November 06, 2019

お気に入りのアイテムと長く付き合う~ロンドンのトレンドスニーカーチェーンもクリーニングサービスにフォーカス

11月5日の繊研新聞6面、繊研教室の「知見 知恵 知行」にブログ筆者のコラムが掲載されました。
テーマは「お気に入りを長く使う」。

Size

 

サステイナブルというキーワードが流行りのように使われています。

エコな素材を使ったものづくりをしたり、不要品を回収することも、つくり手、売り手企業にとってはその一環としてありですが…

顧客が「気に入ったアイテムを上手に手入れをしながら、長く付き合ってもらうことを啓発する」こともひとつではないかと思います。

 

コラムでは夏にインスピレーショントリップで渡航したロンドンの定点観測地のスニーカーショップ「SIZE?」
ショップの一角でJason Markkのスニーカークリーニングサービスカウンター設置をしていたのを見て感じたことを書きました。

SiZE?はその時々のホットなストリート系スニーカーを販売するだけでなく、ポップアップコーナーには
ホットなテーマのコーナーをつくることで知られています。

前回(2017年夏)はクリック&コレクトの受取コーナー

今回はスニーカークリーニングサービスカウンター(2018年のはじめからだそうです)

時代の流れ、お客さんの気持ちをしっかりとらえているところに関心しました。

 

拙著「アパレル・サバイバル」の中でもオンライン完結型クリーニングサービスの「Lenet リネット」さんが
服をただきれいに洗って戻すだけではなく、できるだけ新品状態に近づけてお客さんに戻す
プレミアム仕上げ加工を売りにして会員数を伸ばされていることを紹介しています。

これからは新品を売るだけでなく、お気に入りを大切にすることをお手伝いすることも

ファッション企業の重要な役割になりそうです。

 

【オススメ本】 欧米の最新デジタルショッピング事情、日本の10年後を未来から逆算して考える視点、それらを示唆する事例を取り上げて日本のファッションショッピングの未来を考えました。



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October 11, 2019

「その一品をお客様の手に届ける情熱」を。オムニチャネル、O2Oを在庫視点で語り合う

先日、クラウド在庫管理システム、ロジザードの金澤社長とガチな在庫トーク(対談)をさせていただき、その様子を記事にして頂きました。

販売期間が短いファッション商品に在庫の苦労はつきものです。

リンク先の記事には対談した2人のこれまでの在庫にまつわる実務の苦労話が満載です。
みなさんが在庫とどう向かい合うかのヒントになれば幸いです。

経営ポリシー、社風、そして、商売人として・・・在庫管理の基本動作ができていれば、
デジタル化時代はますます、お客様のために的確にそしてスピーディに商品をご提供できる時代

そんな時代を迎えて、未来にわくわくしています。

よろしかったらお読みくだされば幸いです。

記事はこちら

「その一品をお客様の手に届ける情熱」を。オムニチャネル、O2Oを在庫視点で語り合う

 Stocktalk

【オススメ本】デジタル化が進み、ますますお客様が欲しい商品にたどり着く可能性、スピードが高まっています。そんな世界的な潮流を背景に10年後の未来を想像して紹介しました



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September 30, 2019

ロンドンで進化するクリック&コレクトと通販受け取り拠点の多様化

8月の後半に毎年恒例の夏のインスピレーショントリップで
ロンドン、ヘルシンキ、タリン(エストニア)に行って来ました。

ロンドンで気づいたことをひとつご紹介します。

拙著「アパレル・サバイバル」の中でも話題にした
「クリック&コレクト」はオンライン注文の店舗受け取りのこと。

オンラインショッピングが普及し、決して便利とは言えない英国の宅配事情を補完するために・・・
店舗をもつ小売業が顧客の都合のよい店舗で送料無料で受け取ることができるのがイギリスです。

2年前のロンドン視察では多くの百貨店、アパレルチェーンで
顧客が夜までに注文すれば、翌日の昼過ぎには指定店舗で受け取ることが出来るサービスがすでに標準化しておりました。

