July 06, 2022

ZOZOのWEARのフリマ機能は、メルカリ以来の新たな流通革新のきっかけになるか?

Photo_20220711113801久々に革新性を感じたニュースのご紹介です。

7月6日にZOZOが運営するコーディネートレシピ投稿アプリ、WEARからメルマガが届きました。

WEARがフリマ機能を新設し、これまでWEARユーザーが投稿した手持ち服が、WEARで売れるようになるといのこと。

これは、時代に合った、とても画期的なサービス拡充だと思いました。

しかも、その呼び水に、フォロワーの多いファッショニスタ(ウエアリスタ)14人がそのフリマに、かつて投稿した手持ち服を次々に出品するとのこと。

人気の方々所有の一点ものなのでほとんど瞬殺で売れることでしょう。

このメルマガを読んで2つのことを思いました。

ひとつは、多くの生活者が着ていない服をたくさんクローゼットに眠らせているということ

以前も投稿しように、クローゼットの休眠服の循環はファッション流通市場の大きな課題のひとつです。

関連エントリー着なくなった衣服の廃棄を減らすためにできること~環境省の「ファッションと環境」レポートから

もうひとつは、その循環の促進の一端を担うフリマアプリ。

メルカリなどが今後、更に普及するためのネックは、出品の際の商品撮影の面倒さと売買の際の買い手とのコミュニケーションのストレスであること。

WEAR利用者は、すでにアップした画像がそのまま流用出来れば、フリマ出品の作業軽減になるでしょうし、

それがわかりやすい参考スタイリングとなって、フォロワーや投稿にいいねした、体格の近いユーザーにリーチすることで、

販売チャンスも高まるでしょう。

WEARに投稿するようなファッション好きな人は手持ち服も多いでしょうし、

彼女彼らが選んだ服は、きっと多くの買い手がいることでしょう。

そして、それを売ることができれば、投稿者にとって、また新しい服の購入モチベーション、つまり服の循環にも繋がるわけです。

そんな着なくなった循環を手助けすることを通じて、

WEARは販売手数料を得て、新しいマネタイズの手段となり、販売代金を回収代行してプールできる。

販売者がそのプールされた代金でZOZOTOWNでお買い物をしやすくすれば、ZOZOTOWNとの新しい相乗効果も生まれるでしょう。

要は、まだ市場の流通の一部かも知れませんが・・・

アパレル市場の中長期的な課題である、顧客のクローゼットの服の循環の中でも、

比較的、感度の高い服の層の循環が始まるという訳です。

メルカリがクローゼットの服の循環のファーストステージ担ったとしたら、このWEARのフリマ機能はセカンドステージが始まるきっかけになるかも知れない、と妄想する次第です。

この動向、是非、注目しておいて下さい。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【参考】SPA、ファストファッション、ショッピングのデジタルシフト・・・10年周期で起こるファッション流通革新を経て、これからの課題は生活者のクローゼットの中の服の循環です。本書の後半部分では、それらに取り組む企業のチャレンジを取り上げ、問題提起をしています。

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April 25, 2022

ファッション商品の中古品販売代行、リセール・アズ・ア・サービス Resale as a Service (RaaS) の可能性

Circular-economy-aいつも楽しく読ませて頂いている日経MJ連載の鈴木敏仁さんの「米国流通現場を追う」
先週はアメリカで存在感が高まる中古ファッション商品のオンラインリセール販売企業についてのコラムでした。

アメリカの中古ファッション品のオンライン販売の大手は

一般ユーザーが手放そうとする所有アイテムの販売代行をメインとする

レディース、キッズの低価格帯から高価格帯まで有名ブランドを扱う 
thredUP スレッドアップ

ラグジュアリーに特化した
The real real ザ・リアルリアル

日本のメルカリのように一般ユーザーにファッション商品に特化してCtoC売買のプラットフォームを提供する
ポッシュマーク

などがあり、これら3社はいずれも上場企業です。

このうち、スレッドアップのビジネスモデルを紹介すると、

着なくなったファッションアイテムを手放したいユーザーから送ってもらい、

スレッドアップの倉庫で販売可能かどうか、商品を検品した上、

一定期間 預かってオンライン販売開始、

その間に売れたら販売手数料をとって代金を出品者に支払う

販売できないと判断されたもの、あるいは一定期間売れなかったものは、
ユーザーに返却するか、寄付するか、リサイクルに回すという選択肢があるようです。

この間の買い手とのやりとりはスレッドアップが代行する、というものです。 

同社の決算書のPLやBSを見ると

売上の内訳は販売代行分が75%、自社在庫販売分が25%の割合のようです。

BSを見ると、在庫日数105日分の自社在庫が計上されていますね。

上場企業ですが、規模の拡大と共に、まだまだ赤字も膨らんでいる状況です。(これは同業のザ・リアルリアルも同様)

将来性を期待して投資された、投資家からの調達資金は、
ユーザーから送られた商品の検品、在庫管理、オンライン販売の自動化のシステムなど、
主に事業拡大のための自動化に投資されているようです。

やはり、面白いなと思ったのは、鈴木さんがコラムで取り上げていらっしゃる、
自らが構築した中古販売のプラットフォームをブランド企業に提供する動き
=RaaS(リセール・アズ・ア・サービス)という取り組みです。

