April 11, 2022

メルカリが物流子会社「メルロジ」で取り組む、持続可能な宅配物流量平準化へのチャレンジ

Photo_20220418000101 4月8日の日経新聞にメルカリが物流子会社「メルロジ」で、
「ゆっくり宅配」の選択肢を顧客に提供し、近年パンク状態の宅配物流の物量平準化に取り組むことに関する記事が掲載されていました。
記事によれば
日本の宅配件数は現在、年間50億個もあるそうですが、
そのうち、アマゾンが約7億個で全体の14%を占め、
メルカリもそれに迫る全体の約1割の約5億個にまで増えているそうです。
そして、コンビニから発送される宅配荷物のなんと、8割はメルカリ関連のものとのこと。
そこまで宅配に占めるシェアが高くなれば、メルカリ自身も、他人事ではなく、社会的な役割が問われて来るというわけです。
こちらも記事内で紹介されている宅配物流業界の情報ですが、
日本の営業用トラック便の積送効率は20年度に4割を切った模様で・・・
これは、つまり、スペースの6割以上は空の状態でトラックが走っていることを意味しています。
以前、小口のオンデマンドで運ぶゆえ、宅配物流の往復積載効率は4割程度が実状と運送業界の方が嘆いているのを聞いていましたが、
企業間物流(BtoB)はもっと積載効率は高いと思うので、平均が4割を切るとなると、
宅配(BtoC)だけでみるともっとひどい状態になっているということでしょう。
加えて宅配には再配達もありますし・・・
つまり、そんな非効率な状態では、荷主は一個あたりの宅配運賃は満載状態時と比べて
2.5倍相当の料金を払わされてもおかしくない、という話です。
そんな状況の中で、
これまで「安く、速く」が競争の常識だったEC宅配の世界で、
ゆっくりでいい人は送料が割引、あるいはポイント付与のようなサービスを増やして行こう
という試みが「ゆっくり宅配」の目的です。
需要の都度、荷物が動くBtoC宅配だったとしても、
上手く、定期ルート便の物量を平準化することにより、出来るだけ顧客の近くまでBtoBで運ぶことによって実現するチャレンジ。
元アマゾンの物流責任者だった方がメルカリに転身し、
「速さ」とは180度違う観点で取り組む物流プロジェクトというから面白いことになりそうですね。
上手く軌道に乗り、将来は、メルロジがメルカリ以外の他社の荷物も運ぶサービスを提供するようになることを楽しみにしています。

 

記事を読んでいて思ったのですが・・・

日本の企業って新しい施策に取り組む際
競合他社を見て競合対策で取り組んだり、
社内の業務の都合で導入が決まることが多く・・・
顧客の立場で考えるって視点が欠けている
顧客不在の議論をしている企業が結構多いなって、いつも感じるのは私だけでしょうか?
送料の安さや速さを競うスピード配送しかり。
特定の部署だけが導入する部分最適なDXと呼ばれているソリューションなんかにも多いなって感じます。
そして、その結果、どこかに皺寄せが来たり、無理強いが起こるわけです。
そのツケを顧客が払わされるとなると最悪です。
配送のスピードについては、
確かにお客さんの中には、「速く」を希望する方もたくさんいらっしゃるとは思いますが・・・
選択肢を提示すれば、自分の都合で店舗へ取りに行く方もいらっしゃれば、
急いでないから、あるいはいつでもいいからできるだけ安い選択肢を好む方もいらっしゃいます。
そんな顧客の要望の多様性を理解して、上手くミックスして、知恵を絞ってサービスを提供することこそが、
これからの持続可能な経営のカギになると思っています。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 

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March 28, 2022

「アマゾンvsウォルマート」を読んで~アメリカでしのぎを削る2大流通企業の狙いを通じて小売業の未来が想像できる書籍

20220401_165503アメリカの流通業界の情報取得で、いつもお世話になっている鈴木敏仁さんが書かれた

新刊「アマゾンvsウォルマート(ダイヤモンド社)」を読みました。

新聞やメディアの記者ではなかなか書けない、

長年、現地で両社をウォッチ(定点観測&IRリリース)し続けて来た流通企業での業務経験のある鈴木さんならではの切り口でウォルマートとアマゾンの歴史とチャレンジを表から裏から解説して下さっており、

小売業の実務を支援する立場の私にとっても、とても共感でき、刺激が多く、大変勉強になる一冊です。

特に印象に残ったところを、ネタバレにならない程度(笑)にいくつかご紹介させていただきますね。

前半でウォルマートのEDLP(エブリデイロープライス)の話が出て来ますが、
その「本質」は私自身、「何度も」聞いてきたはずの話なのに、

それを愚直に実践しているウォルマートの話がとても新鮮に感じてしまうのはなぜなのかを考えさせられました。

同社が常に安い価格を実現できるのは、そのバイイングパワーだけでなく、「安定した」ローコストオペレーションゆえ。

しかし多くの小売業が、ただ大量に買うからと仕入先を叩いたり、自転車操業的なディスカウントを繰り返して、安い価格を実現しようとする現実があります。

そんな行為が、現場やサプライチェーンに無理強いをして、酷使するだけでローコストオペレーションにならない・・・

結果、コスト高になってしまっていることに気づかない、というのが現実のような気がしてなりません。

そんなウォルマートの小売業としての経営信念と中長期ヴィジョンに基づいて構築した盤石の基盤に関わらず、

生活者がオンラインとオフラインを行き来する時代に、システムインフラを部分最適ではなく、未来の小売のヴィジョンを描いて、抜本的な入れ替えをやってのけた「パンゲア・プロジェクト」のリーダーシップには脱帽というか、小売業の「キング」としてのプライドと覚悟を感じたものでした。

