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September 17, 2018

【アメリカ西海岸リサーチその2】イギリスとアメリカを見て感じたデジタルコマース化、オムニチャネル化の違い

 今回のアメリカ西海岸視察は昨夏のロンドンに続いて、日本のデジタルコマース化やオムニチャネル化の近未来のヒントを得ることが主な目的だったわけですが、

 両国の物流や宅配事情によってチェーンストア各社が何に投資しているかが違うのだなと感じたものでした。

 これは、英米ともに、宅配業者がそのスピードや時間指定という点であてにならないのが共通点のようで

 オンラインで注文して、顧客に宅配するのに
 倉庫から顧客宅の距離にもよりますが、

 伝統的な宅配業者を使っていたら、

 英国で3-4日営業日くらい

 米国で5日営業日くらい

 が標準ではないかと思いました。

 いずれも、あくまでも今回の渡航中にオンラインで注文して

 ホテルへ宅配にしたらどれくらいかかるかを調べて感じた日数です。

 ちなみにアメリカが店舗に在庫を持たず、試着だけをさせてオンラインで注文をする

 ショールーム店舗として注目されている
 
 紳士服BONOBOSボノボス 

 の店舗で注文したシャツは

 同社倉庫からポートランドの同社店舗に送るだけでも、中5日と言いながら

 宅配業者であるUPSは中継地で2回遅延し、結局、土日含めて到着に2週間かかり

 渡航中に受け取れなかった筆者は国際便で送ってもらうことになり・・・

 結局、購入日から5週間後にようやく商品を手にしたという始末。

 米国事情に詳しい方にお話しを伺うとそれが米国の宅配の実態かもとのことでした(笑)

