September 13, 2009

ファストファッションの光と影

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 9月9日の日本繊維新聞に、総合商社アパレル部門のビジネスの柱のひとつであるOEM(相手先ブランド生産)代行ビジネスにおけるCSR(企業の社会的責任)調達に関する記事が掲載されていました。

 欧米、特に株式公開をしているグローバルリテイラーGAP、ZARA、H&Mなどは、自社で販売されているファッション商品が、社会的ルールに則って生産、調達されているか?いわゆるフェアトレード問題に非常にシビアですが、日本では比較的遅れているようで、それに取り組む三井物産や伊藤忠商事の事例などが紹介されていました。

 ファッションマーケットでファスト化、低価格化が進み、生産・調達を商社を含むOEM代行業者やODM代行業者などに分業して行おうとすると、さまざまな課題があると思います。週刊エコノミスト7月21日号のファストファッションに関する執筆でも少し触れましたが、そのいくつかを簡単に整理、ご紹介しておきましょう。

1)不正労働問題
 低価格を追求するあまり、生産業者に無理強いをし、結果、法外に安い賃金、長時間労働、児童労働などが行われていないか?

 最近では、英プライマークがバングラデシュ生産品で疑いをかけられ、マスコミにたたかれ、不買運動のデモが起こされた。

2)デザイン模倣問題
 特に、納入業者がデザインを行う、ODM(Original Design Manufacturing)形式で買付を行う時に、その商品が、有名ブランドのデザイン・意匠を露骨に模倣して(パクッて)生産されたものではないか?

 この疑いで、フォーエバー21が過去に数十件の訴訟に対応したのは有名。

 あと、一般的に、品質や規格(サイズなど)のばらつきをどうマネジ、コントロールするかは、言うまでもありませんが・・・
 
 要は、仕入れて売るリテイラー(小売)とて、知らなかった、業者の責任、と言っても、始まらず、過去の判例から言っても、「販売責任」は免れないし、何よりも生活者に対する企業の信用を失うことが非常に大きいと思いますので、気をつけておきたいところです。

 いずれにしても、会社全体がこういった問題に知識、意識、モラルをもつことが前提ですが、1)はどんなところで生産しているかを知ること、2)は商品をデザインした人のインスピレーションの元(デザインソース)は何なのかを明らかにしておくことが基本ではないでしょうか。
   
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関連エントリー-海外生産におけるCSR(企業の社会的責任)問題
関連エントリー-デザイン模倣問題にどう向きあうか
関連エントリー-OEM生産とODM生産

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September 02, 2009

ユニクロ不用商品の店頭回収、リサイクル活動

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 9月2日の日経MJにユニクロが年に3回(3月、6月、9月)行っている同社販売商品の不用品店頭回収、リサイクル活動に関する記事が掲載されていました。

 同社が2001年9月、生活者が不用になった自社フリース商品回収、リサイクルを開始、その後対象を全商品に拡大して、年2回(3月、9月)の回収を行い、今年からは6月も加え、年3回の回収となったもの。

 回収された商品は、資源にリサイクルしたり、発展途上国に寄贈されているようです。

 今月9月が3回目の回収月間になりますが、記事によると、今年3月と6月の2回ですでに過去最高の183万点を回収しているとのこと。

 このペースで行くと、年間300万点弱?ユニクロの年間販売点数が4億点くらいと聞いていますので、総販売数の0.7%程度を回収する計算になるでしょうか。

 ところで、今年の上半期にイトーヨーカ堂や百貨店などで、話題となった「下取りセール」がありますが・・・

 この秋も、味をしめた大手スーパー、百貨店を中心に、さらに新規スタート組も含めて、各所で、同じ類の不用品下取りセールが行われるようですが・・・

 かたや、割引やクーポン券を配らず、ただ回収するだけのユニクロ。回収した商品の行き先もしっかり自身で考えていて、立派だと思います。

 逆に、回収やリサイクルにかかる諸経費を納入業者に負担させるなんていう百貨店の話があって、がっかり、モラルというか、オツムのレベルの違いを感じたものでした。

 ファストファッションブームに突入した日本のファッションマーケットにおいて、今年は「ファッション商品のリサイクル元年」とも言えますが、このユニクロと他社の対応、姿勢の違い、どう思われますか?