大きくなって大企業病になり、身動きが取れなくなった企業経営者さんたちは、ウォルマートのVMIやセルフレジやBOPISやカーブサイドピックアップのような、メディアで話題になる視察対象になる表層的な施策レベルを真似るのではなく・・・

同社の流通業界そして社内に対するリーダーシップを学ぶべきだと痛感しました。

続いて、計算上では何年後かにはウォルマートの年商規模を抜く可能性もあるAmazonは、
小売業の姿をしたIT企業であり、金融企業。

常にAWSが稼ぐ利益が注目されますが、「マーケットプレイス」コンセプトのビジネスモデルがすごいと思いました。

同社が現代から未来にかけてのかつての「石油」にあたる、「データ」を欲しいままにしていることはよく知られていますが・・・

マーケットプレイスは豊富な「品揃え」を実現するだけでなく、「購買行動データ」と共に、「代金回収代行」によるキャッシュフロー創出の側面があることに「してやられた」感を受けました。

また、エンドユーザーとつながっている、オンからオフへ広がり続ける小売業であり、IT企業だからこそ、

未完成なまま顧客視点のサービスを次々にリリースし、
実際の顧客行動から得られた気づきにあわせて、システム修正を加えてゆくアジャイルさに、これはもう太刀打ちできないな、と思いました。

従来の小売業の多くはITがわからない、IT 人材がいないため、ITベンダーに発注するものですが・・・

発注した小売業はお金を払っているからと、ITベンダーに完璧なシステムを求め、

現場に明るくないIT企業側もクライアントに完璧な(?)システムの納品を目指す。

小売業とIT企業がそんな関係を続けている以上は、トラブルが続くだけで、
何年、いや何十年たってもAmazonには追いつかないだろうなと感じたものでした。

そして、実は、読後に一番印象に残ったのが、

ウォルマートとアマゾンの影で 規模を拡大し続ける
ドアダッシュ、インスタカートなどの「オンデマンド型短時間宅配サービス」の話でした。

日本では出前館やウーバーイーツを想像していただくとよいでしょう。

これは、BtoCのデリバリーサービスの顔をしていますが、
その本質は既述のマーケットプレイスに近い、代金の回収代行によるキャッシュフロー創出ビジネスであると。

これまで営業利益が多い会社、無借金経営が美徳とされた小売業界。

購買行動が大きく変わり、小売業とエンドユーザーとの間に登場する新しい切り口の企業たち。

これから伸びたり、登場したりする、そんな企業の動向からも目が離せないと思います。

アメリカでは、失敗もそれだけ多いけれども・・・

頭のいい人たちが考える新しい切り口のビジネスが登場する宝庫であることを

あらためて思い知らされたものでした。

Amazonでのご購入はこちらから アマゾンvsウォルマート

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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February 21, 2022

ZOZO(ゾゾ)とアパレル専門店の財務諸表(PL、BS)を比べることで見えてくるEC拡大時代の経営課題

Zozo-pl-bs2月14日発売のWWDJAPAN、月イチ連載させて頂いている「ファッション業界のミカタ(ファッション流通業界の決算書の読み方)」では

日本最大級のファッションECモール ZOZOTOWNを運営するZOZOの損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)の構造を、よくあるアパレル専門店のP/LとB/Sとの違いを比較することで解説をさせて頂きました。

 

エンドユーザーから見ればECモールも専門店も同じ小売業に見えますが、両者の財務構造が違うのは言うまでもありません。

ZOZOの場合、受託販売をメインにしているため商品在庫が極めて少なく、有形固定資産(店舗や倉庫資産投資)や敷金や差入保証金のような寝かせる投資資金が少ないのがBSの資産側の特徴です。

自社在庫を販売しているわけではないので、P/Lは売上原価が少なく(同社売上比5%程度)、ハンドリングする商品取扱高の30%程度の販売手数料収入を中心とした粗利がとても大きく見えます。

