June 29, 2020

この夏のバーゲン期にニューノーマルを考えよう

緊急事態宣言が解けてから1か月

6月の第2週くらいに西東京の駅ビルをいくつか覗く機会があった時、

赤いPOPを多用して思い切った春物の処分に売場を割いているショップもあれば、

これから着ることができる正価商品を前面に打ち出し、
後方で赤、黄色以外のスペシャルプライスPOPを使って春や初夏の値下げ販売をしているショップもあり、

各ブランドそれぞれの事情がある、それが店頭に表れているのが普通の姿
だよね、と思ったのを思い出しました。

毎年、夏のバーゲンの時期は館(商業施設)ごとのスタート時期が話題になりますが、Dsc02059

今年は

混雑を避けるために、商業施設としてセール期間を設けず
7月の1ヶ月は売り方をテナントに任せるという駅ビル

ブランド(テナント)の在庫消化協力のために、
バーゲンを大々的に告知するという百貨店

などなど                                              

考え方はいろいろですが、館(商業施設)の事情ではない、
お客様の安全と入居テナントの在庫事情を鑑みているという点では共通しているようです。

(画像はロンドンオックスフォードストリート2019夏)

筆者は

適品を
気温にあわせて(適時)、
値下げを前提にしない顧客が求めるプライス(適価)で店頭提案する

不人気商品は早期に消化を図って換金(ECでもよし)、売場から一掃し、
できるだけ早く人気商品、新しい商品に入れ換え店頭鮮度を高める
正価のままで売り切り可能な人気商品はバーゲンになっても値下げしない

のが正常で

イベントとしてのバーゲン期間はあってもよいですが、

そんな時にも前面はセール品でも、奥には今からしばらく着ることができるサイズの揃った新作がある

バーゲン以外のいわゆるプロパー期も
旬な新作が前面を飾り、(売場面積に寄りますが)奥には処分コーナーもある

という状態が普通でよいのではないかと思っています。

まあ、百貨店はプロパー期とバーゲン期で掛け率が違うので同じ時期に混在すると面倒なのかも知れませんが、
そんな事情がなければ、

いつ行っても、店頭にいろんなショッピングの楽しみ方があるのがお客様にとっても
ブランド側にとっても自然体かなと思えてなりません。

特に地球温暖化の影響もあって、年間5か月もある夏シーズン(最高気温25度以上の日々)の在り方は
しっかり考え直さなければますます利益が出なくなることに危機感を感じます。

この夏のバーゲンやセールの在り方がイレギュラーではなく
顧客側もブランド側もWINWINとなる
あるべき姿(ニューノーマル)を考える機会になればいいなと思う今日この頃です。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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【参考書籍】

2013年の本ですが、長年の顧客購買行動分析と在庫コントロールの経験とノウハウを有名企業事例を用いてわかりやすくまとめました書籍です。

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

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June 15, 2020

インディテックスグループ(ZARA)既存店の大量スクラップ&ビルドによりEC連動型店舗へのモデルチェンジを加速

6月10日に発表されたZARAのインディテックスグループの2020年度第1四半期決算に目を通しました。
4cimg0441_20200615133601 日経新聞や繊研新聞などの一部の報道では
コロナショックによる店舗休業によるダメージが甚大で売上高前年比45%の減収により、営業利益は大幅減益となり、四半期赤字に転落したと共に

グループ全体で現在世界に7412ある店舗を2022年までに1200店舗閉鎖することが強調され、

この3カ月間で5割伸ばしたECを強化する(現在の年間EC売上比率14%から25%へ)、さすがの世界一のアパレル企業も新型コロナによってデジタルシフトが迫られた、というような論調で書かれていますが・・・

 

それらに抜け落ちている大事な視点を補足をさせて頂くと、

実際は 
・これら1200店舗が役目を終えたZARA以外のブランドの小型店が中心であり、
・閉店の一方で並行して450店舗のEC連動型の大型店を新規出店することで、
結果、
・店舗は全体で600店舗くらい減るものの、売場面積は逆に毎年2.5%増え、既存店売上も4~6%伸ばす計画であること

