June 14, 2021

無印良品が男女兼用服のアイテムを拡大中

Muji-hk6月7日の日経新聞に無印良品が今春夏シーズンに全体の1割、25品目だったアパレルの男女兼用アイテムを秋には全体の3割、22年の来春夏には5割(250品目)に増やして行くことに関する記事が掲載されていました。

記事によれば、売場は既存のメンズやレディースコーナーに分散して置くのではなく、男女兼用アイテム専用コーナーを拡充して販売して行くようです。

同社のサイトを見ると

性別、年齢、体系ではなく、「人」という括りでサイズを展開

とあり、最近、注目されている、「ジェンダーレス」の流れに沿ったもののようです。

該当品目のサイズを見ると・・・

メンズのサイズに当てはめると

① XXS-XS  ② S-M  ③ L-XL

の3サイズ展開が中心のようで、

この3つのサイズで、女性と男性の大半の顧客の体型をカバーしようとしているようです。

ゆったり着るアイテムであれば、

大は小を兼ねる

少し大きめサイズをつくることで、対応出来そうな感じがします。

 

以前から、メンズアイテムのユニセックス対応購入という概念は当たり前のようにありましたが、

無印良品含め、最近増えてきているな、と感じる、ジェンダーレス対応アイテムが、従来のユニセックスと違うところは・・・

「ユニセックス」が、サイズ、フィット感などメンズアイテムを着たい女性の需要を取り込むという発想だったのに対し、

昨今の「男女兼用」の取り組みは、従来のユニセックス的なものをカバーしながら、どちらかというとレディース用としてデザインされた、メンズにはない、ベーシック寄りながら、ちょっと気の利いたデザインや素材感の服が着たい男性の需要を取り込むところではないか、と見ています。

ずいぶん前からですが、服のカジュアル志向が進むようになってから、メンズTシャツやスウェットなどのアメカジアイテムはユニセックス対応として、支持はありましたし(メンズで企画しても3~4割は女性に売れる)

その後、女性のボーイズスタイル、平成ブランドと言われたレディースブランドが細身の男性に着用されるブームなどを経て、男女のアイテムのクロスユースは既に十分市民権を得ていると思います。

筆者も、あるレディース売場で販売されていた、柔らかい素材感のセーターや、薄手のスウェットパーカー、はたまた、リブや附属使いなどディテールが、ちょっと気の利いたカーディガンが、これ、メンズでもありだよね、メンズは原型に従った、ありきたりなつくりが多いからね、とつぶやきながら、レディースのXLサイズの商品を購入した経験が何度かあります。

そんなアイテムはちょっと丈が短かったりという難点はありましたが、重ね着対応でローテーションに入れていたものです。

マーケティング的には、時代に合わせて多様性に応えたものかも知れませんが、
実は、新しいマーケットをつくる、潜在需要を掘り起こす動きになりそうで、関心を持って見ています。

また、販売管理面で言うと、

◎着ることが出来る人が多くなれば、数は売れますし、

かと言って、サイズを増やすと、在庫リスクを抱えることになるので、
リラックスフィットが主流になりつつあるマーケットで

◎サイズ数を絞ることができれば、在庫リスクも小さくなる

というメリットはあります。

この男女兼用アイテム的な発想は、今、業界の中でも多くのブランドに広がりつつある流れなので、今後、どのようにマーケットにフィットして行くのか・・・

業界注目トピックのひとつとして、ウォッチして行きたいと思います。

関連エントリー-色展開よりサイズ展開を増やした方が顧客層は広がる

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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May 25, 2021

これからの店舗の役割は、フィッティングルーム(試着室)がカギを握る

20180817_1257325月21日の日経MJの1面に
DtoCブランド fou fou フーフーが代々木上原に開設した
完全無人試着室が紹介されていました。

オンラインで商品を見て、試着を希望するユーザーは、ネット予約を行い、
マンションの1室に設けられたショールームに、事前に伝えられた暗証番号で入室し
一組あたり約1時間内にユーザーは自由に試着をし、
気に入った商品があれば、オンライン注文を行うというもの。

試着した写真を撮って、後で、家に帰ってゆっくり検討し、
オンライン注文することも可能です。

デザイナーのコウサカさんの noteによれば、
週3回、1日あたり3つの時間帯(45分)が予約できるようなので
月に約36組が試着可能ということ。

記事によれば、もともと、この試みは、店舗を持たずにオンライン販売にこだわる同ブランドが行っていた、全国を回る「試着イベント」での気づきから始まったそうです。

・お子さんがいらっしゃる方が、落ち着いて試着ができない、とか

・店舗スタッフのお声がけや周りで試着している人が気になって、自分のペースで試着ができないとか

・店舗スタッフがいると、試着したのに、買わないと申し訳ないとか、

そんなユーザーさんの「心の声」に気づいて、
では、誰もいないところで思う存分、試着をしてもらおう、という発想から生まれたようです。

実際利用された方は、

「試着したら買わなきゃというプレッシャーがなく、納得が行くまでアイテムやサイズを試せた」

「人目を気にせずたくさん写真をとって家でゆっくり検討できるのも嬉しい」

店舗スタッフが好意で行っている、背中を押す接客もプレッシャーに感じる人もいますから・・・

これまで、店舗でのショッピングで、試着がストレスに感じて来た人には受けるサービスではないか、と思いました。

その一方で、想定客単価と稼働率と家賃から、採算はどうなのか?と、つい計算してしまう筆者がおりますが(笑)

 

ショッピングのデジタルシフトが進み、

更に、この1年はコロナ禍で外出自粛、来店客数減で、店舗の役割を考え直す企業が増えています。

「店舗は体験の場」と言われて久しいですが、体験とは、一体、何でしょうか?

