August 02, 2021

無印良品(良品計画)は2030年、年商3兆円目標の中長期計画にどう挑むのか?

Muji-shang-hai2030年度に年商3兆円を目標に掲げた、無印良品を展開する良品計画の中長期経営計画が話題になっていますね。

最初にこのニュースを聞いた時は、ずいぶん大きな目標を掲げたな、ユニクロのファーストリテイリングっぽいな、と感じたものでした。

それもそのはず、

これまで良品計画は西友ご出身の、経営者さんが歴代社長を務めて来られたためか・・・

創業経営者が立てるようなダイナミックな計画や成長ではなかった、

ある意味、無理をせず、年率10%前後の自然増的(オーガニック)な成長を続けて来た会社。

そのためか、ユニクロと比較されることが多いですが、ファストリのPERが45倍と期待値が高いのに対して、
良品計画は16-17倍と一般小売業の平均並みに甘んじて来ました。

それに対して、9月から社長になる堂前氏は、
柳井会長と共にフリースブーム含め、長年ファーストリテイリングの急成長を支えたキーパーソンのおひとり。

この2030年年商3兆円という目標設定は、ファストリ流というか、柳井流というか、

長期の高い目標を掲げ、それを実現するために、そこから逆算して足元の計画を立てて行く
というアプローチに近いものだったので、そう感じたのだと思います。

堂前氏が中心になって作成したと言われる、
同社がこの度発表した中期経営計画(書)全55ページによれば

◆2021年8月期末見通し(現在)
売上高 4900億円 (日本3000億円、海外1900億円)

◆2024年8月期 中期計画(3年後)
売上高 7000億円 (日本4500億円、海外2500億円)

<前提>
既存店は年2%成長で、
店舗を980店舗から1300店舗に増やし
1店舗あたり売場面積は250坪から300坪に大型化し
EC売上は10%から15%に引き上げる

この間は、年平均12.6%の成長。
過去3年(2017年~2020年)が年平均9.6%の成長ですから、
これは決して、無理な話ではないでしょう。

しかし、その後の6年間の長期計画は

 

◆2030年8月期 長期計画(9年後)
売上高
 3兆円 (日本 計画から推定すると1兆5000億円、海外 同)

 

中期計画後の6年間は年平均27.4%の成長(国内22.2%、海外34.8%)と高いハードルが待っています。

この間、国内では、店舗の大型化と出店とEC売上の拡大が根拠

・1店舗あたりの平均売場面積は300坪から600坪に大型化し、
・年平均100店舗を出店し(純増数)
・EC売上を30%にする

としています。

海外は 中国を年平均50店舗、その他アジアを平均80店舗出店
欧米は既存店を再構築とのことです。

この中期計画はともかく、長期計画の中で、
筆者が最も、ハードルの高さを感じたのは・・・

国内の年平均100店舗の出店(純増)でしょうか?

ユニクロですら、そこまで1年で店舗数を増やした年はありません。

2030年には国内店舗は平均売場面積600坪(現300坪)、
1店舗あたり売上高10億円(現6億円)になっているとのことです。(たぶん、EC売上高30%分込み)

この出店計画に対して、

新規出店候補地が年商20億円クラスのスーパーマーケットの隣、というはその一方で、

これまでとは違って、面白いと思いました。

正直、今の無印良品では、価格が高めなので
国内1500店舗は想像しづらいのですし、(しまむらが国内1430店舗)

ショッピングセンター内ならまだしも、
フリースタンディングのスーパーマーケットの隣も無理があるように思いますが・・・

中期計画では、粗利を下げ、ローコストオペレーションを徹底し、
販売価格設定を下げる、と宣言をしていますので、

それが実現し、食品スーパーと親和性のある、買いまわることのできる購買頻度が近い品揃えと価格帯になれば、
業態としては、年100店舗の出店も不可能ではないかも、と思えます。

同社の中期計画書を読んで、そうなった時の「無印良品」を想像した時に
思い浮かんだお店がありました。

それは、ずばり、アメリカでウォルマートに次ぐ大手小売業、
会員制ホールセールクラブ、コストコです。

コストコはナショナルブランドにプライベートブランドを織り交ぜているお店なので

その点は違いますが、

地域に根差し、
循環型経済を標ぼうして、
プライベートブランド(PB)で衣食住に必要な商品を
ウエアハウス型のローコストオペレーションで
それに共感する顧客だけに良質安価で提案する。

PBで粗利は最低限でよい、顧客は安く買うことができる。

そのかわり、顧客から頂く年会費が営業利益の原資になる、

というホールセールクラブ型のビジネスモデル。

それなら、そういった立地にも出店余地はありそうだ。
そして、無印良品らしい、地域との顧客コミュニケーションが取れそうだ。

今、無印良品は、ファッションであったり、ライフスタイルショップとして
位置付けられていて、ユニクロやニトリなどと比較されることが多い業態ですが・・・

10年後は、全く違った業態、

地域に根差した、もしかしたら、
地域の大衆のための会員制クラブになっているかも知れない。

中期経営計画書を読んで、そんな風に妄想したものでした。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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July 05, 2021

ユニクロの製造業へのチャレンジ~東雲イノベーションファクトリーの全貌が明らかに

20210705_075525ユニクロを展開するファーストリテイリングが先週の始めにメディア関係者に公開した、

「有明プロジェクト」のひとつ、東雲(しののめ)のイノベーションファクトリーに関する記事が
6月30日の日経MJと7月1日の繊研新聞のそれぞれ本紙と6月30日のWWDJAPANオンラインに掲載されていました。

WWDJAPANの記事が結構、詳細で現場の様子がよくわかります。

ユニクロが東京に自社工場 製造業進出で「すぐに作って売る」
(注:こちらは有料記事になります。)

