November 16, 2020

着回しの利く、究極の定番を磨け

Hermes-margielaa

先週、11月11日の日経MJ の1面、「仕事着はもう買わない」という見出しに目が止まりました。

20ー30代の80人を対象にコロナショック前後で働く女性の服の消費がどう変わったかを調査した特集記事でした。

アパレル市場の中で、働く女性の服の市場は最も大きな市場のひとつ

購入単価と購買頻度がその他の客層よりも圧倒的に高めなマーケットであることは言うまでもありません。

記事の内容は、80人という限られた対象者の調査かも知れませんが、コロナビフォア・アフターの購買行動の変化の傾向はある程度浮き彫りになっているのではないかと思いました。

・商談がなければ上着はジャケットからカーディガンへ
・通勤が減れば、オフィス服の必要枚数は減る
・駅ビル中心にお買い物していた人がネットに移行して、その安さにびっくり
・巣籠もり間の断捨離でZARAのようなファストファッション系の着なくなった服を捨てて、ユニクロを買うようになった

・定番を買うようになった

一方で、

・1着あたりの価格はむしろ高くなった、という傾向もあるようです。

そして、興味深いのは、

オフィス着への支出を減らした人も、
頻度は減っても1着あたりの支出を増やした人も

1万円弱ぐらいの価格は避けるようになったのが共通点とのこと。

1万円と言えば、駅ビルのセレクトショップ系のプライスポイント。

オフィスでそつなく、小奇麗に着ることができる服の価格帯の商品群が弱くなっているのは、市況にも通じるところがあります。

そこから

ユニクロのような割安な定番や
長く着ることができる上質の逸品

といった2つの需要へ向かっている、と読み取れます。

さて、そんな傾向があぶり出されて
提供する側のファッション企業さんは、今後、どんな対応をされますか?

まず、過去に固執するより
顧客の今、それから今後の体験や生活シーンを想像する想像力が大切でしょう。

定番ベーシック志向となれば、
もちろん、ユニクロが益々強くなることが想像できますが・・・

ユニクロが全体の主役になることはない、でしょう。

ユニクロ自身もそうなろうとはしていないでしょう。
むしろ、以前から、存在感のある、「究極の脇役」になることを目指している、と思います。

(ひとりごと:今回11年ぶりに発売した+Jは、その中でも主役級かも知れませんが・・・)
 

そんな中で、これからのファッションブランド、ストアブランドの役割とは?

例えば、長く、愛着してもらえる、ブランドらしい、究極の着まわし服の開発に力を入れてみたらどうか?

おそらく、そのアイテム候補は、既にブランドの中で強みとしているアイテム群の中にあるのではないか?と思います。

そんな核となるアイテムにフォーカスして、毎年クオリティを磨きながら、・・・

それらを活かしながら、そのシーズンらしい、新しい買い足し、買い替えを提案を行う。

それが、今回の記事を読んでの筆者の感想です。

いつもお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題ですね。実はZARAも以前からベーシックが稼ぎ頭。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になるでしょう。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本


 

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October 05, 2020

顧客の新しい行動様式と用途にあわせて商品提案する

9月のファッション専門店の月次売上速報が一通り発表されました。20201005_143941

これらの結果を見て、やはり、需要は

気温x顧客用途(必要性)x価格x店頭在庫鮮度 

の掛け合わせなのだなと感じました。

気温は20日前までは確かに残暑、しかし、4連休以降は9月にしては久しぶりの秋の気温だったと思います。
過去3年が、10月10日を過ぎなければ秋らしい気温にならなかったのに対し、
今年の9月の後半は秋ものにとって悪くはない、コロナウィルスに対する自粛ムードがなければ
アパレルにとっては、悪くない商売条件だったと思います。

次に、近郊、郊外の需要はかなり回復したように思いますが、都心部の回復が遅いですね。

これは、近郊、郊外で行動範囲が広くない生活をしている方々にとっては、感染対策をしながら普通の生活に戻り・・・

一方、都心に通う方々にとっては、着飾る必要性のある環境になかなか戻らないということだと思います。

そんな新しい生活様式に必要なものは売れ、必要でないものは需要が弱いということです。

百貨店やセレクトショップなど前年消費税増税前に、駆け込み需要を狙って、
冬のアウターを前倒し販売をした企業の前年のハードルの高さの指摘もありますが、

それよりは前年と比べて生活様式が変化したことによる、変化対応の遅れ、単価の高いアウターへの需要減が大きいのではないでしょうか。

そして、気温的にはチャンスはあったと思いますが、仕入抑制や持ち越し在庫消化を図ったために、店頭の鮮度を落さざるをえなかったところは売り逃しをし・・・

商売チャンスを活かすべく、しっかり新商品を揃えていたところが業績を伸ばしたという印象です。

これから冬に向けても同じことが続きそうな気がします。

コロナ自粛をものともせず、新しいベーシック商品の在庫を積み込むユニクロ

45日サイクルで新しい商品を次々に店頭に並べるという、もともとの強みに回帰して業績回復中のしまむら

この日本のアパレル専門店ツートップの秋冬業績には期待ができます。

郊外だから、都心だから、という立地だけではなく、また、EC売上構成比の高さだけではなく、

小売の商売というものは

気温x顧客の用途(必要性)x価格x店頭在庫鮮度

のかけあわせであるとあらためて感じます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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September 21, 2020