きめ細かい接客による、おもてなしでしょうか?

それもひとつだとは思いますが・・・

サイズがあり、コーディネートをして着用することが前提のファッションアイテムにおいては、

商品の現物を手に取って確認する場、そして、

自分に合うかを確かめるフィッティング(試着)の場であることは揺るぎありません。

 

先日、外出自粛で、来客が少なくなったいくつかの商業施設を視察している最中、

いくつかの店舗で、気になった服を試着していて感じたことがあります。

相変わらず、フィッティングルームって狭くて窮屈なところが多いな

そんな狭い中で着替えて、着替えが終わったか、どうかというタイミングで

店舗スタッフから「いかがですか」と声がけされて、自分のペースで試着が出来ていないことを、あらためて痛感しました。

その際、思い出したのが、

2018年に拙著「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞出版社)の取材でアメリカに行った時に訪れた、オンライン通販出身のメンズウエア「BONOBOS(ボノボス)」のショールーム店舗での店舗体験でした。

同社は、オンライン販売が出自で、試着をしてから買いたいという顧客のために、ガイドショップというショールーム店舗を全米に展開しています。(当時全米約50店舗)

顧客は店頭にならぶ商品の中から、気にいた商品を試着をし、

購入を決めた商品は、店舗スタッフに手伝ってもらって、タブレットからオンライン注文をし、

購入商品は倉庫から自宅に宅配されるというしくみです。

このお店が、通常のファッション専門店と違うのは、

◆タブレット決済なので、レジスペースがない
◆バックストック在庫がないので、店内が広い

その分

◆フィッティングルームが通常の専門店より広い
◆一緒に来た人がくつろげる、大きなソファーがある

というものでした。

これは、これから、オンライン販売比率30%台が常態化する、と予測される

リアル店舗を中心に展開するファッション専門店の未来の店舗の姿のひとつを示唆しているように思いました。

筆者は、店舗のすべてがショールームになるべきとは思っていません。

なぜなら、買ったものを持って帰りたい、あるいは、そのまま着て帰りたい、という需要は確実にあるからです。

しかし、坪効率を上げるために、店舗に、ストック在庫含めてぎゅうぎゅうに店舗に商品を詰め込むために、

契約面積に対して、商品の陳列スペースを最大限に取る、という考え方は時代遅れになって行くと思っています。

では、その時、何を起点に考え直すべきか?

常に、顧客購買行動起点で考えたいです。

店舗は、商品を確認する場、フィッティングを体験する場

そう考えると、これまで、狭く設計せざるを得なかったフィッティングルームのありかたから見直すべきではないだろうか、と

オンラインで情報を取り、店舗で商品を確かめ、試着し、自分のペースで店舗で買うか、オンラインで買うかの選択をする時代に

顧客体験としてのショッピングをデザインし直す際、

顧客が最も大切にする、フィッティングの場である「試着室」の見直しに
まずは取り組んで行くべきではないか、と痛切に感ます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 10年後のアパレル業界でのサバイバルのカギは、服のライフサイクルを意識し、顧客の持続可能なクローゼットのワードローブの循環をお手伝いすること。大量生産、過剰供給時代を超えて、新しい時代のお客様との関係構築がテーマです。

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May 17, 2021

デザイナーズコラボの取り組み精度が高まった、ユニクロ+J(プラスジェー)成功の舞台裏

20210524_1558115月17日の日経MJ紙面にファーストリテイリングのユニクロの外部デザイナーとのコラボの立役者 勝田R&D統括責任者インタビュー記事が掲載されており、大変興味深く読ませていただきました。

ジル・サンダーさんとの+J(プラスジェー)を筆頭に、クリストファー・ルメールとのUNIQLO U(ユー)など、ここ数年は、こういったプロジェクトが、実にうまくユニクロのイメージアップ、ステージアップに貢献しているなと思っています。

記事の中から、気になった箇所を少し、引用、紹介させていただきますね。

まず、勝田氏は、今回の+Jの取り組みを

09年から11年の1回目の取り組みと比べ

「より良いものを分かりやすく」
「チョイスが増えるとお客様が迷ってしまうので」
「(ジルさんの抵抗と闘いながら?かなり)商品を絞り込んだ」

とのこと。

「今回は絞ってメッセージ性を明確にしたことが
ビジネス的に成功した結構大きな要因だと思います。」

と全体を振り返っておられます。

これは、筆者の印象ですが、

09年~11年のころは・・・
+J(プラスジェー)に限らず、他の東京コレクションのデザイナーさんたちとの取り組みもそうでしたが、

それまでデザイナーコラボの連発で世界的に成果を上げていたH&Mに負けじ、と
後追いみたいに焦ってやっている感じがして・・・

デザイナーとの付き合い方が、
定まっていなかった、活かせていなかった、もったいない、
と思うことも少なくありませんでした。

当時の+Jは、
当然、オリジナルのジルサンダーのラインよりは価格は安かったのですが、

(セレクトショップのセカンドライン並み)

