April 12, 2021

しまむら2021年2月期決算、ローカル地域密着対応とインフラを活かしたデジタルシフトが今後の成長のカギ

Photo_20210413183801前回の世界アパレル専門店売上ランキングトップ10の10社の中で、唯一増収増益で、7位に食い込んだ、しまむらの2021年2月期の決算関係書類に目を通しました。

連結で
売上高 5,436億円(前比4%増)
営業利益 380億円(同65%増)
営業利益率 6.7%

国内事業(個別)で
売上高 5,366億円(同4%増)
営業利益 382億円(同62.7%増)
営業利益率 7.1%

連結と国内事業の差が主に台湾事業で、中国からは昨年10月末に全店撤退しています。

同社もコロナ禍で第1四半期は散々でしたが・・・

第2四半期の6月以降は郊外立地中心の低価格チェーンということもあり、大きく回復し、コロナに見舞われた1年だったにもかかわらず、3年連続の減収減益に終止符を打った決算でした。

販売効率を下げながら、出店を続けていた、過去3年の失策と比べると、
店舗のスクラップ&ビルドを進め、もともと得意だった小ロット短納期生産による商品回転により、値下げをコントロールできたことが、増益要因としています。

やっぱり、多品種、小ロット、短サイクルの方が、「しまむら」らしいですよね。

しかし、過去5年間の業績を並べて、4年前の2017年2月期の売上高および営業利益のピーク時と比べると・・・

売上高は4年前(ピーク)対比95.9%、営業利益 同77.6%の水準なので、まだまだ復活というより、回復途上といったところでしょうか。

しかも、店舗および売場面積が2017年2月期対比、4年間で5%増えているにもかかわらず・・・1店舗あたり売上高、あるいは月坪売上高と言った販売効率が14%下がっているのを見ると、

メインの「ファッションセンターしまむら」は、そろそろ出店余地も限られていると思うので、成熟期にふさわしい、店舗数よりも、1店舗あたりの販売効率を回復させる経営が求められますね。

但し、ファッションセンターしまむらを筆頭に、各業態、店舗あたりの売場面積の標準化が徹底されているので、増床戦略というよりは、1店舗あたりの売場面積を広げ過ぎないように

〇販売効率が上がる好立地への移転

〇EC店舗受取りの拡大による来店促進

あたりが改善のカギになりそうです。

 

今回決算書を見ていて、一番注目したのは、まず、

1)「ファッションセンターしまむら」業態の中でどんな部門の売上が伸びているか?

また、

2)その他の業態の伸びしろを知ることでした。

同社が決算ごとにリリースしている「決算概要」は、同社のデータブックにあたりますが・・・

その中の部門別売上高・粗利益率のデータを過去5年時系列で並べて、各部門の推移を見ながら、なるほどと思ったのは、

「しまむら」業態の中で、婦人衣料や紳士衣料といったアパレル部門はここ数年売り上げの減少が続いており、伸びているのは、ベビー子供服やインテリアだということ。(直近1年もそうです)

つまり、しまむらは低価格だから、婦人・紳士アパレルがよく売れているか、と言えば、決してそうではなく、それらの減少をカバーしながら、売り上げを伸ばしているのは、大人衣料以外の部門だということです。

次に業態別でいうと、伸びしろを感じるのは、ファッションセンターしまむらやアベイルではなく、第3の業態、バースデイ(雑貨マタニティ、キッズ、ベビー衣料)業態です。

新規出店もありますが、それ以上に総売上、販売効率が伸びているのがわかります。
(4年前240店舗→21年2月末298店舗、4年前比24%増、に対し、売上高は33%増)

つまり、同社には、地域に密着した、更に、「家(おうち)」寄りの、実用的な商品に強みがある、とあらためて感じたものでした。

中国全面撤退に見られるように、海外進出は期待できない、同社ですが、

地に足をつけ、ローカル対応に更に磨きをかけながら、

また、急成長は望めませんが、

国内No1と言ってもよい、店舗網、物流網、独自開発のITのインフラを活かしたチェーンストアとしての安定感と利益体質づくりに磨きをかけて行くことを、

今後とも注目して行きたいと思います。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【参考書籍】

顧客購買行動と品揃え計画および在庫最適化を考えるビジネス読本、しまむらの強みも何話かで解説しています。

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

こちらは電子書籍 Kindle版 です。紙の本の在庫が少なくなりました。ご希望の方は弊社までご連絡頂ければご対応いたします。

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April 06, 2021

世界アパレル専門店売上ランキング2020 トップ10

4cimg0441 世界中がパンデミックの影響を受けた2020年度。 世界の大手アパレル専門店各社の決算が出揃い、売上高や営業利益などをまとめる機会ができましたので、毎年恒例になりました売上高ランキングTOP10を共有させていただきます。

 円建て比較にあたり、為替レートは2021年1月末の €=127.04円、スウェーデンクローナ=12.54円、US$=104.21円、英国£=142.95円で換算しています。 