このイノベーションファクトリーはもともと島精機(和歌山)が開発した無縫製ニット編み機=ホールガーメント機を活用して、
地産地消のニット製品の生産販売を行うべく島精機とファーストリテイリング(以下FR社)が和歌山に合弁で設立した製造子会社で

FR社が主導権を取って本腰入れるために、
出資比率を当初のFR:島精機 49%:51%から 51%:49%として、
3カ月前に和歌山から、お膝元の東京有明近くの東雲(しののめ)に移転したものです。

場所は有明本部から10分ほどの3階建て4700㎡(1424坪)の印刷工場跡地
そこに40台のホールガーメント機を置き、65人の従業員がいるそうで
1日1000枚(単純計算1台あたり25枚)の生産が可能だそうです。
将来的には100台にまで持って行く計画もあるそうです。

それぞれの記事を読んだところ

これまで、工場を持たずに協力工場に生産委託するスタイル(ファブレス)を強みとしていた
ユニクロが、初の自前工場で製造業へ進出、というのは少々大げさな話で・・・

実際のところは、本社の身近なところに、

量産工場と連動したサンプル工場あるいはテスト生産工場が出来たと見るべきだろうと思いました。
(FR社は「3Dニット生産の世界のマザー工場」と言っています)

まず、FR社の有明本部の5階にホールガーメント機4台を置いたサンプル作成用のアトリエがあるそうで、
そちらで試作用にプログラミングしたデータを東雲工場に転送し、
実際に販売できる商品化を行いながら、量産に対応できるように調整しているようです。

WWDJAPANや繊研新聞の記事に寄れば、

東雲で、行っているのは、

・糸の巻替え(糸の中にあるゴミなどのまぎれ込みを取り除くための行為)
・編み立て
・糸切れ直し
・稼働点検
・製品補修
・洗濯と乾燥
・アイロンがけ
・タグ付け

要は、糸から製品の形になる、編み立て自体(パーツを組み立てるリンキング工程は不要)は
ホールガーメント機が24時間自動で行ってくれますが、

準備工程である

●編み立てのプログラミング(ここが時間がかかるといわれています)
●ホールガーメント機にかけるまでの糸の品質確認とセッティング や

編み立中の

●稼働中の点検、
●糸の切り替え、

編み立て後の

●製品補修、
●洗濯、乾燥、
●アイロンがけ、
●タグ付け

などは、やはり、人がやらないといけないようなので・・・

東京の人件費を考えた場合、

ユニクロ価格のニットのプライスレンジの上限で販売したとしても、
試験販売用の商品原価では儲けはあまり出ないのではないかと思われます。

ここからは、記事を読んだ上での、筆者の解釈ですが、

この東雲イノベーションファクトリーの目的と役割は

まず、第一には

◆サンプルづくりから量産までの工程研究および時間短縮

ホールガーメント機の海外での大量生産前に
海外量産工場で起こりうるトラブル解消や作業の効率化の研究を行い
生産のボトルネックや起こりうるトラブルを事前につぶしておくことで
生産のスピードを上げ、不良品率を下げることができるのではないか。

次に、

◆的中率を高めるための試験販売用の商品づくり

商品企画者のアイデアの元、東雲でつくった少量製品を
銀座のUNIQLO TOKYO 店などで試験販売し、
売れ行きを見て、海外での量産の発注数の参考にするそうです。

また、

◆追加生産入荷までの国内QR生産による繋ぎ商品供給

量産での販売が計画に対して上振れして、
海外に追加生産をして、海外からの商品供給が間に合わない時の
一時的な売場の穴うめ、繋ぎ用商品在庫の供給を担うことができるようです。

従来であれば、

量産をする海外工場に仕様書を元にサンプル作成をして送ってもらい、
チェック、修正を繰り返していた流れから・・・

企画担当者やデザイナーが有明本社の5階のアトリエ(4台)でつくり、
東雲工場で量産向けにテスト生産を行って確かめた上で

海外の量産工場にサンプル、プログラミングデータ、工程上の注意と共に提供すれば、
生産の効率化が期待できる。

この流れの主導権を持った革新が、同社が 

「従来3ヶ月かかっていた仕事を1か月に短縮したい」

という話の背景にあるはずです。

各社の報道を読みながら、思ったのは、

アパレル生産のサプライチェーンのボトルネックのひとつである
「サンプル確認」工程をユニクロがコントロールできるようになったこと。

そして、

あくまでもホールガーメント機を使ったニット製造に限りますが
製造中に起こりうる問題点の解決策を
東京から世界の量産工場に具体的に提示できるようになったこと

この2つには大きな意義があります。

ZARA(ザラ)が本社デザインルームに布帛アイテムのためのアトリエを持ち、
自らサンプル作成を行って工程上の問題点を認識し、
量産素材の裁断を手掛け、
どこでも縫えるような形にして、
縫製工場に縫製(アッセンブル)委託をすることで
サプライチェーンのボトルネックを解消しながら、スピード生産を実現していますが、

ユニクロが、そのあくまでもホールガーメントニット版に限りますが、
踏み出したということを意味します。

次に、的中率を上げ、無駄な在庫をつくらないように・・・

店頭で顧客の反応を確かめてから量産数量を決定することができる、
試験販売用のサンプル工場を持ったこと。

これは、今はどうされているか不明ですが、

レディースカジュアルSPAのハニーズが2000年代の全盛期に
福島にサンプル作成と店頭試験販売用のサンプル工場を持っていて、
一部の店頭で試験販売をした上で中国に量産発注をしていた話を思いだしました。

また、古くは、米リミテッドストア(現Lブランズ)が
バイヤーたちが世界中で買い付けたサンプル商品にリミテッドのネームを付け替えて、
都市部の3店舗で試験販売をした上で、顧客の反応を見て
アジアに量産発注し、出来上がった商品は空輸でアメリカに持ち込み、
全店展開して的中率を上げていたという話を思い出しました。

