April 09, 2018

店頭を起点に商品・営業チームが一丸となれる最も効果的な施策

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 3月30日の繊研新聞に毎年同紙が主催する「デベロッパーが選んだテナント大賞」の各賞を受賞したブランド紹介記事が掲載されていました。
 
 毎回、受賞ブランドの好調要因やそれを支えた取り組みが紹介されており、

 また、毎年何らかの形で関与させていただいたブランドさんたちも受賞されるので

 お店の様子や活躍された方の顔を思い浮かべながら楽しく読ませていただいております。

 今回、そのトップ5であるベストセラー賞を受賞したのはビームス、ユニクロ、ユナイテッドアローズグリーンレーベルリラクシング(GLR)、サマンサモスモス(キャン)、ノースフェース(ゴールドウィン)の各ブランド

 やはり、自社の商品開発や販売力にこだわるだけでなく、店頭でのお客様最適に工夫を凝らした結果が好業績を生んでいるのだな、と納得しながら読んでおりました。

 その中からひとつ、グリーンレーベルリラクシングの事例をご紹介させていただきますね。

 同ブランドはユナイテッドアローズ社の中で最も成長を牽引するブランドの1つで・・・
 
 毎シーズン何らかの新しい施策を打ちながらECに頼らずとも既存店の増収を続けていますが、
 
 今回 紹介されていたのは、

 同ブランドが本部に店舗と同じ状態のパイロットショップをつくって行った施策についての話です。

、同ブランドでは、この施策により、

 商品企画から営業部門まで本部スタッフが実際の店頭を思い浮かべながら見え方がどうなるか、足りない商品はないかを検証しながら、シーズンMDを組み立てるようになり成果が出たとのことです。

 これと近い話は以前
 
 プロパー(正価)消化率を高める施策

 でアパレル大手のジュンさんの取り組みを紹介させていただきました。

 この際は

 店頭の型数やコーディネートの最適化が図られることによってプロパー消化率が高まるご利益があるという内容でご紹介しましたが、

 更にGLRの事例は

 シーズンMDが 店頭VMDという ビジュアルで あらかじめ可視化されることにより・・・

 本社 デザイナー、マーチャンダイザー、生産担当が よりリアルな売場を意識して仕事をするようになる ことに加え
 
 VMD担当が店頭と同じ什器をつかって表現したシーズンMDを 店舗にタイムリー、時系列で発信することによって

 店舗もシーズンMDの意図をより理解しやすくなり、あるべき店頭のイメージを掴みやすくなるというご利益を得ることができるという話です。

 具体的な店頭VMDの形で本部と店舗がシーズンMDを共有する

 この商品部 営業部が目に見えるもので商品計画を共有できる、しかも、

 それはまさしく店頭でお客様がご覧になって、入店するかどうか、購入するかどうかのきっかけになるものに他なりません。

 したがって、お客様の立場になってより具体的に議論がしやすいし、

 仮説検証、修正もかけやすいというわけです。

 筆者のクライント先でも同様の取り組みで 商品企画と販売部が共通のビジュアル(VMD)と販売計画に向かって、成果を挙げているところがいくつかあります。

 店舗まるごと1店舗分つくる必要はなく・・・

 最低限の必要な共通部分を定義して、切り出して再現するだけでも 成果は表れるものです。

 これ、簡単なようで、意外と出来ているブランドさん少ないですよね。

 日頃、店頭在庫最適化の業務改革プロジェクトの一環で店舗や本部のヒアリングを行っていると気づくのですが・・・

 本部のみなさんも、店舗のみなさんも、いい仕事をしているのにも関わらず・・・

 かみ合わないために結果が出ないというケースは少なくありません。

 そんなとき、

 誰もが反論の余地のない、

 店頭でお客様に見えるものを最適にする、

 という共通項を合意、共有できれば、

 皆が同じ目標に向かって仕事をし、掛け違ったボタンを元に戻せることもあるはず。

 そんな取り組みを応援すべく、日々仕事をさせていただいている今日この頃です。

 関連エントリー-ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング(GLR)の働く女性のための新業態で考える ファッションストアの新部門開発のセオリー
 
 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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March 05, 2018

テクノロジーの進化を企業よりも消費者が享受する時代のファッション販売

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 201842月末に発売になったファッション販売(商業界)4月号の恒例 業界フレッシャーズ向け特集「ファッションビジネス業界のすべて」の中の「業界のあらまし」 に 「市場の変化と世界専門店の推移」というタイトルで 2ページ分の寄稿させていただきました。

 ファッション販売 2018年4月号の詳細はこちら

 寄稿の要点は

・日本のファッション流通市場では バブル崩壊以後 マーケットリーダーとなる企業の努力(流通革新)によって10年周期でパラダイムシフト(時代のテーマの変化)が起こっていること

