January 11, 2021

越境ECに特化して急成長を続ける中国新興アパレル企業、SHEIN(シーイン)の勢いと中国アパレルEC市場の事情

20210111_1533201月8日の日経新聞に中国から越境ECで世界に販売する新興ファストファッション企業SHEIN(シーイン)に関する記事が掲載されていました。

中国発の新興アパレル 最大手「ZARA」に挑む

同社はトップスで日本円で1000円前後から2000円くらいまでの低価格ファストファッションに特化し、中国企業ながら、中国市場ではなく、むしろ世界に越境ECで拡販する急拡大中の企業。

記事によれば、19年の年商は日本円換算で約2500億円、中国メディアによれば、20年には1兆円を超したのでは?とのことです。

この前年比4倍の1兆円!?はちょっと眉唾ですが・・・

昨年、世界でSHEINのショッピングアプリが1億1200万ダウンロードされたと聞くと相当の急成長は見込まれます。(右の画像はSHEINサイトから)

彼らの勢いは、すでに数年前から中国で耳にしていましたので、今回、日経の記者の方からこの記事のためにインタビューの依頼を頂いた時に、いよいよグローバルプレゼンスが高まって来たのだな、と思いました。

拙著「ユニクロ対ZARA」が2017年に中国語翻訳され、2017年~2019年に中国に研修講師として頻繁に招かれていた時に、多くのナショナルチェーンの幹部の方々に参加頂きました。

当時(2018年頃)、「中国で元気のよいローカルのアパレルチェーンはどこですか?」と聞くと、多くの方が口を揃えて、SHEIN(ヤングレディース中心)やPATPAT(子供服)などの越境ECをやっている新興企業の名が返って来たものでした。
実際、当事者であるそれらの企業の幹部の方々も熱心に研修をお聴きになっていらっしゃいました。

その背景には、中国のアパレル業界では、すでに大手チェーン間の競合も激しく、かと言って、ECに手をつけても、すでに広告宣伝費や販促費が高くなり過ぎて儲からない。

そんな、中国アパレルEC市場に見切りをつけて、産地としての中国のアドバンテージを活かし、海外で、しかも、出店ではなく、越境ECで売上を伸ばそうと考えた新興ブランドに最も勢いがある、という話です。

彼らは、素材と縫製の基地がある広州などに生産拠点を置き、すでにレッドオーシャンとなった中国アパレル市場ではなく、アメリカ向けや中東向けなど、ターゲットとするマーケット専用のサイトをつくり、中国で次々に小ロット、短サイクルで商品をつくり、低価格で販売して売り切ることで成長して来ました。

日経の記事が世界最大手のZARAと比較をしていますが・・・、比較には及ばない、と思われるかも知れませんが

実は、共通点があって、それは、目の行き届く本国、本社の近くで作って、世界に売り込むというビジネススタイルなのです。

とかく、トレンドファッションはトレンドの変化によって在庫リスクを抱え込むもの。
遠くで、時間をかけて安く作って商売をすることは大きなリスクになります。

ZARAが他のファストファッションチェーンにアドバンテージがある理由は、
母国スペインや近隣のポルトガル、モロッコなど、目の行き届くところでトレンド変化と過剰在庫リスクに注意しながら、小ロット短サイクルでつくり足して行くところです。

これに対して、イギリスでASOS、BooHoo、ミス・ガイデッドなどのオンライン系のファストファッション企業(ウルトラファストファッション)が台頭したのも、その多くがイギリス国内での移民労働力を活用したモノづくり(MADE IN UKの地産地消)とオンラインによるローコスト及びスピードオペレーションが背景にあります。(詳しくは「アパレル・サバイバル」をご参照下さい)

そして、今、世界の工場である中国から、同じ発想で世界に売り込む越境EC企業が台頭しているという話です。

ZARAにどれだけ迫るか?というのは面白い議論だと思います。

もちろん、ZARAが長年き築き上げて来た店頭起点のディマンドチェーンのPDCAの回し方と国際高速物流のインフラの安定性にはそう簡単にはかなわないでしょう。

しかし、

目の行き届くところで作って、世界に売るという発想を、
より人件費の安い産地から行う

しかも

オンラインで多店舗出店よりローコストと柔軟性を持って、高速で行う

というプレーヤーが出て来たことは、新しい時代の幕開けと言えるかも知れません。

目の行き届く産地でつくってリスク回避 x オンラインで世界にリーチする 
+オンラインで顧客の反応を解析しながら、つくり足す

市場低価格政策ゆえ、競合に価格で下をくぐられるリスクを抱えていることを指摘しながら、彼らが今後どんな発展をするのかに注目しておきましょう。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 ファストファッションの次の流通革新に挙げられるイギリス発ウルトラファストファッションとは?これまでの流通革新を振り返り、これから10年の流通革新を模索しています。

