June 07, 2009

U29(アンダー29)のファッション消費購買行動

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 6月6日の日経新聞に、愛着をもって着古した服を捨てずに、フリーマーケットやヤフオクなどで交換するU29(アンダー29;29歳以下)世代の消費購買行動に関する記事が掲載されていました。

 そんな同世代の古着を交換して楽しむ特徴を、リアルのイベント化したのが、記事でも紹介されている

 xChange

 で、私も最近気になるファッションイベントのひとつとして注目しています。

 ブログで話題にするストリートスナップに登場する子たちも、このU29世代にあたり、彼女ら、彼らは、1点くらいは話題のブランド、アイテムを取り入れながらも、ユニクロ、アメリカンアパレルのようなベーシックから、国内外のファストファッション、欧米古着、もらいものまでをパーツとして上手に組み合わせ、できるだけ安く、しかしながら、おしゃれで素敵なファッションを楽しむ「チープシックな」購買行動をする典型的な世代と言えます。

 H&Mやフォーエバー21の店頭をご覧になった業界のベテランの方々が、こんなビジネス(特に品質)いつまで通用するかな?なんてことをよく言われますが、その際、今、ユニクロやファストファッションや古着を積極的に取り入れる世代が30、40歳になった時、また、ファッションマーケットをリードしているその世代の消費購買行動が年齢の上と下の他の世代にどんな影響を与えるかを話題にすることがよくあります。

 U29世代は、年をとっても、今35歳以上の世代と同じ行動をするとは思えない。やはり自分たちの価値観で安くていいものは積極的に取り入れるだろうし、むしろ、今35歳以上の世代が、U29世代の賢い行動に影響を受け、古着はわかりませんが、徐々にファストファッションに理解を示し、うまく取り入れ、自身のファッションに工夫をするようになる方が現実的な気がしてなりません。

 ファストファッションの浸透、欧米マーケットの古着の取り入れ方、国内の古着リサイクル流通の進化・・・マーケットのパラダイムが大きく動いている今、価格、品質ももちろん大切ですが、より生活者の行動パターンを理解しながらビジネスを組み立て直す必要性を感じます。
  
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January 04, 2009

2009年ファッションビジネスの視点

 1月3日の日経新聞によると、今年の初売りは、百貨店が来店客数増も売上前年割れ、GMSが前年並、イトーヨーカ堂グループが業態転換したザ・プライスのようなネオ・ディスカウント業態は転換前と比べると大幅増(倍とか)という結果だったようですが・・・昨年のブログエントリーの中から、今年のビジネスキーワードになりそうな記事を用いながら、今年のファッションビジネス、マーケットについての視点をいくつか考えてみたいと思います。

1.良品廉価?

 1月1日の日本繊維新聞には、業界主要各社へのアンケート結果をまとめて、「良品廉価」というキーワードを出されていました。生活者が良品廉価を、よりあたりまえに享受できるマーケットになることはとてもよいことですが、業界各社が横並びで、それだけを目指して仕事をしていたらユニクロの後追いに過ぎず、いつになっても追いつけないのではないかなぁ、と思わざるを得ません。

 なんか、バイヤーが商談の席で、メーカーの営業マンに「いいか、品質落とさず、安いの持ってこいよ!」なんて言ってる姿だけが目に浮かんでしまいますね(笑)。

 安易な低価格戦略はユニクロの思う壺(つぼ)?

 ある急成長中勝ち組企業では、商品企画をするあたって、必ず、商品ひとつひとつについて、お客さんにとってのメリットが「3つ以上」あるかどうかを社内で議論し、それをクリアしたものだけを商品化しているそうです。

 こちらはとても共感できる話ですね。

 いまや、生活者にとっては、①低価格で②品質がよい、のは当たり前の時代で、3つめの何かがないと厳しいと思います。ユニクロもH&Mもその他の常勝ファッション企業もすでに顧客の視点で見た3つ以上のメリットを持っていると思いませんか? 
 
2.ファストファッションマーケットの拡大

 あらてめて、ファストファッションとは・・・低価格ながら、価格以上の価値をデザイン性とスピードで提供する企業

 そんな生活者の新しいファッションポートフォリオ(使い分け)にハマる企業のシェアはH&MやZARAのような外資系や、ポイントのローリーズファーム、ジーナシスなどの国内ファッションSPAの拡大、浸透で一般的に定着しそうです。この場合は、デザインとスピードを優先させたので、品質はBESTではなくとも、1シーズン着れれば十分のENOUGHでしょう。是非是非、「価格をデザインする」企業の努力にご注目ください。

 次に来る流通革命
 価格をデザインせよ

3.店舗演出、エンターテインメント性への投資が進むか?

 09年秋に銀座にアバクロが1号店をオープンしますが、アバクロ日本上陸の本質は、単なるアメリカ人気ブランドの上陸ではなく、同ブランドが、日本のファッションストアに対して、もっと感動や共感を呼ぶ店舗演出やエンターテイメント性向上に革新的な刺激を与えてくれることと期待しています。

 すでにそんなチャレンジを始めている企業もありますね。

 絶好調、アズール・バイ・マウジーのチャレンジ

4.どこまで等身大MDに迫れるか?
 
 顧客の支持を得るためには、まず、ターゲット顧客と同じ目線、生活観、共感から始まり、半歩先回りした提案が必須なのは誰もがわかっているはずですが、今後も、その実践、徹底、スピードが優勝劣敗を決めることは間違いなさそうです。

 自己実現の欲求時代のファッションビジネス 
 サプライチェーンからディマンドチェーンへ

5.もっとストリートファッション

 東京ストリートは365日繰り広げられているリアルなランウェイ、世界のファッションビジネスに携わるクリエーター、バイヤーも注目しています。そんな情報源の身近にいるのですから、もっともっと肌で感じて、インスピレーションを得ない手はありませんよね。
 自らも定点観測をしながら、広がりつつあるストリートスナップ(ストスナ)からも目が離せませんね。

 東京のストリートファッションを世界へ

6.リアルとネットの使い分け

 賢い生活者の購買行動を手助けした企業がネットの覇者になると確信しています。

 リアル店舗とウェブストア(ECサイト)の使い分け
 住友商事ネットスーパー事業参入の先見性

7.鮮度高まるアウトレットモール

 昨年で出店は一段落ついた感はありますが、今年は近郊型アウトレットモールやさらに広がるインターネット上のアウトレットがより生活者のお買いものの選択肢として定着しそうです。

 三井アウトレットパーク入間開業、変わるアウトレットモールの位置づけ
 インターネット上のアウトレット販売が拡大中

8.ファッション商品のリサイクル

 ファッション消費の出口、そして、新しい買い回りの選択肢として、ファッションリサイクルマーケットがどこまで拡大するか、とても興味深いところです。

中古ファッションマーケットの潜在性
来年はファッションのリサイクルビジネスがどこまで広がるだろうか?


 ざっとそんな感じで、ほかにもいろいろあるかと思いますが、今年も大きくパラダイムが転換する日本のファッションマーケット、生活者を取り巻く環境、事例をウォッチして行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします!

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December 30, 2008

来年はファッションのリサイクルビジネスがどこまで広がるだろうか?

 先週の12月26日の日経新聞、「消費の現場」というコーナーの、「H&M、古着店に早くも登場」という見出しに目が止まり、興味をもって記事を読み始めました。

 記事によると、トレジャーファクトリースタイルというリサイクルショップチェーン(マザーズ上場)の高円寺店では、9月に銀座、11月に原宿にオープンしたばかりのH&Mの商品が、新品同様の状態で、すでに月に4-5件持ち込まれており、同チェーンの他店でも同じように持ち込みが増えている模様。各店で買取の後、すぐさまプロパー価格の半値程度で販売される商品の店頭での動きはよい、とのことです。

 今年、H&Mの上陸が引き金となって始まったファストファッションブームは、今後、アパレルマーケットの金額ベースの市場規模の縮小にますます拍車をかけることになると思いますが、単価は下がるその一方で、点数ベースでは減るとは思えません。むしろ購買頻度や枚数は増えるのではないかと・・・。

 そうすると、生活者のタンス、クローゼットの中は必然的に回転率を上げざるを得ないわけで、押し出されるべき旧商品の行き場が悩みの種になるのは、時間の問題でしょう。(すでに困っている方も多いと思いますが・・・)

 不用になった服は、売る、あげる、捨てる・・・まだまだ、その処理方法は一般的に定まっていないと思いますが、これから我々はどんな選択、行動をとって行けばよいのでしょうかね。

 最近では、ユニクロ、紳士服チェーン各社、イトーヨーカ堂などが、企業の社会的責任のエコ対策も相まって、不要古着の店頭回収や下取りセールなど、ファッション商品の「出口対策」を考える企業も現れ始めたようです。

 とは言え、常時やっているわけではないので、私たちの必要に応じた、オンデマンド的な「インフラ」としてはあまり当てにできそうにありません。
 
 そんなことを考えていた時、ちょうど同日(26日)の繊研新聞に、アパレルリサイクルショップの全国チェーン、キングファミリーの記事が掲載されていました。

 同社の黒川社長のインタビュー記事によると、

 ○日本の古着リサイクル率9%はアメリカの33%に比べ、まだまだ低い。
 ○同社は、基本持ち込まれた商品は、全品買い取り、買い取った商品の3割は店頭販売、1割は古繊維(ウエス)として加工販売、残り6割は東南アジアなど海外に輸出している
 ○日本の古着は質がよく、海外でも評判がよい。原産国が古着として日本から逆輸入?するケースも
 ○同社の事業の目標は「古着市場を新品と同等のファッションの選択肢にすること」

 とのことです。

 以前、ファッションのリサイクルショップでチェーン展開している業態を簡単にリサーチしたことがありますが、やはり、彼らも新品マーケットの階層に順じて存在しているようで、現段階では、だいたい次のような感じにセグメント(分類)されるのではないかと思います。中には、欧米古着やメーカーのクローズアウト商品もミックスして販売しているお店もあるようです。

取扱マーケット代表的なリサイクル業態備考
①ラグジュアリーブランドコメ兵、ブランドオフなど目利きの世界?
②ハイエンド・デザイナーブランドラグタグなどブランド指定あり
③トレンドカジュアルブランド中心セカンドストリート(*1)、トレジャーファクトリースタイルなど買取に制約あり
④ヴォリューム対応キングファミリー、ビースタイル(*2)、ビースポーツ(*3)など基本的に全品買い取りまたは引き取り

(*1)はゲオ傘下のフォーユーが運営
(*2、3)は、ともにブックオフグループ

 今後、日本のファッションのリサイクル率を高めて行くためには、将来的な3番目と4番目の業態の拡大と地域インフラ化に期待したいところですね。

 3番目の業態でのキーポイントとしては、

・買取の際の「ブランド」の線引き、買取基準をいかにわかりやすくできるかということと、
・ここでだったら古着だったとしても買ってもいいかな、と買い手のファッション感性を多少くすぐる内装とスタッフの対応

 ではないでしょうか。そのあたりが整備されれば、賢いファッション購買の選択肢のひとつに入って来る可能性も大。

 一方、4番目の業態は、

 (キングファミリーの査定基準のように)
・とにかく来るもの拒まず、制約がなく、持ち込んだ商品は、必ず何らかの値段が付き、手ぶらで帰れる安心感
・ローコストオペレーションの徹底
・繊維再生、海外輸出手段も持っていること

がキーではないかと思います。

 ご興味あれば、お近くにいずれかの店舗がないか探してみてください。↓↓↓

 セカンドストリート
 トレジャーファクトリースタイル
 キングファミリー
 ビースタイル
 ビースポーツ

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関連エントリー‐中古ファッションマーケットの潜在性

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October 17, 2008

次に来る流通革命

 前回も取り上げた今週の週刊ダイヤモンドの特集記事の最後の部分にある「小売り業界50年史」年表を眺めていて思ったこと。

 業界は、戦後のチェーンストア理論に始まり、さまざまな流通革命をもって、段階的に日本の生活者を豊かにして来たと思います。

 「品揃え革命」を起こした百貨店

 「価格革命」を起こしたダイエーほかGMS
 
 「品質革命」を起こしたユニクロに、「機能革命」を起こした無印良品

 革命後の勝ち組企業は、当然、それらを備えていることがスタンダード(あたりまえ)になります。

 さて、次に来る流通革命は?