 ※ Resale as a Service (RaaS) はスレッドアップ社の登録商標のようです。

ブランド側はサイトにスレッドアップの中から自社ブランドに特化したサイトを埋め込み、
中古品も取り扱っているように見せることができます。

ユーザーが着なくなった同ブランドの服を回収し、
将来、ブランドでの購入に使えるクレジット(クーポン)を付与

ユーザーから送料スレッドアップ持ちで送られて来た商品は、
査定から販売およびその後の処理までスレッドアップがすべて請負うようです。

サイトを見ると、アディダス、バナナリパブリック、アバクロ、メイドウェル、アンソロポロジーなど著名ブランドが参加、

また、鈴木さんが驚かれていたように、

なんと、ウォルマートのECサイト内にも、
ブランドに関係なく、ラグジュアリーブランドから低価格ブランドまで、たくさんのブランドの中古品が販売されている格好になっています(実際には裏でスレッドアップが販売代行)。

スレッドアップのサイトにも、ラグジュアリーブランドに特化するザ・リアルリアルのサイトにも
共通して掲載されているアメリカでの服の廃棄問題についての情報をご紹介しておきましょう。

アメリカ人の2人に1人は着なくなった服をゴミとして捨てる。

そのうち73%は焼却されるか、埋められることになる。

実は、その93%はリサイクル可能なのにも関わらず。

捨てるのではなく、(私たちリセール企業に)再販のために手放してくれれば、
あなたが使わなくなったファッションアイテムは第2のユーザーに引き継がれ、

商品としての寿命を2年以上伸ばすことができる。

としています。

このサービスを利用するスレッドアップと提携するブランド企業側のメリットとしては、

これまで通り、新品だけを販売し続けるだけではなく、

大量消費、大量廃棄時代に、ユーザーが着なくなったものに対しても
配慮をしているという姿勢を示すことができること。

ユーザー側も、新品だけでなく、
状態がよい古着も、ブランドを購入する際の選択肢に加えることができること。

更に、ブランド企業側にとって、
中古品がブランドに相応しくない、手放され方、売られ方をするよりは、
どんな商品がどのような状態でユーザーから手放されるのか、販売されるのか、
目が届く範囲で購買行動と共にモニターができる、

というメリットもあるでしょう。

このような、「つくる責任、つかう責任」に関与しようとする企業活動に対して

自社で取り組むブランドもあるようですが、

自社で取り組むにはコストがかかるため、スレッドアップのような企業と組むという選択肢もありなのでしょう。

かつては中古品は新品販売と競合するため、関知しない、ことがファッション企業の常識でした。

これに対して、筆者は、拙著「アパレル・サバイバル」(2019年2月出版)で

ユーザーが使った中古品と言えども、外車流通がそうであるように、
ブランド企業自身が流通に関与する時代がやって来てもおかしくない、

中古品は状態をメンテして、ブランドのエントリー商品に位置付けることができるかも知れない、

むしろ、ブランド側は今後、積極的に関与することを考える時代が来る

そんな主旨を問題提起させて頂いたものでした。

現在、日本では、

ZOZOTOWNが新品と同じサイト内で、
ZOZO社が下取りして買い取ったブランドのUSED商品を、
同じブランドの新品販売のすぐ隣にあるタブ違い(新品/中古)で販売しているのはご存じの方も多いと思います。

中古品(USED)が購入の選択肢に入り、服の寿命が長くなることは・・・

マクロ的に見ると確かに新品マーケットの規模縮小に繋がることは否めませんが、

それは過去の企業視点の発想であって、

捨てることを前提とした消費から脱却したい、という若い世代が増えて来るにつれて、

その循環を企業がみずから管理するのか、パートナー組んで行うのか、引き続き関与しない、と決め込むのか・・・

この選択は今後、避けては通れない論点であることは間違いないと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 企業はつくって売るだけではなく、これからは企業も顧客のクローゼットのワードローブの循環を手伝う時代。著書の後半部分ではそんな循環型社会の幕開けについても述べています。

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April 26, 2021

着なくなった衣服の廃棄を減らすためにできること~環境省の「ファッションと環境」レポートから

Sustainable-fashion4月23日の繊研新聞に環境省が日本で消費される衣料と環境負荷について2020年12月から2021年3月の間に調査した内容をまとめた「ファッションと環境」に関する調査結果の解説記事が掲載されていました。

記事で紹介されていた環境省の調査によれば、
2020年度 78.7万トンの不要となった衣服が家庭や事業所から手放されましたが、
うち95.4%にあたる75.1 万トンが家庭から、
残り4.6%の3.6万トンが企業や事業所から手放されたとのことです。

そのうち、家庭から手放された衣料の行き先の内訳は

・49.6万トン(66%)が可燃ゴミ、不燃ゴミとして「廃棄」され
・15万トン(20%)がリユースショップやフリマアプリ再販されたり、海外に輸出されたり古着として「リユース」され
・10.4万トン(14%)が資源回収から服の原形をとどめない、別の用途で再利用される「リサイクル」に回ったようです。

ちなみに事業所からのものは、
それぞれ、廃棄1.4万トン(38%)、リユース0.4万トン(11%)、リサイクル1.9万トン(51%)だったそうです。

※重さ(トン)ではピンとこないので、以下に数量(点数)化した数字をご紹介します。

要は、家庭から手放された衣服の2/3がリユース、リサイクルされずに、そのまま廃棄されているという実態です。

もう少し詳しく知りたかったので、

この調査結果をエンドユーザーや企業向けにまとめた環境省の関連サイト「SUSTAINABLE FASHION(サステナブルファッション)」を閲覧してみました。

https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/index.html

このサイトの主な目的は、

範囲が広すぎてどこから行動に移したらよいのかが判りづらい、
「サステナブル」という言葉を、より具体的な行動につなげてもらうために、

環境に負荷が大きいと言われるアパレル製品が
今後、大量生産、大量消費の末、大量廃棄とならないよう、

まずは、不要となって「手放された衣服」の廃棄問題にフォーカスして、
この問題を軽減するために、これから、消費者と企業が具体的に取り組めることを伝えることにあります。

こちらのサイトを見て、

まず、上記でも触れた手放された衣服の重さ(トン)ではピンと来なかったので、同サイト内の数字を使って数量化(点数化)を試みました。

計算してみると、服1着あたり平均480グラム相当

すると、

家庭から手放された点数は年間約15億点となります(一人あたりで言うと12点)

内訳は
廃棄    約10億点
リユース  約3億点
リサイクル 約2億点分

となります。こうして、点数化すると、少しは実感が湧いて来ますね。

この結果に対し、圧倒的に大多数を占める廃棄を、今後、いかに少なくするか?

