September 19, 2023

「ザラ」「H&M」「ユニクロ」に続くのは?世界アパレル専門店売上高ランキング解説セミナーby WWDJAPAN

Wwd929コロナ禍を経て
世界のファッション流通マーケットの強豪たちは
いったいどんな風に変わり、どこへ向かっているのか?

毎年このブログでもリリースしている
世界アパレル専門店企業売上高ランキングをベースに

各社の動向やこれから10年の勝ち残りのカギを探ります。

2022年版ランキング公開から半年が経過してますので、その後の動向も付け加えてご説明させて頂きます。

グローバル時代、世界の動向は少なからずローカルマーケットに影響を及ぼします。

世界の流れを読み、国内ビジネスにどう取り入れるか、そんな視点を得て頂ければ幸いです。

9月29日(金) 13:30~15:00 オンライン

WWDJAPAN主催 有料セミナー

「ザラ」「H&M」「ユニクロ」に続くのは?
世界アパレル専門店売上高ランキング解説セミナー

講師:「ユニクロ対ZARA」著者 ディマンドワークス 齊藤孝浩

お申込みはこちらから 
https://wwdjapan-businessseminar20230929.peatix.com/

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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September 18, 2023

在庫をたくさん作らなくても、小ロットでブランドを立ちあげる方法もあるという話

Imag22789月14日の繊研新聞にTシャツなどアパレル製品へのシルクスクリーンプリント加工を手掛ける企業、シルクマスター社がスケートボードへのプリント技術を開発し、発売を始めたという記事が掲載されていました。

この記事を読んで思い出すのが、90年代、アメリカのトレードショーでよく出会った、スタートアップブランドたちです。

当時、西海岸では、独自のグラフィック(CG)を活かして、ブランドを立ち上げ、Tシャツ、キャップ、ショーツ、スケートボードなどにプリントや刺繍を施して、トレードショー向けにサンプルをつくって出展するチャレンジャーたちがたくさんいました。

主に、スケーターブランドの連中ですが、実際にショーで受注をとってから、いわゆるブランクボディと呼ばれる、プリント用の無地のTシャツ、キャップ、ショーツ、スケートボードの板を、在庫を持つサプライヤーから、ケース単位で仕入れ、加工をしてからデリバリーするという手法を取っていました。

そんなスタートアップブランドたちは、小売チェーンのバイヤー向けのBtoB卸ビジネスが主だったのですが、
Tシャツとキャップとショーツとスケボーとステッカーが揃えばれっきとしたストリートブランドの始まりだったんですよね。

当時、世界からアメリカ西海岸に新興ブランドを「買い付け」に来るバイヤーの手伝いをするために、各地のトレードショー周りをしていた私は、

「数量をたくさん発注するなら、ブランクボディを買う金がないから、代金を先払いしてくれないか?」

と申し出てくるスタートアップもあって、アメリカって夢を持って、起業もしやすい環境にあるんだな、って思った記憶が蘇ります(笑) 

もちろん、その後、成功したのは一握りの起業家だけでしたが・・・。

今も昔も、アパレルブランドを起業しようとする方々がいらっしゃると思いますが、

もちろん、どんなブランドにしたいか、にもよりますが、

今どきは、日本でも、わざわざ生地を買って、一からつくる在庫リスクを負う本格的なモノづくりをしなくても、

加工用の製品在庫を持つ専門メーカーさんがいくつも存在しますから、

無地(ブランク)ボディを仕入れて、グラフィック勝負で、プリントをする、刺繍をする、リメイクする。

そのアイテムのバリエーションも、Tシャツだけでなく、いろんなアイテムがケース単位で仕入れられる時代になったので、小資本で、Eコマース発信のBtoCで立ち上げるところから始める起業家も出てきやすい環境にあるんじゃないか、と思います。

手軽になり、参入障壁が下がる分、競争も激しく、創意工夫の勝負であることは間違いありませんが、小資本でもスタートアップできる環境が整い、選択肢が広がり、業界にチャレンジャーが増えて行くことは、楽しみでもあります。