が同社のオリジナルプレスリリースを読むとわかります。

ですから、同社の場合は、業績不振のアメリカのチェーン店とは違って、閉店数が多いことだけを取り上げて「ヤバいのか?」

悲観することではなく、より健全な状態に向かっていると見るべきでしょう。

これらの施策は、メディアが言うようなコロナショックがあったからの急展開ではなく、もともと同社が2012年あたりから始め、ここ3年で加速していたいわゆるオムニチャネル(OMO)施策の総仕上げに過ぎないんですよね。
同社ではこれを fully integrated store and online platform と呼びます。

実際、過去6年間に
1729店舗を閉店して、
1106店舗を増床し、
2556店舗を改装し、
3671店舗を新規出店しています。

その間は店舗数も売場面積も純増でしたが、
これからは、店舗数は純減も、売場面積の純増は維持し、
よりECを店舗と連動させ、

同社が以前から描いていた
「新しい顧客購買行動のビジョン」に投資を続ける
というだけの話なんです。

今回の赤字には閉店予定店舗の減価償却の積み増しも多く含まれています。
(前期は売上が落ちることを見越して、在庫引当金=評価損の原資を計上しました)

また、大量閉店と言うと、雇用はどうするんだ?という意見もあると思いますが、同社はEC対応する大型店のEC対応要因として受け皿を用意していると言い、雇用に対する配慮も欠かせません。

危機に背中を押されるのではなく、
まずは未来の顧客像やビジネスのビジョンを描き、
顧客は進化して行くにも関わらず、自分たちが変わらないことへの危機感に対し
行動を続けているのがインディテックスグループの姿です。

彼らが今、何を考えているのかを常にウォッチしていれば、
規模にかかわらず、我々も活用できる未来へのヒントが得られます。
なぜなら、彼らが長年観ているのは、競合ではなく、「顧客だけ」ですから。

まだまだその背中から学ぶことはたくさんありそうです。

関連エントリー‐世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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いつもお読み頂きありがとうございます。


 

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May 12, 2020

ファッション流通企業の決算書から学ぶ(後編)

2019年4月からWWDジャパンの紙面で月イチ連載している
ファッション流通企業の決算書からビジネスのヒントを読み解く

「ファッション業界のミカタ」

オンライン公開のまとめページの後編です。

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筆者はこれまで、長年にわたり、各社のプレスリリース、決算報告、各種メディア記事、店頭定点観測、
関係者インタビューなど様々な角度から企業分析を行い、クライアント企業さんはじめ、業界の多く方々が、お客様のために、明日のビジネスを切り開くための、実務のヒントを整理して言語化することを続けて来ました。

本連載は特に、経営者様や経営企画系や新規事業開発系のスタッフの方々のヒントになれば、という思いで続けているものです。
ご興味のあるところをお読みいただければ幸いです。

尚、WWDジャパンを定期購読していらっしゃる方は、ログインすれば、無料でお読みいただけますが、そうでない方は1記事100円の有料になっていますので、その点はご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

第6回
ファッションECの雄 ZOZOの決算書から学べること
テーマ:EC時代のKPI(重要業績評価指標)
ZOZOはIT系企業ですが、商品取り扱い高を売上高と見なせば、小売業と同じような評価ができます。
そして、デジタルシフトが進む時代は、売上高は客数x客単価から、会員数x年間購買額に変わることもZOZOの決算書が教えてくれます。しかしながら、出荷単価が下がれば、単位あたり粗利額は下がり、昨今上昇中の物流費によって利益は下がりつつあります。手放しに儲かるとは言えない、ECの採算について解説しました。

ファッション業界のミカタVol.6

第7回
「トップショップ」や「H&M」をしのぐ勢い 英「プライマーク」の脅威
テーマ:競合店定点観測
昨年の夏にロンドン視察に行った際の、まだ見ぬ競合、プライマークのレポートです。
H&Mの店舗より大きく、安い・・・そんな店舗が現れたら、レッドオーシャンも最終戦争ですね。筆者が、いずれ日本にも影響を及ぼす企業を海外視察でどう見ているのかの参考にしていただければと思います。

ファッション業界のミカタVol.7

第8回
秋で稼ぎ、夏に儲からない「ユニクロ」の国内事業
テーマ: 季節損益 秋冬依存脱却
ユニクロの課題のひとつは秋冬で利益を稼ぎ、冬で儲からないところ。地球温暖化が進み、暖冬に苦しむ日本のアパレル業界の同じ課題を抱えています。今後、人口増加で優良市場になるのは、熱帯の国々。ZARAやH&Mがどうしているかも比較解説しています。

