August 14, 2017

ユニクロ中国大量出店の課題

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 8月13日の日経新聞の一面によれば、ユニクロが好調な中国市場で出店を加速し、

 現在 約540店舗、年100店舗のペースで出店しているところを、今後、1.5倍の年150店舗ペースとし、2020年には日本の約840店舗を上回る1000店舗体制にするとのことです。

 ユニクロ、中国店舗数が日本超す 20年にも1000店に 店長候補を短期育成

 2020年グループ年商3兆円達成に向けて(2017年8月期は1.85兆円の見通し)、

 国内ユニクロ事業が伸び悩む中、FR社の中で最も期待できる成長エンジンは海外ユニクロ事業、特に営業利益率を国内ユニクロ並みの二桁をたたき出せるようになった中国事業です。

 記事によれば、中国において

 1. 地方都市への出店加速と 
 2. 店長の高速育成 

 後者は具体的には 大卒採用者の条件を学生時代のユニクロでのアルバイト経験による入社前からの業務習得を必須にすることによって入社間もない社員をこれまでよりも速いペースで店長に抜擢することで、年100人以上の店長づくりができる制度をとし、今後の大量出店に臨むようです。

 拙著、「ユニクロ対ZARA」の後半部分でも指摘しましたが・・・

 ユニクロの海外、特に中国市場の深耕にあたっては2つの課題があると思っています。

 1つめは店舗網を都心部から地方へ広げるにあたっての課題です。

 日本国内では地方展開から都心部に攻め込む形で拡大・成功したユニクロは・・・

 地方出店時のローコストオペレーションが徹底する中で、都心に攻め込む過程で販売効率を高め、利益(額)を増やす形でご利益を得たと言ってもよいと思います。

 「しまむら」しかり、「ニトリ」しかり、地方出身のナショナルチェーンが地方でさほど売れなくてもしっかり利益を残せる体質をもってして、都心部で売れる立地に出店して成功する事例はいくつもありますね。

 ところが、ユニクロの海外の場合、中国もそうですが、都心部から地方に拡大するという、逆に販売効率が下がる方向での拡大を模索するという、日本国内での成功とは逆のパターンを行わなければならないという課題があります。 

 ローコストで始まり、その後、高い販売効率や利益額を得るときには「都心はこんなに売れるのか、儲かるのか」とうまみを享受できると思いますが・・・

 ハイコストで始まった企業体質を、拡大とともに、全体的に下がって行く販売効率にどうコストコントロールを行って対応するのか、損益構造見直し、ある意味、体質改善は結構チャレンジングなことだと思います。

 2つめは出店に店長の育成が追いつくかの課題です。

 出店ペースに店長育成が追い付かず、前者の要因と相まって崩壊したチェーンは数知れず・・・

 これに対して、これまでの国内ユニクロ事業が見事だったのは、

 店舗数を劇的に増やさず、1店舗あたりスクラップ&ビルドで大型化させ・・・売場面積は広げながらも、店長数を激増させずに・・・出店と店長育成のペースを合わせて成長の壁を上手に乗り越えて来た歴史があります。 

 中国では逆に相当のスピードで大量出店をしようとしているわけですよね。

 正直、過去のチェーンストアの失敗の法則から考えると危うさも感じますが・・・

 これまでも多くの常識を覆して成長を続けて来た同社が・・・

 これからの海外での成長局面をどう乗り越えて行くのか?引き続き注目をしていたいと思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 ユニクロは大国深掘り出店、ZARAはグローバル分散出店。同じSPAでも出店に限らず、真逆の戦略がいろいろあって面白い。両社を比べれば世界のファッション市場が見えてくる。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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August 07, 2017

ZOZOのスタートトゥデイが大幅増収増益で株式時価総額1兆円を突破 現状の課題と次の手は?

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 8月2日の日経新聞や繊研新聞にZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ社の2017年4-6月の今期第1四半期決算に関する記事が掲載されていました。

 同四半期は

 商品取扱高 595億円 40.9%増

 営業利益    79億円 59.3%増

 連結純利益  55億円 54.5%増

と絶好調の業績を受けて 8月1日付の同社株価時価総額が1兆円を突破したとのことです。

 日経の記事によれば、この時価総額は上場小売業ではセブン&アイ、ファストリ、楽天、ニトリ、イオンに次ぐ6位とのこと、

 同社の業績と勢いを株式市場が

 流通業界における時代のリーディングカンパニー

 と評価した結果であり、今後、流通の歴史に記されるであろうニュースになるでしょうね。

 好業績の要因は同社の発表にもありますが、

 - 低価格ブランドの導入とその伸び

 - クーポンによる販売促進

 - ツケ払い制度による低年齢層の会員獲得と買い上げ促進

 などがあるようです。

 あと、「買い替え割」という下取りも既存ユーザーの購買頻度を上げる上で、それなりに購入促進になっているのではないかとお察しします。

 最近のZOZOのサイトを見ると・・・

 ホントに楽天などで活躍して来た、販売管理費が比較的低く、
 
 単価1900円、2900円中心で単品大量販売をするような低価格ブランドが幅を利かせて来ましたよね。

 そして、クーポンの発行の頻度も ものすごい。

 業界では、かつてはルミネ10%オフキャンペーンが市場で最も爆発的な売上が上がる起爆剤でしたが、今ではそれも落ち着いて来て、

 それに代わって、消費者も業界関係者も、関心が「ZOZOのクーポン」に移っているようですね。 

 ブランドがクーポン対象になると、その期間中は売上が5倍以上に伸びると言いますから・・・

 同社の狙い通り

 低年齢層の客層増と
 クーポンによる単価の高い商品の買い上げアップの効果

 があったと思いますが・・・

 一方で、セレクト系など既存ブランドの伸びは落ちて・・・

 売上を伸ばすにはクーポンに依存する体質が生まれ、利益は薄くなる・・・

 モール内も低価格商品で荒れるなど、正直、売上起爆剤をだいぶやり尽くした感も否めません。

 お客様とZOZOにとってはよいかも知れませんが、出店ブランドとの3者のウィン・ウィン・ウィンが成立しているのか?どうか?