販売管理費の主要項目は、一般アパレル小売業が店舗と人件費が2/3占めるのに対し・・・

ZOZOは荷造運賃と物流関連人件費(業務委託含む)と本社人件費で2/3を占めます。

店舗型小売業よりも家賃・設備などの固定費が少なく、

人の生産性も高く、

近年、広告宣伝費販促費が圧縮出来ているので

高い営業利益率が獲得出来、積み上がるキャッシュや純資産の原資となっています。

リアル店舗とEC専売のECモールの大きな違いを見ることで・・・

これからEC化率が高まり、リアル店舗中心の財務構造にECビジネスの構造が被さって行く小売業が

向かって行く方向性や予想される変化と共に経営課題も予見出来ます。

それにしても、プラットフォーマーは在庫を持たずにビジネスを回しているので、現預金が多いのが非常に羨ましいですね。

店舗に家賃をたくさん払い、在庫を山のように持って商売をすることを何とか見直せないものかと、
そして、これからはP/L脳だけでは勝てない、B/S脳で勝負しないと勝ち残れない

と、あらためて考えさせられたものでした。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】これから10年先のファッション消費の未来、そしてアパレル企業生き残りのカギになることは何?国内外で進む、顧客の購買行動の変化に合わせたオン・オフ問わないオンラインの活用、そして顧客のクローゼットを起点としたサステナブルな取り組みとは?いずれにせよ、カギとなるのはお客様のストレスの解消しようとする情熱とそれを実現するイノベーションです。

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January 31, 2022

Amazon(アマゾン)が解決しようとするファッションストアの課題とは?

Amazon-go

アマゾンが初のリアルファッションストア、amazon style (アマゾンスタイル)を今年の年末までにロスアンゼルス北部のグレンデールにあるオープンモール型ショッピングセンター、アメリカーナ・アット・ブランド内にオープンするそうです。 

The AMERICANA at Brand

amazon styleの売場面積は848坪、同SCのHPにあるダイレクトリーを見るとH&Mの隣になる模様。

同ショッピングモールはノードストロームがアンカー(核)テナントになっていて、
ハイブランドは入っていませんが、J.CrewやLulu LemonやAnthropologieやNike Community Storeなど中の上くらいのブランドが多いようなので、だいたい客層は想像できるでしょう。

ここ、以前「ライフスタイルセンター」というキーワードが話題になったころ、10年近く前でしょうか、
一度、視察に行ったことがあるところです。

品揃えは、メンズ、ウィメンズ、靴、アクセサリー

基本セルフ販売で、程よくコーディネート提案をする売場の中で、

・気になった商品のQRコードをショッピングアプリでスキャンして詳細を知り、

・試着したい場合は、試着予約をして試着室に用意ができればアプリにお知らせが来る

・試着室内のタッチスクリーンで他の色、サイズ、商品をもって来てもらうことも可能

・試着不要であれば、注文後、ピックアップカウンターからそのまま持ち帰ることもできるようです。

また、

・オンラインで見つけたものをアマゾンスタイルに取り寄せ、試着することも可能。

・店舗で一度スキャンした商品は、帰宅後に再考できる。

という オン↔オフを行き来する顧客のシームレス体験も可能とし、

過去に購入したり、閲覧したり、スキャンしたりした商品からAI(機械学習)による商品のレコメンドもしてもらえるそうです。

amazon styleがどんなイメージになるのか?のビジョンはこちらの動画ではっきり紹介されています。

amazon style

 

amazon go(アマゾンゴー)でコンビニの

amazon books(アマゾンブックス)で書店の

顧客の店舗でのお困りごと(ペイン)を見事に解決したamazonが・・・

果たして、ファッションストアにおいて固有のどんなお困りごとを解決しようとしているのか?

ニュース記事で読んだり、この動画を観る限り、

さすが、顧客の「ナラティブ」から発想するアマゾン、

かなり、現在、顧客の立場になったら考え得る、ファッションストアにおける顧客ソリューション型の

OMO(Online merges with Offline)のビジョンを実現しようとしていますね。

そして、そのビジョンは、

アパレルの世界王者である、ZARAが

2018年に六本木で行ったONLINE POPUPストアの試みにかなり近いものがあるというのが筆者の見立てです。

そして、あの時のZARAの試みよりも、更に優れているのは・・・

・多くのブランドの中から選べること、

・オンラインで見た商品を店舗に取り寄せて試着できるところ、

そして、

・購入した商品をその場から持って帰ることができるところでしょうか。

(ZARAの場合は、当時、午前中注文したら、夕方以降に店舗で受け取れる、あるいは宅配の選択肢でした)

どうぞ、みなさんも動画を観て、未来のファッションストアを想像してみてください。

年末のオープンが楽しみですね。

筆者もいずれ、海外渡航に自由に行けるようになったら、

いの一番に体験しに行きたい店舗のひとつだと感じました。

関連エントリーー【アメリカ西海岸リサーチその1】 ストア側からのデジタル化が進むアメリカ amazon books、 amazon go 、そしてNikeが実現しようとしていること

関連エントリーーナラティブ(顧客を主人公にした物語)から考える

 

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 これから10年先のファッション消費の未来のカギになることは何? 世界で進む、顧客の購買行動の変化に合わせたオン・オフ問わないオンラインの活用、そして顧客のクローゼットを起点としたサステナブルな取り組みとは?いずれにせよ、カギとなるのはお客様のストレスの解消しようとする情熱とそれを実現するイノベーションです。

