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January 25, 2017

米オールドネイビーが日本から完全撤退

 GAPグループのオールドネイビーが1月22日をもって全店閉鎖となり、日本から完全撤退しました。

 オールドネイビーの日本サイト

 2012年にお台場に1号店をオープンして以来、3年半で53店舗を出店し、年商250億円規模にはなっていたと思われます。

 今回の撤退は 米GAP社のリストラの一環で、いくつかある同社のセグメントの中で

 日本が大半を占める「Old Navy Asia(オールドネイビーアジア)」が特に採算が悪い事業として経営陣に映ったからでしょう。

 一方の「Old Navy North America (オールドネイビー北米)」は同社の中の稼ぎ頭です。

 日本1号店の開業の時にもこのブログで指摘しましたが、

 米オールドネイビー(OLD NAVY)のリーズナブル価格に好感、ただし多店舗出店に課題も

 GAPとは違って内外価格差ほぼなしの正直プロパー価格設定(プライスポイント=最多価格帯1990円)での日本展開は、

 おぉ、これは郊外立地でユニクロやライトオンやアベイルやマックハウスなどにとって脅威になるぞと思いましたが、

 そもそも内外価格差なしだと 日本の場合 家賃負担が大きくなるため

 アメリカ並みの販売効率(売場面積あたりの売上高)では販売管理費の負担が大きくなりすぎ、営業利益が残しづらいこと

 が課題にあったと思います。

 そのような、「上手く回れば・・・」のチャレンジングなスタートに

 出店立地を精査しきれず、計画を下回る販売効率の店舗を多店化してしまったこと

 どこの売場を見ても、シーズン立ち上がりはそこそこ魅力的な売場だったものの、後半の売場の荒れ方(残品状況や値下げ度合)がひどかったこと 

 これは外資チェーンと一言で言っても、アメカジ売り減らし型のMDサイクルの問題かも知れません。

 そして、時折、GAPの日本流よろしく商品原価に関係なく、全品一律大幅値下げなんてこともやってましたからね。

 日本オリジナルを一定割合混ぜて補完していたGAPやバナリパとは違い、雑なMDオペレーションだったことも否めません。

 折しも為替のドル高基調ゆえ 

 アジアからのドル建て商品調達コストが高くつき(これは日本企業も同じ)、

 それに加えて、水揚げ(ドル建ての売上や利益)がアメリカ本社から見て目減りして見えたであろうことも撤退判断の背中を押したことでしょう。

 会社側から見れば、採算の余裕が少ないビジネスモデルに、あまりにも悪環境の中で、自滅、撤収したというのが客観的な感想です。

 一方、ネット上の生活者の評価を見ると、GAPよりOLD NAVYを残して欲しかったというようなファンのコメントも多く、(特に子供服を重宝して購入していた方々) 惜しまれながら撤退して行ったというところでしょうか。

 また、撤退してほっとしたアパレルチェーンの経営幹部の方々も少なからずいらっしゃることでしょう。

 時折、ブログで指摘していますが、国土が広く、家賃が安いアメリカで拡大したチェーン店は

 欧州や日本に来ると苦戦する傾向にあると思います。

 ところが、日本のGAPだけは例外で、アメリカ本国とは違う売り方、

 すなわち、当初、値段を高く設定してがっつり粗利を稼ぎ、50%OFFしてもそこそこ粗利益が残るという売り方にうまみを覚え、

 日本の高い家賃を吸収して生き残って来たと思います。

 日本の生活者もそのあたり慣れっこになってしまってますけどね。

 すると、このGAP方式こそが、アメリカのチェーンが日本で生き残る限られた手段のひとつなのかも知れないとも思えて来ます。

 しかし、ローカルで売り方を変えないといけないオペレーションをしている以上、世界中どこに行っても世界統一MD&オペレーションのZARAやH&Mには敵わないでしょうね。

 オールドネイビーは惜しまれながら日本から撤退しましたが・・・

 アメリカの通販サイトから円建てで購入できるようです。

 オールドネイビーがお好きだった方は引き続き通販でお買い求めいただければと思います。

 OLD NAVY US 通販サイト

 【業界ビジネス読本】

 シーズン性のあるファッション商品の購買心理と在庫コントロールの原理原則を大手企業の事例を用いてわかりやすく説明しました。

 『人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識』

   
 