今回も高級百貨店のセルフリッジや受取店舗を持つ通販大手アルゴスを利用して
実際にクリック&コレクトの利便性を確認する一方で、

ショッピングのデジタルシフトの新たな展開に気がつきました。

それは通販専業会社が第三者と組んで街の中での店舗受け取りを可能にしていたことです。

Amazon UKは数年前から英国内で顧客が通販商品を
無人で受け取れる「amazonロッカー」の設置を進めて来ましたが、

ここ1年でスーパーマーケットチェーンやアパレルチェーンの店頭で注文商品が受け取れる「amazon hubカウンター」の取り組みを始めたのです。

amazon hubについて

その拠点のひとつとして手を組んだのが

国内500以上の店舗と独自の翌日物流網を敷く
売上高英国第2位の大手アパレルチェーン NEXT(ネクスト)です。

ファーストリテイリングの柳井会長もユニクロ創業時に研究したことで知られる

SPA(アパレル製造小売業)の先輩企業であるネクストは早くから通販に取り組み、

現在では売上高の40%以上をオンライン売上で稼ぎ、その過半が店舗で受け取られています。

また、その店舗網物流網の強みを活かし
自社ブランドだけではなく、他社ブランドも通販で取り扱い、

自社物流、自社店舗受け取りのクリック&コレクトと同じインフラに乗せる
プラットフォーマーになっていました。

そして今年の5月にネクストはAmazon UKと同社販売商品の受け取り拠点である
amazon hubカウンターとしての業務提携をしたのです。

ネクストは当時、来店客増と店舗の活気づくりのため

というプレスリリースをしています。

筆者も実際にAmazonショッピングアプリをUKモードに変えて
2つの商品を注文したところ、翌日の午後にネクストの店頭で受け取ることが出来ました。

Next-amazonhubcounter

このamazon hub カウンターの事例以外にもイギリスのZOZOTOWN的存在である
アパレル通販専業のASOSやBoohooも

Collect Plusというサービスと組んでイギリス全国の取次店7,000拠点で
オンライン注文の街中店舗受け取りが可能となっています。

Collect Plusについて

 

・通販専業企業に街中での受け取り拠点が増えること

・旅行者が渡航先でも、Amazonで買い物をして近隣店舗で商品が受け取れるという
 ショッピング環境

 

この2つの現象はオンラインショッピング普及をますます促しそうですし、
今後日本でも起こりそうな予感がします。

関連エントリーーロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える

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August 02, 2019

顧客が求める価格でどこまで品質、価値を上げることができるかにチャレンジする

ようやく梅雨が明けたところですが、夏のバーゲンもピークを過ぎ、
店頭の服の価格も在庫も乱れる時期ですね。

お盆を過ぎれば秋の新作プロパー品を店頭に並べ始めるところが増えますが、
当然、すぐに売れるわけではありません。

売れない理由を残暑のせいにするかも知れませんが、
そもそも立ち上がりの秋のプロパー価格が
夏のバーゲン価格よりも各段に高いわけで・・・

来店するお客さんたちは、気温以上にその価格差に対して、
拒絶反応を示していることも売れない大きな要因だと毎年感じるものです。

ですから、どんなに「いい商品」をつくって並べようが・・・
バーゲン価格商品を店頭から引き揚げてから
少なくとも2週間は間を置かないと秋物は売れ始めないというのが
長年、店頭現場や販売データを見てきて感じるところです。

7月29日の日経MJにワークマンの小浜社長の商品開発に関するインタビュー記事が掲載されていました。

記事は価格政策、プライスポイント(最多価格帯)の話から始まります。

(以下「   」内 引用)

小浜社長は「作業服屋としてのプライスポイントがある」と語り、

「Tシャツで最も売れるプライスポイント(最多価格帯)は500円、販売価格が1500円になると売上が急激に落ちる。」

「数を売りたいのだから当然プライスポイントを狙って行く」

「レインウエアーであれば数が売れるのは1900円、2900円、そこで差別化しようとしても限界がある。
 いくらまでならいけるかというと、過去のデータでは5800円ですごく(売上数)が落ちる。
 でも4900円だったら魅力があれば選んでもらえるギリギリのライン。
 じゃあその4900円でどこまで良い物ができるか挑戦したのが、『R006』という今売れているカッパなんです」

と続けます。

(以上 「  」内 引用)

 確かに、以前、ワークマンプラスの店頭で、このレインウエアーR006を手に取ったことがありますが、

 R006 透湿レインスーツSTRETCH

 名の知れたアウトドアブランドであれば20,000円は下らないだろうクオリティに感心をしたのを覚えています。

 今回の記事を読んで、

 当たり前のことかも知れませんが、顧客に支持されているチェーンというのは、

 ただ安さを追求するのではなく・・・

 品種別に顧客が求める価格、プライスレンジ、プライスポイントを分析・検証した上で、

 その設定に対してベストを尽くしているのだな。とあらためて感じたものでした。

 

 価格政策と言えば・・・

 2017年に拙著「ユニクロ対ZARA」の中国語翻訳版が中国本土で出版されたおかげで、昨年、今年と中国の大手、中堅アパレルチェーン幹部の方々向けの研修講師としてアパレルチェーン本社が集中する中国の杭州や広州に呼んで頂くことが多くなりましたが、