順位 社名 本社;決算期 売上高 前年増減 営業利益 営業利益率 期末店舗数 基幹業態
1位 インディテックス (西;2021.1期) 2兆5,918億円 -28% 1,914億円 7.4% 6,829 ZARA
2位 H&M (瑞;2020.11期) 2兆3,453億円 -20%  388億円 1.7% 5,018 H&M
3位 ファーストリテイリング (日;2020.8期) 2兆0088億円 -12% 1,493億円 7.4% 3,630 UNIQLO
4位 GAP (米;2021.1期) 1兆4,380億円 -16% -898億円 赤字 3,715 OLD NAVY
5位 Lブランズ (米;2021.1期) 1兆2,344億円 -8% 1,645億円 13.3% 2,669 Bath&Body Works
6位 プライマーク (愛;2020.9期) 8,436億円 -24%  517億円 6.1% 384 Primark
7位 しまむら (日;2021.2期) 5,426億円 +4%  380億円 7.0% 2,199 しまむら
8位 NEXT (英;2021.1期) 5,183億円 -17%  548億円 10.6% 491 NEXT
9位 アメリカンイーグル (米;2021.1期) 3,917億円 -13% -282億円 赤字 1,078 AEO
10位 アーバンアウトフィッターズ (米;2021.1期) 3,594億円 -13%      4億円 0.1% 645 Anthropologie

※お断りですが、大手企業の中で、アメリカのTJXやROSSのようなオフプライス・ストアは過剰在庫の買取販売が中心ということで、除外させて頂きました。
また、非公開企業で欧州大手アパレルチェーンC&Aおよび中国で急成長中の越境ECファストファッションSHEIN(シーイン)あたりもTOP10にランクインする規模と思われますが、それぞれ、売上高がつかめなかったため、除外しております。                              

【解説】

全体を見渡すと、経営破綻した米アセナリテール(前年7位)が消え、10位以下に控えていたアメリカ企業がランクインした格好ですが、上位6位までのランキングは2019年と変わりはありません。

以下、1位から5位について、そして、気になるところにコメントさせて頂きますね。

1位のインディテックスは

通期コロナの影響を受けて大幅減収、減益も、7.4%の営業利益率を上げたのはお見事でした。

全世界の店舗でRFIDの導入と各国EC在庫と店舗ストックルーム在庫の一元管理が完了し、世界のどのアパレル専門店よりも、いち早くオムニチャネル化が完成した、と言ってもよいでしょう。

EC売上比率は店舗の売上減もあって33%に。これからは同社のDXは顧客のスマホを使った店舗での拡張体験へ、そして、次のテーマである、サーキュラーエコノミー(循環型経済)に力が入ります。

関連エントリーーZARA(ザラ)のインディテックス2020年度決算。大幅減収減益も、全世界でECと店舗の在庫一元化が完了し、盤石体制に。

2位のH&Mは

第1四半期に売上、利益の改善が見れたものの、その後、3つの四半期がコロナの影響を受けて、大幅減収、減益も、何とか黒字着地させた経費コントロールと仕入コントロール力はさすがです。

店舗閉鎖の影響もあり、EC売上比率は28%に。

これからは、遅れていたデジタル化へのアクセルが回復のカギとなるか?それとも、やはり、低価格品はECでは損益が取りづらく、苦戦するのか?注目の1年になります。

関連エントリーーH&Mとインディテックス(ZARA)の決算進捗に見る パンデミックの欧州グローバルチェーンの業績への影響

3位のファーストリテイリングは

年間のうち、半期分、コロナの影響を受けながら、市場は日本、中国が中心。欧米に比べ、市況回復が進んでいるため、欧州勢よりは、有利な環境と言えるでしょう。

特に国内ユニクロ事業の第4四半期の体質改善と踏ん張りは、柳井会長の執念を感じ、目を見張るものがありました。

今期は、3月から消費税分値下げした分を、同社がどう利益を確保するのかに注目です。

関連エントリーーファーストリテイリング20年8月期決算に見る、国内ユニクロ事業の凄さ

4位のGAPは

大幅減収赤字、GAP、バナリパで228店舗閉店とリストラが続きます(GAP事業売上前比73.0%、バナリパ事業は同57.5%)。

店舗売上減で、オンライン売上は54%伸びて、EC売上比率は45%に(前年は25%)。

5位のLブランズは

ヴィクトリアズシークレット(VS)のリストラ後の見事なV字(利益)回復と言ってよいでしょう。営業利益額だけを見ると、インディテックスに次ぐ、世界第2位の位置づけです。

ヘルス&ビューティのバス&ボディワークス(B&BW)は、パンデミックに関わらず、店舗が前年並みをキープし、既存店+ECが45%増と大躍進。ECは倍増で、いよいよVSとB&BWの売上が逆転しました。

ヴィクトリアズシークレットの店舗の整理はついたようなので、今期は大幅増収増益が期待できそうです。

関連エントリーーファッション&ビューティー市場の変化を見極め、事業ドメイン転換で勝ち残る、米 L Brands(エル・ブランズ)

以下、6位以下で、めぼしいところを付け加えますと、

しまむらがトップ10企業の中で唯一の増収増益。なんと、7位に浮上です。

これは、品揃え改革(同社らしい多品種小ロット高速回転の原点回帰)によって、かつての販売効率を回復しつつあるのが大きな要因です。

一旦、かつての販売効率まで戻った後、出店余地の限られる日本国内で、どのように、収益を伸ばすのかが、焦点になります。

8位のネクストは、得意の店舗網、物流網を活かし、クリック&コレクト(オンライン注文の店舗受取り)を上手く併用しながら、オンライン売上比率が昨年の50%から65%まで高まりました。

今後、力を入れるのは、そのインフラをフル活用した、他社ブランドのEC事業(オンライン受注から配送まで)を、まるっと代行するという、NEXT TOTAL Platform戦略への取り組みとのこと。これは、興味深いです。

