October 23, 2023

ユニクロは賃上げにより中国小売業界の新たな人材開発の常識作れるか

Uq-china最近

店は客のためにあり、店員と共に栄え、店主と共に滅びる

というタイトルの本が出版され、ずいぶん前にこの本のタイトルと同じ題でアップした
ブログエントリーに再びアクセスが集まっています。

過去のエントリー 店は客のためにあり、店員と共に栄え、店主と共に滅びる

小売業に携わる方なら、聞いたことのあるであろう、このフレーズ

ホントに小売業の本質を、こんな短い言葉で表せるなんて

いつ読んでも、身が引き締まる言葉です。

先週、ユニクロが中国の販売員給与を最大4割引き上げることを決定し、
正社員、パートの給与アップを10月から実施しているというニュースを目にしました。

成熟期も後半に入っていると思われる国内事業は現状維持?
(と言っても原価や人件費が上がる中でのコスパの維持は並み大抵のことではありませんが・・・)

一方、今後の事業拡大の伸びしろは特に
成長期真っ只中の中国本土、そして成長期に突入した東南アジアにかかっているでしょう。

先日同社が公開した地域別損益によれば、中国事業も東南アジア事業も日本よりも利益率が高いので、
出店拡大や更に販売効率を高めるためには、支払い余力のある人件費アップがユニクロの海外での成長に欠かせない人材集めの切り札のひとつだと思われます。

今回の報道に引用されている

「ユニクロでの仕事は時給が安い上に、清掃業務などもしなければならない」

という中国でアルバイト経験のある学生のSNS投稿が中国国内で話題を呼んだ

というくだりを読んで思ったのですが・・・

 

そもそも、中国で大卒採用で、例え小売企業であっても、

入社した社員が店頭に立ちたがらないというのは、多くの中国企業の本部研修をさせて頂いて、感じていることです。

かの地では、本部で働く人と店頭で働く人は別ものである、と考えているところが多いんです。

 

ましてや小売業が基本中の基本とする「クレンリネス」への参加は自分の仕事ではない、

ありえないと考える人も少なからずいることは想像に難くありません。

 

ユニクロやZARAのようなグローバルチェーンが上手く行っている理由のベースにあるのは、

言うまでもなく「店頭起点」です。

お客様が頂点にいて、お客様の近くでお買い物の手助けをする店舗スタッフをいかに本部が支援するかが徹底しているわけですが、

多くの中国のアパレル企業は本部員は偉くて、店舗スタッフは言われた通りに売るのが仕事って感じなんです。

僕の研修は、ベストプラクティスとして、ユニクロやZARAなどの成長企業の取り組みを題材にして考えてもらうことが多いのですが、

そんな方々がユニクロやZARAの表層的なオペレーションを見習ったところで、彼らのようになれるわけがないわけで・・・

彼らと我々の何が違うんだ?と言われても、店頭起点か否か、と問題提起しても、それを「店頭データを重視すること」と勘違いされることすらあります。

グローバルトップのZARAにしても、ユニクロにしても、H&Mにしても、

それらの企業の幹部たちは店頭販売経験を経て、本部の仕事をしているのが常識です。

特にZARAは、インナープロモーション(内部昇格)と言って、

世界各国の店舗で働いて、お客様のことを熟知したスタッフがスペイン本部に招聘され、

幹部職になるような昇格を理想的な形と考えているんです。

また、中途採用の社員も人事だろうが、ITだろうが、まずは、期限なしで店舗に放り込まれ、

本人が小売業(お客様のために働くこと)を楽しみ始めたころに、

本部においでと、声がかかって本部業務に携わるそうです。

そうしたら、本部に行っても、どうしたらお客様のためになるか、

店舗の仕事のしやすさを考えて本部業務をするから、

目的にかなった、誰もが納得する、ムダのない仕事ができるんですよね。

一方、店舗勤務を命じられ、その間、これは俺の、私の仕事じゃないって腐って止めてしまう人は、

どんなに優秀でもそれまでだと考えるところがあるようです。

なぜなら、そんな方が小売業の本部の仕事をしても、お客様のためになる仕事ができるかどうかわからないからです。

 