今や有名になったブランドも、最初からお金があったわけじゃなく、

そんな資金の苦労をしながらスタートアップしたんですよね。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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September 09, 2023

【このセミナーは締切ました】23年9月21日(木)開催 オンラインセミナー 「3つの視点を共有するだけで、過剰在庫が粗利とキャッシュに換わる!ファッションストアの在庫コントロールの組織づくりの秘訣」

2022_20230909124201【このセミナーは締切りました】9月21日(木)開催の経営者・経営幹部向けオンラインセミナー

「3つの視点を共有するだけで、過剰在庫が粗利とキャッシュに換わる!ファッションストアの在庫コントロールの組織づくりの秘訣」

ワンブランド「年商30億円の壁」を突破し、次のステージに向かう在庫コントロールとは?
業界で在庫を切り口とした実践指導実績が豊富な講師が、多くのクライアント企業と実践して成果を上げた
当シーズンからでも実践できる再現性の高いメソッドを3つにまとめて公開します。

業界大手のベストプラクティスも中小企業でも実践できる形に咀嚼してご紹介。

参加者の方には

◆業務の参考になるビジュアルなテキスト(60ページ超)!

◆自社の在庫運用の問題点と改革の優先順位がセルフチェックできるチェックシート(全50問)!!

◆復習用セミナー動画!!!

などの特典がある、お得なセミナーです。

過剰在庫が大きな経営課題となる年商30億円の壁。

これからそのステージを迎える経営者さん、そのステージに突入してしまって規模は大きくなったけど、利益率の低下や在庫回転率の悪化にお困りの経営者さん、経営幹部さんにタイムリーな話題満載です。

【日時】2023年9月21日(木)15:00~18:00 @オンライン 日本全国から参加頂けます。
【タイトル】3つの視点を共有するだけで過剰在庫が粗利とキャッシュに換わる!利益倍増!!「ファッションストアの在庫コントロールの組織づくりの秘訣」
【講師】 齊藤孝浩(在庫最適化コンサルタント、「ユニクロ対ZARA」、「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」著者)
【参加費】 お一人様 25,000円(税込)
【定員】 8名様の少人数制(9月9日時点;残席あり 定員になり次第締め切りとなります。)

※このセミナーは締切ました。次回開催のお知らせをご希望の方はこちらから

https://dwks.jp/seminar2022/

 

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August 14, 2023

急成長ルルレモン躍進の秘密

Imag2243毎年公開している

世界アパレル専門店売上ランキングトップ10

コロナ禍を経て、最も注目すべきランクイン企業は
ルルレモンです。

ルルレモンは1998年、カナダで創業

アメリカ合衆国を中心に
過去10年で年平均約20%の成長を続ける

ヨガやランニングなどアスレジャーを中心に
健康な体づくりのためのスポーツアパレルをメインに販売するチェーン

ナイキやアディダスが靴を中心にウエアも展開するのに対して、

ルルレモンは、もっぱらアパレル中心

そして、

アスリートというより、アスレジャーに関心のある一般大衆向け

また、

直営店とオンラインでエンドユーザーに直接販売するのが著名グローバルスポーツブランドとのアプローチの違いです。

そんなルルレモンは

2022年度世界アパレル専門店売上高ランキングで、第6位

北米ではGAP社に次ぐ2位ですが、営業利益はGAP社を遥かに上回って、1位

lululemon ルルレモンという単一屋号では

すでにGAP社のオールドネイビーやヴィクトリアズシークレットを抜いて1位の売上規模です。

商品は4wayストレッチや速乾など機能素材を使った、アスレチックにも普段着にも使える着心地が良く、動きやすいウエア

単に、服だけを販売するのではなく、

店舗で開催されるヨガ教室やランニング教室で

コミュニティーづくりを通じてコアなファンを増やして行くマーケティングが秀逸です。

そんな店舗体験提供に裏打ちされているため

けっして安くはない商品が、オンラインでも良く売れて、

23年1月期決算では、いよいよ、オンライン売上が店舗売上を上回りました。

オンラインの本社費差し引き後営業利益率は25~30%と

同10%前後の直営店より高いため、

全社営業利益率は20%近い高い収益率を上げています。

 