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November 22, 2021

初級者、中級者マーケットを狙う、ワークマンの目のつけどころ

Photo_2021120211580110月の後半に作業服チェーン、ワークマンの大型チラシが新聞に折り込まれて来ました。

今年ならではの流行を追ったとは、けっして言えない、
むしろ機能性をうたった安価な冬物アウター中心のラインナップ

用途を果たすなら、「これでいい(十分)」と思う客層を大きく取り込みそうな紙面でした。

ここ1年半、ワークマンが力を入れている、アウトドア用途にも使えるウエアマーケットは、
コロナ禍でキャンプやアウトドア系活動に向かった人達や、

子供が大きくなって手離れしたことにより増加した、親が一人で出かけるソロキャンパーなど、

初級者の裾野を広げつつ、中級者、上級者にステージアップして行く

さまざまな客層が増え、今後も一定の伸びが期待できるマーケットです。

一方、ちょっと興味を持ってキャンプなどアウトドア活動を始めようとすると、

スポーツ用品チェーンの店頭にはメーカーが競って機能や耐久性を追求した
初心者にはオーバースペックなギアや・・・

かっこいいけど、高価なウエアがブランド単位で並ぶ中級者以上の売り場になっている
のが実情です。

そんなメーカーやスポーツ量販チェーンの現実に対し、

そこまで本気じゃない、できるだけお金をかけたくない、

という消費者の方が、実は大多数を占めているのが実際ではないでしょうか?

11月10日の繊研新聞によれば、

ワークマンは来年の2月からオンライン販売で、
PB(プライベートブランド)のキャンプ用品をNB(ナショナルブランド)と合わせて100品目以上を加えて本格的に販売を開始するとのこと。

記事によれば、一人用テント5000円以下、などかなりの安価なキャンプ用品のラインナップを揃えるようです。

 

ご存じの通り、ワークマンはプロ向けの作業服チェーンとして創業、拡大し、

近年、販売している同じウエアや関連アイテムが一般ユーザーが日常にも使えるという需要があることに消費者に気づかされ、

彼らのSNS発信をうまく活用して、大衆マーケットに発信し、潜在需要を掘り起こすことで売上を伸ばして来ました。

そんな、今となっては、知名度の高まったワークマンが、ブレイク前夜から、海外で注目し、お手本にしていたのが
フランス本社のスポーツウエアチェーン、デカトロン(グローバル年商1兆3000億円規模)です。

2020年の東京オリンピックを日本市場攻略の足がかりにすべく、2019年に日本に上陸を決めていた、デカトロンは

あいにくパンデミックによる東京オリンピックの延期によって、日本市場での拡大の出鼻を挫かれ、現在、出店は西宮と幕張の
たった2店舗に止まっておりますが・・・

彼らが教えてくれたのは・・・

すべてのスポーツはアスリート(上級者)のためだけのものではなく、
大衆(初級者、中級者)のものでもあること。

そして、

著名グローバルブランドだけでカバーできない、巨大な大衆潜在市場があるという、

あらゆるスポーツの民主化(大衆化)