 ZOZO依存が進むとスポイルされるブランドも少なからず出てくるのではないか?とちょっと疑問や心配も感じ始めている次第です。


 話は変わりますが、今期中に立ち上げが予定されているZOZOの自社ブランドに業界が注目していますね。

 買収案件や募集人材から業界関係者がいろいろな憶測をしていますが・・・

 私は、前澤社長のことですから、もちろん革新的なものを狙うと思いますが、

 最新技術の話題先行で、すぐに儲かるかどうかわからない奇抜なものではなく、

 顧客ソリューションにつながり、ZOZO自身もすぐに売上利益につながる、

 斬新でも「遊びなし」のものが前提になると見ています。

 そういう意味では聞こえはベタかも知れませんが、

 低価格ベーシック商品をその最有力候補として挙げたいですね。

 簡単に言えば、ZOZOに出店していないユニクロの代替え商品

 同社が展開するファッションコーディネートアプリ「WEAR」を見ればわかるように、

 ユーザーが最もコーディネートに取り入れている=ZOZOで販売しているブランドと相性のよい商品群であり (そこを 指をくわえて見ている経営者はいないでしょう)

 まずブランド品1品を選んだユーザーが運賃無料にするのに手ごろな買い足し商品にもなる価格帯であり

 ベーシックであればまとめ買いも期待できますからね。

 それを物流の混乱が続いているユニクロよりも速く届ける。

 関連エントリー- ベーシック(定番)アイテムの役割

 以前、ファッションを強化するAmazonがアメアパを買収するなんで噂があった時に非常に納得したのを覚えていますが、ファッション最大モールとしてそんなソリューションはありかなと思います。

 もっとも、ユニクロと同じことをしても芸がないので・・・

 例えば、オンデマンドで、極力 製品在庫リスクなし、欠品なし、できるだけ機械化して国内生産で行う、また、アイテムによっては丈詰めなどでパーソナライズするなど

 これらはもちろん、全くの想像に過ぎませんが、そんな流通イノベーション、ソリューションであれば・・・

 これまでのZOZOの商品やサービスを補完できる、極めて合理的で王道のアプローチではないかと思います。

 また、イギリスでは地産地消をキーワードにしたこんな状況も起こっていますのでご参考まで。

 関連エントリー- 英国発 地産地消のウルトラ・ファストファッションの波は日本にもやって来るのか?

 いろいろ想像は尽きませんが、

 流通業界の革新児であるスタートトゥデイ社らしい商品が実際にリリースされるのを楽しみに待ちましょう。

 
 いずれにしても、同社の独走はしばらく続きそうで、目が離せませんね。

 一方で、出店している既存ブランドはZOZOと上手に付き合いながらも・・・

 ZOZO依存体質から抜け出し、自社ECでいかに実店舗との相乗効果を出すか?

 を本気で考えなければならない局面でもあるのではないでしょうか? 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 トレンドとベーシックの商品管理のそれぞれのお手本はZARAとユニクロ。両社の理念とビジネスモデルをわかりやすく解説しました。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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June 23, 2017

英国発 地産地消のウルトラ・ファストファッションの波は日本にもやって来るのか?

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 6月19日付のWWDジャパン、ファッションライター奥恵美子さんが海外のニュースメディアから興味深いネタを拾って解説する「ちょっと学べるFJA(Foreign Fashion Journals Analytic Points)」というコーナーで

 「英国からウルトラ・ファストファッションの波」

 というタイトルに目が止まり興味深く読ませていただきました。

 元ネタは 

 RtaileDIVE のReport: 'Ultra-fast' fashion players gain on Zara, H&M
 
 ですが、同じ FUNG GLOBAL RETAIL&TECHNOLOGYによる”Fast Fashion Speeding Toward Ultrafast Fashion” というレポートを元にした日本語の翻訳記事も見つけましたので、ご興味ある方はこちらをお読みいただければと思います。

 BUSINESS INSIDER JAPAN デザインから販売まで1週間 —— ZARA、H&Mを脅かす新興オンラインブランド

 内容は イギリスで拡大中のファストファッションECサイト

 ASOS(英) エイソス 

 Boohoo.com(英) ブーフー 

 Missguided(英)ミスガイデッド 

 らが ZARAやH&Mのファストファッションチェーン大手を上回る数週間のスピードでストリートファッションを企画、生産、EC販売を行い急成長している様を

 「ウルトラ・ファストファッション」 

 と呼び、今後両社を脅かすのではないかと解説しているものです。

 私なりにこの3サイトを整理しておきます。

ASOS(英)
 
 2000年創業 2016.8期年商1403百万ポンド(日本円換算 1997億円) 前比+26% 
 営業利益率 4%。 60%のオリジナルと40%の他社ブランドを販売。
 オリジナルは企画から販売まで最速2週間、平均6週間のリードタイム。
 週4500型の新商品をリリース。
 価格帯はイギリスではZARAやTOPSHOPと競合の模様。

Boohoo.com(英) 

 2006年創業 2017.2期年商 294百万ポンド(日本円換算 418億円)前比+49%
 営業利益率 10.2% 100% オリジナル販売。
 最速2週間 50%英国産 
 週 100型の新商品をリリース。
 サイトを見るとよりティーンズ向けで
 価格帯はH&MのDIVIDEDや英チェーンNEWLOOKと競合の模様。

Missguided(英) 

 2009年創業 2017.2期年商 206百万ポンド(292億円) 前比+75%  
 非公開企業。100% オリジナル販売。
 最速1週間!? 英国産を多様。 
 毎月1000型の新商品をリリース
 価格帯はティーンズ向けで上記2社の中間くらい。

 いずれもその商品をつくるスピードと急成長の理由のひとつが「英国内生産」活用にあるようです。

 今回の話の本質は・・・ただトレンドファッション商品を短サイクルでつくる「ファストさ(速さ)」ではなく、

 市場の顧客の反応に対して、必要な商品を必要な分だけすぐにつくり足すことによって・・・

 的中率を高め、値下げと売れ残りリスクを回避することで利益歩留りを確保するということにあることは言うまでもありません。

 そのため、トレンドファッションを、時間をかけて人件費の安い国でつくるのではなく、

 多少コストは高くなっても商品企画をしている本部や消費地との距離が近いところでコントロールするという「地産地消」的な発想が

 ファッションビジネスにおいてもグローバルトレンドになりつつあるというところがポイントだと思います。

 ご存じのようにZARAは全体の6割のトレンド商品を、スペイン本社の近くスペイン、ポルトガル、モロッコ、そして定期空輸便でつなぐことでトルコさえも「近隣国」と位置づけ・・・