ユニクロが自ら量産を手掛けるわけではありませんが、

大量につくって、徹底的に売り切る、というビジネスモデルから・・・

的中率を上げ、サプライチェーンのボトルネックの解消のために
製造工程に大きく足を踏み入れたという点においては、

とても意義のある、大きな前進であると感じました。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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May 17, 2021

デザイナーズコラボの取り組み精度が高まった、ユニクロ+J(プラスジェー)成功の舞台裏

20210524_1558115月17日の日経MJ紙面にファーストリテイリングのユニクロの外部デザイナーとのコラボの立役者 勝田R&D統括責任者インタビュー記事が掲載されており、大変興味深く読ませていただきました。

ジル・サンダーさんとの+J(プラスジェー)を筆頭に、クリストファー・ルメールとのUNIQLO U(ユー)など、ここ数年は、こういったプロジェクトが、実にうまくユニクロのイメージアップ、ステージアップに貢献しているなと思っています。

記事の中から、気になった箇所を少し、引用、紹介させていただきますね。

まず、勝田氏は、今回の+Jの取り組みを

09年から11年の1回目の取り組みと比べ

「より良いものを分かりやすく」
「チョイスが増えるとお客様が迷ってしまうので」
「(ジルさんの抵抗と闘いながら?かなり)商品を絞り込んだ」

とのこと。

「今回は絞ってメッセージ性を明確にしたことが
ビジネス的に成功した結構大きな要因だと思います。」

と全体を振り返っておられます。

これは、筆者の印象ですが、

09年~11年のころは・・・
+J(プラスジェー)に限らず、他の東京コレクションのデザイナーさんたちとの取り組みもそうでしたが、

それまでデザイナーコラボの連発で世界的に成果を上げていたH&Mに負けじ、と
後追いみたいに焦ってやっている感じがして・・・

デザイナーとの付き合い方が、
定まっていなかった、活かせていなかった、もったいない、
と思うことも少なくありませんでした。

当時の+Jは、
当然、オリジナルのジルサンダーのラインよりは価格は安かったのですが、

(セレクトショップのセカンドライン並み)

ユニクロよりも高い価格帯であり、
「わかる人には、わかる」域を超えておらず、

なおかつ、その割に、作り過ぎていたため、
計画通りに売れずに、過剰在庫を抱えてしまい、
販売間もなく、値下げとなり・・・

実にもったいないな、と値下げされた店頭在庫の山を眺めていたものでした。

今回は、その時のその反省も活かし、

商品を絞って、
オンライン販売と一部店舗限定販売にして、
無理に作り過ぎなかったのが

よかったのでしょうね。

また、10年前とも環境が全く違います。

ユニクロのブランドステージは高まり、

SNS時代にもなったことで、

発売までのストーリーづくりも伝え方も上手く、功を奏し、
また、期待するファンがSNSで盛り上げてくれたのも大きいでしょう。

発売と同時に、ほとんどの商品が値下げをせずに即完売だったようです。

やはり、ファッションビジネスは、何ごとも、適量、腹八分目以下の方が
お後がよろしいようで、ということですね (笑)

記事では、マーケティングや販売の側面だけでなく、

「一流のデザイナーたちとの協業の中で当社の人材も彼らと直接ガチで仕事をしてきました。これは財産です。知識としても能力としても、個人としても組織としても力が蓄えられました。」

と、ものづくりをする現場でも、デザイナーたちから、多くを得たとおっしゃっています。

確かに、プロジェクトにかかわった方々の、それぞれのデザイナーからの学び体験は、

今後のユニクロのレギュラーラインのプロダクトの質の向上にもつながって行く、貴重な未来への投資の役割も果たしていたに違いありません。

最後に、
勝田氏が一流デザイナーと交渉する時の口説き文句が紹介されていたので
引用させていただきます。

「あなたがやっているものの安物バージョンは死んでもやらんよ」

「あなたの才能をユニクロというインフラで発揮して欲しい」

と創造意欲に訴えかけるようにしている。

とのこと。

それだけ、ユニクロという「インフラ」が、グローバルでも説得力をもつようになった、自信あふれる言葉ですね。

今回の+Jの成功もきっと、これから取り組みを行おうとするデザイナーたちに対して、説得力を高めることにつながるでしょう。

今後も、ユニクロには、双方のステージアップにつながるデザイナーコラボを楽しみにしています。

 

ちょっと蛇足的な話ですが・・・

ファッションビジネスの「適量」在庫の話をすると、

筆者の在庫コントロールセミナーに参加された方に

「売れ筋商品と死に筋商品の違いは何ですか?」

という質問をさせて頂くことがあるのですが・・・

答えは、多くの方々がお答になる、

たくさん売れている商品が売れ筋で、あまり売れない商品が死に筋

ではありません。

期末に残った在庫を見て、反省すればよくわかりますが、

答えは、

どんなに数がよく売れる商品、売上ランキング上位の商品でも・・・

販売力を超えて、つくり過ぎて、大量値下げをせざるを得なくなり、損をもたらす過剰在庫分は

死に筋商品です、とお答えすることにしています。

さまざまな制約のあるアパレルビジネスでは、適量管理を肝に銘じたいところです。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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April 06, 2021

世界アパレル専門店売上ランキング2020 トップ10

4cimg0441 世界中がパンデミックの影響を受けた2020年度。 世界の大手アパレル専門店各社の決算が出揃い、売上高や営業利益などをまとめる機会ができましたので、毎年恒例になりました売上高ランキングTOP10を共有させていただきます。

 円建て比較にあたり、為替レートは2021年1月末の €=127.04円、スウェーデンクローナ=12.54円、US$=104.21円、英国£=142.95円で換算しています。 