・世界のアパレル専門店トップ5(インディテックス、H&M、ファストリ、GAP、Lブランズ)の過去10年間の売上推移や成長率を見ると・・・

 それはローカルの話ではなく、グローバルマーケットにも共通して起こっている変化であること

そして

・今年が次のパラダイムシフトの始まりの年であること

 です。

 寄稿の中で一番言いたかったのは・・・

 2010年代の初頭までテクノロジーの進化のご利益や情報革命を受けて、売上や利益を伸ばしたのは

 SPA(製造小売業)やファストファッションなどの「企業」側でした。

 今、そしてこれからテクノロジーの進化による情報伝達のスピードや利便性を享受するのは

 企業というより、スマホを手にした「お客様(消費者)」側にであるというパラダイムシフト(時代の変化)です。

 長年、企業を中心にマーケットを語って来た業界論にとって極めて大きな変化だと思うんですよね。

 名実ともに企業が主役の時代からお客様(消費者)が主役の時代に変わる。

 お客様がもつ情報量が格段に違うわけで
 
 そうすると店頭の仕事のしかたも大幅に変わって来ていますよねって話です。

 これって店頭に立つスタッフさんだけの話ではなく本部側の仕事のしかた改革も必要って話です。

 みなさんの会社、あるいはお客さんとして、よく行くファッションストアはお客様の情報のスピードに追いついていますでしょうか?

 そんな話を 図表やグラフを使ってわかりやすく説明しています。

 他にもいろいろなライターの方が書かれたファッション業界入門編の業界の構造を理解できる記事が盛りだくさんなので業界で働き始めた方自身やそういった方に教える立場の指導員の方にお勧めの特集号です。よろしければご一読を。

 関連エントリー‐世界アパレル専門店売上ランキング2016 トップ10
 
 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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February 26, 2018

店頭起点からオンライン起点へ~ビジネスのカギはお客様と店頭の間、入店前のオンラインにあり

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 2月23日の日経新聞一面に外食チェーン大手の日本マクドナルドが顧客がスマホで事前注文、決済もでき、入店と同時に注文内容がキッチンに伝わり、顧客の待ち時間を短縮するしくみの導入に関する記事が掲載されていました。

 記事によれば、2018年に一部店舗で実験を始め、2019年以降、日本で展開する2900店舗全店へ拡大するとのこと。

 人手不足、店舗の生産性向上、混雑緩和、顧客も待ち時間が短縮される、時短・利便性向上のスマートショッピングの取り組みです。

 昨年の夏に英ロンドンにマーケット視察に行った時の話ですが、宿泊ホテルの近くのマクドナルドでは

 入口とカウンターの間にあるタッチパネルで注文する仕組み(クレジットカードで決済可)と同時に

 スマホアプリで事前注文して店舗で受け取るクリック&コレクトのしくみが併用され、すでに導入済みでした。

 ネットを検索したところ、アメリカでも昨年、同様のしくみの導入が進んだようですね。

 米コーヒーチェーンのスターバックスコーヒーでも、アメリカで2015年から始まった「モバイルオーダー&ペイ」というアプリを使った事前注文&店頭ピックアップが買上全体の10%を超えたというニュースを読みました。日本でも導入が待たれますね。

 ファッション流通に目を移しても、日本の都心部のショッピングの近未来とも言えるロンドンでは・・・

 外食チェーンだけではなく百貨店や専門店でもクリック&コレクト(オンライン注文の店舗受け取り)は標準装備

関連エントリーロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える

 「クリック&コレクト」(オンライン注文の店舗受け取り)と合わせて

 「スキャン&バイ」(店舗で気になった商品をスマホアプリでバーコードをスキャンして商品詳細情報を得たり、そのままオンラインで注文したり、在庫のある近隣店舗を表示する)

 に取り組むチェーンも増えているようです。

 日本では売上歩合家賃で儲けている商業施設とテナント(ブランドやストア)の利害が障害になって顧客の利便性、スマートショッピングは遅れがちです。

 力のあるユニクロ、ZARA、H&Mなどの大型チェーンではアプリを介してクリック&コレクトもスキャン&バイ(日本のH&Mではスキャン&ゲットと呼んでいます)とも導入済みのところも増えて来ましたがね。

 これまで小売業は「店頭起点」という言葉で業務改革を行って来ましたが、

 いまや、スマホでの情報収集から始まるお買いものは・・・お客様と店頭の間のオンラインで始まる時代です。

 ビジネスのカギは・・・店頭を越えてお客様と店頭の間、入店前の「オンライン起点」にどう業務の焦点と軸足を移せるか?がポイントになりそうですね。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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February 19, 2018

ZOZOTOWN(ゾゾ)が米STITCH FIX の日本版「おまかせ定期便」のサービスをスタート ~パーソナルスタイルサブスクリプションサービスの課題と未来

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 ZOZOTOWNが2月15日から 米STITCH FIX(スティッチフィックス)の日本版と言える サブスクリプション型のオンラインパーソナルスタイリングサービスである「おまかせ定期便」のサービスをスタートしましたね。

これは顧客の性別、年齢、身長、体重、テイスト、好みに関するアンケート、良く買うブランド、主要サイズ(肩幅、バスト、ウエスト上下、ヒップ、股下)などを入力することで、スタイリストが選んだ5-10点の商品が1ヵ月、2ヵ月、3か月の頻度で送られてくるもので、気に入らない商品は無料で返品できるというオンラインパーソナルスタイリングサービスです。

スタートゥデイ社のプレスリリースでは

 服を選ぶのが面倒 ゆっくり服を選ぶ時間がない、似合う服がわからない などのお悩みが解消され、
 多くの方々にファッションをお楽しみいただける
 自分専属のスタイリストを持つような新しい体験