 それら目の行き届く、自らコントロール可能な地域で企画~生産を行うことで、シーズン中の企画~店頭までのサイクルを平均3週間と高速で回すことで知られています。

 その結果は政治経済的に、天候的に不安定なグローバルマーケットの中で、柔軟な需要変化対応によって大手ファッションチェーンの中での「ひとり勝ち」につながっているわけです。

 世界アパレル専門店売上ランキング2016 トップ10

 上記3つの英ECサイトが行っていることは、このZARAのオペレーションを参考にしての、英国企業である彼らなりのひとつの答えなのでしょう。

 そして、従来のチェーンストア型の企業ではなく・・・

 ECビジネスならではの在庫の一元化やローコストオペレーションという優位性の中で行っているところが新世代型なのだと思います。

 世界で最も激戦ファッション市場である英国において広がるビジネストレンドは・・・当然、海外、もちろん日本にも波及することでしょう。

 規模は小さく、まだ人海戦術かも知れませんが、「楽天」の中にはそんなことをしている企業も出てきているかも知れませんし・・・

 まだ発表されていない業界注目のZOZOTOWNのプライベートブランドのコンセプトの中にも、

 この「地産地消」的なオンデマンドの発想も入っているのではないかと想像しております。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 ファッションマーケットにおける変化対応はZARAに学べ!ひとり勝ちの状況に多くのグローバルチェーンがZARAをベンチマークしています。
 
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May 15, 2017

ZARAのインディテックスグループのサステイナビリティ経営

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 前回のブログ記事 

  世界アパレル専門店売上ランキング2016

 のデータ整理にあたり、各社の年次報告やファイナンシャルレポートに目を通していて、

 最も感心したことのひとつが

 世界ランク1位のインディテックスグループの現会長兼CEOパブロ・イスラ氏が決算発表時にまとめられた同社の2016年度のトピックのハイライトのところでした。

 企業の社会的責任(CSR)が問われる昨今、世界のいろいろな企業がその社会貢献度合いをアピールしているわけですが、

 インディテックスグループも弁護士出身のパブロ・イスラ氏が2005年に創業者であるアマンシオ・オルテガ氏や彼を長年支えたホセ・マリア・カスティリャ―ノ(当時副社長)氏にかわって経営トップになって以来掲げているのが

 サステイナブルな(持続可能な成長のための)経営です。

 「ユニクロ対ZARA」の執筆にあたり、1990年代後半からの直近までの同社の年次報告書に目を通しましたが・・・

 2005年に同氏が就任して以来、それまで業績や財務状況中心だった約200ページ程度の年次報告書(アニュアルレポート)が

 400ページを超えるサステイナビリティレポートに変わり、(半分の200ページがCSR=企業の社会的責任に関するページ)

 グローバルな年率20%の急成長から10%程度の持続可能な成長に舵を切り始めたことに気づいたものでした。

 2005年と早くからサステイナビリティに取り組み始めたのは、グローバルに展開するファッション流通企業の中では、かなりの先駆けであり、

 そんなところにも同社の時代の先を行く経営ポリシーが感じられたものでした。

 今回の決算ハイライトの中では、特にアピールされたのが、母国であるスペイン国内経済に対する貢献です。

 気になったトピックをいくつかご紹介すると・・・

-1年間にスペイン国内で2480人の新たな雇用を創出したこと(これは毎年発表していること)

-この1年に7500社に上るスペイン国内企業がインディテックス社に請求書を発行したこと。 

 その総額は人件費フルタイムベースで50,000人の雇用に相当する
 (つまり、同社の社員以外にスペイン国内だけで50,000人の雇用を支えている。)

-スペイン政府が年間に徴収する法人税の2%をインディテックスグループが支払ったこと

 全体の約6割の商品をスペインおよび近隣国で生産して、世界93カ国に販売する
 
 地元から世界へ展開するグローバル企業の同社が、

 自社の繁栄、売上利益だけでなく、

 国内産業も潤し、雇用面でも、税収面でも母国にも貢献しているというアピールです。

 また、環境に配慮したグローバルなサステイナビリティへの取り組みに関しては

-電子レシートによるペーパレス化への取り組み

 顧客が自社開発したスマホアプリinWalletをインストールして、クレジットカードを登録しておくと、

 レジでの決済が短時間で済み、更にアプリ内に電子レシートの記録が残るので、
 紙のレシートを発行する必要がない=ペーパレスの促進です。

- ダンボールの再利用と再生 
 
 倉庫から店舗へ商品を送る際に使う段ボール箱を5回リユースする。
 その後は通販用のパッキンに再生加工して利用する。

- 不要な服の回収、リサイクル 

 着なくなった服の店頭回収はもちろん家庭回収にも取り組む (団体と組んでスペインからスタート)

 などなど

 同社の取り組みを聞いていると・・・多くの専門店やチェーン店がいかに周回遅れなのかを感じざるを得ません。

 ビジネスモデルや収益性だけでなく、地元に貢献しながらグローバルな環境にも配慮する同社の姿勢や取り組みからもいろいろ学ぶところはありそうです。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 ZARAとユニクロのこれまでの歩みを整理しながら・・・未来も考えてみました。
 
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May 08, 2017

世界アパレル専門店売上ランキング2016 トップ10

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 世界の大手アパレル専門店各社の2016年の売上高や利益などをまとめる機会ができましたので、毎年恒例になりました売上高のランキングTOP10を共有させていただきます。

 円建て比較にあたり、為替レートは2017年1月末の €=121.7円、スウェーデンクローナ=12.9円、US$=113.8円、英国£=142.4円で換算しています。
 
 尚、6位のC&Aのみ2016年決算が入手できませんでしたので Deloitte Global Powers of Retailing2017と2016を参考にした2015年度の売上高を表示しています。


ランキング          売上高   前年比  営業  期末  基幹業態
                              利益率 店舗数  
1位-Inditex        2兆8,368億円 +12%  17.2% 7,292  ZARA
 (西インディテックス;17.01期)                          

2位-H&M         2兆4,802億円 + 6%  12.4% 4,351  H&M
 (瑞エッチアンドエム;16.11期)                         
  
3位-Fast Retailing    1兆7,864億円 + 6%  7.1%  3,160  Uniqlo  
 (日ファーストリテイリング;16.08期)                            

4位-Gap          1兆7,657億円  -2%  7.7%  3,659  Old Navy 
 (米ギャップ;17.01期)                              
                                           Gap 
                                              
