June 15, 2020

インディテックスグループ(ZARA)既存店の大量スクラップ&ビルドによりEC連動型店舗へのモデルチェンジを加速

6月10日に発表されたZARAのインディテックスグループの2020年度第1四半期決算に目を通しました。
4cimg0441_20200615133601 日経新聞や繊研新聞などの一部の報道では
コロナショックによる店舗休業によるダメージが甚大で売上高前年比45%の減収により、営業利益は大幅減益となり、四半期赤字に転落したと共に

グループ全体で現在世界に7412ある店舗を2022年までに1200店舗閉鎖することが強調され、

この3カ月間で5割伸ばしたECを強化する(現在の年間EC売上比率14%から25%へ)、さすがの世界一のアパレル企業も新型コロナによってデジタルシフトが迫られた、というような論調で書かれていますが・・・

 

それらに抜け落ちている大事な視点を補足をさせて頂くと、

実際は 
・これら1200店舗が役目を終えたZARA以外のブランドの小型店が中心であり、
・閉店の一方で並行して450店舗のEC連動型の大型店を新規出店することで、
結果、
・店舗は全体で600店舗くらい減るものの、売場面積は逆に毎年2.5%増え、既存店売上も4~6%伸ばす計画であること

が同社のオリジナルプレスリリースを読むとわかります。

ですから、同社の場合は、業績不振のアメリカのチェーン店とは違って、閉店数が多いことだけを取り上げて「ヤバいのか?」

悲観することではなく、より健全な状態に向かっていると見るべきでしょう。

これらの施策は、メディアが言うようなコロナショックがあったからの急展開ではなく、もともと同社が2012年あたりから始め、ここ3年で加速していたいわゆるオムニチャネル(OMO)施策の総仕上げに過ぎないんですよね。
同社ではこれを fully integrated store and online platform と呼びます。

実際、過去6年間に
1729店舗を閉店して、
1106店舗を増床し、
2556店舗を改装し、
3671店舗を新規出店しています。

その間は店舗数も売場面積も純増でしたが、
これからは、店舗数は純減も、売場面積の純増は維持し、
よりECを店舗と連動させ、

同社が以前から描いていた
「新しい顧客購買行動のビジョン」に投資を続ける
というだけの話なんです。

今回の赤字には閉店予定店舗の減価償却の積み増しも多く含まれています。
(前期は売上が落ちることを見越して、在庫引当金=評価損の原資を計上しました)

また、大量閉店と言うと、雇用はどうするんだ?という意見もあると思いますが、同社はEC対応する大型店のEC対応要因として受け皿を用意していると言い、雇用に対する配慮も欠かせません。

危機に背中を押されるのではなく、
まずは未来の顧客像やビジネスのビジョンを描き、
顧客は進化して行くにも関わらず、自分たちが変わらないことへの危機感に対し
行動を続けているのがインディテックスグループの姿です。

彼らが今、何を考えているのかを常にウォッチしていれば、
規模にかかわらず、我々も活用できる未来へのヒントが得られます。
なぜなら、彼らが長年観ているのは、競合ではなく、「顧客だけ」ですから。

まだまだその背中から学ぶことはたくさんありそうです。

関連エントリー‐世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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いつもお読み頂きありがとうございます。


 

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June 02, 2020

コロナショック後のファッション流通企業の経営の視点(後編)

コロナショックとの共存とその後を見据えて、
ファッション流通業界の経営がどのような変革に迫られるのか?の後編です。Photo_20200602111801

1.企業の財務体質の見直し 手元資金と固定費
2.在庫の持ち方の基準変更 消化率から在庫週数へ
3.評価基準の変化 売上重視から粗利(生産性)重視へ
4.販売と働き方のデジタルシフト

 

3つめは 評価基準の見直し です。(1,2は前編へ

結論を先に言えば、
誰にもわかりやすかった売上高を基準にするよりも、より利益に直結する粗利や生産性を追求した企業が勝ち残る、という話です。

これまで、ファッション流通業界では
売上高を基準にして、さまざまな費用を売上構成比で評価することが主流でした。

右肩上がりの市場であれば・・・

売上を増やせば、利益も増えますから、それで問題なかったでしょう。

一方、小売業界全般を見渡すと、売上高ではなく、粗利高を分母にして、「分配率」という考え方もあります。

これは例えば、

労働分配率=人件費÷粗利高
販促分配率=広告宣伝費÷粗利高
不動産分配率=地代家賃÷粗利高  などで

稼ぐ粗利高に対してそれぞれの経費をどれだけ分配するかと考えるものです。

実は、分母を売上高から粗利高に変えるだけで、視点が変わり、行動に変化が起きるものです。

例えば、労働分配率に関して言えば、
「労働分配率を一定にする」と定義(予算化)すれば、

粗利高が増えれば、営業利益が増えるのは当然ですが・・・
同時に人件費を増やすことができます。

その分、手間が増えてしまったのなら人の頭数を増やさなければなりませんが、
同じ人員で粗利高を増やせたのなら、賞与を増やす原資になり、

つまり、経営側も働く人もウィンウィンになるわけです。

一方、売上高を分母にしてしまうと、

売上目標を達成するために、安売りを行って、粗利率を下げてでも、何とか売上目標を達成したとした場合
どんなことが起こるでしょうか?