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January 24, 2017

しまむらの値下げ品自動選別システム

 1月20日の日経新聞にしまむらの値下げ品自動選別システムに関する記事が掲載されていました。

 同システムは、初期の入荷量や販売実績データなどの情報から

 売れ行きの悪い商品を選別し、値下げの時期や幅を自動的に提示するもので、

 最終的な判断や店舗への指示は担当者(ヒト)が行っているようです。

 既に、2016年秋にファッションセンターしまむらで展開する1割の商品が自動選別されたようで、

 同社は更なる店舗拡大にあたり、担当者の業務負担を軽減する目的で、

 ファッションセンターしまむらでの対象商品を広げ、

 2018年2月までに 同社の別業態、バースデイ(子供服)やアベイル(ヤングカジュアル)でも稼働させるようです。

 量販系の小売りチェーンやSPAでは、計画通り売れない商品があった場合、期末セールを待たずに、顧客が欲しいと思う時期を逃さずに、シーズン中に値下げするのが一般的です。

 (レギュラー店またはアウトレットまたはWEBストアか値下後の場所はそれぞれですが)

 ただし、その値下げのタイミングや幅は属人的なケースがほとんどです。

 そのため、手遅れになって期末近くに大幅値下げが必要になったという場合が多いように思います。

 その理由は、

・商品ごとの販売計画がない=無計画な発注量

・販売期間が決まっていない、あるいは守ろうとしていない(理由をつけて先送り)

・値下げ対象とする基準があいまい

・値下げ予算の運用が担当者に任されている

といったところでしょうか?

 しまむらの場合は、全体の約4割と言われるトレンド商品(非定番品)に関して

 一部を除き、全店各SKU(カラーサイズ)1枚のみの投入=発注量一定

 原則投入してから5週間以内に売り切る ところてん式で投入消化管理

 値下げ枠(額)管理が徹底 (値入額‐粗利額目標)

 しているからこそ

 期限(5週以内)通りに売り切れないであろう商品を選別して設定されている「値下げ枠」を按分して振り分けることが可能なのでしょう。

 もっとも、しまむらのような商品投入&売り切り方法でなくても

 基本的には、上記のような項目にルールづけと会社基準を設定すれば商品選別とその値下げにいくら使ってよいかくらいは算出できます。最終判断は担当者や上長(ヒト)がすべきでしょうが。

 日頃のコンサル現場では、ウイークリーの品種、品番別の期末消化シミュレーションと値下げ推奨品番の選別、および値下げ枠管理はすでに行っていますが、

 今回の記事を読んで、更に、それぞれの単品にどれだけ値下げ枠を充てるかの気づきをいただきましたので、近々 提案してまずはExcelベースで取り組んでみようと思いました。

 今、ファッション流通現場の最大の課題は人手不足ですね。

 経営者は自動化、自動化を叫び、システム屋さんは(理論上は)できます、できますと言いますが・・・

 お客様やスタッフが「自動システム」に振り回されないことに注意しながら、また、使いこなせなくて投資額を無駄にしないように、省力化を考えていきたいですね。

 昨年 YOMIURI ONLINE に掲載された寄稿 

 しまむらが若い女性にパトロールされるワケ

 をご紹介します。

 ご興味あればリンク先を覗きに行ってみて下さい。

 【おススメ本】

 ファッション消費の顧客購買心理を考えるビジネス読本

 顧客心理への配慮と在庫コントロールロジックが明確な しまむら の事例もいくつか取り上げています。

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January 18, 2017

適正品番数とメリハリ発注

 1月14日の日経新聞にユナイテッドアローズやしまむらなどのアパレル専門店大手が2017年春夏の品揃えについて最大3割の商品数を減らす方針であることに関する記事が掲載されていました。

 衣料大手、商品数絞り込み 売れ筋や定番に集中

 記事によれば、両社とも過剰だった商品数を減らすことによって売れ残り在庫の値下を抑制し、一方で、売れ筋商品に絞り込んで在庫を充実させることによって売り逃しをなくすことに労力を振り向けることが狙いのようです。