ちょっと話がそれますが・・・

国内でいろいろなプロジェクトにかかわっていると、

本部の方々に多いのですが、お客様のため、というより、自分たちの評価のために、部署を守るために、

責任を押し付け合っているケースが少なくなかったりします。

それって部分最適というか、部署最適?いずれにしてもお客様最適ではありません。

そんな時の魔法の言葉があって、「どちらの方がお客様にとっていいですかね~」と聞くんです。

店頭経験者の多い会社のいいところは、その言葉を聞くと「はっ」と思い出すんでしょうね。

歩み寄って最善案を考え始めます。

そんなメンバーのいる会社のプロジェクトは話が通じやすくて、比較的スムーズに進むのでありがたいです。

さて、話を戻して・・・

ユニクロの中国でのチャレンジはそんな中国の小売業の世界で、

店頭を経験した上で、お客様最適視点で、店舗を、事業を、運営できる経営者候補を

どれだけ増やせるかにかかっていると言えます。

もう既に中国内での市場シェアもナンバー1規模なので、

そんな、お客様最適で考える小売業のプロを育てる、

業界「新常識」を中国で広げることもできるのではないか、と期待します。

給与も伴うことで、仕事の常識、キャリアの常識を是非、変えて頂きたいです。

【参考書】

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最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

関連エントリー 世界アパレル専門店売上高ランキング2022 トップ10

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October 16, 2023

ユニクロのファーストリテイリング2023年8月期も過去最高益。連結年商5兆円、10兆円達成への道筋は?

Uq-singapoleユニクロを展開するファーストリテイリングの2023年8月期決算発表がありました。
売上高は 2兆7665億円  
営業利益は 3810億円 と過去最高益
営業利益率は 13.8%
 
今期24年8月期は3兆円を超える計画です。

23年8月期はまだ世界3位の年商規模ですが、
順当に行けば、2年後にはH&Mの売上を抜き世界2位になりそうです。

柳井社長(会長)は
ユニクロ海外事業の旗艦店の出店で年商5兆円までの道筋見えた
そこまで行けば、2倍の10兆円にすることは難しくないともおっしゃいます。

ファストリとしては期限を設定していませんが、

例えば

国内ユニクロ事業は横ばい
海外ユニクロ事業は年率15%成長
GU含むユニクロ以外の事業も同様の年率で

連結で年率12-13%の成長するとすると

6年後の2029年には   年商5兆円 (ZARAのインディテックスは今期中に5兆円に到達見込みです)
12年後の2035年には 年商10兆円

になる見込みです(筆者試算)。

関連エントリー 世界アパレル専門店売上高ランキング2022 トップ10

GUはどの国でも競合が多いので、やはり海外ユニクロ事業の成長がカギ

今回のファストリ決算発表の目玉は、

ユニクロの地域別の売上高と営業利益をはっきりと開示したことでしょうか。

              売上高(前比)/営業利益(前比)/営業利益率/売構成比
日本             8904億円(9.9%)  /1178億円(9.2%)/13.2%/ 38.5%
グレーターチャイナ     6202億円(15.2%)/1043億円(25.0%)/16.8%/26.9% 
韓国・東南ア・インド・豪州 4498億円(46.1%)/782億円(36.4%)/17.4%/19.4%
欧州             1913億円(49.1%)/ 273億円(82.5%)/14.3%/8.3%
北米             1639億円(43.7%)/ 211億円(91.9%)/12.9%/7.1%

連結調整合計        2兆3275億円(27%)/ 3447億円(46%)/14.8%

※前比の%は全て+で伸び率を表す

市場の大きい欧米が期待されますが・・・競合も激しいので・・・

やはりカギは中国市場と東南アジアの伸びしろでしょう。

中国と東南アジアは利益率が高いですね。

日本よりも単価を高く設定して売っていることもあるでしょう。

いよいよ1000店舗を超える中国本土では、

店舗の純増数をキープしながら、スクラップ&ビルドに取り組むようです。

そして、中国市場でのシェア拡大のために、より大衆価格へ価格調整をする(こなれた値段にする)というカードも残っています。

日本においては、数字を見る限り、成熟期も後期に入っている感がありますが・・・

グローバル企業は、ある市場は成熟期に入っても、他の市場で成長すればいいわけで

特に人口の多い、人口が増えるアジア(インド含む)市場での成長に期待をしたいところです。 

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最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