粗利高は未達でも固定費は変わらず、従って営業利益は減ることになりますね。

にもかかわらず、売上目標を達成したために、売上貢献した社員には報奨金(賞与)を支給し、
人件費が増えて更に利益を削る羽目になることもあるわけです。

何が言いたいか、というと、

売上高を目標基準にするよりも、ストレートに粗利高を目標にする方が効率よく
経営も従業員もハッピーになれるか?という話です。

これは、販促費の費用対効果を測る際や

物流費を削るべきか、むしろ粗利高を高めるために使うべきかの判断をする時も有効だと思っています。

店間移動の配送費は、無駄な追加経費(悪)なのか?それによって定価販売のチャンスを広げ、粗利を高める必要経費(良)なのか?

粗利との見合いで考えると物流費の見方も変わって来ますよね。

関連して、「生産性」という言葉がありますが、これは、

期間(年、月、日、時間)あたり、一人当たりの粗利高を指します。

これは、ひとりがどれだけ効率よく粗利高を稼ぐのか?を表す指標です。

販売管理費、固定費の見直しが迫られる今、限られたリソースで、利益の唯一の原資である粗利高を確保する
「生産性」指標は避けては通れない指標になります。

これまで、一部の企業でしか採用されてこなかった

粗利重視、生産性向上の思想が、今後、より注目されるようになりそうです。

 

最後は販売と働き方のデジタルシフトです。

この2か月の間に、多くの方々が体験し、その使い勝手の良さを実感されたように、
Eコマースやオンラインミーティングは「ニューノーマル(新しい常識)」としてより定着することでしょう。

〇 Eコマースの体制を強化して、顧客との接点と選択肢を増やし、

〇 オンラインミーティングシステムを社内外の打ち合わせにフル活用して、出張費・交通費といった経費を節約して、
時間を効率よく使って、生産性を上げる

そして、創出された時間を余裕を持ってオフラインの大切なことに費やす

企業も、働く人もその点にフォーカスすれば・・・
豊かな企業活動、働き方、遊び方、生活が待っているはずです。

コロナショックが、企業の理想のビジョン、そして、より、ありたい自分に向かうように

いつかは取り組もうと思っていたことを、今すぐ進めることの後押ししてくれるきっかけになれば、

この2か月は貴重な2か月だっと結論づけられることと思います。

  執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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June 01, 2020

コロナショック後のファッション流通企業の経営の視点(前編)

約2か月続いた首都圏の緊急事態宣言が解除され、段階的に生活が再開することになりました。
感染第二波に気をつけながら、一日も早い正常化を祈るばかりです。

今回はコロナショックとの共存とその後を見据えて、
ファッション流通業界の経営がどのような変革に迫られるのか?について、いくつかのトピックを綴ってみたいと思います。

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トピックは

1.企業の財務体質の見直し 手元資金と固定費
2.在庫の持ち方の基準変更 消化率から在庫週数へ
3.評価基準の変化 売上重視から粗利(生産性)重視へ
4.販売と働き方のデジタルシフト

の4つです。少し長くなるので、前編と後編の2回に分けてご紹介をさせて頂きますね。

まずは企業の財務体質の見直しから・・・

緊急事態宣言によって、休業店舗が増え、
ファッション流通企業は店頭で売上が計上できなくなり、当面の手元資金の確保が足元の最大経営課題となりました。

店頭販売している小売業は、日銭さえ稼げていれば、ある程度はキャッシュが回せるビジネスなので・・・
意外と、手元資金を潤沢に確保している企業が少ない傾向にあるものです。

一般的な、手元資金の潤沢さを表す財務指標に

手元流動性比率(日数)=手元資金÷1日あたりの売上高

というものもありますが、

日銭商売の小売業にとっては、今回のような場合、売上がゼロだった時に、手元資金で何か月分の販売管理費(固定費)の支払いをがまかなえるか、つまり何ヵ月間耐えられるかを考慮するのが現実的かと思います。

筆者の造語になりますが、

手元資金経費耐久月数=現預金(期末フリーキャッシュフロー)÷1か月あたりの販売管理費(固定費)

とでも言いましょうか?

今回のコロナ禍のように、今後もまた、2~3カ月、店頭売上がなくなることがあるとしたら・・・

果たして、固定費の何か月分の手元資金を持っていたら、

これまで育てて来た大切な人材を手放さず、未来に役立つ資産を守りながら・・・

落ち着いて、未来が考えられるだろうかと、経営陣の方々は痛感されたことと思います。

一時的には借入に頼りながらも
将来的には計画的に税引き後利益(繰り越し利益)を積み上げて手元資金を積み上げて行きたいところです。

ご参考までに、
5月に現代ビジネス(講談社)online向けにワークマンのビジネスモデルと財務体質について寄稿させて頂いた記事があります。

コロナ禍「アパレル壊滅」の中、ワークマンが一人勝ち「真の理由」
強みは商品開発力だけではなかった

記事の6ページ目には、日本の上場ファッション専門店の売上高上位トップ10企業の手元資金の経費耐久月数を計算した一覧表を掲載していますが、ワークマンはその中でもダントツの販売管理費の22カ月分の手元資金を持っている計算になります(2020年3月末時点)。