 この「商品数(品番数)が多い、少ない」の議論は・・・

 毎シーズン業界各社が繰り返しているある意味「永遠の悩み」ですが(笑) 

 何を基準に多い、少ないと言っているのかが不明確なことが多いのも現実です。

 記事で取り上げられている大手の2社さんはそれなりのデータやロジックに基づいてお話しされていると思いますが、

 中小・中堅の小売企業さんは、おそらく、

 期末在庫の品番別消化率(売上数量÷純仕入数量)を見て、
 売上上位品番は消化率が極めて高く、
 逆に下位に消化率の低い商品がゴソっとあり、
 これらの多数の下位品番は本当に必要だったのか?と感じたから

 という理由が多いのかも知れません。

 仕事柄、新しい成長期にあるクライアント企業さんと取り組みが始まると、

 「うちは品番数が多すぎる、適正品番数はどれくらいでしょうか?」と問われて、あるべき品番数の議論をすることがよくありますが・・・

 逆に「ところで、通常 店頭に展開できる品番数(キャパ)の基準はありますか?」と聞き返すと、明確な答えが返ってこない場合が多いものです。

 そんな場合、ご一緒に什器調査をして什器の棚卸を行い、
 商品計画のための標準となる展開スペース(器の大きさ)を定めた上で、
 シーズン中にそれらの什器の中でどれくらいの頻度で商品を入れ替えるか

 を確認して・・・

 はじめて適正品番数の基準となる数値が出てくるなんて話も少なくありません。

 いわゆる小売業の「定数定量」の基本となる話です。

 実際、そんな作業をやってみると・・・

 バイヤーやMDなど仕入れ担当者の仕入総額は予算内に収まっていても、

 仕入品番数が「基準」をはるかに上回り、どう見ても定数(販売スペース)から溢れんばかりの品番数・・・(汗)

 売上TOP品番は黙っていても各店で優遇されるのでともかく、

 そうでない個々の商品に各店で十分な販売機会(スペースと販売期間)が与えられなかったために・・・結果、売れ残った商品がたくさんあった、全体の消化率が低かったということに気付くことになります。

 そんなことを反省しながら・・・次のシーズンに向けては、店頭什器配列を確認しながら、

 店頭展開可能な標準品番数x回転数に多少の+α(プラスアルファ)の品番数を上乗せして品揃え計画を組み始めることになります。

 店舗数がまだ少ない時期は、店舗投入時に売場から多少商品が溢れていても、行動力のある本部販売部、商品部のスタッフが店舗に通う頻度が高ければ、人海戦術で店舗間で調整つけながら、最終的には売り切ってしまうことも出来たでしょう。

 しかし、ある一定の事業規模を超えてくると(その境目はおおよそ20店舗前後でしょうか?)・・・

 全店に目が行き届かなくなり、これまでと勝手が変わって、コントロールが難しくなり、商品数の過剰が経営課題のひとつとして上がるようになるものです。

 いずれにしても、品番数が多い、少ない、の議論は、まずはこの商品計画の基準となる店頭の「定数定量」を一度、把握した上で行いたいものですね。


 また、適正品番数に関連してよく話題になることとして、事業拡大局面(多店舗出店中)における品番数の在り方があります。

 店舗数が急増して、仕入担当者の売上・仕入予算が一気に増えると、品番あたりの発注量を増やすのではなく、ついついむやみに品番数(商品のバリエーション)を増やしてしまう、いろいろなものを買いたくなる、というジレンマに陥ることがあるものです。

 予算が大きくなったからと言って、けっして既存の店舗の売場面積が大きくなったり、急に商品回転が高まるわけではないんですけどね・・・。

 そうすると、品番数を増やしたがために、品番ごとの発注量に十分なメリハリがつけられなくなり、結果的には、売上上位品番はすぐに欠品して売り逃し、十分に販売機会が与えられなかった下位品番たちが売れ残る。 売れ筋を追加しようにも後者の在庫が多いために、追加仕入もできない、というループに陥る話です。