 ずばり「デザイン革命」なんでしょうね。

 安くてもデザインがいい、安くてもファッション性が高い。

 それは、2つのスウェーデン企業、2006年のIKEA、2008年のH&Mの日本進出で口火が切られ、すでに始まっていると思います。

 日本で、これら外資を越える「デザイン革命」の担い手は、現れるのでしょうか。

 これが業界最大関心事のひとつであると言っても過言ではありません。

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関連エントリー-スウェーデン企業の国際性

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September 14, 2008

エバンジェリストの役割

 9月12日の記事になりますが、日経新聞の1面下のコラム、「春秋」に、ここのところIT企業や製造業の社内で広がりつつある、「エバンジェリスト」という肩書についてのお話が掲載されていました。

 「エバンジェリスト」とは、もともと、キリスト教の「伝道師」を意味しますが、最近では、特に技術を売り物にする企業において、新技術や設計手法といった今後の企業の成長のキーとなりうる社内のナレッジを、社外や社内に広める役目の人にこの肩書が使われているそうです。

 単に技術のことが「わかっている」だけではなく、「わかりやすく伝える」力がなくては務まらない役目であり、日本IBMでは、コミュニケーション能力の高い、最上級の技術者のみが名乗れる名誉な肩書きだそうです。

 このエバンジェリスト(伝道師)のようなお仕事、技術系の企業に限らず、ファッション企業しかり、企業が未来に向けて「継続的」な成長をしてゆく上で、とても大切で素敵な役割だと思いました。

 企業は、これまで、従業員に会社の評価制度の中で成果を上げることを第一に求めて来ました。右肩上がりに時代はそれだけでもよかったかもしれません。

 しかし、縮小均衡に入った今、これからは、成果そのものも大事ですが、成果を上げた個人や一部の人たちに帰属するナレッジ(知識・経験)をいかに「わかりやすく」社内に知らしめ、共有することによって、人を育て、相乗効果を上げるかを促進すべきで、成長過程でいかにそれを担える人財を増やせるかが企業成長のキーになると思っています。

 その過程においては、今回ご紹介したエバンジェリストのような役割、制度が社内で活躍することになるのではと期待しています。

 そして、それは、教育研修担当者とかの仕事ではなく、一線で活躍する実務経験者のもうひとつの昇進の姿であったりしたら、日本の未来も明るいのではないかと思ったものです。

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関連エントリー-CLO(チーフラーニングオフィサー)というお仕事

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June 12, 2008

リアル店舗とウェブストア(ECサイト)の使い分け

 6月11日の日本繊維新聞に首都圏の主要ファッションビルが運営するネット通販に関する記事が掲載されていました。

 主なデータを以下にまとめてみました。

ルミネ「アイルミネ」
 08年スタート、現在37店舗出店、3000アイテム展開(ルミネが買取)
 PC:ケイタイ利用比率=8.5:1.5
 1万5000PV/日
 ゴールデンタイム 21:00-24:00
 初年度売上目標10億円
 
パルコ「パルコシティ」
 07年スタート、現在61店舗出店
 PC:ケイタイ利用比率=8:2
 16-17万PV/日
 ゴールデンタイム 20:00-25:00
 初年度の3倍の売上を計画

109「SHIBUYA 109 NET SHOP」
 04年スタート、現在60店舗出店
 メンズ06年スタート20店舗
 PC:ケイタイ利用比率=6.5:3.5
 ゴールデンタイム 21:00-25:00
 売上に関するデータなし

 各社とも目先はリアル店舗と同じ品揃え、サービスを提供することを目指しており、将来的にはリアルにないものも取り扱いたい、としています。

 この記事の中で、注目する内容としては、顧客が「リアル店舗とECサイトを上手に使い分ける購買行動」をしているという事実です。(以前もECに詳しい方から同様のお話を聞いています)

 企業側からすれば、ECサイトを開設することは、
 
 ・ウェブストアという店舗(販売機会)が増え、売上が拡大する。
 ・リアル店舗未出店エリア以外の顧客からの売上が期待できる。
 
 というのが初期の目論みだと思いますが、

 ・店舗で見てECサイトで買う。
 ・ECサイトで商品を認知して、リアル店舗に出向き、現物を確認して買う。

 という顧客の購買行動こそ、顧客視点のECサイトの使い方なんでしょうね。

 つまり、

 ・店頭で迷ったけど、家に帰ったらやっぱり欲しくなった
 ・店頭で自分のサイズがなく、客注(取り寄せ)対応してもらわなかった、あるいはもらえなかった
 ・気に入ったけど、持って帰るのが面倒だった
 などなど
 
 そんな顧客の購買心理・行動を先読みしたら企業側にとってもECサイトの活用のしかたはいろいろあるんだろうな、と。

 たとえば、リアル店舗全店で一定の販売期間が過ぎて、各店でカラー・サイズ欠品を起こし始めたような商品を、ディストリビューション機能がしっかりしている会社であれば、集約店舗やアウトレットに集めるのもいいと思いますが、ウェブストアに集めるというのも手でしょうね。そうすれば、ウェブストアを客注対応の場としても活用できるわけです。

 ロングテールという言葉を使うまでもなく、顧客の期待に応えながら、消化も促進するのではないかな、と思います。

 顧客満足に応えるECサイトの活用法、いろいろ考えてみたいですね。  

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関連エントリー-ファッションリテイラーのネット通販比率

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March 02, 2008

ファッションストアの標準化と差別化に関する一考察

 先日、アメリカから来日中の業界の同世代の起業家である知人と話をしていて、日本のファッションチェーンストアは日本全国どこの店にいっても同じ顔をしていてつまらない、とこぼされ、多店舗化するにしても、もう少し、店舗によって、違った顔、生活者にとって新鮮な出会いを演出できないものだろうか、との議論になりました。

 アメリカのチェーンストア理論をベースとした日本のチェーンストアは、多店化するにあたり、どこにいっても同じ店構え、商品、サービスを提供するいわゆる「標準化」による効率経営をモットーとします。

 上記の議論は、チェーンストア経営からすると、一店舗一店舗違う店づくりという、非効率経営?セオリーから相反する話になりますが、オーバーストア時代に、生活者の目線で見れば、どうしたらそれがそれに近いことが実現できるのかを考える必要のある時期なのかもしれないと思うことがあります。

 ところで、アメリカは、現在エコ、ナチュラルブーム真っただ中、直近の米最大級のファッション展示会、MAGIC、プールショー、プロジェクトなどもそれらのテーマでもちきりだったそうです。

 そんなグリーン、エコ、ナチュラルライフスタイルテイストの個性の強い絶好調店舗の一つにアーバンアウトフィッターズグループのアンソロポロジーがあります。

 私も、マーケットリサーチにアメリカに通い詰めていたころは、アンソロポロジーは、定点観測場所のひとつだったもので、大好きな業態のひとつであります。

 Anthropologieホームページ

 既出の彼は、要は、アンソロポロジーや同社の基幹業態のアーバンアウトフィッターズしかり、アメリカの成長中の株式公開企業であっても、店舗によって見た目の違う世界観を楽しめるチェーンオペレーションを行っているわけで、今後は、日本のファッションリテイラーもその手法をベンチマークすべきではないかということを言わんとしていたわけです。

 話の中で、アンソロポロジーが、独特の店舗の世界観を表現するために陳列しているキーアイテムであるアンティーク家具や観葉植物にプライスタグを付け、実際に販売もしているという話におよびました。

 なるほど、話していて思いついたのは、

 店舗内装の一部であるアンティーク家具を販売するということは

 ○初期投資としての内装費を商品在庫として考えられる・・・

 ○売れて新しいものと入れ替える頻度が高まれば自然と内装の鮮度も保つことができる・・・

 ○同様に店舗世界観の一部である家具を店間移動するだけでも頻繁に改装をするのと同じ効果があるのだろうか・・・

 販売する服の商品回転を高め、店頭の鮮度で勝負を競うアパレルファッション業界ですが、もし、固定設備、償却対象とされてきた内装である家具、什器も回転していったらどんなことが起こるのだろうか・・・

 洋服屋さんと家具屋さんの二つの発想が合体した時、業界にまた新しい発想が生まれるのではないか、と思いを巡らせたものです。

 そういえば、最近、家具会社を傘下に収めたセレクトショップがありましたっけ。

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関連エントリー‐明日の業態開発と店舗内装

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February 03, 2008

ファッション企業がロシアに注目

 2月2日の繊研新聞に、アメリカの手の届くラグジュアリーバッグブランド「コーチ」が、今年ロシアに進出し、5年間でモスクワとサンクトベテルブルクを中心に15店舗を出店することに関する記事が掲載されていました。

 また、ちょうど先ごろ発表されたH&Mの07年11月期決算発表の中にも同社が2009年にロシア、モスクワに1号店を出店し、その後、その周辺で店舗を拡大することを発表しています。

 以前ブログに取り上げたユニクロのモスクワ進出は、柳井会長の「早めに出たい」、という発言を日経記者が早合点して具体的な計画のように報道してしまったことがその後明らかになりましたが、いずれにしても、世界のファッション企業は、BRIC’Sの一角であるロシア市場に熱い視線を向けているようです。

 ロシアには、天然ガスを中心とする豊富な資源で潤った富裕層が着実に台頭してきているようで(この点は、中東と同じで、経済バブルとは違い、底堅いのではと思われます)、国内供給が追い付いていない、わざわざ海外のラグジュアリーマーケットで買いまわっている層が目立ってきていることを各社が察知しての動きのようです。

 今、海外観光旅行者需要が高まる日本のファッションマーケットですが、世界のビジネス拡大、同期化のスピードが年々高まっている昨今、企業は潜在マーケットを察知すれば、旅行者の現地への出店も加速させることでしょう。そうすると、日本も今の海外観光客景気に、ずっと浮ついているわけにもいきませんね。

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関連エントリー-ブランドビジネスの常識を覆す、コーチ
関連エントリー-ユニクロがモスクワ進出!?

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January 30, 2008

インターネット上のアウトレット販売が拡大中

 1月30日の日経新聞に、人気衣料品ブランドの在庫処分品を扱うインターネット通販の利用者が増えていることに関する記事が掲載されていました。

 紹介されていたのは、

 マガシークのアウトレットピーク 
 ゼイヴェルのアウトレットウォーカー(ケイタイサイトのみ)
 ニッセンのブランデリ
 など

 具体的な金額は掲載されていませんが、それぞれ前年比6-7割増くらいのペースで推移しているとのことです。

 ブランド衣料のアウトレットと言えば今のところ郊外立地がほとんどで、生活者にとっては、出かけていっても必ずしも欲しいものがあるとは限らず、ネットであれば手軽(商品を触れないリスクはありますが)に購入ができる。百貨店、専門店などの店頭販売が低迷している昨今、アパレル、ブランドの利害とも一致して、在庫処分を上記のようなサイトに依頼するケースが増えているとのことです。

 ブランドが自社サイトでアウトレット販売するケースもありますが、当事者ではない企業や異業種によるポータルサイトなどの立ち上げも目立っているようです。 実際は、その方が、割り切って処分できていいかもしれませんね。

 ファッション性が高い気に入った服が値下で安く買えるのは、1月と7月のセール時のみという常識は着実に崩れつつありますが、こんな流れも、賢く買いまわる生活者をますます育んでいくひとつの販路になりそうです。

 アメリカでは、百貨店で販売されている著名ブランド品(新品・新古品)を常時OFFセールしている「オフプライスストア」が、リアル店舗として、アウトレットモールとは別にファッション流通の1業態として確立していますが(2兆円規模のマーケット)、日本においても業界に対する百貨店の影響力が小さくなると、そんな業態が出現する日もそう遠くはないのかもしれませんね。

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関連エントリー-日本にはないクローズアウトマーケットとは

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January 21, 2008

外国人客取り込みが成長持続のカギ?

 先週は全国百貨店の年間売り上げが11年連続減少(7兆7052億円;前年比▲0.5%)という統計が発表されました。

 ファッション関連商品別には、

商品別          前年比   売上構成比
衣料品          ▲2.1%    37.6%
身の回り品        +0.5%    13.0%
(靴・服飾雑貨など) 
化粧品          +4.1%     4.6%

といった数字になります。 日経プレスリリース 関連資料 より

 ところで、百貨店売上全体が縮小する中、好調百貨店のひとつ、5年連続で初売りが前年を上回って記録を更新したという伊勢丹新宿本店に当日列を作ったという友人と話をしました。

 「いやぁ、あんなにアジアの人が多いと思わなかったよ・・・」

 1月21日の日経MJに、外国人集客を競う百貨店の記事が掲載されていました。

 記事によると、増える観光客に対応した免税コーナーサービスの向上はもちろん(三越銀座の昨年一年の免税カウンター利用者は前年比5割り増しとのこと)、中国版デビットカード、「銀聯(ぎんれん)」の導入、観光客向け割引サービスを行う百貨店もあるそうで、都心部では、いかにアジア観光客を取り込むかが今後の成長持続の大きなポイントになっているようです。

 そう、銀座や表参道に旗艦店出店ラッシュをするラグジュアリーブランドしかり、いまや日本人顧客の購買増を当てにして、というより、新興国観光客取り込みを目的とした投資が一般的のようです。

 そんなニュースを読んで、日本マーケットを憂うべきでしょうか?

 いやいや、日本も欧米主要都市並みに、国際的になったなあ、と喜び、これからも進むそんな傾向への対応を考えるべきなのでしょうね。

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関連エントリー-「ニッポン買イマス」 主役は新興国(BRICs)?