ちなみにトップ5は

ワークマン 22.3か月分
ファーストリテイリング 16.2か月分
西松屋チェーン 10.6か月分
パルグループ 9.7か月分
しまむら6.8か月分になります。

※いずれも記事を書いた時点で公開されていた直近四半期または期末決算の決算短信を元に計算。

高い収益性による手元資金だけでなくて、必要十分に絞り込まれた販売管理費によるローコストオペレーションも耐久性を強める要素であることは言うまでもありません。

コロナショックを機に、多くの企業さんが販売管理費(の固定費)の見直しも行われたと思いますが、
固定費はただ削りやすいものを減らすのではなく・・・
粗利高を効率的に生み出す固定費とそうでない固定費を見極めて判断する必要があるかと思います。

続いて、ふたつめは在庫の持ち方の基準変更についてです。

3月の後半から4月、5月の店頭売上のほとんどが吹き飛んでしまったアパレル業界では、

いわゆる春と初夏という2つのシーズンの在庫がオンラインや一部の店舗でしか販売できなかったため、
大きな値下げ販売と残在庫に苦しむことになりました。

それは、おおよそ売上2.5か月分に相当する在庫です。

これまでファッション業界では、
特にメーカー系企業を中心に春、夏、秋、冬という
4つのシーズン単位で一度に3カ月~6ヶ月分の商品をつくり込み

それをシーズン中に売り減らして行くという手法が
とられて来ました。

その際、主にメーカー系SPAやメーカー品を取り扱う百貨店やセレクトショップなどでは

仕入れた商品がどれだけ売れたかを表す、

消化率=売上数量(原価)÷仕入数量(原価)x100

が販売進捗、在庫管理手法のメインに用いられて来ましたが、

コロナショックを機に、主に小売業が活用している
在庫日数(週数)管理が、あらためて
仕入れ、在庫管理のスタンダードとして注目されそうです。

在庫日数(週数)=現在在庫数(原価)÷1日(週)あたりの売上数(原価)

つまり、生産リードタイムを考慮して、販売計画を立て
当面(何日分、何週分)必要な商品在庫を調達する。

売上と需要内容に応じて、販売計画を立て直し(※ここ重要)

また何日分、何週分の追加発注を行う、というアクションに活用できる計数で、

ドンと大量に仕入れて売り減らす、のではなく、売上の進捗に応じて買い増すという運用になります。

ファッションビジネス、特にアパレルビジネスはリスクマネジメントビジネスと言われます。

小売業の在庫管理のスタンダードが変われば、商品を供給する作り手側も春夏/秋冬シーズン単位の展示会受注方式から、ますます柔軟な期中対応が求められそうです。

前編はこのあたりで。

次回後編では 評価基準と販売方法、働きかたの変革の話に続きます。

  執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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May 25, 2020

世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

4cimg0441 世界の大手アパレル専門店各社の2019年度の売上高や利益などをまとめる機会ができましたので、毎年恒例になりました売上高のランキングTOP10を共有させていただきます。
 円建て比較にあたり、為替レートは2020年1月末の €=120.3円、スウェーデンクローナ=11.32円、US$=109.06円、英国£=142.87円で換算しています。 

 尚、アメリカのTJXやROSSのようなオフプライスストア、また、昨年まで1年遅れの売上高で掲載していた欧州の非公開大手アパレルチェーンC&Aの売上高が掴めませんでしたので、今回から除外しております。

(右の画像は2014年9月訪問時のインディテックスグループ本社正門)

順位 社名 本社;決算期 売上高 前年増減 営業利益 営業利益率 期末店舗数 基幹業態
1位 インディテックス (西;2020.1期) 3兆4028億円 +8% 5740億円 16.9% 7,469 ZARA
2位 H&M (瑞;2019.11期) 2兆6347億円 +11% 1963億円 7.5% 5,076 H&M
3位 ファーストリテイリング (日;2019.8期) 2兆2905億円 +8% 2576億円 11.2% 3,589 UNIQLO
4位 GAP (米;2020.1期) 1兆7867億円 -1% 626億円 3.5% 3,919 OLD NAVY
5位 Lブランズ (米;2020.1期) 1兆4084億円 -2% 281億円 2.0% 2,920 Victoria's Secret
6位 プライマーク (愛;2019.9期) 1兆1132億円 +4% 1304億円 11.7% 373 Primark
7位 ネクスト (英;2020.1期) 6230億円 +3% 1102億円 17.7% 498 NEXT
8位 アセナリテール (米;2019.7期) 5990億円 -16% -742億円 赤字 3,445 Ann Taylor,Justice
9位 しまむら (日;2020.2期) 5219億円 -4% 229億円 4.4% 2,214 しまむら
10位 アメリカンイーグル (米;2020.1期) 4698億円 +7% 254億円 5.4% 1,095 AEO

                                  