ZOZOの決算書から学ぶECビジネスの損益

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WWDジャパンさん向けの連載記事のためにZOZOTOWNを運営するZOZO社の決算書20年3月期および21年第1四半期に目を通しました。

Paypayモール出店によって40代、50代の新しい客層が順調に獲得され、
ZOZOTOWNもコロナ禍で商品取扱高が増え、同社のECの売上は好調、社としては増収増益のまずまずの決算だったようです。

気になったことを3つほど挙げると

ひとつは単価の下落です。
 
20年3月期通期の
平均単価は 3,946円 (前年度は4,201円)
出荷単価は 8,292円 セット率 2.10 (前年度は8,774円;同 2.09)
と下落しています。

コロナ禍の出店ブランドの在庫処分もあり、21年3月期第1四半期に至っては
3,443円まで下落(前年同期は3,903円)しています。

ファッション性が売りのZOZOTOWNですら、
平均単価がファッション市場マスマーケットの価格帯である3900円にまで低下していることに驚きました。

次に、出荷1件あたりの収益性です。

ZOZOの損益計算書や開示データを時系列で見ていると、
ECビジネスの販売管理費の構造やマクロトレンドがよくわかります。

ECビジネスの販売管理費の上位を占める荷造運賃、物流関連費、広告宣伝費について、

グロス金額(費用総額)ではなく、出荷1件あたりで割り出してみると

・荷造運賃は高止まり、
・物流関連費は人件費の見直しで増加傾向
・以前より広告宣伝費やポイントの出費を抑えて・・・

「利益率」こそ底を打って、回復中ではありますが、

そもそも、出荷単価が下落しているため、
出荷1件あたりの利益額(単価)は下落傾向というのが実態です。

要は、単価は下がるので、1件あたりの粗利額(同社にとっては販売受託手数料)は下がる、

一方、1件あたりにかかる荷造運賃やその他物流関連費(人件費がメイン)は高止まり、

歩留まり利益は店舗運営型小売業よりも多額にかかる広告宣伝費を調整弁として、どれだけ使うか次第という構造に見えます。

「ECは家賃がかからないので、店舗販売の小売業より儲かる」と豪語される方は少なくありませんが
ECは店舗販売と根本的に経費構造が違う、と言うのが正しい言い方ですよね。

むしろ、販売単価、粗利率によって、物流経費や広告宣伝費の使い方では薄利になってしまう可能性もはらんでいると見るべきでしょう。

みっつめは、今後の収益バランスのとり方です。

通販受託事業のこの傾向に対して、
ZOZO社はトップラインである売上高に関しては全体の商品取扱高を増やしながら、受託手数料収入額を増やす。
その一方で、通販事業の利益率の低下傾向を、モノを動かさない広告事業や新しいサービス事業を増やして利益貢献するように、目下、強化中というわけです。

アマゾンの通販事業は薄利で、AWSで利益を稼ぐという構造に近づいていきますね。
これはプラットフォーマーの必然なのかも知れません。

ZOZO社自体はそれでいいかも知れませんが・・・出店ブランド(事業者)はその傾向を理解してECビジネスに取り組まなければなりません。

ファッションECマーケットは、
単価は下落傾向、競争が激しくなると、以前よりも広告宣伝費が余計にかかる、
販売管理費の主要費目である送料や物流関連費用は下がらない。

この構造やビジネストレンドを理解した上で、
販売単価、粗利の確保、送料無料のハードルをどこに設けるか、値下げやクーポンやポイント付与などの販促施策の加減も考えるべきでしょう。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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August 31, 2020

「アフターデジタル2 UXと自由」を読んで

藤井保文さんが書かれた「アフターデジタル2 UXと自由」を読みました。20200831_145410

昨年出版され、大ベストセラーとなった前著の「アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る」に刺激を受け・・・

当時、頻繁に企業研修講師の仕事で訪れていた中国の杭州、広州では、同著に登場するアリババのスーパーマーケットHema FreshやLuckin Coffeeを中国人パートナーの手を借りて実体験して・・・

その背景にあることも含めて理解し、目から鱗が落ち、これから世界で進んで行くであろう小売業のDX(デジタルトランスフォーメーション)による明るい未来に思いをはせたものでした。

今回の続編は、前著に感銘を受けて、著者が相談を受けたり、ツアーをお手伝いされた多くの日本企業とのやり取りも踏まえて、日本企業の組織や仕事の進め方の実情にも触れながら、アフターデジタル時代の企業戦略としてのOMO(Online merges with Offline)の考え方について、誤解を解くように、新たな事例紹介とともに、再定義しているところに意味があります。

一番のポイントは、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉だけが独り歩きしている昨今ですが、顧客目線で顧客行動にポジティブな影響を与えるものでなければ、
たとえ、オンラインやAIを使ったところで、それは、企業都合の(あるいは、システムベンダー都合の)単なる業務効率のためのシステム化であって、同著が主張するところのOMOの本質でもなければ、アフターデジタル時代に勝ち残れる顧客体験価値(UX)創造型の取り組みでもない、という点でしょう。

最新のデジタル投資ばかりに目を向けている方々は、是非お読み頂きたいと思います。

スタートラインに立つためには、

まずは顧客行動(カスタマージャーニー)が理解、言語化出来て、

顧客にとっての「成功」は何か?