関連エントリー 世界アパレル専門店売上高ランキング2022 トップ10

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October 09, 2023

平均単価が上がることと値上げが支持されていることとは全く別の話

Photo_2023100917200110月4日の繊研新聞に

しまむらが

客単価を上げへ もう一格上のPB発売

という見出しで

鈴木社長のインタビュー記事が掲載されていました。

従来のプライスポイント(最多価格帯)よりも1000円高いPBクロッシープレミアムが良く売れているという話。

同社は上半期、客数ほぼ変わらず、平均単価が上がり、セット率は下がったものの、客単価アップ で既存店の売上伸ばすことに成功し

更に単価の高いPB 商品開発の実験に意欲的 という話です。

原価高騰の折

各社、上がる仕入れ原価に対し、いかに販売単価を上げるかに頭を悩ませるとことですが、

売上が増えているからと言って

「値上げが支持されてる」

というような報道を最近、目にすることが多く、その都度、違和感を覚えています。

ユニクロについても「値上げ」が上手くいっているというような報道がありますが

それは一部の商品、値上げをしないと許さない?株主対策であって

確かに定価を上げている商品もあるようですが

店頭に行けば


秋までは1990円

冬は2990円

というのプライスポイント(同社最多価格帯)を

期間限定価格含めてその価格を作って
しっかりアピールして

来店客には値上げした、高くなったようには
感じられないように工夫しているのが実情です。

しまむらも同様で

店頭では圧倒的に1900円未満

つまり1790、1490の商品が目立ち

そして990、790など1000円未満の商品も多数あり

高くなった感を感じさせない売場です。

つまり

買い上げ客数をある程度維持するための
従来のプライスポイントの商品はしっかり揃え

来店客には高くなった感を覚えさせず

一方、

プライスポイントに対して相対的に品質を高めたものを
高いプライスラインを設けて提案することで

あっここにもいい商品はあるんだなと思ってもらい

「高いものも売れる」という

将来に向けての次のチャレンジをしていたり

あるいは

原価が上がっても
定価は据え置いた商品を前面に見せ

むしろ値下げを押さえることで
最終利益を確保しているわけで

決して

クオリティが同じものを
原価が上がった分
そのまま販売価格転嫁しているわけではないので

誤解をしないで欲しいと思います。

平均単価が高くなったところを見て

「値上げが支持されている」

と思ってしまってはとても危険な話です。

今に限らず、過去にも同じようなことが
何度かありましたからね。

ちなみに
天候、気温関係なく

単価を意図的に上げたことで

それ以上の客数減

例えば10%以上減ったなら・・・

それは明らかに客離れだと
深刻に思った方がいいと思います。

覚悟して

ビジネスモデルを変えたり
リブランディングするなら
話は別ですが、

同じビジネス構造での二桁以上の客数減は
確実にボディブローのように効いてきて
半年もすれば経営にインパクトをもたらすでしょう。

報道されていることを表面だけでとらえず
各社の工夫を読み取って実践に活かしたいものです。

 

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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September 09, 2023

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【参加費】 お一人様 25,000円(税込)
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July 10, 2023