そんな 店舗体験型による顧客のつながり

オンライン事業の収益性

の二本柱に、とどまらず、

 

未来に向けて面白い取り組みがいくつかあります。

ひとつは

自社商品の買い取り、再販プログラム
lululemon Like New

です。

ユーザーが不要になったルルレモン商品を

ルルレモンが引き取って、顧客には新品購入の際に割引になるクレジット(ポイント)を付与します。

ヘビーユーザーたちは店舗で開催されるイベントに参加するだけでなく、
購買頻度も高いユーザーでしょう。

店舗で開催される教室には新しい商品を着て行きたいでしょうし、

毎シーズンアップデートされる商品を知れば、新しい商品が欲しくなるわけで、

そこでまだ十分着ることができる不要になった旧商品
(といってもそんなに古くないからLike New)

を、手放す受け皿をルルレモンが自らつくり、

一方、これからルルレモンを着てヨガやランニングを始めようとする
エントリー顧客さんには

半額以下の手頃なお試し品として提供できるというわけです。

2つめは
オンラインコンテンツの提供です。

ヨガやランニングをする人は当然
自宅またはその近辺でも日頃から自らのエクササイズを行うわけで

その手助けに沢山のエクササイズの秘訣を提供する
オンライン動画を配信します。(無料と有料コンテンツあり)

そして、3つめは

有料会員制の普及です。

同社は22年に会員制プログラムを始めました。

無料コースと有料コースがあり、7カ月で無料会員はすでに9百万人に達したそうです。

月間または年間有料会員になると

商品の割引が得られたり配信コンテンツが無料になったり

ルルレモンが提携する提携エクササイズ教室が割引で
受講できるというわけです。

・オンラインと店舗を行き来するオムニチャネル

・店舗での体験提供

・リセールによる循環プログラム

・コンテンツ配信、有料会員制・・・

顧客とつながり続ける取り組みを地に足をつけて次々に取り組んでいるのがわかります。

同社はこれらの取り組みにより

2022年1月期の売上約8000億円を5年間で倍の1兆6000億円にする

POWER OF 3 X 2というプロジェクトを推進中。

その原動力は

・オンライン売上を倍増させ
・後発のメンズの売上を2倍に増やし
・北米外の海外売上を4倍にする

ことによって実現するとのことです。

海外展開について、すでに、100店舗を超えた中国に対して

日本にはまだ、六本木、原宿、表参道、銀座、新宿(丸井)、梅田、そして御殿場のアウトレットを含む
7店舗しかありません。

店舗が少ないと認知度が低く、日本市場には今のところインパクトも少ないかも知れませんが

ルルレモンは今時の、ファッション関連のグローバルマーケティングの最前線にいる学ぶべきブランドのひとつと感じます。

ルルレモンは既存スポーツブランドとは違うアパレルチェーンとも違う

ゲームチェンジャーの1社です。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】「図解 アパレルゲームチェンジャー」(日経BP)
 第5章では、年会費に支えられた小売業 コストコのビジネスモデルを取り上げました。

