006年立ち上げ以来10年足らず、

 単独ブランドで日本のアパレル専門店売上ランキングトップ10にランクインする

 ユナイテッドアローズ2015年3月期1310億円 
 
 西松屋         2015年2月期1285億円

 あたりを抜き去ったのですから びっくりです。

 決算サマリーに目を通して・・・

 やはりグローバルレベルでは売上は伸ばせていくらGAPに追いついたとしても

 営業利益率10%未満は 
               直近決算営業利益率
 1位 インディテックス  18%
 2位 H&M        17%
 3位 GAP         13%
 5位 Lブランズ      18%
 7位 プライマーク    13%
 8位 NEXT        20%

 らのグローバルSPAと比べると見劣りしますね。

 関連エントリー- 世界アパレル専門店売上ランキング2014 トップ10

 ファーストリテイリング=柳井さんは 「フォーカス」の得意な企業(方)なので

 正論を言えば、上記の3事業に徹底に戦力と投資を集中すべきなんでしょうね。 

 ただし、今期以降も

 国内ユニクロの値上げ後の客離れ?と価格調整力を持って日本のシェア拡大を目論むグローバルSPA(H&M、ZARA、OLD NAVYなど)との更なる競合

 中国の店舗開発の強力パートナーである万達グループの不動産開発熱のクールダウン

 ジーユーの低価格を脅かす 輸入原価の高騰 やCSR問題 などなど

 課題も山積みです。

 これに対して、現在5%程度のネット売上構成比を将来的に30%以上にするというちょっと無茶なハードルのようにも聞こえる計画ですが・・・

 実は 世界売上ランク8位の英NEXT社の基幹ブランドである“NEXT”の

 Directory(カタログ&インターネット)売上構成比が40%、

 営業利益に至っては50%を稼ぎ出していることを考えると・・・

  (NEXT社 アニュアルレポート参照)

 ファーストリテイリングのインターネット売上高比率30~50%も あながち無茶な目標ではありませんし、

 英国という成熟マーケットで成熟期に入ったローカルチェーンが

 グローバルSPAとの真正面からの対決を回避して利益率を高めている良き先輩の背中を参考にするのも 

 むしろ得策なのかも知れません。

 いずれにせよ また新しいステージに入ったファーストリテイリング、ユニクロに注目しましょう。

 【おススメ本】

 ユニクロは果たして世界一になれるのか?
 世界のファッション流通マーケットもこの2ブランドを比較すれば よりわかりやすくなる!

 いよいよ台湾で中国語翻訳版も発売されました。 今後 韓国、中国本土と続きます。
 
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June 11, 2015

超グローバル企業 H&Mの本当の強さ

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 6月8日に発売された週刊ダイヤモンドの特集2は 「H&M 脱ファストファッションの野望」

 10ページに及ぶ特集企画にあたり、H&Mのビジネスモデルの整理や同社を取り巻く市場環境に関して記者の方に助言をさせていただきました。

 本特集記事は 拙著「ユニクロ対ZARA」(日本経済新聞出版社)なども参考にしていただきながら、最新データとCEOおよび幹部インタビューを取り混ぜ、「ZARA 対 H&M 対 ユニクロ」的にまとまっており、

 世界最大のファッションストア業態であるH&Mの現在と未来を考える上で示唆に富む内容も多く、とても読み応えのある内容に仕上がっていました。

 各国マーケットのファッションチェーンにとって、ユニクロやZARAに関しては、ある程度棲み分けできる相手かも知れませんが、

 H&Mに関しては、トレンドにしてもベーシックにしても・・・

 ファッション流通ビジネスで考えられるマーケティングの手だてを尽くし、

 世界統一かつ、各国の市場最低価格で提供するわけですから・・・

 ローカルファッションチェーンにとってこれほど脅威な存在はないでしょう。

 しかし、記事にもあるように ディスカウンターモデルと推測されるプライマーク(アイルランド 年商4757億円)がH&Mの価格の下をくぐり、英国市場を中心に年率20%超で急成長、今年はアメリカに進出します。

 一方、ASOS(エイソス;英 年商1855億円)や ZALAND(ザランド;独 年商3059億円)はEC(ネット通販)というローコストビジネスモデルで、H&Mと競合するオリジナルの低価格ファストファッションも提供し、H&Mを猛追している昨今、