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January 04, 2021

新しい生活様式にあわせて業務を再構築しよう

20180824_151428あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

コロナショックの渦中、先行きが見えぬまま新年を迎えましたが、
引き続き、健康に留意しながら、日々のミッションに取り組み、そして、未来に向けて進んで行きましょう。

コロナに後押しされたとは言え、一旦、前に進んだものは、元には戻らない、と考え、
まずは、加速した環境変化の先にある、「お客様の新しい生活様式」のビジョンを描いた上で、準備を進めて行きたいです。

 

これらのファッション流通業界のテーマはいくつかあると思いますが、
専門である在庫最適化の問題意識から申し上げると、大きくは

◆短期~中期的には

 ショッピングのデジタルシフトに対応した環境を整えること、

◆中期~長期的には

 ブランドらしいサーキュラーエコノミーへ取り組みに着手すること

かと思います。

 

前者は、オムニチャネルやOMO(Online merges with Offline)などと言われることですが、明確な顧客購買シーンをチーム共有した上で進めて行きたいところです。

店舗を持つ専門店にとっては、

顧客が

・店舗で見た商品はオンラインですぐに見つけることが出来、買うことができる

・オンラインで見た商品は、どこにその在庫があるのかがわかり、店舗に行けばすぐに見つけることができる

・オンラインで注文や予約した商品を都合のよい店舗で受け取ったり、試着の上、購入できる

・店舗で購入した商品は店舗からあるいはEC倉庫から自宅に届けてもらえる

そして、そんなお客様のシームレスな購買行動を店舗スタッフやカスタマーサポートがストレスなくヘルプできるデジタル環境を整えることでしょうか。

これらを実現するには、システム投資が伴うため、一気に進めることは難しいかと思いますが・・・

在庫データの信頼性を高めながら、もてるデバイスを駆使してステップ・バイ・ステップで進めて行きたいです。

後者については、よりプロダクトにフォーカスし、顧客を巻き込んだカタチのサステナビリティの話です。

人々が巣ごもりの間に、あらためて自分のワードローブと向き合ったことによって・・・

いよいよ、供給側であるブランドは、商品をつくって、売りっぱなしにするだけでなく・・・買って頂いた後の商品のライフサイクル、循環についても配慮、関与する時代に突入したと思っています。

例えば、長く愛着してもらうための素材選び、購入後の洗濯・クリーニング・保管などメンテナンスのためのアドバイス、次シーズン以降も着回して頂くための、翌シーズンのコーディネート提案などなど。

また、買って頂いた商品は、できるだけ長く着続けてもらいたいものですが、着なくなった場合は、顧客が手放し、リユース、リメイク、リサイクルされるところにも何らかのカタチで関与できないか、と。

近年、着なくなった服を回収する企業は増えて来ましたが・・・どちらかというと、来店促進目的で回収後は処分業者に渡して終わりのところが多いようです。

これからは、せっかく回収するのであれば、しかるべきパートナーと組んで、何ができるか?ブランドらしい活かし方を自ら考える時代に向かっていると感じています。

このあたりは、すぐには広がらないかも知れませんが、ブランドごとに議論を始めてもよい時期ではないかと思っています。

後者のワードローブのライフサイクルや循環の話にご興味を持たれた方は、是非、拙著「アパレル・サバイバル」のCHAPTER5をお読みください。筆者なりの問題提起をさせていただいております。

以上のような問題意識を持ちつつ・・・

今年も顧客目線で在庫最適化に取り組む業務再構築と商売人人材育成の応援をミッションとし、

独自の視点で業界関連トピックをブログで取り上げてご紹介して行きたいと思います。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

関連エントリーナラティブ(顧客を主人公にした物語)から考える

関連エントリーオムニチャネル化を進める前に必要な、店舗側のステップとは何か?