この取り組みは、確立されたチェーンストアとして、違った意味で、世界一のインディテックスよりも先を行っている発想かも知れません。

今後、デジタルシフト後のチェーンストアのありかたの一例として、今後、深堀りしたいと思います。

さて、まだまだ、パンデミックの影響が残る、2021年度のランキングはどうなるでしょうか。

筆者としては、ZARAのインディテックス、ヘルス&ビューティへのドメインチェンジが進むLブランズ、チェーンストアの強みを活かしつつ、プラットフォーマーとしての付加価値を追求するNEXTの3社に注目したいです。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になることでしょう。

 「ユニクロ対ZARA」(2014年発売) を2018年のデータでアップデートした文庫本です。

いつもお読み頂きありがとうございます。

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March 29, 2021

ZARA(ザラ)のインディテックス2020年度決算。大幅減収減益も、全世界でECと店舗の在庫一元化が完了し、盤石体制に。

Zara-onlineZARAを展開するインディテックスグループの2020年1月期決算報告 FY2020 RESULTS

に目を通しました。

同社の決算期は2月~翌1月期なので、通期(全四半期)すべてがパンデミックの直撃を受けた1年でした。

但し、営業赤字だったのは、1Q(2-4月期)のみで

通年では、

売上高 20,402百万ユーロ(日本円換算2兆5918億円)と前年比72.9%(27.1%減)

粗利率 は前年55.9%→55.8%とほぼ変わらず

販売管理費 は 前年比83.2%(16.8%減)に抑え、

営業利益 1,504百万ユーロ(日本円換算1,914億円)前年比31.5%(68.5%減)

営業利益率は前年16.9%→7.4%と下がりましたが

営業黒字で着地しました。

インディテックス社の決算発表により、大手3社が出揃い、

2020年度の世界アパレルチェーン売上高ランキングのトップ3は

1位 インディテックス(ZARA)  1月期  2兆5,918億円(1,914億円 営業利益率7.4%)
2位 H&M           11月期  2兆3,752億円(227億円 同1%)
3位 ファーストテイリング    8月期  2兆0,088億円(1493億円 同7.4%)

に確定しました。

2019年度のランキング

世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

とトップ3の順位の入れ替わりはありません。

同社の期末店舗数は

7469店舗から→6829店 と640店舗の純減です。

内訳は閉店 751店 新店 111店 96店改装(うち45店が大型化)です。

これは慌てて閉めた、というより、中長期計画の計画通り。

在庫に関しては、期末在庫は前年よりも9%少なく、

4半期ごとに見ても前年よりも10%少ない在庫水準で回していたようです。

 

今回の同社の決算の最大のトピックはECの大幅売上拡大と世界全店舗のオムニチャネル体制の完成でしょうか。

EC売上高は77%増の6,600百万ユーロ(日本円換算 8,384億円)

EC売上比率は32.3%と前年の13.2%から急増です。

このEC売上の拡大に寄与したのが、

同社のオムニチャネル施策(Fully integrated store and online platform)のコアにある

SINT(Single Inventory Integration)というコンセプトです。

要は、各国のEC向け在庫と店舗のストックルーム(バックヤード)の在庫を一元化し・・・店舗のストックルーム在庫をEC需要の引き当て対象にできるようにした、という話です。

これをリアルタイムに可能にしたのが、RFIDの全店導入完了です。

このRFIDも、自社開発。

ほとんどの企業が使っているRFIDは、主に、値札や洗濯絵表示に埋め込まれている、安価で使い捨てのチップですが、インディテックス社の場合は、全商品に、スペインの倉庫で取り付けられたセキュリティタグの中に埋め込まれています。

丈夫で高性能、更に、回収することで、何回も再利用ができるという優れものです。(高性能、1回あたりのコスト減、リサイクルで環境にも優しい)

使えるものは、再利用をするという同社のポリシーはこんな最先端のテクノロジーにも活かされているわけですね。

話をSINT(在庫一元化)に戻しますが、

同社によれば、これが、売上高比率32.3%になったEC売上高全体の中の12%分に寄与したとのことです。

通年COVID19の影響を受けても、まだ、世界一の売上規模と利益を確保したインディテックス社。

今後、同じような、ロックダウンで店舗を閉めなければならない事態になっても、商売を継続できる体制が整いました。

さまざまな変化に対して、柔軟な対応ができる、

という世界最強クラスのオペレーション・エクセレンスを見せつけた決算と言ってもよいのではないでしょうか?

近日中に世界アパレル専門店売上高ランキング2020年版も更新したいと思います。

お楽しみに。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARA。これから進む道も、経営者の経営信念、ビジネスモデルとその変遷を理解すれば、見えて来ます。両社の比較分析が、未来のアパレルビジネスを考える上で、とても参考になると確信しています。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

 

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March 22, 2021

在庫情報を可視化すれば、商品チーム、販売チームが自走組織に変わる

Ministry-of-supply-pos何度かオンラインセミナーに登壇させていただいている、在庫問題を解決するクラウドサービスを提供する「フルカイテン」さんのシステム導入事例セミナーを視聴させていただく機会がありました。

3月11日のその回は通販大手フェリシモグループでhaco!を運営する株式会社cd.社の葛西社長が
同社のシステムを導入して半年で会社の在庫への取り組み姿勢がどう何か変わったのかを語る内容でした。

システム導入前までは、担当者が商品の売上・在庫判定データをExcelで加工するのに
朝から夕方まで、ほぼ丸1日かけていた作業が・・・

導入後は、データ出力が1時間程度でできるようになり、営業時間の多くが、資料の作成業務ではなく、判断とアクションを中心に時間が割けるようになった、という話から始まりました。