 ファッション流通における最強ビジネスモデルのひとつと言えども、決して予断を許せない状況です。


 今回の記事の中で 特に気になったH&M社の現在そして将来に向けての強さを表す2つのコメントがありましたので、ご紹介させて頂きたいと思います。

 ひとつめは

 世界58か国約3600店舗に対して、全世界共通の商品を一切 ローカライズせずに各国で販売するH&Mのデザイン部門前責任者のアンソフィー・ヨハンソン氏のコメント

 「インターネットを通じてグローバル化した世界では、誰もが同じ情報を同じタイミングで手に入れる。だから各国の違いよりも、類似性を重視している」

 私もこの業界で働き始めてあと数年で30年になりますが、

 20世紀(90年代まで)には欧州~アメリカ~アジアでファッショントレンドが伝わる時差があったもので、

 シーズンの半年前に欧米にリサーチや買い付け出張に行けば、半年後の日本の市場トレンドがある程度予測できる、

 そんな文化や情報の格差、時差を利用すればファッション流通ビジネス、特にマスマーケットではメシが喰えるなどと思われていいたころがありました。

 しかし、そんなビジネス環境は21世紀に入りインターネットとモバイルデバイスの普及で一変します。

 彼女が言うことは、グローバルトレンドはもちろん、ローカルトレンドにも言える話で、情報のグローバルレベルなスピード化の流れはもう誰にも止められないでしょう。

 そんな変化とどう付き合い、どう活用して市場を勝ち取るか?という話なのでしょう。

 自国のマーケットが大きくなく、ビジネスを始めたとたんにグローバルビジネスを考え始めざるを得ないヨーロッパ企業は常にグローバルでユニバーサルに通用する商品、サービス、ビジネスモデルを考えて来ました。 彼女のコメントはその発想をさらに21世紀の環境の変化に合わせて的確に表していると思います。

 グローバル時代には、そんな訓練を積んで来た欧州企業に一日の長があると言えます。

 次に、H&Mのカール・ヨハン・パーションCEOのコメント

 2020年(5年後)をメドに販売するすべての綿製品をリサイクルやオーガニックなど環境にやさしいサステナブル(持続可能)なものにすると宣言するH&M

 「環境負担を気に掛ける人は常に増え続けています。
 5-10年後には価格だけでなく、かなり多くの人がサステナビリティ
 を意識するようになると確信しています。」

 H&MにしてもIKEAにしてもそうですが、

 人件費の安い国で作り、先進国市場を徹底的に攻略し、

 ローカルの競合プレイヤーをこてんぱんにして、ファッション流通マーケットやライフスタイルの風景を変えてしまう「グローバル資本主義の権化」のような ファッション流通業=H&Mですが、

 ビジネス的に ただ儲けるだけでなく、同時に 将来を見据えてサステナビリティ 環境 人権 に関しても本気で語り、実行する 大人であること。

 教育を受け始めたころから世界と付き合うことを教えられ、ビジネスを始めた後も世界の環境と世界の人々とどう付き合うかを考えながら 実践してきた国民。 

 これは私が商社勤務時代に数年間おつきあいさせて頂いたスウェーデン企業の方々から感じたスウェーデン人に共通する私の印象です。

 決して偽善的ではない、本音で語る理想と実践力

 同じことをH&MのCEOのインタビューコメントの中にも感じたものでした。

 【おススメ本】
 
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 グローバルに成長し続ける2つの巨大企業の真逆のアプローチをわかりやすく解説しました。 

 


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May 24, 2013

片手は工場に、もう一方の手は顧客に触れていなければならない

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 1か月前、4月24日にバングラデシュで起きた縫製工場崩壊の事故のニュースを聞いてショックを受けました。 

 その後、死者が1000人を超え、その犠牲者の方の数が増え続けるニュースを経済紙、業界紙で読むたびに今でも胸が張り裂ける思いがしています。

 亡くなられた方々のご冥福、負傷者の方々の回復をお祈りするとともに、こんなことがもう二度と起こらないことを願っています。

 今回の事故は私がファッション業界で働き始めて以来、業界最大の惨事のひとつに違いありません。

 私はバングラデシュに行ったことはありませんが、15年以上前まで商社勤務時代に欧米アジアたくさんの国でアパレル生産をしていて、現場の状況と商品のクオリティを自分の目で見て確認をするためにオーダーをした縫製工場のほとんどすべてに足を運んだものでした。

 その間、駐在員、現地社員が認め、セッティングしてくれたサプライヤーとの取引だったため、狭い工場、空調のイマイチの工場、汚いと思われる工場は稀にありましたが、危険を感じる工場は一軒もありませんでした。