このレポートでは、結果や抽象的な提言にとどまらず、

1 今持っている服を長く大切に着よう
2 リユース(再利用)でファッションを楽しもう
3 先のことを考えて買おう
4 作られ方をしっかり見よう
5 服を資源として再活用しよう

の5つトピックに対し

それぞれ

〇消費者として取り組めること

〇企業として取り組めること

を、具体的な提案(啓蒙)と共に、実際の取り組み事例が紹介されていることは評価に値します。

単に、服を買わない、持たない、という消極的な姿勢を取るのではなく・・・

服の特性をもっと理解して、1着の服と大切につきあう、活かす。

手放す時も、可燃ごみや不燃ごみとして、捨てるのではなく、

リユース店に持ち込んだり、フリマアプリなどで再販したり、寄付に回せるようにハードルを下げたり、

それでも面倒なので、消費者が手放そうとする時も、よりストレスの少ない回収インフラを整え、

着なくなった服に、第2の生命を与えるチャンスをつくることを企業が応援する。

消費者も企業も、そんなことを意識する時代に向かっている、というわけです。

この時代の流れ、筆者も2019年2月に出版した「アパレル・サバイバル」の後半部分で同様の論説を展開をしていましたので・・・

いよいよ省庁が旗を振って、そんな世の中に向かい始めるのだな、と共感、歓迎をしながら、サイトを閲覧したものでした。

こちらのサイト、最近、SNS上でも話題になり始めているので、関心のある方は閲覧をされることをお薦めします。

環境省:SUSTAINABLE FASHION(サステナブルファッション)

注:1か所だけ、服の国内供給量について触れている部分、「1990年と比較し、衣服の購買量は横ばいですが、供給量は約1.7倍に増えています。」というところ。「購買量が横ばい」という表現は間違いだと思います。
このサイトに実際に出ている数字どうしを計算しても、服の購買単価が、1990年比で47%に下がり、同購入点数は1.5倍に増えていることになりますから。購買量以上に供給量が増えていることはあり得るかな、と思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 10年後のアパレル業界でのサバイバルのカギは、服のライフサイクルを意識し、顧客の持続可能なクローゼットのワードローブの循環をお手伝いすること。大量生産、過剰供給時代を超えて、新しい時代のお客様との関係構築がテーマです。

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March 01, 2021

アパレル製品のサーキュラーエコノミーの現状と課題

Circular-economy以前、筆者もオフプライスストアに関するセッションで登壇させていただいた、業界の勉強会組織、FashionStudiesさんからご案内を頂き、

 以前の投稿はこちらーオフプライスストアは日本で拡大するのか?

さすてなぶるファッション® オンライン ♯02
衣服リサイクル 基礎編 #02 リサイクル素材をどうマーケットに浸透させていくか 

の公開動画を視聴させていただきました。(リンク先に3本の動画があります)

 

内容は伊藤忠商事が取り組む、回収した古着、裁断くず、残反を新しいアパレル製品・繊維製品にリサイクルするプロジェクト「RENU」についてと、そのプロジェクトに参加するH&Mの取り組みについて、そして、繊維素材のリサイクルの現在と、今後の課題についてでした。

このRENUプロジェクトについて、筆者が理解したところを簡単にまとめると、

・従来から、ペットボトルなどの非繊維原料を繊維素材にリサイクルして、アパレル製品化する試みはあったが、RENUは不要繊維製品から新しい繊維素材やアパレル製品にリサイクルする試みである。

・まずは、アパレル素材で最も使われている原料のひとつである、ポリエステル素材から取り組んでいる。

・主に、中国で回収した古着、裁断くず、残反、を粉砕、分解して、薬品を使って、精度の高いポリエステル原料(チップ)に再生し、それをもとに、ベトナムなど他国も含めてアジアでポリエステル生地を製造し、アパレルおよびスポーツ衣料とする。

・従来のペットボトル原料だと、原色を抜くのに手間がかかったり、希望の色を再現する上で制限があるが、当プロジェクトはバージンポリエステル原料(従来のポリエステル原料)と同じ発色が可能になる。

・バージンポリエステル製造には石油が必要となるが、当プロジェクトでは、すでにポリエステルになっているものが原料のため、石油を使う必要がない。

・従来のペットボトルからのアパレル製品は、リサイクルは1回のみ、その後は、廃棄の対象にならざるを得ないが、このプロジェクト(回収→リサイクル→製品化→使用後→回収)の流れに乗せれば、永遠に繊維製品を繊維製品に再生できる。

とのことです。

実際、日本でも、H&M、GU、グローバルワーク、デサントなどがRENUの素材を使って、アパレルへの製品化と販売を行っているようです。

この、繊維製品から繊維製品のリサイクルの課題としては、

ひとつは、コストです。伊藤忠の方も通常のポリエステル素材よりは、生地値は高め、とおっしゃっています。

これは、現在、業界の中でも、議論が重ねられていますが、

大手、特に上場企業はESG、エンドユーザーへのアピールも含めて、サステナブルなモノづくりが喫緊の課題になっているので・・・多少、コストが高くても、企業姿勢としては、取り組むかも知れませんが、