帳票づくりに半日以上かけている企業さんって結構あると思います。

同社によれば、
以前は当シーズンに仕入れた商品在庫こそ見ていたものの、

前シーズン以前に仕入れて売れ残った在庫は、わざわざ出力努力をしなければ、見ることができず、いわゆる塩漬けになっていたそうです。

これに対して、全在庫データが稼働状況に応じて分類された上で、販売と在庫に関わっている担当者たちに見えるようになって、
何が変わったか?というと・・・

「奥にしまってあったものが手前に出て来た」イメージで

そうすると、担当者たちに、何とかこれも販売できないか、在庫を減らせないか、という気持ちが芽生え始め、

今シーズンでも十分に着ることができる旧在庫商品を積極的にコーディネート提案に使うようになったり、

また、そんな思いと活動が、お客様への商品出荷を担っている倉庫で働く方々にも伝わり、

倉庫スタッフの発案で、倉庫発信で売れ残り在庫を売り切るためのユーザー向けライブコマース(オンラインの即売会)が開催されるようになったとのことです。

その結果、会社としては、仕入れを減らした年であったにもかかわらず・・・売上は減らず、在庫がみるみる減って行ったそうです。

今では、仕入担当者の在庫に対する意識が高まり・・・

毎年、売り逃しをしないように、ただ、たくさん仕入れるという考えたではなく、
必要な仕入れのありかたを考えるようになった。

とのことです。

haco!の葛西社長はシステムを導入すれば問題が解決する、という話ではなく、

●システムには面倒な計算をしておいてもらって、
●人がそのデータを活用してどんな判断をするか?

の役割分担だ、と話を結びます。

そして、在庫を売り切って、増えた現預金を今後、何に投じるか?に触れ、

経営陣の頭は損益計算書(P/L)から貸借対照表(B/S)に移り・・・

お客様のための場をつくり、場を改善するためのシステム投資(無形固定資産)に使いたい、と意気込んでおられるようです。

これからの時代、在庫をしっかりキャッシュに換え、システム投資を行う企業が増えることを期待しています。

実際、多くの世界の大手ファッション流通企業のB/Sを分析していると、そういうビジネストレンドが起きていることに気づきます。

見えないものは、行動に移せない。

状況が手に取るように可視化すれば、現場は工夫を始め、現状の改善が進み始めるもの。

というのは、筆者も多くの現場でビフォア/アフターを体感してきたことです。

少し、筆者の昔話をさせて頂くと・・・

筆者のアパレル小売業でのキャリアの始まりは、服飾雑貨や靴を扱う雑貨バイヤーでしたが、

着任当初は、いきなり、前任者が残した靴の過剰在庫に苦しめられ、新規仕入を全くすることができない「買えないバイヤー」の苦労から始まりました。

そんな状況の中で、週末には全店を巡回して、実際に自ら販売をしながら各店の在庫状況を確認し、

時間をかけて、各店から全店の全商品のサイズ別在庫状況が確認できるようにデータの整備を行ったところ・・・

その後は、各店のスタッフたちがお取り寄せ(客注)を活発化させ、在庫が売上に変わり、過剰在庫がみるみる減り始めたものでした。

要は、各店は在庫を減らすことに協力してくれなかったのではなく、

お客様は欲しがっていても、在庫がどこにどれだけあるかが、わからないため、やみくもに在庫照会の電話をかける訳にもいかず、取り寄せ販売ができなかっただけだったのです。

そんな過去の経験も思い出しながら、haco!さんの事例を聴いていました。

会社の在庫のことを心配しない従業員はいないでしょう。

そして、在庫量やその在処(ありか)が手軽にわかるような環境に置かれれば・・・

社員の中から、考え始め、行動に移すスタッフが出て来るものです。

これは、筆者のその後の事業会社勤務時代でも、また、

独立後に、お手伝いさせていただいた多くのコンサル現場でも・・・

在庫状況の実態の現場担当者への可視化が、変革のきっかけになることを感じて来たものでした。

これから、更に、オムニチャネル時代になって・・・

ECだけでなく、店舗、倉庫を含め、全在庫のデータが可視化され、
在庫のステイタスが、販売チーム全員に手に取るようにわかるようになると・・・

まずは、チーム全員がお客様のお買い物を手伝う情報として在庫情報を活用し始め、続いて過剰在庫の消化方法も考え始める。

オムニチャネル化(販売と在庫のデジタルシフト)の本当のメリットは、

ECという新しい販路ではなく、そんな環境が構築されることではないでしょうか?

業界全体がそんな方法に向かってゆくビジョンを持ち、そんな環境づくりが行われることを、引き続き応援して行きたいと思います。

参考:今回触れさせて頂いた、フルカイテンさんとhaco!さんのオンラインセミナーの内容は、レポートとして、こちらからダウンロードしてお読みいただけます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 ファストファッションブーム後の顧客のファッションライフスタイルを考える。10年後のアパレル業界でのサバイバルのカギ、これからの顧客との関係構築がテーマのビジネス読本です。

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March 15, 2021

ファッション&ビューティー市場の変化を見極め、事業ドメイン転換で勝ち残る、米 L Brands(エル・ブランズ)

Bbwアメリカでヴィクトリアズ・シークレットを展開する米Lブランズ社の2021年1月期決算速報が発表されたので、目を通しました。

売上高  1兆2403億円  (前年比92%)
営業利益 1,653億円  (前年比611%)
営業利益率 13.3%
($=104円換算)