5位- L Brands      1兆4,309億円  +3%  15.9%   3,074  Victoria's 
 (米エルブランズ=リミテッド;17.01期)                      Secret
                                             
6位-C&A Europe     1兆0,446億円  -0.2%   n/a   1,577  C&A
 (独シーアンドエー;15年度)                            
         
7位-Primark         8,471億円   +11% 11.6%   315  Primark
 (愛プライマーク;16.09期)                            

8位-Ascena retail      7,960億円   +46%  1.3%  4,906  Ann taylor
 (米アセナ;16.7期)                                Justice
                                           LaneBryant   
                                                   

9位-Next           5,834億円   -2%  20.2%   538  NEXT 
 (英ネクスト;17.01期)                               


10位-Shimamura       5,654億円   +4%   8.6%  2,066  しまむら
 (日しまむら;17.2期)                               
                                                                     

備考-米TJMaxx、Ross のオフプライスストア2社は売上規模はトップ10に入る規模ですが、メーカーや専門店が放出した過剰在庫を販売する二次流通マーケットのため除外しました。また、中国で拡大を続け、売上規模では9位あたりに位置すると目されるE.LandWorld(韓国)は売上規模以外の実態が掴めないため除外しました。

以下 解説です。

 1位のインディテックスグループは12%増収、9%営業増益と着実な増収増益(以下利益は営業利益を指します)。

 進出国を5か国増やし93か国とし、グローバル展開を続けながら、この1年は特にロシア、中国、メキシコ、イタリアに数多く出店したようです。

 ブランド別ではZARAが絶好調、ZARA HOMEが好調。

 一方で、主要各国でオンラインビジネス(EC)を強化し実店舗とECを合わせた既存店売上の伸びは・・・なんと10%増でした。 

 2位のH&Mは6%の増収も12%の減益に終わりました。

 同期も中国、アメリカへの集中出店をしましたが、店舗数を増やしたほど売上は伸びず、またドル建てで行っている商品調達コストの増加、世界的な温暖な気温にともなう値下げ増による粗利率の低下が痛手でした。

 同社は今後、ただ店舗数を増やすことによる売上拡大を見直し、既存店とEC強化による売上拡大に成長目標を切り替えるとしています。

 3位はファーストリテイリング。いよいよGAPを抜いて世界3位に浮上しましたが・・・6%増収も23%減益、そして営業利益率(7.1%)の落ち込みが気になります。

 国内ユニクロ事業、海外ユニクロ事業の中の中国事業、グローバルブランド事業の中のジーユーが同社の売上と利益の3本柱。

 グローバルブランドとしては欧米への展開も必要かも知れませんが・・・

 主力事業3本柱が稼ぐ利益を喰わないように、ほどほどにすることが利益率回復のカギになるでしょうね。

 また、国内ユニクロ事業が価格政策を見直したことによって、ユニクロとジーユーのカニバリが始まっている気がします。

 今後はファストリさんも、投資家さんも日本国内事業に関してはユニクロ単体ではなく、ユニクロ+ジーユーで評価する必要があるのではないでしょうか。

 4位のGAPは米国内の不採算店舗の大量整理が続き2%減収22%減益と減収大幅減益。

 比較的堅調なのは米国OLD NAVYのみ。当期のGAPの米国内リストラやOLD NAVY日本撤退で止血は完了したのでしょうか?
 
 5位のLブランズは3%増収も9%減益と久々の減益となりました。

 ビューティ部門=バス&ボディワークスは引き続き好調だったようですが、基幹ブランド ヴィクトリアシークレットの既存店売上が前年割れして不振に終わったのが要因です。

 アメリカで常勝を続けて来たLブランズの陰りは一時的なものなのか?今期の動向に注目です。
 
 6位以下に関しては・・・

 8位に浮上した米アセナリテールはアンテイラーの買収によって売上規模を拡大し、黒字化を果したもの。

 9位のネクストは既存店のスクラップ&ビルトと高いEC売上比率(42%)で20%の高営業利益率を保っていますが・・・

 イギリスのEU離脱宣言など社会情勢不安による既存店の減収およびECの減速が減収減益(2%減収3%減益)の要因のようです。

 同社は情勢を厳しく受け止めているようで、今期の予測も楽観できないものとしています。

 同社の店舗のスクラップ&ビルトとEC強化による収益性の維持は成熟市場における勝ち残りモデルのひとつ。日本企業も注目に値します。

 さて、

 今回のTOP10を見渡すと増収増益は インディテックス、プライマーク、しまむらの3社のみ

 営業利益率が15%を超える高収益企業は ネクスト、インディテックス、Lブランズの3社 

 明らかにインディテックスグループのひとり勝ちの様相です。 

 1年前のランキングでも指摘しましたが、

 ファッションビジネスにおいては・・・

 長いリードタイムをかけて低賃金の国においてローコストでつくり、

 つくったものを売り切るビジネスモデルはリスクが大きく(売上は上がるが利益をコントロールしづらい)、

 そういったグローバル資本主義的なビジネスモデルに陰りというか「限界」が見え始めたように思います。

 マーケットの変化にあわせて顧客が欲しいものを、コストは多少高くても目が行き届く近隣国において小ロット短サイクルでつくり足し、

 値下げと期末在庫を抑えることでしっかり利益を残すインディテックスグループのビジネスモデルにあらためて軍配が上がったと言えます。

 インディテックスグループはその一方で、ECビジネスを売上を補完する新たな販路としてではなく・・・

 お客様に店舗に足を運んでいただくためのマーケティングツールとしてフル活用して成果をあげています。

 今回のTOP10企業を始め(H&M、ファストリ、Lブランズ、プライマーク、ネクスト・・・)多くのグローバル企業が、これまでの手法を反省し、インディテックスグループのオペレーションを見習い

 短納期生産と中長期生産の折衷=ハイブリッド生産に取り組み

 ECを強化しながら既存店への来店頻度を高めるオムニチャネル・リテイリングに力を入れている

 のが昨今のグローバルトレンドです。

 これらを規模の違いと考えるのか?日本は海外と違うと切り捨てるのか?

 私はこれらの課題はどんな企業にも突きつけられている・・・将来 勝ち残るための問題提起だと思っています。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 
 【おススメ本】

 アパレルビジネスの特性も、世界のファッション流通マーケットも・・・ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAを比較すれば よりわかりやすくなる!
 