 丸2日間の研修の中で、聴講者から最も反応がよいコンテンツのひとつが ユニクロとZARAの価格設定に対する考え方です。

 中国では、「定倍率」と言って、

 原価の4倍とか、5倍とか、コストに一定倍率をかけて販売価格を設定することが多いようです。

 一方、ユニクロやZARAのような人気チェーンストアは、
 例え「ファッション」と言えども、

 品種別に顧客が自ブランドに対して求めているプライスポイント(最多価格帯)を把握し、商品開発の前にまず、売値=販売価格を先に決めます。(決め方はユニクロとZARAで違います)

 そのプライスポイントをお客様との暗黙の「約束価格」と定め、毎シーズン、ブラさない

 そして、その販売価格=プライスポイントの範囲内で、どうしたらお客さんに満足してもらえる品質や価値を実現しながら、企業側としても利益もしっかり残せるかを考えながら商品開発に入る

 という手順を原則としています。 

 言わずと知れた、チェーンストアの「プライスポイント戦略」です。

 もし、販売価格を定めずに、商品開発から先に入り、

 コストプラス(販売価格をコストの何倍にするか?)的に原価積み上げ式で販売価格を決めて・・・

 毎シーズン 作り手の都合でプライスポイント(最多価格帯)が変わる、

 時にはお客様に手が出しづらい、あるいは、
 
 ちょっと高くて迷わせてしまう価格になってしまう。

 原価がそうなったのだからしかたない、と決め込んで販売する。

 そうすると、顧客は期待よりも価格が高いので、手が出ない、

 企業は売上が芳しくないため、値下げを始め、ようやく顧客が納得する価格になった時に売れ始める

 顧客はすぐに値下げになると考え、ブランド側は値下げしても利益が取れる、原価率の低いもののつくり方を考える。

 そんなことを今でも繰り返しているアパレル専門店は中国に限らず、日本でも少なくないようです。

 これに対して、最初から顧客が望む、納得して買える価格設定をしてその制約の中でベストを尽くしながら商品開発を始めるチェーンの方が、断然コスパが良く感じられ、結果、値下げ総額は少なく済む、というのはZARAやユニクロなど、勝ち組チェーンストアが実証しているようです。

 今でも、タイムセールやクーポンやバーゲンセールなど値下げ販促施策に耐えるために安い原価(低原価率)でつくることを考え、
結果、商品の品質を下げて、値下げをしなければ売れない面(ツラ)の商品を店頭やオンラインに並べてしまう悪循環に陥っているブランドが絶えないようです。

 そうではなく、まずは、顧客が望む(アフォーダブル)価格を探り、その顧客との暗黙の「約束価格」で

 どれだけ良い商品をつくれるかにチャレンジしてみる。

 それこそが、今、サバイバル時代に求められている商品開発手法の王道ではないか、

 とあらためて感じる今日この頃です。

 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 

 【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

いつもお読み頂きありがとうございます。

 

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June 24, 2019

ショッピングのデジタルシフト時代には店舗損益を「2階建て」で考えよ

5月に中国企業向け研修に講師として伺った際に
中国・杭州でいくつかのニューリテール体験をする機会がありました。

そのひとつがメディアで話題のアリババが展開する生鮮食品スーパー、
フーマー・フレッシュ(フレシッポ)です。

この事業、
当初、坪あたり売上高をスーパーマーケットの業界水準の倍にすることを
存続条件にスタートした事業だそうです。

事業責任者は常識外の高い目標に、
オンラインをフル活用して事業を構築することを考えました。

店舗は品揃えの豊富さと生鮮食品の新鮮さ、そして美味しさを体験する場所と位置付けました。

訪問してみると、日本の紀伊国屋のような、輸入食材も豊富な高級スーパーの品揃え。

鮮魚は生け簀(いけす)に泳ぐ元気な魚介類を中心に販売します。

店舗内のフードコートでは購入した鮮魚の調理もしてもらえ、出来立て料理が美味しく味わえます。

店舗で商品の品質と鮮度を体験し、不安が払拭されて信頼した消費者には・・・

忙しい時には来店せずともオンライン注文してもらえればスピード宅配するサービスを提供しました。

店舗の中ではオンライン注文された商品を軽快な動きでピックアップして保冷バッグに詰め込むスタッフの姿、

そして、ピックアップ後の商品が入った保冷バッグが天井レールを伝わって配送エリアに吸い込まれて行く様も
あえて来店客に見せるための演出なのでしょう。

顧客の購買心理とライフスタイルのために考え抜かれた生鮮スーパー

その結果は・・・繁盛店の店舗売上にそれ以上のオンライン売上が加算されることにより、

実質、坪当たり売上高は業界水準の倍以上になり、現在、中国都心部で多店舗化を進めているとのことです。

顧客はオンラインで情報を取り、
オフラインの店舗で商品を確認し・・・

店舗で買うか、オンラインで買うかは顧客の都合で決めるのが常識となった時代。

そんな時代に、日本でも店舗単体の損益にかつてとは違った厳しい異変が起こっています。

だからといって不採算店舗を閉鎖すると、その店舗近隣客からのEC売上も減るというのは
先行するアメリカの話。

それだけ、店舗とオンライン売上は密接に関連しているのですよね。

 