によるビジネスチャンスでした。

そう、ワークマンも正しく、

NBメーカー主導で上級者志向のアウトドア市場やキャンプ市場の隙間=初級者または中級者向けの潜在市場を狙いに行って
成長中、更なる成長を掴もうとしているわけです。

一般的に市場の導入から成長段階では、

上級者志向のブランドがけん引して市場を形成するものの、

成長期から成熟期にあたっては、初心者や中級者向けが市場を盛り上げるもの。

市場のライフサイクルのステージにもよりますが、

商売をするにあたって、

その商品が大好きでお金をかける人のマーケットだけに絞って商売をするのか、

そこまでお金は掛けられないけど、楽しみたいという、より多くの人、より大きなマーケットに向けて商売をするのか、

この問いは、どんな業界にもある話だと思います。

ファッション業界においても、業界関係者が大いに見落としがちなのは・・・

消費者の多くは作り手同様にファッションが好きである、

従って、良いものさえつくれば、高くても買ってくれるだろう

という思い込みです。

右肩上がりの時には通用したかも知れない業界のそんな常識は・・・

もう、過去のものであることを意識して商売をしなければならない。

あらためて

ワークマンは「価格が安いから売れている」という表面的なことではなく、

ワークマンが「話題だから、彼らの真似をすればよい」という短絡的な話ではなく・・・

同社が顧客目線で、市場の対局を見て取り組んでいる、その背景にあることを理解した上で

自分たちの商売にも置き換えて考えないと、ビジネスチャンスを逃すだけでなく、これから生き残れるかどうかもわからない、

と肝に銘じるべきでしょう。

関連エントリーー世界最大のスポーツ用品チェーン、仏デカトロンが狙うのは、すべてのスポーツの民主化

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 

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November 01, 2021

属人的になると、過剰在庫を抱える原因になりがちな、業務フローの3つのボトルネック

組織の規模が大きくなって・・・
2743649_m関与する人が増えたり、

オムニチャネル時代のように事業が店舗販売だけでなく、EC販売強化など
時代にあわせて新しいステージに入ると

今まで上手く行っていた業務も
そのどこかに「ボトルネック」が発生するものです。

「ボトルネック」とは在庫が滞留したり、情報が相手に上手く伝わらず、
業務が滞って先に進みづらい箇所のこと

事業の業務フローの中には多かれ、少なかれブラックボックス的なものが存在するものですが・・・

だからと言って、その箇所を放置していたら深刻な経営危機に陥ることも・・・

先日のクライアントとのミーティングも、正にボトルネックがテーマでした。

それらを解消せずに、部分最適な改善の話に取り組んでも、
木を見て森を見ず的な議論、そもそも論になって徒労に終わるよね、

ということを理解して下さり、

視野を広げて、どこにボトルネックがあるのか、
そこに対して何ができるか、に取り組むことになりました。

ファッション小売業の事業の商品計画から販売管理をご支援していて、
いつも業務が属人的(ブラックボックス)になり、
「ボトルネック」になりがちと感じるのは
だいたい、以下の3つのポイントに集約されると感じます。

1.商品計画とその情報共有 (プレシーズン)    

仕入予算をMD やバイヤーがどんな商品計画に基づいて、
何をどれだけ発注したのか、が担当者任せで他の人に伝わっていない

→伝わらないことで、販促(マーケ)担当の力の入れどころが的外れになり
 販促費の無駄づかい、せっかく作った販促物が、本来売らなければならない
 商品の販売促進に活かせていない

2.発注後の約残管理と入荷管理およびその社内連絡 (販売開始直前時期)

仕入担当者が手一杯で、発注済み商品の整理が出来ておらず
近々の入荷予定商品の詳細も、実際に倉庫に入荷するまでわからない

→倉庫に在庫が一時滞留し、店舗で販売態勢を取るのが遅れる、
 更にEC販売開始にもタイムラグが・・・
 
3.販売期限が明らかでない (期末に向けての売り切り段階)

いま販売している商品はいつまで販売・補充が続くのか、
一体、いつまでに売り切ればよいのか、
仕入担当者はどんな着地を望んでいるのか?

を販売担当者である店舗やEC担当者がわかっていない

→今売れている商品を、これからもどんどん売ることに精いっぱいになって
そうでない商品に手が回らない。在庫の店舗ごと、店舗/EC間の偏在解消が
後手にまわる。

あたりでしょうか。

ファッション商品、特にシーズン商品は販売期間の短い商品であり、
特に最初の数週間の機会ロスが致命的であることは言うまでもありません。

その結果が、バーゲン時期の大幅値下げ、想定以上の期末売れ残り在庫の発生へとつながりがちです。

これだけ、書き連ねると、まるで、仕入担当者の責任と思われがちですが・・・

仕入担当者は会社の中で最も忙しい職務のひとつ、

それらの業務を効率化したり、可視化するツールがない、共有する業務フローや機会(ルーティン)がない
結果、属人的(担当者のPCの中でそれぞれ違ったフォームで管理)になってしまっているものを
わかっていながら、放置している事業にも問題があると言わざるを得ません。

いろいろなことがデジタル化され、可視化される時代に・・・

これら利益に直結するボトルネックの部分だけが置き去りにされているのが
むしろ問題と感じます。

DXって、軽作業の軽減や効率化でなくて、
本来、利益の元になる、そんなボトルネックの可視化と解消に
焦点を当てるべきではないでしょうか?

それができれば、実際、粗利やキャッシュとして返って来ますから、
実はIT投資への回収は早いものです。

まずは業務フローの整理とかけている時間を明らかにすることから・・・
投資回収を早めるためにも、ですね。

【参考書籍】

「ボトルネック」と言えば、「ザ・ゴール」
業界改革において志を同じくするパートナーである
ゴールドラット・ジャパンさんが
名著「ザ・ゴール」のコミック版、アニメ版の普及に力を入れています。
以前、原著を読んだこともある方も是非、読み直して、
ボトルネック解消の大切さを噛みしめてみてください。
   

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

筆者が講師を務める、今年最後の経営者様、事業責任者様向けビジネスセミナー開催中

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October 25, 2021

アイリスオオヤマの「なるほど家電」に学ぶ商品開発の着眼点

Photo_2021110417110110月25日の日経新聞「経営の視点」にコロナ禍の逆風下でも売上を伸ばすアイリスオオヤマの急拡大に関する解説コラムが掲載されていました。

2011年に2400億円だった売上高は、世間の要望に応えたLED電球などを中心に急拡大を遂げ、19年には倍増の5000億円、コロナ禍には20年、1年で6900億円(前年比38%増)となり、22年には1兆円に達する勢いとのことです。

記事が指摘しているように、

2010年以降の長年のデフレ下で同社がホームセンター中心に納めた値ごろ感のある家電製品が受けたこともありますが、

「なるほど家電」シリーズに代表される、独創性の高い、というか、
消費者の使い勝手のかゆいところに手が届く、その部分に機能を絞り込んだスピーディな商品開発能力に強みがあることは、筆者もつくづく感じておりました。

・便利なはずのリモコンが見当たらず、TVが操作しづらくなったストレスや

・外出先から帰宅前にエアコンのスイッチを入れることが出来たら、どんなに快適か

なんて、誰もが一度は考えたことではなかったでしょうか?