ファッション業界のミカタVol.8

第9回
EC化率アップだけでは儲からない「ユニクロ」
テーマ: EC損益 出荷単価とコストと物流対策
第6回目で取り上げたZOZOよりも、更に単価の安い商品を扱うチェーンが果たしてECをどんどん伸ばして採算が合うのであろうか?という課題にユニクロが真正面から取り組んでいる様子を解説しました。筆者はユニクロあたりの単価がひとつの分岐点で、彼らの取り組みが低単価品のECの未来を占うような気がして注目しています。

ファッション業界のミカタVol.9

第10回
ワークマンの勝利の方程式とは?
テーマ: ローコストオペレーションとキャッシュフロー経営
機能性商品やコスパばかりが注目されるワークマンですが、本当の強みは決算書にありました。FCによる人件費の変動費化、店舗の自社物件化による家賃の軽減によって実現する低販売管理費によって実現できる商品バリューであることに気づくことができます。

ファッション業界のミカタVol.10

第11回
「無印」の今後の課題と本来の強み
テーマ: 購買(来店)頻度と四半期決算のバランス
グローバルでも唯一無二のライフスタイルストアから学ぶのは、品揃えの多様化ではなく、MDミックスの中のカテゴリー別の役割分担の理解です。MUJIはしっかり、購買頻度と高粗利率カテゴリーへ注力しているようです。

ファッション業界のミカタVol.11

第12回
インディテックスとワークマン 王道2社の見るべきポイント
テーマ: 脱前年対比 未来への投資 リスク分散
1年間でお伝えしたかったのは、前年比よりも中長期時系列評価をすべきこと、そして、稼いだ営業利益を何に投資するのか?というところでした。記事の中では、インディテックスの売上と営業利益を20年分並べて、5年に1回迎えた踊り場で次の飛躍の準備をする同社のセンスについて語っています。

ファッション業界のミカタVol.12

今週のWWDジャパン5月11日号から2年目を迎えました。
今、壁にぶつかっている、H&Mの成長戦略と過大出店の落とし穴について解説しています。記事は こちら 
チェーンストアの拡大戦略にあたり、参考にしていただければと思います。2年目からはPLだけでなく、BSやCFについても絡めて行きたいと思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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May 11, 2020

ファッション流通企業の決算書から学ぶ(前編)

2019年4月からWWDジャパンの紙面で月イチ連載している
ファッション流通企業の決算書からビジネスのヒントを読み解く

「ファッション業界のミカタ」

今年に入ってからオンラインでも公開になりました。
ちょうど、12か月、一周りしましたので、まとめページをつくってみました。

筆者はこれまで、長年にわたり、各社のプレスリリース、決算報告、各種メディア記事、店頭定点観測、関係者インタビューなど様々な角度から企業分析を行い、クライアント企業さんはじめ、業界の多く方々が、お客様のために、明日のビジネスを切り開くための、実務のヒントを整理して言語化することを続けて来ました。20200511_133950

本連載は特に、経営者様や経営企画系や新規事業開発系のスタッフの方々のヒントになれば、という思いで続けているものです。
ご興味のあるところをお読みいただければ幸いです。

尚、WWDジャパンを定期購読していらっしゃる方は、ログインすれば、無料でお読みいただけますが、そうでない方は1記事100円の有料記事になっていますので、その点はご理解のほどよろしくお願いいたします。

第1回 
決算書に見る最強SPA「ザラ」

テーマ:営業利益、時系列分析
ファーストリテイリング(ユニクロ)を含む、世界トップ5ファッション専門店企業の過去5年間の営業利益率比較をしながら、ZARAのインディテックスグループの営業利益率が競合の4社と比べて落ちない理由を分析してみました。

ファッション業界のミカタVol.1

第2回
アパレルチェーンの代表的な3つの収益モデル

テーマ:ビジネスモデルと損益計算書(PL)
世界ファッション専門店売上トップ10の10社を3つのタイプに大別して、それぞれの特徴と強みであるはずのビジネスモデルを崩すことのリスクについて述べています。ユニクロはZARAになってはいけませんし、しまむらはユニクロになってはいけないのです。

ファッション業界のミカタVol.2

第3回
事業のライフサイクルと営業利益の関係

テーマ:ブランドのライフサイクルを知って成熟期移行に備える
ユニクロとしまむらの長年の売上、店舗、営業利益データを使って
ライフサイクル、特に成長期から成熟期への移行期の見極め方について解説しました。筆者が過去に関与したコンサルプロジェクトでも何度も行った分析で、この考え方は大方当てはまっており、ひとつの仮説としての確信を得ています。