企業は、顧客の購買行動にあった新しい買い方を提案するだけでなく・・・

それぞれの損益も関連付けて評価して行かなければ

店舗も店舗スタッフも正当な評価がされず報われないままに終わってしまいそうな時代。

 

例えば、店舗で見たあとにオンラインで売れたものは、
店舗の売上・粗利にオンラインの関連売上および粗利を加算した上で
「2階建て」損益を考える発想が必要になったのではないか?

これからそれらの売上を裏付ける、商業施設との家賃契約やカウントするための技術的な議論や投資を進める必要がありますが、

中国の生鮮スーパー、フーマー・フレッシュの成功事例は

新しい時代には、これまでとは全く常識の違う発想をする必要があることを
教えてくれているのではないか?

そして、デジタル化は遅かれ早かれ、それを可能にするはずと感じたものでした。

追記 これらの詳しい話はWWD2019年7月8日号 「ファッション業界のミカタ」でも触れています。

【オススメ本】 おかげさまで3刷!中国語繁体字への翻訳も進行中です。欧米の最新デジタルショッピング事情、日本の10年後を示唆する事例を取り上げました

 

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February 19, 2019

これから10年のファッション消費を考えるビジネス書「アパレル・サバイバル」発売

 筆者3冊目のビジネス書となる

 「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞出版社)

 が今週2月21日(木)に発売、書店の店頭に並ぶことになりました。


 前著「ユニクロ対ZARA」(2014年初版;リンクは2018年更新文庫本)では

 21世紀の勝ち組モデルとして

 ユニクロのベーシック衣料型SPA(アパレル製造小売業)と
 ZARAのトレンドファッションを低価格で販売するファストファッション型SPAの

 それぞれのビジネスモデルを比較することによってアパレルビジネスの構造や急所を解説させて頂きました。

 同著の初版から4年、

 日本でファストファッションブームを巻き起こしたH&Mの上陸から10年が経過し

 あらたな流通革新が起こっているのはお気づきの通りです。

 今回の流通革新は

 オフラインからオンラインへ

 企業から消費者へ
 
 価格から時間へ

 と主戦場と担い手が変わり、テーマも変わって行く大きな転換期なので

 変化のスピードはこれまで以上に速くなることでしょう。

 筆者は日本において、新たな流通革新が欧米の後を追いながら10年周期で起こると見て・・・

 ファストファッションブーム後から海外の動向を観察して来ましたが

 欧米で起こり始めたその波がいよいよ日本にもやって来たように感じています。

 本書のメインテーマは

 「ショッピングのデジタルシフト」

 「溢れるクローゼットの持続可能な循環」

 です。

 英米の先進事例の店頭体験で感じたインスピレーションをもとに

 生活者のショッピングのお困りごと起点で整理して仮説を立て

 オンラインで芽生え始めたショッピング革新の事例を多数取材して

 書き上げました。

 未来を語るので賛否両論あろうかとは思いますが(笑)

 本書がきっかけとなり

 過去の延長線上ではなく、

 生活者のお困りごと起点で

 未来の理想の状態(ビジョン)を描きながら

 そこから逆算する形で

 新しい、斬新な革新の議論が始まることを期待して問題提起をしています。

 出版社さんのご意向もあり挑発的なタイトル・表紙になっていますが・・・(笑)

 未来を前向きに考えるための一冊に仕上げたつもりです。

 店頭でお見かけになりましたら是非お手に取っていただければ幸いです。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから


 