それらを商品化したのが、まさしく「なるほど家電」です。

大事なのは、思いつきだけでなく、それをあったらいいねと、語るだけでなく、諦めず、商品化する情熱でしょう。

記事の解説の言葉を借りれば、同社の強みは

「消費者行動の変容に応じたモノの定義変更」

同社は、すでに世の中に多数存在する既存の商品の価値を、消費者のお困りごとにクローズアップしながら再定義するように引き出している、というわけです。

みなさんも、ここ数年で、LED電球やマスクのような消耗品から、使い勝手のよいアイリス製の小型家電が身の回りに増え、身近に感じるようになったのではないでしょうか?

在宅が増えて電気代が上がった我が家では、室内乾燥でも洗濯ものが速く乾く
アイリスのサーキュレターを重宝しています。

最後に記事の中にあった、アイリスオオヤマの大山会長の言葉を引用させて頂きます。

モノの品質はデジタル化で年々アップし、不満はなくなる。
しかし、コトへの不満はある。そこが(開発の)キーワードだ

「なるほど家電」のほとんどは社内の消費者目線を持つ社員さんからの提案から生まれたもの。
最初は「原石」だった提案を「なぜ、どうして、どうすれば」=NDDと呼ばれる秘密コード?で磨きをかけて行くそうです。

世の中にない、新しい商品開発をするのも大事ですが・・・
すでにある商品を消費者のお困りごと視点に立って、定義を変えて、提案する。

ヒット商品というものは、そんな中から生まれてくるのではないか、とあらためて気づかされたものでした。

 

関連エントリーナラティブ(顧客を主人公にした物語)から考える

 

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 

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September 06, 2021

担当者一人(ひとり)あたり管理可能な品番数、そして売場面積は?

Ministry-of-supply_20210906163901日経MJの連載の中でも、流通業界の裏方である「物流」を考える上でいろいろな示唆を頂けることから、毎週楽しみに読ませて頂いている月刊ロジビズの大矢昌浩編集長が連載されている「物流インサイドリポート」

9月3日(金)付のコラムは食品スーパーで進む自動発注システムに関する話題でしたが、

その中に従業員1人が管理可能な品番数やSKU数に触れられており、興味深く読ませていただきました。

まずは、以下「  」内の引用から。

「約1万アイテムを取り扱う平均的な食品スーパーでは通常、発注業務を10人程度で分担している。1人当たり1千アイテムを受け持つ。しかし、優秀な発注担当者でも一人でまともに管理出来るのは100アイテムがせいぜいとされる」

「残り900アイテムは売れ行きの変化や天候などを考慮せず、売れた分だけ機械的に発注するくらいしかできない。当然ながら精度は落ちる。」

(以上引用)

ということで、最近では、優秀な方の考え方をアルゴリズム化して、AI(機械学習)による自動発注システムの導入が進み、そこで作業時間を効率化させた担当者たちは、各自、重要な売り込み品番の在庫管理に注力することが進んでいるという内容でした。

このコラムを読んでいて、面白いなと感じたのは、アパレルや靴など、ファッション流通の世界でも、ひとりあたりが管理可能なアイテム数、品番数の限界みたいなものに、同じことが言えるよな、ということでした。

セントラルバイイングであるアパレルチェーンでは、本部側にMDやバイヤー、あるいはその各店やECサイトへの在庫配分と在庫コントロールを任されるDB(ディストリビューターあるいは在庫コントローラー)という職務がありますが・・・

それらの職務の方々やその事業の幹部の方々と話をしていると、必ず、一人が一度に何品番が管理できるか?ということが話題になります。

その裏には、現状、品番が多すぎて管理がし切れておらず、各種ロスが多い、労働時間が長くなっている、店舗の在庫管理作業が増えている、などから、

ひとりあたりが担当する売場面積やその中で展開品番数を管理可能なものにして、限られた予算の範囲内で、いかに効率のよい在庫運用ができるか、という意図があります。

これ、筆者の長年、多くの事業の仕入管理や在庫コントロール現場に携わっている立場から言わせて頂くと・・・

一度に管理し切れるのはおおよそ120品番前後まで、という仮説に行きついています。

実際、帳票上に出て来る品番数はもっと多く、それ以上管理している(つもりの)人もいますが・・・
実際には、上位120品番までしかアクションがとれていないのが現実だったものです。

日経MJコラムの食品スーパーでも100アイテムという数字に近いものがあって、面白いな、と思った次第です。
もしかしたら人の目診判断能力の限界なんでしょうかね。

もし、管理可能範囲を超える商品数を扱うと、どんなことが起こるか・・・

当然、範囲を超えたものは見れませんので、それらの管理は雑になりますし・・・

コラムのように1点売れたら1点(売れた分だけ)補充に終始?