コロナ禍のアメリカ市場中心の同社が減収ながら、増益という恐るべき数字をたたき出しました。

実は、前年の2020年1月期、パンデミック前にヴィクトリアズ・シークレットのダイナミックなリストラを敢行して、大幅減益としていたので、リストラを経てのV字回復なわけですが、それにしても、この規模でのこの利益は素晴らしいです。

その理由を探ってみましょう。

まず、主力業態のヴィクトリアズ・シークレットは全体の2割にあたる248店舗の大量閉店および店舗のFC移管で同事業自体の売上高は前年比72%と大幅減。

店舗とオンラインの内訳は、店舗売上高が前年比55%、残った既存店は前年比増収、そして、オンライン売上高は131%と伸びました。

一方、もう一つの主力業態である、ヘルス&ビューティー部門のバス&ボディワークスの店舗売上高は前年並み(100%)、オンライン売上が209%増と倍増し、事業全体としては前比120%の大躍進です。

この結果、ヴィクトリアズシークレットとバス&ボディワークスの2つの事業売上規模が入れ替わり、同時に、見事な復活を果たしたというわけです。
              2019年度 → 2020年度
バス&ボディーワークス      42%  → 54%
ヴィクトリアズ・シークレット   58%  → 46 %

また、この1年で、会社全体のオンライン売上比率は21%から35%となりました。

 

同社は、THE LIMITED STORE(リミテッド)やEXPRESS(エクスプレス)といったレディースウエア業態で、GAP社よりも先にSPA(アパレル製造小売業)ビジネスモデルで全米一位に登りつめたアパレル企業です。

店頭でのテスト販売や生産地からの空輸を駆使した、独自の高速サプライチェーンやQR対応も十八番です。

ヘンリ・ベンデル(今回のリストラで廃業)やアバクロンビー&フィッチ(分社化、別会社)も同社が買収後に規模を拡大したことで知られています。

同社は、2000年にH&Mがアメリカに上陸し、フォーエバー21と競合しながら、全米がファストファッションの渦に飲み込まれると、

2007年に、レッドオーシャン市場になったアパレル事業に見切りをつけて売却し、

一方、ランジェリー&ホームファッションのヴィクトリアズシークレットやピンクに事業の軸足を移し、ファストファッションと競合をせずに営業利益率の高い高収益企業として、

売上規模もGAPに続く全米2位、グローバルでも4ー5位クラスのファッションチェーンとしての企業規模もキープします。

2016年頃から、メイン業態であるヴィクトリアズ・シークレットが時代に合わなくなって業績失速するや、

その事業に執着することなく、ヘルス&ビューティー部門のバス&ボディワークスに軸足を移し、この度、何と、コロナ禍の最中にも関わらず、事業転換を完了させてしまうという、実に見事な変身を成し遂げました。

アパレルからランジェリー&ホームウエアへ、そしてヘルス&ビューティーへ

女性を取り巻く、ファッション&ビューティーマーケットで既存ビジネスに執着せず、顧客にとって、付加価値のあるところに機を見て乗り換え・・・得意のサプライチェーンマネジメントを活かしながら、応用して行く、創業者のレスリー・ウェクスナー氏のビジネスマンとしての商才には脱帽せざるを得ません。

市場の変化に対して、ここまで先を見て事業転換をできる経営者さんは、世界を見渡しても、そうはいらっしゃらないでしょう。

日本を見渡すと、マッシュホールディングスの近藤社長の着眼点がそれに近いかも知れません。

同グループは、常に、顧客のライフスタイルを中心に考え、上手にアパレル→ホームウエア→ヘルス&ビューティと多角的な事業拡大を果たしていらっしゃいますね。

Lブランズ社は日本ではあまり知られていないファッション&ビューティ系チェーンですが、その変遷をたどると、世界のファッション系チェーン企業が見習うべきことはたくさんありそうです。

是非、過去から今後の動向をお見逃しなく。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 ファストファッションブーム後の顧客のファッションライフスタイルを考える。10年後のアパレル業界でのサバイバルのカギ、これからの顧客との関係構築がテーマのビジネス読本です。

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February 22, 2021

メルカリ、ペイペイフリマ、フリマアプリの1次流通通販(EC)とのデータ連携

Closet

2月17日の日経MJにフリマアプリ大手のメルカリが、アパレル専門店大手アダストリア社他、8つのECサイトと連携し、ユーザーがECサイトで購入した新品商品が着用後に不要になった場合、手軽にメルカリに出品できるサービスを拡げて行くことに関する記事が掲載されていました。

記事によれば、20年春から始まったメルカリの提携先は・・・

アパレルECの「ショップリスト」、家電の「プレモア」、雑貨の「イデアオンライン」、今回発表したアパレル大手アダストリアの総合 ECサイト「.st(ドットエスティ)」など8社。

提携先は、今のところ、すべて、メルペイでの決済を行っているサイトのようで、

購入ユーザーがそれぞれのECサイトでメルペイで決済した商品が、メルカリのユーザーのアプリ内のマイページの中にある、「持ち物一覧」に自動で取り込まれ・・・

ユーザーが将来、その商品が不要になり、メルカリで売却したい、と思った場合、

その商品がメルカリで取引されている相場価格を元に推奨価格が表示されたり、出品の際に必要な、商品カテゴリーや商品紹介が自動表示されてユーザーの出品の手間が簡素化されるというものです。