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January 31, 2019

最近、変化のスピードが速く感じる訳

 昨年2018年はビジネスシーンにおいて、変化のスピードがいつになく加速したと感じました。

 理由を考えると・・・

 ひとつは

 パラダイムシフト(時代の大転換期)の年だったことでしょう。

 ファッション流通においては

 2008年のH&Mの日本上陸から始まったファストファッションブームから10年目の節目

 新しい芽に対して早くから気づいた企業、外資企業などが一気に動いたせいでしょうか。

 キャッシュレスへの動きなど金融界の動きも速かったですね。

 ここは日銭を稼ぐ流通業とも関係は深いです。

 何より

 流通の主役の入れ替わりが大きな要因でしょう。

 ファッション流通も過去を振り返ればわかるように

 マーケットリーダーの業務サイクルは業界のスピードに大きく影響を及ぼすものです。

 20世紀はメーカーとの交渉の時代

 メーカーはシーズンサイクル 月単位で仕事をしていました。

 メーカーの営業現場は月末までにどう小売業に商品を押し込んで売上を立てるかが肝でした。

 21世紀に入り、小売業、特にSPAの時代になると、

 店頭が重視されます。

 小売業は月予算に基づき、週単位の計画を日割で実行しますから、

 メーカーよりもサイクルは短く、スピードは速くなります。

 どう週末に売り上げるか?どう月末までに在庫の中身を入れ替えて店頭鮮度を保つか?に手を尽くします。

 このメーカーと小売業の業務サイクルの違いから来る発想や行動の違いは、

 10年以上前にブログでも触れて共感を頂いたのを思いだしましたのでご紹介しておきますね。

 流通段階と仕事の発想、サイクルの違い

 そして、近年、リーダーシップを取り始めたのはオンラインを主戦場とする企業です。

 企業の出自にもよりますが、言わずもがな

 オンラインは日次単位どころかリアルタイムで生活者と相対しています。

 営業時間の制約も少ないですし、

 さらに接点がSNSやチャットであれば

 通常のオンラインビジネスよりも即時性を求められます。

 業務サイクルが

 週・日 から 時間帯・限りなくリアルタイムへと短くなって、

 その分、スピードが増しているという訳です。

 そうすると、人がやり切れないスピードをテクノロジーによる機械化に任せる必要がありますね。

 主体がオンライン企業になったというのは実は誤解で・・・

 実際には、スマホと高速通信インフラを手にした生活者自身になったと見るべきでしょうね。

 そして、

 その期待のスピードに合わせることができるオンライン活用企業の時代になった

 が正解だと思います。

 今のところ、その先端を行くのがAmazonらプラットフォーマーなのでしょう。

 昔は良かったね・・・と言ったところで、

 一度高速化したスピードは後戻りしないでしょう。

 だから、変化に対応しなければ・・・変わり続けなければ・・・生き残れない

 どんな仕事もテクノロジーの進化のご利益を活かして

 スピードに乗り遅れないように努めるという理解が必要でしょう。

 ただ、誤解してはいけないのは

 変わるのは利用するプラットフォームだけ

 時代に合ったプラットフォームに乗り換えながらも、

 最後にそれを活かすも殺すも、ヒト次第です。


 常に学び成長する謙虚さ

 信念をもってやり遂げる力

 それを突き動かす原体験

 伝える情熱、続ける執念

 2月下旬に発売することになった3冊目の新刊の取材にあたり

 国内外の多くの起業家=Entrepreneurの方々から刺激を受け

 あらためて気づかされたことです。

 今年もあっという間に1ヵ月が経過しましたね。

 さあ、みなさんは今年をどんな年にして行くと決めましたでしょうか?

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから
 
 【おススメ本】

 これまでの勝ち組も時代に合わせて変化に取り組んでいる様がわかります。
 やはり世界一のZARAは新しい波にもいち早く取り組んでいることもご紹介しています。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

 【お知らせ】

 筆者3冊目の新刊が2月21日に発売予定です。
 テーマはこれから10年先を視野に入れたショッピング革新です。
 海外の先行事例をまとめ、日本の未来を予測しながら書き上げました。
 詳細が決まりましたらあらためてご案内させていただきます。


 

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January 25, 2019

ZOZOARIGATOが問う、各社の販売価格設定とオムニチャネル時代の経営ポリシー

 ZOZOTOWNが12月25日に始めたZOZOARIGATOが業界で大きな話題になっています。

 月額500円または年間3000円の会費を払えば、常時サイト上の商品が全品10%OFFになるというもの
 
 新規登録者は初月の購入はすべて30%オフになるようです。

 このメンバーシッププログラムの建前は

 割引された金額は購入者が日本赤十字のような団体に寄付したり、

 購入ブランドを応援するために還元できるというチャリティー企画ですが、

 多くの購入者は割引分すべてをご褒美として自分で受けとるでしょうから

 実態は会員割引プログラムと見るべきでしょう。

 ZOZOの平均出荷単価から考えると 

 年4回おおよそ年間30,000円以上買う人はお得になるって感じでしょうか。

 割引原資はZOZOが全額負担というものの

 サイトでカテゴリーまたはブランド検索後のページを見た人には

 すべての商品にご丁寧に

 「ZOZOARIGATOメンバーなら今すぐ30%OFF」

 というバナーとともに割引後の価格のバナーがついていますので・・・結構なディスカウントサイトのような見えかたです。

 この施策に対して、

 昨年内にアウトレットモールへの出店も慎重なオンワード樫山が、

 続いて百貨店でもセール販売をしないミキハウスなどが

 ZOZOTOWNからの撤退を決め

 多くのブランドがセール品を残しながらも、春夏の新商品を非表示にしたり、出品を取り下げたとのことです。

 その後、出店ブランド多数からの苦情を受け

 ZOZOはブランド側が会員割引のバナーを表示するかしないかのオプションが選択できるようにシステム改修すると発表しています。 (1月23日付日経新聞)