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January 13, 2008

中国企業が日本企業を買収するなんてことも・・・

 13日の日経新聞の一面に、2007年終値ベースの世界主要企業の株式時価総額ランキングに関する記事が掲載されていました。

 やはり、GDP2桁増を続ける中国の企業への期待は高く、躍進はめざましいものがありますね。

 トップ10に米の4社を上回り5社ランクイン(日本はトヨタ自動車が21位転落でゼロ)、トップ500でいくと、米の166社(21社減)にはまだまだ及ばないようですが、日本の40社(8社減)を上回る44社がラインクインしているとのことです。

 特に、中国石油天然気(ペトロチャイナ)が、米エクソンモービル(前年1位→2位)を抜いて1位(前年6位→1位)、になったり、中国移動(チャイナモバイル;前年19位→4位)、中国工商銀行(前年7位→5位)、中国建設銀行(前年27位→8位)など、エネルギー、銀行分野での躍進が顕著で、エネルギー資源の高騰、ドルや円の対外為のレートが下がっているのが影響しているのも間違いない要因ですが、世界の投資家の期待、資金がどこに向かっているのかがわかります。

 年明けから、日経新聞では、円とともに弱体化する日本経済に関する記事が多く、危機感を感じながら読ませていただいております。

 輸出立国である日本は歴史的に円安を歓迎する、過去にはそれでよかったかもしれません。しかし外国から見れば買いやすい国と映るのが間違いないのも事実。各種、金融の規制緩和、日本市場の開放はそれを促進します。

 記事の中で、ゴールドマンサックスのエコノミストの方がおっしゃっているように、今後、世界の投資家の期待で流れ込む資金を利用して、中国(アジア)企業による日本の代表的な企業の買収も活発になるかもしれませんね。 

 ところで、年始に業界の方と世間話をしていて、「今勢いのあるファッション企業は?」というような話題になりましたが、数社名前が挙がったものの、「今年は大手による中小ファッションストアのM&Aの年ですかねぇ~」という結びになったものでした。

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関連エントリー-香港Li&Fung利豊(リー&フォン)社の兼松繊維買収が意味するところ
関連エントリー-ハニーズ初のM&Aでトレンド企画機能を獲得へ


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December 09, 2007

新世代の経営者の発想

 先日、ある知人のご紹介で、現在、近畿圏に6店舗のファッション専門店を経営する20代の社長さんとお話をする機会がありました。

 話の中で、将来のビジネス拡大ビジョンを熱く語っていただいたのですが、とても感心したのは、現在、出店している地域でしっかりビジネスの足固めをしてから、満を持して東京に出ていきたいと言われたこと、そして、近畿圏、東京首都圏など売れる地域に集中して出店し、そこでやりつくしたい、話があるからと言ってあっちこっち地方に出るより、その方が効率がいいでしょう、というお話でした。

 ファッションストアを多店舗化する際に、政令指定都市を中心に日本全国に出店、という展望を考える企業が今でも多いのが現状です。

 しかしながら東京首都圏を中心に、近畿圏、名古屋圏の3つの商圏に日本の人口の半分以上が集中するのが現実。そういったビジネスチャンスが最も大きい地域に徹底的に集中出店するというポリシーを掲げている企業が意外と少ないのにいつも疑問を感じていましたので、とても共感しながら話を聞いていた次第です。
 
 また、その後の展開の中で同氏は、やはり日本全国へ拡大というより、アジアを中心に外国の都市をいくつか挙げました。

 「だって僕らがそのくらいになるころには日本にはそんなに売れるとこ、なくなるんちゃいますか?」

 世界で二番目に大きいマーケット日本のファッション業界に長年いると、まずはいかに日本で拡大するかを考えるものです。

 最近でこそ中国への出店、ビジネス拡大の機会をうかがう大手企業もありますが、それは日本での飽和感を実感した結果であって、立ち上げ、拡大途上のうちは考えもしなかったかもしれません。

 日本の人口が減って行き、マーケットの成熟がハッキリしている今、ヨーロッパの企業がそうであったように、これからの新世代の経営者たちには、ビジネス立ち上げ時から「国境」の発想はないのではないか?これからはそんな固定概念のないボーダレスで自由な発想をし、それでいて現実的で浮わついていない経営者が次々に現れてくるのが楽しみだなぁ、と久々に清々しい気持ちになり帰路についたものでした。

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November 29, 2007

中古ファッションマーケットの潜在性

 11月27日の日経新聞に、衣料・ブランド雑貨・家電を中古品専門店やインターネット競売で「旬を逃さず安く買う」消費者が目立ってきた、との記事が掲載されており、興味深く読んでおりました。

 本やCDについては、ブックオフなどの中古書チェーンが、すでに「生活のインフラ」となった感は誰もが認めるところですが、衣料の中古にはまだ懐疑的な方も多いと思います。

 記事のインターネット調査結果を引用させていただくと(ヤフーバリューインサイトのインターネット調査、20-69歳の男女1000人からの回答)

 中古品を月1回以上売買する人は19.2%(5人に1人)。また、中古品の売買を行う場合、その場所としては、中古書店の利用は60%に迫り、ネットオークションも55%を超えています。ここ一年に買った中古品では、22.8%が衣料品、ブランド雑貨を挙げています。

 記事には、ブランド品を購入する場合、伊勢丹新宿店と向いの「コメ兵」を使い分ける生活者の事例が掲載されており、

 シーズン中にできるだけ高値で売るために、飽きたらできるだけ早く手放す生活者→伊勢丹と比べて同じものが安く並んでいれば、コメ兵で買う生活者、という流通が成立していることにも触れられています。

 そういえば、ラグタグも伊勢丹本店のすぐ近くにありましたし、銀座にも中古ブランド衣料店が何軒かあります。

 従来のリサイクルショップをイメージすると、どうしても衣料は買う気がしないのですが、

 「旬を逃さず」高く売り
 「旬を逃さず」安く買う

 という、ネットオークションのディマンドチェーンがリアル店舗の形で成り立てば可能性は少なくないのかなとも思います。

 ところで私の休日の行動範囲の中に、トレジャーファクトリースタイルという店があります。

 もともとは大型リサイクルショップであったようですが、ブランドを中心としたファッション衣料の中古品と欧米古着をミックスさせて、きれいな内装の中で販売していて、さほどみすぼらしくない印象を受け、私も、しばし宝物さがしに興じてしまいました。

 この日経新聞の記事の翌日に、このストアを運営するトレジャーファクトリー社が東証マザーズの上場承認を受けたという記事を発見しました(上場予定12月26日)。

 将来、中古ファッション衣料、雑貨も本やCDのような「リユースインフラ」が生まれ、生活者の賢い買いまわりを促進し、既存新品ファッションチェーンに影響を及ぼす日が来るのでしょうか。

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July 01, 2007

売上規模や経営効率だけじゃ通用しない時代へ

 6月27日の日経MJ、恒例の調査特集「小売業06年ランキング」を今年も興味深く眺めておりました。

 この3年間で吸収合併で規模は拡大はするものの、経営効率(使用総資本経常利益率=ROA)が微減または横ばいのセブン&アイやイオンに対して、規模も拡大しながらそれ以上に経営効率にも磨きをかけるユニクロを展開するファーストリテイリングとしまむららの勝ち組専門店チェーンはそれらのGMSグループと好対照。

 アパレル業界の中での影響力を表す「バイイングパワー(購買力)」(衣料品の店舗売上高で評価)は今年度は、以下の通りでした。( )内前年順位、金額単位百万円、( )内前年伸び率%です。

順位
 1(1) 高島屋      433,757(▲0.3)
 2(4) ユニクロ     375,233(+7.0)
 3(3) イオン       366,311(+0.8)
 4(2) 三 越      352,642(▲5.0)
 5(5) しまむら     350,324(+7.5)
 6(6) イトーヨーカ堂  290,560(▲5.5)
 7(-) 丸 井       283,856( -  )
 8(8) 伊勢丹      272,517(+3.1)
 9(7) 大 丸      271,047(▲0.3)
10(9) そごう      242,549(▲2.1) 
 
今後、毎年同じような伸縮率だと仮定すると、3年後には、
1位ユニクロ、2位しまむら、3位高島屋、4位イオン、5位三越・・・イトーヨーカ堂は9位というような順位になりそうです。

 もっとも、この「バイイングパワー」という発想は、従来の流通業、たくさん買うから安くしろ、リベートをたくさんよこせ、といった仕入先に圧力をかけて自分たちだけ利益を残すという旧来型の小売業の論理であって、これからの時代は、家電業界や食品業界は知りませんが、少なくともファッション業界においてはユニクロのようなSPAによる粗利率アップやしまむらのような企業努力による営業利益アップが勝ち組の定石であるのは間違いなさそうです。

 SPAなど、流通企業の新モデルもそんな形で、収益性、成長性、安定性といった財務力、経営効率を目指すわけですが、今週発売された、ニューズウィーク日本語版7月4日号の「世界企業ランキング」などを読んでいると、それだけで喜んでいては、世界から取り残されてしまいそうです。

 要は、以前もブログで取り上げたCSR(企業の社会的責任)に基づいたSRI投資家が公開企業に働きかけ、儲かっていて、かつ社会的に貢献している企業こそが投資に値する企業、そうでない企業には、改善を申し入れ、応じる姿勢がない企業には、株価下落圧力をかけるような動きに、世界の企業は、急ピッチで対応しようとしている様子が出ています。

 このニューズウィークのランキングも50%財務力、50%社会的責任による評価をしてランキングがつけられています。

 ここでいう社会的責任とは、
 ①企業統治(取締役会の独立性や法令順守)
 ②従業員(機会均等、雇用安定、安全、教育の充実、差別なし、など)
 ③社会(途上国での人権問題、取引先に対する立場濫用はないかなど)
 ④環境(環境問題への取り組みと成果)
 が評価基準となっています。

 ブログでおなじみのファッション流通企業では、ZARAのインディテックス社が世界全業種の中で8位、H&Mが同19位、GAPが124位、日本のイオンが136位、伊勢丹が495位です。

 興味深いのは、H&Mは財務力では、世界全業種上位50社の中で、2位なのですが、社会的責任は従業員面と環境面で評価が低く、下から数えた方が早い順位。一方、インディテックス社は、財務力では、H&Mには少し及びませんが、社会的責任面での評価が高く、上記のような結果になっています。

 記事によると、あまりにも企業に社会的責任面の努力を迫り過ぎるのはいかがなものか?という論議もあるようですが、世界的トレンドとしては、CSR重視の方向に向かっていることは間違いなさそうです。

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関連エントリー-社会的責任投資(SRI)が拡大

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May 31, 2007

セシールが「セカンドライフ」内で衣装を無料提供

 5月30日の日経MJに、通販大手のセシールが、欧米で450万人が利用しているというインターネット上のヴァーチャル空間ゲーム「セカンドライフ」に出店し、アバター(自分自身の分身)が着用する衣装に対して、同社が実際に7月から発売する男性用スーツと女性用ワンピースを各3色つづ無料提供するサービスを始めた、という記事が掲載されています。

 詳細はセシールのニュースリリースをご覧ください。5月22日からスタートしているようで、セシールが提供する衣装を着てファッションショーにも出場できるようですね。

 セシール「セカンドライフ」で新サービスを開始

 最近、話題のセカンドライフについての詳細はこちら

 セカンドライフの日本語での解説ページ

 セカンドライフは近々に日本語版がスタートするようで、企業もマーケティングの場として注目をしていますが、セシールが日本の大手アパレル企業では出店第1号となる模様です。今後、セカンドライフに登録しているユーザーの購買行動をモニターとして活用する目的で、多くの企業が出店することが予想されます。

 ここのところ、セカンドライフについての新聞記事も増えてきて、先日の日経新聞に、セカンドライフ英語版での問題として、リアル社会と同様に、殺人はないまでも、詐欺や著作権侵害などの犯罪が起こっていて、それを法律で取り締まるべきかどうかが議論を呼んでいるという記事が掲載されていて、たいへん、興味深く読ませていただきました。

 セカンドライフ内には、クレジットカードなどで購入できる「リンデンドル」なる通貨が流通していて、売買行為も可能なため、個人や企業がデザインして作り出したもの(アパレルなど)も売買出来、それを実際の通貨と換金することもできるらしいのです。
 
 そうすると、買い手さえつけば、ヴィトン、シャネル、ミッキーマウスなどのニセモノファッショングッズを作って販売してしまうことも可能というわけで、なんか、実社会で起こりうることは起こってしまうというから、なんか面白いですね。

 セカンドライフ・・・われわれの世代は、なかなか、こういったゲームで楽しむ暇はないのですが、私の息子(中2)や娘(小4)は、すでに、ニンテンドーのWifi(ワイファイ)、Wii(ウィー)やインターネットゲーム、メイプルストーリーなどでネット上で見知らぬ世界の人たちと平気でゲームを楽しんでいます。きっと、そんな世代が日本でもセカンドライフを普及させ、そこが、企業マーケティングの主戦場になったりする日もそう遠くはないのでしょうかね。 

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関連エントリー-SNS仮想マンション、ゾゾレジデンスはファッションマーケティングの宝庫

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May 06, 2007

「ニッポン買イマス」 主役は新興国(BRICs)?

 今週の日経新聞の連載記事「BRICsx日本 けいざいの現場から」はとても興味深かったです。

 円安、金利安で、お買い得になったニッポン(日本)という舞台を利用して今後、国際的に活躍するのは、欧米ではなく、むしろ新興国ではないか?というテーマの内容です。

 特に、ファッションビジネス・流通関連では、5月3日付の第2回目の「ニッポン買イマス」が印象的でした。

 ゴールデンウィーク中も当社の事務所のある原宿、表参道界隈の街ゆく人々のざっと4-5人に1人は、外国語をしゃべっているような気がしていましたが、記事によると、原宿の商店会の売上の3割は、中国などアジア系の外国人によって構成され、欧米からの顧客よりも客単価が高いだけでなく、「銀聯(ぎんれん)」という中国の銀行が発行するデビットカード機能をもったキャッシュカードを利用する顧客の客単価は、日本のクレジットカード利用客の3倍にも及ぶというからびっくり。
 日本のクレジットカードの1回あたり平均利用金額は15,000円程度を言われており、その3倍となれば、上顧客さんですね。

 私たちも海外に行くと、気持ちも大きくなって、日本国内よりは高額の買い物をすると思いますので、この事実から、中国の方が急激に金持ちになったと言い切る訳にはいきませんが、それを差し引いても、観光客の多い買い物エリアでは、無視できない、むしろ当てにすべき対象であることは間違いありません。

 以前、日本のラグジュアリーブランドのマーケットが成熟する中で、どうして表参道にブランドのメガショップが続々とできるのか、について書いたエントリーでも、このアジア観光客需要を挙げたかと思います。

 そんな中、原宿表参道界隈では、この「銀聯」が利用できる店舗が続々と増えているとのことです。

 「銀聯」は、中国人民銀行が中心となって、各銀行間の決済を代行している組織のようで、決済金額は、中国国内では、即銀行口座から引き落とされるいわゆるデビットカード。中国では、クレジットカードよりもこちらのデビットカードの方が普及しており、発行枚数は、8億枚とも9億枚とも言われているそうです。

 日本では、対応端末(CAT)を導入すれば三井住友カードがクレジットカードの決済同様に決済代行をしているそうです。

 外国企業の東証上場、企業買収にしても、中国やインドの新興国の中には、時価総額がびっくりするくらい大きな企業があります。金利の安い日本で資金を調達して、日本の技術やブランドを手に入れる。十分考えられる話です。