順位 社名 本社;決算期 売上高 前年増減 営業利益 営業利益率 期末店舗数 基幹業態
1位 インディテックス (西;2021.1期) 2兆5,918億円 -28% 1,914億円 7.4% 6,829 ZARA
2位 H&M (瑞;2020.11期) 2兆3,453億円 -20%  388億円 1.7% 5,018 H&M
3位 ファーストリテイリング (日;2020.8期) 2兆0088億円 -12% 1,493億円 7.4% 3,630 UNIQLO
4位 GAP (米;2021.1期) 1兆4,380億円 -16% -898億円 赤字 3,715 OLD NAVY
5位 Lブランズ (米;2021.1期) 1兆2,344億円 -8% 1,645億円 13.3% 2,669 Bath&Body Works
6位 プライマーク (愛;2020.9期) 8,436億円 -24%  517億円 6.1% 384 Primark
7位 しまむら (日;2021.2期) 5,426億円 +4%  380億円 7.0% 2,199 しまむら
8位 NEXT (英;2021.1期) 5,183億円 -17%  548億円 10.6% 491 NEXT
9位 アメリカンイーグル (米;2021.1期) 3,917億円 -13% -282億円 赤字 1,078 AEO
10位 アーバンアウトフィッターズ (米;2021.1期) 3,594億円 -13%      4億円 0.1% 645 Anthropologie

※お断りですが、大手企業の中で、アメリカのTJXやROSSのようなオフプライス・ストアは過剰在庫の買取販売が中心ということで、除外させて頂きました。
また、非公開企業で欧州大手アパレルチェーンC&Aおよび中国で急成長中の越境ECファストファッションSHEIN(シーイン)あたりもTOP10にランクインする規模と思われますが、それぞれ、売上高がつかめなかったため、除外しております。                              

【解説】

全体を見渡すと、経営破綻した米アセナリテール(前年7位)が消え、10位以下に控えていたアメリカ企業がランクインした格好ですが、上位6位までのランキングは2019年と変わりはありません。

以下、1位から5位について、そして、気になるところにコメントさせて頂きますね。

1位のインディテックスは

通期コロナの影響を受けて大幅減収、減益も、7.4%の営業利益率を上げたのはお見事でした。

全世界の店舗でRFIDの導入と各国EC在庫と店舗ストックルーム在庫の一元管理が完了し、世界のどのアパレル専門店よりも、いち早くオムニチャネル化が完成した、と言ってもよいでしょう。

EC売上比率は店舗の売上減もあって33%に。これからは同社のDXは顧客のスマホを使った店舗での拡張体験へ、そして、次のテーマである、サーキュラーエコノミー(循環型経済)に力が入ります。

関連エントリーーZARA(ザラ)のインディテックス2020年度決算。大幅減収減益も、全世界でECと店舗の在庫一元化が完了し、盤石体制に。

2位のH&Mは

第1四半期に売上、利益の改善が見れたものの、その後、3つの四半期がコロナの影響を受けて、大幅減収、減益も、何とか黒字着地させた経費コントロールと仕入コントロール力はさすがです。

店舗閉鎖の影響もあり、EC売上比率は28%に。

これからは、遅れていたデジタル化へのアクセルが回復のカギとなるか?それとも、やはり、低価格品はECでは損益が取りづらく、苦戦するのか?注目の1年になります。

関連エントリーーH&Mとインディテックス(ZARA)の決算進捗に見る パンデミックの欧州グローバルチェーンの業績への影響

3位のファーストリテイリングは

年間のうち、半期分、コロナの影響を受けながら、市場は日本、中国が中心。欧米に比べ、市況回復が進んでいるため、欧州勢よりは、有利な環境と言えるでしょう。

特に国内ユニクロ事業の第4四半期の体質改善と踏ん張りは、柳井会長の執念を感じ、目を見張るものがありました。

今期は、3月から消費税分値下げした分を、同社がどう利益を確保するのかに注目です。

関連エントリーーファーストリテイリング20年8月期決算に見る、国内ユニクロ事業の凄さ

4位のGAPは

大幅減収赤字、GAP、バナリパで228店舗閉店とリストラが続きます(GAP事業売上前比73.0%、バナリパ事業は同57.5%)。

店舗売上減で、オンライン売上は54%伸びて、EC売上比率は45%に(前年は25%)。

5位のLブランズは

ヴィクトリアズシークレット(VS)のリストラ後の見事なV字(利益)回復と言ってよいでしょう。営業利益額だけを見ると、インディテックスに次ぐ、世界第2位の位置づけです。

ヘルス&ビューティのバス&ボディワークス(B&BW)は、パンデミックに関わらず、店舗が前年並みをキープし、既存店+ECが45%増と大躍進。ECは倍増で、いよいよVSとB&BWの売上が逆転しました。

ヴィクトリアズシークレットの店舗の整理はついたようなので、今期は大幅増収増益が期待できそうです。

関連エントリーーファッション&ビューティー市場の変化を見極め、事業ドメイン転換で勝ち残る、米 L Brands(エル・ブランズ)

以下、6位以下で、めぼしいところを付け加えますと、

しまむらがトップ10企業の中で唯一の増収増益。なんと、7位に浮上です。

これは、品揃え改革(同社らしい多品種小ロット高速回転の原点回帰)によって、かつての販売効率を回復しつつあるのが大きな要因です。

一旦、かつての販売効率まで戻った後、出店余地の限られる日本国内で、どのように、収益を伸ばすのかが、焦点になります。

8位のネクストは、得意の店舗網、物流網を活かし、クリック&コレクト(オンライン注文の店舗受取り)を上手く併用しながら、オンライン売上比率が昨年の50%から65%まで高まりました。

今後、力を入れるのは、そのインフラをフル活用した、他社ブランドのEC事業(オンライン受注から配送まで)を、まるっと代行するという、NEXT TOTAL Platform戦略への取り組みとのこと。これは、興味深いです。