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April 21, 2017

ロコンドのRAOS(リアル・アズ・オンラインストア)計画のチャレンジ~業界のオムニチャネル化の課題

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 ネット通販(EC)での靴の購入のハードルを下げるために「自由に試着できる通販サイト」をコンセプトにしたECモール「ロコンド」で2010年に創業し、その後、

 同通販モールの運営を通じて構築したITと物流のしくみを活用して、ファッション企業のECがらみのバックオフィス業務も支援するロコンド社が、2017年3月に創業以来続いた赤字から黒字化のメドを立てて東証マザーズに上場しました。

 上場後、メディア露出が増えたため、同社の記事を読む機会が多くなりましたが、
 (3月20日付WWDJAPAN、4月13日付繊研新聞、4月21日付日経MJなど)

 同社のビジネスモデルの中でも私が注目しているのは ECモール「ロコンド」の拡大よりも、

 むしろその背景で同社がオムニチャネル化をめざす業界の急所(ウィークポイント)に気づき、力を注いでいる「プラットフォーム事業」の方です。

 同社は「ロコンド」を立ち上げた後に、自社ECをアウトソーシングするブランドや企業のEC運営業務を請け負い、更にEC向け物流をブランドの直営店向け在庫補充へと請負領域を拡大(ロコチョク)して来ました。

 その後、

 地方百貨店などで限られた店頭在庫でもECの豊富な倉庫在庫を活用して販売につなげることができる「ロコチョクD」というサービスに取り組んだり、
 
 ECや直営店向けの物流倉庫の運営を受託したり、

 今後はECのオンラインシステムを実店舗にも活用するサービスに力を入れようとするなど、

 オムニチャネル化を目指す業界において、

 オンライン側からオフラインの実店舗のオペレーションの課題を効率化しようという、

 一見ニッチ(隙間的)ながら、業界の極めて大きな課題を解決するサービスに取り組んでいるように見受けられます。

 おそらく、同社は数々のクライアント先との取り組みの過程で直営店を取り巻く安定稼働を重視した保守的なPOSや基幹システムの環境と、

 一方で、エンドユーザーの購買行動に対応すべくリアルタイム更新が前提で、更なる進化を続けるEC向けウェブシステムの環境の違いに触れ、壁を感じたのでしょう。

 私も日ごろ成長ファッション企業さんの直営店の店頭在庫最適化のための業務を生業にしているため、当然システムや物流などのインフラ整備にも対応していますが、

 最近ECの販売拡大にともなって、実店舗とEC双方の販売機会ロスをなくすための在庫の一元管理化を検討する上で、最もネックになることのひとつが、
 
 日次更新で動いている本部システムとリアルタイム更新で動いているECをどう同期化させるかの問題です。

 従来の本部基幹業務システムに関しては売上はともかく、在庫までをリアルタイムにするのは・・・

 理論的には可能なのですが、システムの安全稼働を考えると負荷も投資もかなり大きくなる。

 一方、ECのウェブシステムは売れたらその都度在庫を引き落とすリアルタイム更新が常識。

 これある意味、

 従来からの企業の業務上の都合 と スマホ経由で取った情報に基づいて行動する進化しつづける消費者が求めていることの壁

 とも言ってもいいかも知れません。

 業務を時代の要請にあわせるならば、いっそのこと、リアルタイム更新が常識のEC(オンライン)の考え方を中心にシステム全体をリニューアルしてしまった方がいいのではないかと思うことがしばしばあります。

 タイトルにあるロコンド社が構想する「RAOS(リアルアズオンラインストア)計画」とはその名の通りECの発想で実店舗も運営しようという発想だと解釈されます。
 
 私は業界の多くの人たちがそうであるように実店舗サイドからECをどう取り込もうかと見ているもののひとりですが、
 
 同社のようにECから事業をスタートした方々にとっては、逆側から見えていて、「そこがヘン(非効率)だよ・・・」と感じていることが少なからずあるはずです。

 そして、冷静にお客様目線で考えると、その逆側からの発想の方が、今、そしてこれからの時代にとっては正解=新常識 だと思えてなりません。

 これから事業を始める方々にとっては、そんな「新常識」を前提にしたしくみから始めた方がよいでしょう。

 一方で、既存のシステムのしがらみがある多くの企業は、どういち早く消費者の購買行動に合わせた「新常識」に乗り換えるかが今後の事業成長の鍵(カギ)になることでしょう。

 そんな問題提起をしているロコンドのチャレンジにとても共感しながら関心を持ちました。

 大きな取り組みはこれからだと思いますが、今後の動向に注目したいと思います。

 関連エントリー-流通段階と仕事の発想、サイクルの違い

 ※これ古いエントリーですが、業務サイクルと仕事の発想に関するお話です。直営店運営は週次、日次ですが、ECはリアルタイム更新が前提。どんどんスピードアップする市場にどうあわせて行くかが課題になりますね。

 【ファッションビジネスを考えるおススメ本】

 有名ファッション専門店の事例を用いて、顧客心理と在庫コントロールの大切さをわかりやすく解説したビジネス読本です。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   

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April 14, 2017

GU(ジーユー)が国内店舗半数にセルフレジを導入へ~ストレスフリーショッピングの未来は?

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 4月9日の日経MJにファーストリテイリングのGU(ジーユー)が今年の8月までに同ブランドの国内店舗の半数にあたる176店舗にICタグを利用したセルフレジを導入することに関する記事が掲載されていました。

 このセルフレジは、商品を購入するお客さん自身がICタグ付きの商品をセルフレジ機で読み取りを行い、精算、袋詰めまでを行うもので、

 複数台のレジに対して顧客への説明やアシストをするのに必要なだけの立ち合いスタッフがいればよく、

 これまでのレジ業務を省力化、効率化し、限られたスタッフをより顧客の商品探しのための接客や在庫確認に当たらせることが目的になります。

 これまでGUの実験店舗では、精算時間が有人レジと比べて1/3で済み、混雑時のレジ通過客数も1割アップしたとのことです。

 混雑時(例えばピークタイム2時間)にレジ通過客数が1割アップできたとなれば、1日の売上の3%くらいの売上押上げ効果があるのではないかと思われますから・・・大きな効果と言えましょう。

 記事を読んで、新宿ビックロにあるGUの店舗を覗きに行きましたが、

 20台のレジのうち、なんと16台がセルフレジ、4台が有人レジの構成にびっくり。

 ずいぶん思いきりましたね。

 スーパーにあるセルフレジのような機械の中段に電子レンジのようなボックスがあり、

 その中に商品を入れれば、ICタグのおかげで、ピピピッと素早く商品を読み込み、クレジットカードや現金の精算もそこそこ早くて、あっという間でした。

 面倒と言えば適切なショップバッグサイズを自分で選んで、自分で袋詰めするくらい。

 ちょっと気を回してしまったのは・・・タグ落ち(値札が取れているもの)があったらどうするのかな?くらいでしょうか?