今後、提携先とは、メルペイで決済していない場合(クレジットカードなど)も同様のサービスを提供する方向で話を進めているとのこと。

そうなると、いずれは、メルペイ決済を前提としない、多くのEC購入商品がメルカリに出品しやすくなるかも知れません。

同記事では、メルカリのライバルとなるペイペイフリマでも、ヤフーショッピング、ペイペイモール、ZOZOTOWNと同様の連携を進めていることも紹介されており、

フリマアプリ大手が

売ること(出口)を考えて、新しい商品を購入する(入口)購買行動

という、リユースショップやフリマアプリを賢く活用する、ユーザーから始まった新しい購買行動の促進を後押ししていることがわかります。

ファストファッションの市場浸透後、コロナショックによる巣ごもりの後押しもあり、
溢れ始めた自分のクローゼットの服を見直す機会が増えたエンドユーザー

流通企業が、エンドユーザーの「クローゼットのワードローブの循環」をどう手伝うか

が新品を販売する企業も避けて通れない、生き残りのカギになるであろうことを

拙著「アパレル・サバイバル」の後半部分で結構なページを割いて問題提起をさせていただきました。

一次流通企業にとっては、

大手であれば、これから、不要品回収から始まるサーキュラーエコノミー(循環型経済)への取り組みが、進むことでしょう。

一方、大手ほど資金力、組織力がない中小企業にとっては、

自身の体力内で回収、リサイクル、リメイク、アップサイクル(染め直しも含む)をすることもできるでしょうし・・・

フリマアプリなど、第三者的なデジタル企業と組んで、ユーザーが不要になった商品を、それを求める他の人に届けるための手伝いをすることもできるでしょう。 

ある意味、それも、サーキュラーエコノミーへの取り組みの一環かと思います。

過剰生産、過剰供給を見直しするだけでなく、

お客様のクローゼットを健全にメンテ、循環させることをお手伝いしながら、

顧客の既存のワードローブと相性のよい、今シーズン風の新しい服をご提案する。

それが、これから求められるファッション流通企業の姿のひとつだと思っています。

それを牽引するのは、従来のファッション企業自身なのか、
それとも、未来から逆算するテクノロジー企業なのか?

今回のメルカリやペイペイフリマの取り組みは、そんな未来図に向かうはじめの一歩のように感じられます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 10年後のアパレル業界でのサバイバルのカギは、服のライフサイクルを意識し、顧客の持続可能なクローゼットのワードローブの循環をお手伝いすること。大量生産、過剰供給時代を超えて、新しい時代の関係構築がテーマです。

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February 15, 2021

売上は仕入(MD)、粗利は在庫運用(DB)で決まる

Last-chance-to-buy先週の2月9日 小売・卸売・製造小売業の在庫問題を解決するクラウドサービス「FULL KAITEN」を提供する
フルカイテン さんのオンラインセミナーに登壇させて頂きました。

前半は筆者からのプレゼン、続いて、後半は、フルカイテンの瀬川社長とアパレル小売業の在庫と粗利についての対談をさせ頂きました。

前半のプレゼンでは、

過剰在庫と在庫コントロールをテーマにして
規模の拡大と共に過剰在庫を抱えてしまう要因のひとつに、

バイヤー(MD)と店頭やECサイトで購入するお客様の間に

関与する職務と人員が増えて、複雑になった組織の中で

コミュニケーションギャップが発生し、
それが原因で売り逃しが発生することが少なくない

という話をさせて頂きました。

仕入れた在庫の売り逃しを少なくすべく、
商品計画を販売管理につなげる上で、

仕入担当と販売担当のコミュニケーションギャップを最小限にするための対処策として、

筆者がコンサル現場で、実感している

・いつ売るか?(がんばりどころ)
・何を売るか?
・いつまでに売り切るか?

を決めて、店舗やECなどの販売担当者が行動に移せるように、わかりやすく共有することの大切さと着眼点をお話ししました。

この問題、

筆者は、長年、数多くの年商2~30億円から100億円くらいのステージの事業やブランドさんたちとお付き合いをしていて思うのですが、

多くの事業が、年商10億円くらいまではイケイケで売上も伸ばし、在庫消化もそれなりに出来たとしても…

年商が20億円を越えて、約3倍に相当する、30億円の声が聞こえる規模になると、

結構、残在庫問題が経営課題のひとつとして、浮上し、深刻化し始めると感じています。

 

要は、バイヤーやMDによる商品仕入が大事なのは間違いないのですが、それがすべてではなく、

期中の在庫運用、すなわち、現場の立ちまわり方、タイムリーな売り切り行動こそが、

営業利益の原資となる粗利額を増やし、在庫をキャッシュに換えるカギになって行く、

仕入と売り切りの両輪を上手く回さないと利益もキャッシュも不安定なステージになるものです。


仕入れた在庫を活かすも殺すも在庫運用次第 

それは、販売する側を責める問題ではなく、その前提として、「仕入の意思」が現場に伝わっているか、どう伝わっているかに寄るところが大きいということです。

そんな壁に直面した時、全員参加型の経営に舵を切る第一歩となる・・・

販売担当たち(DB、SV 、EC)が、MDやバイヤーの商品展開計画を理解しながら、
自ら考え、タイムリーな在庫コントロールをする「自走組織」に変えていゆく上でのカギ