この取り組みは、確立されたチェーンストアとして、違った意味で、世界一のインディテックスよりも先を行っている発想かも知れません。

今後、デジタルシフト後のチェーンストアのありかたの一例として、今後、深堀りしたいと思います。

さて、まだまだ、パンデミックの影響が残る、2021年度のランキングはどうなるでしょうか。

筆者としては、ZARAのインディテックス、ヘルス&ビューティへのドメインチェンジが進むLブランズ、チェーンストアの強みを活かしつつ、プラットフォーマーとしての付加価値を追求するNEXTの3社に注目したいです。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になることでしょう。

 「ユニクロ対ZARA」(2014年発売) を2018年のデータでアップデートした文庫本です。

いつもお読み頂きありがとうございます。

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March 29, 2021

ZARA(ザラ)のインディテックス2020年度決算。大幅減収減益も、全世界でECと店舗の在庫一元化が完了し、盤石体制に。

Zara-onlineZARAを展開するインディテックスグループの2020年1月期決算報告 FY2020 RESULTS

に目を通しました。

同社の決算期は2月~翌1月期なので、通期(全四半期)すべてがパンデミックの直撃を受けた1年でした。

但し、営業赤字だったのは、1Q(2-4月期)のみで

通年では、

売上高 20,402百万ユーロ(日本円換算2兆5918億円)と前年比72.9%(27.1%減)

粗利率 は前年55.9%→55.8%とほぼ変わらず

販売管理費 は 前年比83.2%(16.8%減)に抑え、

営業利益 1,504百万ユーロ(日本円換算1,914億円)前年比31.5%(68.5%減)

営業利益率は前年16.9%→7.4%と下がりましたが

営業黒字で着地しました。

インディテックス社の決算発表により、大手3社が出揃い、

2020年度の世界アパレルチェーン売上高ランキングのトップ3は

1位 インディテックス(ZARA)  1月期  2兆5,918億円(1,914億円 営業利益率7.4%)
2位 H&M           11月期  2兆3,752億円(227億円 同1%)
3位 ファーストテイリング    8月期  2兆0,088億円(1493億円 同7.4%)

に確定しました。

2019年度のランキング

世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

とトップ3の順位の入れ替わりはありません。

同社の期末店舗数は

7469店舗から→6829店 と640店舗の純減です。

内訳は閉店 751店 新店 111店 96店改装(うち45店が大型化)です。

これは慌てて閉めた、というより、中長期計画の計画通り。

在庫に関しては、期末在庫は前年よりも9%少なく、

4半期ごとに見ても前年よりも10%少ない在庫水準で回していたようです。

 

今回の同社の決算の最大のトピックはECの大幅売上拡大と世界全店舗のオムニチャネル体制の完成でしょうか。

EC売上高は77%増の6,600百万ユーロ(日本円換算 8,384億円)

EC売上比率は32.3%と前年の13.2%から急増です。

このEC売上の拡大に寄与したのが、

同社のオムニチャネル施策(Fully integrated store and online platform)のコアにある

SINT(Single Inventory Integration)というコンセプトです。

要は、各国のEC向け在庫と店舗のストックルーム(バックヤード)の在庫を一元化し・・・店舗のストックルーム在庫をEC需要の引き当て対象にできるようにした、という話です。

これをリアルタイムに可能にしたのが、RFIDの全店導入完了です。

このRFIDも、自社開発。

ほとんどの企業が使っているRFIDは、主に、値札や洗濯絵表示に埋め込まれている、安価で使い捨てのチップですが、インディテックス社の場合は、全商品に、スペインの倉庫で取り付けられたセキュリティタグの中に埋め込まれています。

丈夫で高性能、更に、回収することで、何回も再利用ができるという優れものです。(高性能、1回あたりのコスト減、リサイクルで環境にも優しい)

使えるものは、再利用をするという同社のポリシーはこんな最先端のテクノロジーにも活かされているわけですね。

話をSINT(在庫一元化)に戻しますが、

同社によれば、これが、売上高比率32.3%になったEC売上高全体の中の12%分に寄与したとのことです。

通年COVID19の影響を受けても、まだ、世界一の売上規模と利益を確保したインディテックス社。

今後、同じような、ロックダウンで店舗を閉めなければならない事態になっても、商売を継続できる体制が整いました。

さまざまな変化に対して、柔軟な対応ができる、

という世界最強クラスのオペレーション・エクセレンスを見せつけた決算と言ってもよいのではないでしょうか?

近日中に世界アパレル専門店売上高ランキング2020年版も更新したいと思います。

お楽しみに。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARA。これから進む道も、経営者の経営信念、ビジネスモデルとその変遷を理解すれば、見えて来ます。両社の比較分析が、未来のアパレルビジネスを考える上で、とても参考になると確信しています。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

 

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March 15, 2021

ファッション&ビューティー市場の変化を見極め、事業ドメイン転換で勝ち残る、米 L Brands(エル・ブランズ)

Bbwアメリカでヴィクトリアズ・シークレットを展開する米Lブランズ社の2021年1月期決算速報が発表されたので、目を通しました。

売上高  1兆2403億円  (前年比92%)
営業利益 1,653億円  (前年比611%)
営業利益率 13.3%
($=104円換算)

コロナ禍のアメリカ市場中心の同社が減収ながら、増益という恐るべき数字をたたき出しました。

実は、前年の2020年1月期、パンデミック前にヴィクトリアズ・シークレットのダイナミックなリストラを敢行して、大幅減益としていたので、リストラを経てのV字回復なわけですが、それにしても、この規模でのこの利益は素晴らしいです。

その理由を探ってみましょう。

まず、主力業態のヴィクトリアズ・シークレットは全体の2割にあたる248店舗の大量閉店および店舗のFC移管で同事業自体の売上高は前年比72%と大幅減。

店舗とオンラインの内訳は、店舗売上高が前年比55%、残った既存店は前年比増収、そして、オンライン売上高は131%と伸びました。

一方、もう一つの主力業態である、ヘルス&ビューティー部門のバス&ボディワークスの店舗売上高は前年並み(100%)、オンライン売上が209%増と倍増し、事業全体としては前比120%の大躍進です。