 また、このICタグはセキュリティタグの役割も果たしている模様です。

 ユニクロやGUやしまむらのような客数の多いセルフ販売型量販チェーンのように

 人手不足が深刻化し(出店計画にも影響が出ている昨今)、平日の夕方や土日午後のレジに行列ができるセルフ販売型 量販チェーンには大変有効だと思いました。

 ただ、一方で、通常のレジと比べて設備投資は大きいでしょうね。

 RFID(IC)タグの全品導入(ランニングコスト)とセルフレジおよび周辺機器への投資です。

 この設備投資に関しては、目先のテクノロジーだけでなく、未来のテクノロジーの進化も考えなければなりません。

 例えば、私はお客様のスマホ自身がレジに置き換わる日も遠くはないと思っています。

 いまや、アプリをダウンロードすれば・・・

 バーコードリーダーで商品はスキャン出来、今いる店舗や近隣店舗の在庫状況も確認できますし、ECサイトから購入することもできるわけですから、(実際ユニクロもGUもすでに出来ています)、

 この機能の延長線上で、スマホが将来的には、店舗のレジ替わりになることだって十分あり得ますよね。

 決済やレシートに関しても、

 ZARAが環境に配慮したサステナブルプロジェクトの一環で、スペインから始め、イギリスやアメリカに広げているInWallet という自社開発の仕組みが参考になります。

 これはアプリに登録したクレジットカード連携のQRコードでレジでは瞬時に決済が完了し、

 レシートはペーパレス(電子レシート)で、アプリに蓄積される。

 その電子レシートがあれば、将来、返品対応も可能という具合です。

 そんな、すでに世界で実現しはじめているテクノロジーをくみ合わせれば、お客様のスマホがPOSレジに置き換わることは時間の問題でしょう。

 もっとも、客数が圧倒的に多いところは、スピード、客捌き重視でセルフレジの方が効率的かも知れませんが、そうでないところは、スマホアプリのPOS化への取り組みは検討の価値は十分ありそうです。

 流通業の人手不足の深刻化、一方で、ストレスフリーなショッピングに対応するためのテクノロジーの進化からも目が離せませんね。

 関連エントリー-ジーユー・ユニクロはレジ待ち時間の短縮に、ZARAは欲しい商品を店頭で顧客の手に届けるためにICタグを活用する

 【おススメ】

 世界一のZARAのインディテックスの背中を追う、ユニクロのファーストリテイリング。それぞれの強み、将来性を多角的に考察しました。

 2014年冬に出版されたものですが、現在、両社が未来に向けて進めている施策もこちらの書籍の内容の延長線上で説明ができます。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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March 13, 2017

社会インフラとなった通販と宅配便を取り巻くラストワンマイル問題~ファッション流通企業にできること

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 日経新聞の紙上では、この2週間一日も欠かさず、ECの拡大と宅配便 最大手ヤマト運輸を中心とした宅配便を取り巻く厳しい状況に関する記事が掲載されていましたね。

 インターネット通販(EC)の急激な拡大、宅配業界の長時間労働、慢性的なドライバーおよび配達スタッフ不足、宅配便と受取人のすれ違い、通販の運賃をめぐる問題・・・日経新聞では「宅配クライシス」との見出しをつけています。

 ECと宅配便の問題は、流通業界に従事していれば、ビジネス上も、もちろん個人的にも他人事ではない話なので、関連記事には毎日、目を通しています。

 特に、

 配達時の不在率2割による再配達のコストとムダと、
 Amazonなど大手ECモールの安価な配送料金体系

 を中心に 毎日 同じような内容を違う切り口で記事にしている感も否めませんが、

 われわれの社会インフラ同然となった宅配便がパンク寸前であり、

 現状のままではサステナブル(持続可能な成長)な状況ではないこと

 を世間一般に伝えるには、これくらい繰り返し記事にする必要もあったのかも知れません。

 報道のおかげで誰もが、うすうす感じていたことを見直すきっかけになったのではないでしょうか?

 昨夜も 朝刊の広告を見て朝Amazonで注文したあるビジネス誌を帰宅時に届けてもらったことにあらためて驚き、忙しいのにいつも気持ちのよい挨拶と笑顔で届けてくれるドライバーの方々にはいつも頭が下がる思いです。

 そんな、「サービスが先、利益は後」 のヤマト運輸の精神で築き上げられた物流のジャパンクオリティをリスペクトしながら・・・

 短期的な総量規制の議論ではなく、これからも間違いなく増え続けるEC活用を、

 利用者側も含め、社会全体でサステナブル(持続可能な成長)になるように共存して行きたいところです。

 報道は特に、

 ECモールとそれを宅配業者から受け取る消費者に焦点があてられていますが・・・

 すぐに要らないものは 当日受け取れるかどうかわからないのに無理に当日配送にしないとか

 本当に急いでいる人だけがそのサービスを享受して追加料金を払うとか

 「えっ、もう届いたの?」というサプライズなスピードも ちょっと「過剰サービス」とも言えるものは料金の見直しも必要でしょうし、

 街に宅配ボックスを増やしたりすることも必要かも知れませんが、同時に受け取り側の放置に関するモラルも問われるでしょう。

 また、コンビニや郵便局や宅配便の配送所などでの受け取りだけでなく、

 日本よりもECの購買行動が進んでいる中国では一般的だという、職場受け取り、なんていうのも検討してもよいかも知れません。

 (商業ビルでは「物流部」とやらが受け取って預かっているらしい)

 そして、報道では、ECモールと消費者側の議論ばかりですが、

 直営店をもつチェーン店のEC注文商品の場合は、
 
 既存の物流ルート(倉庫→店舗)に乗せて店舗で受け取って頂く「クリックアンドコレクト」の推進にも取り組みたいところです。

 宅配便のサービスのスピードやクオリティが日本ほど充実していないヨーロッパや車社会のアメリカでは、ECサイトで注文したものを自ら店舗にピックアップしに行く 

 店舗受け取り=クリックアンドコレクト が かなり普及しています。

 例えば、イギリスのアパレルチェーンNEXTではEC注文商品のうち店舗で受け取られるクリックアンドコレクト比率が55%、欧州のZARAでは66%と広報されています。 