ユニクロよりも高い価格帯であり、
「わかる人には、わかる」域を超えておらず、

なおかつ、その割に、作り過ぎていたため、
計画通りに売れずに、過剰在庫を抱えてしまい、
販売間もなく、値下げとなり・・・

実にもったいないな、と値下げされた店頭在庫の山を眺めていたものでした。

今回は、その時のその反省も活かし、

商品を絞って、
オンライン販売と一部店舗限定販売にして、
無理に作り過ぎなかったのが

よかったのでしょうね。

また、10年前とも環境が全く違います。

ユニクロのブランドステージは高まり、

SNS時代にもなったことで、

発売までのストーリーづくりも伝え方も上手く、功を奏し、
また、期待するファンがSNSで盛り上げてくれたのも大きいでしょう。

発売と同時に、ほとんどの商品が値下げをせずに即完売だったようです。

やはり、ファッションビジネスは、何ごとも、適量、腹八分目以下の方が
お後がよろしいようで、ということですね (笑)

記事では、マーケティングや販売の側面だけでなく、

「一流のデザイナーたちとの協業の中で当社の人材も彼らと直接ガチで仕事をしてきました。これは財産です。知識としても能力としても、個人としても組織としても力が蓄えられました。」

と、ものづくりをする現場でも、デザイナーたちから、多くを得たとおっしゃっています。

確かに、プロジェクトにかかわった方々の、それぞれのデザイナーからの学び体験は、

今後のユニクロのレギュラーラインのプロダクトの質の向上にもつながって行く、貴重な未来への投資の役割も果たしていたに違いありません。

最後に、
勝田氏が一流デザイナーと交渉する時の口説き文句が紹介されていたので
引用させていただきます。

「あなたがやっているものの安物バージョンは死んでもやらんよ」

「あなたの才能をユニクロというインフラで発揮して欲しい」

と創造意欲に訴えかけるようにしている。

とのこと。

それだけ、ユニクロという「インフラ」が、グローバルでも説得力をもつようになった、自信あふれる言葉ですね。

今回の+Jの成功もきっと、これから取り組みを行おうとするデザイナーたちに対して、説得力を高めることにつながるでしょう。

今後も、ユニクロには、双方のステージアップにつながるデザイナーコラボを楽しみにしています。

 

ちょっと蛇足的な話ですが・・・

ファッションビジネスの「適量」在庫の話をすると、

筆者の在庫コントロールセミナーに参加された方に

「売れ筋商品と死に筋商品の違いは何ですか?」

という質問をさせて頂くことがあるのですが・・・

答えは、多くの方々がお答になる、

たくさん売れている商品が売れ筋で、あまり売れない商品が死に筋

ではありません。

期末に残った在庫を見て、反省すればよくわかりますが、

答えは、

どんなに数がよく売れる商品、売上ランキング上位の商品でも・・・

販売力を超えて、つくり過ぎて、大量値下げをせざるを得なくなり、損をもたらす過剰在庫分は

死に筋商品です、とお答えすることにしています。

さまざまな制約のあるアパレルビジネスでは、適量管理を肝に銘じたいところです。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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April 26, 2021

着なくなった衣服の廃棄を減らすためにできること~環境省の「ファッションと環境」レポートから

Sustainable-fashion4月23日の繊研新聞に環境省が日本で消費される衣料と環境負荷について2020年12月から2021年3月の間に調査した内容をまとめた「ファッションと環境」に関する調査結果の解説記事が掲載されていました。

記事で紹介されていた環境省の調査によれば、
2020年度 78.7万トンの不要となった衣服が家庭や事業所から手放されましたが、
うち95.4%にあたる75.1 万トンが家庭から、
残り4.6%の3.6万トンが企業や事業所から手放されたとのことです。

そのうち、家庭から手放された衣料の行き先の内訳は

・49.6万トン(66%)が可燃ゴミ、不燃ゴミとして「廃棄」され
・15万トン(20%)がリユースショップやフリマアプリ再販されたり、海外に輸出されたり古着として「リユース」され
・10.4万トン(14%)が資源回収から服の原形をとどめない、別の用途で再利用される「リサイクル」に回ったようです。

ちなみに事業所からのものは、
それぞれ、廃棄1.4万トン(38%)、リユース0.4万トン(11%)、リサイクル1.9万トン(51%)だったそうです。

※重さ(トン)ではピンとこないので、以下に数量(点数)化した数字をご紹介します。

要は、家庭から手放された衣服の2/3がリユース、リサイクルされずに、そのまま廃棄されているという実態です。

もう少し詳しく知りたかったので、

この調査結果をエンドユーザーや企業向けにまとめた環境省の関連サイト「SUSTAINABLE FASHION(サステナブルファッション)」を閲覧してみました。

https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/index.html

このサイトの主な目的は、

範囲が広すぎてどこから行動に移したらよいのかが判りづらい、
「サステナブル」という言葉を、より具体的な行動につなげてもらうために、

環境に負荷が大きいと言われるアパレル製品が
今後、大量生産、大量消費の末、大量廃棄とならないよう、

まずは、不要となって「手放された衣服」の廃棄問題にフォーカスして、
この問題を軽減するために、これから、消費者と企業が具体的に取り組めることを伝えることにあります。

こちらのサイトを見て、

まず、上記でも触れた手放された衣服の重さ(トン)ではピンと来なかったので、同サイト内の数字を使って数量化(点数化)を試みました。

計算してみると、服1着あたり平均480グラム相当

すると、

家庭から手放された点数は年間約15億点となります(一人あたりで言うと12点)

内訳は
廃棄    約10億点
リユース  約3億点
リサイクル 約2億点分

となります。こうして、点数化すると、少しは実感が湧いて来ますね。

この結果に対し、圧倒的に大多数を占める廃棄を、今後、いかに少なくするか?