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July 10, 2023

中国産地で思い出される日銭商売である小売業の原点

20230523_1058195月にSHEIN(シーイン)の生産背景である中国広州のアパレル産地視察で考えさせられたことが
いまだに頭から離れないでおります。

シーズン単位で事前に見込み生産をすることが
あたりまえになってしまっているアパレル業界において

広州で盛んに行われている
5日間で100枚をつくって納める小ロット生産は

生産者は素材の用意さえがあれば、すぐに作ることができ

商品を納品されたEコマースの販売者はすぐに売り始めることができます。

従って、Eコマース事業者は
消費者からの現金回収も速くできるわけで

速く、回収できた現金を
サプライチェーンに回すことができれば

関係各社は資金繰りの心配も少なくなり

従業員にも、仕入先にも
早く支払うことができるようになるわけです。

SHEIN(シーイン)ら、IT業界から来た産直越境EC企業らは

最速で週ごとに納品商品の代金をサプライヤーに支払うことを知りました。

そんな誰もがわかる

サプライチェーンが潤う単純なロジックに対して

一方、近年、主流になっている大量生産はというと・・・

確かにロットを大きくすることで、原価は安くなるかも知れませんが・・・

素材の用意から

  ↓

製品をつくり始め

  ↓

完成品を売り始めて

  ↓

代金が回収できるまで

販売期間と比べて、
果てしない時間がかかるわけで

生産中はサプライチェーン各所に

原材料や仕掛在庫を含む
在庫=キャッシュを寝かせてしまうことになる

そんなことが 実際、生産現場各所で起こっているわけです。

そうすると、現金化に時間がかかるため

仕入先には支払い期日を先延ばししてみたり

資金が足りなくなる場合は銀行借り入れによって資金を繋いだりしているのが現実。

関係者みんなが頑張っても・・・

販売現場では過剰に抱えた在庫を値下げ販売する悪循環。

これって、いったい、何のために、
誰のために仕事をしてるんでしょうね。

以前、バングラデシュで生産する
商社の方に伺った話を思い出します。

バングラデシュの大手の工場主は売上高をたくさん得たいために

何十万枚、時には何百万枚の受注を要望すると言います。

ところが、そんな大ロットだと

素材の調達にも時間がかかり、納品するまで時間がかかるため

納品が完了するまで

従業員に給料が払えない
原料代金も払えない

という状況に陥りがちとのことでした。

コストは安くなるけど

サプライチェーン各所にキャッシュを寝かし

販売にあたっては値下げ在庫処分のリスクをはらむ大量生産

一方、

コストは多少高く、当初値入は少なくても

関係者がキャッシュで潤い値下げリスクも小さい、小ロット多頻度生産

はたして、一体どちらがいいのでしょうかね?

安く仕入れても
多くの売れ残り在庫を抱えた
現場をたくさん見て来ました。

一方、あぁ、もう少しつくればよかったね

と言いながら

次のコレクションを
前倒し販売していた時もありました。

双方を思い出せば

どちらが上手く行っていたかは明らかです。

これって
実際、冷静に原価計算をしてみれば
原価が安いことよりも
値下げが少ない方が儲かることがわかるはずなのに、

組織が大きくなればなるほど
仕入れ担当者のひとりの判断で出来ることではなく

会社のルールを変える必要があることなので
トップやリーダーの覚悟がいることだとしみじみ感じます。

かつて、アパレル専門店の経営者さんたちは
起業して間もないころ

1カ月分の在庫を仕入れて店頭に並べ、

売った代金で来月売る商品を仕入れに行く
そんなことを繰り返していたころがあったと思います。

そのころは、
在庫日数、30日!在庫回転率は10回転以上!

でまわっていたのではなかったでしょうか?

そんな経営者さんも、最近は見込み仕入や見込み生産が増え
在庫回転率が落ち、支払いをいかに先延ばしするかを考えている
なんて話もよく耳にします。

まさか中国の広州で、忘れかけていた

小売業の日銭稼ぎ商売の原点を思い出される
ことになるとは思いませんでした。

今一度、キャッシュフローを重視した小売ビジネスの原点を
思い直す時、と感じる今日この頃です。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】「図解 アパレルゲームチェンジャー」(日経BP)
 第2章では、産地から、店舗を持たずに、世界の消費者に直接売り込む

SHEIN(シーイン)のビジネスモデルの優位性について取り上げました。

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«SHEIN(シーイン)を支える生産背景、中国広州アパレル産地レポートがWWDJAPANに掲載されました。