この結果、ヴィクトリアズシークレットとバス&ボディワークスの2つの事業売上規模が入れ替わり、同時に、見事な復活を果たしたというわけです。
              2019年度 → 2020年度
バス&ボディーワークス      42%  → 54%
ヴィクトリアズ・シークレット   58%  → 46 %

また、この1年で、会社全体のオンライン売上比率は21%から35%となりました。

 

同社は、THE LIMITED STORE(リミテッド)やEXPRESS(エクスプレス)といったレディースウエア業態で、GAP社よりも先にSPA(アパレル製造小売業)ビジネスモデルで全米一位に登りつめたアパレル企業です。

店頭でのテスト販売や生産地からの空輸を駆使した、独自の高速サプライチェーンやQR対応も十八番です。

ヘンリ・ベンデル(今回のリストラで廃業)やアバクロンビー&フィッチ(分社化、別会社)も同社が買収後に規模を拡大したことで知られています。

同社は、2000年にH&Mがアメリカに上陸し、フォーエバー21と競合しながら、全米がファストファッションの渦に飲み込まれると、

2007年に、レッドオーシャン市場になったアパレル事業に見切りをつけて売却し、

一方、ランジェリー&ホームファッションのヴィクトリアズシークレットやピンクに事業の軸足を移し、ファストファッションと競合をせずに営業利益率の高い高収益企業として、

売上規模もGAPに続く全米2位、グローバルでも4ー5位クラスのファッションチェーンとしての企業規模もキープします。

2016年頃から、メイン業態であるヴィクトリアズ・シークレットが時代に合わなくなって業績失速するや、

その事業に執着することなく、ヘルス&ビューティー部門のバス&ボディワークスに軸足を移し、この度、何と、コロナ禍の最中にも関わらず、事業転換を完了させてしまうという、実に見事な変身を成し遂げました。

アパレルからランジェリー&ホームウエアへ、そしてヘルス&ビューティーへ

女性を取り巻く、ファッション&ビューティーマーケットで既存ビジネスに執着せず、顧客にとって、付加価値のあるところに機を見て乗り換え・・・得意のサプライチェーンマネジメントを活かしながら、応用して行く、創業者のレスリー・ウェクスナー氏のビジネスマンとしての商才には脱帽せざるを得ません。

市場の変化に対して、ここまで先を見て事業転換をできる経営者さんは、世界を見渡しても、そうはいらっしゃらないでしょう。

日本を見渡すと、マッシュホールディングスの近藤社長の着眼点がそれに近いかも知れません。

同グループは、常に、顧客のライフスタイルを中心に考え、上手にアパレル→ホームウエア→ヘルス&ビューティと多角的な事業拡大を果たしていらっしゃいますね。

Lブランズ社は日本ではあまり知られていないファッション&ビューティ系チェーンですが、その変遷をたどると、世界のファッション系チェーン企業が見習うべきことはたくさんありそうです。

是非、過去から今後の動向をお見逃しなく。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 ファストファッションブーム後の顧客のファッションライフスタイルを考える。10年後のアパレル業界でのサバイバルのカギ、これからの顧客との関係構築がテーマのビジネス読本です。

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March 08, 2021

ユニクロが4月からの税込総額表示の義務化にあたり、実質値下げ。ユニクロらしい価格戦略で更なる市場シェアの奪取を狙う。

Uniqlo-tokyo

ユニクロが4月からの税込み価格総額表示義務化にあたり、これまでの税抜き価格を税込み価格とする、実質値下げ(9%程度)をすることを発表しました。

3月4日の日経新聞朝刊にも全面広告が掲載されていました。

この4月は消費税が上がるわけではありませんが、総額表示義務化で、多くの小売業が価格戦略の姿勢を示す転機になるだろうと思っておりましたが、

関連エントリー‐コロナショック、消費税総額表示であらためて低価格が進むのか?今一度、価格政策について考えよう。

日本のアパレル最大手であるユニクロが、最も「ユニクロらしい価格戦略」を取って来たことに納得すると共に、プライスリーダーであるユニクロの市場シェアはますます高まるだろう、と確信しました。

ユニクロの躍進の歴史は、「ユニクロプライス」と言っても過言ではないプライスポイント(最多価格帯)=1900円(イチキュー)への集中の価格戦略をなくしては語れません。

その昔、多くのジーンズカジュアルチェーンのトップスのプライスが2900円中心、特価で1900円だったころ(2000年代前半まででしょうか)、


1900円のフリースを筆頭に、カジュアルウエアが市場最低価格と言える1900円で買える店という「価格ポジショニング」がユニクロの集客と知名度を高めたことは間違いありません。

イチキューと言えば、アパレル市場では、ある意味、ユニクロの代名詞となり・・・

その後、カジュアルウエア市場でイチキューが多く見られるようになり、ユニクロは低価格ベーシック衣料の品質と価格の常識を変えることになります。

1900円(イチキュー)も、度重なる増税を経て、現在では、1990円(イチキュッキュウ)になりましたが・・・

ユニクロと同様のキュッキュウプライスポイント戦略を取る姉妹ブランドのGU(ジーユー)も、そのブレイクスルーに990円ジーンズなくしては、今のポジショニングはなかったことでしょう。

 

価格表示が変わる時の、店頭価格を見た時の顧客心理は敏感で・・・
わかりやすい価格をつけたところが支持され、売上を落とさず、業績を維持したというのは、

過去数回の増税時に共通することではないでしょうか?