中国産地で思い出される日銭商売である小売業の原点

20230523_1058195月にSHEIN(シーイン)の生産背景である中国広州のアパレル産地視察で考えさせられたことが
いまだに頭から離れないでおります。

シーズン単位で事前に見込み生産をすることが
あたりまえになってしまっているアパレル業界において

広州で盛んに行われている
5日間で100枚をつくって納める小ロット生産は

生産者は素材の用意さえがあれば、すぐに作ることができ

商品を納品されたEコマースの販売者はすぐに売り始めることができます。

従って、Eコマース事業者は
消費者からの現金回収も速くできるわけで

速く、回収できた現金を
サプライチェーンに回すことができれば

関係各社は資金繰りの心配も少なくなり

従業員にも、仕入先にも
早く支払うことができるようになるわけです。

SHEIN(シーイン)ら、IT業界から来た産直越境EC企業らは

最速で週ごとに納品商品の代金をサプライヤーに支払うことを知りました。

そんな誰もがわかる

サプライチェーンが潤う単純なロジックに対して

一方、近年、主流になっている大量生産はというと・・・

確かにロットを大きくすることで、原価は安くなるかも知れませんが・・・

素材の用意から

  ↓

製品をつくり始め

  ↓

完成品を売り始めて

  ↓

代金が回収できるまで

販売期間と比べて、
果てしない時間がかかるわけで

生産中はサプライチェーン各所に

原材料や仕掛在庫を含む
在庫=キャッシュを寝かせてしまうことになる

そんなことが 実際、生産現場各所で起こっているわけです。

そうすると、現金化に時間がかかるため

仕入先には支払い期日を先延ばししてみたり

資金が足りなくなる場合は銀行借り入れによって資金を繋いだりしているのが現実。

関係者みんなが頑張っても・・・

販売現場では過剰に抱えた在庫を値下げ販売する悪循環。

これって、いったい、何のために、
誰のために仕事をしてるんでしょうね。

以前、バングラデシュで生産する
商社の方に伺った話を思い出します。

バングラデシュの大手の工場主は売上高をたくさん得たいために

何十万枚、時には何百万枚の受注を要望すると言います。

ところが、そんな大ロットだと

素材の調達にも時間がかかり、納品するまで時間がかかるため

納品が完了するまで

従業員に給料が払えない
原料代金も払えない

という状況に陥りがちとのことでした。

コストは安くなるけど

サプライチェーン各所にキャッシュを寝かし

販売にあたっては値下げ在庫処分のリスクをはらむ大量生産

一方、

コストは多少高く、当初値入は少なくても

関係者がキャッシュで潤い値下げリスクも小さい、小ロット多頻度生産

はたして、一体どちらがいいのでしょうかね?

安く仕入れても
多くの売れ残り在庫を抱えた
現場をたくさん見て来ました。

一方、あぁ、もう少しつくればよかったね

と言いながら

次のコレクションを
前倒し販売していた時もありました。

双方を思い出せば

どちらが上手く行っていたかは明らかです。

これって
実際、冷静に原価計算をしてみれば
原価が安いことよりも
値下げが少ない方が儲かることがわかるはずなのに、

組織が大きくなればなるほど
仕入れ担当者のひとりの判断で出来ることではなく

会社のルールを変える必要があることなので
トップやリーダーの覚悟がいることだとしみじみ感じます。

かつて、アパレル専門店の経営者さんたちは
起業して間もないころ

1カ月分の在庫を仕入れて店頭に並べ、

売った代金で来月売る商品を仕入れに行く
そんなことを繰り返していたころがあったと思います。

そのころは、
在庫日数、30日!在庫回転率は10回転以上!

でまわっていたのではなかったでしょうか?

そんな経営者さんも、最近は見込み仕入や見込み生産が増え
在庫回転率が落ち、支払いをいかに先延ばしするかを考えている
なんて話もよく耳にします。

まさか中国の広州で、忘れかけていた

小売業の日銭稼ぎ商売の原点を思い出される
ことになるとは思いませんでした。

今一度、キャッシュフローを重視した小売ビジネスの原点を
思い直す時、と感じる今日この頃です。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】「図解 アパレルゲームチェンジャー」(日経BP)
 第2章では、産地から、店舗を持たずに、世界の消費者に直接売り込む

SHEIN(シーイン)のビジネスモデルの優位性について取り上げました。

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June 12, 2023

SHEIN(シーイン)を支える生産背景、中国広州アパレル産地レポートがWWDJAPANに掲載されました。

Shein-hqWWDJAPANに月イチ連載中の「ファッション業界のミカタ」(ファッション流通企業の決算書の読み方)。

6月12日発売の連載 第50話目に、ウルトラファストファッションSHEIN(シーイン)の本拠地である中国広東省広州のアパレルサプライチェーンの現地視察レポートをまとめさせて頂きました。(筆者が5月下旬に実際に視察したもの)