このレポートでは、結果や抽象的な提言にとどまらず、

1 今持っている服を長く大切に着よう
2 リユース(再利用)でファッションを楽しもう
3 先のことを考えて買おう
4 作られ方をしっかり見よう
5 服を資源として再活用しよう

の5つトピックに対し

それぞれ

〇消費者として取り組めること

〇企業として取り組めること

を、具体的な提案(啓蒙)と共に、実際の取り組み事例が紹介されていることは評価に値します。

単に、服を買わない、持たない、という消極的な姿勢を取るのではなく・・・

服の特性をもっと理解して、1着の服と大切につきあう、活かす。

手放す時も、可燃ごみや不燃ごみとして、捨てるのではなく、

リユース店に持ち込んだり、フリマアプリなどで再販したり、寄付に回せるようにハードルを下げたり、

それでも面倒なので、消費者が手放そうとする時も、よりストレスの少ない回収インフラを整え、

着なくなった服に、第2の生命を与えるチャンスをつくることを企業が応援する。

消費者も企業も、そんなことを意識する時代に向かっている、というわけです。

この時代の流れ、筆者も2019年2月に出版した「アパレル・サバイバル」の後半部分で同様の論説を展開をしていましたので・・・

いよいよ省庁が旗を振って、そんな世の中に向かい始めるのだな、と共感、歓迎をしながら、サイトを閲覧したものでした。

こちらのサイト、最近、SNS上でも話題になり始めているので、関心のある方は閲覧をされることをお薦めします。

環境省:SUSTAINABLE FASHION(サステナブルファッション)

注:1か所だけ、服の国内供給量について触れている部分、「1990年と比較し、衣服の購買量は横ばいですが、供給量は約1.7倍に増えています。」というところ。「購買量が横ばい」という表現は間違いだと思います。
このサイトに実際に出ている数字どうしを計算しても、服の購買単価が、1990年比で47%に下がり、同購入点数は1.5倍に増えていることになりますから。購買量以上に供給量が増えていることはあり得るかな、と思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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April 19, 2021

前年比だけにとらわれない経営を

2昨年(2020年)3月から業界がコロナショックの影響を受け始め、
多くの企業で前年同月の実績と今年の同月の業績の対比(前年比)が困難になりました。

そのため今年は前々年(2019年)の実績を参考に計画を立てたり、
今年の実績を前々年対比でどうなのかを評価する機会が増えました。

販売検証をする実務の現場では、以前から前年に異常値があると、2年前対比や3年前対比はよくやる切り口なのですが、

ここのところ、各メディアのニュースでも「前々年対比」に触れる記事が多くなったように感じます。

これは2011年の東日本大震災時が比較にならなかった2012年の時以来でしょうか。

もちろん、災害については、心から、二度と起こらないことを祈りますが、
世の中が前年比だけにとらわれず、今後も、もう少し長い視野(スパン)で業績評価をするようになる傾向については歓迎したいと思います。

そもそも、「前年対比」は、平時においては、

上場企業であれば、既存店売上高の前年比が目先の株価に影響したり、

営業現場では、売上が予算に届かない時に、
予算には届かなかったが、前年よりは売れている、など、前年比を言い訳に引っ張り出すなど・・・

ある意味、最も身近な尺度のひとつかも知れません。

一方、「前年比」は比較しやすい(出しやすい)ものの、前年の状況次第では参考にならない尺度であることも少なくありません。

前年が天候やトラブルで売れなかった、逆に特需があったなど
前年のハードルが低ければ前年比が大きく伸びるのは当たり前、その逆もそうです。

特に、小売業はどうしても「前年比」という短期視点に一喜一憂しがちですが・・・

もう少し中期から長期視点で事業の推移を見るべき(3年平均成長率など)である、ということは、

筆者が「ユニクロ対ZARA」の取材時にスペイン、インディテックス社のインタビューに伺った際に、同社広報部の方とのディスカッションの中で気づかされた視点でもありました。