一方、エンドユーザーである消費者は、ファッション商品は、おしゃれであること、リーズナブル価格であることが前提にありますので・・・

理解あるエンドユーザーが増えているとは言え、価格転嫁されたら、当然、販売(購入)に支障が出ますし、また、高くて、売れ残り在庫をたくさん残してしまう原因になってしまっては、もともこもありません。

伊藤忠の方は、「エンドユーザーがRENUだから買ったのではなく、たまたま、購入を決めた商品の素材がRENUだった」というビジョンを理想としています。

もうひとつは、古着の回収から再生素材にするための国際規制です。

今回のセッションの質疑応答部分で触れていますが、バーゼル条約という国際協定があって、廃棄物のひとつである古着の国際間移動は法律で制限されています。

古着や裁断くずや残反を回収した国または地域で、せめて、繊維原料、ポリエステルの場合、チップにまでする加工を施した上でないと、海外に持ち出せないということになります。(日本の古着を中国に持って行って加工はNGと理解。)

つまり、回収とリサイクルテクノロジーは同じ国または、経済圏の中で完結しなければならない、ということになります。

整理すると、

1)現状は割高となるリサイクル後の生地と製品コスト

2)回収とリサイクル素材(原料)にするまでの技術および加工を現地で完結させなければならないこと

この2つが、今回のRENUに限らず、繊維製品のサーキュラーエコノミー型リサイクルの世界的な拡大に向けての課題になるようです。

以上を理解した上で、あらためて、以前、ご紹介した、インディテックス(ZARA)のサーキュラーエコノミーの取り組みがこの2点を上手く、解決している試みであることに気が付きました。

ファッション業界のサーキュラーエコノミーの取り組み


つまり、スペイン国内(店頭と街頭)で古着を回収したり、裁断工場を持って、多くの製品の裁断をスペインおよび近隣の自社工場で行っているインディテックスは、自ら、原料となる古着や自社裁断工場から出る裁断くずや残反を供給することができます。

これらを原料として、リサイクル素材を製造するレンチング社に供給できるため、出来上がった再生素材は安価に買い戻せるのではないか?(あくまでも、筆者の憶測です。)

次に、回収、リサイクル素材製造までがEU圏内(スペインとオーストリア)で完結するので、バーゼル条約には抵触しない。

それゆえに、買い上げたリサイクル素材を使って、つくられたZARAの製品コレクション「JOIN LIFE」が従来のZARAの商品価格の変わらない価格で販売できる所以なのではないか、ということです。

サーキュラーエコノミー(循環型経済)はアパレル業界が未来に向けて避けて通れない課題。

伊藤忠は再生ポリエステルに続いて、再生ナイロンのアクアフィルとも業務提携をしたというニュースが入って来ました。

今後、日本においても、繊維再生テクノロジーが開発され、日本で回収された古着から始まるサーキュラーエコノミーが実現することを期待しています。

繊維素材・繊維製品のリサイクルに関しての現状を知る上での基礎知識が得られ、問題意識も整理できますので、関心のある方は上記リンク先のfashionstudiesさんの動画の視聴をおススメします。

今後もこのブログでは、サーキュラーエコノミーのテーマにも関心をもって取り上げて行きたいと思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 10年後のアパレル業界でのサバイバルのカギは、服のライフサイクルを意識し、顧客の持続可能なクローゼットのワードローブの循環をお手伝いすること。大量生産、過剰供給時代を超えて、新しい時代の関係構築がテーマです。

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February 22, 2021

メルカリ、ペイペイフリマ、フリマアプリの1次流通通販(EC)とのデータ連携

Closet

2月17日の日経MJにフリマアプリ大手のメルカリが、アパレル専門店大手アダストリア社他、8つのECサイトと連携し、ユーザーがECサイトで購入した新品商品が着用後に不要になった場合、手軽にメルカリに出品できるサービスを拡げて行くことに関する記事が掲載されていました。

記事によれば、20年春から始まったメルカリの提携先は・・・

アパレルECの「ショップリスト」、家電の「プレモア」、雑貨の「イデアオンライン」、今回発表したアパレル大手アダストリアの総合 ECサイト「.st(ドットエスティ)」など8社。

提携先は、今のところ、すべて、メルペイでの決済を行っているサイトのようで、

購入ユーザーがそれぞれのECサイトでメルペイで決済した商品が、メルカリのユーザーのアプリ内のマイページの中にある、「持ち物一覧」に自動で取り込まれ・・・

ユーザーが将来、その商品が不要になり、メルカリで売却したい、と思った場合、

その商品がメルカリで取引されている相場価格を元に推奨価格が表示されたり、出品の際に必要な、商品カテゴリーや商品紹介が自動表示されてユーザーの出品の手間が簡素化されるというものです。