その実現のために、その過程に立ちはだかる顧客の「お困りごと(ペインポイント)」が特定できること。

そして、それに対して、情熱と執念をもって、オンライン技術を駆使しながら、とことん解決のお手伝いをし、その結果、ご利益として、顧客との長いお付き合いができる、という発想が大事なわけです。

実は、同著の主張と同じことを、拙著「アパレル・サバイバル」執筆の際の取材時の2018年に、アメリカ西海岸で体験したamazon go(コンビニ)、amazon books(本屋)、Nike(シューズショップ)、日本で体験したZARA六本木ポップアップストア(アパレル専門店)でも感じたものでした。

彼らがそれぞれの店舗において、DXで解決したのは、まさしくそれぞれの専門店ならではの購買行動(UX)の中のお困りごとに他ならなかったからです。

それらの体験をした時、顧客としては、何か呪縛から解き放たれて、スッとしたような感じ、そして、そのDXを実現した経営者、技術者に対するリスペクトを覚えたものでした。

また、DX担当者にとっては単にUXを研究するだけでなく、実際に体験してみて、その感覚(原体験)を体に覚えさせることも、執念を持って取り組む上では大事なことだと思います。

話を戻しますが・・・

今回の続編の中で、最も参考になったのは、P61から始まる「売らないメーカーの脅威」のところで、メーカー、サプライヤーではなく、「サービサー」として紹介されていた、中国企業群の事例です。

電気自動車メーカーのNIOは、車を売ることが目的ではなく、車を売ったところからが、顧客との付き合いの始まり。

年間23万円もするクルマのオーナーに対する、「会員サービス」がキモです。

維持費やメンテナンスサービスどころか、顧客のカスタマージャーニー上にある、クルマにまつわる痒い所に手が届くサービスの数々が憎いです。そのため、NIOのオーナーではない、別のメーカーのクルマのユーザーもそのサービスを受けるために会員になるとか。

それに続く、不動産仲介業のズールーの事例も、住まいの賃貸仲介したら終わりのスポットビジネスではなく、家探しを手伝いにとどまらず、そのコミュニティに住む、生活する、時には、旅先のシーンにまで関与し、顧客と一生つきあう覚悟すら感じます。

ファッション業界の方々は、是非、そんな事例を知って、日本のファッション販売に置き換えたら、顧客の成功のために何ができるか?を考えてみて頂きたいものです。

つくって、売ることに徹していたファッション業界も、顧客がコーディネートして着回す、メンテナンスする、保管する、手放す・・・・

などなど、幅広くカスタマージャーニー中の「お困りごと」に着目すれば、まだまだ顧客とつながってゆけるチャンスはあるし、広がると思っています。

このあたりは、ちょうど「アパレル・サバイバル」の中でも P205 CHAPTER5「テクノロジーの進化を享受するのは誰か?」という章以降で詳しく述べていますので、参考までに併せてお読みいただければと思います。

コロナショックを受けて、一気に「アフターデジタル」の時代に放り込まれた私たち。
この著書の顧客目線のDXの心構えを理解せずに生き残ることはできないでしょう。

 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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August 24, 2020

オンライン接客の可能性

コロナショックの外出自粛、休業の間にMinistry-of-supply 多くのストアやブランドがEC売上を伸ばし、
いわゆる「オンライン接客」が話題となり、
力を入れるところが増えました。

筆者の解釈では、「オンライン接客」の定義は広く、

ライブ動画で商品紹介を配信してチャット質問に答えたり、
ZOOMなどで1対1(複数もあり)のビデオ接客をしたりする
双方向性のある接客だけでなく、

そもそも、ブランドや商品に興味を持った顧客が
ネット検索してホームページやオンラインショップを閲覧するところからオンライン接客というものは始まっていますし、

ブログ更新やSNS発信
メルマガやプッシュ通知
メール、チャットでの問い合わせ

などの従来のマーケティングツールはもちろん、

店舗に来店した後、サイトで購入した後のフォローアップまで

スマホを駆使して情報を取得する「顧客の新しい購買行動」に、オンラインを活用して対応することはすべて「オンライン接客」の一部である
と捉えています。

この数か月の間で、オンライン接客について非常に可能性を感じたことが2つありました。

ひとつは、ZOOMなどのツールを使ったビデオ接客時、
顧客は自宅、ショップ側は店舗またはショールームにいるわけですが、

接客スタッフが顧客との対話の中で要望を引き出しながら、商品紹介をするだけでなく、
顧客側は自分の手持ち服を見せながら、これに合う服はありますか?というような聞き方ができる環境にいるという利点です。