以下、ランキングは昨年と大きく変わりはありませんが、1位から5位及び気になるところにコメントさせて頂きますね。

1位のインディテックスは

安定の増収、二けた増益を達成しました。
約65%の売上シェアを占めるZARAの店舗の世界的なスクラップ&ビルドと世界202か国に販売できるオムニチャネルのプラットフォームは整い、2019年度はこれから数年間の飛躍が見込まれるであろう時期の初年度でしたが、あいにく期末に発生した新型コロナショックの拡大とそれによって見込まれる店舗休業、売上減、過剰在庫増に対応して、2019年度に稼いだ利益から在庫評価損を338億円計上しました。これだけの評価損を計上しても、10%を超える利益を上げるのは同社の収益力から来る余裕に他なりません。

2位のH&Mは

屈辱的な3年連続の減益後、二けた増収増益で歯止めをかけました。しかし、その前年増益の営業利益高も、売上高が半分だった10年前の水準にも及ばず、という状態です。2015年くらいを期に、グローバルでも成熟期に入ってしまったと思われるH&M。
新社長(女性)に変わって、これから、ようやく店舗のスクラップ&ビルドとEC強化が進むことになりそうですが、
欧州と中国の苦戦にどう対処するのか、課題は山積みのようです。

3位のファストリは

3年連続の増収増益を好調の中国事業とGUの復活で成し遂げました。
成熟市場のユニクロ国内事業の既存店は辛くも微増、国内の成長はEC次第となります。

4位のGAPは

減収減益、GAPとバナリパのリストラが続きます。
オールドネイビーの分社化を中止し、オールドネイビー出身の女性新社長に今後を委ねます。
リストラ中に関わらず店舗が増えたのは、オールドネイビーの出店と買収したJanie & Jack(キッズ)の店舗が増えたためです。

5位のLブランズは

ヴィクトリアズシークレット(VS)のリストラと事業売却失敗もあり、減収大幅減益です。
売上の6割を占めるVSは既存店-7%で事業赤字。
一方、ヘルス&ビューティのバス&ボディワークス(BBW)は既存店+10%増、営業利益率23%と絶好調。
今後、BBWの分社化を計画しているようです。

以下、めぼしいところを付け加えますと、

6位のプライマークは

増収増益維持も既存店売上は2年連続の減収中と、規模は拡大中も、陰りが見られます。
ドイツが不調、南欧はまずまずの模様。
店舗の増床、減床を行いながら個店の収益体制を整え、ライフスタイル部門の拡充に力を入れています。ちなみに同社はSNSは活用するが、ECはやらないと宣言しています。

7位のネクストは

採算のよい店舗は増床しながら、店舗を減らし、既存店(店舗)売上は‐5.7%も、ECの12%増が寄与して増収増益。
全体の売上に占めるEC比率はほぼ50%となり、営業利益に関してはECの構成比は52%に。
店舗をスクラップ&ビルドをしながら、ECの利便性を強化するとともに、オンライン注文の店舗受け取りであるクリック&コレクト比率は50%を誇ります。
ECと店舗を活かし、他社の商品も運ぶ、自社インフラを生かした物流プラットフォーム化への取り組みに力を入れている段階です。

今回も、ランキングを作成するにあたって目を通させて頂いた、各社の決算書から学ぶべきことは、
インディテックスとNEXTのように、

顧客購買行動の大転換の時代に・・・

出店だけに頼る成長ではなく、

いかに、既存店をスクラップ&ビルドで、
儲かる店舗、役目を果たせる店舗として残すか?
そして、ECと店舗を融合させ、いかに、
店舗を持っている強味を発揮できるか?

更に、構築したオンラインとオフライン(店舗)、そして物流網を・・・
いかに、更なる顧客購買行動の変化を先取りして、利便性の高いプラットフォームとして磨き上げるか?
ということでしょう。

ユニクロも、しまむらも店舗網を持ち、物流をコントロールできる「プラットフォーマー」としてのビジョンを描くごとができれば、
まだまだ国内での伸び代はありそうです。

さて、来年の2020年度のランキングですが・・・アメリカの大手アパレルチェーンはアメリカンイーグルを除いて、業態の成熟期~衰退期という局面とアマゾン・エフェクトもあり、不振業態の整理(バイアウト)、既存店スクラップの嵐です。
そこに2月以降の世界的なコロナショックがのしかかります。
来年は、ランキングが大きく変わることが予想されます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

いつもお読み頂きありがとうございます。


 

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May 11, 2020

ファッション流通企業の決算書から学ぶ(前編)

2019年4月からWWDジャパンの紙面で月イチ連載している
ファッション流通企業の決算書からビジネスのヒントを読み解く

「ファッション業界のミカタ」

今年に入ってからオンラインでも公開になりました。
ちょうど、12か月、一周りしましたので、まとめページをつくってみました。

筆者はこれまで、長年にわたり、各社のプレスリリース、決算報告、各種メディア記事、店頭定点観測、関係者インタビューなど様々な角度から企業分析を行い、クライアント企業さんはじめ、業界の多く方々が、お客様のために、明日のビジネスを切り開くための、実務のヒントを整理して言語化することを続けて来ました。20200511_133950

本連載は特に、経営者様や経営企画系や新規事業開発系のスタッフの方々のヒントになれば、という思いで続けているものです。
ご興味のあるところをお読みいただければ幸いです。