というようなフレーズで告知しています。

 ZOZOに関連する過去のブログエントリー 
 いよいよ年内発売開始、ZOZOTOWNのプライベートブランド(PB)の概要が徐々に明らかに

 でも触れましたが、ZOZOが、コーディネートが得意な販売員を大量募集していたので・・・米STITCH FIXの日本版を始めるのではないかと思っていましたが、早々に始めて来ましたね

 これは顧客の身体ヌードサイズを正確に計測するZOZOSUITを既存ビジネスに活かす手段のひとつだと思いますので、とても興味深いです。

 ご存じのない方に、米STITCH FIX(SF社)を簡単にご紹介すると 

 2011年に日系アメリカ人であるカトリーナ・レイク氏によって立ち上げられたサブスクリプション(定期購入)型のパーソナルスタイリストサービスで、

 多くのアンケート項目に基づき、コーディネートされたアウター、トップス、ボトムス、雑貨 計5点が定期的に送られてくるもので、気に入ったモノだけを購入し、要らないものは返品できるというサービスです。全部返品すると$20のスタイリング料がチャージされる、すべて購入すると25%OFFになります。

 AIがアンケートや購入後のコメントに基づき同社の在庫から5点以上のトータルコーディネートできるアイテムを選定し、人間のスタイリストがそれに補正を加えるという、「AIと人間のコラボ」というところに未来を感じ、非常に興味を持っていたビジネスモデルでした。

 当初はアナログに近いオペレーションでスタートした同社も、AIに明るい共同経営者や投資家が加わり、急成長、現在 全国220万人の顧客、75人のデータサイエンティスト、3400人のスタイリストを抱え、年商1100億円を上げ、2017年11月にナスダクに上場した世界のファッションテック業界の注目株です。

 Stitch Fix

 アメリカではたくさんの奇抜なアイデアを持ったベンチャー企業が生まれ、メディアが過剰に騒ぎすぎるきらいがありますが・・・

 正直、まだ規模が大きくないものをどう評価するべきかわからないものも、たくさんあります。

 その中で、1000億円規模になった同社は立派なビジネスとして評価するに値します。

 SF社のサービスを知っていただければわかるように、ZOZOのおまかせ定期便サービスは その日本版と言ってもよいでしょう。

 AmazonFashionより先に始めたのは流石、前澤さんのフットワークです。 

 そして、ZOZOSUITが実際に配られれば更にその精度が高まりますね。

 ただ、このサービスの課題として想定しなければならないのは、ネットを検索していると、この素敵に見えるSF社のサービスの課題を指摘する顧客購買行動に関するデータがあることです。 

 それによると、定期購入者の客単価(一回あたりの購買額)が、回数が進むにつれて下がるという傾向が指摘されていることです。ですから、いかに新規顧客をたくさん獲得するかが成長のカギだと。

 これは筆者の推測ですが、当初、思いがけない商品パッケージが来てワクワクするのに対し、

 その後、顧客の好みを聴けば聞くほど(AI、アルゴリズムの精度が高ければ高いほど)・・・

 新鮮味がなくなり、飽きてくるという心理が働くからかも知れません。

 このあたり、過去データをベースにするAIの限界かも知れませんので、ここにちょっとしたサプライズを演出できるかどうかが今後の成功のカギなんでしょうね。

 筆者もリアル店舗で接客を受ける時、せっかく店舗スタッフさんが自分に似合いそうな色や柄を提案してもらっても、結局は100枚持ってそうなアイテムの色、柄を選んでしまいがちな自分がいます。

 でも、自分じゃ選ばないなというアイテムや柄や色を紹介してくれるからこそ、ちょっとワクワクするのかも知れませんよね。

 もし、自分の好みだけで選んでいたら、コンサバから抜け出せないし・・・

 今は筆者のトレードマークのひとつになっているポケットチーフを入れ始めることもしなかっただろうし、黒を着ることもなかったかも知れないし・・・そこそこの金額を購入しているスキンケア系だってあるコスメ店の店頭でのインプットが無ければしなかったかも知れません。

 そのような新しい提案はリアルの人間にしかできないことではないでしょう。

 顧客の好みに合わせ続けるだけではなく、ダメだしされようが、半歩先あるいはちょっとしたチャレンジにつながる サプライズを提案してくれたら 飽きることなく、もっとファッションを楽しめるのかも知れませんね。 

 AIがそこまで進化してくれたら大したものです。どんな未来情報を加味するかだと思いますが、そんな未来に期待しましょう♪

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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January 19, 2018

アマゾンと小売りの未来~あらためて考えるアマゾン・エフェクト

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 1月16日の日経新聞に「アマゾンと小売りの未来」というタイトルで日本、東南アジア、アメリカの流通業に携わる3人の識者のインタービューによる特集記事が掲載されていました。

 アマゾン・ドットコムの急成長が、既存の流通を脅かし、業績不振に陥る企業が増えて行く、いわゆる「アマゾン・エフェクト」をあらためて考える良い機会になりました。 

 ネットにも同記事が掲載されています。

 日経新聞 アマゾンと小売りの未来

 アマゾンは消費者とっては極めて便利なECモール、コンビニに次いで生活に欠かせないショッピングインフラのひとつとなりましたね。

 しかし、良品計画の金井会長が言われるように

 「アマゾンで働く人たちは『自分たちが小売業者だ』という意識は薄いだろう。(中略)アマゾンは膨大なデータを分析して新たな事業やサービスの開発にいかしている。たまたまビッグデータが集まる小売業をやっていて、小売りで儲(もう)ける優先順位が低い。だから低価格販売も可能となる。」(「  」内引用)