 割引やクーポン券目当てよりも、捨てきれない、捨てられない不用品を納得ゆく形で処分したい、と思っている生活者が少なくないのではないか?量販店や百貨店は、クーポンやるから、割引するから、持ってこい、なんて姿勢で上から目線で生活者を見てやしないでしょうねぇ。 
  
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関連エントリー-来年はファッションのリサイクルビジネスがどこまで広がるだろうか?

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July 23, 2009

無印良品、ワールドが繊維製品100%リサイクルプロジェクトに参画

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 7月23日の繊研新聞他に無印良品を展開する良品計画とワールドが経済産業省と中小企業基盤整備機構が支援する「繊維製品リサイクルモデル事業」に参画し、それぞれの顧客が不要になった自社衣料品を8月1日から店頭で回収することに関する記事が掲載されていました。

 両社が回収した使用済み衣料品は、専門業者を経由して素材、附属資材ごとに再利用されるとのことです。

 無印良品は神奈川県と都内の30店舗で3か月間、ワールドはフラクサス7店舗で1か月間、回収を行うとのこと。

 FUKU-FUKUプロジェクト~無印良品、ワールドでの不要となった服の回収に関するお知らせ

 常時は難しいとは思いますが、結果検証し、ぜひとも継続的して頂きたい企業活動だと思います。

 ファッション商品の低価格化の中で、金額は減っても、むしろ数量ベースでは供給が増えているのではと思いますが、大量生産、販売する企業には、販売後、タンスに溢れる服、雑貨の行き場所に対する社会的責任が問われることもあっていい時代だと思います。

 ユニクロが3月、6月、9月に行う自社商品の回収キャンペーンは、そういった意味で、企業として立派だと思います。

 量販店、百貨店が行う下取りセールは目先を変えた割引セール色が強いので、その趣旨や目的は根本的に違いますが、日本がファストファッション時代に本格的に突入した今、環境問題も含めて、リサイクル、リユースのためのインフラはとても社会的に重要だと思います。

○販売企業による定期的自主回収

○地方自治体による回収インフラ

そして

○書籍業界のブックオフのような・・・ファッション商品の特性にあった、ファッションリユース企業の台頭、拡大、地域インフラ化

が期待されるところです。

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関連エントリー-中古ファッションマーケットの潜在性
関連エントリー-来年はファッションのリサイクルビジネスがどこまで広がるだろうか?

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July 07, 2009

アメリカンアパレル(アメアパ)の工場就労者に不法労働者の疑い

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 今週のWWDジャパン1535号に、MADE IN USAにこだわる「アメアパ」ことアメリカンアパレルの国内工場就労者5600人のうち、約3分の1にあたる1800人が不法労働者である可能性があると、米国移民税関捜査局から通知を受けたことに関する記事が掲載されていました。

 前に以下のアメアパについてのブログエントリーをしまいたが、 

 アメリカンアパレルが投じる一石

 記事によると、今回の通知は、アメアパの会社サイドが、不法(移民)労働者と認識して雇用していたわけではないので、同社の責任が問われているわけではないようですが、少なからず、減産による影響を受けそうな様相です。

 今、アメアパやフォーエバー21などの日本進出で、日本でもMADE IN USAの商品を再び、見かけるようになりましたが・・・

 現実に、アメリカ国内、特に国境付近で洋服を縫っているのは、発展途上国からの移民が多いのが実情で、法定最低時給で働いているところもあるので、MADE IN USAと言っても、結構ローコストでアパレルができる背景もあったりします。フォーエバー21とか、低価格、短サイクルを売りにするチェーン店はけっこう、そういった下請け背景を活用していますね。