 そんな局面でどうすべきか?の解も、答えは同じだと思っています。 

 やはり、売場に基づいて適正品番数を定め、上位(見込み)品番と下位品番の役割に応じてメリハリ発注を行うことに尽きるでしょう。

 いくつかのブランドが成長局面でブレイクスルーしたのを見て来ましたが・・・

 その共通項として言えることは、

 売れると見込んだ商品、あるいはみんなで売ろうと決めた商品(品番)を絞り込んで定め、販売ピーク週などの大事な時にむけて、十分な在庫を積み込み、全社一丸となってMAX販売できた実感をどれだけ全社共有できているかだと思います。

 在庫の奥行がなく、すぐに欠品してしまう商品をいくらたくさん持っていても、ブレイクスルーの実感は得られませんから。

 売上が好調だった時の売上ベストセラーを振り返ればわかるように、いつの時代も売上は売れる上位商品に集中するものです。

 そしてその時の集中度合(売上上位構成比)を参考にして、上位に来るであろう商品をどれだけ売るかを決め、その時に欠品しないだけの必要な仕入を行う。 

 小売の商売もスポーツと同じで、そんな勝った、うまくいった時のイメージトレーニング(販売計画)とそれに向けた行動(周到な準備)がなくしては目標達成はありえないでしょう。

 【おススメ本】

 ファッション消費の顧客購買心理を考えるビジネス読本

 おかげさまで多くのアパレル専門店、SPAさんでMD計画の参考文献として愛読していただいています。

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January 13, 2017

アメリカのSPA(アパレル製造小売業)の元祖「ザ・リミテッド」の全店閉店と創業者レスリー・ウェクスナー氏から学ぶこと

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 1月10日のWWD JAPAN.COMにアメリカの婦人アパレルSPAチェーン「ザ・リミテッド」が全米250店舗全店を閉店して、以後WEBストアのみで販売を続けることに関する記事が掲載されていました。

 ニュースの詳細はリンク先をお読みいただければと思いますが、

 ザ・リミテッドが全店舗閉店 4000人を解雇
 
 私も含め、90年代から世界のSPA(アパレル製造小売業)をウォッチしてきた業界の方々からすると今回の全店閉店ニュースには感慨深いものがあると思います。

 業界のトップコンサルである小島健輔先生も自身の思いをブログで取り上げていらっしゃいますね。

 小島健輔の言いたい放題 ウェクスナー氏の「先見の明」?

 SPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)という言葉の語源はGAPの創業者である故ドナルドフィッシャー氏が1986年の同社決算発表会で使った同氏の造語ですが・・・

 GAPより早くからアメリカでお手本となる本格的なSPAをしていたのは「ザ・リミテッド」であるのは業界でも広く知られています。

 もう中古本としてしか購入できませんが・・・SPA原論とも呼べる

 「リミテッド社はなぜ世界最大になれたか(桜井多恵子著商業界1996年)」 を

 アパレル専門店のブランドポートフォリオやプライベートブランド(PB)開発のバイブルとして何度も線を引きながら読まれたアパレルチェーンの方もいらっしゃるでしょう。 私もそのひとりです。

 1963年「ザ・リミテッド」からスタートした旧リミテッド社の強みは 

 商品企画をして直営店で売るものの、つくることはベンダーに任せるという表層的なSPAではなく・・・

 店頭での試験販売と生産地にバイイングオフィスを持つ社内商社を活用したアジアでのQR生産、空輸インフラなど店頭起点のサプライチェーンマネジメントにあり、

 その結果として、ウィメンズ向けファッションベーシックカテゴリーの商品企画的中率が高かったところにあったと思います。

 その点、ユニセックス向けのベーシックカジュアルが中心で、比較的農耕的な?ものづくりのGAPとはまた違ったものづくりのお手本でした。

 90年代に「ザ・リミテッド」や「エクスプレス」などのSPAブランドを中心に世界一のアパレル専門チェーン企業に上り詰めた旧リミテッド社の転機は・・・

 2000年のH&Mのアメリカ上陸後に訪れます。

 H&Mのアメリカ上陸後、それまでさほど目立たなかったフォーエバー21(F21)も大量出店を始め、全米アパレル市場を舞台としたH&MとF21のファストファッションの競演が始まります。