 米アマゾン・ドットコム社の2016年度の決算書(FORM10K)に目を通すと
 (単位10億円 $=120円換算)

◆売上高 2014 2015 2016
北米 6,100 7,645 9,574
インターナショナル 4,021 4,250 5,278
通販事業計 10,121 11,895 14,852
AWS 557 946 1,466
合計 10,679 12,841 16,318
◆営業利益 2014 2015 2016
北米 43 171 283
インターナショナル -77 -84 -154
通販事業計 -34 87 129
AWS 55 181 373
合計 21 268 502
◆営業利益率 2014 2015 2016
北米 0.7% 2.2% 3.0%
インターナショナル -1.9% -2.0% -2.9%
通販事業計 -0.3% 0.7% 0.9%
AWS 9.9% 19.1% 25.4%
合計 0.2% 2.1% 3.1%


 世界で年商20兆円に迫るアマゾンの儲け=営業利益は 

 北米の通販事業ではわずか3%

 日本が主力のひとつであるインターナショナル通販事業では長年赤字(売上対比2~3%分くらいの赤字)が続き

 世界の通販事業合計では1%の営業利益も出していない状況 (2016年度営業利益率0.9%)

 一方、急拡大で売上を伸ばし、売上シェア9%のAWS(クラウドレンタルサーバー)事業は25%の営業利益率で会社全体の75%の利益を上げているという構図です。

 つまり、売上の90%を占める通販事業は薄利、あるいは地域によっては赤字でも手を尽くしてシェアを拡大し、別事業で儲けてその薄利をカバーしているというわけなんですよね。

 そんな構造の会社が

 アリックス・パートナーズ マネージング・ディレクター デビッド・バサック氏が言われるように

 「アマゾンは価格や配達サービスなどで高いハードルを設定してしまった。他社が同じサービスを提供し、その上で利益を出すのはとても難しく、多くの小売業者が苦しんでいる。」
(「  」内引用)

 要は、アマゾンは通販の利益度返しで、

 消費者を品揃えの豊富さ、価格の安さ、サプライズなサービスを次々に繰り出し、期待をどんどん高め・・・

 既存流通企業の品揃えやサービスの旧態依然さ、陳腐さを浮き彫りにし、後手を打たせ、

 競合を業績不振に陥らせ、次々に駆逐してしまうという戦略を持った企業なんですよね。

 その点からすると、これまで流通革新を起こして勝ち組と呼ばれて来た企業、

 低価格衣料の品質の常識を変えたユニクロにしても、

 トレンドファッションの価格の常識を変えたZARAやH&Mなどの外資ファストファッション企業にしても、

 彼らは本業で儲ける、営業利益をしっかり10%以上稼ぐことを前提にした革新であったのと比べると

 利益度返しのアマゾンはある意味、掟破りであり・・・それゆえに、より強敵で、同じ土俵に上ろうものなら、ほとんどの企業は利益は出せない、ということなのです。

 20年前のユニクロフリースブームから始まったSPAブーム、

 10年前のH&M日本上陸から始まるファストファッションブーム、

 これからの10年はその時よりも、競争は熾烈で、ゆえに、自社の立ち位置をより一層はっきりさせ、商品やサービスを磨かなければいかない

 商品そのものの価値を高めながら・・・スマホを操り、より利便性を求める消費者のために、コミュニケーション力やサービスを磨かなければならない厳しい時代です。

 寒波の気候に助けられ、アウターや防寒アイテムが売れたこの秋冬シーズンの業績の一時的な回復に浮かれることなく・・・

 流通業界は、今、危機感をもって革新を進めなければならない時代の真っただ中にいます。

 あらためて身を引き締めて臨むことに致しましょう。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 
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January 09, 2018

その付加価値を顧客にしっかり伝えていますか?

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  昨年、半年間 塾生として参加した和仁達也先生のキャッシュフローコーチ養成塾

 粗利率は別名 「付加価値率」と呼びますね、という話を聴いてハッと気づかされたことがありました。

 企業経営は「ビジョン」と「キャッシュフロー」の両輪が健全に回ってこそ繁栄するコンセプトを軸にする和仁先生のその日の講義は

 業界によって粗利率は違う、その違いはどれだけ付加価値をもたらしているかの違いだ、として、

 一般的に生産者がつくった完成品を流通させる問屋さんやスーパーのような小売業は粗利率が低く・・・

 顧客が注文してから材料から手間暇かける飲食店は粗利率が高いという話から始まりました。

 私たちのファッション専門店の業界の粗利率は45%~60%の間が多いでしょうかね。

 先生の話では、企業の利益の源泉である、粗利(高あるいは率)を高めるには2つの手段があり・・・

 ひとつは 「価値を高めること」 

 もうひとつは 「価値を伝えること」 

であると。

 「商品力の強化」の号令のもと、多くの企業のバイヤーさんやマーチャンダイザー(MD)さんが日々、価値を高める努力はしていると思いますが・・・

 後者の「価値を伝えること」に関しては業界を見渡しても、意外と徹底できている企業は少ないかも知れないと思ったものでした。

 顧客(エンドユーザー)に仕入れた商品や開発した商品の付加価値を伝えるには

 リアル店舗にしても、オンラインにしても

○ 各種広告宣伝

○ 店頭VMDやPOP 

○ 接客トーク 

 (オンラインでは「ささげ」がこれらにあたりますでしょうか)

などが考えられますが、

 仕入担当のバイヤーやMDが忙しさにかまけて? 