 アメアパの自社工場は、移民の人権を尊重し、相場の倍の賃金を支払っていることで知られていましたので、今回のニュースはちょっと残念です。

 アメアパのCEOさんは、移民の味方で、移民法改正の運動にも参加していたため、その行為を刺されたのか?それとも、アメリカのアパレル産業全体に対する当局の手入れの一環なのかは、わかりませんが、後者だとしたら、フォーエバー21のスピードにも少なからず影響が出てくる可能性もあるかもしれません。 

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May 17, 2009

下取りセール、顧客心理と回収商品の行き場

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5月17日の日経新聞の日曜版、「エコノ探偵団」でも取り上げられていたように、「下取りセール」の話題が新聞紙上、経済紙上を賑わしていますね。

 火付け役となったイトーヨーカ堂は、各社が苦戦した3月商戦に、通算5回目、6回目となる下取りセールを2回打ち、その他キャッシュバックセールとの合わせ技で既存店売上高が単月2%の増収だったとか(食品含む)。

 4月8日-5月6日の間に、1050円のクーポンと引き換えに12万4000足の婦人靴を回収した小田急百貨店新宿店の婦人靴売り場も期間売上前年比2倍だったそうです。(ちなみに最初の2週間で回収したのは3万2千足;一人あたり3.9足の持ち込みだったとのこと)

 今回のセールは、うがって見れば、顧客を刺激する、名目を変えた割引セールで「麻薬」の一種のような指摘も中にはありますが、下取り対象商品を広げて、常時不用品を下取りして欲しいという要望も後を絶たない、また、後者の発行したクーポンの使用率が、期間中では10分の1程度しかない、という話は、収納の少ない日本の家庭で、不用品処分に困る生活者の「割引」以外の来店動機、購買心理も刺激しているようです。

 そんなセールが継続性のあるものかどうかは、回収した商品の行き場、処分対策にもかかっていて、とても興味のあるところですが、

・再生原料に加工する業者に譲る

・NPO法人経由発展途上国に輸出

 あたりが多く聞かれる中、面白いなと思ったのは、

 昨今、需要急増中で、スタッフ増員が急務となった某靴リペア業者さんの修理研修用に提供されていたり、

 リーバイスあたりですと、「ジーンズは時間が経過しても価値は下がらず、むしろ向上するもの」であることをアピールする意味も込めて、回収したジーンズの中から、お宝を発掘し、チャリティー販売するような企画も用意しているようです。

 さて、この下取りセールや回収企画、2-3年後には、どうなっているでしょうかね。企業側に社会的責任、貢献の意図があり、場当たり的ではなく、用意周到にしくみとして行っているのであれば、数年後も続いているはずですが・・・ 
 
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関連エントリー-イトーヨーカ堂の不要品下取りセール


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April 29, 2009

小売等役務商標、ジュンが最多出願

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 4月26日の日経MJ、繊研新聞に、2007年4月からスタートした、小売業が使用するショップ名や提供するサービス名を商標として保護する制度=小売等役務商標制度の運用状況について特許庁が発表したレポートに関する記事が掲載されていました。

 この制度の趣旨を理解して、2007年4月~08年9月までの1年半に、もっとも数多く出願した企業は、アパレル大手のジュン(426件)、次にファイブフォックス(199件)、丸井グループ(161件)と続き、上位40社のうち、ファッション流通に関連する企業が23社入っていますね。

 特許庁の08年度商標出願動向調査

 この制度が、どういう意味があるのかは、制度スタート当時に書いた以下のブログエントリーをお読みいただければおわかりいただけるかと思います。

 小売等役務商標制度スタート

 もちろん、たくさん出願すればよいというものではありませんが・・・

 ファッションブランドメーカー企業に限らず、SPA(製造小売業)、セレクトショップ、一般専門店の企業の方も、ご自身が、自分たちのショップ名に愛着を持ち、「ブランディングを行っている」と認識されている方々は、これまで築きあげたショップの信頼、ファンになって下さった顧客の方々のためにも、そのショップ名やサービス名を守るために、最低限済ませておかなければならない手続きだと思います。