尚、WWDジャパンを定期購読していらっしゃる方は、ログインすれば、無料でお読みいただけますが、そうでない方は1記事100円の有料記事になっていますので、その点はご理解のほどよろしくお願いいたします。

第1回 
決算書に見る最強SPA「ザラ」

テーマ:営業利益、時系列分析
ファーストリテイリング(ユニクロ)を含む、世界トップ5ファッション専門店企業の過去5年間の営業利益率比較をしながら、ZARAのインディテックスグループの営業利益率が競合の4社と比べて落ちない理由を分析してみました。

ファッション業界のミカタVol.1

第2回
アパレルチェーンの代表的な3つの収益モデル

テーマ:ビジネスモデルと損益計算書(PL)
世界ファッション専門店売上トップ10の10社を3つのタイプに大別して、それぞれの特徴と強みであるはずのビジネスモデルを崩すことのリスクについて述べています。ユニクロはZARAになってはいけませんし、しまむらはユニクロになってはいけないのです。

ファッション業界のミカタVol.2

第3回
事業のライフサイクルと営業利益の関係

テーマ:ブランドのライフサイクルを知って成熟期移行に備える
ユニクロとしまむらの長年の売上、店舗、営業利益データを使って
ライフサイクル、特に成長期から成熟期への移行期の見極め方について解説しました。筆者が過去に関与したコンサルプロジェクトでも何度も行った分析で、この考え方は大方当てはまっており、ひとつの仮説としての確信を得ています。

ファッション業界のミカタVol.3

第4回
中国で考えた2階建て店舗PLのススメ

テーマ:オムニチャネル時代の情報発信地としての店舗の損益の考え方
中国に研修講師に行った際に訪問したアリババの「フーマーフレッシュ」というスーパーで、今、日本で進むオムニチャネル時代の店舗の損益および評価の見直し方法のヒントを得ましたので紹介しています。ECは店舗がなければ売上は伸びないことは世界で実証されています。であれば、独立採算であったはずの、事業損益や店舗とECの関係、評価のしかたを見直さなければいけない時代です。少しでもヒントになれば。

ファッション業界のミカタVol.4

第5回
欧州企業の年次報告書から学ぶこと

テーマ:アニュアルレポートに見る企業姿勢
長年、欧米日の大手アパレル専門店のアニュアルレポートを読んでいて、感じたことをまとめたものです。欧州はサステイナブルを早くから全面に出し、アメリカは株主利益優先。日本は業績やビジネスの取り組みアピールが精いっぱい。という時代が続きましたが、日本もサステイナブル経営待ったなし、という感じです。それらの変化を時系列でとらえてみました。

ファッション業界のミカタVol.5

今回はこの辺で、
第6回目以降は次回に続きます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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April 20, 2020

経済小説「アパレル興亡」の書評を書かせて頂きました。

週刊現代 4月11日・18日号の「日本一の書評」に

黒木亮さんの経済小説『アパレル興亡』の書評を書かせて頂きました。

メディアさんからのご依頼で本の書評を書かせていただくのは、実は初めてで、書評評者デビューとなります(笑)

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同作は百貨店向けアパレル大手の旧東京スタイルをモデルに、戦後復興期以降からZOZO全盛までの日本のアパレル産業の歴史についてわかりやすく書かれた小説。

モデルがあるものの、架空の人物たちについて書かれたフィクションながら、実際の世界経済、金融市場の転換期となる事件を背景に、実際のアパレル産業の栄枯盛衰と重ねてあわせてストーリーが展開され、実在の人物も実名で結構登場するので、すべてが実際にあったかのように錯覚してしまうリアリティーを感じる内容です。

今となっては、高度経済成長期~バブル期を中心としたブラック甚だしい内容ですが(笑)、

前半、中盤、後半と入れ替わる主人公のそれぞれの世代に応じた、屈辱や不合理に感じた原体験がその後に自分自身を突き動かす原動力になる展開が最も印象に残るところです。

業界に携わった方にとっては、それぞれの体験と重なるところが少なからずあり、懐かしく思われることでしょう。

ブログ筆者にとっては、

服飾専門学校講師だった亡き母による、戦後、既製服普及前は服は家庭で縫われていたもの、という話や、

商社アパレル部門新入社員のころ(88年)に大先輩方に聞かされた、日本製ブラウスのアメリカ売り込み武勇伝が思い出され、

また、

バブル期から2010年代までの間は、90年代のOEM営業、00年代の小売チェーン勤務時代に実際に体験したこと、
周りで起こっていたことが想起されました。

ある意味「誰がアパレルを殺すのか」の小説版。

そして、これからの未来を考えるには、是非「アパレル・サバイバル」をお読みいただければと思います。

以下、週刊現代に掲載された書評の抜粋をご紹介します。

・本書は、日本のM&A時代の幕開けである2000年代初めに起きた、大手アパレルメーカー旧・東京スタイルと「物言う株主」村上ファンドの攻防をモデルとした小説。筆者はその攻防を徹底取材した経済小説家。

・物語は戦後復興期から始まり、バブル経済崩壊後までの百貨店全盛期を経て、カテゴリーキラーと呼ばれる専門量販店やユニクロのようなSPA(アパレル製造小売業)が躍進し、ファッションECモール大手・ZOZOTOWNの成長が続く2015年頃までをカバー。