そういったものに時間を取られていたら、重点販売商品の在庫戦略を考えるにも、十分な時間がかけれなければ、得られるはずの売上や粗利も失ってしまうことでしょう。

その結果、各店、各EC拠点に必要以上のSKU在庫が配分されたまま、放置されていたり・・・

必要ないのに補充されて寝かされたり・・・

気づいた時に、店舗が店間移動を行う業務が増えたり、運送費が増えたり・・・

それが後手に回ると、機会損失が増え・・・

プロパーで売れたであろうものも、値下げで消化、場合によっては売れ残って倉庫に返ってくる、

なんてこともあるわけです。

以前、ある方が、シーズン中に、そんな拠点ごと、SKU ごとに積まれている必要以上の過剰在庫って・・・

各店に眠っている埋蔵金(キャッシュ)だよね、っておっしゃっていたのが、言い得て妙だなと思いました。

ここからわかるのは、

機会ロスという言葉は、多くの場合、売れ筋の欠品と解釈され、追加発注を促されますが、

その一方で、実は、管理し切れなかった結果、各店に適正配分、配置されずに溜まっている、

つまり、放置されているSKU別過剰在庫の中にも機会ロスというものは多分に含まれているということです。

在庫があるのに販売機会ロス?

そうならないように、管理可能な品番数を知り、その中で、商売を、業務を回したいところです。

そうすれば、限られた在庫、リソースで、まだまだ、粗利も稼げるし・・・

プロパー、最終 共に消化率を高められるのではないでしょうか?

関連エントリー過剰在庫を持ち越さないために

関連エントリー売上は仕入(MD)、粗利は在庫運用(DB)で決まる

【参考書籍】

顧客購買行動と品揃え計画および在庫最適化を考えるビジネス読本

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

こちらは電子書籍 Kindle版 です。紙の本の在庫が少なくなりました。ご希望の方は弊社までご連絡頂ければご対応いたします。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

筆者が講師を務める、今年最後の経営者様、事業責任者様向けビジネスセミナー開催中

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August 30, 2021

パタゴニアのWORN WEAR(ウォーンウエア)プロジェクトに見る、今後「ブランド」が取り組むべき自社販売商品の循環とライフサイクル管理

20180816_1937378月30日の日経MJにパタゴニア日本支社が渋谷店1階で8月20日~9月26日に期間限定で行っているWORN WEAR(ウォーンウエア)のポップアップストアに関する記事が掲載されていました。

このプロジェクトは、顧客が購入したパタゴニア製品を長く大切に着てもらうために、リペアを行ったり、着なくなった服を買い取って、リペアした上で古着として販売することで製品寿命を延ばす試みで、アメリカでは何年か前から始まっていました。

右の画像は2018年夏にアメリカ カリフォルニア州サンタモニカのパタゴニアのお店で見かけたWORN WEARのカウンターです。

リペア(修理)については以前も日本でもやっていましたが(期間限定だった?)、今回は、日本でも本国同様に本格的に取り組むにあたり、まずは、古物商の認可を取り、アメリカ本社から仕入れた古着の販売から始めているようです。


但し、古着の買い上げ点数2点までの制限ありというのは同社らしい。「必要ないものは、買わないで。」というのが同社のポリシーですから。

日本ではまだ買取は行っていないようですが、アメリカのサイトに同社が顧客から着なくなったパタゴニア製品を買い取る時に渡すクレジット(パタゴニアの新品、古着を購入する時に使えるクーポンのようなもの)の価格リストが出ていました。

アイテムによって、10ドル~100ドル アイテムの元の単価や耐久性によって分類されているようです。ちなみにおなじみのシンチラフリースは20ドル、レトロフリースジャケットは40ドルが買取価格(付与するクレジット)のようですね。

日本支社の社長さんによれば、パタゴニアの新品の中心顧客は40代、古着を販売することで、20代から馴染んでもらえれば、長いお付き合いができるのでは、と期待をされているようです。

新品をつくって、売るだけではなく、

新品販売+リペア(修理)+自らメンテした古着販売で企業収益と顧客の関係性をつくるのが同社の目標。

今後、ファッションブランドは、そのブランドらしく、そういった取り組みを拡げて行く時代だと思っています。

そんな切り込み隊長であるパタゴニアの、今回インタビューを受けられた日本支社社長さんも

アパレル業界の中で、そんな流れをつくるきっかけになれば、と期待をしているようですね。

 

ファッションではありませんが、先行事例があります。

それは自動車業界。

外車ブランドには、中古車は自分たちで買い取り、自ら、車種にふさわしいメンテナンスをして、

中古車販売まで、流通全般を自ら手掛けているところがいくつもあります。

そして、中古車を購入した顧客には、新車を購入した人と同じ●●か月点検みたいな、メンテナンスプログラムに合流してもらい、新車販売店を窓口にして対応する。

一度生み出したプロダクトには、まだ走る、動く、使える、製品寿命があるうちは責任をもってメンテナンスするメーカーの責任。

そして、ユーザー側も、中古で安く買ったにもにも関わらず、メーカーが十分なメンテナンスを施し・・・

新品を買ったのと同じように、利用年数に応じたユーザーサービスを提供してくれるブランドクオリティの体験をすれば・・・

顧客はいずれは、乗り換える時に、またそのブランドを選ぶ、中古じゃなくて、新車を選ぶ、なんてことも十分考えられる、

ある意味生涯のお付き合いを前提とした、そんな取り組みが素敵だと思います。

ファッション業界の話に戻って、

ブランドバッグも、ラグジュアリー・ハイブランドと呼ばれるブランドも、顧客と一生付き合って行く覚悟のある、あるいは志のあるファッション「ブランド」は、そんな外車のような顧客との付き合い方ってありだよね、って思います。