 私は、たまたま、商社でブランドラインセンス業務にも携わる機会があったので、いろいろ勉強をさせていただきましたが、ファッション業界において、企業の最大の資産のひとつは、商標=ブランドであり、ブランディングの第一歩は商標登録から始まると思っています。

 以前、数年間愛着を持って続けてきた自社ブランドが、ようやく軌道に乗ったと思った矢先、実は第三者(善意だろうが悪意だろうが)に商標登録されているものであることを知って、青ざめ、愕然とした経営者の姿も見てきましたんで・・・

 まずは、自社のブランド、しっかり守りましょう。
 
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February 18, 2009

RAGTAG(ラグタグ)の憎むべきニセモノ展2009

 ちょうどいいタイミングでGUYさんにコメント、お知らせいただきましたが・・・ハイエンドブランドの中古品を買い取り、店頭販売するリユースショップRAGTAG(ラグタグ;運営は㈱ティンパンアレイ)が、2月17日(火)~2月23日(月)同渋谷店2階のロフト部分でにおいて、同社が誤って買い取ってしまった偽ブランド品150点の展示会が行われており、とても興味深い企画だなと思い、初日(17日)の夕方に覗いてきておりました。

 偽ブランド品撲滅プロジェクト 憎むべきニセモノ展2009

 同社は、持ち込まれたブランド品を店頭でホンモノ、ニセモノを見極めホンモノだけを買取、同社商品管理センターでもう一度チェックしてから各店の店頭で販売するというプロセスをとっているようですが、誤って店頭でホンモノであろう、ということで買い取ったものの、商品管理センターでニセモノと鑑定された商品が今回の展示の対象となっています。

 目的は、同社がニセモノに注意を払い、闘っている姿勢をアピールするとともに、同社に買取依頼に来る顧客がその前の新品購入段階でニセモノに対するシビアな目を持ってもらおうとする啓蒙活動の2つがあるようです。

 買い取ってしまった過ちを認めながら、こういった展示会をする同社の姿勢はとても勇気があることで、好感を持てますね。

 会場でホンモノとの比較ができたのは、一部の商品しかありませんでしたが、展示された商品すべてにニセモノである理由がつけられてあり、一点一点興味深く読んでみました。

 ①ジッパーやドットボタンなど金属製の附属品にロゴが入っていないもの
 ②ブランドラベルの質感
 ③ナイロン、ポリエステルなど、合繊素材の素材違い

 あたりが多かったようです。

 あと、原産国表示、洗濯絵表示の日本語のミスなんかはいかにも中国や韓国の業者のお粗末さ、ニセモノくさくて笑っちゃいますが・・・

 綿などの天然素材、染色、プリント、刺繍など、比較的製造ロットが小さいものはごまかせても、 ①や③のような製造ロットが大きくないと割高になってしまうもので手を抜いていたり、また、やはり、ブランド側が一番ニセモノ対策として行っている②がポイントのようですね。でも②はホンモノを手にした人じゃないと判りづらいかもしれません。

 私は以前、ブランド側の立場でいたこともありますし、逆に並行輸入を手がけたこともあります。

 並行輸入にしても、中古品にしても、ツボをおさえて、注意深く取り扱えば、ブランドのファンの裾野も広がりますし、思いをこめられて作られた商品を大事に再利用してもらいたいですし、いまだに法外な内外価格差を企業努力で是正していないブランド代理店の牽制にもなりますから、私はともに支持をしています。

 ある意味、ビミョーな商品だからこそ、ブランドの並行輸入品や中古品を取扱う小売店さんは、それらの商品に対する正しい知識をもつと同時に、お客さんに安心してもらうためにも、しっかりとした社員教育、そして、積極的、継続的な顧客啓蒙活動が大切なんですよね。

 それができなければ取り扱わない方がよい、と思うくらいです。

 そこらへんの志、信念のある販売店さんたちには、これからも御苦労は絶えないと思いますが、継続的に取り組みながら、頑張っていってほしいなと思っています。

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関連エントリー-中古ファッションマーケットの潜在性
関連エントリー-並行輸入品ってなに?