関連エントリーCircular Economy サーキュラーエコノミー(循環型経済):ZARAのインディテックス社のこれから10年の経営テーマ

関連エントリー着回しの利く、究極の定番を磨け

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 ファストファッションの浸透によって、溢れ始めた顧客のクローゼット。これからは、クローゼット内の服の循環を考えながら、新しい商品の提案を考える時代。今回の投稿で話題にしたショッピングのデジタルシフトと顧客のワードローブの循環がまさにテーマになっています。

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December 28, 2020

アパレル生産で取り組みが進む3D技術によるサンプル作成工程の効率化

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12月21日と12月24日の繊研新聞のそれぞれ一面に、OEM型やODM型でアパレルの受託生産を担う繊維専門商社の3D CADなどデジタル技術を活用したアパレル設計、製造の効率化への取り組みに関する記事が掲載されていました。

ひとつは繊維専門商社のヤギと東京ファッションテクノロジーラボ(TFL)が共同出資で設立した、
ファッションに特化した3D、CG製作の新会社、メタデータバンク社の記事。

この新会社には3Dモデリスト、CGデザイナーがそれぞれ20~30人在籍し、
バーチャルで、サンプル製作プロセスを簡素化し、本生産前の仕様確認を促進したり、サンプルを作成せずに、バーチャルサンプルでEC先行受注を行ったりすることで・・・
テクノロジーによる業務改革を推進し、合意形成の迅速化、生産リードタイムの短縮などを通じ、過剰在庫の解消が期待できる、「バーチャルファクトリー」を目指すようです。

もうひとつは専門商社の豊島が進める、「バーチャルクロージング」の記事。

目指すところは前者に近いと思いますが、同社では最近、業界で普及が始まったアパレル3D設計のクラウドソフトウエア、設計の実務寄りのブラウズウエア(イスラエル)やモデルに着せて動かすプレゼンテーションに優れたCLO(クロ;韓国)やニット製品に特化してカラー、製品シミュレーションが出来るエイペックス(日本の島精機)などのツールを社内企画室に次々に導入し、専属トレーナーを採用して、各部署に所属するデザイナー、パタンナーが本格活用に向けて社内研修を受けているそうです。

 

しばらく、生産業務に携わっていなかった筆者も、ここのところ、過剰生産防止や在庫リスク回避の観点から、アパレル設計段階から工場での生産を経て、商品が倉庫あるいは店頭に届くまでのサプライチェーンにおいて、タイムロスやトラブルが起こりやすい、いわゆるボトルネックがどこにあるかをサプライチェーンに携わる方々と洗い出したり、ディスカッションする機会が増えました。

サンプル作成から本生産発注に至る、仕様確認作業もそのボトルネックのひとつ。

本生産発注に至るまでに、デザイン画ベース、ファーストサンプル、セカンドサンプル、各色サンプル、本番前修正サンプルなどサンプルが複数回作成されるわけですが・・・

アトリエや工場のサンプル室のサンプル作成だけでも、相当な時間と労力がかかるものですが、
間に入って、それに携わる方々が、サンプル作成にあたって、デザイナーやパタンナーやMDなど、指図を出した担当者が意図するデザイン仕様や修正指示の確認に時間が取られ・・・

仕様書が不完全、伝言が上手く伝わらないと、仕事が進まない、やり直しが増える、などなど、タイムロスによって、発注が遅れるのも実態です。

最近の話を聞いていても、このあたりは筆者が生産に携わっていた90年代とさほど変わらないようです。

むしろ海外生産が多くなる、産地が遠くなる、介在する言語が増える、出張経費削減で商社任せとなると、ご苦労もいろいろ多いようですし、現場に入って鍛えられながら育つ商品企画や生産担当の人材育成も進まない傾向にあるようです。

サンプル作成も回数が増えれば、当然、作成コストや無駄になる資材もばかになりませんし、その経費は当然、本生産の原価に上乗せされるわけですし、発注が遅れて、販売期間が短くなれば、想定以上の値下げや売れ残り在庫を抱える結果になるわけで、誰にとっても良いことはありません。