ファッション業界のミカタVol.3

第4回
中国で考えた2階建て店舗PLのススメ

テーマ:オムニチャネル時代の情報発信地としての店舗の損益の考え方
中国に研修講師に行った際に訪問したアリババの「フーマーフレッシュ」というスーパーで、今、日本で進むオムニチャネル時代の店舗の損益および評価の見直し方法のヒントを得ましたので紹介しています。ECは店舗がなければ売上は伸びないことは世界で実証されています。であれば、独立採算であったはずの、事業損益や店舗とECの関係、評価のしかたを見直さなければいけない時代です。少しでもヒントになれば。

ファッション業界のミカタVol.4

第5回
欧州企業の年次報告書から学ぶこと

テーマ:アニュアルレポートに見る企業姿勢
長年、欧米日の大手アパレル専門店のアニュアルレポートを読んでいて、感じたことをまとめたものです。欧州はサステイナブルを早くから全面に出し、アメリカは株主利益優先。日本は業績やビジネスの取り組みアピールが精いっぱい。という時代が続きましたが、日本もサステイナブル経営待ったなし、という感じです。それらの変化を時系列でとらえてみました。

ファッション業界のミカタVol.5

今回はこの辺で、
第6回目以降は次回に続きます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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May 04, 2020

フィッティングはビジネスのカギ

実店舗のほとんどが休業状態となった今、
多くの専門店が店舗からEC倉庫に春、初夏在庫を回収し、EC販売に力を入れています。

新作入荷や、全品20%OFF、2点買ったらさらに10%を打ち出しているところが多いようですが、
果たして、そういった割引施策は顧客にどれだけ響くでしょうか?

今、顧客はどんな環境に置かれているのか?
そして、何を考えて行動するかを考えなければなりません。

ファッションは基本的には、外で会う人に合わせて装うもの

外出しなければ、新しい装いは不要だろうし、
家で過ごすのであれば、すでに家の中にあるもので十分でしょう。

おしゃれなホームウエアブランド、ジェラートピケはオンライン女子会需要を捉え、
4月単月のオンライン売上が前年比6倍になったとか

各社のオンライン売上が30%~40%増という中で、あきらかに「需要を捉えた」と言ってよいでしょう。
(店頭の在庫をEC倉庫に回収していなければ玉不足で6倍はあり得なかったと察します)

そんな中、いろいろな企業が取る施策の中で、
やはり、世界一のアパレル専門チェーン、インディテックスのZARAの施策はさすがだと思いましたので少しご紹介したいと思います。
(画像は2014年インディテックスグループ本社取材時のもの)

1)送料無料・返品無料 36zaracom_ii※ 安売りより、ECをあまり利用していないユーザーのために購入ハードルを下げる

ZARAはもともと店舗の集客力を高めるために、都心の好立地に出店し、多くの来店客がたくさんの服の試着をくり返す行為の中から

これからシーズン中に売れそうな商品の開発ヒントを仮説立て、商品企画の的中率の生命線にして来た企業です。

ところが、主要マーケットを中心に世界の半分超の店舗が休業となり、主要国の店舗での顧客の試着情報を入手することができません。

そこで、ZARAは何をしたかというと、

もともと強化していたオンライン通販(EC売上比率14%)での送料無料、返品無料の施策を打ったのです。

つまり、
オンライン通販の顧客の購入ハードルを思い切り下げ
顧客の自宅を試着室みなし・・・

顧客の購入情報、返品情報から次に売れそうな商品の開発ヒントを得てデザイナーに伝えようと試みているわけです。

ZARA好きのファッション愛好家たちには自宅での試着し放題は魅力でしょう。

ちなみに、近い施策は すでにアマゾンが Prime Wardrobeというサービスを行っています。

通販にとって、宅配運賃と返品運賃は経費負担がかかり、儲けを出しづらい、ビジネスに於けるネックのひとつ。

しかし、商品開発情報を得る場所を店頭だけでなく、更に一歩踏み込んで顧客の自宅にしてしまうという覚悟は

同社が新商品を顧客に売り込むだけではなく、いかに試着という行為が顧客、ZARA双方にとって、
ファッションビジネスのカギを握っているかをよくわきまえているからでしょう。

今回の事態で、在宅時間が増えることによって・・・
エンドユーザーは、クローゼットの手持ち服をあらためて見直したはずです。

この行動や体験はコロナ休業収束後のファッション購買に少なからず影響を与えることでしょう。

これからファッション企業は、業界発信の新しい提案商品を一方的に顧客のクローゼットに押し込むことだけを考えるのではなく、

顧客が、自分自身に本当に似合うのか?
手持ち服との相性はどうなのか?