 BONOBOSのこの一件は、「たまたま」かも知れませんが・・・

 宅配業者がそんな状況なので、チェーンストア各社は

 アマゾンのプライムが自ら物流を構築することで塗り替えている

 宅配スピードの新常識 に対抗するため、

 国土の狭い英国では、店舗網を活用し、自社物流に乗せて、Clickcollect_selfridge

 店舗で受け取ってもらうために

 倉庫→店舗 の物流に投資をすることによって・・・

 夜の12時までの注文を翌日の午後以降であれば指定店舗で受け取ることができるという

 「クリック&コレクト」 を実現したようです。

 関連エントリー ロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える


 一方、国土の広いアメリカでは  Nike_scan_to_try


 前回のエントリーの通り

 関連エントリーーストア側からのデジタル化が進むアメリカ amazon books、 amazon go 、そしてNikeが実現しようとしていること

 顧客の近くにある店舗毎の商品在庫を活かすことを考えたのでしょう。

 オンライン上で顧客に店舗在庫状況を可視化することによって

 近隣店舗の在庫を顧客自らが予約またはオンライン購入できるようにし、

 受け渡し準備が整った連絡を受けた顧客は

 店舗に取りに行くという形で注文商品を早く受け取れるように

 リアルタイム店舗在庫販売管理システムに投資をした

 と言えそうです。

 いずれも共通するのは、最新テクノロジーの採用や企業の経営効率化のための都合ではなく、

 顧客が欲しい商品在庫を見つけ、

 いち早く、そして、できるだけストレス少なく手に入れるための手助けへの投資

 と言えます。

 日本は英米とは物流事情は違いますが、

 お客様のために双方から「いいとこ取り」をすることができると思いました。

 むしろ、日本は英米よりは格段に宅配便事情がよいわけですからね。

 しかし、日本のファッションチェーンは

 店舗に売上が計上されないオンライン注文を良しとしないファッションビルの都合にあわせていたり

 安くはない販売手数料がかかるECモールに依存し切っている間は

 そういった投資の実現にはまだまだほど遠いと思わざるを得ません。

 そして、

 今後のEコマースの拡大を考えると

 アドバンテージのあったはずの、宅配便の取扱い量にも限界があることも昨今の報道で明らかになりました。

 どんなに「オムニチャネル」と叫んでも、

 英米に比べたら、日本はまだまだEC強化の「マルチチャネル化」の域を超えていません。

 しかし、

 顧客の買い方が刻々と変わる時代に

 日本のファッション流通企業が理想のデジタルコマース化を目指すには

 ・在庫が自由に動かせる自社EC化の推進、

 ・店舗在庫のリアルタイム可視化、

 ・取り寄せ、取り置きの柔軟性

 などなど

 求められていることはたくさんあるし、待ったなしでもあります。 

 かつて、それほど一般的ではなかった、店舗間の「お取り寄せ」がどこでも常識になったように

 いずれは上記の要望の全てが常識になることは間違いないでしょう。

 「顧客が欲しい商品にたどり着き、手に入れるための手助けをすることが小売業の使命」

 であることを肝に銘じて どうしたら実現できるか、何から始めるか?を考えて

 取り組みたいですね。

 きめ細かいクオリティサービスの得意な日本、

 しがらみさえ乗り越えれば・・・

 世界で一番精度の高いデジタルコマース化が実現できる可能性を秘めていると信じています。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから
 
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September 03, 2018

【アメリカ西海岸リサーチその1】 ストア側からのデジタル化が進むアメリカ amazon books、 amazon go 、そしてNikeが実現しようとしていること

 8月末にアメリカ西海岸にリサーチに出掛けました。

 行き先はロサンゼルス、シアトル、ポートランド・・・

 目的はAmazonがオンラインから流通革新を進め、

 小売業界の中でシェアを拡大しているアメリカの店頭で何が起こっているのか、

 いずれは日本にやってくるであろう潮流を感じとるためでした。

 レポートの第1回目はオンラインの覇者Amazonが

 リアル店舗を持つことによってオンラインを活用したリアル店舗の改革を行った 

 amazon books と amazon go

 そしてスポーツシューズの

 Nike

 の店舗でのデジタル活用からお話をさせていただきますね。

 まずamazon booksから 
Amazon_books


 これは世界最大級のオンライン書店から世界最大級のオンラインショッピングモールになった
アマゾンドットコムが

 オンライン書店でお買い物をする消費者がリアル店舗でどんな購買行動をするかを

 Amazonのショッピングアプリを使って補完することを考えた店舗であると感じました。

 店内は普通の書店同様カテゴリー別にはなっていますが、

 Amazonのようにカテゴリー別のベストセラーがわかるのはもちろん、簡単なコメントPOPもついています。

 この本が好きならこれも好きかも?