 ここからアメリカのアパレル市場は正しくレッドオーシャンに突入したわけです。

 2007年、リミテッド社の創業者レスリー・ウェクスナー会長は

 創業業態である「ザ・リミテッド」ともうひとつのアパレルチェーン「エクスプレス」の2つの事業の権利の75%を投資ファンドに売却、2010年には残り25%の権利もファンドに売り渡し、外衣アパレル専門の業態からは撤退。

 一方、1982年に買収して磨きをかけて来たランジェリー中心の「ヴィクトリアズシークレット」と1990年に自ら開発した「バス&ボディワークス」というヘルス&ビューティ事業に特化します。

 その間、社名を「リミテッドブランズ」から「Lブランズ」と社名変更し、創業業態であるLIMITEDのLの頭文字は残しながらも、売却した「ザ・リミテッド」と違う、アパレル専業とは違うファッションチェーンの道を歩みます。

 2007年に「ザ・リミテッド」「エクスプレス」のアパレル業態を売却することを発表した際のウェクスナー氏のコメントが今でも忘れられません。

 「アパレルビジネスは我々にとって、もはやエキサイティングなビジネスではない」

 もしかしたらその言葉は、ご自身の本音だけでなく・・・ファッショントレンドをマーケットイン発想で素早くつくるより・・・むしろ安くつくってしまうH&Mやフォーエバー21らのファスト性に辟易としていたファッション好きな大人の女性の言葉を代弁していたのかも知れません。

 今回、全店閉鎖となったのは、創業者が10年前に見切りをつけた、もう同氏の信念の宿っていないファンド傘下の「ザ・リミテッド」。

 一方、創業者は現在、Lブランズとして、女性の内面の美をテーマにランジェリー、ホームウエア、スキンケア、ヘルス&ビューティ部門を核にアメリカで最も好業績のファッション企業の経営者として大成功を収めています。

 世界アパレル専門店売上ランキング2015 トップ10

 の5位に位置する、その「Lブランズ」については、少なくとも年に一回はアニュアルレポートに目を通させていただいていますが・・・

 同社が成功した理由は、ランジェリーやスキンケア事業を選んだからではなく、もともとその業界にいる同業プレイヤー(企業)とは違い・・・

 創業の「ザ・リミテッド」で培ったアパレルビジネスアプローチとサプライチェーンマネジメントを取り入れ、磨きをかけているからにほかなりません。

 毎年、期中生産比率を高め、究極の短納期生産を行い、商品的中率を上げることによって、在庫回転率を飛躍的に高めて・・・

 店舗の大型化を図りながらも売場面積(スクエアフィート)あたりの売上高をぐんぐん高め、既存店増収を続けながら、

 2016年1月期では、営業利益率18%という売上トップ企業の中でも指折りの高い営業利益率を上げています。

 これはランジェリーやスキンケアというカテゴリーがアパレルよりブルーオーシャンで儲かるビジネスだからではなく、

 レス・ウェクスナー氏が成熟市場の中でも伸び代のあるインナーウエアやスキンケアというカテゴリーにアパレルSPAならではの手法を持ち込んだからこそと思っています。

 創業業態「ザ・リミテッド」が全店閉鎖されても・・・

 同氏のビジネスセンスとファッション流通革新のグルとしての存在は健在です。

 世界がSPA化に向かった時にも大いに啓発され、大いに勉強させてもらったものでしたが・・・

 ファストファッションの拡大によって翻弄されている成熟マーケットにおいても、消費者のライフスタイルの変化に対して、我々が進むべき方向を示唆してくれているように思います。

 【おススメ本】

 ファッション流通業界において、Lブランズのレスリー・ウェクスナー氏とともに尊敬する経営者のおひとりであるインディテックスグループのアマンシオ・オルテガ氏の信念とは? 
  