 顧客に価値を伝えるための十分な商品知識や商品の付加価値情報をお客様最前線にいる店頭やEC担当者や販促担当者に事前に、十分に伝え切れていない現実ではないでしょうか?

 筆者の何社かのクライアント先でも それが組織的にルーティンとして出来ている会社と出来ていない会社で成果の表れ方が明らかに違うなぁ、と痛感したものです。

 商品の付加価値を顧客にどう伝えるか?

 そもそも、そういう意識をもって商品仕入や商品開発をしているかということが前提ですが・・・

 筆者も原稿を寄稿させて頂いた、ファッション販売2月号(年末から発売中)に 具体的かつ、シンプルにまとまっていて参考になる記事がありました。 

 筆者が寄稿したのは「ファッション業界2018年大予測」の方ですが、

 もうひとつの特集に「ショップスタッフの未来」という企画があり、その中の「他業種から学ぼう」というコーナーにあった化粧品業界の接客事例の話です。

 (化粧品以外にもホテル業界の事例も接客の未来を考える上で必読です)

 ちなみに化粧品業界、ファッション業界よりも粗利率高いですよね。 

 実際、現場の方が価値を伝えることに努めていらっしゃるからだとうなづけます。

 詳しくは本誌をお読みいただければと思いますが、簡単にまとめると

 ①勉強して商品知識を高める
  (商品そのものだけでなく、お客様のソリューションにつながる基礎知識全般)
 
 ②シーズンの売り込み商品を明確に決める
 
 ③その商品と一緒に使うと顧客メリットのある商品をあらかじめ決めておき、お勧めする

 ④チームで販売方法の共有をする(成功事例の横展開)

 これ、基本、王道、あたりまえのことに聞こえるかも知れませんが、ファッション専門店では徹底出来てないところが多いかも知れませんね。

 その現実に対して、勉強不足だと現場である店舗スタッフを責めるのではなく、

 そもそも、バイヤーやMDが体系づけて、あるいはルーティンとして、わかるように「伝えていない」ことが圧倒的に多いのが現実でしょう。

 オムニチャネル時代はウエブで調べてある程度の知識を持った顧客が来店する時代。

 それを前提にして仕事をしたいですよね。

 情報をもって来店されたお客様に

 「そんなことも知らないのか?」

 「そんなことわかってるよ!」

 「だったら自分で検索して自分で買うから接客はいらない!!」

 と思われて店舗スタッフさんが愛想を尽かされないように・・・

 仕入担当者は商品を仕入れて在庫を送り込むだけでなく、販売スタッフが商品知識をつけたり、付加価値をつけた情報をお客様に的確に伝えるために

 ・商品の付加価値をわかりやすく言語化する

 ・ブランドがオンラインで発信している情報をシンプルに的確にタイムリーに現場に共有する

 ・会議体やルーティン業務に落とす

 ・デイリー対応にはツール・デバイスも必要

 そんなコミュニケーション力や継続的な努力やデジタルツールが必須な時代だなと思います。

 日頃、クライアント企業さんの店頭の在庫最適化や生産性の向上に関与している傍ら・・・

 今年は、かかわったクライアント先ではそれらが着実に実現できるように尽力したい

 と年頭に心に誓ったものでした。

 今年もブログでオムニチャネル時代の業界マクロトレンドおよび現場寄りのミクロトレンドを綴って参ります。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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December 12, 2017

ZOZOSUITでは顧客の正確なサイズをどう活かすのか

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 11月の後半から12月の初旬は11月22日に無料配布を発表したZOZOSUITの話題で持ちきりでしたね。

 最新テクノロジーのボディスーツ=ZOZOSUITを使って多くの消費者のリアルな体型サイズを採寸してデータベース化する試みはこれまで考えた人はたくさんいたかも知れませんが、それを実現する試みはとても革新的なことだと思いました。

 そもそもアパレル業界では「これがうちのサイズ」という明確なサイズ基準を持っているブランドや専門店は長年続けて来た大手以外では少ないです。

 持っていたとしても、流行が変わり、担当者が変わるとその方の判断で変えてしまったり・・・

 例え基準(サイズスペック)は持っていたとしても生産委託先(メーカーや商社や工場)任せにしているところも少なくないので、結果的につくる先の商品によってばらつきが出ることが普通かも知れません。

 そして、生産前に試作品サンプルを確認する時も、実際には時間がなかったり、人手が足りず、近くにいる人やデザイナー本人が着て確認し、その時の気分で良しあしが変わるケースも少なくないのが現実でしょう。

 また、中心サイズであるMサイズはしっかりチェックしていたとしても、量産するSやLやXLサイズなど他のサイズが理想のサイズやフィットに出来上がっているのか?すべてを確認しているわけではないのが多くのブランドやチェーン店の実情だと思います。

 ユニクロ含め、大手チェーンが基準にしているJIS規格をとってみても、だいたい古いデータでしばらく更新されていなかったり・・・JISを基準にした上で体型の維持を心がけているモデル事務所所属のフィッティングモデルを活用していたとしても、