 これは表示、非表示の話であって・・・

 全品割引することに変わりはありませんから、

 果たしてこれで済む話なんでしょうかね。

 そもそも

 在庫を買い取った小売業がいくらで売るかは自由でしょうが

 在庫所有権と価格決定権がブランド側にあるはずなのにZOZOが割引分は負担するとは言え

 ZOZO側がOFFタグをつけて割引後の新価格表示をして、常時一律割引をするような表現をしてもよいものかと違和感を覚えます。

 理屈としては

 大手百貨店だってカード会員には常時5%-10%のポイントを還元してますし、

 ルミネだって期間限定ルミネカード10%OFFキャンペーン以外の時にも同社のカードで決済すれば引き落とし時5%OFFになりますから

 何が違うんだ?ということでしょうが、

 派手な直引きにより、

 明らかに、同じ商品が、直営店よりも、自社サイトよりも、つまり、常時何処よりもZOZOTOWNが安くなることは出店ブランドにとって大問題でしょう。

 もっと多くの会社がオンワード樫山のような経営判断をしても良さそうなものの…

 表示を選択式に変えてくれればそれでよいと

 売れているから、まあ、それでいいかと

 多くのブランドがこのまま黙認してしまうような状態になることを懸念しています。

 そんなこと上記のようにどこでもやってるでしょう、

 どこだって売れなければすぐ値下げだってしているから同じじゃないか

 と感じるようであれば、すでに感覚が麻痺していると言わざるを得ないでしょう。

 常時全品同率割引と

 売れない商品の価格見直しや消化促進のための単品値下げ

 とは意味が違いますから…

 いいんでしょうか?

 ZOZOTOWNが常時一番安く買える場所になってしまって…

 今回の施策はクーポン乱発の効き目が一巡して、

 ゾゾスーツによって見込んでいたPBによる売上増が暗礁に乗り上げてでも

 計画通りの高成長を維持し続けようするZOZOTOWNの執念でもあり、焦りでもあるように思います。

 そして

 期間限定でもない

 常時会員割引という最終兵器級の荒業・・・

 それを出店ブランドに対する告知から2週間後に実施したという話を聞くと結構な強引さも否めません。

 セールでもないのに当初から値引きされたらブランド価値が云々

 という話もありますが、

 消費者からの価格の信頼性というか

 こういうことがきっかけでマーケットにこれまで以上に割引が蔓延して、常態化してしまうことが問題でしょう。

 いつも割引、そもそも、当初価格の設定の根拠って何なの?定価で買うなんて馬鹿らしい

 どうせ、割引前提の上乗せ価格なんでしょう?

 という、価格設定そのものの信ぴょう性が、

 これまで以上に問われることでしょう。

 バーゲンでの値下げを前提にした定価設定ではなく、

 お客様がバリュー、コスパを感じられる適価を最初からつけるという

 あるべき姿からますます遠のいて行くことが心配です。

 そして、設定価格に対して、ますます低い原価でものづくりが進み・・・

 商品の品質が劣化して行くことがもっと心配です。

 報道によれば今回のZOZOの施策に対して、

 各ブランドの担当者たちは「施策に乗るか、撤退か」しか選択はないと返答されたとのこと。

 ZOZOTOWN依存度の高いブランドは当然、会社の存続がありますから、

 直ぐに撤退などという話には出来ないと思いますが、

 経営者さんの経営判断として、中長期的に

 ・売上確保のためにこのまま黙認したまま同じようなスタンスで出品を続けるのか?

 ・期限を決めて将来的には自社運営サイトにシフトする準備を加速するのか?

 あるいは、この施策に乗るか、撤退するのかではなく、

 ・ZOZOTOWNは在庫処分やアウトレットのような専売品を売って儲ける販路と割り切って

 メインのビジネスはリアル店舗と自社ECを活用した本格的オムニチャネル体制に舵を切り

 各販路を上手く使い分けるのか?

 アメリカではすでにAmazonとそんな共存を図る大手ブランドがいくつも現れているようです。


 かつて百貨店とアパレルメーカーとの関係がアパレルをダメにしたと指摘されたように

 時代変わってZOZOTOWNで急成長しているブランドたちが将来そう言われないように

 今、EC担当者レベルではなく、経営者さんに今後のビジョンと経営判断が問われている時ではないでしょうか?