についてお話ししました。

後半の瀬川社長との対談では、

瀬川さんの気づきと聴講された方々の質疑応答を通じて、

実際、クライアント企業の経営者さん、幹部さん、現場の方々とも、普段、交わしている生々しい話がいくつも飛び出したと思います。

 

ファッションビジネスに携わっていると、どうしても、何を仕入れるかに頭が集中しがちです。

その一方で、粗利はシーズン中の行動次第で残すこともできるし、簡単に失ってしまうこともあります。

そんな状況に対して、「気合」や「どんぶり」ではなく、

いかに、諦めずに執念をもって在庫を粗利額に換えられるか・・・

同じ目標管理をする組織の中でも、

次のステージを迎えるために、

特に、仕入と店舗やEC販売のハブ的存在となる
ディストリビューターや在庫コントローラー(以後DB)の役割の見直しと戦力化は避けては通れません。

DBはある意味、販売サイドに対する、バイヤーやMDの二人三脚の分身であり、
忙しくて足元の課題に気づけないMDを客観視して、気づきを与える女房役

DBという職務の戦力化、組織の中での販売情報のHUB(ハブ)として機能するかどうかが、
次のステージを乗り切るための第一歩となります。

今回の記事のタイトルの

売上はMD、粗利はDB

とは

正しく、クライアント企業の経営者さんが、在庫コントロールに取り組んだ結果、

危機を乗り越え、最高益を続けた後におっしゃった言葉ですが・・・

同時に、筆者の長年の信念と活動をシンプルに言語化して頂いたフレーズでもあります。

コロナショックで仕入を絞って、少ない在庫で利益を稼がなければならない、今こそ、

仕入れた在庫をチームワークで活かしながら運用して、最大限の粗利とキャッシュに換えるための・・・
全員参加型経営にむけての業務再構築に力を入れたい時、だと思います。

関連エントリー一律値下げでは過剰在庫問題は解決しない

関連エントリー気温に合わせて品ぞろえ計画、在庫運用を考え直す

関連エントリー過剰在庫を持ち越さないために


執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【お知らせ】
筆者が講師を務める、経営者様、事業責任者様向けビジネスセミナー

3つの視点を共有すれば、過剰在庫が粗利とキャッシュに換わる!
「ファッションストアの在庫コントロールのための組織と業務」

が 2021.3.25 15:00~18:00 @オンライン

で開催されます。

これから事業で本格的に店舗およびECの在庫コントロールに取り組みたい、
再構築をしたい、組織と役割を見直したいという企業経営者様、事業責任者様向けの内容です。 

参加をご希望の方は 

https://dwks.cocolog-nifty.com/fashion_column/2021/02/post-823003.html

に詳細がございます。 15名様限定(2月20日現在、まだ空き席がございます。)

【参考書籍】

顧客購買行動と品揃え計画および在庫最適化を考えるビジネス読本

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

こちらは電子書籍 Kindle版 です。紙の本の在庫が少なくなりました。ご希望の方は弊社までご連絡頂ければご対応いたします。

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February 01, 2021

2月9日(火)10:30~12:00 ファッション専門店・EC事業の事業拡大局面における過剰在庫対策に関するオンラインセミナーのお知らせ

Seminar210209main来る2月9日(火)午前10:30~12:00 このブログの筆者である齊藤孝浩(タカ・サイトウ)

小売・卸売・製造小売業の在庫問題を解決するクラウドサービス「FULL KAITEN」を提供するフルカイテン株式会社の瀬川社長とオンライン対談を行います。

前半に筆者(齊藤孝浩)から、在庫コントロールを行う上でのポイントについてのミニ講義をさせて頂き、

後半はフルカイテン瀬川社長と齊藤のファッション商品の在庫に関する対談となります。

今回のテーマはファッション専門店・EC事業が売上拡大局面において、過剰在庫を抱えてしまう転換点における組織と業務再構築の着眼点です。

年商が10億円を超え、30億円が視野に入り始めた専門店、EC事業の経営者や経営幹部の方々にタイムリーな話題になると思います。

参加は登録制です。視聴ご希望の方は、以下フルカイテン社のサイトよりお申込みください。

【オンラインセミナー詳細】

開催日:2021年2月9日(火)
開催時間:10:30~12:00(90min)
参加費:無料
視聴方法:Zoomでのオンライン配信

お申込みはこちらから>>> https://full-kaiten.com/seminar210209

執筆ーディマンドワークス 齊藤孝浩

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January 25, 2021

ユニクロアプリのウォレット機能UNIQLO Pay実装と同社が目指すゴール

Uq1月19日からユニクロアプリ内に決済機能であるUNIQLO Payを実装しました。

プレスリリース ユニクロアプリにウォレット機能「UNIQLO Pay」が登場

メディアでは、PayPayやメルぺイなどと比較する記事もありましたが、
あくまでも、同社内での決済が目的のようです。

3,000万ダウンロードという日本の小売りでも最大級のダウンロード数を誇るアプリのひとつ。

顧客は、クレジットカードまたは銀行口座(現段階では一部の銀行に限られます)を紐つければ、店舗での決済の際に、アプリを開けば、QRコードを提示するだけでキャッシュレス決済ができるというもの。

