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November 09, 2020

ファーストリテイリング20年8月期決算に見る、国内ユニクロ事業の凄さ

Uq-tokyo-2WWDジャパンに月イチで連載させて頂いている、ファッション流通系上場企業の決算書から学びを得る「ファッション業界のミカタ」。 
本日発売の11月9日号には、先日発表された、ファーストリテイリングの20年8月期決算資料に目を通して感じたことをまとめています。

今回の決算は、国内ユニクロ事業の第4四半期(4Q=20年6月~8月)の凄さに尽きますね。

コロナショックによって、売上高前年比64%、同営業利益前年比25%と  落ち込んだ、国内ユニクロ事業の第3四半期(3Q=20年3月~5月)で、危機感を覚えた同社は、

続く第4Q(6月~8月)では、「執念」と言ってもよい、売上高前年比121%を計上し、営業利益については、前年比447%という驚異的な数字を叩き出しました。

この数字が意味するのは、

・分母の大きい3Q(春、初夏プロパーの3-5月)の国内ユニクロ事業の売上高のマイナスはカバーできなかったものの、同3Qで発生した営業利益の前年比マイナス分の約9割を4Qで取り返した。

・国内ユニクロ事業単体はコロナ禍においても、通期で売上前年比92.4%と減収も、営業利益は前比102.1%と増益。

・4Q内だけで見ると、海外ユニクロ事業とGU事業の4Qの営業利益前年比のマイナス分を国内ユニクロ事業の営業利益前年比増益分でカバーしている状態。

このように、同事業の3Qのマイナスを挽回したり、4Qに他事業が落とした営業利益をカバーするくらい、国内ユニクロ事業が頑張った、という話だけでも凄いのですが・・もうひとつ、同社にとっては、意味がある数字を計上しています。

それは、夏シーズンの収益性の改善です。

このブログでも何回か指摘させていただきましたが、日本の多くのアパレルと同様に、ユニクロも、単価が高めの秋冬で売上・利益を稼いで、春はまだしも、夏に儲からない(低利益率)という構造があります。

国内ユニクロ事業の例年の4Qの営業利益率は、2-3%と一桁台前半。19年8月期は3.3%、18年8月期に至ってはマイナス(赤字)と儲かりませんでした。

ちなみにZARAのインディテックスやH&Mは秋冬に比べ、春夏シーズンの営業利益率は安定しています。

これはある意味、日本のアパレル流通の体質的な問題で、とは言え、地球温暖化が進む日本、グローバル企業として、これから東南アジアに拡大するにあたっても、大きな課題のひとつになる、と見ていました。

ところが、20年8月期、国内ユニクロ事業の第4四半期(6-8月)は実に見事な12.3%と立派な営業利益率を上げています。

これは、売上の前年比20%増を、それだけ売るだけの在庫があって、それらを叩き売ったから成し遂げることができた数字ではなく・・・売上だけでなく、利益もしっかり確保した、ということを意味しています。

また、値下げを控えたため、在庫を残してるわけではなく、4Qに全社で行った仕入調整も含め、
現在では、FR全社で在庫水準は前年並みに落ち着ているようです。
(3Q時点では前年比20%増まで膨らんだ在庫が、4Q末には前年並みに着地)

営業利益改善の要因は、商社を介在させずに、直貿による値入(当初粗利)のアップと値下げコントロールによって粗利改善し、また、RFID、セルフレジなどIT投資で人件費が減るなど、販管費を削減した結果とのことです。

この20年8月期の国内ユニクロ事業4Qを切り出してみると、
いよいよ、「夏に弱かったユニクロ」からの脱却か? と期待ができますね。

そうすると、今後の、更なる拡大の課題のひとつをクリアする糸口がつかめたわけで・・・今後も同様の粗利&経費コントロールができれば、他のシーズンはもっと儲かる可能性も出てくるわけです。

その後、9月以降も 国内ユニクロ事業は

9月既存店売上前年比(EC含む) 110% 
10月既存店前年比(同上)   116.2%

と2か月計で既存店前年比113.8%と絶好調

今年の秋冬の気温の低さは、間違いなくユニクロにとっては、アドバンテージ。
今期も国内ユニクロ事業を中心に、いい決算になる可能性が高くなりました。

そうすると、次なる国内ユニクロ事業の課題は、

EC拡大の壁となる、ECは単価が低いと儲けづらいという出荷単価問題。

こちらについても、同社はいろいろ手を打っていらっしゃるようなので、
また、機会があれば意見を述べさせて頂きたいと思います。

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いつもお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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