今後、提携先とは、メルペイで決済していない場合(クレジットカードなど)も同様のサービスを提供する方向で話を進めているとのこと。

そうなると、いずれは、メルペイ決済を前提としない、多くのEC購入商品がメルカリに出品しやすくなるかも知れません。

同記事では、メルカリのライバルとなるペイペイフリマでも、ヤフーショッピング、ペイペイモール、ZOZOTOWNと同様の連携を進めていることも紹介されており、

フリマアプリ大手が

売ること(出口)を考えて、新しい商品を購入する(入口)購買行動

という、リユースショップやフリマアプリを賢く活用する、ユーザーから始まった新しい購買行動の促進を後押ししていることがわかります。

ファストファッションの市場浸透後、コロナショックによる巣ごもりの後押しもあり、
溢れ始めた自分のクローゼットの服を見直す機会が増えたエンドユーザー

流通企業が、エンドユーザーの「クローゼットのワードローブの循環」をどう手伝うか

が新品を販売する企業も避けて通れない、生き残りのカギになるであろうことを

拙著「アパレル・サバイバル」の後半部分で結構なページを割いて問題提起をさせていただきました。

一次流通企業にとっては、

大手であれば、これから、不要品回収から始まるサーキュラーエコノミー(循環型経済)への取り組みが、進むことでしょう。

一方、大手ほど資金力、組織力がない中小企業にとっては、

自身の体力内で回収、リサイクル、リメイク、アップサイクル(染め直しも含む)をすることもできるでしょうし・・・

フリマアプリなど、第三者的なデジタル企業と組んで、ユーザーが不要になった商品を、それを求める他の人に届けるための手伝いをすることもできるでしょう。 

ある意味、それも、サーキュラーエコノミーへの取り組みの一環かと思います。

過剰生産、過剰供給を見直しするだけでなく、

お客様のクローゼットを健全にメンテ、循環させることをお手伝いしながら、

顧客の既存のワードローブと相性のよい、今シーズン風の新しい服をご提案する。

それが、これから求められるファッション流通企業の姿のひとつだと思っています。

それを牽引するのは、従来のファッション企業自身なのか、
それとも、未来から逆算するテクノロジー企業なのか?

今回のメルカリやペイペイフリマの取り組みは、そんな未来図に向かうはじめの一歩のように感じられます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 10年後のアパレル業界でのサバイバルのカギは、服のライフサイクルを意識し、顧客の持続可能なクローゼットのワードローブの循環をお手伝いすること。大量生産、過剰供給時代を超えて、新しい時代の関係構築がテーマです。

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February 19, 2019

これから10年のファッション消費を考えるビジネス書「アパレル・サバイバル」発売

 筆者3冊目のビジネス書となる

 「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞出版社)

 が今週2月21日(木)に発売、書店の店頭に並ぶことになりました。


 前著「ユニクロ対ZARA」(2014年初版;リンクは2018年更新文庫本)では

 21世紀の勝ち組モデルとして

 ユニクロのベーシック衣料型SPA(アパレル製造小売業)と
 ZARAのトレンドファッションを低価格で販売するファストファッション型SPAの

 それぞれのビジネスモデルを比較することによってアパレルビジネスの構造や急所を解説させて頂きました。

 同著の初版から4年、

 日本でファストファッションブームを巻き起こしたH&Mの上陸から10年が経過し

 あらたな流通革新が起こっているのはお気づきの通りです。

 今回の流通革新は

 オフラインからオンラインへ

 企業から消費者へ
 
 価格から時間へ

 と主戦場と担い手が変わり、テーマも変わって行く大きな転換期なので

 変化のスピードはこれまで以上に速くなることでしょう。

 筆者は日本において、新たな流通革新が欧米の後を追いながら10年周期で起こると見て・・・

 ファストファッションブーム後から海外の動向を観察して来ましたが

 欧米で起こり始めたその波がいよいよ日本にもやって来たように感じています。

 本書のメインテーマは

 「ショッピングのデジタルシフト」

 「溢れるクローゼットの持続可能な循環」

 です。

 英米の先進事例の店頭体験で感じたインスピレーションをもとに

 生活者のショッピングのお困りごと起点で整理して仮説を立て

 オンラインで芽生え始めたショッピング革新の事例を多数取材して

 書き上げました。

 未来を語るので賛否両論あろうかとは思いますが(笑)

 本書がきっかけとなり

 過去の延長線上ではなく、

 生活者のお困りごと起点で

 未来の理想の状態(ビジョン)を描きながら

 そこから逆算する形で

 新しい、斬新な革新の議論が始まることを期待して問題提起をしています。

 出版社さんのご意向もあり挑発的なタイトル・表紙になっていますが・・・(笑)

 未来を前向きに考えるための一冊に仕上げたつもりです。

 店頭でお見かけになりましたら是非お手に取っていただければ幸いです。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから


 

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April 09, 2018

店頭を起点に商品・営業チームが一丸となれる最も効果的な施策

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 3月30日の繊研新聞に毎年同紙が主催する「デベロッパーが選んだテナント大賞」の各賞を受賞したブランド紹介記事が掲載されていました。
 
 毎回、受賞ブランドの好調要因やそれを支えた取り組みが紹介されており、

 また、毎年何らかの形で関与させていただいたブランドさんたちも受賞されるので

 お店の様子や活躍された方の顔を思い浮かべながら楽しく読ませていただいております。

 今回、そのトップ5であるベストセラー賞を受賞したのはビームス、ユニクロ、ユナイテッドアローズグリーンレーベルリラクシング(GLR)、サマンサモスモス(キャン)、ノースフェース(ゴールドウィン)の各ブランド

 やはり、自社の商品開発や販売力にこだわるだけでなく、店頭でのお客様最適に工夫を凝らした結果が好業績を生んでいるのだな、と納得しながら読んでおりました。

 その中からひとつ、グリーンレーベルリラクシングの事例をご紹介させていただきますね。

 同ブランドはユナイテッドアローズ社の中で最も成長を牽引するブランドの1つで・・・
 
 毎シーズン何らかの新しい施策を打ちながらECに頼らずとも既存店の増収を続けていますが、
 
 今回 紹介されていたのは、

 同ブランドが本部に店舗と同じ状態のパイロットショップをつくって行った施策についての話です。

、同ブランドでは、この施策により、

 商品企画から営業部門まで本部スタッフが実際の店頭を思い浮かべながら見え方がどうなるか、足りない商品はないかを検証しながら、シーズンMDを組み立てるようになり成果が出たとのことです。