 これから始まる海外勢の日本買い。企業買収についても、リテールの買い物についても、キープレーヤーとして、「欧米か!」だけではなく、むしろこれら新興国をマークしなければならないかもしれませんね。

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 関連エントリー-今、日本がお買い得

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January 22, 2007

ポイントカードに潜む危険

 1月22日の日経新聞の社説に今年、大変なことになりそうなポイントカードと電子マネーに関する論説が掲載されています。

 今春の地下鉄私鉄バス共用ICカード「パスモ」の導入と同時に行われるSUICAへの相互乗り入れ、セブン&アイの電子マネー「ナナコ」の発行が決定的な引き金となり、ポイント交換&電子マネーは大戦国時代に入ることは間違いなさそうです。

 また、先週の週刊東洋経済1/20号では、「保存版ポイント相関図」付きで30ページにも及ぶ「ポイントカード大氾濫」の大特集を組んでいましたが、始めのころは興味深く読んでいましたが、正直途中でちょっと辟易としてきました。
 
 確かに賢い生活者は上手にポイントを貯め、交換、集約し、旅行をしたり、買い物ができるのですが、今日の日経新聞の社説の執筆者が言うように、

 定期以外は無記名のはずのSUICAやパスモも、記名式のポイントやマイレージと交換することで、情報がつながり、個人の移動履歴と購買履歴を一緒にたどれるようになる、「危険性」もはらんでいるわけですね。

 個人情報と引き換えに、利便性を得る。

 そんなことを割り切りながら、一生活者である私も、ICカードやポイントカードを限りなく1枚に集約し、財布を薄くしたいと思い、できるだけ割引を得られること、そして、そのICがケイタイ電話に内蔵することを望んでいます。そのうち、ケイタイ電話をリーダーにかざすことすら面倒になるかもしれませんね。

 ちょうど10年前にアメリカで出版されたある消費者行動学に関する書籍にこんなことが書いてあったのをずっと覚えています。未来の生活者の消費の姿を予言したものです。

 1.生活者が消費をする時、生活者はスキャナーに手のひらをかざせばよい。
 2.スキャナーは生活者の手に埋め込まれた個人IDをスキャンする。
 3.各企業に対する個人消費の集約、精算を一手に引き受ける覇権を握った企業が
   取りまとめて生活者に請求する。
 4.その請求書はその生活者の家計簿そのものであり、
 5.行動履歴そのものである。

 1-4まではその書籍に書いてあったこと、5は今回私が加筆してみたものですが、なんかどんどんそんな風になって来てますね。

 めまぐるしく便利になる時代に個人武装、企業のモラルがますます問われる・・・

 2010年ころには、どんな風になっているのかなぁ。 

 あまり考えすぎても仕方ありませんが、最近DMでゴミ箱がいっぱいになることが多くなった気がします。

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January 06, 2007

十人五色

 1月5日の日経MJ、新年恒例の「2007年の消費 経営者100人はこう見る」を眺めていました。

 さまざまな業界の大企業の経営トップ100人が今年の消費の伸び率から株価、為替相場などを予測するアンケートに答えたものをまとめたものです。

 「消費のキーワード」の項目で最も多かったのは、やはり定年を迎え始める、2007年問題の主役、「団塊の世代」でした。続いて「健康」、「二極化」と続きます。

 今に始まった話ではありませんが、今年に入ってからの新聞紙上のさまざまな経営者のインタビュー、所感では、この「二極化」あるいは「二極化の加速」というキーワードを非常に目にします。

 つまり、高いものと安いものしか売れないと言いたげなこの「二極化」の言葉。百貨店関係者が高いものがよく売れているのを指して言う場合が多いようですが、しかしながら、こういったステレオタイプ的な言葉は、使う側にとっては非常に好都合な言葉ですが、生活者のウォンツにどれだけ応えようとしてるのか甚だ疑問に思ったりします。
 
 中間価格帯で努力して成功しているバッグのコーチやサマンサタバサ、ポイントのローリーズファームやクロスカンパニーのアースミュージックアンドエコロジーなどに対してはどのように評価をされるのでしょうかね。

 かつては、中間価格、低価格といえばハイファッションやトレンドファッションのコピー(トレードオフ)だったわけですが、今やこれらの中間価格帯のプレーヤーはもちろん、低価格帯の猛者たちも、価格は安くても、トレンドファッション企業と同じプロセスで価値ある商品を企画、生産し始めていると思います。

 さて、100人の経営者の「消費のキーワード」の中で、もっともインパクトがあったのは、しまむら社の藤原秀次郎会長の「十人五色」でした。

 しまむらの藤原会長は、ファッションビジネスの中で、その「科学的」とまで思える極めてロジカルなビジネスモデル作りと経営判断、一方で感じる、従業員と生活者に対する「愛情」ゆえに、私が最も尊敬するビジネスマンのひとりでありますが、この「十人五色」の言葉にはリテーラーとしての使命感を感じざるを得ません。

 従来チェーンストアは、世の中の80%の人が買う最大公約数的な品揃えに絞り込んで多店舗化するのが仕事でした。つまり、生活者を逆に「十人一色」に当て込もうという発想にもなりますかね。

 一方、いまや世の中に商品は溢れ返っていますから、「十人十色」に応えようとすれば、そういった店を作ることは可能でしょう。しかし、どのように見せるかとか、在庫問題とか、その弊害も小さくはないはずです。うまくできれば百貨店、さもなければディスカウンター的な見え方になるのでしょうか。

 以前、藤原会長が何かの記事の中で、「小売の仕事は10ある商品を5くらいに絞り込んでお客さんが選びやすくしてあげることだ」、とか、「ひとつのタイプにハメるのではなく、多くてもせいぜい10個くらいのタイプにハメるというイメージだ」というような内容のことをおっしゃっているのを読んでいて、シンプルだけどとてもわかりやすい言葉だなと思ったりしました。

 「二極化」=生活者が「より高いもの」「より安いもの」だけ望んでいるなんて、2タイプしかいないなんて、供給側の都合、努力放棄のように聞こえますね。

 生活者を過度にステレオタイプにするのではない、いろいろな生活者のウォンツを読んで、小売企業が「意思」と「努力」をもってお応えする。そのプロセス、結果が「十人五色」になり、生活者に安心して支持をされるストアポジショニングにつながるのではないか、とあらためて感じさせられたものです。

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January 03, 2007

今、日本がお買い得

 2007年、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、今年初のエントリーは年末年始、日経新聞のいくつかの記事を読んでいて感じた、ファッションビジネスにもひとごとではなさそうなマクロ経済的な話を取り上げてみたいと思います。

 1月1日の日経新聞の一面に、総額1400兆円にもおよぶ日本の家計の金融資産(現金、預貯金、株、投資信託など)のゆくえに関する記事が掲載されています。

 「家計」の金融資産は、従来、主流だった低金利の金融機関への預貯金から、ここのところ、高利回りを期待して、日本企業への直接投資(株や債券の購入)のみならず、外貨建ての金融資産に向かい、以前、政府が三年前に行った円売り為替介入総額35兆円を上回る、40兆円規模の「円売り」の力が恒常的に円高を阻止するほどになっているとのことです。

 そういった「家計」の円売り円高阻止の力が、日本の経済を支える輸出企業の史上最高益をもたらし、一方では、海外投資ファンドの日本企業M&A資金や、株、不動産といった資産投資をも少なからず下支えしている模様です。

 12月31日の日経新聞の「エコノ探偵団」では、なぜここのところ海外のブランド店が日本の銀座や表参道などの超一等地に相次ぎ大型店を出店しているのか?の裏側に迫る内容を取り上げていました。

 記事の内容をまとめると、

1.日本の不動産価格が路線価ベースで、ピーク時の5割程度と割安なこと。当然、円安も割安感に一役かっている。今後好景気継続によって値上がりの期待もある。

2.日本人以外にも、円安で増加の傾向にあるアジアからの観光客向けに、現地より種類が豊富で、割安感の出た日本でのブランドショッピングに大いに期待ができる。

ということでした。

 日本人が汗水たらして貯めた金融資産が海外に流れ、日本の輸出企業は潤うものの、そんな資産を利用した外国企業が「お買い得な」日本の資産を買いあさる。

 なんか、相変わらず、日本人が自分で稼いだお金で楽しんで豊かになるという構造には程遠いような気がしてしかたがありませんでした。
 
 戻って1月1日の日経新聞によると、景気が15年目に入った英国と90年代に10年景気を経験したアメリカ。英米両国の共通点は、国内総生産(GDP)に占める家計消費の割合が70%。一方、日本の景気拡大は4年10ヶ月といざなぎ景気越えで戦後最長を更新中とは言え、同55%と両国に比べればかなりの低め。
記事は「その差は家計の力を引き出せる国か、とじ込めている国か、ではないか」とコメントしています。

 今年も、日本マーケットはそんな外資の荒波、刺激を受けることになるでしょう。しかしながら、憂うばかりでなく、そんな環境の中で、日本が着実に「家計の力を引き出せる国」「自ら豊かさを楽しめる国」へと脱皮してゆくことを期待したいと思います。

 “JAPANESE DO IT BETTER” の言葉を信じて・・・

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November 22, 2006

選択の自由~ファッションの民主主義化に寄せて

 11月16日に94歳で他界されたアメリカのノーベル賞経済学者ミルトン・フリードマン氏に関して、連日、日経新聞など各紙にさまざまな追悼コラムが掲載されています。

 そういえば、私も国際経済学を学ぶ学生だったころ、同氏の「小さな政府論」、すなわち財政政策など政府の市場への介入は最小限に、規制緩和を促進し、民間活力を最大限に利用することこそが市場活性化につながるという理論を提唱した「選択の自由」の訳本を読んで胸躍らせたものでした。

 恒常所得仮説なんて、まさに賢く、慎重になった現代の生活者の購買心理を言いえていますよね。

 当時は、アメリカのレーガン大統領やイギリスのサッチャー首相の政策を後押しし、遅ればせながら、日本でも小泉前首相の政策のバックボーンにもなっていると言われています。

 その後、学生時代に訪れた生活者天国アメリカに感銘を受けた私は、まだまだ豊かさの足りない?日本へもっともっと世界の進んだ文化を輸入することを志して最初の職についたものです。

 さらにその10年後に生活者として実際アメリカに住むことになり、そこで体感した感動を、その後、日本のリテールビジネスでの実践にぶつけ、少しづつ確信めいたものも感じました。

 先日、ブログで「ファッション2.0」「ファッションの民主主義化」に触れて、にわかに物議をかもしましたが、日本のファッションマーケットにはもっともっと、生活者の「選択の自由」のための企業側の自由競争、努力が必要だと思います。

 競争が企業努力を促進し、生活者を豊かにする・・・価格問題であったり、サイズ問題であったり、サービス問題であったり・・・海外組との世界レベルの競争、異業種との他流試合なお結構。

 リーズナブルな価格で最先端のファッションを手にできる時代。MLサイズじゃない人も我慢しないでファッションを楽しめる時代。欲しいものがいろいろ自由に試せて、すぐに手に届く時代。

 ファッション消費に関する生活者の従来の不便、不満を解消する、生活者を解放する、そんな時代はすぐそこに来ていると思います。そして、それを実現しようとするファッション企業の努力を当ブログは応援しています。

 なんだか、そんな自分の発想の根源にフリードマン氏の影響も多少なりともあったのかな、と思いながらそれらの新聞記事を読んでいました。

 末筆ながら同氏のご冥福をお祈りいたします。

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August 27, 2006

ナイスクラップが仕掛ける激安店の可能性

 8月26日の繊研新聞の1面に、先ごろ東証一部へ指名替えしたパルグループの傘下にあるナイスクラップ(ジャスダック上場)が始めた低価格業態「リマインド・ミー&フォーエバー」の立ち上げに関する記事が掲載されていました。

 同業態は、もともとナイスクラップのアウトレット業態で売上好調だった「リマインド・ミー」(6年前に立ち上げ、現在9店舗)の売れ方を研究して、プロパーでその価格(1900円-2900円が中心価格帯)を実現しようと模索していた結論であり、「商品の安さとぜいたくな空間の落差」を売りに、都会育ちのナイスクラップが、今後3-5万人の小商圏で多店舗化を計り、会社の柱にしようという戦略業態です。

 この第1号店が、7月にOPENして話題(と言っても勝手に注目しているのですが)のジョイフル本田を核とした次世代近隣型SC、ひたちなかのファッションクルーズにあるものだから、とても興味深く読ませていただきました。

 ファッションクルーズHP

 以前もブログで触れましたが、ファッションクルーズは、まちづくり三法改正後、スーパーやホームセンターを併設する近隣型SCへの出店が懸案であるファッション企業にとって、マスマーケット向けのプロパーショップと都心SCへ出店しているブランドのアウトレットショップがミックスされた、これからの小商圏のファッションマーケットを占う試みだと思うからです。

 また、今後増えるであろうと予想されるそういったタイプのモールの中にピッタリのコンセプトなのがこのナイスクラップの「リマインド・ミー&フォーエバー」と言えましょう。

 記事の中で、同業態は”ナイスクラップ流しまむら”と表現されていますが、これからは、自転車で行ける距離にそこそこ感度が高いのはあたりまえ、ポピュラープライス(ユニクロやハニーズの中心価格帯です)で楽しく、おしゃれにコーディネートも出来てお買い物ができるファッションストアが出来てしかるべき時代だと思います。というか、そこが大きなマーケットの隙間だと思いますね。

 この辺の動向、是非、チェックしておいてください。

 関連エントリー-アウトレットモール出店再開
 関連エントリー-ポストSC時代に大切なこと

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August 02, 2006

トップショップのデザイナーインキュベーション

 今週月曜日から、繊研新聞に、9月から原宿ラフォーレでの実験出店が決まったイギリスのヤング向けファストファッション(ハイストリートファッション)チェーン、TOPSHOP(トップショップ)を紹介する連載記事「トップショップをひも解く」が掲載されています。