・90~00年代の百貨店の凋落を、関係者たちへ丹念に取材、分析した17年のベストセラービジネス書『誰がアパレルを殺すのか』の小説版。

・前半は地方出身の叩き上げの創業者、メインの中盤はコンプレックスが強く、金の亡者である中興の祖である2代目社長、後半は打たれ強い腕利き商品企画マンと、3人が主役として入れ替わる展開。

・メインの登場人物や企業は架空の名になっているものの、現実の国内外における経済情勢を背景にしながら、実在する企業名や著名人を登場させることによって、本書で語られていることのすべてが事実だったのではないか、と錯覚するほどのリアリティを感じさせるフィクション。

・高度経済成長期から90年代のバブル崩壊前後までに社会人になった読者のなかには、モーレツ社員による営業成績争いや体育会系の社風に、ノスタルジーを感じる人も少なくないだろう。一方で、バブル期を知らない世代には、今ではブラック企業と切って捨てられる、あり得ない残酷物語のオンパレードに感じられるかも知れない。

・社会人としての原体験、不合理に感じた悔しさこそが、厳しいビジネスシーンの中でも周年を持って自分自身を突き動かす原動力になる――それが筆者の伝えたかったメインテーマのひとつであろう。

・また、日本の産業発展の裏舞台で、総合商社や銀行が果たして来た役割もわかりやすく描かれているところも筆者ならではだ。

・日本のアパレル市場は金額規模の縮小とともに斜陽産業と呼ばれるが、今でも食品、飲食に続く消費者の購買頻度の高い巨大マーケットのひとつだ。そんな日本のアパレル産業の歴史を短時間で概観でき、ますます激しさを増す生き残り競争の中で次にはどんな切り口の革新者が登場して市場を変えて行くのか? 未来を考える上でも読み応えのある一冊。

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 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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【+オススメ本】過去50年のファッション市場を流通革新10年周期説で振り返りながら、これから10年の未来の流通革新を考えるビジネス書です




 

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November 06, 2019

お気に入りのアイテムと長く付き合う~ロンドンのトレンドスニーカーチェーンもクリーニングサービスにフォーカス

11月5日の繊研新聞6面、繊研教室の「知見 知恵 知行」にブログ筆者のコラムが掲載されました。
テーマは「お気に入りを長く使う」。

Size

 

サステイナブルというキーワードが流行りのように使われています。

エコな素材を使ったものづくりをしたり、不要品を回収することも、つくり手、売り手企業にとってはその一環としてありですが…

顧客が「気に入ったアイテムを上手に手入れをしながら、長く付き合ってもらうことを啓発する」こともひとつではないかと思います。

 

コラムでは夏にインスピレーショントリップで渡航したロンドンの定点観測地のスニーカーショップ「SIZE?」
ショップの一角でJason Markkのスニーカークリーニングサービスカウンター設置をしていたのを見て感じたことを書きました。

SiZE?はその時々のホットなストリート系スニーカーを販売するだけでなく、ポップアップコーナーには
ホットなテーマのコーナーをつくることで知られています。

前回(2017年夏)はクリック&コレクトの受取コーナー

今回はスニーカークリーニングサービスカウンター(2018年のはじめからだそうです)

時代の流れ、お客さんの気持ちをしっかりとらえているところに関心しました。

 

拙著「アパレル・サバイバル」の中でもオンライン完結型クリーニングサービスの「Lenet リネット」さんが
服をただきれいに洗って戻すだけではなく、できるだけ新品状態に近づけてお客さんに戻す
プレミアム仕上げ加工を売りにして会員数を伸ばされていることを紹介しています。

これからは新品を売るだけでなく、お気に入りを大切にすることをお手伝いすることも

ファッション企業の重要な役割になりそうです。

 

【オススメ本】 欧米の最新デジタルショッピング事情、日本の10年後を未来から逆算して考える視点、それらを示唆する事例を取り上げて日本のファッションショッピングの未来を考えました。



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February 19, 2019

これから10年のファッション消費を考えるビジネス書「アパレル・サバイバル」発売

 筆者3冊目のビジネス書となる

 「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞出版社)

 が今週2月21日(木)に発売、書店の店頭に並ぶことになりました。


 前著「ユニクロ対ZARA」(2014年初版;リンクは2018年更新文庫本)では

 21世紀の勝ち組モデルとして

 ユニクロのベーシック衣料型SPA(アパレル製造小売業)と
 ZARAのトレンドファッションを低価格で販売するファストファッション型SPAの

 それぞれのビジネスモデルを比較することによってアパレルビジネスの構造や急所を解説させて頂きました。

 同著の初版から4年、

 日本でファストファッションブームを巻き起こしたH&Mの上陸から10年が経過し

 あらたな流通革新が起こっているのはお気づきの通りです。

 今回の流通革新は

 オフラインからオンラインへ

 企業から消費者へ
 
 価格から時間へ

 と主戦場と担い手が変わり、テーマも変わって行く大きな転換期なので

 変化のスピードはこれまで以上に速くなることでしょう。

 筆者は日本において、新たな流通革新が欧米の後を追いながら10年周期で起こると見て・・・

 ファストファッションブーム後から海外の動向を観察して来ましたが

 欧米で起こり始めたその波がいよいよ日本にもやって来たように感じています。

 本書のメインテーマは

 「ショッピングのデジタルシフト」

 「溢れるクローゼットの持続可能な循環」

 です。

 英米の先進事例の店頭体験で感じたインスピレーションをもとに

 生活者のショッピングのお困りごと起点で整理して仮説を立て

 オンラインで芽生え始めたショッピング革新の事例を多数取材して

 書き上げました。

 未来を語るので賛否両論あろうかとは思いますが(笑)