 隣国とは言え、文化も宗教も国民性も考え方も全く違うと思いますが、インドにも頻繁に足を運びました。

 その時、一生懸命ミシンを踏むオペレーター(縫い子さん)の方々に
 
 「みなさんが作ってくれた服を同じくらいの年ごろの日本の若い人たちが喜んで着ているんですよ。」

 と現地語に訳してもらった言葉に今でも覚えている、笑顔を返してくれた縫い子さんたちとの思い出が事故のニュースを聞いて崩れ落ちた思いがしました。

 中国に続き、「世界の工場」と注目されるようになったバングラデシュ。繊維産業が外貨を稼ぐ最大の輸出産業と呼ばれるこの国で・・・

 一工場の経営者による人災ではなく・・・

 ふつうに考えたら、いまさら欧州が業界ぐるみで、ファッションチェーンの多くが国の業界全体に改善を求める協定にサインをするかしないかとか、またEUも特恵関税を取り消すとかしないとか・・・

 何か管理不能な何か?信じられないこと?が起こっているようです。

 5月11日付の日経新聞によれば、

・ 米ウォルトディズニーは事故以前の3月末までに工場事故の多発を理由にバングラデシュでの生産を打ち切っていた模様。
 
・ ZARAのインディテックスグループは事故を受けて同国で生産する会社との取引を中止したとのこと。

・ (商品生産の20-30%をバングラデシュに委ねる)H&Mはビルの防火対策について利害関係者と協議中とのこと(情報ソースはロイター)。

 事故が起こってしまったら、いままでちゃんとやっていても再確認を、やっていなかったら今後繰り返さないようにしっかりやることは大事なことです。もし、管理不能なら止めることも必要でしょう。

 しかし協定にサインするか否かで済ます話ではなく、

 自己完結型のSPA企業であれば、顧客に提供している商品がどんなところで、どんな風に作られているのかは知った上で、できる限り自社で責任を持って管理をする姿勢が大切なことは間違いありません。

 今回のタイトル

 「片手は工場に、もう一方の手は顧客に触れていなければならない」

 “You need to have five fingers touching the factory and five touching the customer”

 はインディテックスグループの創業者でオーナーのアマンシオ・オルテガ氏がビジネスの教訓にしているファッション小売業、特にSPA(アパレル製造小売)企業にとっての名言のひとつです。

 このフレーズは、「(作りっぱなしではなく)顧客が購入するまで商品から目を離してはいけない」という意味で、商品を売り切るための在庫管理の信念として引き合いに出されることが多いですが、

 同様に顧客に安心して買ってもらえる商品を供給するために、製造現場を、責任をもって、しっかり自己管理しなければならないという解釈もできるでしょう。

 分業が進み、業者に頼めば商品が出来上がり、SPA(アパレル製造小売)ができる時代に・・・

 今回の事故とこのタイトルフレーズの意味するところを忘れないようにして頂きたいと思いでいっぱいです。

拙著 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』
全国書店で好評発売中です。

  

 Amazon 売上ベストセラー 

 アパレルファッション部門 1-3位
 サービス・小売部門    10-20位

 あたりで推移しています。

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December 10, 2012

H&Mが世界48カ国の店頭で古着を回収

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 12月6日のFashionsnap.comなどによれば、H&Mは2013年2月から48カ国のH&M全店舗で古着の回収を始めるとのこと。

 H&Mが古着回収 世界初の48カ国実施

 H&Mのプレスリリースの原文はこちら

 H&M first fashion company to launch global clothes collecting initiative

 回収対象は同社で販売された商品だけでなく衣料品であれば状態に関係なく何でも受け取るというもので、

 袋に入れて持ち込むことで、1袋につき500円割引券(H&Mで3000円以上で使用可能)を配布。

 回収された衣料品は、H&MのパートナーであるI:Collectに引き渡され、同社がドイツで再加工することで古着あるいは新たな用途に生まれ変わらせるというものです。

 同社によれば世界で捨てられる服のうち95%は再生可能とのことで、これらの資源の有効活用に企業として賛同したために今回の回収に踏み切ったようです。 

 日本では3月より実施の予定とのことです。

 ファストファッションブームにあたり、私は常々、使い捨てられるファッション商品の行き場について問題提起をしていましたが、いよいよ世界のファッションチェーンのGIANTであるH&M自身が動き出しますか。

 ある意味当然というか。

 ユニクロが自社商品を店頭で回収しているのは有名ですが、

 関連エントリー-ユニクロ・ジーユーのリサイクル活動

 H&Mの世界規模の自社製品、他社製品を問わない回収の動きには注目です。

 同社は持続的な成長のために、2020年までに同社が販売する綿製品の綿原料をすべてオーガニックコットンとリサイクルコットンに切り替えることを宣言していますが、

 その原料確保の一環もあるのでしょうか。

 来年はあらためてファッション商品のリサイクルの動きにも注目しておきましょう。

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April 05, 2011

小売企業が独自の品質基準(スタンダード)を持つということ

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 4月4日の日経MJ一面に、「それでも 『売る』 理由」 という見出しで震災後、いろいろな企業が自粛や販売中止、延期を行う中、独自の考え、基準をもち開業、販売継続、イベント開催に踏み切った企業数社の事例が紹介されておりました。