そんな経験もあり、同著執筆以降は、面倒でありますが3年から5年分を時系列に並べて業績を観察することを習慣というか、肝に銘じています。

特に、特定の事業のこれまでの軌跡や健康状態やライフサイクルを知る上で、取っ掛かりとしての長期(5年から10年)時系列推移分析は有効です。

グラフにして、売上や営業利益のアップダウンに着目して・・・

売上や営業利益のピークを発見し、そこで何が起こったのかを深堀りし、その時と比べて、今、何が良くて何が悪化しているのかを見て・・・

今後の伸び代や、改善余地や次の目標を考える。

これ、ここ5ー6年、筆者がコンサル現場でも、よく行っているアプローチです。

最近の例で言えば、前回のしまむらのエントリーであれば、

まず、同社の2000年以降の業績を時系列で並べてみると(以前WWDジャパンの連載で行いました)、

2017年2月期がここ20年間の売上高、営業利益のピークがあることがわかるので、

その時と比べて、足元は何が良くて、何がいまいちなのかを要素ごとに分析したりするわけです。

ところで、WWDジャパンに月イチで連載させて頂いている、
上場企業の決算書の見方を解説しながら、業務改善の切り口を浮き彫りにする連載記事

「ファッション業界のミカタ」

はおかげさまで連載スタートから2年が経過し、3年目に入りましたが、

ここでも、決算書を前年比だけではなく、3年以上時系列で見ることを心がけています。

ご存じのように、通常、決算書は前年比で構成されているので、
3年以上を比較するには、最低2期分以上の決算書を見て並べないといけないことを意味しています。

ひとつの企業にフォーカスして分析する時は

●10年以上の時系列で見て、気になるところを深掘りする

●売上高ではなく、営業利益で考える

●利益を生み出すビジネスモデル(経費構造、BS構造)から考える

また、

●公表されている数値どうしを割り算をして、
単価や単位あたりと言った、購買行動や経営の最小単位にして、その効率の推移を見て考える

●年間ではなく、四半期に分解して、複数年度比較して、アパレル特有の季節ごとのその企業の特徴やクセを掴む

などが、筆者がよく行うアプローチです。

企業の業績は、当然「顧客購買行動」なしには語れませんし、

企業の戦略、戦術には必ず経営者さんや企業のイズムやポリシーが表れますから、

決算書の数字を通して、頭の中で勝手に経営者さんや経営幹部さんと対話をすることを楽しむことにしています。

話を元に戻すと、

大変な時も、平時も、業界企業が健全な中長期ビジョンに基づいて経営するために、

前年比にとらわれず、中長期で業績を考えることを推奨したいと思っています。

【WWDジャパン主催 オンラインセミナーのお知らせ】

5月後半からスタートする、WWDジャパン主催のオンライン連続セミナーに登壇いたします。
昨年は「ユニクロ対ZARA 2020」に登壇させて頂き、好評を頂きましたが、
今年は、世界アパレル専門店企業トップテン、ZARA、ユニクロ、ZOZOの決算書から読み取るべきことが各回のテーマです。
まずは、peatixで申し込みが始まりました。
今回は、ウェビナーではなく、対話型で進めますので、人数限定です。
お早目にお申込み下さい。
WWDジャパン主催オンライン連続セミナー「ファッション業界のミカタ」

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARA。これから進む道も、経営者の経営信念、ビジネスモデルとその変遷を理解すれば、見えて来ます。両社の比較分析が、未来のアパレルビジネスを考える上で、とても参考になると確信しています。

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March 29, 2021

ZARA(ザラ)のインディテックス2020年度決算。大幅減収減益も、全世界でECと店舗の在庫一元化が完了し、盤石体制に。

Zara-onlineZARAを展開するインディテックスグループの2020年1月期決算報告 FY2020 RESULTS

に目を通しました。

同社の決算期は2月~翌1月期なので、通期(全四半期)すべてがパンデミックの直撃を受けた1年でした。

但し、営業赤字だったのは、1Q(2-4月期)のみで

通年では、

売上高 20,402百万ユーロ(日本円換算2兆5918億円)と前年比72.9%(27.1%減)

粗利率 は前年55.9%→55.8%とほぼ変わらず

販売管理費 は 前年比83.2%(16.8%減)に抑え、

営業利益 1,504百万ユーロ(日本円換算1,914億円)前年比31.5%(68.5%減)

営業利益率は前年16.9%→7.4%と下がりましたが

営業黒字で着地しました。

インディテックス社の決算発表により、大手3社が出揃い、

2020年度の世界アパレルチェーン売上高ランキングのトップ3は

1位 インディテックス(ZARA)  1月期  2兆5,918億円(1,914億円 営業利益率7.4%)
2位 H&M           11月期  2兆3,752億円(227億円 同1%)
3位 ファーストテイリング    8月期  2兆0,088億円(1493億円 同7.4%)

に確定しました。

2019年度のランキング

世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

とトップ3の順位の入れ替わりはありません。

同社の期末店舗数は

7469店舗から→6829店 と640店舗の純減です。

内訳は閉店 751店 新店 111店 96店改装(うち45店が大型化)です。

これは慌てて閉めた、というより、中長期計画の計画通り。

在庫に関しては、期末在庫は前年よりも9%少なく、

4半期ごとに見ても前年よりも10%少ない在庫水準で回していたようです。

 

今回の同社の決算の最大のトピックはECの大幅売上拡大と世界全店舗のオムニチャネル体制の完成でしょうか。

EC売上高は77%増の6,600百万ユーロ(日本円換算 8,384億円)

EC売上比率は32.3%と前年の13.2%から急増です。

このEC売上の拡大に寄与したのが、

同社のオムニチャネル施策(Fully integrated store and online platform)のコアにある

SINT(Single Inventory Integration)というコンセプトです。

要は、各国のEC向け在庫と店舗のストックルーム(バックヤード)の在庫を一元化し・・・店舗のストックルーム在庫をEC需要の引き当て対象にできるようにした、という話です。