 確かに、ZOZOTOWNの強引なやりかたには疑問ですが・・・

 今回の同社の施策は、時代の大きな転換期に、各社へ

 ブランドがどっちの方向に行くのか、腹を決めることを迫っている 

 とも見ることができるのではないでしょうか? 

 ZOZOARIGATOは単にファッションECモール最大手の過激な施策という話ではなく

 将来、ファッション流通の歴史を振り返った時に

 あの時が時代の転換点だったねと

 語られるようになる大きな出来事に思えてなりません。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから
 

 【関連おススメ本】

 5年前の本ですが、バーゲンで売ることを前提とした価格をつけない、そのためにむやみにつくり過ぎない

 適品、適時、適価、適量を追求することが大切であることをお伝えしたくて著したビジネス読本です。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   



 

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January 14, 2019

ファーストリテイリングの第1四半期決算は増収減益 問われる秋冬依存体質脱皮と夏に儲ける力

 2019年 本年もよろしくお願いいたします。

 今年1本目のブログはファストリテイリングの2019年8月期第1四半期決算のお話からです。

 1月10日に発表された同社の第1四半期決算は4.4%の増収、8.1%(-100億円)の営業減益でした。

 海外ユニクロ事業は12%の増収、12%の営業増益(+61億円)をキープしましたが、

 国内ユニクロ事業が暖冬による4%の減収、30%の大幅減益(-162億円)

 で足を引っ張ったものです。

 今回の決算発表は単に国内苦戦、海外好調という話だけではなく

 同社にとっては今後解決すべき課題が浮き彫りになった結果だったとも思います。


 以前も当ブログで

 2018年8月期の同社ユニクロの復調を取り上げた時にも指摘しましたが、

 ファストリ2018年8月期決算は年商2兆円突破で増収大幅増益。事業別に四半期業績を考察してみると

 ユニクロは秋冬でガッツリ儲けて・・・春夏、特に夏で利益を吐き出す体質があります。

 同社の秋冬物、特に1Qは年間の利益の4割くらいを稼ぐ重要な四半期なので、

 そこを落としたということは結構、痛いと見るべきかな、と

 これは、ファストリに限らず、冬のアウターで売上、利益の多くを稼ぐ、

 日本の多くのアパレル企業には言えることなのですが・・・

 地球温暖化が進み、春と秋が短くなり、

 夏が長くなり、冬は寒波がくればアウターは売れる、暖冬なら売れない

 という傾向は今後も続きそうで、

 各社、秋冬商戦に依存し過ぎる体質からの脱皮と

 春夏、特に夏にいかに利益を残せるかが問われているように思います。

 参考までに、過去のブログで

 ユニクロとZARA(インディテックス)とH&Mのシーズンごとの売上構成比、利益の残し方の違いも比較していますので、マニアックな話しですが、よろしければご覧ください。

 ファーストリテイリングの2018年8月期中間決算は増収増益。 世界一への課題は秋冬依存体質と春夏シーズンの収益性?

 グローバルSPAの中でもユニクロの業績が国内に限らず、グローバルでも秋冬の利益に大きくかかっているのに対し、

 ZARAやH&Mも秋冬の売上シェアはそれなりに大きいものの、夏に利益率を落とさないという体質の違いがあります。

 それは、彼らが同じ北半球の中でもロシアとシンガポールほどの気温差があっても、

 1つの本部で世界統一企画を提供するにはどうしたらよいかを考えた末つかんだ知恵、工夫なのでしょう。

 ※注 北半球と南半球はMDは違います。また、世界統一企画でも各国がその中から何を選ぶかは国別担当に任されています。

 夏が長くなっているのは日本に限らず、グローバルトレンドのようですから、

 夏を1発勝負ではなく、細分化して考え、2回戦以上がある前提に臨み、いかに後半戦の的中率を高めて利益を残す企業が今後勝ち残る時代になることでしょう。

 ユニクロのように日本よりも気温が高いアジアで事業を拡大しようと思えば尚更でしょうね。

 シーズンごとのMDは日頃の在庫最適化のコーチング現場でもよく話題になりますが、

 春は深追いしてはいけないシーズン(得てして力が入りがちですが・・・)

 むしろ夏を早めに立ち上げ当たりを見て、6月に売場をどれだけ人気商品で埋めつくし、
ベストな品揃えで6月のプロパー販売からその後のバーゲン期まで店頭鮮度高く駆け抜けることができるか?