 最終的にはジャストサイズではなく、多くの消費者をカバーするために、あえて大き目につくられるケースが多いようです。

 そんな現実なので、Mサイズと言ってもブランドによって、商品によって基準サイズもフィットもまちまちなわけで、店頭で実際に試着をしてもらって納得した上でご購入頂くというのが現実だったのではないでしょうか。

 日本最大のファッションECモールであるZOZOTOWNでは数ある出店ブランドを独自で商品の採寸をして対応して来たものの、そんな現実から起こるサイズ交換や返品に長年苦労し、業を煮やして来たのでしょうね。

 ZOZOSUITの試みは そんなミスマッチによる返品や手間を減らすことが第一でしょう。

 更には顧客データに基づき顧客のサイズに合ったブランドや商品をレコメンドすること、

 顧客のぴったりのサイズの在庫のある商品しか画面に表示されなかったらお買いものもストレスフリーで便利かも知れません。

 そして、出店ブランド側にも、顧客が望んでいるのはこのサイズ、とサイズ規格の管理を徹底させるコンサルティングをすることも視野に入れているのでしょうね。

 これらが改善するだけで、PB商品などを作らなくても業績は上がるのではないかと思っています。

 もっとも、ZOZOSUITを無料で世界中に配るほどの投資をするくらいですから、そのリターンとしては、やはりPB商品の販売による増益を狙うべきだと思いますが・・・

 究極のフィットのベーシックと言っても、低価格、量産を想定しているので、ネットで騒がれているような、パターンオーダーやイージーオーダーのようなカスタマイズはあり得ないでしょうね。

 リアルな生活者のサイズをアップデイトし、新たなスタンダードをつくり、多くの人をカバーする、最適なサイズのボディに対して、

 せいぜい シャツの袖丈や、裾上げをしなくていいようにパンツの股下のバリエーションをつけるくらいから始めるのではないでしょうか?

 「パーソナライゼイション」は確かにこれからのキーワードだと思いますが・・・

 何万円もする商品であれば別ですが、低価格のマスマーケットを相手にしている企業が既製品の丈詰め以外のサイズの「カスタムメイド」に取り組むことは極めて効率が悪いので取り組むべきではないと思っています。

 その観点からユニクロのセミオーダーの取り組みにも少々懐疑的です。

 それよりも業界は先にやることがあるでしょう。

 まずは、既存に流通している溢れんばかりの商品、情報の中からその人にあった商品在庫をマッチングして差し上げることです。

 それから、これまで業界が軽視していた小さいサイズや大きいサイズの方々への対応は固定客、まとめ買いにつながるので、客単価の高いリピーターづくりという観点からいいでしょうね。


 ところで、ZOZOSUITによって、顧客の正確なサイズデータが得られたとしても、

 それに基づいて最適な着心地や履き心地の商品をつくることの方がはるかに難しいでしょう。

 正しいサイズに基づいてつくられた服と着心地がよい服は必ずしもイコールではないでしょうし

 (人の体にはいろいろな動きがありますので)、

 更に、ピッタリの服と、着た人が美しくあるいはカッコよく見える(似合う)服ってのも

 必ずしもイコールではないので、このあたりも相当研究が必要でしょうね。

 期待したいのは、ユニクロ始め日本の多くのアパレルが歴史的にそうして来たアメリカや日本式の量産を前提とした平面製図的な発想から始まった型紙やものづくりではなく、

 フランスやイタリアやスペインで実践されて来たヨーロッパの着る人を起点とした立体裁断的な発想をベースとする手法。

 着る人を美しく見せながら、かつ着心地のよい工夫のされた服づくりが実現したら・・・

 本当に革新的なことになるでしょうね。

 以前 弊社でベテランパタンナーさんたちと行った勉強会では

 ZARAは量産ながらそれを実現しているようですので不可能ではないはずです。(以下のリンクをご参照下さい)

 これまでの量産志向の業界が解決できなかったサイズやシルエットのジレンマを取り上げた過去のエントリーがいくつかあるので、あわせてご紹介しておきますね。

 今回のZOZOの取り組みがきっかけとなり、そのあたりのソリューションにつながれば、

 ファッションの民主化(大衆化)が進み・・・

 これまでファッション消費にそれほど関心を持たなかった人や楽しめなかった人たちもファッションを楽しむ、その裾野が広がり・・・

 マーケットの活性化につながることを期待をしております。

 関連エントリー-ZARA(ザラ)も実践する 顧客起点のヨーロッパの服づくりの基本

 関連エントリー‐グローバルSPA(H&MとZARA)と日本のアパレル企業の商品を比較して思ったこと

 関連エントリー‐ヨーロッパの服は「細く見えるだけで本当は細くない」

 関連エントリー‐モダナイズドとサイズ展開

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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November 27, 2017

ユニクロが全世界の店舗にIC(RFID)タグ導入へ~RFID導入のご利益とは

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 ちょっと前のニュースですが、11月7日の日経新聞に ファーストリテイリングが展開するユニクロが1年以内に 国内海外 約2000店舗 全店に ICタグ(RFID)を導入することに関する記事が掲載されていました。 