世界の工場である中国の、アパレル一大産地である広州は生地、付属品の現物在庫を抱える巨大な市場があり、製品を5日でつくる背景を支えています。

そんな産地で取材をした中で、最も印象的だったのは、

SHEIN(シーイン)のようなIT業界から来たゲームチェンジャーたちが中心になって、
速く納めてくれるサプライヤーには、すぐに払う、

一方、バイヤー側は速く払うために、速く売ってキャッシュに換える、
既存の業界とは対極にあるキャッシュフロー経営が進んでいました。

安く作るために、大量受注、大量生産をしてしまっては、リードタイムも長くなり
サプライチェーン上の各所に溜まる在庫にキャッシュを寝かすことになりますが、

小ロットなら、多少コストが高くでも、
むしろ、速く換金でき、

サプライチェーン全体のキャッシュフローが豊かになるというメリットを
あらためて産地で考えさせられた次第でした。

世界のメディアでは、SHEIN(シーイン)のネガティブな面が大きく報道されますが、

実際、産地に行ってみると、メディアでは報道されない、

日銭商売である小売業として、我々も見習うべき

目から鱗の「商売の原点」をたくさん耳にすることも出来ます。

SHEIN(シーイン)は、

他にも業界のどんな常識を覆すことで、急成長したのか?

今後もアンテナを立てて、リサーチを続けたいと思います。

こちらの記事はWWDJAPANのウェブサイトでもお読み頂けます。

シーインのウルトラファストサプライチェーンの秘密を中国・広州で探る

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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May 29, 2023

新刊「図解 アパレルゲームチェンジャー」(日経BP)が発売されました。

Finalおかげさまで、来週5月25日(木)に齊藤孝浩の4冊目となる
新刊「図解 アパレルゲームチェンジャー」(日経BP日本経済新聞出版社)が発売になりました。

4年間、WWDJAPANに連載を続けてきた「ファッション業界のミカタ」(ファッション流通企業の決算書の読み方)で紹介した企業を中心に、

主に決算書情報などから読み取れる、コロナ禍を経て勝ち続けている企業のビジネスモデルが、従来の業界の常識と何が違うのか、その優位性、将来性をわかりやすく図解してみました。

勝ち続ける企業は・・・業界の常識とは真逆のことをやっていた。

というのがこれらのビジネスモデルとゲームチェンジャーたちのビジネスモデルを分析しての気づきです。

そして、損益計算書(PL)の強さが お金の使い方にあるということ。

ZARA(ザラ)から始まり、SHEIN(シーイン)、ZOZO、ワークマン、コストコ、LVMH(モエヘネシールイヴィトン)、丸井グループ、メルカリ、DOORDASH(ドアダッシュ)などなど

が登場しますが、彼らは

・在庫の運用のしかたが上手く

・商品を仕入て売る以外にも収益源を持ち

・自前でしくみを構築したからこそ、そのインフラが他社にも売れるプラットフォーマー的な役割を果たし

・小売流通業がエンドユーザーから代金(日銭)を預かることの大切さを知っています。

上記の企業の他にも、ユニクロ、ニトリ、H&M、クラシコム、モンベル、ヤマト運輸などのビジネスモデルも登場します。

一応、専門書ではありますが・・・

グラフやイラストを多様し、誰もが知っている身近な企業の財務体質とビジネスモデルを、

「ですます調」で綴ることで、

多くの方に読みやすい体裁にしております。

一番読んで頂きたいのは、これからビジネスモデルを見直したい経営者さん、

新しいビジネスモデルを一から始めるスタートアップ企業や起業家の卵の方々、

そして、流通企業の幹部になって、PL管理に責任を持っている方々にも、

競合他社ベンチマークのアプローチも学んでいただけると思いますので、

是非読んで頂きたい内容です。

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May 01, 2023

しまむら、2期連続最高益更新!育つ第2、第3の業態、そして値下げを抑える在庫コントロールの力

Photo_20230912214901東洋経済オンラインに2期連続で最高益を計上した、しまむらの決算について、決算発表資料から読み取れることをまとめさせて頂きました。