 トップショップの旗艦店、世界最大のファッションメガストア、オックスフォードサーカス店は、業界でも有名な、ロンドンの定点観測地であり、私もかつて、年に2回通ったのを思い出しながら、興味深く読ませていただいております。

 8月2日の連載3回目の記事では、同社が、単なるトレンドファッションのトレードオフ(売れ筋商品の不要なデザイン部分を簡略化し、コストを安く上げること)から脱却し、独自性を発揮してきた奇跡が綴られており、いろいろ学ぶべきことが多いと思います。

 特に、同社が、ストリートのリアルタイムな売れ筋を追求するだけではなく、新鋭デザイナーとの継続的な提携、インキュベーション(育成)的な役割を果たすことによって、(おそらく安価に)新しいデザインの情報発信を手がけているところに感銘を受けます。
 
 日本の著名クリエーターとの単なる「コラボ」や、話題性だけのために、素人やデザイン専門学校生の作品を商品化するのと大違いの、プロファッショナルな取り組みだと思います。

 本来、トレードオフを得意とする、カテゴリーキラー(業種ディスカウンター)は、その特性、オペレーション上、「本物」を越えることはできなかったはずです。

 しかしながら、トップショップにしても、H&M(ヘネス&モーリッツ)にしても、ヨーロッパコレクションのトレンドを市場最低価格で販売するだけにとどまらず、内外のデザインチームをうまく駆使して、価格を抑えながら、ファッションリーダーになりえる可能性を秘めているわけですね。

 ある意味、世界の業界にとって脅威では・・・と思ったりします。何せ、クリエイターではなく、ビジネスパーソンたちがそれをやるわけですから・・・。

 日本のユニクロもニューヨークの勝田さんを中心にそんなプロジェクトも視野に入れて活動中の模様です。しかし、スポットの使い捨てなのか、インキュベーションなのかで、その発想と未来は違ったものになってくるはずです。 

 関連エントリー-ファストファッションの挑戦状
 関連エントリー-英トップショップがラフォーレ原宿に出店


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July 02, 2006

ライフスタイルセンターに期待

 6月29日の繊研新聞の一面に今後開発が期待されるライフスタイルセンター(LSC)についての記事が掲載されていました。

 LSCとは、アメリカで開発の進むSC形態で、小商圏、規模、オープンモール型、一応は食品スーパーが核テナント、と近隣型SC(NSC)に近い形態をとりながら、

○比較的所得の高い住宅地近くに立地(日本なら首都圏など)
○増えつつある高齢者のゆとりのある豊かな生活を視野に入れ
 (日本なら団塊世代がターゲットですね)
○食品にしろ、飲食にしろ、生活関連消費財にしろ、一格上の品揃えを有し、
 趣味関連も意識したテナントぞろえ

あたりで差別化しているNSCと言ったらいいでしょうか。特に定義はないようで、どうやら開発側が「他のNSCとは一味ちがうよ」と定義する場合が多いようです。

 流通業界では2-3年前から専門家がその可能性を語っていましたが、今年の3月に玉川高島屋SCの開発でおなじみの東神開発が東京の立川に若葉ケヤキモールを出店したあたりから更に注目されてきました。

 記事には、ららぽーとやファクトリーアウトレット開発でおなじみの三井不動産や記述の東神開発がそのセンスを発揮して開発しているLSCが先行している、とありますが、ネットで検索した情報を見る限りは、ケヤキモール以外の三井不動産が開発したものは既存の郊外大型SCが小ぶりになって、ちょっと箔を付けた程度のようです。
ケヤキモール自身は、月坪売上15万円を目安にしていて、3ヶ月を経過した今、当初計画どおりの推移とのことですから、さすがですね。
 
90年代後半にサンディエゴでたまに利用したいくつかのLSCの印象は、

○ナチュラルフーズや素敵なグルメDeliの豊富なスーパーが核
○輸入食材やキッチンウエア店(COST PLUSやTRADER JOE‘S)があって
○ホームファッション(BED BATH & BEYONDなど)も充実

などなど、環境も植木が多かったり、SC全体がナチュラルなカラーを意識的に使っていたと記憶しています。グルメ、安全食、クッキング、リラクゼーション、ギフト、トラベルなどがキーワードとして入っていたような気がしますね。

 80年代、東京首都圏で言えば、国道16号線沿線に団塊の世代がマイホームを持ち、ロードサイドショップブームが起こったのも今は昔。 

 同世代のリタイヤが始まる2007年を迎えるにあたって、彼らには、食品スーパーがテナントを集めたNSCじゃ、ちょっと物足りないでしょうから、いけてるNSC=LSCを。

 四半世紀の時を越えて、そういった立地が楽しいLSCで再開発されてゆくことを期待したいところです。

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June 05, 2006

2007年問題を前に・・・

 先週の日経新聞や日経MJ(6月2日付け)に、スーパー88社が加盟する日本チェーンストア協会がスーパーなどで店長経験のある退職者(店長OB)を商店街活性化の指南役として無料で紹介する方針を明らかにした、との記事が掲載されていました。空き店舗へのテナント誘致、接客方法、商店街の販売促進などに活躍を期待をされている模様で、中心市街地活性化を目指す「まちづくり三法」成立を受けた措置のひとつとのことです。

 60歳定年制の見直し措置によって、いわゆる2007年問題も若干先送りされるかもしれませんが、上記のような方策が有効か否かは別にして、有能な方が、定年退職を機にどのような身の振り方をされるかは、大きな消費者マーケットの出現というだけでなく、今後の産業界にとっても興味のあるところだと思います。

 定年退職者に限らず、一線をリタイアした時の理想的な第二の人生として、ひとつ憧れている姿があります。

 90年代の終わりにアメリカのベンチャー企業で1年ほど働いていた時のこと。小さなビジネスコンプレックスのカジュアルな事務所に、たまにボスに会いにやってくる白のワイシャツにネクタイをした、そこそこ体格のよい、落ち着いた雰囲気の60代のおじさんがいました。ボスに、今ちょっと手が離せないので、10分ほど相手をしていてくれないか、といわれ、同氏とお話をさせていただきました。

 この方は、大手企業の経理部長を勤めた後、リタイアされ、同地(サンディエゴ)の100人ほどが集まる若手起業家の会合にオブザーバーとして出席し、そこに参加する何社かの経理事務を請け負っているとの話。契約時に各社と交わしたストックオプション契約を楽しみに毎日、時給6ドル程度で、若造に叱咤激励しながら働いているとのことです。
 その後のボスの話によると、企業の第一線で活躍されていた経験があるからこそ、士業のように杓子定規にならず、前向きで的確なアドバイスが評判とのことでした。

 短い間ではありましたが、若い連中ががむしゃらに伸びてゆくことを正しい方向に行くように、見守ることが今の俺の仕事だ、というような情熱のようなものすら感じたものです。同会合には、このような方が数名いらっしゃるとのことでした。

 お金には困ってらっしゃらないからこそできることかも知れませんが、こんな話は、これからの日本でもありだろうなと思います。

 日本の強みを知り、ご自身もがむしゃらにがんばってこられた団塊の世代の方々には、定年退職されても、悠々自適とは言わず、是非是非、まだまだ、事業育成・人材育成の分野でご活躍いただきたいなと思っています。

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April 30, 2006

トレンドセッターの流行先読み術

 4月28日の日経MJにユナイテッドアローズ(UA)のウィメンズディレクター、小野瀬慶子さんのファッショントレンドの読み方の記事を読んで。

 小野瀬さんは、UAというセレクトショップの中でクリエイティブディレクターというお仕事をしながら、業界の中でもファッショントレンドのご意見版として、各誌、各紙に多くのコメントをされているので有名な方ですが、昨年10月からご主人の仕事のご関係でロンドンに拠点を移してからも同職でご活躍です。

 彼女から学ぶべきことは、ファッションの業界内だけの情報にとらわれることなく、世の中の時流からご自身なりの仮説を立てることだと思います。記事によると

 コレクションを見ていては、「トレンド予測の参考にするのは遅すぎる」

として、

 ○政治や経済の動きを新聞でとらえる
 ○書店の平積み本
 ○ストリートで気になったことをデジカメに収めたり、メモを取ったり
 ○封切前や撮影中の映画の衣装やメーク
 などなど・・・

 もちろんフランスのプルミエール・ヴィジョンやイタリアのミラノウニカなどの素材見本市は押さえているようですが、世の中の情勢を幅広く捉えて、半年間自分の琴線に触れた情報をマトリクス分析され、1ヶ月掛けてキーワードに落とし込むとのことです。

 オーソドックスではありますが、定点的、継続的に行うことによって間違いなく威力を発揮する作業ですし、更に、拠点を東京からロンドンに移され、「日本のマーケッターでありながらロンドンという違う文化のところから見る」という新たな視点も彼女の感覚をさらに研ぎ澄ましているのではないか、と想像ができます。

 ファッショントレンドは、一般的に
 1. シーズンの2年前に世の中の情勢を読んだ「インターカラー」で
   流行色予測が発表され、
 2. それを受けて1年前にプルミエールヴィジョンなどの素材見本市で
   デザイナーたちがピックアップした素材を
 3. 半年前に欧米コレクションで商品に落としこまれ、大勢が決まる

 といわれていますが、上記2以降の情報は完全に「業界受け売り情報」になります。

 その昔、ヨーロッパで発信されたトレンドが半年後にアメリカでマス化され、さらに半年遅れて日本の流行となる、と言われていました。しかし、今や、H&M(エッチアンドエム)、ZARA(ザラ)、TOPSHOP(トップショップ)などのファストファッションや、渋谷109ブランドたちは、2でキャッチした情報を欧米コレクションデザイナーと同時に低価格でマーケットに商品を送り出してしまいます。109ブランドに至っては、韓国や上海近辺のフットワークを利用して、それよりも早く店頭に並べてしまう現状もあります。

 そんな時代に、「来シーズンは、白だってさ」と業界内情報だけ追いかけても限界があるわけで、小野瀬さんのような、政治経済、消費者心理も含め、幅広く情報を整理して流行を読む技術、感性が問われてくると思います。

 話は変わりますが、ロンドン在住の小野瀬さんの記事を読んでいて、10年くらい前の新聞記事に、もっとダイナミックに日本のマーケットを捉えたあるマーケッターのことが書かれていたのを思い出しました。

 その方は、1年の内の3ヶ月をパリ、3ヶ月をニューヨーク、3ヶ月をミラノ(だったと思います)、3ヶ月を東京で過ごし、生活者の視点で、各所から同社のターゲット客層が好みそうな異文化を次々に日本のMDに結び付けて提案していらっしゃいました。その仕事ぶりに、とても憧れたものです。その方とは・・・アニエスベー、アメリカンラグシー、スターバックスコーヒーなどの日本導入で活躍されたサザビー(現サザビーリーグ)の鈴木陸三CEOです。

 ネットの発達による情報氾濫社会の中で、生活者を半歩リードし支持されるためには、そんな、複数の文化の視点を同次元に落とし込む、いわば、マルチカルチャーマーケッター発想によるフィールドワークこそが望まれる時代なのではないか、と思います。

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April 03, 2006

CLO(チーフラーニングオフィサー)というお仕事

 3月31日の日経新聞に新生銀行が4月1日付けで人材育成の最高責任者「CLO(チーフラーニングオフィサー)を新設するとの記事があり、大変興味深く読ませて頂きました。

 記事によると、同行のCLOは社長直属で経営戦略に即した人材育成を行う役目。人材面から自社の実力を分析し、人材の補強や新組織の立ち上げが必要と判断するれば、経営トップに助言を行う。従来の人事部から独立して人材育成や組織開発についての責任を負う、とのことです。

 日本でもCEO、COO、CFO(最高財務責任者)あたりの役目、認知度は高まり、CIO(最高情報戦略責任者)も注目され始めていますが、CLO(最高人材育成責任者)は、アメリカでもGEやゴールドマンサックスなどで導入が始まっているところだそうで、これから大いに注目されそうな役職であると思います。

 今年は、いくつかの大手企業の事業育成プロジェクトや幹部人材育成プログラムのご支援をさせていただいていますが、私の知りうる限り、業界限らず、ほとんどの企業で、次世代を担う幹部候補の人材育成がもっとも大きな課題であると痛感しています。現経営陣がふと、後ろを振り返った時に、活きがよく、頭角を現した30代がいるものの、現場主義の名の元に、ろくな教育を施していない。一方、20代後半から30代の優秀な社員が教育に飢えているのに、その機会もなく、これから将来どうしていったらいいのか悩んでいる・・・という場面や話によく出くわします。

 いうまでもなく事業の成否は「人(ヒト)」にかかっていますし、その舞台(環境)を作るのが経営陣の最も重要な仕事であると思います。

 あるクライアント企業の社長さんがおっしゃいました。「人間の可能性は青天井だ。特に、若い連中は、土俵と チャンスと勇気を与えることによって、爆発的な力を発揮する。」実際この企業では、若手、女性が活躍し、好業績を上げていらっしゃいます。

 私も人(ヒト)の無限大の可能性を信じたいと思います。そして、従来の人事部長ではない、通りいっぺんの教育研修ではない、かけがえのない人材を実学に基づいて磨き、ナイスキャスティング、ナイスフォローアップで事業成功に導くCLO(最高人材育成責任者)こそが、明日の企業成功のキーパーソンになる時代が来る、と感じています。 

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March 24, 2006

世界で働く人材

 22日、23日の繊研新聞にANF(アバクロ)日本法人立ち上げに関わり、同社が日本進出を見送った後、ギャップジャパン代表取締役に就任された田代俊明さんのインタビュー記事が掲載されていました。

 同氏はギャップジャパンの他に高級シューズのトッズジャパン、ジョージジャンセンの役員も兼務されており、日本人のファッション関係者として複数の外資系企業の役員を任されているという業界の逸材のひとりです。