 中でも、政府情報や風評をものともせず、茨城産の野菜を独自の基準で放射能に対する安全性検査をし、自信を持って販売を続けたサブウェイやモスフードサービスの話は、リスペクトに値する話だと思います。

 このいわゆる製造直販型外食産業2社から学ぶことは・・・

 同じく、名ばかりの?SPA(製造直販)化たけなわのファッション業界の中で、企業がストアブランドの看板を掲げるのならば、店頭で販売する商品の品質に関して、それを売るべきか止めるべきかを「業者任せ」にするべきではないこと。

 各社が自主基準を持ち、顧客とサプライチェーンに対して「責任」と「リーダーシップ」を果たすことが大切である、

 ということでしょう。

 先日、弊社主催でアパレル品質管理に関する勉強会を開催した際に、参加された方々とのディスカッションの中でも実感しましたが・・・

 業界では、百貨店基準やGMS基準など、どちらかというと、顧客とは別に、取引上商品引き取りのハードルを高めるため?と思ってしまう厳格な業界基準はあっても、自社の商品特性に基準をお持ちの企業は極めて少ないようです。

 (参加者の中に素材の品質基準書を作っていたセレクトショップさんがいらっしゃたのには感心しましたが。)

 無関心はもってのほかですが、自社の基準がなく、他社事例を参考にし、横並び(特に事なかれ主義で、販売中止など消極的な方向への判断)とする企業が多いのが実情ではないでしょうか?

 しかしながら、それでは、信頼して、ついて来て下さる顧客にも、お取引先にも説得力がなくなってしまうということはないでしょうか?

 SPA化時代の本質は、商流の中抜きによるコストカットではなく、「自立」そして「自律」して顧客と向かい合い、サプライチェーンを最短、最速でつなぐチャレンジだと思います。

 その時、意思決定のスピードをアップするのは・・・ブレのない。経営理念、そして、自社の基準(スタンダード)を持っているか否か、ではないでしょうか?

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March 31, 2011

今、わたしたちにできること。節電、寄付、そして消費

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 繊研新聞に被災地の商業施設の復旧状況や企業の支援活動が掲載されているのを毎日読んでいます。

 また、それらの地域に店舗を持つ、複数のナショナルチェーンのクライアントさんから伺う復旧活動も総合させると、津波の直撃を受けた宮城、岩手の海の近くの商業施設(SC、アウトレット)以外は、先週末の段階で、かなり営業を再開されたようです。

 戦後最大の災害に遭い、日本のために、「今、わたしたちにできること」を家族や知人と本音で語り合う初めての機会になりました。

 あたりまえのようになった「節電」・・・これからもずっと続けて行きましょう。

 できる範囲での募金への「寄付」・・・照れもなく、胸を張ってできるようになりましたね。

 誰にだって、寄付できるお金に限りがある中、ブックオフグループが、持ち込まれた不用品を、客の希望に応じて、買い取り金の全部、一部を被災地の義援金にあてる、「売って支援プログラム」を行っているそうです。

 お金に余裕がなくたって、まだ商品価値のある不用品を買い取ってもらうことによってできる「寄付」だってあることを訴える、素敵な支援活動の姿のひとつだと思います。

 「売って支援プログラム」

 そして、もうひとつ大切な 「今、わたしたちにできること」・・・そう、「消費」を続けることです。

 被災地の方々のことを考えたり、地震、原発の不安のある中、買う気になれない、という意見もあるかもしれませんが・・・

 普通に生活ができる我々が、消費を止める、経済を停めて何になりますか?

 そんなことをしたら、経済が萎縮して、被災地の方々が復帰された時に、彼らにお願いする仕事がなくなっている、という状況を作ってしまうことの方がいけないことだと思います。

 わかっていらっしゃる方も多いと思いますが・・・営業時間に影響のない、西日本地区などでは、寒暖の差のあるこの3月、震災後でも、前年比落とさず、フツーに売れているようです。

 また、営業短縮している関東エリアでも、顧客に新しい提案ができている商品群は、震災がなかったかのように、しっかりと売れています。

 自ら消費を止めない、そして、震災を売れない理由にせず、前向きに営業する。

 そう、できる人が、経済をしっかり回すことこそが、震災の復旧活動のひとつであると信じている今日この頃です。

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