 これと近い話は以前
 
 プロパー(正価)消化率を高める施策

 でアパレル大手のジュンさんの取り組みを紹介させていただきました。

 この際は

 店頭の型数やコーディネートの最適化が図られることによってプロパー消化率が高まるご利益があるという内容でご紹介しましたが、

 更にGLRの事例は

 シーズンMDが 店頭VMDという ビジュアルで あらかじめ可視化されることにより・・・

 本社 デザイナー、マーチャンダイザー、生産担当が よりリアルな売場を意識して仕事をするようになる ことに加え
 
 VMD担当が店頭と同じ什器をつかって表現したシーズンMDを 店舗にタイムリー、時系列で発信することによって

 店舗もシーズンMDの意図をより理解しやすくなり、あるべき店頭のイメージを掴みやすくなるというご利益を得ることができるという話です。

 具体的な店頭VMDの形で本部と店舗がシーズンMDを共有する

 この商品部 営業部が目に見えるもので商品計画を共有できる、しかも、

 それはまさしく店頭でお客様がご覧になって、入店するかどうか、購入するかどうかのきっかけになるものに他なりません。

 したがって、お客様の立場になってより具体的に議論がしやすいし、

 仮説検証、修正もかけやすいというわけです。

 筆者のクライント先でも同様の取り組みで 商品企画と販売部が共通のビジュアル(VMD)と販売計画に向かって、成果を挙げているところがいくつかあります。

 店舗まるごと1店舗分つくる必要はなく・・・

 最低限の必要な共通部分を定義して、切り出して再現するだけでも 成果は表れるものです。

 これ、簡単なようで、意外と出来ているブランドさん少ないですよね。

 日頃、店頭在庫最適化の業務改革プロジェクトの一環で店舗や本部のヒアリングを行っていると気づくのですが・・・

 本部のみなさんも、店舗のみなさんも、いい仕事をしているのにも関わらず・・・

 かみ合わないために結果が出ないというケースは少なくありません。

 そんなとき、

 誰もが反論の余地のない、

 店頭でお客様に見えるものを最適にする、

 という共通項を合意、共有できれば、

 皆が同じ目標に向かって仕事をし、掛け違ったボタンを元に戻せることもあるはず。

 そんな取り組みを応援すべく、日々仕事をさせていただいている今日この頃です。

 関連エントリー-ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング(GLR)の働く女性のための新業態で考える ファッションストアの新部門開発のセオリー
 
 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
 ※業界の発展と流通イノベーションのために・・・ファッション流通企業の経営者の方や事業スタートアップ準備中の方の応援をしています。
 時代の変化の節目にあたり、「経営お困りごとのヒアリングとビジョナリーコーチング」のキャンペーンを実施中です。 ブログ筆者の質問に答えて行くだけで・・・頭の中がスッキリ整理されるコーチング手法で事業のお困りごとを整理して今後の方向性を見出すためのお手伝いをさせていただきます。 詳しくは>>>こちらから
 
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March 13, 2018

購買行動を予測して未来の企業戦略へ舵を切れ

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 3月12日から日経新聞の1面で連載が始まった「消費変貌」はメディアや企業などがよりどころにしていた消費統計や市場統計のこれまでの常識が覆る話の連続でとても興味深く、必読です。

 3月12日(月)の1回目では、これまでケイタイ・スマホなどの通信費が被服(洋服)消費を圧迫する原因のひとつと言われて久しいものがありますが・・・

 記事によれば、「ケイタイ払い」にした商品購入は例え「服」でも「通信費」として請求が来て、家計費の統計上は通信費に紛れこむ。実際の通信費(通話料・パケット料)そのものは00年から17年にかけて半減しているのが実態とのこと。

 また、今日、3月13日(火)の2回目は、メルカリのような個人中古品売買やレンタルなどのCtoC市場の急拡大も従来のアパレルなどの業界市場統計に表しづらいという話です。

 SNS投稿するために、インスタ映えする素敵な服を購入し、一度だけ着用してフリマアプリで手放す消費者も増えているようで・・・同時に、それらをそこそこいいものが安価で買える、と喜んで購入する消費者も増えていますよね。

 そうすると、これまでの百貨店、量販店、専門店、通販のような各販路の企業の売上に基づく販路別市場統計を見て産業の栄枯盛衰を語るのではなく・・・

 消費者行動にフォーカスして、つまり、豊富になった選択肢の中での購買ポートフォリオ、ひとりの人がそれらの選択肢をどう使い分けるかを予測して、3年後、5年後の企業戦略を考えなければならない時代になったわけですよね。

 例えば、アパレル市場では、ECなどの通販の販路シェアが15%程度と言われていますが(通販専業含む)、

 今後 平均的な消費者が

 服の購入は 70%はリアル店舗で購入するが、20%はECで買い、10%は中古マーケットやレンタルを利用する

 なんて世界はそう遠くない未来に起こりそうです。

 いやいや、若い方々や新しいものをすぐに取り入れる方々はもうすでにそれ以上にECやフリマ経由が多いかも。

 ファッション専門店の経営者の方々はそれでもリアル店舗だけにこだわりますか?

 フリマアプリを敵視し、それを使っている方々の消費を見聞きして、最近の○○は消費意欲がない!と言いますか?

 それはお金がないのではなく、むしろお金を有効に使う、賢い消費者(スマートショッピング)なんではないんですか?