そんなことを考える大切な時間である「試着」の意味をあらためて考え直す必要があるのではないでしょうか。

2)「ラウンジウエアー」の押し出し
※シーズンコレクションを顧客心理に合わせて再編集する、オンラインだからこそ柔軟にできる取り組み。

同社のメンズが中心の取り組みですが・・・もともとそんなコレクションはなかったはずだと思いますが、

既存商品の中から、スエット、イージーパンツ、サンダルなどを
「ラウンジウエアー」という名のものとにくくり直して(再編集して)、SNSやサイトで打ち出しています。

これ、今だからこそ、また、ECだからこそできることだと思いますね。

そんな顧客の状況にあわせた柔軟性って、大事だと思いました。

3)キッズ押し
※SNSで普段よりキッズ商品の露出が多い。

家族で一緒にいる時間が長くなれば、小さな子供を持ったファミリーが最優先するのは子供のことです。
贈答用は別にして、子供服は、この間、そこそこ売れているカテゴリーと聞きます。
このあたりもファミリー層には刺さっているのではないでしょうか?

 

EC売上がどれだけ実店舗の売上をカバーできるかは限定的でしょう。
しかし、自分たちが置かれてる環境への配慮と共感が得られるかどうか?

これはそもそも、日頃のブランドの「姿勢」かも知れませんが、
外出自粛の環境下でECサイトおよびその打ち出しの中にもそんな姿勢は表れ・・・お客様に伝わるのかも知れません。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

いつもお読み頂きありがとうございます。


 

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April 27, 2020

コロナショックによる購買行動の変化に対応しよう

時折ブログの転載をしていただいている、ファッションスナップドットコムさんにコロナ後の世界がどうなるのかの寄稿をご依頼頂き、
専門である顧客購買行動に基づく在庫の最適化の視点からコラムを書かせて頂きました。

特別寄稿連載 コロナ後:ファッション流通編 コロナショックによる購買行動の変化に対応する

詳しい内容はリンク先をご覧いただければと思いますが、

多くの人が1か月以上の外出自粛、在宅中心の生活をすることによって、
この間に体験、感じたことが、コロナ後の行動に少なからず影響を及ぼすであろう、
であれば、どんな購買行動の変化が起こるかを予測しよう、
そして、それに対応する準備をスピードをもって進めよう

という提言です。

この間、行動に大きく影響を与えたのは

ひとつはオンラインの強制体験による、
「オンライン」で解決するという行動選択肢の急浮上でしょう。

仕事では、リモートワーク、つまり、オンラインミーティングの活用が進み、
やってみたら、手軽で、わざわざ顔を突き合わせて会わなくても、
意外と事足りてしまうことがどれだけ多いか?実感された方も少なくないでしょう。

これから、あらゆる仕事が、

・会って話すべきことか、
・オンラインミーティングで済ませられることか

を考えることになるでしょう。

すると、無駄な出張がなくなる、
逆になかなか時間が取れなくで会えなかった方々、遠く離れた方々とのオンラインを介したコミュニケーションの時間が増える
ことが期待されます。

このビジネスチャンスは企業にとっても、個人にとっても
活かすか、どうかで、大きな差になるはずです。

お買い物も同様です。

普段、リピート購入している消耗品は、アマゾンなどオンラインで手軽にできます。
今までオンライン通販のヘビーユーザーでなかった方も
こういう時は、オンラインで済ますことができるんだ、意外と手軽。
わざわざ買いに行かなくてよい、
オンラインを活用すると、時間と手間がこんなに節約できると実感されたはずです。

そんな体験から、外出自粛、店舗休業が解除された後も

・お買い物もオンラインで済ませるものと、
・わざわざ買いに行く必要があるものの線引きが

コロナショック前よりも、はっきりして来たのではないでしょうか?