つまり、顧客はわざわざ店舗にも行かなくてもよい、
ショップ側は店舗に来店できない顧客をお相手にできるという
時空的というか、物理的なメリットだけでなく、

どこまで開示するかは顧客次第ですが、顧客側も自宅にいるメリットとして、
クローゼットの中の服との相性について相談ができるわけです。

これは明らかに、店舗における接客にはない、
特に、顧客側のアドバンテージでしょう。

拙著「アパレルサバイバル」でも力説しましたが、

店舗やオンラインで品定めをする顧客の最大関心事は、
今、手に取っている、見ている服が、自分の手持ち服とコーディネートできるか?その上で着回しがどれだけ利くか?
ということでしょう。

店舗では、今シーズンのブランド側の重点販売商品や今シーズンの売れ筋商品を力説してショップ側が売りたい単品を提案して来ますが、
そんな接客の中で、顧客の本当の不安は、手持ち服と合わず、コーディネートがしづらい、着る機会が少ないなどで、結局は着なくなって、無駄になることによる「失敗」です。

顧客は手持ち服を具体的に見せることができれば、伝えられない歯がゆさや、「失敗」の不安から解放されますし、

店舗スタッフも決して、押し売りしているわけではないと思うのですが、
顧客のクローゼットの中身が具体的にわからないが故にできなかった、顧客のワードローブを思いやる接客が実現するわけです。

そんなビデオ接客での気づきが、今後、顧客との信頼関係を深め、顧客の手持ち服と相性のよい服を提案することが当たりまえの世界が実現
することを期待しています。

ふたつめは、リモート接客への人財活用の利点です。

つまり、ショップ側の接客スタッフは、ツールによっては、
どこにいても、都合にあわせて、短時間でも接客対応可能になる、という可能性です。

例えば、顧客からの問い合わせやちょっとした接客に対し、
これまでは、本社や店舗にいるスタッフが対応するのが常識でしたが、
事情によって、家庭に入られた、あるいは引っ越しにより遠方にいる経験者の方が、可能な曜日、時間帯だけ、在宅のまま対応することも可能になるということです。

メール対応やチャット対応、はそうでしょう。

この業務は、誰でも出来る業務ではなく、そのショップ、ブランドを熟知した接客対応のプロだった方だからこそ、の話です。

そんな人財=宝のような方々が、いろいろな制約で働けなくなってしまうのを
長年、いろいろ目にして来て、本当に残念だと思っていました。

しかし、オンライン接客アリ、リモート接客アリの時代に、これまで活用しきれなかった人財を、あらためて活かせる環境が整って来た予感がします。

もちろん、コールセンターのように、どこかに集めなければ、というセキュリティの問題が課題になるようですが、
これからはそういった問題を技術的に解決し、新しい働き方、新しい顧客対応の未来が広がることを期待しています。

当然のことながら、これから、すべてがオンラインになるとは思っていません。

しかし、多くの選択肢が生まれ、明るい可能性が広がっているのは事実ではないでしょうか?

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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August 17, 2020

トレンドファッションに合わせるベーシック、ベーシックに取り入れるトレンドファッション

コロナウィルスによる外出自粛で顧客の購買行動が変わることに対応しなければならないと思っています。20817-helsinki-closet

近隣以外への外出を控え、在宅時間が増え、自分のクローゼットのワードローブの見直しや、断捨離も行われたことでしょう。

業界は一旦、そこを起点に考える必要があると思っています。

オンラインセミナーへの登壇の準備をしていて、
ユニクロとZARAの強みをあらためて整理する機会がありました。

一般に、ユニクロはベーシック、ZARAはトレンドファッションに強みがある、と語られますが、

両者を長年ウォッチしてきた筆者なりの解釈で書き換えると

ユニクロはトレンドファッションに合わやすいベーシックを、

ZARAは多くの顧客が持っていそうなベーシック服に今シーズン取り入れるべきトレンドファッションを、

それぞれわかりやすく提案している。その取り入れやすさ提案が多くの顧客に支持をされる理由なんじゃないかな、と思います。

つまり、両者とも切り口は真逆ですが、自分の持ちものに取り入れやすい、ということが共通点です。

書いていて、気がついたのですが、と同時に、ユニクロとZARAの両者の服も相性がいい、ということになりますね(笑)