 そんな未来の消費を受け入れるなら・・・

 経営者の方々は世の中のリアル店舗での購入が現在の7割になった時にどんな企業戦略や経営を考えますか?という話です。

 当然、不採算店舗は遊ばせているわけにはいかないし、1店舗あたりの損益分岐点も低くなければならない
そのために、生産性向上(売場面積、人、時間当たりの売上や利益)にも取り組まなければならない 

 ドンブリではなく、より戦略的な経営をしなければならなくなるでしょう。

 仕事柄 海外専門店の財務諸表レポートにも目を通す機会がありますが、

 例えば 先進国の中でもEC化が進んでいるというイギリスで、

 EC売上比率が40%で営業利益率20%を上げるNEXT(ネクスト)という ユニクロもその昔お手本にした老舗アパレルSPA企業があります。

 そのNEXT社の財務レポートを読むと

 当社は既存店の損益分岐点は低く、例え、既存店の売上が今より下がったとしてもしっかりと営業利益が残せる体質だと何パターンかシミュレーションする箇所があったりします。

 初めてその資料を見た時はちょっと弱気な?ネガティブな印象を受けましたが・・・

 ある意味 消費が大きく変わることを前提にして・・・それでもリアル店舗が負の遺産ではないということを
株主に対して説明する勇気のある会社なんだなと受け止めることができます。

 これからは店舗の維持・拡大だけではなく、

 消費者購買ポートフォリオの変化に基づいた 販路多様化戦略と合わせて 

 既存店の筋肉質な利益体質づくりもしっかり行わなければ生き残れない時代なのだな

 そしてその変化のスピードはこれまでよりも格段に速いな

 と痛感させられることの多い今日この頃です。

 関連エントリー‐ファッション消費市場に新しい巨大販路の台頭―フリマアプリ「メルカリ」に三井物産などが84億円を出資

 関連エントリー‐世界アパレル専門店売上ランキング2016 トップ10
 
 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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February 12, 2018

ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング(GLR)の働く女性のための新業態で考える ファッションストアの新部門開発のセオリー

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 1月25日の日経新聞や2月2日の日経MJにユナイテッドアローズ(UA)が展開するグリーンレーベルリラクシング(GLR)が働く女性に向けた品揃えに特化した新業態「Lurow GREEN LABEL RELAXING」を立ち上げることに関する記事が掲載されていました。

 既存のGLRの品揃えの中から通勤や職場でも使えそうな服・雑貨を切出し、3月1日のアトレ川崎(33.9坪)の1号店を皮切りに今後数店舗の出店を予定しているようです。

 UA社 プレスリリース ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング ウィメンズオンリーショップ「Lurow GREEN LABEL RELAXING」をスタート アトレ川崎に1号店新規出店


 これまで、業界のいろいろな新業態や大型化に伴う新部門導入のニュースリリースを目にして来ましたが、

 「うーん、これは厳しそう」というケースが多い中、

 今回の同ブランドのライン・ロビング型のスピンアウト業態は大きな伸び代を感じ、とても安心して見守れるなと思いました。
 
 ※ 念のため、「ライン・ロビング」とはある専門分野に特化して品揃えを豊富にすることによって、近隣の競合店から客層を奪うカテゴリー戦略のマーケティング用語です。

 その理由は2つあります。

 ひとつは

 以前当ブログでもTOKYO BASEのCITY(シティ)立ち上げに関連した記事をエントリーしましたが、

 TOKYO BASEが都心で働く女性に向けた服の新業態「シティ」をSPA方式で本格展開


・百貨店のキャリアブランドと

・働く女性をメインターゲットとするZARAが創造したマーケット

の間には意外と各ブランドが中途半端にしか攻めていない大きなマーケットがあると思っています。

 ユニクロが万人に受ける低価格良品質のベーシックのマーケットをおさえ、

 ZARAやH&Mといった外資ファストファッションブランドやGUなどが百貨店の半額以下で低価格トレンドファッションマーケットをおさえた後の

 残された数少ない巨大マーケットのひとつ と言っても過言ではないでしょう。

 TOKYO BASEのCITYは 都心駅ビルを中心にプライスポイント10000円超の、いわばUAのビューティアンドユース(BY)くらいの価格でそのマーケットを狙い、