このように、仕事においても、お買い物にしても、
オンラインの強制体験によって、「時間」の価値と使い方が見直され、

オンラインで済ませてしまうもの、あえてオフラインに時間をかけるもの
という選択肢の中で行動するようになると見ています。

すると、行動の入口に「普通の道具」としてのオンラインをフル活用するようになるわけで、

オンラインで情報が取れないとか、
わざわざお店に行かないと在庫があるかどうかわからないとか・・・

顧客の大事な「時間」を無駄遣いさせるブランドや店舗は、
よっぽど希少価値がない限りは
その時点で顧客の選択肢から脱落するということを覚悟しないといけない、

という時代になるわけです。

これ、今までも言われていたことなのですが・・・

コロナショックに後押しされ、もう、待ったなしになったという感じです。

また、ファッション商品の購入については
オンラインを活用した情報提供、商品提供の環境整備の加速だけでなく、
別の課題もあります。

それは、ファッションのほとんどは外出先で会う人に合わせて選び、着こなすものですから・・・

この間、在宅中心で、外出しないのであれば、ほとんどの人にとって、
クローゼットの中の手持ち服で十分だったはず。

在宅期間中は、一部のファッション愛好家を除けば、
新しい服を買うのではなく、

むしろ、手持ち服の見直し(今後も活かしたいorもう着ない、処分したい)
の時間になったのではないかと見ています。

ここ10年のファストファッションの功罪もあり、世の中には安価なコスパ服が増え、
今や顧客のクローゼットには溢れんばかりの服があるでしょう。

それにあらためて気づいた方も多いはず。

拙著「アパレル・サバイバル」の後半でも提言したり
WWDジャパンへの寄稿でも述べさせていただきましたが、

「ファッション市場『大転換』に挑む 2020年代の流通革新と勝ち残る企業の条件とは」

これからは、

ただ業界が提案するファッショントレンドに基づく新しい服を売ることを考えるのではなく、

1)ユーザーがこれからも大事に着回したい服 を起点に
2)そこに、どんなアイテムを取り入れたら今シーズンのトレンドを楽しめるか

というユーザーのお気に入りの服を起点にする、という視点を持って毎シーズンの新商品を提案すべきですし、

一方で

3)着なくなった服をどう手放すか
の手助けをすべきではないか、

と考えます。

あくまでも、これらは筆者の仮説ですが、

コロナショックは収束すれば、顧客行動は元に戻るのではなく、

ユーザーは試練や体験の中から価値観を変え、
行動を変えるはず。

それを予測して、それへの対応を考えることこそ、
「顧客中心」の発想だと思います。

みなさんのお客様は今、何を考え、今後、どんな行動に移すでしょうか?

そして、それに対して、どんな対応をすればよいのでしょうか?

アフターコロナ、あるいはコロナとの共存の時代に、

ブランドや企業や店舗の「在り方」を考える時です。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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April 07, 2020

ナラティブ(顧客を主人公にした物語)から考える

4月7日火曜日の繊研新聞6面、繊研教室の中の「知見・知恵・知行」に、寄稿させて頂いたコラムが掲載されました。
20200407_114333 見出しは「ナラティブから考える」。ナラティブって聞きなれない言葉かも知れませんが、「物語」という意味の英語です。ストーリーとの違いは後述します。

プラットフォーマー、特にアマゾンの考え方を理解するために、何冊か本を読みましたが、彼らが新しいサービスを検討する際に、必ず行っていることがあり、とても感心したので、そのことについて書かせて頂いたものです。

書籍によれば、アマゾン社はジェフ・ベゾスさんが出席する役員会で新規サービスプロジェクトを検討する際には必ず、

①ナラティブ(顧客の未来体験の様子をストーリー化した物語)

②未来のプレスリリース(サービスがスタートする時に対外的に発表するであろう文章)

③FAQ(サービスに対する顧客からの想定質問と回答集)

を用意することを提案者に義務付けているそうです。

この話を知った時に、アマゾンという会社がどうして顧客の未来から逆算する発想ができるのかがとても腹落ちしました。

拙著「アパレル・サバイバル」の取材中に、これからの10年は過去の延長線上ではなく、未来の理想からの逆算発想からでないと、今、革新を起こしているデジタル企業やプラットフォーマーたちに太刀打ちどころか、共存も出来ないだろうと感じたものでした。