独走が続くユニクロがあらためてアピールするキュッキュウ価格。

日本市場におけるシェアはますます高まりそうですね。

 

その一方で、懸念されるのは、同社の利益の確保のチャレンジです。

売上高については、売上数量を10%伸ばせば、値下げ分の売上高は取り戻せますが・・・粗利高はそう簡単な話ではありません。

売上高から粗利高を引いた売上原価は仕入原価と値下げ額の合算になりますが・・・

もし、売上原価がそのままで、実質9%程度の値下げをしたら、ストレートに同額の粗利高を直撃するので、
仕入原価を下げたり、在庫コントロールをして、値下げ抑制をしなければ、それまでの粗利高は確保できません。

消費税を飲み込んだ実質値下げによる、売上高維持のハードルが、売上数量10%増程度が必要なのに対して、

粗利高に関しては、ユニクロの従来の原価(50%程度)のままだとすると、そのハードルは25%増相当まで上がります。

仕入原価は商社など中間業者を介さない、いわゆる直貿(原産国企業との直接決済)比率を増やして原資にする模様。

そして、それだけではなく、緻密な値下げコントロールが要求されそうです。

あるいは、粗利高はさほど伸ばせなくても、販売管理費を圧縮して営業利益を残すという手もあるでしょう。 

ファストリの20年8月期決算では、

確かに、直貿により仕入原価を抑え(値入を高め)、なおかつ値下げコントロールにより粗利を高め、更に販管費(特に人件費)のコントロールが上手く行ったようなので、同社としては、自信を深めているようです。

今後、実質値下げをするユニクロが、企業としてどう利益をコントロールするのかに注目しておきましょう。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARA。共に価格政策にプライスポイント戦略を取りますが、その違いは?両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になります。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

 

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January 25, 2021

ユニクロアプリのウォレット機能UNIQLO Pay実装と同社が目指すゴール

Uq1月19日からユニクロアプリ内に決済機能であるUNIQLO Payを実装しました。

プレスリリース ユニクロアプリにウォレット機能「UNIQLO Pay」が登場

メディアでは、PayPayやメルぺイなどと比較する記事もありましたが、
あくまでも、同社内での決済が目的のようです。

3,000万ダウンロードという日本の小売りでも最大級のダウンロード数を誇るアプリのひとつ。

顧客は、クレジットカードまたは銀行口座(現段階では一部の銀行に限られます)を紐つければ、店舗での決済の際に、アプリを開けば、QRコードを提示するだけでキャッシュレス決済ができるというもの。

これまでは、ポイントをつけるために、アプリを提示し、決済や現金やクレジットカードやその他の決済手段が使われていましたが、

顧客はUNIQLO Payを提示すれば、財布を出さずに済む。というわけです。

ユニクロとGUはここ数年で、レジのセルフレジ化を進め、混雑時以外の人件費を大幅に軽減して、販管費を下げ、営業利益率を高めて来ました。

その間、顧客にお会計の作業ストレスを強いて来たわけですが、これからUNIQLO Payを推奨することで、財布を出す作業がひとつ軽減されることになるわけです。

また、企業側のメリットを想像すると、短期的に言えば、銀行口座紐付けが増えれば、クレジットカード手数料やその他決済手段の決済手数料が軽減され、

利用者が増えれば、顧客データを取得しやすくなり、中期的には、その分析から、品揃えやサービスやオンライン経由の顧客セグメント提案の改善につながるでしょう。

実は、この小売業のアプリの決済機能の実装ですが、日本では、まだ対応していませんが、ZARAのインディテックス社が自社開発したアプリの中にIn Walletという機能を実装し、先行しています。ヨーロッパの一部の国では、数年前から利用できるようになっています(紐つけはクレジットカードのみ)。

ZARAの目的は、レジでの決済の効率化(顧客、スタッフ双方の会計作業軽減)、店舗で買っても、オンラインで買っても、同じアプリの中に電子レシートが生成され、レシート発行不要にできる(ペーパレス)と共に、双方の購買履歴が残ることから、オン・オフどちらで買っても、どちらでも返品できる顧客の利便性です。ちなみにZARAのアプリにはポイント付与はありません。

ユニクロはそんなZARAの先行事例を参考にしたのか、業務提携しているGoogle Payを展開するGoogleのアドバイスなのかはわかりませんが、いずれにせよ、日本のファッション小売業の中ではユニクロは先行組と言えますね。

現在は、ファーストリテイリンググループ内での決済しか想定していないようですが、ゆくゆくは、もちろん、Amazon Pay Google Pay のように、社外でも使えるようにすれば、プラットフォーマーとして、決済手数料を稼せぐ、金融事業が成り立つかも知れません。

これからのライバルは小売業ではなく、GAFAだとおっしゃった柳井会長の言葉が思い出されます。

関連エントリーー世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題ですね。実はZARAも以前からベーシックが稼ぎ頭。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になるでしょう。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

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January 11, 2021

越境ECに特化して急成長を続ける中国新興アパレル企業、SHEIN(シーイン)の勢いと中国アパレルEC市場の事情

20210111_1533201月8日の日経新聞に中国から越境ECで世界に販売する新興ファストファッション企業SHEIN(シーイン)に関する記事が掲載されていました。

中国発の新興アパレル 最大手「ZARA」に挑む

同社はトップスで日本円で1000円前後から2000円くらいまでの低価格ファストファッションに特化し、中国企業ながら、中国市場ではなく、むしろ世界に越境ECで拡販する急拡大中の企業。

記事によれば、19年の年商は日本円換算で約2500億円、中国メディアによれば、20年には1兆円を超したのでは?とのことです。

この前年比4倍の1兆円!?はちょっと眉唾ですが・・・

昨年、世界でSHEINのショッピングアプリが1億1200万ダウンロードされたと聞くと相当の急成長は見込まれます。(右の画像はSHEINサイトから)

彼らの勢いは、すでに数年前から中国で耳にしていましたので、今回、日経の記者の方からこの記事のためにインタビューの依頼を頂いた時に、いよいよグローバルプレゼンスが高まって来たのだな、と思いました。

拙著「ユニクロ対ZARA」が2017年に中国語翻訳され、2017年~2019年に中国に研修講師として頻繁に招かれていた時に、多くのナショナルチェーンの幹部の方々に参加頂きました。