これをリアルタイムに可能にしたのが、RFIDの全店導入完了です。

このRFIDも、自社開発。

ほとんどの企業が使っているRFIDは、主に、値札や洗濯絵表示に埋め込まれている、安価で使い捨てのチップですが、インディテックス社の場合は、全商品に、スペインの倉庫で取り付けられたセキュリティタグの中に埋め込まれています。

丈夫で高性能、更に、回収することで、何回も再利用ができるという優れものです。(高性能、1回あたりのコスト減、リサイクルで環境にも優しい)

使えるものは、再利用をするという同社のポリシーはこんな最先端のテクノロジーにも活かされているわけですね。

話をSINT(在庫一元化)に戻しますが、

同社によれば、これが、売上高比率32.3%になったEC売上高全体の中の12%分に寄与したとのことです。

通年COVID19の影響を受けても、まだ、世界一の売上規模と利益を確保したインディテックス社。

今後、同じような、ロックダウンで店舗を閉めなければならない事態になっても、商売を継続できる体制が整いました。

さまざまな変化に対して、柔軟な対応ができる、

という世界最強クラスのオペレーション・エクセレンスを見せつけた決算と言ってもよいのではないでしょうか?

近日中に世界アパレル専門店売上高ランキング2020年版も更新したいと思います。

お楽しみに。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARA。これから進む道も、経営者の経営信念、ビジネスモデルとその変遷を理解すれば、見えて来ます。両社の比較分析が、未来のアパレルビジネスを考える上で、とても参考になると確信しています。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

 

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March 08, 2021

ユニクロが4月からの税込総額表示の義務化にあたり、実質値下げ。ユニクロらしい価格戦略で更なる市場シェアの奪取を狙う。

Uniqlo-tokyo

ユニクロが4月からの税込み価格総額表示義務化にあたり、これまでの税抜き価格を税込み価格とする、実質値下げ(9%程度)をすることを発表しました。

3月4日の日経新聞朝刊にも全面広告が掲載されていました。

この4月は消費税が上がるわけではありませんが、総額表示義務化で、多くの小売業が価格戦略の姿勢を示す転機になるだろうと思っておりましたが、

関連エントリー‐コロナショック、消費税総額表示であらためて低価格が進むのか?今一度、価格政策について考えよう。

日本のアパレル最大手であるユニクロが、最も「ユニクロらしい価格戦略」を取って来たことに納得すると共に、プライスリーダーであるユニクロの市場シェアはますます高まるだろう、と確信しました。

ユニクロの躍進の歴史は、「ユニクロプライス」と言っても過言ではないプライスポイント(最多価格帯)=1900円(イチキュー)への集中の価格戦略をなくしては語れません。

その昔、多くのジーンズカジュアルチェーンのトップスのプライスが2900円中心、特価で1900円だったころ(2000年代前半まででしょうか)、


1900円のフリースを筆頭に、カジュアルウエアが市場最低価格と言える1900円で買える店という「価格ポジショニング」がユニクロの集客と知名度を高めたことは間違いありません。

イチキューと言えば、アパレル市場では、ある意味、ユニクロの代名詞となり・・・

その後、カジュアルウエア市場でイチキューが多く見られるようになり、ユニクロは低価格ベーシック衣料の品質と価格の常識を変えることになります。

1900円(イチキュー)も、度重なる増税を経て、現在では、1990円(イチキュッキュウ)になりましたが・・・

ユニクロと同様のキュッキュウプライスポイント戦略を取る姉妹ブランドのGU(ジーユー)も、そのブレイクスルーに990円ジーンズなくしては、今のポジショニングはなかったことでしょう。

 

価格表示が変わる時の、店頭価格を見た時の顧客心理は敏感で・・・
わかりやすい価格をつけたところが支持され、売上を落とさず、業績を維持したというのは、

過去数回の増税時に共通することではないでしょうか?

独走が続くユニクロがあらためてアピールするキュッキュウ価格。

日本市場におけるシェアはますます高まりそうですね。

 

その一方で、懸念されるのは、同社の利益の確保のチャレンジです。

売上高については、売上数量を10%伸ばせば、値下げ分の売上高は取り戻せますが・・・粗利高はそう簡単な話ではありません。

売上高から粗利高を引いた売上原価は仕入原価と値下げ額の合算になりますが・・・

もし、売上原価がそのままで、実質9%程度の値下げをしたら、ストレートに同額の粗利高を直撃するので、
仕入原価を下げたり、在庫コントロールをして、値下げ抑制をしなければ、それまでの粗利高は確保できません。

消費税を飲み込んだ実質値下げによる、売上高維持のハードルが、売上数量10%増程度が必要なのに対して、

粗利高に関しては、ユニクロの従来の原価(50%程度)のままだとすると、そのハードルは25%増相当まで上がります。

仕入原価は商社など中間業者を介さない、いわゆる直貿(原産国企業との直接決済)比率を増やして原資にする模様。

そして、それだけではなく、緻密な値下げコントロールが要求されそうです。

あるいは、粗利高はさほど伸ばせなくても、販売管理費を圧縮して営業利益を残すという手もあるでしょう。 

ファストリの20年8月期決算では、

確かに、直貿により仕入原価を抑え(値入を高め)、なおかつ値下げコントロールにより粗利を高め、更に販管費(特に人件費)のコントロールが上手く行ったようなので、同社としては、自信を深めているようです。