 田代氏は名誉や報酬だけでなく、そんな働き方をすることで、世界に飛躍したいと考える業界の次世代の人材に自分の背中を見せたいと言います。

 日本のファッションマーケットは世界の中でも一流、世界に名をはせているデザイナーもいる。しかし、ビジネスとなると、人材はトップクラスの働き方が出来ていないし、評価もされない、国内の業界内でジョブホッピング(転職)を繰り返すだけの従来のステップアップの限界を指摘します。

 日頃ある外資系のブランド企業の社長さんや外資系企業専門ヘッドハンターの方々と親しくさせて頂いておりますが、それらの方々からよくお聞きするのは、やはりファッションに限らず、外資系企業の多くは実務担当の生え抜きの人が下から昇進で偉くなるケースは極めて稀で、ヘッドハンターたちの高所得マネージメントクラスのリストに載った限られた人たちが階層社会のように、企業間をキャリアという勲章を増やしながらトップクラスで転々とすることが多いようです。

 また国内外の国際的ファッション系リテール企業のトップクラスの方の経歴を見ているとビジネスを繊維業界としてではなくエンターテイメントビジネスと考え、違った業種と行ったり来たりされていることにも気付きます。
 
 そう、これから続々と日本に来襲する外資系リテール企業との競争はそんな発想の違うマネージメントがされている企業との競争になるのです。

 90年の初頭に需給バランスの逆転が起こり、05年にはいよいよ人口減が始まりました。完全な買い手市場の時代に「日本は異質なマーケットだから外資にはわからないだろう」と危機感を持たずにあぐらをかいていると、生活者に見放される時代もすぐそこに来ているかもしれませんね。

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March 12, 2006

ブログ1周年コラム~ランウェイの向こうにあるもの

 昨日は、親しくお付き合いをさせていただいている雑誌社の方のご配慮で東京ガールズコレクション(TGC)を覗きにいってきました。(Mさん、ありがとうございました。)

 会場は主催者側発表約2万人の20歳前後の女性ファッションフリークに埋め尽くされ、なかなか熱いイベントでした。回を重ね、主催者と観客のイベントの楽しみ方がもっと合致してくれば、もっともっとゼイヴェルの大浜社長の意図する形になってくるだろうな、なんて思いながら、ファッション界における画期的なチャレンジを上(2階席)から下(ランウェイ横アリーナ)からいろんな角度から眺めて楽しんでおりました。入場されたお客さんすべてが、いろんなところからショーを楽しめるすばらしいイベントです。

 今回のTGCの40mにおよぶランウェイ(花道)を人気ブランドを着て歩くカリスマモデルを見ていて、あることを思い出しました。

 5年くらい前になりますが、H&M(エッチアンドエム)がアメリカに進出して、ニューヨークの5番街に旗艦店を出店した後のこと、すごい売れ行きとの話で、これは出張にあわせて、リサーチせねば、と行った時のことです。平日の午後に関わらず、すごい女性客。各フィッティングルーム前には5点以上の商品を手にもち並ぶ10人以上の、5番街のブランドショップや百貨店で買い物をしていそうな女性客。OPENから数ヶ月経っていたと思いますが、バーゲンさながらの様相。

 何が、その魅力なのかを知りたくて、ニューヨーク滞在の3日間、毎日、店に足を運んだものです。

 吹き抜けの店舗の一番高い階(確か4階)からパティオ状になった1階のエントランスからVMDの並ぶ通路を真っ直ぐ歩いていく女性顧客たちの姿を眺めていました。BGMにあわせてさっそうと歩く女性客。それが、ある時、私の目には、ランウェイを歩くモデルたちに見えたのです。きっと歩いている顧客も自分がランウェイを歩くモデルになった気になっているのではないか、そして、H&Mの経営者たちは、それを演出しているに違いないという確信。
 ちょうど偶然か、BGMにスウェーデンが生んだスーパースターABBAのダンシングクイーンが流れたものだから、H&Mの経営者たちがこの様を見たら、してやったり、NY制覇、感無量だろうな、と思ったものです。(その後、私の見たアメリカ、イギリスのH&Mの店には、大方、仮想ランウェイがあったと記憶しております。)

 この時、私は、ファッションビジネスの真髄とH&Mが世界一になる可能性を感じたものです。

 洋服を着るすべての人にそれぞれのランウェイ(花道)はあります。それは、ハレの場だけではなく、職場であったり、学校であったり、ストリートであったりするでしょう。生活者は自分自身のランウェイで、決して他人との比較での優劣ではなく、しかし、人前で最低限、恥をかくことなく、自分らしく輝くことを求めています。そしてそれを認められたいと思っているはず、と思います。

 ファッションビジネスの本質は、トレンドだろうが、ベーシックだろうが、顧客(生活者)をそれぞれのランウェイで勇気付け、輝かせること。そして、その継続的なお約束だと思っています。決して目先の流行やなんだじゃないだろうな、と。

 そんな本質がわかっていて、なおかつ、実践をする日々の積み重ねが、きっと生活者のこころを捕らえるのだろうなと改めて噛み締めている次第です。

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January 02, 2006

ファッションはストリートから生まれる

 私が、何年も前から参考にさせていただいているファッション系サイトがあります。

 ストリートファッションレポート

 業界の方なら、けっこうご存知かもしれませんが、共立女子短期大学 生活科学科の助手でいらっしゃる渡辺明日香さんが11年間に渡り、生徒の方々とともに、毎月、原宿、渋谷、銀座、代官山のストリートファッションの変化をレポートしているサイトです。

 このたびその集大成が本として出版されましたのでご紹介したくて、エントリーさせてもらいました。
 
 「ストリートファッションの時代-今、ファッションはストリートから生まれる」(著:渡辺明日香)
 
 実は、私は、企画生産サイドに関わっていた10年間は、マーケットリサーチとして、国内外のお店を訪問しても、店の世界観と商品そのもの(デザインや素材や縫製)しか見ていませんでした。その後、小売業に身を置くことになってからは、国内外問わず、むしろ来店客の動きや会話、表情、街を行きかう人々のスタイルが気になってしょうがありません。木から森が見えるようになったような気がしています。

 定点観測という言葉があります。いうまでもなく、同じものを定期的、継続的に見続け、そのベクトルの変化の中に、未来を見出すこと。予測は当たることも、外れることもあります。しかし、数値とあわせて見ると、かなりの精度であたることもわかりました。私のライフワークというか、癖の一つになっています。

 渡辺助手のサイトは、そんな私に、時に、なるほど、そんな見方もあるのか、とたくさんのヒントを与えてくださいました。

 生活者が主導権を持っている時代に、改めて、業界がプロダクトアウト提案した製品を生活者によってリミックスされている舞台である「ストリート」の定点観測の重要性を訴えたいと思います。そして、そこに着目した先見性、11年間もやり続けている継続性をすばらしく感じます。渡辺助手は、間違いなく、次世代のファッション業界のリーダーとして活躍されることでしょう。

 世界でもっとも伸びのあるファッションSPA企業、H&Mも日本の絶好調SPA企業ハニーズも毎週のストリート定点観測をそのスピード経営において重要視していることは、有名な話です。

 さあ、2006年、今年も、ストリートを見に出かけましょう。

 今、あなたの定点観測場所はどこ?そして何ですか? 

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December 30, 2005

郊外の猛者の逆襲

 29日の日経新聞によると年商1兆円リテール企業、ヤマダ電機は一連の都心攻略作戦として、06年心斎橋、06年池袋に続き、07年、このたび取得した渋谷109の隣の立地に出店を決定したとのことです。

 このブログで首都圏に再投資する百貨店やまちづくり三法による郊外SCの出店規制をとりあげることによって、今後の企業の出店戦略を通して、変わりゆく生活者の消費の舞台について考えて来ました。

 関連エントリー1-2010年、大都市商圏がおもしろい
 関連エントリー2-まちづくり三法改正で変わる商圏勢力図

 郊外SC出店が規制される07年以降、都心部がさらに様変わりすることは間違いないでしょう。一時は買い手のつかなかったダイエーのリストラ跡地も人気を博し、大商圏型駅前SCや常連テナントをターゲットに、かつてのユニクロ、しまむら、ニトリのような郊外でローコストオペレーションによる価格以上の価値で支持を受け、株式公開、資金力を得た猛者たちが攻め込んでくることが想像されます。感性だけでなく、クオリティと価格のバランスが、都心生活者に新しいバリューを提供することが期待されます。

 今年のはじめに読んだ、しまむら藤原会長の新聞のインタビュー記事が思い出されます。
 「今年は、地方のチェーン店が彗星のごとく現れ、世の中を驚かせる」というな主旨の言葉であったと思います。

 福島のハニーズはすでに全国区になっていましたし、それ以外に今のところ目だった動きはありませんでしが、北陸や中部出身のチェーン店に注目株がある話は、いろいろ耳に入ってきますので来年は来年は楽しみです。

 百貨店アパレル、ワールド、オンワード樫山、サンエーインターナショナルなどが開発した業態が地方SCを舞台に暴れまくって「感性」の同期化を促した今年。そのお返しに、来年以降は地方、郊外の猛者たちの価格だけではない「バリュー」の逆襲が都心部で始まる・・・

 ヤマダ電機やしまむらの都心部攻略を見ていると、これからますます都心部が面白くなる、と期待できます。

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December 25, 2005

まちづくり三法改正で変わる商圏勢力図

 政府与党が21日にまとめた、来年の国会に提出する「まちづくり三法」改正案について、22日の日経新聞、23日の日経MJの記事を読みながら、これから流通はどのように変わってゆくのかを考えめぐらせておりました。
 
 これに至る流れを簡単に整理すると、
 ○アメリカなどの規制緩和要求を受けて、1998年に大型店出店を規制する
  大店法を廃止。届け出と地元との調整は要するものの、実質的に大型SCの
  出店はかなり自由に。
 ○その代わりに「まちづくり三法」を制定し、中小小売業立地である中心市街地の
  両方を活性化させる予定であった。
 ○2000年前後からの郊外への大型SC出店ラッシュは、その爆発的な集客力
  により、加速度的に中心市街地から顧客を奪い、駅前商店街の空洞化は
  深刻なものへ。
 ○大型店出店可能地域を中心市街地と相乗効果の見込まれる「商業地域」、
  「近隣商業地域」、「(大商圏および政令指定都市の)準工業地域」に限定し、
  その外側への出店は禁止へ(ゾーニング強化)。
 
 と一旦は「自由化した出店」を、大型SCが「出店できる地域を限定して行こう」というものです。この改正案は、07年より施行の模様です。
 ちなみに、イオングル-プの直近の計画でも、その7割くらいは、禁止となる地域にあたるらしく、業界の商圏拡大ベクトルに大きく影響を及ぼすことになります。

 現在、売上を大きく伸ばしているファッションSPA(製造小売業)が、この郊外SC開発の波に乗ったものであることは、言うまでもありません。デベロッパーだけでなく、彼らはどこへその成長ロジックの場をシフトするのか、そして、施行後の覇者は?

 考えられることは・・・
 ○ 06年いっぱい、駆け込み大型SC出店・・・ラフな出店避けられず
 ○ 07年以降、郊外大型SCは既得権益に・・・家賃高騰
 ○ 郊外では、規制の影響を受けない規模の食品スーパーやしまむらの
  ような実用衣料を核としたNSC(近隣小商圏向けSC)が活躍
 ○ 都心再開発、都心既存店の改装が進む・・・ダイエー・西友浮上?
 ○ 現在、死に体になっている、非ターミナル駅の駅ビルに脚光が
  ・・・JR系デベロッパーの時代へ?見越して提携したイオンはさすが
 ○ 都心好立地に既存店舗を持つ企業を標的としたM&Aが進む?