 本書がきっかけとなり

 過去の延長線上ではなく、

 生活者のお困りごと起点で

 未来の理想の状態(ビジョン)を描きながら

 そこから逆算する形で

 新しい、斬新な革新の議論が始まることを期待して問題提起をしています。

 出版社さんのご意向もあり挑発的なタイトル・表紙になっていますが・・・(笑)

 未来を前向きに考えるための一冊に仕上げたつもりです。

 店頭でお見かけになりましたら是非お手に取っていただければ幸いです。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから


 

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July 03, 2018

「ユニクロ対ZARA」の文庫本が日経ビジネス人文庫から発売

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 ブログ筆者である 齊藤孝浩(タカ サイトウ)が執筆し、2014年11月に発売された「ユニクロ対ZARA」がこの度 文庫本として発売されることになりました。

 「ユニクロ対ZARA」(日経ビジネス人文庫)
 
 本日Amazonで発売開始、明日には全国の書店の文庫本コーナーに並ぶと思います。

 おかげさまで旧版は2014年から2015年にかけてビジネス書のベストセラーとなり、

 訳本が台湾、香港、中国本土でも発売され、多くの出会いの機会を頂きました。


 文庫化にあたり、数値は両社の最新決算のものに置き換え
 
 4年間の動向を踏まえ、最終章の未来予測のところを書き換えました。

 書き換えを通じて、筆者も両社がこの4年間で着実にパワーアップしていることを思い知らされたものでした。

 ユニクロはベーシック商品の商品管理のベストプラクティス、

 ZARAはトレンドファッションの商品管理のベストプラクティス

 だと思っていますので、両社のオペレーションはシーズン性のあるアイテムを扱っていらっしゃる小売業の方々には業界問わず、参考になると思います。

 また、両社とも、明確な経営ビジョンを持ち、企業経営をする企業のグローバルレベルのお手本でもありますので、

 アマンシオ・オルテガさん、柳井正さんの経営信念からも刺激を受けて頂けると思います。

 文庫本になって、更に読みやすく、 携帯しやすくなっておりますので、

 書店で見かけたら是非お手に取って下されば幸いです。


 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
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October 05, 2017

ZARAのインディテックスグループ、サステイナブル経営からインフラ投資への好循環

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 先週、東京ビッグサイトで開催されたIFF MAGIC (インターナショナルファッションフェア)2017秋展において 2009年以降 世界のアパレル専門店の中で売上、利益とも世界一をキープし続けているZARA(ザラ)を展開するインディテックスグループの直近の取り組みについて講演をさせていただきました。

 拙著「ユニクロ対ZARA」(2014年11月日本経済新聞出版社) 出版直後の IFF 2015春展でも講演をさせていただきましたが、

 その時の講演の様子は YOUTUBEでご覧になれます。 

 あれから2年半が経ち、ZARAがその強さを確固とするために取り組んで来た

 サプライチェーンマネジメント、オムニチャネルリテイリング、サステイナブル経営の3つのキーワードについてお話しさせていただいたものです。 

 ひとつ目のサプライチェーンマネジメントに関しては、

 品揃えの65%にあたるトレンド商品はスペイン近隣国で生産し、残りの35%のベーシックをアジアにアウトソーシングする「ハイブリッド型生産ポートフォリオ」の強みについて。 

 そして、前者の近隣国で実践している「スケーラビリティ」が追求できるサプライチェーン工程の内製化と設備投資についてのお話しをしました。

 アパレルの原料・素材が製品となって店頭で販売されるまでのサプライチェーンの工程のうち、多くの競合他社がその多くをアウトソーシングしているのに対し・・・

 ZARAでは多くの工程を内製化し、自らコントロールしていることで知られています。

 しかし、何でもかんでも内製化しているのではなく、確固としたポリシーがあり・・・

・どこでもつくることができるベーシック商品や

・トレンド商品に関しても縫製(アッセンブル)工程
 
 はアウトソーシング(外注)しながら・・・ 

 その一方で、「スケーラビリティ」が追求できる、すなわち、機械化、自動化、IT化によって効率化が図れる工程やインフラ設備については積極的に投資を行い、自前で抱え、磨きをかけて来たのです。

 「スケーラビリティ」とは規模を拡大するほど単位あたりのコストが安くなることを意味します。

 ZARAは目先のコスト削減を問題にするのではなく・・・

 その出自である製造業的発想を持ち、むしろ自前で抱えた方がメリットがあると判断したものは、投資をすることによって、中長期的に生産性を上げて行く、単位あたりのコストを下げて行くことを重視する企業であることに・・・