これまで、業界企業の多くは

・業界のシーズントレンドと言われるものを自社なりに解釈して売り込む
・前年売れた実績のあるものを焼き直してつくる

を繰り返して来ました。

しかし、しばらくは、「業界トレンド押し」よりも、顧客の「新しい生活様式」のシーンを想定して、

・リモートワーク対応
・マスク着用を想定したファッション
・カジュアル、リラックス

などが売れ筋のキーワードになるかも知れません。

業界では、正直、これまで、「顧客のクローゼットの中にあるワードローブ」という視点は不在の商品企画が圧倒的に多かったのではなかったかと。

今後も、もちろん、持っていないものを買う、新しいものを買う、という需要はなくなりませんが、

これを機会に顧客が今、持っていそうなものとの相性のよい(=着回しが利く)(=長く付き合える)
取り入れたら今シーズンらしく着こなせる服の提案をしたいところです。

「タンス在庫に無いもの」が売れる、とは、長年の業界の経験則

そう言うのであれば・・・まずは顧客のタンス在庫に何があるかをラックにかけて可視化して、
そこから新しい提案を考えるという発想が、今、大切なのではないかと思えてなりません。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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【オススメ本】ファストファッションは多くの消費者にファッションを楽しむ選択肢を増やしたが、その一方で
顧客のクローゼットは溢れ始めている。そんな時代の顧客とのかかわり方をテーマにしています。


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August 10, 2020

過剰在庫を持ち越さないために

昨年の暖冬で秋冬在庫を残し、コロナウィルスによる外出自粛と数か月の休業によって春夏の過剰在庫を抱え、Dsc_6637 マスコミや投資家にも煽られ、業界ではようやく、本格的に在庫を減らそうというムードになって来たようです。

この在庫問題も、そもそも、もっと早く手をつけなければならなかったことに対して、
コロナショックによるキャッシュフローの悪化が企業改革のスピードアップを迫っているに過ぎないと思っています。

会社方針として、仕入を3割減らす、2割減らす、という話が聞こえてきますが、
アプロ―チや、オペレーションを根本的に見直さずに、
ただ、仕入担当者に金額ベースでの仕入や在庫を減らすことを命じるだけでは、

単に売上が下げるだけで 
最終消化率はあまり変わらない、また、一定量の在庫が残るという結果となりそうです。

そして、過去に、何度も号令をかけては、結局は売上を回復するために在庫を積み増すという、撚り戻しになる話が、また繰り返されるのではないか?と懸念しています。

筆者は、これまで、
シーズン在庫をどう利益を生むようにコントロールし、
シーズン末に向けては、組織全体でどう売り切るかをテーマにし、

商売を顧客目線に再定義して、しくみ化のお手伝いをし、
業務に定着するように、社内人財の育成も見守りながら、
多くのファッション専門店さんの在庫最適化に取り組んで来ました。

そんな在庫最適化の現場で常々感じている、
過剰な在庫を抱えない、そして、余計な在庫を翌年に持ち越さないためのカギがいくつかありますが、
今回はその中から3つほど在庫問題の視点転換につながるであろうアプローチをご紹介させていただきたいと思います。

1)売場スペースに合わせて、品番数を絞る

2)商品計画をわかりやすく売場に共有する

3)販売期限を明確にして全社で売り切る

1)ひとつめは、売場に目を向け、店頭に並ぶ、物理的に展開可能な品番数を知った上で、品番数設計をしましょう、という話です。

金額ベースで仕入を減らせと言うと、品番数を減らさずに、一律に発注量を減らしてしまったり、
また、正しかったかどうかわからない前年実績をもとにして品番数や発注量を何割か減らす、
というアプローチが採られることがあります。

そうすると、売れる商品はすぐに売り切れ、
売れ筋商品がなくなった途端、売場は魅力がなくなり次第、売りづらくなるという現象に陥るものです。

あるべき品番数の答えは、お客様が訪れる店頭の物理的陳列スペースにあるものです。

売場スペースを大幅に上回る品番数を投入しても、店頭に出し切れない商品はバックヤードに眠るだけ、
すべての商品に十分な販売機会が得られないと、その分、売れ残り在庫となるものです。

仕入担当者が、与えられた予算金額だけで仕事をし、
自分の担当売場スペースにどれだけの商品が並ぶのかを知らない、という恐るべき話は業界の中でも意外と少なくありません。

まずは、自分の担当売場に何品番並べるのか?
そして、それを何回転させることが自分たちのブランドらしさなのか?

という、問い、設計から始め、過剰品番数を削る、そして、その分、売れると見込む商品の仕入れ数を増やす(奥行をつける)というのが、あるべき仕入削減・在庫削減の第一歩でしょう。

これは無限大に商品が並べられると思われているECサイトについても同様と考えます。

お客様は、目的の最初のページからせいぜい2ページ、多くて3ページ目くらいまでしか見てくれませんので。

2)ふたつめは、仕入担当者は立てたシーズン商品計画を販促担当、店舗、EC担当が具体的な行動に移せるくらい、わかりやすく伝えましょうという話です。

仕入担当者がせっかく立てたシーズン商品・仕入計画の意図が、
実際に販売にあたる店舗スタッフやEC担当者に明確に伝わっていないため、
各店、各サイトでは、それぞれの思いで商品を並べて販売せざるを得ないと実態は少なくないようです。

そのため、商品計画者の思い通りに商品が売れず、結果として、想定以上の値下げや売れ残り在庫が発生するという話です。

仕入担当者が新商品の紹介や入荷情報の社内連絡を行うのは、当然のルーティン業務ですが、
商談など、仕入業務が忙しいあまり、社内に対しては、事務連絡に終始してしまうことが多いようです。

それぞれの商品を何点販売して、会社全体の売上・粗利の目標達成を目指しているのか?