 家賃負担が上がり、体力のある、利益率の高い大手企業による品揃え同質化は避けられないような気がしますね。狭い場所でパイを食い合う日本では、自由競争と同時にバラエティ豊かな真の生活者利益の実現は難しいんでしょうかねえ。

イオンの岡田社長が言われるように、市街地活性化のための具体的な策を議論せずしての、出店規制は大いに問題ありと思います。

 一方では、現在、「穴」と言われる大商圏の商店街立地(コンビニ、ドラッグ、百均立地)へのファッション業態開発も進むのではないか、と楽しみではあります。

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December 19, 2005

リアルクローズの時代

 本日の繊研新聞にあったステラ・マッカートニーのインタビュー記事から印象的だった部分を引用します。
「いつも、自分の気持ちに対して素直にデザインしようと心がけているんです。デザイナーってシリアスになり過ぎてると思う。私は最初から、実用的で、自分が着たい服を作ってきました。世の中にあるつまらないベーシックウエアに、楽しさと少しの個性をつめてきた・・・」

 彼女は、女性デザイナーの作るリアルクローズのリーダー的存在と位置づけられ、従来のアート的なデザインや華やかしさ重視のコレクションデザイナーとは違って、より現実的な服にこだわり、スポーツブランドのアディダスやファストファッションのH&Mとのコラボなどユニークな取り組みでも有名です。

 関連エントリー H&M、次なるコラボはステラ・マッカトニー
 関連エントリー 欧米マーケットに影響与えるファストファッション

 一方、同じく、本日の繊研新聞に、SCを舞台に、ローリーズファームやグローバルワークといったカジュアルウエアSPA(製造小売業)で快進撃を続ける 東証一部上場企業、ポイントの3ヵ年計画についての記事がありました。同社は、主力業態 ローリーズファームでの成功手法を、ファミリー(グローバルワーク)やアダルト(アンダーカレント)といった違った客層をターゲットにした業態へ移植させることによって成功ロジックを組んで、現在の約500億円の売上高を09年2月期に760億円を目指すとのことです。

 その成功手法とは、主に
1.「等身大MD(ターゲット顧客と同じライフスタイルを送る企画担当者による品揃え提案)」
2. 商社とがっぷり組んだ機動的な二人三脚OEM海外生産
3. そして、店舗と企画担当者の密なコミュニケーションへの努力をささえる企業文化
と思われます。

 関連エントリー ポイントの好業績を牽引する「等身大MD」

 この二つの記事を、興味深く、そして、同じキーワードと確信をもって読んでおりました。「リアルクローズ」も「等身大MD」も同じ意味で、現代の成功必須条件であると。

 いかに、顧客に近いところで同じ目線で考え、スピードと柔軟性をもって商品を提供するか・・・
 それは、日ごろ、このブログで紹介をしている企業の共通点であります。

 多分、ネクタイをしている中年男性がメーカーの男性営業マンを相手に机上でバイイングをしているGMSやチェーンストアには見えてこない・・・ことが勝負を決する時代へ

 「リアルクローズの時代」 これこそ、生活者最適に動く現代ファッションマーケットにふさわしい言葉ではないかと思います。

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December 16, 2005

青山商事、CCCとポイントサービスで提携

 本日の日経MJ、繊研新聞によると、洋服の青山やザ・スーツ・カンパニーなど全国約790店舗を展開する青山商事は、来年2月上旬から、お買い物の際、CCC(カルチャーコンビニエンスクラブ)のTSUTAYA会員カードを提示すれば、同カードサービスのTポイントが蓄積できるサービスをスタートするとのことです。お買い物100円あたり1ポイント(1円相当)のTポイントがたまり、提携企業でのお買い物に使えるというものです。

 この話は、昨日のエントリーと通ずる話ですが、異業種企業がそれぞれ発行するポイント(マイレージ)に互換性を持たせることによって、「財布を厚くしているカードを一枚にまとめ」、生活者を囲い込み、消費行動分析をしようとする企業戦略で、日本では、CCCが、先行しているようです。

 今後、アメリカのように、業種を飛び越えて、ポイントが貯まり、使えるという企業同盟サービスも活発になるでしょうし、また、それらのポイントがエディのような電子マネーへの手軽な交換や、イーバンクにキャッシュバックされるようなサービスも次々に登場してくるでしょう。 

 90年代の後半、アメリカでそういったアライアンスカードの実情を知ったあと、ターゲット顧客が共通な異業種企業の共同マーケティングがとても、興味深く気になります。単なるコラボではなく、アライアンス(同盟)ですね。
 業種の論理や、サプライサイドの論理ではなく、生活者最適なポイントやカードシステムであれば大歓迎です。

 今後マーケットの競争は、業種内の「企業 対 企業」ではなく、また、現在の「SC 対 SC」の顧客動員競争を飛び越えて、アライアンスを組んだ「企業同盟 対 企業同盟」へ、いう図式が見えてきて、とてもおもしろくなってくるな、とその動向を見守っております。

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December 15, 2005

イオン、スイカ導入へ 電子マネー決済とその先にあるもの

 昨日の日経新聞によると、流通最大手のイオンとJR東日本は13日、包括的業務提携に合意し、その一環として、07年1月をメドに、JR東日本エリアのイオングループ店舗にSuica(スイカ)を導入するとのことです。

 このイオンの動きは、先だって、セブン&アイ(イトーヨーカドーグループ)が、07年春にエディ、スイカに次ぐ第三の電子マネーを発行することを発表したことをかなり意識したものであることは、ファッション業界屈指の専門家ブログ、ファッション・イン・ファッションの両国さくらさんも、さすが、昨日のうちに取り上げ、興味深い指摘をしておられました。

 しかし、今年、この電子マネー関係のニュースは、本当に、めまぐるしく、日進月歩、企業が先を争うように取り組みを打ち出した、もっともホットなトピックの一つであったと思います。

 年間300兆円の個人消費のうち、千円札や硬貨が決済される少額決済市場は、約60兆円。これを奪い合う形で、エディ、スイカの双璧に、セブン&アイが参入。これらのプリペイド電子マネーに対して、UFJニコス、JCB、三井住友カードが、クレジットカードと連動して、後払いケイタイ決済サービスをスタートさせました。

 これらの決済手段に対して、スーパー、コンビニ、ファミレス、航空会社、ガソリンスタンド、ドラッグ、カメラ量販、CDショップなど各社が3陣営にわかれ、今のところ互換性のないまま、それぞれ同盟企業を増やして勢力争いを繰り広げている構図。来年には、生活者包囲網は完成し、どの陣営に入るのか、選択がせまられる勢いです。その前に、生活者最適を考えたら、統一されるべきなのですが。

 しかし、この電子マネー、ケイタイ決済のその先にあるものは・・・

 1998年、アメリカで暮らしていた私の目に映ったのは、人々がスーパーで使っていた、1枚の磁気カード(ICだったかもしれない)。銀行のキャッシュカードに、航空会社、クレジット会社、スーパーマーケット、ドラッグストア、ガソリンスタンドのロゴが入っており、この1枚で、日常のお金の出し入れ(ATMだけでなく、スーパーのレジでも現金に引き出し可)、通常の決済、クレジット決済、各社のポイント、マイレージをためることができるもの。
 ガス、水道、電気、電話、ケーブルテレビも引き落としにしておけば、キャッシュレスで生活ができ、毎月の銀行口座の使用明細が1ヶ月分の家計簿に。 

 お判りでしょう。
 ・財布を分厚くしている、たくさんあるカードを1枚に
 ・毎月、複数来る請求明細を1枚に

 これが、7年前のアメリカの生活者包囲網の動きです。このカードをケイタイに置き換えてしまえば、数年後の日本の姿が見えるのではないでしょうか?
 そして、請求明細を1枚にまとめる企業が、顧客の消費行動のモニタリングを行うことができ、未来のマーケティングの覇権を取る、というシナリオです。

 しかし、FSP(ポイントカード)の顧客購買情報もマーケティングに活かせず、単なる割引に合戦になっている日本では、電子マネー運営会社やクレジットカード会社が企業から取る決済手数料収入が関の山で、そこまでやりきれる企業がどこまであるのか疑問ですが・・・。

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November 16, 2005

ワールド上場廃止が業界に贈ったメッセージ

 11月15日、ワールドはMBOの成功を経て、いよいよ「上場廃止」となりました。

 14日に行われた経常利益前年比31%増と大幅増収増益だった9月期中間連結決算発表での寺井社長の気になるコメントを日経新聞と繊研新聞から拾いました。

 「日本のファッション産業は行き過ぎた部分最適化による水平分業になっており、全体最適モデルの構築が必要である。」

 「リスク分散が進み過ぎ、何が売れるかもわかりにくい、変化対応モデルになっていない」

 「今は、前(店頭)に近いほど利益を取っており、後ろ(川上)は利益を取るのが難しい」
 
 「全体最適モデルの構造改革はチャンスであり、多大なリスクもある。」

 ファッション業界の大問題をズバッと言い放っていると思います。
そして、顧客のために、全体最適を自己完結させなければ生き残れない、それには、時間とチャレンジが必要であり、株主のために、短期的な利益だけを追求していたら、成し遂げられない、というのが、ワールドの考え方であります。

 他の業界にも当てはまるかもしれませんが、小売店頭の顧客のこと(需要)が上手に把握できないため(必死でしようとしていない企業がいかに多いことか!)、アパレルメーカー、生産工場、原料メーカーと顧客から離れてゆけばゆくほど、需要の実情がわからなくなってしまい、その分、手探りで仕事をせざるを得ない状況。また、介在する企業がそれぞれムダや不合理のために、リスクヘッジを行っているのがまさしく業界の姿であり、そのしわ寄せを生活者が負わされていたり、うまくマネージメントできなかった企業がつぶれてゆくわけです。

 私も、この業界でなんやかんや商社、卸、小売と各流通段階を一通り経験させて頂きました。数々のムダ、不合理を見てきました。そのおかげかどうかはわかりませんが、結論として、いかに生活者に近いところで仕事をするかいかに生活者と企画生産現場の距離を出来るだけシンプルに短くするか、が継続的な成功のための必須条件であると思っています。

 ですから、このブログでは、生活者のためにそんな努力をしている企業の姿をニュースや記事で見つけては賞賛すると同時に、いいことはみんなでベンチマークしましょうよ、と訴えているわけですね。
 業界最適≠顧客最適?なんて冗談じゃない!

 ワールドの上場廃止は、業界に痛烈なメッセージを贈ってくれました。業界で働くすべての人たちがその本質をしっかりと受け止めるべきだと思います。これから日本に乗り込んでくる外資の猛者たちは、業界の慣習などお構いなしに、容赦なく、マーケットにストレートど真ん中、剛速球を投げてくるでしょう。
 「まずは業界の取引慣行を改善しよう!」なんて言って、業界の内を向いてる場合じゃなく、ワールドのように全体最適=顧客最適のために早く、行動を起こし始めなければならないわけです。

 報道によると、ワールドは、上場廃止、非公開化をしましたが、情報開示はいままでどおりに行い、コーポレートガバナンス・コンプライアンス体制を充実させ、「開かれた非公開企業」という新しい企業像を目指すとのことです。同社が業界の顧客最適のロールモデルになることを期待しています。

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November 13, 2005

欧米マーケットに影響与えるファストファッション

ZARA(ザラ)やH&M(エッチアンドエム)など、コレクション並のトレンドデザインアイテムを同シーズンに低価格で販売してしまうファッションチェーンをユニクロは第二世代SPAと呼び、このブログでは、「ファストファッション」と定義づけております。

ヨーロッパ最大のファストファッションSPA、H&Mが、11月10日に世界22カ国400店舗でステラ・マッカトニーとのコラボレーションコレクションを発売しましたが、それに関する欧米の記事がネット上に上がって来ています。
去年の秋は、カールラガーフェルドと組んでコラボコレクションを500店舗で発売し、1時間以内に完売。それらの波及効果で、同社の売上は年間20%以上も上がったとされ、その第二弾として、400店舗、より大都市に絞っての発売ということで、注目されておりました。

 H&Mホームページのコレクション内容は >>>こちら

 各地のメディア、ブログなどによると、ニューヨークマンハッタン5番街やSOHO、ロンドンオックスフォードサーカスあたりでは、OPEN前から長蛇の列が出来、パニックの中、地域差はありますが、10分~1時間以内にマネキンも身包み剥がされている状態で、ほぼ完売だった模様です。あるイギリスのある記事には、「ハイエナに餌を与えている状態」とのことで、特にステラの出身のロンドンはすごかったようです。

 ロンドン在住の方のブログを発見しました。セールの状況の写真付きです。
>>>こちら

 また、早速一部の商品がeBayのオークションにも出品されているのは、面白いですね。

 一方、ミラノやパリでは、昨年ほどの行列ではなかったとの報道があります。ヨーロッパは、暖冬で今回の彼女とのコラボコレクションの1/4は防寒物とのこと。そんな、気象的な要因もあって、一部投資家筋は、同社の売上の伸びは、昨年ほどではないだろうと予想して、株は、売り気配もあるようです。それにしても、世界400店舗でOPEN前の行列とOPEN即完売の状況を作り上げるH&Mのすごさには脱帽です。

 こんなH&Mの活躍を筆頭に、昨年、今年とファストファッションが欧米ファッションに与える影響がますます大きくなっているのを感じます。
 
 昨年のカールラガーフェルドのH&Mコラボに始まり、今年は、イギリスのファストファッションの雄、TOPSHOP(トップショップ)のロンドンファッションウィーク(コレクション)デビュー。
 また、パリコレを評したあるファッション評論家は、ファストファッションの影響で、売上を奪われている各ブランドが「魅せるものから、売れるもの重視に」確実に動いていると先日、日経MJ記事で述べているのを読みました。昨日の繊研新聞では、パリ市内の少なくなった百貨店(ギャラリーラファイエットやプランタンやボンマルシェ)は、同業よりも、ファストファッションとの差別化を図るための改装に投資をしているそうです。

 コレクションも百貨店も、煽られて、いわゆる「マジモード」になっているわけですね。

 ファストファッションには、使い捨てで、環境に配慮がない、というような批判もありますが、業界の目を覚ましてくれて、その分、いい意味で競争が起こり、生活者が豊かになれば、と思っています。
 日本では、1998年から2000年にユニクロブーム、ユニクロショックが、業界にいい刺激になったのは、記憶に新しいところです。それは、ベーシックアイテムの波でありました。
 今、次の波が欧米ファストファッションから起こっています。その波が日本にやって来るのも時間の問題でしょう。その時の担い手は・・・

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October 05, 2005

アパレル中国生産に異変あり?