そういったプロセスの中で、3Dのシュミレーションや CADによるテクノロジーは・・・

サンプルを作らずに選択バリエーションを増やすことができる、一方、簡単な確認で済むことは、わざわざサンプルを作らず、バーチャルでの確認で代替えすることで、必要最小限の実物サンプル作成に絞ることができそうです。

すると、単純なコストだけでなく、資材のムダや、働き方改革が叫ばれるなか、残業の削減にもつながることが期待されると共に、プロセスが短縮されれば・・・

意思決定のタイミングを販売時期に引き付けることができたり、シーズン中の追加生産、新企画など柔軟性にもつながることも期待できるとというわけですね。

3D CADを実際に使っている方によれば、現段階では、2Dと3Dのソフト間の互換性に問題があったり(双方への変換のたびに調整が必要で時間がかかる)、まだまだ、手間がかかるようです。

新しいものは、どうしても、産みの苦しみがありますし、保守的な方々からの拒絶反応は少なくないでしょう。

しかし、何ごとも、黎明期は辛抱のしどころで、徐々に過去データが蓄積されて行き・・・

ある臨界点(データベース内のデータ量や精度、オペレーターの熟練など)を超えたところで、業界で加速度的に実用に乗って行くのではないか、と思われます。 

データを蓄積して、反復作業、柔軟対応に活かせること、それはあらゆる業務のデジタル化の大きなメリットでしょう。

某グローバルSPAも、結構前からデザインのデジタル化とアーカイブの蓄積によるデータベース化が本生産前の商品企画生産のスピードと柔軟性に繋がっていると聞きます。

そして、3D のオペレーションが広がるにあたり・・・

例えば、デジタルネイティブ、ゲーム世代の活躍、また、エンタメ業界など3Dに慣れた異業種からの人材の流入を促し、いい意味で業界内でイノベーションが起こって活性化することも期待しています。

アパレル生産とサプライチェーンのボトルネックのひとつの解消策として、企画生産現場における3Dテクノロジーへの取り組みに注目しています。

いつもお読み頂き、ありがとうございます。

今回の投稿が2020年最後の投稿になります。

今年も1年間お付き合いいただきありがとうございました。

3月からコロナショックに直面し、業界全体がなかなか先の見えない情勢のまま新年を迎えます。

そんな中でも、むしろ未来に向けて加速した、「新しい生活様式」のビジョンを描き、それに向けた業務の再構築に邁進致しましょう。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 アパレルビジネスのボトルネックをあぶりだし、10年後の顧客のビジョンから改革を進める、勝ち残り戦略についての問題提起本です。

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December 21, 2020

H&Mとインディテックス(ZARA)の決算進捗に見る パンデミックの欧州グローバルチェーンの業績への影響

Hm2017先週、12月15日にH&Mの2020年11月期の年間売上高が発表されました。
前年比80.4%の187,025百万SEKとなり、日本円換算(SEK=12.44円)で2兆3265億円となります。

粗利高以下の利益の発表は1月29日のFull year reportを待つ必要がありますが、第3四半期までの9か月は、営業赤字。

これに対し、仮に第4四半期が第3四半期並みの黒字が出たとしたら(例年3Qと4Qの売上は同じくらい、利益率は4Qの方が若干よい)、年間ベースでは辛くも1%-2%程度の黒字で着地をしそうな感じです。

一方、ZARAのインディテックスは

2021年1月期の第3四半期9か月(20年2月-10月)が終了していますが、業績は前年比71%の売上高14,085百万ユーロ、営業利益率は6.7%の黒字です。

20年10月は一旦、前年比94%まで戻りましたが・・・
最終四半期の第2波の11月は81%、12月は10日までで87%ですが、これからの第3波がどうなるか・・・

というところですね。

仮に第4四半期が、売上高前年比80%、第3四半期並みの収益率だとすると・・・

通年ですと、前年比74%の20,858百万円ユーロ、日本円換算(€=126.1円)で2兆6303億円の予想、3Qを参考にすると、営業利益率は通年で10%前後出るかも知れません、という感じです。