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January 07, 2009

海外生産におけるCSR(企業の社会的責任)問題

 先週の記事になりますが、1月1日の繊研新聞に、今年あたりはそろそろ関心が高まるのではないかと思われる、企業が海外生産する際の委託工場に対するCSR(企業の社会的責任)問題に関する専門家の方のインタビュー記事が掲載されていました。

 ここ数年、食の安全は日本でも大きな関心となりましたが、安くて高付加価値のファッション商品がいったい、どんなところで、どんな風に作られているのか、少なくとも、児童労働や、不法移民、違法な低賃金や長時間労働といった過酷で人権無視の労働条件の上に成り立ってはいないか?

 日本より小売業のグローバルなソーシング(商品調達)活動が進んでいて、人権問題にシビアな欧米では極めて関心の高い問題であります。

 10年も前に商社で海外生産に携わっていた際、アジアやアメリカの縫製工場に行くと、欧米ファッションチェーンから視察員が来ている、という話をよく聞かされました。

 また、海外のファッションビジネス系のニュースを読んでいると、古くはリーバイス、ナイキ、GAPあたりが、最近では、H&M、TOPSHOP、PRIMARKなどの発展途上国でローコストで生産しているファストファッション系企業がメディアや消費者団体から疑いをかけられたり、突き上げをくらっていたり、それに対して防御策を強化しているなんて話をよく目にするものです。いわゆるSWEATSHOP(スウェットショップ=強制労働工場)問題というやつですね。

 日本の場合は、最近でこそ、フェアトレードという言葉が静かに話題に上り始めましたが、まだまだ、小売業を筆頭に、販売商品の責任は仕入業者任せ、商社任せという体質なのではないかなと思います。原産国やカシミヤ混紡率の偽装の問題、並行輸入とニセモノの区別がつかない問題も根っこは同じようなところにある気がしますね。

 ちなみに、それらの判例の多くは、確かに仕入れ業者も悪いですが、半分はそれを調べもせず、販売して生活者に迷惑をかけた小売業の責任として、小売業も裁かれているのが現実です。小売業にとっては裁かれるうんぬんより、生活者の信頼を失うことの方がダメージが大きいです。

 前説が長くなりましたが、記事によると、世界のCSRは

第1段階 取締を徹底して、年齢偽装や不正を摘発する

第2段階 発注する企業が一緒になってなって生産性向上に取り組みサプライヤーを育てる

第3段階 生産性向上により従業員の待遇を改善し、人材獲得、品質維持・向上を目指す
 
 というステップがあるようですが、この専門家の方は、日本企業はようやく第1段階の認識を始めたばかりではないかとのことでした。
 そのきっかけも、08年くらいから欧米のクライアントが日本企業の発注工場に監査員を入れることを求め始めたからだそうで、09年はその傾向がますます強まりそう、と、これもまた、日本の体質を変えるきっかけは「黒船」なんだなぁと感じたものです。
 
 海外の委託工場に対して、パートナーシップをもって末長く安定供給を望むのなら、やはり第3段階を目指したいところですよね。

 それこそグローバル企業の真の競争力だと思います。

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関連エントリー-アパレル生産でも今後避けては通れない?人権問題
関連エントリー-社会的責任投資(SRI)が拡大

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February 28, 2008

H&M、CSR(企業の社会的責任)関連ニュース他

 2月25日の繊研新聞に、以前から物議をかもし出している、世界最大のファッションSPA業態、H&M(エッチアンドエム)のパリ、シャンゼリゼ出店に関する記事が掲載されていました。