 ここのところ中国でアパレルのOEM生産に携わっている方々と立て続けに同じような世間話をしました。華やかなファッションの舞台裏の現実をご紹介する意味で取り上げてみようと思います。

 日本のアパレルの製品輸入の80%(金額ベース)を占める中国。この日本にとって重要な生産国で、今年、わが国のアパレル業界に影響がありそうな事柄がいくつかありました。主なものは、

 1.欧米の輸入制限枠(クオタ)の廃止
 2.それにともなう輸出税の負荷の発生
 3.人民元の切り上げ
 です。

 1.の「欧米の輸入クオタの廃止」については、かつて このブログで  「匠(たくみ)の技が奪われる」  という記事でも紹介しました。 簡単に申し上げると、欧米各国が国内産業保護の目的で、2004年まで中国など低コスト産地からのアパレル輸入を枠(クオタ)を設けて制限していましたが、2005年、今年になって全面廃止になったもの。そうすると、当然、欧米アパレル企業のオーダーが、生産コストの安い中国に向かいます。一説には、アメリカの中国からの輸入が3倍に膨らむのではないか、と言われ、日本の輸入関係者は、品質にうるさくなく、発注量の多いアメリカに中国の生産工場のキャパシティが奪われ、日本向けは、コストが上がったり、納期遅れが起こるのではないか、と心配し、戦々恐々としていたものです。

 実際、ふたを開けてみると・・・今年の2月、3月ころは、納期遅れの影響を受けたケースもあったようです。しかし、その勢いに「恐れ」を感じたアメリカ国内産業が、案の定、セーフガードを要請し、ニット、パンツ、アンダーウエア、シャツなど主要7品目に輸入制限枠が設けられ、7月にはその枠も一杯になってしまったようで、それ以降は、それらのアイテムの中国からの輸入は打ち止めになった模様です。そんなことで、春夏ものには、多少の影響があったものの、秋冬ものには影響がなかったというのが現実だったようです。
 もっとも、日本向けに特化していた工場は、お行儀の悪い(キャンセルやクレームディスカウントが多い)欧米企業にはあまり見向きもしなかったのもあるようですが。

 むしろ生産キャパシティよりも、コスト的な問題が懸念されています。

 ①クオタ廃止のとばっちりで、日本向けにも1枚あたり、
  一律20セント-30セントの輸入税が負荷されたこと
 ②2%の人民元の切り上げ、>>>関連ブログ記事 
 ③追加生産などで、物価の上がっている欧米向け共通工場に
  オーダーを振らなければならない時
 です。

 しかしながら、コストが上がったからといって、遠くて生産に時間のかかるベトナムやインドに大きくシフトするわけにもいかない・・・検品や各店仕分けなど、できるだけ物流を中国側に移し、できるだけ日本国内でコストをかけないように、価格に転嫁しないように、方法に頭を悩ませています。

 そんな黒子さんたちのおかげでファッション商品が私たちの手元に届くのだということもお忘れなく・・・・

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July 26, 2005

ワールド株式非公開化と今後の展開

 アパレル製造小売大手ワールドは2200億円規模のMBOによるTOBを実施し、株式非公開化を行うと発表しました。資金は銀行から調達し、オーナーが保有する会社が株式を買い取る形。

 目的は
 ・買収リスクの回避
 ・目まぐるしいファッションの変化に対応するために大きな意識決定を迅速に行うため。
 ・短期利益よりも長期企業価値を追求するため。M&Aを含めた製造側に対する長期投資戦略を実施
 などが記事、社長インタビューからのキーワードです。

 ファッション業界に限らず、日本で優良企業が非公開化するのはまれなケースとのこと、以前、当ブログでアメリカの優良高級百貨店ニーマンマーカスがファンドに身売りをして非公開させた事例は紹介しましたが、理由は同じ、柔軟で変化対応できる自由な経営です。 >>>ニーマンマーカス関連記事

 ワールドは専門店むけアパレル卸として拡大しましたが、90年代初めに小売事業に進出し、ブランド開発・買収、主導権をもって百貨店をコントロールし、SC出店ブームに乗り、常にアパレルビジネスの先端を行き、今や80%が小売による売り上げ。SPAとしてワンマン経営、アウトソーシングに頼らない自前主義で有名で、情報流出防止にも伝説があるくらい気を使い、社内にノウハウを蓄積して来ました。オペークやフラクサスなどの業態開発では業界の群を抜く実験の実行力とモノにするパワーを感じます。
 
 今回のニュースを聞いて、ワールドらしいなと思いました。流通の川中から始まって川下を抑え、これから川上(生産サイド)を抑えにかかるわけですね。目指すはスペインのZARA(ザラ)のような完全自己完結型のSPA(製造小売業)なのでしょうか。ワールドが自前でZARAのラ・コルニャの本社工場のような生産、物流拠点を上海に作ったらおもしろい!ぜひ、2週間生産、24時間デリバリーをワールドに実現してもらいたいと思います。>>>ZARA関連記事

 余談ですが、ワールドを追いかけてきたアパレル大手、サンエーインターナショナルの東証一部くらがえが発表された次の日のワールド非公開化発表をちょっと興味深く受取った業界関係者は私だけでしょうか?

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July 24, 2005

中国人民元切り上げと日本のファッションビジネス

 先週、中国の通貨人民元が2%切り上げられました。同時に人民元は一定の範囲内で複数の外国通貨とのバランスをもって相場が決まる通貨バスケット方式が採用されました(事実上の変動為替相場制への以降)。

 中国政府は、国際的に人民元過小評価是正のための通貨改革を迫られており、突然の発表、同日実施ではありましたが、週末の経済界、ファッション業界への新聞社インタビューによると「想定の範囲内」とする声が多かった模様です。

 日本のファッション業界への影響というと、まず、単純に中国で生産された商品の輸入コストが上がることになります。ただし、2%程度であれば、製造・輸入メーカー商社側が企業努力で吸収し、小売価格へは転嫁しないでしょうから、一般生活者への影響は軽微です。日本経済界の識者、トヨタ会長の奥田さんは、影響が出るのは、2ケタ(=10%以上)の切り上げを行った時であろう、とおっしゃっているようです。

 また、今後も中国が人民元の切り上げを行う可能性がありますが、だからといって、ベトナムやインドへ、生産地を分散させることができるか、というとファッションについては、なかなか難しい面が多いと思います。

 私自身も両方の国での生産経験がありますが、ベトナムは、クオリティは高いですが、原料があまりないので、多くの原材料は国外からの持込が中心となります。インドは、綿素材を中心に原料は豊富ですが、まだまだクオリティに課題がありますし、産地は不測の事態?が多いです。そして、ともに、生産と輸送に時間がかかることがネックになります。
 計画生産をする、ドレスシャツやユニフォームはいいかと思いますが、8週間が寿命といわれるファッション商品では、そういった国へのシフトには課題が多いと思われます。

 ファッションは鮮度が命。コストだけでなく、商品価値、スピードのポートフォリオを考え、流通を含めた企業努力をしながら、中国を中心とした近隣諸国と上手に付き合っていかなければならないのは間違いありません。

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July 22, 2005

ファッション業界の合同展を見ていると

 今週水曜日、木曜日、金曜日と日本のファッション業界では一番大きいと思われる業界関係者向けの展示会、IFFが東京ビッグサイトで開催されていました。業界新聞最大手、当ブログでもおなじみの繊研新聞が主催です。
 
 今回は、今日、行こうか行くまいか考えていましたが、初日、2日目、今日の朝行ったそれぞれ別の人から、がらがらで・・・と聞いてしまったので、いやな予感がしたので、デスクワークを優先し、見送ってしまいました。

 国内外のファッション展示会を回るのは、私の仕事の一つです。ロサンジェルス、サンディエゴ、ニューヨーク、ロンドン、ミラノ、ミュンヘン・・・いろいろ回ったものです。毎回、何かしら新しいものを発見し、感動したものです。

 日本の展示会は、出展社のお祭り的なところがありますが、海外のそれは、地方の専門店が本気で1シーズン分の買い付けに来ますから、真剣勝負です。日本人バイヤーが半分観光気分で物見遊山で接してしまうと相手にされないところも少なくありません。

 4-5年くらい前だったでしょうか、各地の大きな展示会からいわゆるインディーズたちがスピンアウトし、新しいエッジの効いたフロンティアたちが展示会を始める動きがアメリカ、ヨーロッパ、日本で同時発信的にあった年がありました。
 世界最大のファッション展示会、ラスベガスのMAGICからPOOL SHOWが、ロンドンの40ディグリーズからTO BE CONFIRMEDが、ドイツケルンのインタージーンズからブレッドアンドバターが、そして東京のフロンティアショーからもスイッチがスピンアウトした年・・・世代交代とファッションの世界同時発信を体感しました。

 この業界の展示会っていうものは、次第に知名度が高くなり、規模が大きくなり、発足当時の志がなくなり、商業主義になると、大手のメーカーのブースの陣取り合戦が始まり、ブースの壁が高くなり、中が見えなくなります。自分の作品をわかってもらいたいクリエーターと新しいものに飢えているバイヤーの本当の気持ちが出会えなくなった時、衰退がはじまるのをいくつかの展示会で見てきました。

 数年前、既述のロンドンのTO BE CONFIRMEDが始まった時、その場に駆けつけた私は久々に熱いものを感じました。世界に名だたる有名ブランドも、その展示会で初めてデビューする無名ブランドもシングルラックたった3本のコの字のスペースだけが平等に与えられていました。大きな会場にもちろんすべてオープンです。しかも、主催関係者に聞くと、同じスペースですが、売上規模に応じて出店料を取っていると言うではありませんか。なんてすてきな展示会なのだろうと思ったものです。招待客のみのクローズ会場ですが、活気に満ち溢れていました。

 4-5年前に始まったそんなムーブメントは第2世代といえるでしょう。そんな彼らからもスピンアウトし、さらにエッジな動きが出ているようです。 そして、ネット時代にどんな形でクリエーターは作品を発信続けて行くのか?楽しみにして見てゆきたい、と思います。

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June 26, 2005

ケイタイ電子決済に進路を取れ

 最近の電子マネーに関するサービスの進化のスピードは、ファッションリテーラーとて目を離す訳にはいかないと思います。
 
 ICチップをベースにしたエディ、スイカの利用件数の伸びは著しいものがあります。
エディで月間1000万件、47億円分に登る。スイカで300万件に達した、とは6月23日の日経新聞から。
カードだけではなく、両電子マネーのベースの技術となるフェリカの搭載で先行したDoCoMoに対し、au、ボーダフォンも来年にはスイカ搭載の機種を発売すると言うことです。 どうやら、エディかスイカか、どちらを選ぶか?という議論もあるようですが、携帯には両方搭載可能とのことで共存が可能。

 また三井住友に続き、東京三菱が携帯電話からの操作で銀行口座から携帯に現金を移すことができるサービスをスタートさせたとのことです。 これによりケイタイがATMになるわけですね。
現在、エディは5万円、スイカは2万円という決済金額の上限がありますが、携帯電話による決済が、始まり、規制が緩和されていけば、来年以降加速度的に増加することが、予想されます。
 
 また、ポイントやマイレージがエディとして使えるサービスを提供している企業も既に存在しています。
ポイントカードが企業を超えて交換され、携帯電話を媒介にして電子マネーという形で繋がり始める・・・

 現金・預金   ポイント・マイレージ
   ↓          ↓
  電子マネー(エディ・スイカ)
        ↓
      代金決済

TSUTAYA、マツモトキヨシ、ANA、楽天あたりはこれを見超して準備を進めて来たのだと思います。

 一連の動きの向こうに見えるもの・・・各社の企業の都合で作られたポイントカードで膨らんだ顧客の財布。 誰もが、分厚くなった財布を不快に感じているはずです。 このストレスを解消し、身軽な顧客最適を実現した企業が真の顧客囲い込みを実現し、勝ち組になるに違いないと感じます。

「ビジネスブログ」の事例に採用されました>>>こちら
「ビジネスブログ」とは?>>>こちら

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June 13, 2005

Tシャツは広告だ!

 先だって、東証マザーズ上場のインターネット広告会社アイシーエフ(icf)がアパレル企画製造会社のゼルスを子会社化、という報道がありました。

 ゼルス社は、ユニクロはじめ、企業コラボシリーズを仕掛けた企画系のアパレル会社。Tシャツのデザインに企業ロゴを採用することによって、商品が流通企業の店頭に並び、Tシャツを着た人が街中を歩くことが、新しい企業広告のひとつとして、2002年ころからビジネスモデルを構築。現在600社の企業と契約を結び、100組のクリエーターネットワークを抱え、ファッションに耐えうるデザインを施してプリントTシャツへ製品化を行っている企業の先駆者です。ちなみに同社はかつて、ファミリーマートの裏飯シリーズでも名を上げた異色のアパレル企業です。

 ファッション業界で通常このような企画をすると、企業側にライセンスロイヤリティ(商標使用料)を払うものですが、同社は、巨額の広告宣伝予算を持つ企業の、広告宣伝の選択肢のひとつとして、説得、企業側から広告収入を得るという逆転の発想をしたところが、同社の成功ロジックです。
 アイエフシー社はこのビジネスモデルの国際的な可能性に目をつけ、株式交換による子会社化を決断したとのこと。

 電車に乗っていても、気がついたらどこもかしこも広告だらけ、お店に並ぶ商品も、街を歩く人も広告媒体の対象になる時代。一方で、独自で情報を取捨選択するツールを模索する生活者。
 
 今後、巨額の企業広告宣伝費はどこに向かうのか?
 
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April 23, 2005

匠(たくみ)の技が奪われる

 マガジンハウスムック「アナタはユニクロが嫌いですか」、にもユニクロの品質を支える手段として、「匠の技」のコーナーがあります。日本のアパレル生産技術を支えた人たちを、再雇用して中国工場の技術向上のために派遣、駐在させ、活用し、それを品質の象徴としたのはユニクロのマーケティングのうまさの一つです。

中国で大量生産することによって高品質のものを安価で提供するビジネスモデルをすべての業界に置き換えても「ユニクロ的」と言わしめた功績はやっぱり、トヨタ並みにすごいことだと思いますね。

 しかし、今、需要予測によるサプライチェーン、匠の技による品質を確立したユニクロですら、一つの「チャイナショック」を思い知らされているはずだと思います。それは、欧米が輸入クオ-タという中国などからの輸入制限枠を撤廃したこと。ユニクロが匠の技で中国工場に蓄積されたノウハウが今、欧米向けに流出している話です。今年の1―3月の統計だけではありますが、中国の欧米向け輸出は前年比160%。ユニクロ向けを中心に、品質の要求度の高い環境で鍛えられた中国工場が、オーダー数が多く、値段相応で、日本ほど品質にうるさくない欧米企業に目が向いているわけです。日本向け夏物以降の日本向け生産に大きな影響がでているのを各所で聞きます。
今後もこの懸念は増すでしょう。

 これからユニクロはじめ日本企業が、どのように、中国企業と向き合うか?教科書問題の裏で起こっている日中問題の一つです。

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