という仕入担当者としての「意思」を、売場が行動に移せる、販売目標にできるくらいの具体的な数字や売場のイメージで伝えることができているケースは少ないようです。

実は、この仕入担当と販売担当のコミュニケーション(情報共有)ギャップこそが
商品計画の失敗、つまり、多くの売り逃しの一方で、過剰仕入、売れ残り在庫を生んでいる最大要因のひとつであると思っています。

シーズン単位でざっくり立てた商品計画は、例えば、月単位に細分化して、
毎月、見直して、微修正をかけた上で売場と事前情報共有しながら議論を繰り返したいものです。

さもなければ、店舗もEC担当も、販売行動の指針となる、「販売計画」を立てることができない、場当たり的な対応になってしまうことは言うまでもありません。

3)みっつめは、シーズン商品には、必ず、いつまでに売り切るという明確な目標(着地)設定をして販売にあたりましょうという話です。

シーズンで言えば、夏物と冬物の販売終了時期は、それぞれ8月末と2月末と比較的明確ですが・・・
それ以外のシーズンについては、いつまでに売り切るべきかが、具体的に定義されていないケースが少なくありません。

販売期限が決まっていない、あるいは、あいまいだと、必然的に消化管理は甘くなり、結果、在庫はたくさん残ります。

春物や秋物の消化率が夏物や冬物に比べて良くない要因のひとつは販売期間の短さだけではなく、販売期限定義のあいまいさ、とそれゆえの行動の希薄さゆえだと思っています。

〇 全ての商品の販売期限が決まっていること、その情報が販売現場まで伝わっていること、そして、

〇 販売期限までに最終消化率何%を目標に着地させるつもりなのかも伝わっていること、

それが、会社全体で売り切り体制がとれる最低条件です。

これは、いわゆる仕事の「目標管理」の話です。

つまり、いつまでに、どんな結果(数字)にするか、
期限とその時の状態を表す数字がなければ、仕事の目標管理とは言えません。

以上に加えて

・気温と需要にあわせて販売期間を再定義すること 
・セールを前提としない、価格設定(プライスポイント)の見直し

も必要なことは言うまでもありません。

このあたりは、2013年に上梓した
「人気店はバーゲンセールに頼らない」でも解説していますので、ご関心があればご一読頂ければと思います。

ファッション小売業に大きな転換期を迫るコロナショックの今回こそは、
より多くの企業さんが利益とキャッシュフローを重視する
在庫コントロール業務の再構築に取り組むことを切望しています。

関連エントリー一律値下げでは過剰在庫問題は解決しない
関連エントリー気温に合わせて品ぞろえ計画、在庫運用を考え直す

【お知らせ】
アフターコロナ時代を見据えて、粗利高最大化と在庫消化のために
ディストリビューションから販売計画実行を見直す
「ファッション専門店の在庫最適化の実践セミナー2020」
を11月19日にオンライン開催します。

これから事業部で本格的に在庫コントロールに取り組みたい、
再構築したい、組織と役割を見直したいという企業さん向けの内容です。

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August 03, 2020

ファッション小売業のEC化率はどこまで上がるのか?

ファッション流通の専門家としてメディアインタビューを受ける時に、最近よく聞かれる質問のひとつに、
ファッション商品のEC売上比率はどこまで上がるのか?というものがあります。

先日、ECエバンジェリストのZOEさんこと川添隆さんと一緒に登壇させて頂いた

日経サロンの日経特別講座でも話題になりました。

講座のハイライトをご紹介して頂いた noteはこちら

小売業の最先端で何か起きているのか

経済産業省の統計レポートによれば、
2018年度の衣料服飾雑貨などの国内小売市場全体が
13 兆 6790 億円
なのに対して、うち通販売上は
1 兆 7728 億円とのことで
EC化率は12.9 %になります。

このレポートによれば、衣料服飾雑貨はBtoCの通販、物販分野では食品や家電をおさえて、
最も売上規模が大きいカテゴリーに位置付けられています。

さて、この12.9%が今後、どこまで増えるのか?というのが今回のテーマです。

EC普及国、アメリカやイギリスや中国では20-24%くらいという数字を目にしたことはありますし、

ユニクロのファーストリテイリングは長期的にグローバルで30%(2019年8月期は11.6%)を目指し、
ZARAのインディテックスグループも中期的に25%(2020年1月期は14%)になることを予測しています。

先行国の事例や過去からの延長線上でどれだけ伸びるのか、と考えるアプローチもあるかと思いますが、

既述の日経サロンでも話題にしたのですが、

ひとつの視点として、EC化率がすでにかなり高い水準にある海外企業事例、
イギリスのNEXT(ネクスト)のケースから考察してみるのもありでしょう。

NEXTはファストリの柳井会長がユニクロを立ち上げる時に参考にした海外SPAのひとつ
現在、イギリスではプライマークに続き、2番目に大きなアパレル専門店の老舗で、
このブログでも毎年公表している世界アパレル売上高ランキングでは7位にランクインしている大手です。