 今回の講演資料をまとめていて、あらためて気づき、感心したものでした。

 関連エントリー- ユニクロが挑むハイブリッド型マーチャンダイジング


 ふたつ目は、ZARAが2年前から経営方針として取り組む いわゆるオムニチャネルリテイリング、

 Seamlessly integrated online-offline store model   実現に向けてのお話です。

 日本ではEC強化が叫ばれることはあっても、ほとんどの企業が、まだまだオムニチャネル化どころか、マルチチャネルつまり、同じ商品を売っていても、直営店とECが関連性の薄い別々の販路である状態から抜け出せていないのが現実です。

 一方、ZARAが提唱する このSeamlessly integrated online-offline store model というフレーズは 

 「オムニチャネル」という言葉より・・・ オンラインを活用して、どういうお店を目指しているのかがわかりやすくていいですよね、

 そしてそのポリシーの下、同社は着実にその方向に向かっているのがわかります。

 ZARAはこの経営方針に近づくため、

 ・クリック&コレクト(オンライン注文商品の店舗での受け取り)を推奨し、
 (オンライン商品の店舗受け取り比率66%)

 ・顧客の利便性を追求したオムニチャネル対応スマホアプリ”InWallet”を自社開発して普及を始め、

 これらの取り組みを促進するために

 ・RFIDの世界のZARA全店舗への導入を完了し、店舗作業を軽減させながら、在庫データの精度を高めています。

 関連エントリー- ZARA(ザラ)のテクノロジー活用はあくまでも店舗への集客第一・店舗作業軽減が目的


 そして、最後にサステイナブル経営です。

 同社は持続可能な成長を行うために、グローバル企業の中でもいち早く、2002年からサステイナビリティレポートを発行しています(アニュアルレポートに組み込んで本格的に取り組んだのは2005年度から)。

 そして、2015年からは 国連加盟国が2030年までに理想の世界をつくるために合意した、国家や企業が目指すべき17の開発目標=サステイナブル・ディベロップメント・ゴール(SGD’s)に沿って自社の経営の優先事項を決め、その進捗状況を毎年アニュアルレポート(年次報告書)で発表し始めました。

 サステイナブル・ディベロップメント・ゴール(SGD’s)とは


 このSDG’sとは旧来型のコーポレートガバナンスやCSR(企業の社会的責任)への取り組みをより進化させて・・・多くのグローバル企業が取り組み始めたサステイナビリティ経営のガイドラインのようなもので、

 ユニクロのファーストリテイリングも2016年から4つの目標に取り組み始めましたが、ZARAのインディテックス社では17の目標すべてを自身の企業活動に関連づけてレポートしています。

 特に、同社の取り組みがわかりやすいなと思ったのは・・・

 多くの企業が従来のCSRの延長で行っている・・・店頭から遠く離れたところで行われているような・・・環境保護や取引先の人権・労働環境監視や慈善活動などに取り組むだけでなく、

 店頭からお客さまにも見える、事業そのものと結びつけて、とてもわかりやすい取り組みでSDG’sの目標に向かっていることです。

 例えば、 

 ・ RFIDやアプリなどのIT投資をしていることも、お客様と持続可能な、長いお付き合いをするために、お客様のお買い物環境をより便利に快適にするための投資であるという説明であったり、 

・ 環境にできるだけインパクトを与えない素材を使った商品開発=ZARA JOIN LIFE コレクションに力を入れていることだったり (現在 全売上の5%に相当するまでになったそうです)

・ 商品の配送販売に使用される資材(ダンボール、ハンガー、セキュリティタグなど)のリサイクル・再利用を徹底することであったり

 店舗や商品やお客様の買い物環境の改善も2030年までに実現すべき理想的な状態に組み入れて、取り組んでいます。

 目先の業績だけに追われるのではなく、10年以上も先である2030年の理想の姿から逆算して今やるべきことを考えるなんて・・・さすが、トップを走る企業の余裕ですよね。

 そして、ZARAはその安定的な成長率や高い利益率だけではなく・・・

 長年、サステイナブル経営に取り組んでいる、その企業姿勢が世界の機関投資家から大いに評価され、サステイナブル経営を行う企業に積極的に投資するというコンセプトの世界のESG投資からたくさんの資金を集めています。
 
 その資金が、同社の株式時価総額を12兆円超にまで押上げることにつながり・・・
 
 時価総額3兆円台のH&Mやファーストリテイリングとは4倍もの差をつける結果となっています。

 これらの株主から集めた資金は当然、ZARA始めインディテックス社のブランドのサプライチェーン、物流、IT強化のための更なる投資の原資となり・・・

 ますます競合他社を引き離す収益性を生み出すための強いインフラ基盤が着々と整って行くという話につながります。

 この サステイナブル経営⇒ 株式時価総額アップ ⇒ インフラ投資 ⇒ 収益性の向上 

 の循環を作り上げた同社の経営スタイルは しばらくは敵なしというところではないでしょうかね。

 関連エントリー ZARAインディテックスグループのサステイナビリティ経営

 関連エントリー-ZARA(ザラ)のデマンド型ファッションバリューチェーン


 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 本書を通じて お客様のためにIT、物流インフラ投資を続けて来たZARAのポリシーに触れていただければ幸いです。 
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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