当時(2018年頃)、「中国で元気のよいローカルのアパレルチェーンはどこですか?」と聞くと、多くの方が口を揃えて、SHEIN(ヤングレディース中心)やPATPAT(子供服)などの越境ECをやっている新興企業の名が返って来たものでした。
実際、当事者であるそれらの企業の幹部の方々も熱心に研修をお聴きになっていらっしゃいました。

その背景には、中国のアパレル業界では、すでに大手チェーン間の競合も激しく、かと言って、ECに手をつけても、すでに広告宣伝費や販促費が高くなり過ぎて儲からない。

そんな、中国アパレルEC市場に見切りをつけて、産地としての中国のアドバンテージを活かし、海外で、しかも、出店ではなく、越境ECで売上を伸ばそうと考えた新興ブランドに最も勢いがある、という話です。

彼らは、素材と縫製の基地がある広州などに生産拠点を置き、すでにレッドオーシャンとなった中国アパレル市場ではなく、アメリカ向けや中東向けなど、ターゲットとするマーケット専用のサイトをつくり、中国で次々に小ロット、短サイクルで商品をつくり、低価格で販売して売り切ることで成長して来ました。

日経の記事が世界最大手のZARAと比較をしていますが・・・、比較には及ばない、と思われるかも知れませんが

実は、共通点があって、それは、目の行き届く本国、本社の近くで作って、世界に売り込むというビジネススタイルなのです。

とかく、トレンドファッションはトレンドの変化によって在庫リスクを抱え込むもの。
遠くで、時間をかけて安く作って商売をすることは大きなリスクになります。

ZARAが他のファストファッションチェーンにアドバンテージがある理由は、
母国スペインや近隣のポルトガル、モロッコなど、目の行き届くところでトレンド変化と過剰在庫リスクに注意しながら、小ロット短サイクルでつくり足して行くところです。

これに対して、イギリスでASOS、BooHoo、ミス・ガイデッドなどのオンライン系のファストファッション企業(ウルトラファストファッション)が台頭したのも、その多くがイギリス国内での移民労働力を活用したモノづくり(MADE IN UKの地産地消)とオンラインによるローコスト及びスピードオペレーションが背景にあります。(詳しくは「アパレル・サバイバル」をご参照下さい)

そして、今、世界の工場である中国から、同じ発想で世界に売り込む越境EC企業が台頭しているという話です。

ZARAにどれだけ迫るか?というのは面白い議論だと思います。

もちろん、ZARAが長年き築き上げて来た店頭起点のディマンドチェーンのPDCAの回し方と国際高速物流のインフラの安定性にはそう簡単にはかなわないでしょう。

しかし、

目の行き届くところで作って、世界に売るという発想を、
より人件費の安い産地から行う

しかも

オンラインで多店舗出店よりローコストと柔軟性を持って、高速で行う

というプレーヤーが出て来たことは、新しい時代の幕開けと言えるかも知れません。

目の行き届く産地でつくってリスク回避 x オンラインで世界にリーチする 
+オンラインで顧客の反応を解析しながら、つくり足す

市場低価格政策ゆえ、競合に価格で下をくぐられるリスクを抱えていることを指摘しながら、彼らが今後どんな発展をするのかに注目しておきましょう。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 ファストファッションの次の流通革新に挙げられるイギリス発ウルトラファストファッションとは?これまでの流通革新を振り返り、これから10年の流通革新を模索しています。

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December 21, 2020

H&Mとインディテックス(ZARA)の決算進捗に見る パンデミックの欧州グローバルチェーンの業績への影響

Hm2017先週、12月15日にH&Mの2020年11月期の年間売上高が発表されました。
前年比80.4%の187,025百万SEKとなり、日本円換算(SEK=12.44円)で2兆3265億円となります。

粗利高以下の利益の発表は1月29日のFull year reportを待つ必要がありますが、第3四半期までの9か月は、営業赤字。

これに対し、仮に第4四半期が第3四半期並みの黒字が出たとしたら(例年3Qと4Qの売上は同じくらい、利益率は4Qの方が若干よい)、年間ベースでは辛くも1%-2%程度の黒字で着地をしそうな感じです。

一方、ZARAのインディテックスは

2021年1月期の第3四半期9か月(20年2月-10月)が終了していますが、業績は前年比71%の売上高14,085百万ユーロ、営業利益率は6.7%の黒字です。

20年10月は一旦、前年比94%まで戻りましたが・・・
最終四半期の第2波の11月は81%、12月は10日までで87%ですが、これからの第3波がどうなるか・・・

というところですね。

仮に第4四半期が、売上高前年比80%、第3四半期並みの収益率だとすると・・・

通年ですと、前年比74%の20,858百万円ユーロ、日本円換算(€=126.1円)で2兆6303億円の予想、3Qを参考にすると、営業利益率は通年で10%前後出るかも知れません、という感じです。

欧州で約6割を売り上げる両社へのパンデミックの影響は

第2四半期から第4四半期まで影響を受けたH&Mは売上高20%減
通年、影響を受けているインディテックス(ZARA)は同26%減というところでしょうか。

上記の予測に基づき、

ユニクロのファーストリテイリングを含むグローバルチェーントップ3の2020年度売上高ランキング予想をしてみると

                    売上高
インディテックス   (21.1予測) 2兆6303億円(前比74%)
H&M         (20.11実績) 2兆3265億円(同80%)
ファーストリテイリング(20.8実績) 2兆0088億円(同87%)

というところでしょうか。

アジア中心のビジネスで、パンデミックの影響が期間、地域共に比較的少なく、
前年比87%で収まったファーストリテイリングとツートップの売上規模の差は少し縮まりそうな感じです。

関連エントリーー世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題ですね。実はZARAも以前からベーシックが稼ぎ頭。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になるでしょう。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

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