 つまり、過半数の注文者が自分のペースで、店舗で受け取っている現実があります。

 お忙しいお客様の情報収集や品定めはEC(WEB)で、

 商品確認と受け取りは店舗でして頂く

 そんな機能分担の推進こそが・・・

 これからファッション流通業界ができる 「宅配クライシス」を回避しながら、サステナブル(持続可能な成長)を実現する取り組みのひとつだと信じています。

 現状は、

 ブランド社内の直営店とEC事業の壁があったり、商業施設でも、家賃が売上歩合になっていることから、

 いろいろなしがらみがあってEC注文商品の店舗受け取りの実現のハードルがあるようですが・・・

 忙しくて、ECで注文する機会が多くなり、店舗に足を運ばなくなったお客様に・・・

 あらためて、ご来店の機会をつくり、お客様のペースで商品を受け取っていただく。 

 そして、場合によってはついで買いのショッピングも楽しんでいただける

 WIN WIN 関係の取り組みになるはずです。
 
 「サービスが先、利益は後」 

 ジャパンクオリティの宅配物流網を築き上げたヤマト運輸の企業精神に学んで

 需要の先読みをしてサービスに力を入れ、修正をしながら磨きをかける企業さんこそが・・・すでに始まったオムニチャネル時代のリーダーになるはずです。

 関連エントリー
 15年度のファッション商品のEC売上比率は7.8%に。10%目前に次なる課題は?
 成熟市場イギリスで高収益を上げるNEXT(ネクスト)のオムニチャネルリテイリング戦略

 【おススメ本】

 ファッション専門店の事例を用いて、顧客心理と在庫コントロールの大切さをわかりやすく解説したビジネス読本です。 オムニチャネル時代になっても、ファッションビジネスのキモは在庫コントロールにあることは変わりありません。

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February 10, 2017

「オンワードHDのオーガニック化粧品ベンチャー買収」のニュースで考えるアパレルビジネスノウハウの異業種活用

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 先週2月2日の日経新聞にアパレル大手のオンワードホールディングス(HD)が、米カリフォルニア拠点で日本でオーガニック化粧品(ヘアケア、スキンケア)を販売する米ベンチャー企業を買収し、化粧品分野に参入することに関する記事が掲載されていました。

 ネット記事はこちら
オンワード、VB買収し化粧品参入 自然派商品で顧客開拓


 同社が買収した事業の通販サイトKOKOBUYも主力商品のproductも、ネットで検索したレベルでは、品数も少なく、決して大した規模ではないようですが・・・

 アパレル企業に近年取り扱いが広がる、いわゆる「ライフスタイル提案」ビジネスと言われるカテゴリーの中で、(なぜがアパレルがやりたがる)カフェや家具やインテリア雑貨なんかよりも・・・

 ずっと「ファッション」に親和性があって、地に足がついていると感じていた ヘアケア、スキンケアを中心とした自然派化粧品分野に

 オンワードHDが資本を注入して足を踏み入れることについて、とても興味を持ちました。

 今、商業施設を見渡せば、駅ビルのルミネなどのもっともトラフィックが多く、アクセスの良い場所に売場が広がっているのがオーガニック化粧品ブランドであることは誰もがお気づきのことでしょう。

 私自身も、ジョンマスター、キールズ、マークス&ウェブなどの製品には毎日お世話になっているヘビーユーザーのひとりであります(笑)

 欧米先進市場を見てもわかるように、成熟ファッションマーケットにおける生活者の関心事は、女性に限らず、時代に敏感な男性も含め、

 服→ヘアスタイル→スキンケア

 (アンチエイジングも含みますからジェンダレス&エイジレスの幅広い客層、そして自然派に訴えれば教養層=客単価高につながります)

 と必然的に進むものだと思います。

 業界の好調企業「マッシュスタイルラボ」が スナイデル(トレンドアパレル)、ジェラートピケ(ホームウエア)の成功の後に、

 仕入型ではありますが、コスメキッチン(ヘアケア、スキンケア)に取り組んだ時に、この会社は(顧客目線、マーケットインで)「さすが!わかってる」と唸ったものでした。

 ヘアケア、スキンケアのビジネスは、端(はた)から見れば、原価率が低く、粗利が稼げそう、そして消耗品なので、アパレルよりも購買頻度も高そう・・・それゆえにおいしそうなビジネスに見えます。

 しかしながら、肌に触れるものなので面倒な薬事法が立ちはだかりますから・・・なかなか取り組みづらそうな参入障壁が高いビジネスに感じられます。

 それゆえに、オンワードHDのように潤沢な資本力活かして、ノウハウごと買ってしまうというのが正解なのでしょうね。

 オンワードHDは これまで買収したペットグッズのクリエイティブヨーコも、ダンス用品のチャコットも、ライフスタイル自転車販売のSAKULA(サクラ)も・・・とても目の付け所がよく、

 それぞれの業界の中で、一人勝ちであったり、上手にライフスタイル提案をしている素敵な会社を買収していながら、純投資ビジネスとしては成功しているかも知れませんが・・・

 アパレルのノウハウを熟知した企業が買収した意味や相乗効果を十分に活かし切っているのかどうかは未知数です。

 買収したビジネスから新しいコンテンツ(カテゴリー)をこれまでの既存の顧客さんに提供することも大事ですが・・・

 むしろ、買収によって新たにリーチした客層にいかにアパレルビジネスで培ったノウハウで買収事業に磨きを掛けながら、新しい価値を提供できるか?