関連エントリーーアパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

日本でもスポーツのゼビオ社がフランチャイズ展開していますので店舗を見たことがある方もいらっしゃるかと思います。

同社の世界のEC売上比率(主にイギリス国内)は
2020年1月で49.2%あり、営業利益のEC貢献比率は51.7% もあります。
ファイナンス売上を除いて物販売上だけを分母にすると
EC売上比率は 53.6%と過半を占めています。

そして、このEC売上のうち、クリック&コレクト 
つまり、オンラインで注文した商品を店舗で受け取る比率が
約50%と、半分が店舗で受け取られているのです(同社IRレポートより)。

これは、N1dsc02017 毎日、夜12時までにオンラインで注文した商品が、
イギリス国内に展開する約500店舗の中から

顧客が指定した店舗で
翌日の昼過ぎには、送料無料で受け取れるという

顧客にとって利便性が高く、顧客もNEXTも双方、宅配運賃負担がないサービス環境を整えたゆえに
実現した、高いEC売上比率と店舗受け取り比率の高さに他なりません。

NEXTの場合は、オンライン注文品はすべてがオンライン決済ですので約50%がEC売上比率ということになりますが、
仮にオンラインで受取予約をして、店舗で決済するとすると、
単純計算、EC売上比率は差し引き、25%になるかも知れません。

実は、国内ユニクロもオンライン注文の44%が店舗で受け取られ(2019年8月期)
少し前の数字ですが、ZARAもグローバルで66%が店舗で受け取られているという実績があります。

つまり、オンラインで商品を買うと決めても、オンラインで決済するか、店舗で決済するかで
EC売上比率のカウントのしかたも変わってくるわけです。

目先はEC売上を増やせ、という号令に忠実に
宅配を前提としたEC売上を増やすことに集中してもよいかと思いますが、
中長期的には顧客の利便性、経費負担、国内宅配物流環境などなど、大局的な視点で見直すべきかと思います。

関連エントリーーEC拡大時代に理解しておきたい、実店舗販売とEC販売の損益構造の違い

オンラインショッピングが普及して以来、

顧客は
・オンラインで商品を検討し、
・ショップで商品を確かめ
・ショップまたはオンラインで購入する
・同じものであればオンラインでリピート購入する

という行動が当たりまえになりました。コロナ禍でその購買行動は加速したことでしょう。

そうすると、宅配を前提としたEC化率、あるいはEC売上比率はあくまでも計算上の結果、企業側の論理であり、

宅配売上比率を高めるよりも、

いかにオンラインをフル活用して、顧客の新しい購買行動にストレスのない 
OMO(Online merges with Offline)環境を整えるか、 あるいは

ZARAのインディテックスが10年来ビジョンとして掲げ、あと数年で完成する予定のスローガンを借りれば

Fully integrated store and online platform(店舗オンライン完全統合プラットフォーム)

の環境を実現するか?という議論をすべきではないか、ということになります。

まずは、顧客購買行動を起点にビジョン(未来のショッピングシーン)を描き、
そのゴールに向けて環境を整えることに力を尽くしたいですね。

EC化率は、あくまでも、その結果に過ぎません。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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【オススメ本】未来のファッション消費行動を想像しながら、そのビジョンに向けてこれから取り組むべきことを考える、そんなお手伝いができればと思って書き上げたビジネス書です


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June 29, 2020

この夏のバーゲン期にニューノーマルを考えよう

緊急事態宣言が解けてから1か月

6月の第2週くらいに西東京の駅ビルをいくつか覗く機会があった時、

赤いPOPを多用して思い切った春物の処分に売場を割いているショップもあれば、

これから着ることができる正価商品を前面に打ち出し、
後方で赤、黄色以外のスペシャルプライスPOPを使って春や初夏の値下げ販売をしているショップもあり、

各ブランドそれぞれの事情がある、それが店頭に表れているのが普通の姿
だよね、と思ったのを思い出しました。

毎年、夏のバーゲンの時期は館(商業施設)ごとのスタート時期が話題になりますが、Dsc02059

今年は

混雑を避けるために、商業施設としてセール期間を設けず
7月の1ヶ月は売り方をテナントに任せるという駅ビル

ブランド(テナント)の在庫消化協力のために、
バーゲンを大々的に告知するという百貨店

などなど                                              

考え方はいろいろですが、館(商業施設)の事情ではない、
お客様の安全と入居テナントの在庫事情を鑑みているという点では共通しているようです。

(画像はロンドンオックスフォードストリート2019夏)

筆者は

適品を
気温にあわせて(適時)、
値下げを前提にしない顧客が求めるプライス(適価)で店頭提案する

不人気商品は早期に消化を図って換金(ECでもよし)、売場から一掃し、
できるだけ早く人気商品、新しい商品に入れ換え店頭鮮度を高める
正価のままで売り切り可能な人気商品はバーゲンになっても値下げしない