 というAmazon得意の「レコメンド」コーナーもあります。

 Amazonショッピングアプリをスマホにダウンロードして

 店内Wifiにつなげば・・・
 
 来店客がその店にいることが認識され、店内在庫が検索できるようになります。

 もちろん店内に在庫が無いものもアマゾンドットコムから購入可能。


 店内にある本を

 1.バーコード、

 2.棚についているQRコード、
 
 3.商品そのもの、

 いずれかをアプリのスキャナーでスキャンすれば・・・

 アマゾンドットコムのサイトで商品情報、レビューが読めます。

 バーコードではなく商品そのものをスマホのカメラで撮っただけでも検索出来た時は興奮しましたね。

 これ実は、本だけでなく

 Amazonが買収したスーパーマーケット Whole Foods Marketに行った時

 店内のワインをこのスキャナーでスキャンしたのですが、

 そうすると、そのワインを販売しているAmazon.comのページに飛べたので・・・

 おぉ~おそらくアマゾンは地上で売られている商品を

 すべてアマゾンドットコムで購入できるようにする魂胆なんだろうな~と驚きました。

 購入はオンラインでもレジでも可能 

 但し レジで購入する場合もprime会員なら会員割引、

 決済もアプリ内にクレジットカードとヒモつけたQRコードが登録されていれば

 キャッシュレス クレジットカードレスでストレスフリー決済が完了します。

 リアル店舗でオンラインアプリを使うことで在庫検索や決済ができる、

 オンラインとリアル書店の「いいとこ取り」をすることによって本のお買いものを改善した事例と言えそうです。

 次にamazon goです。 Amazon_go

 こちらは コンビニのストレスである会計待ちと支払いをオンライン(アプリ)で行うことにより、

 店舗でのレジ待ち、お会計無しを実現したお店です。

 決して日本のメディアが報じているような「無人」ではなく、

 レジ(キャッシャー)がないのです。

 商品補充をする人はいますし、質問に答える人もいます。

 また、奥で惣菜を作っている調理師もいます。

 レジを無くすために、誰が入店したのか?その人が何を棚から取って持ち帰ったのかをウォッチするカメラとセンサーがあるわけです。

 お買い物に行ったら・・・

 レジに並んで、財布を出して、レシートを受け取って帰ることが当たり前だと思っている私たち。

 お買い物をしたのに・・・この工程無しで帰ることが、いかにストレスフリーなのか?

 実は、これは 6月にZARAのオンラインストアの六本木POPアップストアでも、お買い物の後に感じた快感と
全く同じ快感でした。

 さて、ここまで、本屋やコンビニは関係ない、と思って読んでいらっしゃったファッション流通業界の方々がいらっしゃったら、次のナイキの話はどう感じるでしょうか?

 3つめは スポーツシューズのナイキの店舗のデジタル化のお話です。 Nike_portland
 
 サンタモニカ、メルローズ、ポートランドでアプリを使って体験したお買い物は

 顧客のスマホアプリで

 私たちが靴を購入するプロセスで感じるストレスのいくつかを解決したデジタルストアでした。

 店内で気に入ったシューズを見つけた顧客は

 店舗スタッフに

 「このシューズの10.5 inchありますか」

 と聞くことはしなくても

 ダウンロードしたスマホアプリを店内Wifiに接続し

 アプリのスキャナーで商品のバーコードをスキャンすると、

 オンライン上の商品情報とともに、そのお店で在庫があるサイズが表示されます。

 サイズを指定してReserveボタンを押せば試し履き予約が完了。

 しばらくすると商品を持ったスタッフが現れます。

 ソファーで試着後 フロアにいるスタッフに購入意思表示をすれば 

 クレジットカード決済ならレジに並ばず その場でスタッフがモバイル端末で決済完了、

 近くの可動式カウンターからショップバッグを取り出して商品を袋に入れて手渡してくれます。
 
 レシートはいるか?と聞かれYesと答えると顧客のアプリのバーコードをスキャンされ

 「今メールで送ったらから」と言われてお買い物終了というわけです。

 もちろん レシート要らないという選択肢もあり、

 紙で欲しいという要望にもレジではなく先の可動式カウンターで対応してくれます。

 またこのReserve ボタンは店外からも使えます。 顧客がオンラインで見つけた興味のある商品を
 
 近隣店舗 の在庫状況確認の上、取り置きリクエストができるようになっています。

 つまり 

 欲しい商品の自分のサイズをスタッフに伝えて在庫を探してもらうというプロセスと

 お会計のためにレジに並ぶというプロセス

 このシューズ購入における大きな2つのストレスがアプリによって簡素化されているというわけです。

 この3つのストアを体験して、思ったことは・・・

 それぞれ違った業種ですが、共通しているのは

 それぞれの専門店およびそこでのショッピングに固有の顧客のストレスを特定し、

 顧客のスマホ内にあるアプリ経由のデジタルソリューションで
 
 解消していることです。

 これがアメリカのオムニチャネルリテイリングであり、
 デジタルコマースです。

 まだ完成形ではないと思いますが、今後、ますます進化して行くでしょう。

 日本の多くのファッションストアは「オムニチャネル」と叫んでも 

 まだまだ EC強化の「マルチチャネル化」の域を超えません。

 ファッションストアに携わる皆さんが

 もし彼らと同じ発想に立って考えるとしたら…

 自分のお店のお客様の

 どんなショッピングのストレスをまずは解消しようと考えるでしょうか?

 そんなブレストを始めることこそが

 顧客中心のオムニチャネル化 デジタルコマース化の第一歩ではないかと思い知らされたものでした。
 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから
 
 【おススメ本】

 ユニクロとZARAはそれぞれの領域でのファッション専門店のベストプラクティス(お手本)
 2014年11月に発売になったベストセラーのデータアップデート文庫版です。

 「ユニクロ対ZARA」 文庫本


 

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