今後、実質値下げをするユニクロが、企業としてどう利益をコントロールするのかに注目しておきましょう。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARA。共に価格政策にプライスポイント戦略を取りますが、その違いは?両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になります。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

 

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December 21, 2020

H&Mとインディテックス(ZARA)の決算進捗に見る パンデミックの欧州グローバルチェーンの業績への影響

Hm2017先週、12月15日にH&Mの2020年11月期の年間売上高が発表されました。
前年比80.4%の187,025百万SEKとなり、日本円換算(SEK=12.44円)で2兆3265億円となります。

粗利高以下の利益の発表は1月29日のFull year reportを待つ必要がありますが、第3四半期までの9か月は、営業赤字。

これに対し、仮に第4四半期が第3四半期並みの黒字が出たとしたら(例年3Qと4Qの売上は同じくらい、利益率は4Qの方が若干よい)、年間ベースでは辛くも1%-2%程度の黒字で着地をしそうな感じです。

一方、ZARAのインディテックスは

2021年1月期の第3四半期9か月(20年2月-10月)が終了していますが、業績は前年比71%の売上高14,085百万ユーロ、営業利益率は6.7%の黒字です。

20年10月は一旦、前年比94%まで戻りましたが・・・
最終四半期の第2波の11月は81%、12月は10日までで87%ですが、これからの第3波がどうなるか・・・

というところですね。

仮に第4四半期が、売上高前年比80%、第3四半期並みの収益率だとすると・・・

通年ですと、前年比74%の20,858百万円ユーロ、日本円換算(€=126.1円)で2兆6303億円の予想、3Qを参考にすると、営業利益率は通年で10%前後出るかも知れません、という感じです。

欧州で約6割を売り上げる両社へのパンデミックの影響は

第2四半期から第4四半期まで影響を受けたH&Mは売上高20%減
通年、影響を受けているインディテックス(ZARA)は同26%減というところでしょうか。

上記の予測に基づき、

ユニクロのファーストリテイリングを含むグローバルチェーントップ3の2020年度売上高ランキング予想をしてみると

                    売上高
インディテックス   (21.1予測) 2兆6303億円(前比74%)
H&M         (20.11実績) 2兆3265億円(同80%)
ファーストリテイリング(20.8実績) 2兆0088億円(同87%)

というところでしょうか。

アジア中心のビジネスで、パンデミックの影響が期間、地域共に比較的少なく、
前年比87%で収まったファーストリテイリングとツートップの売上規模の差は少し縮まりそうな感じです。

関連エントリーー世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題ですね。実はZARAも以前からベーシックが稼ぎ頭。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になるでしょう。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

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November 16, 2020

着回しの利く、究極の定番を磨け

Hermes-margielaa

先週、11月11日の日経MJ の1面、「仕事着はもう買わない」という見出しに目が止まりました。

20ー30代の80人を対象にコロナショック前後で働く女性の服の消費がどう変わったかを調査した特集記事でした。

アパレル市場の中で、働く女性の服の市場は最も大きな市場のひとつ

購入単価と購買頻度がその他の客層よりも圧倒的に高めなマーケットであることは言うまでもありません。

記事の内容は、80人という限られた対象者の調査かも知れませんが、コロナビフォア・アフターの購買行動の変化の傾向はある程度浮き彫りになっているのではないかと思いました。

・商談がなければ上着はジャケットからカーディガンへ
・通勤が減れば、オフィス服の必要枚数は減る
・駅ビル中心にお買い物していた人がネットに移行して、その安さにびっくり
・巣籠もり間の断捨離でZARAのようなファストファッション系の着なくなった服を捨てて、ユニクロを買うようになった

・定番を買うようになった

一方で、

・1着あたりの価格はむしろ高くなった、という傾向もあるようです。

そして、興味深いのは、

オフィス着への支出を減らした人も、
頻度は減っても1着あたりの支出を増やした人も

1万円弱ぐらいの価格は避けるようになったのが共通点とのこと。

1万円と言えば、駅ビルのセレクトショップ系のプライスポイント。

オフィスでそつなく、小奇麗に着ることができる服の価格帯の商品群が弱くなっているのは、市況にも通じるところがあります。

そこから

ユニクロのような割安な定番や
長く着ることができる上質の逸品

といった2つの需要へ向かっている、と読み取れます。

さて、そんな傾向があぶり出されて
提供する側のファッション企業さんは、今後、どんな対応をされますか?

まず、過去に固執するより
顧客の今、それから今後の体験や生活シーンを想像する想像力が大切でしょう。

定番ベーシック志向となれば、
もちろん、ユニクロが益々強くなることが想像できますが・・・

ユニクロが全体の主役になることはない、でしょう。

ユニクロ自身もそうなろうとはしていないでしょう。
むしろ、以前から、存在感のある、「究極の脇役」になることを目指している、と思います。

(ひとりごと:今回11年ぶりに発売した+Jは、その中でも主役級かも知れませんが・・・)
 

そんな中で、これからのファッションブランド、ストアブランドの役割とは?