これまでは、ポイントをつけるために、アプリを提示し、決済や現金やクレジットカードやその他の決済手段が使われていましたが、

顧客はUNIQLO Payを提示すれば、財布を出さずに済む。というわけです。

ユニクロとGUはここ数年で、レジのセルフレジ化を進め、混雑時以外の人件費を大幅に軽減して、販管費を下げ、営業利益率を高めて来ました。

その間、顧客にお会計の作業ストレスを強いて来たわけですが、これからUNIQLO Payを推奨することで、財布を出す作業がひとつ軽減されることになるわけです。

また、企業側のメリットを想像すると、短期的に言えば、銀行口座紐付けが増えれば、クレジットカード手数料やその他決済手段の決済手数料が軽減され、

利用者が増えれば、顧客データを取得しやすくなり、中期的には、その分析から、品揃えやサービスやオンライン経由の顧客セグメント提案の改善につながるでしょう。

実は、この小売業のアプリの決済機能の実装ですが、日本では、まだ対応していませんが、ZARAのインディテックス社が自社開発したアプリの中にIn Walletという機能を実装し、先行しています。ヨーロッパの一部の国では、数年前から利用できるようになっています(紐つけはクレジットカードのみ)。

ZARAの目的は、レジでの決済の効率化(顧客、スタッフ双方の会計作業軽減)、店舗で買っても、オンラインで買っても、同じアプリの中に電子レシートが生成され、レシート発行不要にできる(ペーパレス)と共に、双方の購買履歴が残ることから、オン・オフどちらで買っても、どちらでも返品できる顧客の利便性です。ちなみにZARAのアプリにはポイント付与はありません。

ユニクロはそんなZARAの先行事例を参考にしたのか、業務提携しているGoogle Payを展開するGoogleのアドバイスなのかはわかりませんが、いずれにせよ、日本のファッション小売業の中ではユニクロは先行組と言えますね。

現在は、ファーストリテイリンググループ内での決済しか想定していないようですが、ゆくゆくは、もちろん、Amazon Pay Google Pay のように、社外でも使えるようにすれば、プラットフォーマーとして、決済手数料を稼せぐ、金融事業が成り立つかも知れません。

これからのライバルは小売業ではなく、GAFAだとおっしゃった柳井会長の言葉が思い出されます。

関連エントリーー世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】 ベーシックのユニクロとトレンドファッションのZARAの共通点とアプローチの違いを体系的にまとめ、多くのファッション専門店のブランディング、マーケティング、商品開発、販売戦略、ひいては経営理念の参考にしていただける内容に仕上げました。ユニクロが売上規模も世界2位になるのは時間の問題ですね。実はZARAも以前からベーシックが稼ぎ頭。ますます、両社の比較分析は世界のアパレルビジネスにとって参考になるでしょう。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

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November 30, 2020

ヤマト運輸がイギリスのクリック&コレクトシステムを導入して、オンライン通販の店舗受取サービスをスタート

Amazon-hub-counter-next11月26日の日経新聞、27日の日経MJなどによれば宅配大手のヤマト運輸はイギリスでオンライン通販注文商品の店舗受取サービス=クリック&コレクトのプラットフォームシステムを提供する英Doddle Parcel 社(以下ドドル)と業務提携を行い、

顧客がZOZOTOWNやYahoo!ショッピングなどで注文した商品を、顧客が指定する近隣の商業施設や店舗に届け、顧客の都合で受け取ることができる、いわゆる「クリック&コレクト」サービスをスタートしたとのこと。

25日から始まった当サービスで受け取り可能な拠点は現段階では丸井、スーツのはるやま、天満屋(百貨店)など全国 約600店舗で、ヤマト運輸は年内に2,000店舗、将来は10,000店舗まで増やす、としています。

通販で注文した後に、ヤマトから届くメールに対して、顧客は選択肢の中から受け取り場所を指定することができるというしくみのようで、その際、生成されるQRコードを指定店舗で提示すれば顧客は商品を受け取れるというものです。(専用端末を貸し出すそうで、零細小売店でも導入可能の模様)

受け取り拠点側の店舗にとってのメリットは
・手数料収入と
・来店によるついで買いの促進
です。

受け取り拠点によっては、来店時にその日から使えるクーポンを付与するところもあるようです。

同様の通販サイトの「クリック&コレクト」サービスはドドルの本拠地であるイギリスですでに普及済みですが・・・

筆者が2017年と2019年にロンドン視察をした時には・・・

アマゾンがチェーンストアと提携した「アマゾン・ハブ・カウンター」(アパレルチェーン大手のNextなどと提携)を独自に展開していたり(右上画像)、宅配ベンチャーが手掛ける「collect plus(コレクトプラス)」(全英の零細から中小小売店を中心に7000拠点と提携)などのサービスが先行し、ドドルは出遅れていた印象を受けましたが・・・

日本においては宅配最大手のヤマト運輸と組んで、システムだけを提供する側に回れば一気にシェア獲得が出来そうですね。

ECの急増にあたり、宅配キャパシティは今後も深刻な状態、再配達問題もアマゾンの置き配やヤマトが手掛ける「EAZY」などで緩和されているようですが、取扱い量はどんどん増えるでしょう。

その際、顧客の受け取り手段の多様化と利便性向上を考えた対策は待ったなしです。

コンビニ受取りは便利ですが、キャパシティはすでにいっぱいだと思いますので、比較的、閑散時間もある、クリーニング店など、駅前の第三者店舗がその役割を果たすことは悪くないことだと思いますね。

今後の広がりに注目したいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

関連エントリーーロンドンで進化するクリックアンドコレクトと通販受け取り拠点の多様化

関連エントリーーロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える

【オススメ本】 欧米の最新デジタルショッピング事情、日本の10年後を未来から逆算して考える視点、それらを示唆する事例を取り上げて日本のファッションショッピングの未来を考えました。

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