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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January 11, 2017

ZARA(ザラ)のテクノロジー活用はあくまでも店舗への集客第一・店舗作業軽減が目的

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 1月8日のWWD JAPAN.COM に昨年11月23日に約半年ぶりに改装オープンしたZARA新宿東口店とZARAが世界的に導入を完了したテクノロジーに関する記事が掲載されていました。

  「ザラ」のココがすごい!新宿店に見る最新技術 × おもてなしのベストプラクティス

 この記事の内容はすでにWWD JAPAN12月5日号の紙面で読ませていただいたものでしたが・・・

 あらためてZARAの強みを噛みしめながら取り上げさせていただきます。

 詳細は上記リンク先の全文をお読みいただければわかりますが、

 記事で気になるところをピックアップすると

 RFID(商品へのICチップの取り付け)や関連ITの店舗導入によって

・全商品の位置の特定が容易になり、販売動向や在庫の把握が高速化され、従来の作業が軽減し・・・
 接客や店舗と本部のコミュニケーションに時間が費やせるようになったこと
 (同社のルーティンである店頭サイズ欠品対応作業や試着済み商品戻しはこれにより格段にスムーズになったことでしょう)

・顧客は試着室からサイズ変更依頼のタッチパネルでスタッフにサイズ違いを持って来てらうリクエストができるようになったこと 
 (RFIDによって、サイズを探すスタッフの効率も上がっていることでしょう)

・店舗間オンラインの在庫ステイタスが把握できるようになり、在庫効率が上がるとともに、顧客がいつでもどこでも(店舗でもECでも)購入でき、都合のよいところ(最寄店舗でも自宅でも)で商品を受け取れるようになったこと

 それにより、日本だけの数字ではないかも知れませんが、(宅配無料にも関わらず)EC注文商品の店舗受け取り比率が66%にまで高まって来たということです。
 
 また、

・スペインでは(レジ待ち時間削減のための)アプリによるモバイル決済サービス(登録クレジットカード決済)が始まっており、いずれは日本でも実現されるだろうこと

 あたりでしょうか。

 いずれにしても、店舗に来店する顧客が中心に置かれ、

 それを手助けするスタッフの作業が軽減されているところに従来からの信念が貫かれていて

 あらためて共感というか敬服します。

 ZARAのビジネスモデルと収益性のキモは 

・週二回新商品を必要な分だけ店頭に並べること

・その商品に対する顧客の反応をよりどころに本部は毎週店舗から情報を吸い上げ、追加生産や新商品の開発に活用していること

・商品開発のヒントを得た本部は商品を3-4週でつくり、世界の顧客(店頭)にフィードバックすること

・結果、シーズンが進むほど顧客が欲しがる商品で店頭は満たされ、値下げや売れ残りが極めて少なく抑えられること

 にあります。 (詳しくは拙著「ユニクロ対ZARA」でわかりやすく解説しています。店舗オペレーションは「人気店はバーゲンセールに頼らない」をあわせてお読みください。)

 今回の同社のテクノロジー改革も 

〇ECを展開しても・・・それはあくまでもブランディング(アクセスの良さ、利便性含む)と店舗へお客様を誘導・集客することが第一目的であること

〇それにより、より多くの来店されたお客様が新商品に対してたくさんの反応を残していってくれること

 そして、

〇RFIDによって店舗作業が軽減されることによって、

 店舗スタッフがスムーズそして頻繁に、量的にも質的にもより充実した情報(顧客の反応)をスペイン本部にフィードバックできるように行われており、

 上記の同社の強みに磨きをかける上で大いに貢献しているというわけです。


 私も12月のセールが始まる前に改装されたZARA新宿東口店を覗きに行って来ました。

 3層 2300坪 約700坪は改装前に比べて1.5倍と圧巻。

 売場面積・売上ともに日本一、そして、同店の売上高は世界でもTOP10の常連だとのことです。

 改装前よりも壁面フェイスアウト(服が正面を向いている)が多くなり、什器あたりの品番数が絞られ、

 一方でSKUあたりの店頭在庫数が増えていますので、

 以前のスリーブアウト(袖が外を向いている)陳列中心の打ち出しよりも

 スタイリングがわかりやすく、売り逃しが少ない店頭在庫展開になっていますので、売上好調も頷けます。

 現在はセール中の売場展開なので、全く違う商品陳列方法ですが、

 ご興味ある方は3週後くらいに新しくなった旗艦店を是非覗きに行ってみてください。いろいろな気づきがありますよ。

 WWDの記事の最後に、ZARA他3ブランドに続く今後のインディテックスグル―プの別ブランドの日本展開の可能性についての質問に対して、広報本部長のヘスス・エチェバリアさん(執筆の際はお世話になりました)は