 初期投資は数百億円に上る見込みで

 同社は同システム(RFID)の全店舗への導入によって
 
 「瞬時に在庫管理を済ませ、店員を接客に回し、来店客には会計の待ち時間や欠品を少なくするといった効果でメリットを出す」としています。

 店舗へのIC(RFID)タグの導入は、まずは入出荷検品、在庫検索、レジ精算、棚卸業務などの作業効率(生産性)向上、防犯管理などへの活用から始まり、その後、店舗内での顧客購買行動の追跡に期待されています。

 昨今、RFID導入のメディア記事を読んだり、ITベンダーさんの売り込みトークを聞いたりするたびに、思うのですが・・・ 彼らが語る 「瞬時に在庫管理を済ませ」というおおざっぱというかミスリードな表現に違和感を覚えるものです。

 以前 

 在庫データの精度を高めて「ラスいち(最後の一点)」を売り切れ

 というタイトルのエントリーでも触れましたが、

 導入実績のある企業さんたちの話を伺うと、

 RFIDは決して魔法の杖ではなく、導入すれば何でも解決するわけではなく、読み取り精度は決して100%とは言えず、

 とは言え、取り組みかた次第で作業効率が図れるというものです。

 たとえば 棚卸業務ひとつ取っても

 従来(バーコード対応)の棚卸の工程には大きくわけると

 1) 準備段階
 2) 全商品を一点ずつスキャン
 3) 誤差調査

の3つがある中で RFIDの導入によって

1)がほぼ不要になり、2)が瞬時で済む、その結果 3)の調査だけに集中できるようになるので、大幅時間短縮につながるというものです。

 これは、これまで 在庫データの精度を高めようと、1)~3)までの苦労を愚直にされて来た企業さんや店舗スタッフさんにとって在庫データを正確な状態にするのに時間短縮できるようになる、

 というご利益があるのであって、

 そもそも、棚卸というか、商品管理の本来の目的を理解していなかったり、

 ただやらされている感でいるために時間のかかる面倒な作業と考えて、3)をやっていなかったり、いい加減にしたりしてきたところにとっては・・・ 

 2)の作業が楽になるというだけで、相変わらず正しく在庫がつかめないままで・・・それ以上のご利益はないでしょうね。 

 ユニクロさんあたりはそのあたりしっかりやられて来た企業の一社だと思いますが、

 これまでそうでなかった企業さんは RFIDを検討する際に、

 まずは業務そのものを見直し、何故 在庫データを正しく把握する必要があるのかに立ち戻った上で 導入を検討すべきでしょうね。 

 そうすればタグ1枚のコストが高いか安いかではなく・・・

 業務の生産性が高まり、過剰在庫を減らすことによって得られる・・・労働時間短縮と在庫の値下げや廃棄ロスの低減と、導入およびタグのコスト(投資)が見合うかどうかという議論になりますからね・・・

 ECやモバイルデバイス(スマホ含む)が普及して、

 店舗スタッフがお客様が欲しいと思った商品在庫を在庫データを検索して見つけ出してご提供する。

 一方、お客様ご自身もスマホで自分でみつけて、購入または取り寄せることが容易な時代になってきました。

 また、在庫データが正確であれば、最後の1点までも売り尽くしやすい環境が整いつつある中で、

 勝ち残りのためには以前よりも断然、在庫データの精度を高める必要性が高まって来たと感じています。

 欲しい商品を手にしたお客様とそのお買いものをお手伝いできた喜びのために・・・先端技術を理解し、正しく導入・運用したいものですね。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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October 09, 2017

実店舗とオンライン、5年後のファッション消費の未来から考えよう

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 10月5日の繊研新聞にJDAソフトウエアがプレスリリースしたインターネットショッピングに関する消費者意識調査に関する記事が掲載されていました。

 同調査資料のオリジナルをご覧になりたい方はこちらから
 
 2017年インターネットショッピングに関する消費者意識調査


 この調査は

 18歳以上の男女を対象にしたインターネット調査ですが(有効回答数2093人)

 私が注目したのは2点

 今後ファッション消費において、

 1.どれくらいの割合がオンライン経由でなされ、

 そのうち

 2.どれくらいがクリック&コレクト(オンライン注文の自宅以外受け取り)を利用するのか?

 に関する数値です。

 まず前者については

 インターネットでも実店舗でも、どちらでも購入できる商品の場合、インターネットと実店舗のどちらで購入することが多いですか?という質問に対して、

 小売全体では約70%が実店舗で購入するに対し、洋服/靴/ファッションは75.5%が実店舗で購入するとのこと。

 この結果は、昨今、業界識者の方々が語り始めている「ファッション専門店のEC売上比率の限界点は30%にあり?」という議論に近いものがあるかも知れません。

 また、

 過去1年間にクリック&コレクト(オンライン注文商品の店舗など自宅外受け取り)を利用しましたか?という質問に対しては

 今回(2017)は18%が利用経験ありと答え、前年(2016)の14%に比べて増えています。

 ちなみに同社は同じ調査を英国でも行ったため、比較数値が出て来ますが、

 英国ではクリック&コレクト利用経験者比率は54%と過半数です。

 日本の場合、なぜクリック&コレクトを利用するか?という理由としては

 配送手数料がかからない    44%
 自宅より確実に受け取れる   42%
 自宅への配送より便利      34%

 一方、クリック&コレクトにおいてのトラブル体験は

 日本では74%の利用者が持っており、これは英国の54%よりも高い数値となっていますが、日本の上位の理由は・・・

 店員が商品をなかなか見つけられない、時間がかかった 39%
 受け取りの専用スペースがない  29%
 対応する店員がおらず待たされた 18%

 とのことです。 
 
 ストレス軽減のためには、同サービスが社内でしっかり通達され、

 アルバイトさん含めて店舗スタッフもそういったお客様が来店された時の対応が周知徹底されているかどうかにかかっていそうです。

 これまで、日本のクリック&コレクトがどれくらい進んでいるかを数字で掴めませんでしたが、今回、初めて数字に触れて、日本でもまだ低い数値ながら、徐々に増えていることがわかりました。