欧州で約6割を売り上げる両社へのパンデミックの影響は

第2四半期から第4四半期まで影響を受けたH&Mは売上高20%減
通年、影響を受けているインディテックス(ZARA)は同26%減というところでしょうか。

上記の予測に基づき、

ユニクロのファーストリテイリングを含むグローバルチェーントップ3の2020年度売上高ランキング予想をしてみると

                    売上高
インディテックス   (21.1予測) 2兆6303億円(前比74%)
H&M         (20.11実績) 2兆3265億円(同80%)
ファーストリテイリング(20.8実績) 2兆0088億円(同87%)

というところでしょうか。

アジア中心のビジネスで、パンデミックの影響が期間、地域共に比較的少なく、
前年比87%で収まったファーストリテイリングとツートップの売上規模の差は少し縮まりそうな感じです。

関連エントリーー世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題ですね。実はZARAも以前からベーシックが稼ぎ頭。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になるでしょう。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

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December 14, 2020

メルカリの国内流通総額中のファッション関連カテゴリーはユニクロ、しまむらに続く、第3勢力規模に

Reloveメルカリの2021年6月期 第1四半期(7-9月)の決算発表資料に目を通しました。

米国事業やメルペイへの投資先行で赤字がしばらく続いていましたが、
前四半期と今四半期は2四半期連続での黒字になりましたね。

同社には、引き続きグローバルでの成長にも期待をしていますが、
やはり、顧客行動の変化に対応して、国内ファッション市場に影響を与えるであろう
メルカリ国内事業の数字からも目が離せません。

同国内事業について、企業としての売上高ではなく、
メルカリを使って顧客が売買した流通総額にあたるGMVベースでは
当第1四半期(7-9月)は1706億円(前年同期比34.6%増)
月間平均利用者数(MAU)は1750万人だったそうです。

この四半期の数字を移動平均方式で、年回り(前期2Qから当期1Q)にしてみると
過去1年で流通総額は6,695億円となります。

このうち、ファッション流通市場への影響という点では・・・

開示されているカテゴリー構成比
レディース19%、メンズ14%、ベビーキッズ3%までを含めると約36%となり、

カテゴリーごとに単価は違うと思いますが、
年間総額にこの構成比を掛け合わせて単純計算すると
年間流通総額ベースで2410億円相当になります。

ファーストリテイリングのジーユーが20年8月期で年商2460億円とのことでしたので、
メルカリは、現在、それと同規模、

国内アパレル市場においてはユニクロ、しまむらに次ぎ、ジーユーと並ぶ第3勢力ということになりますね。

参考までに同事業の四半期ごとの流通総額の構成比を5年平均でとってみると、
以下のような感じになりました。

1Q  2Q  3Q  4Q
7-9 10-12 1-3 4-6
20% 25% 27% 28%

やはり、冬から春に変わる時期、そして、3-4月の新生活が始まるところが、
持ち物を手放したり、購入したり、という機会が増え・・・
それに連動して流通総額も増えるのだな、と感じます。

この構成比を使って、今年度の流通総額予測をしてた上で、
上記のメルカリのファッション関連の構成比から流通総額を推計すると

今期1年間の累計は3000億円規模になりそうです。

コロナ禍の巣ごもり中に持ちものを見つめ直し、手放す機会も増えたことでしょう。
また、捨てるより、循環させることを考えねば、と多くの人々が考えている昨今。

メルカリの循環型社会に向けてのインフラとしての役割はますます高まりそうです。

先日、出品や梱包が面倒で始められないユーザー向けに、
オープンロジと組んだ「あとよろメルカリ便」や、カジタクやブックオフグループと組んだ「捨てない大掃除プラン」など
次々に未経験ユーザーのメルカリ出品デビューを手助けするサービス開始のリリースをされましたね。

どうしたら、ユーザーが不用品を手放しやすくなるのか?
未経験者のお困りごとを掘り下げて、いろいろなパートナー企業と組むことで
そんなアイデアは次々に広がって行きそうです。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 ファストファッションが手ごろな価格の服を提供することによって、顧客の購買機会を高める一方で、ユーザーのクローゼットをあふれさせてしまった今日。毎シーズン、新しいもの作って、売るだけでなく、顧客のクローゼットのワードローブの循環を一緒に考えることこそが、業界企業のこれからのミッションのひとつになるでしょう。本書の後半では、これから10年の服を通じた顧客とのかかわり方を提言しています。

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«コロナショック、消費税総額表示であらためて低価格が進むのか?今一度、価格政策について考えよう。