 つまり、既存顧客の客単価を上げるだけでなく、新規顧客とリピーターを増やすことができたら買収の本当の意味での相乗効果があるというものでしょう。

 その点、以前もブログで紹介しましたが、

 アメリカのSPA(アパレル製造小売業)の元祖「ザ・リミテッド」の全店閉店と創業者レスリー・ウェクスナー氏から学ぶこと

 アメリカのLブランズはアパレル企業が時代の変化にあわせて、周辺ライフスタイル事業を買収したり、新規事業を立ち上げて、「アパレル企業ならでは」の磨きをかけるノウハウに長けている世界レベルのお手本と言えます。

 同社はアパレル小売業から始まり、サプライチェーンマネジメントを強みとしたSPA(アパレル製造小売業)手法で進化し、GAPより先に、20世紀に年商規模世界一のアパレル専門店に登りつめます。

 その後、21世紀になると、アパレル市場が成熟したと見るや、それまでに買収していたヴィクトリアズシークレット(インナーウエア、ホームウエア)や自ら立ち上げたバス&ボディーワークス(ヘアケア、スキンケア)にアパレルSPAの週次管理や高速サプライチェーンマネジメントのノウハウを注入し、

 従来のインナー業界や化粧品業界の業界常識を超える販売効率や商品回転率や収益率を実現します。

 2007年に出身母体であるアパレル事業をファンドに売却しても、その後、アメリカで

 アパレルだけに頼らない21世紀型のファッションストア企業、世界的にも最も収益力の高いファッションリテイル企業の一社として成功をし続けているわけです。

 アメリカにアパレル出身で、生活者視点で、時代に合わせて事業転換を図って来た世界のお手本となるファッションチェーンモデルがある。 それがLブランズの今の姿だと思います。

 オンワードHD社にとって、今回の買収が売上利益を増やすだけの投資で終わるのか、Lブランズのように、次代に合わせて脱皮して一皮むけるきっかけになるのか?
 
 興味を持って見守りたいと思います。

 【おススメ本】

 ベーシックとトレンドファッション・・・アパレルSPA(製造小売業)の勝ち組のビジネスモデルが1冊で早わかり
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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December 31, 2016

ファストファッションの次に来る流通革新

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 年末に発売されたファッション販売2月号の特集「ファッション業界2017年の焦点」の中で「ファストファッション」をテーマに寄稿させていただきました。

 月刊「ファッション販売」17年02月特大号 

 国内外の大手SPAやチェーンストアの価格動向と市場に対するインパクトについて述べた記事の本文とは別に「TOPIC」というコラムで「ファストファッションの次に来る流通革新」について触れさせていただきました。

 2008年にH&Mが日本に上陸した時から始まった日本のファストファッションブーム。

 その10年前の1998年にはユニクロのフリースブームから始まるSPA(アパレル製造小売業)による良質廉価の流通革新がありました。 

 このようにファッション流通市場では10年サイクルで新しい流通革新が起こり、生活者のファッション消費を変えて来たのです。

 そのファストファッションブームからまもなく10年が経ちます。

 日本より早くファストファッションの洗礼を受けた欧米で何が起こっているのか?

 日本のファッション流通市場の未来のインスピレーションを得るべく、私は毎年欧米のファッション都市をリサーチして日本のファストファッションブームの次に来る流通革新の芽を探して来ましたが・・・ここに来て確信を得ています。

 ひとつはイギリスでプライマークが、アメリカでTJMaxxのようなオフプライスストアが、そして、日本ではしまむらやGUが巻き起こしているディスカウンターによる都心部での「更なる低価格化」です。

 もうひとつは、すでにお馴染みのキーワードになった「オムニチャネルリテイリング」です。

 これまでの流通革新である

 「豊富な品揃え」⇒「低価格化」⇒「品質向上」⇒「トレンド(デザイン)の低価格化」

 と言った商品やマーチャンダイジングに関する革新よりも・・・

 むしろ顧客にどう商品を手渡すかという商品の提供方法に関する革新に他なりません。

 前者の更なる低価格化は、そもそもレッドオーシャンに飛び込むようなものなので、大資本には敵わないでしょう。

 それゆえに、ファッション流通業界各社は後者の「オムニチャネルリテイリング」にフォーカスすべきです。

 2011年にアメリカでオムニチャネルリテイリングというキーワードが話題になって、

 2013年の正月のこのブログでその年の流通業界のキーワードとして日本でもおこりつつあるこのムーブメントのご紹介をさせていただきました。

 「オムニチャネルリテイリング」は今年の流通業界注目の重要キーワード

 その後、スマホやアプリの進化とともに(WEAR、メルカリ含め)、消費者の購買行動の変化が起こり、

 直営既存店よりも、いかにEC売上を伸ばすかが業界関心事となり、多くの企業が主にZOZOやAMAZONを中心としたECモールの力を借りてEC売上の拡大に力を入れて来ました。

 以前のエントリー

 15年度のファッション商品のEC売上比率は7.8%に。10%目前に次なる課題は?

 でも触れましたが、

 昨今のECを取り巻く関心事の中心はEC売上拡大から「ラストワンマイル」、

 つまりお客様にECで買っていただいたら、宅配便で送りっぱなしで終わりではなく・・・

 お客様の手に確実にお届けするまでしっかり責任を持つこと、そして

 その手渡す接点をチャンスとしてしっかりと活かすための攻防に入りつつあります。

 これまでのように倉庫でダンボールをヤマト運輸や佐川急便に任せればそれでよいのでしょうか?

 コンビニで受け取ってもらえばそれでよいのでしょうか?

 ヤマト運輸が2020年までに宅配受け取り用のロッカーを全国に5000箇所作ると言っていますが、日本中にロッカーが完備すればそれでよいのでしょうか?・・・

 直営店を持つリテイラーそして商売人としては、何か他人任せのような気がしませんか?

 ファストファッションブームから10年が目前となった、これからの10年はオムニチャネルリテイリングの精度を高めることが流通革新のテーマになることは間違いないでしょう。

 直営店からECサイトへの送客がテーマだった過去から現在、

 これからの未来はECで購入したお客様をできるだけ直営店に立ち寄ってもらえるよう努めて行きたいです。

 これって、目に見えないところで起こっている競争なので、うかうかしていると気が付いたら乗り遅れていたということになりかねません。

 この取り組みに乗り遅れると・・・ファストファッションブームの時よりも痛手になることは間違いなさそうです。

 今年もブログをお読みいただきありがとうございました。

 業務多忙につきブログの更新の頻度が落ちた一年でしたが、

 来年も生活者を取り巻くファッション消費の変化とそれに応えるファッション流通企業の愚直な改善努力の好事例をできる限り読者のみなさんと共有して行きたいと思います。

 それでは皆さんよいお年を!

 【おススメ本】

 オムニチャネルリテイリングも一枚上手のZARA 書籍を通じてファッションビジネスに対する信念を学んでいただければと思います。 
 
 出版から2年経った今でも、おかげさまでアマゾン小売ジャンルランキング1位になることもしばしばあり、感謝しております。
 
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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