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July 13, 2020

一律値下げでは過剰在庫問題は解決しない

2か月以上の外出自粛と商業施設の休業によって過剰在庫を抱えてしまった今年は
在庫をいかに換金することが第一だと思いますが、

この間、結構派手なほぼ全品一律○○%オフやGap50off (2点買ったら○○%OFFも同様)
どの商品にも使えるクーポン割引を見かけたものでした。

顧客も店頭も説明が不要な
わかりやすい値下げ方法が売上を押し上げるのは間違いないのですが・・・

実際のところは、

人気商品ばかりがよく売れてしまって、品薄になり、
本当に消化を促進したい、在庫をたくさん抱える不人気商品があまり減らない、

というのがよくある話です。

そのため、期間中は「よく売れた」と思っても、
期間終了後は店頭やサイトは売れ筋が欠品し
不人気商品の構成が高まり・・・当然、売上不振に陥る。

それを「セール後の反動による買い控え」と指摘する方もいらっしゃいますが、
実際は、せっかく買いに来ても買うものなし、買えるものなし、というのが実態だと思っています。

ですから、手間がかかっても

単品の売れ行きにあわせて、「販売期限」までの販売予測と着地在庫予測を見ながら
個々に値下げ価格やオフ率を決めて動きを確かめる

ことが原則であるのは言うまでもありません。

関連して、緊急事態宣言解除後の店舗再開後の売れ行きに明暗を分けた2つの事例を耳にしました。

あるブランドAは、

4月の時点で、店舗が再開する6月の初旬に店頭に必要な商品とそうでない商品を
仕入担当、在庫運用担当、販売担当三者が議論して分類し、

休業中のEC販売では、
前者は価格設定を慎重に見極め、後者はかなり思い切った値下げを行った。

更に、このブランドは、各担当が打ち合わせをする機会が出来たので、

あたかも、新店(改装)オープン時にそうするように、
再開時に各店の売場の一等地に何を並べて、何を売るべきか
各店の店舗レイアウトを白紙から見直したそうです。

もうひとつのブランドBは、

とにかくトップからの号令で売上・換金ありきで、
休業中のECでは、単品の激しい%OFF値下げはもちろん、クーポン発行、他、考えられる売上アップ策を尽くし
在庫消化を図り、ECは前年比2倍以上の伸び。

店舗再開後は、その時点の手持ちの在庫を店舗規模に応じて各店に配分して
、キャリー在庫も動員しながら店頭を繕ったそうです。

前者Aは店頭もECも前年比100%超えが続き、
後者BはECは100%越えが続くものの、店頭は厳しい状況が続いているとのことでした。

後者のブランドBも総額の在庫消化はある程度果たせたかも知れませんが、
上澄みを取られて、残った在庫の中身はボロボロ、利益を生み出すには程遠いことは想像に難くありません。

さて、夏はまだ長く続きますが・・・
そろそろ9月以降の秋の立ち上がりも考えなければなりませんね。

今年の秋冬は先行き不透明感から、仕入を抑えているところが多いので、
新しい商品を多めに突っ込んでおけば、その中から店舗が何とかしてくれる、
という考え方は今回は通用しそうもありません。

まずは売場やサイトの見え方を関係者としっかり想定して、
品揃えの量、質ともに精度を高めて計画せねばなりませんね。

後者のブランドBのように、過去を引きずるのではなく、

前者のブランドAのように、
新店オープン、あるいはリニューアルオープンのつもりで
まずは、関係者で売場のビジョンを共有し、

必要なものと不要なものを切り分けて、この間リセットして
その時を迎えることができれば、

限られた在庫かも知れませんが、
気持ちの入った売場でお客様をお迎えできるのではないでしょうか?

製・配・販 が 知恵を絞り 
利益を残せるかどうかが問われる再スタートのシーズンになりそうです。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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【参考書籍】

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