まさしく、この発想の違いがアマゾンらがアドバンテージを持っている所以でしょう。

拙著の冒頭にある短編小説仕立ての「Her Story~10年後のファッション消費の未来」をお読みになった方はお判りかと思いますが・・・これからは、まず、顧客の未来の理想のショッピング体験(ナラティブと呼んでもカスタマージャーニーと呼んでもでもいいですが)を言語化して、チームで共有した上で…

これからそれを実現するために、ゴールに向けて、どんなことから取り組むのかを考える、そんな「ナラティブから考える」アプローチが必要かと思っています。

ちなみに、ストーリーマーケティングの主役は「企業またはブランド」、ナラティブの主人公は「顧客」という違いもあるようです。視点の中心誰を置くかですね♪

参考文献は共に、アメリカ、日本のそれぞれアマゾンの幹部として在籍経験がある方々が書かれた以下の2冊です。

「アマゾンのように考える 仕事を無敵にする思考と行動50のアイデア」

「amazonの絶対思考」

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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March 30, 2020

オムニチャネル化を進める前に必要な、店舗側のステップとは何か?

クラウド在庫管理システムを提供するロジザードさんのコーディネートで、専門店が「オムニチャネル化」を進める前に必要なことをテーマにトークセッションをさせて頂きました。

お相手はオムニチャネルコンサルタントの逸見光次郎さん。

お互い、実務で苦労した経験も多く、独立後も現場に入り込んでお仕事をさせて頂いている機会も多いことから、かなり泥臭い(笑)、少なくともキレイごとだけではない、あるある話がたくさん飛び出しました。

オムニチャネル化を進める前に必要な、店舗側のステップとは何か?

オムニチャネル化を進める前に必要な、店舗側のステップとは何か?

オムニチャネル化も同じことなのですが、いつも店頭在庫最適化の業務再構築を支援させて頂くにあたり、心がけていることがあります。


それは、現場にこれまでの業務に加えて、新しい仕事を要求するだけでは、まず、うまく行きません。(というかキャパオーバーで対応出来ない)ので…
まずは、現場の方々が負担に感じてる作業をヒアリングして、その軽減案をご一緒に考えて取り組む、むしろ、やめるべき業務があれば洗い出して、不要と判断されれば、やめて頂く。
そして、みなさんが無理なく、お客様のために、前向きに成果を出せるような環境を整えてから進めることです。

正直、社内の微妙なしがらみや人間関係の中では口にだせなかったことでも、第三者だからこそ、客観的にご指摘できることも少なくありません。

今回のトークの中では、そもそも、客注(お取り寄せ)をするにも難があるような環境(しくみ、評価制度、人間関係)の中では・・・
まず、オムニチャネル化(実店舗とオンラインの両方でお客様のお買い物をご支援すること)は難しいだろう、
システム的に形は整ったとしても、お客様を満足させるレベルではならないだろう、ということを強調しています。

よろしければご一読ください。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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January 28, 2020

WWDジャパン1月27日号に寄稿記事「ファッション市場『大転換』に挑む 2020年代の流通革新と勝ち残る企業の条件とは」が掲載されました

おかげ様で、この記事で投稿数が2000本目になりました。これまで応援下さったみなさまのおかげです。

ありがとうございます。

「WWDジャパン」1月27日号の毎年恒例「国内CEO特集」の2020年版に

寄稿記事「ファッション市場『大転換』に挑む 2020年代の流通革新と勝ち残る企業の条件とは」が掲載されました。

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過去50年間のファッション流通革新を「ファッション流通10年周期説」で振り返りながら、これからの10年を展望する内容となっています。

スマホというモバイルデバイスを駆使しながら、企業並み、あるいはそれを上回る勢いで情報を受発信する消費者。

そんなエンドユーザ―の「未来の理想の体験像」をイメージし、「現在の顧客の課題(ストレス)」とのギャップを埋めるようなサービスを次々にリリースし、新常識を上書きし続けるプラットフォーマー。

そんな時代に、顧客を中心に置き、「顧客の未来の理想像とは何か」から逆算して商品やサービスを提供する必要性について、

1)顧客の既存のワードローブを活かす買い足し提案

2)長く着続けたいアイテムのメンテナンスのお手伝い

3)着なくなった服を手放す際のお手伝い

の3つの視点で身近な事例を用いて中心に解説しています。

ファストファッション定着後、溢れるクローゼットをいかにスマートに解消するかがファッション企業の役目。

かつては、つくって売るだけでしたが、顧客のクローゼットの持続可能な循環をお手伝いする時代になりました。

ある意味、拙著『アパレル・サバイバル』からの提言の、深掘り版とも言える内容となっています。

WWDジャパン1月27日号紙面紹介 

よろしかったらご一読ください。

追記 記事を読んでくれた20代の方のコメントです。ファッションビジネスはクローゼット起点への転換で更にパーソナルに ファッションフリークOL「WWDジャパン」につぶやく