例えば、長く、愛着してもらえる、ブランドらしい、究極の着まわし服の開発に力を入れてみたらどうか?

おそらく、そのアイテム候補は、既にブランドの中で強みとしているアイテム群の中にあるのではないか?と思います。

そんな核となるアイテムにフォーカスして、毎年クオリティを磨きながら、・・・

それらを活かしながら、そのシーズンらしい、新しい買い足し、買い替えを提案を行う。

それが、今回の記事を読んでの筆者の感想です。

いつもお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題ですね。実はZARAも以前からベーシックが稼ぎ頭。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になるでしょう。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本


 

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November 09, 2020

ファーストリテイリング20年8月期決算に見る、国内ユニクロ事業の凄さ

Uq-tokyo-2WWDジャパンに月イチで連載させて頂いている、ファッション流通系上場企業の決算書から学びを得る「ファッション業界のミカタ」。 
本日発売の11月9日号には、先日発表された、ファーストリテイリングの20年8月期決算資料に目を通して感じたことをまとめています。

今回の決算は、国内ユニクロ事業の第4四半期(4Q=20年6月~8月)の凄さに尽きますね。

コロナショックによって、売上高前年比64%、同営業利益前年比25%と  落ち込んだ、国内ユニクロ事業の第3四半期(3Q=20年3月~5月)で、危機感を覚えた同社は、

続く第4Q(6月~8月)では、「執念」と言ってもよい、売上高前年比121%を計上し、営業利益については、前年比447%という驚異的な数字を叩き出しました。

この数字が意味するのは、

・分母の大きい3Q(春、初夏プロパーの3-5月)の国内ユニクロ事業の売上高のマイナスはカバーできなかったものの、同3Qで発生した営業利益の前年比マイナス分の約9割を4Qで取り返した。

・国内ユニクロ事業単体はコロナ禍においても、通期で売上前年比92.4%と減収も、営業利益は前比102.1%と増益。

・4Q内だけで見ると、海外ユニクロ事業とGU事業の4Qの営業利益前年比のマイナス分を国内ユニクロ事業の営業利益前年比増益分でカバーしている状態。

このように、同事業の3Qのマイナスを挽回したり、4Qに他事業が落とした営業利益をカバーするくらい、国内ユニクロ事業が頑張った、という話だけでも凄いのですが・・もうひとつ、同社にとっては、意味がある数字を計上しています。

それは、夏シーズンの収益性の改善です。

このブログでも何回か指摘させていただきましたが、日本の多くのアパレルと同様に、ユニクロも、単価が高めの秋冬で売上・利益を稼いで、春はまだしも、夏に儲からない(低利益率)という構造があります。

国内ユニクロ事業の例年の4Qの営業利益率は、2-3%と一桁台前半。19年8月期は3.3%、18年8月期に至ってはマイナス(赤字)と儲かりませんでした。

ちなみにZARAのインディテックスやH&Mは秋冬に比べ、春夏シーズンの営業利益率は安定しています。

これはある意味、日本のアパレル流通の体質的な問題で、とは言え、地球温暖化が進む日本、グローバル企業として、これから東南アジアに拡大するにあたっても、大きな課題のひとつになる、と見ていました。

ところが、20年8月期、国内ユニクロ事業の第4四半期(6-8月)は実に見事な12.3%と立派な営業利益率を上げています。

これは、売上の前年比20%増を、それだけ売るだけの在庫があって、それらを叩き売ったから成し遂げることができた数字ではなく・・・売上だけでなく、利益もしっかり確保した、ということを意味しています。

また、値下げを控えたため、在庫を残してるわけではなく、4Qに全社で行った仕入調整も含め、
現在では、FR全社で在庫水準は前年並みに落ち着ているようです。
(3Q時点では前年比20%増まで膨らんだ在庫が、4Q末には前年並みに着地)

営業利益改善の要因は、商社を介在させずに、直貿による値入(当初粗利)のアップと値下げコントロールによって粗利改善し、また、RFID、セルフレジなどIT投資で人件費が減るなど、販管費を削減した結果とのことです。

この20年8月期の国内ユニクロ事業4Qを切り出してみると、
いよいよ、「夏に弱かったユニクロ」からの脱却か? と期待ができますね。

そうすると、今後の、更なる拡大の課題のひとつをクリアする糸口がつかめたわけで・・・今後も同様の粗利&経費コントロールができれば、他のシーズンはもっと儲かる可能性も出てくるわけです。

その後、9月以降も 国内ユニクロ事業は

9月既存店売上前年比(EC含む) 110% 
10月既存店前年比(同上)   116.2%

と2か月計で既存店前年比113.8%と絶好調

今年の秋冬の気温の低さは、間違いなくユニクロにとっては、アドバンテージ。
今期も国内ユニクロ事業を中心に、いい決算になる可能性が高くなりました。

そうすると、次なる国内ユニクロ事業の課題は、

EC拡大の壁となる、ECは単価が低いと儲けづらいという出荷単価問題。

こちらについても、同社はいろいろ手を打っていらっしゃるようなので、
また、機会があれば意見を述べさせて頂きたいと思います。

関連エントリー‐世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

いつもお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になるでしょう。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本


 

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