 出店要請(空き物件)があるとかないとかではなく、ブランドとしてベストなタイミングで出たいというコメントで締めくくられていましたが、マッシモデュッティには是非、早く来て欲しいですね。

 Mossimo Dutti ウェブサイト

 関連エントリー-アダストリアのICタグの物流実証実験とRFID活用の課題

 【おススメ本】

 オムニチャネルリテイリングも一枚上手のZARA。そこに通ずるファッションビジネスの信念を書籍を通じて感じとっていただければと思います。 
  
 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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January 06, 2017

ユニクロのネット通販注文商品がセブンに続きファミマ・ローソンでも受け取り可能に~進むラストワンマイル対応

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 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 1月6日の日経新聞によると、ユニクロの通販注文商品が今春からファミマ・ローソンでも受け取り可能になり、すでに受け取り可能にしているセブンイレブンに加え、コンビニ受け取り拠点は3社合計で全国4万3000店規模になるとのこと。

 同紙によれば、セブン・ファミマ・ローソンの3社で通販商品が受け取ることができる取り組みはユニクロが初めてとのことです。

 ユニクロがセブン&アイHDの鈴木前会長時代にセブン・イレブンと取り組んだニュースも話題になりましたが、今回はファストリの元社長、副社長を務めたOB(玉塚氏、澤田氏)がトップにいる2つのライバルコンビニとの同時提携とは・・・これまた話題性がありますね。

 この提携によって365日、24時間、顧客が都合のよい時間にいつでも受け取ることができるカバー率、利便性は日本一になることになるでしょう。

 同社のオムニチャネルリテイリングへの取り組みは着々と進んで来ますね。

 一方で、私が昨今のECのラストワンマイル戦略(EC注文顧客にどのようにして商品を届けるか)で関心を持っているのは、自社直営店での商品受け取りの拡大です。

 以前、海外のオムニチャネルリテイリングの成功事例としてイギリスのNEXTをご紹介しましたが、

 成熟市場イギリスで高収益を上げるNEXT(ネクスト)のオムニチャネルリテイリング戦略 
 
 NEXTのEC注文商品の直営店舗受け取り比率は55%
 また、ZARAの同数値も                66%

という報道があります。

 海外では日本ほどコンビニが発達していなかったり、ヤマト運輸のようなフットワークのよい宅配業者さんがいなかったりするからという理由もあるかも知れませんが・・・

 海外のチェーンは

 顧客が都合のよい時に受け取りに行ける
 店舗に来店いただければ、顧客・店舗双方にメリットがある

 ことから上記両社ではEC注文商品の直営店での受け取りに力を入れながら既存店の売上自体もキープしているのが実態です。

 ちなみに、ユニクロは各国の事情に合わせてイギリスや中国ではEC注文商品の直営店での店頭受け取りに取り組んでいるようですが、日本でも始めるのは時間の問題でしょう。

 なぜなら、ユニクロほど日本国内でアクセスのよい場所に店舗数を持っていて店頭での商品受け取りの顧客メリットが果たせるチェーン店はないと思うからです。 そして同社の最大の強みは正しく「店頭」にあるため、そこに経営資源を集中しない手はないでしょう。

 ECで注文した商品をコンビニで受け取る方が便利という人もいるでしょう。

 一方で、既存の物流に載せることによって、運賃無料のインセンティブや(確認のための)試着や買い足しなどのメリットがあるようであれば、直営店でのEC商品受け取りは実に理にかなっていると思います。

 これはコンビニvs直営店のどちらがよいかの図式ではなく、顧客の都合によって選択肢が増えることが大切なことだと思うのです。

 そして、直営店での受け取りの方が、無駄な宅配便のトラックを走らせずに済みますし、

 業務マニュアルをしっかり整備し、お客様へのお渡しにストレスがないようなルーティンを実現することによって、店舗へのEC購入顧客の来店は直営店にも大きなメリットになることでしょう。

 まだユニクロさんも物流サイドでは試行錯誤が続いているようですが・・・粗削りながら、オムニチャネルリテイリングの完成形に着実に近づいてゆくことを楽しみにしています。

 【おススメ本】

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