こちらもあわせてどうぞ。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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January 06, 2020

2020年ファッション流通トピックス予測

2020年の幕開けに、今年、日本のファッション流通に影響を及ぼしそうなトピックを3つご紹介します。
キーワードは「スーパーアプリ」、「Amazon」、「デカトロン」です。
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1)スーパーアプリの覇権争い
これまでファッションのEC普及を牽引してきたZOZOTOWNを運営するZOZO社が昨年、Yahooジャパンの傘下に入りました。
これはオンラインショッピングがファッション購入という生活の一面だけではなく、
ライフスタイルあるいは、消費者行動という大きな視点でとらえなければならなくなったことを示唆するものとみています。
その背景にあるのは「スーパーアプリ」の覇権争いです。
移動、コミュニケーション、ショッピング、宅配、決済まで生活の多くの局面を1つのアプリで済ませ
顧客を囲い込もうとする「スーパーアプリ」の普及が中国、東南アジアでは始まっています。
日本では楽天、Yahoo!、Amazonの3陣営が有力で、今後、この3陣営を中心にスーパーアプリ「コングロマリット」化に向けて各陣営で業務提携が進みそうです。
これまでファッション流通企業の歴史では
どこの百貨店に入居するか、
その後はどこのSCに入るかを考えて来たものですが・・・
これからは、
どのECモールに出店するかを飛び越えて、
オンライン上のそれぞれのスーパーアプリ陣営とどう付き合いながら・・・
それぞれのお客様層とどう接して行くかの戦略を考えることを迫られそうです。
2)Amazonのファッション流通浸透
スーパーアプリの覇権争いの1陣営でもあるAmazonのファッション市場への浸透・拡大も注目されます。
その動向の中で注目すべきことはプライベートブランドのベーシックアパレル=アマゾンエッセンシャルズの本格発売です。
アメリカではベーシックPBが牽引してアマゾンが国内アパレル市場の大きなシェアを占めているという調査結果も目にします。
年末に日本でも一部の商品がリリースされ始めていることに気が付きました。
いわゆる「ユニクロ価格」いやそれ以下ですね。
アイテムの幅が広がれば、アンダーウエア、インナーウエアを中心にAmazon愛用者の「ついで買い」を誘うことでしょう。
アメリカでは顧客のレビューを参考にしながら、商品の改善を続けているそうです。
日本でも同じことをしてきたら、ユニクロとて、国内で安住はしていられないはずです。
3)スポーツの民主化を進めるデカトロン
3つめは東京オリンピックが開催される2020年に注目されるスポーツアイテムについてです。
昨年西宮ガーデンズに1号店をオープンして日本上陸を果たした、フランスの低価格スポーツ用品チェーン、デカトロンが
日本で2号店、3号店を出店するにあたりその商品バリエーションと価格の安さが話題になり、人気が急上昇することが予想されます。
スポーツと言えば、
ナイキやアディダスやアシックスなど、グローバルブランド、ナショナルブランドが話題の中心で、ブランドでないと
売れないというのが業界の通説でした。
この過去の常識を覆すのが、低価格PBを中心にスポーツ用品を展開するデカトロンの役割です。
80以上のスポーツジャンルについて、これからそのスポーツを始める初心者から
中級者にフォーカスしそれぞれのジャンルのアスリート社員が自ら関り
メジャーカテゴリーについては自社で研究所まで設けて、
ユーザー目線、プロ目線で自社開発を行っています。
ブームというより、いろいろなスポーツを始める人のすそ野を広げることが彼らの大きな役割でしょうね。
すでに多店舗展開している中国や日本の西宮の店頭で初めて触れる乗馬具やアーチェリーの弓や水球の玉を手にした時は、ちょっとワクワクしたものでした。
さて、今年はどうなるでしょうね。
※当記事はディマンドワークスが月1配信している「ファッション流通ニュースレター2020年1月号」からの転載です。
【追記】今年の東京オリンピックは新型コロナウイルスの世界的な蔓延のため、1年延期になりました。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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