 記事によると、同社は、2010年に旗艦店出店(3層で計850坪)を予定していますが、一旦、パリ商業施設委員会が出店却下した後、フランス商業施設商業委員会が許可をした、といういきさつ。今度は、パリ市が、同地域がファッションリテイルだらけになって、景観を害することを懸念して、同プランに「待った」をかけ、これに対し、国務院が判断を下すのに、1年かかるとのことです。

 保守的なグループは、ファストファションの雄の襲来に危機感を感じていらっしゃるようですが、H&Mの爆発的な客数動員に期待している地元の声もあるようです。

 いやはや、ここまで来ると、社会問題ですね。

 もうひとつ海外ニュースから、H&Mが動物愛護の視点から、オーストラリアのメリノウールを同社商品に採用しない、と決めたことに関する記事があります。

 REUTER ; H&M stops using some wool on sheep welfare concern

 このmulesing(ミュールシング)という処置は、知らなかったのですが、

 ウィキペディア(Wikipedia):ミュールシング

 に詳細があります。寄生虫繁殖防止のために、オーストラリアで伝統的に行われている羊を傷つける作業のようで、ちょっと、エグイので、詳しくはそちらをお読みください。

 私も服は、天然素材へのこだわりが強い方ですが、考えさせられますね。

 昨年は、日本でも、原料の出所を押さえきれない(ある意味仕入先任せ)ことなどが原因で、カシミヤの混率誤表示が問題になったりしましたが、大手を筆頭に、CSR(企業の社会的責任)の観点から、もっと踏み込んで配慮しなければならないことも多くなりそうだなぁと感じるニュースであります。
  
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December 14, 2007

試着販売スクープで考える業界の常識と課題

 今週の読売ウイークリーにサンエーインターナショナルグループの人気ブランド、ピンキーガールズで行われていたとされる「行き過ぎた」販売員の試着、新品戻し販売のスクープ記事が掲載され、これらに対し、同社はHP上で、当初の意図と誤解を招いたとする同手法の中止について説明をしています。

 記事の内容にご興味ある方は、同誌をお読みいただくとして、ファッションリテイラーの販売スタッフが自社ブランドの商品を店頭で着て接客販売することは業界の多くの会社で常識のひとつになっています。

 古くから、業界で販売スタッフはマネキン(このフランス語がマヌカン)と呼ばれるように、販売スタッフの「着用」は、コーディネートや商品の良さを店頭でもっともわかりやすく顧客に伝える手法と考えられ、実際、説得力を持って売上につながっています。

 みなさんも販売員さんが身につけているものに魅力を感じて、購入された経験をお持ちなのでは・・・

 通常、この着用商品は、スタッフが社員割引で買ったり、会社側から支給されるのが一般的ですが、実際は、前者が多く、安くは買えるものの、給与からの天引きというスタッフの馬鹿にならない継続的な負担になっているのが現実。中には、会社側がノルマを課して売上のあてにしたりする事例も耳にします(←これじゃ、まるで飼い殺しですね)。それが理由で、せっかく採用になった職を断念するケースもあるようです。

 ここのところ業界では、従来の春夏・秋冬という2つの大きいシーズンを6つから8つに細分化し、多品種小ロット、ひとつひとつの商品の販売期間を短くして、その商品回転、鮮度で生活者を魅了し、競合他社とスピードで競争している昨今です。

 旬の自社ブランド服を着続けることをスタッフに課すとすると、スタッフにとっても、会社にとっても、気づかぬうちに負担が大きくなるのだなぁと思い知らされます。

 また、そんなプレッシャーは、スタッフの定着率に影響するでしょうし、「試着販売」を奨励するとなると、運用面で、公私の境目がわからなくなり、こんなスクープや目に見えないところで不正も起こってしまうのではないかと心配してしまいます。

 マーケット環境の変化は、業界の常識だから、みんなそうやっているから、では済ませられないことへも手をつけていかなければならない時代の始まりでもあります。

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