 また、クリック&コレクトが普及しているイギリス(体験者比率54%)との比較を見て・・・以前、私がイギリスの老舗SPAであるNEXTのアニュアルレポートを読んだ時にこんな数字が出ていたのを思い出しました。

 これは2016年1月期のものですが、

 オンライン注文を店舗で受け取る比率が過去5年間に急増

 2010年     2015年
  13%  ⇒   55%

 これは同社が2010年からオンラインビジネスに力を入れ、サービスの認知とサービス精度向上に努めたからに他なりません。

 この数字を思い出して、JDA社の英国のクリック&コレクトに関する調査結果とNEXTの実態が近いこと、

 そして、英NEXTのオンライン注文のクリック&コレクト比率が2010年に 日本の2016年と同じ水準であり(それぞれ13%と14%)、その5年後にNEXTではオンライン注文をする過半数(55%)の顧客が自宅外で受け取るようになったことからすると・・・

 日本でもひょっとすると、2021年ごろにはオンライン注文者の過半数がクリック&コレクトを利用するようになるのかも知れない?という仮説が描けるのではないかと思いました。

 もっとも、企業がそれに耐えうるフルフィルメントなどインフラ投資を着実に進め、店頭と一体となって、店頭でのトラブル比率を下げることがキモになることは言うまでもありません。

 JDA社の資料によれば、日本の小売企業はまだECのシステム周りに投資をしているのに対して、

 欧米ではその先を行って、フルフィルメントへの投資が旺盛とのことです。

 これから5年後、ファッション消費の未来はどうなっているでしょうね。そんなことを想像しながら・・・

 未来から逆算して、オムニチャネル時代にインフラ投資を進めながら、トップがリーダーシップをとって店頭を巻き込んで社内でお客様のメリットを周知徹底する、

 そんな取り組みをそろそろ進めなければ・・・業界で取り残されるというか、顧客から「遅れている店」というレッテルを貼られてしまいそうな局面に入って行きそうです。

 関連エントリー-ロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから
 【おススメ本】

 オムニチャネル対応も顧客中心主義の信念の延長線上にある ユニクロ、ZARAのSPAビジネスモデルを比較しながらわかりやすく解説しました。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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September 25, 2017

しまむらが2018年からネット通販を開始 独自の物流網をどう活かせるか?

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 9月23日の日経新聞に しまむらが展開する「ファッションセンターしまむら」が2018年からネット通販を始めることに関する記事が掲載されていました。

 記事によれば、

 同社は専用倉庫に用意した一部商品をオンラインで販売し、顧客からスマホなどから注文された商品は全国2000店舗の店頭で受け渡す(=クリック&コレクト)ことからスタートし、

 次にメーカー在庫を販売対象とした店舗での受け取り、更に宅配を検討する模様です。
 
 当初は注文された商品は1-2週で店舗に届き、連絡を受けた消費者は店舗に出向いて受け取るという流れで、

 これまでファッション衣料の多くの商品が各店各色各サイズ1点投入で売り切れ御免が特徴だったしまむらが、

・オンラインで注文した商品が確実に受け取れることを、

・ 1点あたりの平均単価 910円という安価な商品に対して、しまむらの独自の物流を活かす
ことで顧客にとってもしまむらにとっても、追加コストがかからない店舗受け取り配送

 で実現しようという取り組みです。

 正直 注文から受け取りまで1-2週間というのは・・・

 トレンド商品を投入してから4-5週で売り切るしまむらのスピーディな在庫コントロールからすると少々遅いと思いますが、

 オペレーションに磨きをかけ、注文から受け取りの日数が徐々に短縮されれば、既存の物流網と店舗網は大きなアドバンテージになることでしょう。

 当初は世の中の既存の翌日配送系の通販サービスと比べられ、不満も少なくないでしょうが・・・

 同社が辛抱強くオペレーションを磨き上げることで、アパレル専門チェーンのクリック&コレクトのベストプラクティスを実現できる会社であると思っています。

 前々回のエントリーでご紹介した、ロンドンで急速に普及が進むクリック&コレクト(オンライン注文商品の店舗での受け取り)で感じたことは、

 関連エントリー-ロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える

 このサービスのキーになるのは、運送会社に荷物を渡したら、終わりではなく、委託先任せにしない物流網の構築とコントロールだろうということでした。

 今後、EC販路での消費が拡大して行く流通業界で、覇者となるのは、

 配送は宅配便に任せておけば何とかしてくれる、と考える会社ではなく、顧客に確実に商品を届けるために、独自に強い物流網を構築した会社になると思っています。

 中長期的な しまむらの取り組みに注目しておきましょう。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 ファッション消費の顧客購買心理を考えるビジネス読本

 顧客心理への配慮と在庫コントロールロジックが明確な しまむら の事例もいくつか取り上げています。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   

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