2019年に出版した「アパレル・サバイバル」の結論部分では、同様の持論も披露させていただきました。

パタゴニアの「ウォーン・ウエア」プロジェクトが日本のファッションブランドにどんな波及効果をもたらすか?

ブランド自らは重い腰をなかなか持ち上げられない、と考えているうちに、若い消費者がそんなブランドの背中を押すのではないでしょうか?

楽しみに見守って行きたいと思います。

 

関連エントリーー着なくなった衣服の廃棄を減らすためにできること~環境省の「ファッションと環境」レポートから

 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 これから10年先のファッション消費の未来のカギになるのは、顧客のクローゼットのワードローブ。つくって売るだけではなく、その循環にどうかかわることができるか、がサバイバルのカギです。

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August 16, 2021

経済産業省2020年度 EC市場調査報告書とこれからのファッション専門店の構造改革

Bbw_20210817170301経済産業省が7月31日にリリースした電子商取引に関する市場調査報告書に目を通しました。

毎年の業界の市場規模やEC化率を知る上で参考にしています。

これによると、物販系分野BtoC-EC市場全体は

12兆2333億円 前年比 121.7% で市場のEC化率は8.08%(前年が6.76%)になったようです。

気になる衣類・服飾雑貨カテゴリーは

2兆2203億円 前年比 116.2% で市場のEC化率は19.44%(前年が13.87%)

伸び率は全物販市場に比べて下回りますが、

物販EC市場の中の金額規模では家電に次ぐ2番目に大きな規模になります。

EC化率も

書籍・ソフト(42.97%)
家電(37.45%)
生活雑貨インテリア(26.03%)に次ぐ

4番目(19.44%)にEC化率が高いマーケットです。

資料の金額、EC化率、前年比から実店舗、ECを合算した業界市場規模や
実店舗だけの前年比が計算できるので、実際に算出してみると・・・

物販BtoC市場全体は

151兆4022億円 前年比101.8%と伸びており、
実店舗物販だけとっても100.4%とコロナ禍でも物販消費は横ばいだったことがわかります。

カテゴリー別に見ると

食品、家電、化粧品・医薬品、生活雑貨・インテリア、自動車関連
は実店舗、EC共に市場規模(消費)が増えており、

衣類・服飾雑貨、書籍・ソフトのふたつのカテゴリーが
実店舗の落ち込みをECでカバーできなかったカテゴリーになります。

前年比(2020vs2019)
            実店舗  EC   合計     
衣類・服飾雑貨    77.6% 116.2%  82.9%

書籍・ソフト     86.0% 124.8%  99.2% 

ということで、衣類、服飾雑貨が最もコロナ禍の影響を受けた物販カテゴリーのひとつであることが、
表されています。

さて、こんな数字を見て業界各社はどう考えるのか?

〇 売上が2019年度の8掛けでも儲かるしくみをつくるのか?

それとも

〇 こんな環境でも伸びている上記カテゴリーの品揃えを行ってカバーするのか?

実際、コロナ禍で堅調だったと言われるユニクロやしまむらですら
アパレルの落ち込みをグッズ・その他やインテリアなどでカバーしているのが実態です。

ちなみに衣類・服飾雑貨の市場規模の年間のマイナス分は

食品、飲料、酒類以外の

・生活家電、AV 機器、PC・周辺機器等
・書籍、映像・音楽ソフト
・化粧品、医薬品
・生活雑貨、家具、インテリア
・自動車、自動二輪車、パーツ等

すべての年間増額分を合算してもカバーできません。

唯一、衣料・服飾雑貨の減額分をカバーできるのは・・・

食品、飲料、酒類の年額増額分だけです。

緊急事態宣言が延長される日本において、
ファッション専門店の抜本的な損益構造改革が求められています。

ちなみに右上の画像は、事業ドメインシフトを果たしたLブランズのバス&ボディワークスです。

アパレル祖業でSPAの元祖と呼ばれる彼らは・・・

2000年代にはアパレル事業を売却し、ランジェリー・インナーウエアのヴィクトリアズ・シークレットに軸足を移し、

2020年の今はもう、ヘルス&ビューティ専門店で企業の大半の利益を稼ぐ企業となりました。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 DXに欠かせないのは、顧客の理想の体験を描く創造力。ファッション流通の歴史、欧米の視察体験から学んだ、日本のファッション流通の未来を本書を通じて垣間見てください。

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