 暖冬で厳しかった冬商戦に落胆している場合ではなく、夏でどうリカバリーするかを考えたいところです。

 さて、ファストリの話に戻りますが、

 同社の2018年度決算には寒波によって例年よりも利益率が高かった1Qと2Qの利益以外にも

 もうひとつラッキーがありました。

 それは2018年3月~4月の気温の上昇により

 夏物が早めに定価でよく売れたことです。

 春を積み込むブランドさんたちは在庫を残したものの

 各シーズンを早めに立ち上げるユニクロにはラッキーな初夏だったはずです。

 ファストリは今回、2019年8月期の通期予測を計画通りの増収増益ので据え置きましたが、

 それは残された3つの四半期で30%以上の増益を果さなければならないことを意味します。

 2つのラッキーに支えられた2018年8月期を越えて

 前年以上によいパフォーマンスを出すには特に春夏(3Qと4Q)に一工夫がいることでしょう。

 過去にもさまざまなハードルを乗り越えて来た同社がどのように対処するのか・・・

 しっかり見守って行きたいと思います。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
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 筆者3冊目の新刊が2月21日に発売予定です。
 テーマはこれから10年先を視野に入れたショッピング革新です。
 海外の先行事例をまとめ、日本の未来を予測しながら書き上げました。
 詳細が決まりましたらあらためてご案内させていただきます。


 

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October 29, 2018

アマゾンプライムワードローブ(amazon prime wardrobe)はアマゾンジャパンのファッション売上拡大の起爆剤となるか?

 アマゾンジャパンが 昨年アメリカで先行スタートしたプライムワードローブ(amazon prime wardrobe) のサ―ビスを10月25日に日本でも開始しました。

 これはプライム会員限定のサービスで、顧客はアマゾンサイト上の対象アパレル商品を3~8点選び、まずは自宅に送ってもらいます。

 自宅での7日間の試着期間中に気に入った商品は購入、購入しないものは返品の意思表示をサイト上で行って、その後、後者を返品すれば、購入するとした商品しか請求されないという試着無料サービスです。

 試着品受け取り翌日から7日が経過する間に何も手続きをしなければすべて請求されますが、

 それを逃したとしても、従来通り、手間はかかりますが、30日間は返品可能とのこと。

 返品用の資材は送られて来たダンボールがそのまま使えますし、返品用送り状は同封されいるようです。

 往復の送料はプライム会費内でまかなわれるので顧客は追加負担をする必要はありません。


 ファッションのオンラインショッピングの最大のネックは試着ができないこと。

 次に

 ファッションは手持ちの服とコーディネートして使用するものなので・・・

 どんなにその商品が良くても、手持ちの商品との相性が合わなかったり、周囲からダメだしされるなど、「失敗」することが顧客の最大の不安です。

 これらを解消する手段としては、自宅で試着が最良の解決策だろう、

 とアメリカで同サービスが始まったことを聴いた時に、

 いずれ日本でもサービスが始まったら、アマゾンが売上を拡大しようとしているファッション分野の起爆剤というか・・・ある意味、「切り札」になるだろうなと思っておりました。

 ZOZOはZOZOSUITによって顧客の体格を正確に計測することによって、相応しいサイズを提案したり、ピッタリの服をつくることによって試着問題、返品問題を解決しようとしているのに対し、

 アマゾンはプライムワードローブによって試着自由、返品自由でこの課題をクリアしようとするわけです。

 ピッタリサイズのオーダーメイドでつくることと、

 既に世の中にあるものを試着返品自由にするのと 

 果たしてどちらが顧客に支持されるでしょうか? というお題ですね。

 オンラインショッピングの試着返品自由に関しては、

 米ザッポスにインスパイヤーされたロコンドなどが日本国内でも先行しています。

 報道によれば、同社の返品率は26%とのこと(前年29%からは改善されたようです)

 普通だったら、これだけの返品が来るとなると・・・

 運賃や返品処理の手間を考えたら経費倒れに終わって儲からないのではないか?

 と企業側は不安になることでしょう。

 しかし、経費度外視でも・・・

 まずは売上シェアを高めるためにはどうしたらよいか?を考える

 アマゾンだからこそ取り組める「切り札」なのかも知れません。

 また、アマゾンは、最初は経費先行かも知れませんが・・・

 購買データ、返品データから顧客のサイズを把握して・・・

 将来的には顧客が好む「サイズ感」をデータ化して、

 ZOZOSUITとは違った切り口で顧客に合う商品やサイズを提案することも視野にいれているのかも知れません。

 そうすれば、いずれは返品率は下がるかも知れませんね。
 
 将来の話は筆者の憶測ですが・・・

 さらっと報道しているメディアが多い中で・・・

 これって結構、日本のファッションショッピングにインパクトがあるかも、と感じているのは筆者だけではないはずです。

 サイトを見ると、まだまだ、レディース60000品目強、メンズ50000品目強 と対象商品数が少ないようですが、

 今後、対象商品が増えてゆけば、それなりに影響を及ぼす、常識が変わるショッピングの選択肢のひとつになるかも知れません。


 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
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