「しまむら」意外と"値引き少ない"儲けのカラクリ~2期連続最高益更新「決算書の裏側」を読み解く

同社のリボーン(生まれ変わり)を支えているのは、ファッションセンターしまむらの婦人服カテゴリーだけに頼らない経営です。
過去2年のしまむら社の復活劇の立役者は、ベビー、キッズを対象にしたバースデーの躍進と利益率、カジュアル業態のアベイルの黒字化と利益率上昇、そしてファッションセンターしまむらの回復途上の婦人服をカバーしたキッズやインテリアのようなカテゴリーでした。
しまむらとて、婦人服が絶好調というわけではないんですよね。
それから、もうひとつのしまむらの決算書の見どころは決算説明会資料で開示している、業態別の値下げコントロールによる値下率の低さです。
同社は主要業態(ファッションセンターしまむら、バースデー、アベイル)について、粗利率と値下率(値入率がどれだけ下がったか)を開示しているので、仕入原価率が計算出来てしまいます。
そこからわかるのは、ファッションセンターしまむらの値下の低さです。
しまむらのお店行ったことがある方は、しまむらの値札が赤いので、値下げが多い会社だと思っているかもしれませんが・・・
実はもともと値段が安くて、値札が赤いだけで、値下は少ないお店なんです。
元値からの平均値下率(売価変更率)は計算すると10%以下。
おそらく、日本のファッション流通企業の中でも最も値下の少ない業態のひとつと、言えましょう。
ここまで決算書で明らかにしている会社はあまりお目にかかったことはありません。
それだけ自信があるということなのでしょう。
(前社長さんの時は一時的に非開示になっていましたが)
このように、上場企業の決算書は、
自社の改善を考える時の改善のヒントがつまっています。
上場企業の見習うべき企業の気になる開示数値を見つけて、
ベンチマークしてみて下さい。
取り扱う商品や価格帯や売り方は違っても
しまむら社の決算資料は生きた教科書のひとつだと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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April 10, 2023

過去最高益、独走ZARAのインディテックスはコロナ前後でどう変わったのか?

Wwd-vol48-inditexWWDJAPANに月イチ連載中の「ファッション業界のミカタ」(ファッション流通企業の決算書の読み方)。

4月10 日発売の連載第48話目は、23年1月期大幅増収増益で年商4兆6000億円規模になり、過去最高売上&利益を更新したZARAのインディテックスグループの最新決算を取り上げました。テーマはコロナ前後で同社はどう変わったのか?です。

500店舗以上の店舗を閉め、ロシアから撤退した同社は、それにもかかわらず、その他の地域、特にアメリカの伸びしろに支えられ、17%の増収、29%の営業増益。

スクラップアンドビルドによる店舗の大型化と面積あたりの売上高を増やし、過去からの脱皮は完了しつつあります。

今回の決算発表でよく使われていた言葉は 

"to the next level" 。

過去最高の設備投資も敢行しています。次のステージにはどんな手を打って来るのか?引き続き、先行く世界トップの動向からは目が離せませんね。

こちらの記事はWWDJAPANのウェブサイトでもお読み頂けます。

ファッション業界のミカタ Vol48~過去最高益、独走ZARAのインディテックスはコロナ前後でどう変わったのか?

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【参考】ショッピングのデジタルシフトの真っただ中、その先にあるのはどんな未来なのか?10年後のファッション流通の未来を考察しました。

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February 15, 2023

【このセミナーは終了しました】3月16日(木)開催オンラインセミナー 「3つの視点を共有するだけで、過剰在庫が粗利とキャッシュに換わる!ファッションストアの在庫コントロールの組織づくりの秘訣」

20223月16日(木)開催の経営者・経営幹部向けオンラインセミナー
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