 今回GLRのLUROW(ルロウ;輝く+成長を合わせた造語だそうです・・・)はその価格帯の下を潜り、

 おそらく従来のGLRのプライスポイントからすると・・・

 最多価格帯 7900円あたりで駅ビルと近郊SCを股にかけても通用する価格帯で提供するのでしょう。

 それゆえ、少なくとも、前者よりは大きな売上規模になるでしょうね。

 成功する可能性が高いと思う2つめの理由は

 今回の新業態は小売業が店舗の大型化やスピンアウト型の新業態に取り組む時に

 新しい部門(カテゴリー)導入を検討するにあたり、取るべきセオリーに則っていると感じるためです。

 そもそも、その企業、あるいはストアブランドの出自(出身)や、どんなビジネスからスタートし、どんなビジネスで儲けているかは、

 「企業(ブランド)体質」や「ビジネスモデル」という観点から無視してはならないことは言うまでもありません。

 その中で非常に大事な要素は、

 顧客の視点に立てば、取扱商品の「顧客購買頻度」という観点です。

 企業側の経営数値で言えば、それにほぼ近い数値で表れる「年間商品回転率」にも置き換えることができると思います。

 つまり、既存の取扱商品と比べて、新しい部門(カテゴリー)あるいはフォーカスする部門の
「顧客購買頻度」は相対的に高いのか低いのか?という視点です。

 購買頻度が高い方向に新部門開発をする時は、相対的に商品が良く回転するので、

 「これは売れる!儲かる!」という実感がすぐ得られるので上手く行き、

 その逆は、

 当初は新しい商品が入るので新鮮に感じるかも知れませんが・・・

 すぐに「上澄み」が取られ、既存商品と比べて

 「なんでこんなに売れないの?在庫が重い!」と感じ、シビレを切らして上手く行かないケースが多いように思います。

 このロジックから、これまでの業界の歴史の中で成功したと思う成功パターンをいくつか挙げると、

○ メンズやユニセックスカジュアル中心の店がレディースの取扱いを増やす

○ 古着を扱っていたカジュアル店が新品の取扱いを増やす

○ 紳士服を扱っていたところがカジュアルウエアに取り組む

○ 生活雑貨を中心に扱っていたストアが服の取扱いを増やす

○ レディスカジュアル中心のストアが職場にも着て行けるキレイめ服を増やす

○ 子供服を扱っているストアがママのカジュアル服の品揃えを増やす

などが挙げられるでしょうか。

具体例としては

 1つめはセレクトショップやユニクロ、2つめはユーズドミックス店、3つめはユニクロなど(旧ポイント社もそうですね)、4つめは旧トリニティアーツのニコアンドやスタジオクリップなど、5つめはニコアンドやグローバルワークなど、6つめはしまむらバースデイなどあたりでしょうかね。

 一方、上記の逆を行って、成功したという事例はほとんど聴きません。

 ここ数年の中で、上記のセオリーを無視して、上手くいかなかった事例はいくつもありますが、ひとつだけ挙げると・・・

 アパレル専門店が店舗大型化のため、ライフスタイル業態に転換しようとして、生活雑貨の品揃えを増やしたケースでしょうか。上記で言えば4番目の逆パターンを行った例です。

 もちろん 例外はあるでしょうし、ビジネスの成否は、最終的には

 経営者の辛抱強さと信念をもって取り組む人材によるところにつきます。

 ただし、顧客購買行動をベースにしたセオリーを無視した新部門開発は・・・無謀と言わざるを得ませんね。

 上記の2つの観点から、

 都心部や近郊の働く女性のマーケットは購買頻度も高いですし、比較的お金もかけます。

 ゆえに、ファミリーカジュアル業態で鍛えられたGLRの新業態は「スーツ屋さん」にならなければ・・・

 高効率業態として安心して成長が見込めるのではないか?と私は見ています。

 日頃いろいろな店舗を見ていて・・・商売人が多いなと感心することが多いGLRの取り組みに

 今後とも注目しております。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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July 24, 2017

TOKYO BASEが都心で働く女性に向けた服の新業態「シティ」をSPA方式で本格展開

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 7月19日の繊研新聞に「ステュディオス」「ユナイテッドトウキョウ」を展開し、絶好調が続く新興東証一部上場企業TOKYO BASE(トウキョウベース)が、この春に「ステュディオス」の派生業態として大人の女性のための服として立ち上げていたセレクトショップ「ステュディオス・シティ」を「シティ」というブランドでSPA業態に転換するという記事が掲載されており、大変興味深く読ませていただきました。

 記事によれば、「シティ」のコンセプトは

・(都心で)働く女性向けの上質な服を

・海外ラグジュアリーブランドと同水準の生地を用い

・旬のモードトレンドを盛り込んで

・原価率50%のものづくりを行う

・素材は小売価格の20%を基準にする

 というものです。

 私も常日頃から

 都心で働く女性のための上質でコストパフォーマンスのよい服は
 
 ほとんどのアパレル企業がまだまだ攻めきれていない。 日本のみならず、

 新興国において女性の社会進出が進むにつれて、グローバルレベルでも通用するカテゴリーのひとつだと思っていました。

 要はマーケット的に百貨店キャリアブランドとZARAの間に位置づくと思いますが、

 百貨店で販売されているキャリア服(原価率20-25%)は・・・モノは良くても高くて買いづらい。

 これに対する価格とクオリティのバランスのアンチテーゼであり、また

 国内100店舗になってすでに大人の女性のワードローブの選択肢のひとつとして認知度が確立されたZARAに関しても・・・

 価格はこなれているけれども、もう少しきちっとしたい、物足りない、

 と考える働く女性のための服は

 飽和状態になったアパレルマーケットにおいて残された・・・

 数少ない?あるいは最後の巨大マーケットのひとつではないかと。

 そこに若くて、今、業界で最も勢いのある同社が取り組むのは大変興味深いなと思いました。


 ところで、1975年にアマンシオ・オルテガさんがZARAを立ち上げた時のコンセプトは・・・

 当時女性の社会進出が急速に進むスペインにおいて・・・

 オフィスで働く女性をいかにこなれた価格でおしゃれになってもらうか?でした。

 そこで独自のSPA手法を用いて百貨店クオリティのリーズナブルプライスを追求したのがZARAの始まりです。

 ZARAの創業当時の思いはグローバル展開する今でも全く変わっていません。

 そして、そんな働く女性に対する愛があるからこそZARAは世界で支持をされ続けている訳です。

 お客様に対する想いを、自らの流通革新の信念で実現する。

 TOKYO BASEの谷社長もそんな信念をお持ちであることを想像しながら、

 これからのチャレンジにも注目して行きたいと思います。

 ちょっと前の記事ですが・・・

 関連エントリー-絶好調TOKYO BASEの決算発表資料を読んで

 関連エントリー-次世代セレクトショップ、STUDIOUS(ステュディオス)の勢いが止まらない

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 【おススメ本】

 世界中の女性をおしゃれにしたい。そんな思いでスペインの西の端の街で創業したオルテガさんは信念を貫き、ZARA(インディテックス)を世界一にした。

 本書を通じて、ZARAのビジネスモデルだけでなく、オルテガさんのファッションビジネスに対する想いを感じ取って頂きたいです。

 「ユニクロ対ZARA(ザラ)」単行本 ソフトカバー(日本経済新聞出版社)

  

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