のが正常で

イベントとしてのバーゲン期間はあってもよいですが、

そんな時にも前面はセール品でも、奥には今からしばらく着ることができるサイズの揃った新作がある

バーゲン以外のいわゆるプロパー期も
旬な新作が前面を飾り、(売場面積に寄りますが)奥には処分コーナーもある

という状態が普通でよいのではないかと思っています。

まあ、百貨店はプロパー期とバーゲン期で掛け率が違うので同じ時期に混在すると面倒なのかも知れませんが、
そんな事情がなければ、

いつ行っても、店頭にいろんなショッピングの楽しみ方があるのがお客様にとっても
ブランド側にとっても自然体かなと思えてなりません。

特に地球温暖化の影響もあって、年間5か月もある夏シーズン(最高気温25度以上の日々)の在り方は
しっかり考え直さなければますます利益が出なくなることに危機感を感じます。

この夏のバーゲンやセールの在り方がイレギュラーではなく
顧客側もブランド側もWINWINとなる
あるべき姿(ニューノーマル)を考える機会になればいいなと思う今日この頃です。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

次のステージに向けての在庫最適化と人財育成を切り口にした業務再構築支援~ZOOMを使ったオンラインアドバイザーサービスも実施中。詳しくはこちら

【参考書籍】

2013年の本ですが、長年の顧客購買行動分析と在庫コントロールの経験とノウハウを有名企業事例を用いてわかりやすくまとめました書籍です。

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

電子書籍 Kindle版 紙の本の在庫が少なくなりました。ご希望の方は弊社までメールでお問合せください。



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June 15, 2020

インディテックスグループ(ZARA)既存店の大量スクラップ&ビルドによりEC連動型店舗へのモデルチェンジを加速

6月10日に発表されたZARAのインディテックスグループの2020年度第1四半期決算に目を通しました。
4cimg0441_20200615133601 日経新聞や繊研新聞などの一部の報道では
コロナショックによる店舗休業によるダメージが甚大で売上高前年比45%の減収により、営業利益は大幅減益となり、四半期赤字に転落したと共に

グループ全体で現在世界に7412ある店舗を2022年までに1200店舗閉鎖することが強調され、

この3カ月間で5割伸ばしたECを強化する(現在の年間EC売上比率14%から25%へ)、さすがの世界一のアパレル企業も新型コロナによってデジタルシフトが迫られた、というような論調で書かれていますが・・・

 

それらに抜け落ちている大事な視点を補足をさせて頂くと、

実際は 
・これら1200店舗が役目を終えたZARA以外のブランドの小型店が中心であり、
・閉店の一方で並行して450店舗のEC連動型の大型店を新規出店することで、
結果、
・店舗は全体で600店舗くらい減るものの、売場面積は逆に毎年2.5%増え、既存店売上も4~6%伸ばす計画であること

が同社のオリジナルプレスリリースを読むとわかります。

ですから、同社の場合は、業績不振のアメリカのチェーン店とは違って、閉店数が多いことだけを取り上げて「ヤバいのか?」

悲観することではなく、より健全な状態に向かっていると見るべきでしょう。

これらの施策は、メディアが言うようなコロナショックがあったからの急展開ではなく、もともと同社が2012年あたりから始め、ここ3年で加速していたいわゆるオムニチャネル(OMO)施策の総仕上げに過ぎないんですよね。
同社ではこれを fully integrated store and online platform と呼びます。

実際、過去6年間に
1729店舗を閉店して、
1106店舗を増床し、
2556店舗を改装し、
3671店舗を新規出店しています。

その間は店舗数も売場面積も純増でしたが、
これからは、店舗数は純減も、売場面積の純増は維持し、
よりECを店舗と連動させ、

同社が以前から描いていた
「新しい顧客購買行動のビジョン」に投資を続ける
というだけの話なんです。

今回の赤字には閉店予定店舗の減価償却の積み増しも多く含まれています。
(前期は売上が落ちることを見越して、在庫引当金=評価損の原資を計上しました)

また、大量閉店と言うと、雇用はどうするんだ?という意見もあると思いますが、同社はEC対応する大型店のEC対応要因として受け皿を用意していると言い、雇用に対する配慮も欠かせません。

危機に背中を押されるのではなく、
まずは未来の顧客像やビジネスのビジョンを描き、
顧客は進化して行くにも関わらず、自分たちが変わらないことへの危機感に対し
行動を続けているのがインディテックスグループの姿です。

彼らが今、何を考えているのかを常にウォッチしていれば、
規模にかかわらず、我々も活用できる未来へのヒントが得られます。
なぜなら、彼らが長年観ているのは、競合ではなく、「顧客だけ」ですから。

まだまだその背中から学ぶことはたくさんありそうです。

関連エントリー‐世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

次のステージに向けての在庫最適化と人財育成を切り口にした業務再構築支援~ZOOMを使ったオンラインアドバイザー・勉強会支援サービスも実施中。詳しくはこちら

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になるでしょう。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

いつもお読み頂きありがとうございます。


 

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