July 25, 2022

自社の物流機能を他社に提供し、物流倉庫をプロフィットセンターに換えたスクロール360

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運営のお手伝いをさせて頂いている日本オムニチャネル協会
https://www.omniassociation.com/

先日開催されたサプライチェーンマネジメント部会の月に1度のセミナーに参加して
とても感銘を受けたお話があったので共有させて頂きます。

お話しをして下さったのは、

大手ネット・カタログ通販会社スクロールさん(旧ムトウ)の傘下で
他社のEC物流を受託する子会社スクロール360の役員を務める高山さん。

お話の内容は、

親会社であるカタログ通販会社の時流に合わせた思い切った事業転換や、

品切れゼロ、残在庫ゼロを目指すサプライチェーンマネジメント

自社の通販事業のインフラのひとつであった物流部門が事業会社として独立し、
他社EC企業のフルフィルメント業務を受託するようになった経緯、

そして、現在進行形の通販物流業務全般の生産性を高めるための工夫の数々でした。

ひとつひとつが目から鱗だったのですが、

今回ご紹介したいのは
時代の変化に合わせた事業転換の話です。

2000年以降にEコマースが急速に普及する以前から
ご存じのように同社を含めて、カタログ通販に取り組む会社はたくさんがありましたが、

同氏によれば、カタログ通販業界にとっての転機は1999年にあったそうです。

楽天、Yahoo!、アマゾンなどのECが台頭し、
カタログ通販の販売量が下降に向かい始めた時、

多くの同業カタログ通販会社が収益確保のために力を入れたのは、

通販会社としての「攻め」の強みのひとつであった
ダイレクトメール(DM)による顧客へのリーチ力を活かした広告営業

つまり、
カタログを会員顧客に発送する際に同封するDMの印刷物から広告収入を得ようとしたそうです。

そんな競合他社らを横目で見ながらスクロール社が通販売上の収入減をカバーするために営業を強化したのは・・・

むしろ「守り」の部門であった物流機能でした。

物流部門を縮小して行く他社に対して、同社は同部門をリストラすることなく、

むしろ急速に需要が伸びたことで、出荷作業に悩む楽天などに出店するEC業者から

物流業務の代行を受託することに奔走したのでした。

その後、時代はご存じの通り、Eコマースの加速度的な伸び、

大手カタログ通販各社もデジタルシフトをしてEコマースに転換するもEC専業には敵わず、売上規模は縮小。

この間、親会社であるスクロールは、直販に固執せず、販路を自ら開拓する顧客ダイレクトのBtoC型から撤退し

全国に顧客基盤を持つ「生協」と組んで、生協を経由したB to B to C型のビジネスモデルに大転換。

一方、物流子会社スクロール360はこれまで親会社の通販出荷を手掛けて来たノウハウに磨きをかけ、

いまや100社以上の他社のEC事業の受発注や出荷代行を担うフルフィルメント会社として成長し
受託拠点である物流倉庫の拡大投資を続けて現在に至ります。

顧客の購買行動が変わる業界の大きな転機に、

過去の「攻め」の強みにこだわった多くの同業他社と、

一方、それまでコストセンターだった物流という「守り」の強みを、Eコマースが伸びて行くこれからの時代の強みと見極めて
プロフィットセンター化した同社の間には、

明らかに明暗があったと思いました。

これは奇跡ではなく・・・

経営者さんが時代の流れを読んだ経営判断に他なりません。

そして、その経営判断ができるだけ、
「守り」の物流部門が単なるコストセンターではなく、
将来的にも事業の強みのひとつになると認識されていた経営陣の勝利だったと思います。

長年ビジネスをしていると10年に1度は大きな転機を迎えるものです。

これからどう勝ち残るかを考える時・・・

「強みを活かす」ことは基本中の基本ですが、

ビジネスには何事も
「攻め」の強みと「守り」の強みがあるはずです。

必ずしも「攻め」に固執することが
変わりゆく時代の強みになるとは限らない、

しっかりした機能であれば、「守り」の強みにも十分活路がある、

ということを、
お話を伺っていて思い知らされたものでした。

事業にとって

トップライン(売上)を上げるための「攻め」の商品開発や販売促進やマーケティングが第一ですが、

そこからボトムライン(利益)が確保できるかどうかは、在庫コントロールやロジスティックスなど守りの機能がしっかりしてこそだということを忘れてはいけません。

その表と裏の両輪が上手く回ってこそ、右肩上がりではない、
安定成長時代に持続可能な経営ができるものと確信しています。

【9.15 オンラインセミナー】

「売上はMD、粗利はDB」と、ある経営者さんはおっしゃいました。
MD とDBの両輪を上手く回して、顧客最前線の販売力を最大限に活かす。
過剰在庫を粗利とキャッシュに換える組織づくりと業務連携の秘訣をお伝えします。
8月16日までのお申込みで早割適用 

詳しくはこちら https://dwks.jp/seminar2022/

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【参考】ショッピングのデジタルシフトの真っただ中、その先にあるのはどんな未来なのか?10年後のファッション流通の未来を考察しました。

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June 27, 2022

Amazon(アマゾン)はアパレル店でのお困りごとを独自のテクノロジーでどう革新するのか?

Amazon-go_20220709130101年内に開業予定と言われていた、Amazon初のアパレル専門店=amazon style(アマゾンスタイル)が
5月下旬にアメリカ西海岸、ロサンゼルス郊外のモールにオープンし、
早速、体験をされたジャーナリストの方々の体験記事を読むことができるようになりました。

関連エントリーー Amazon(アマゾン)が解決しようとするファッションストアの課題とは?

アマゾンブックス(本屋) や アマゾンゴー(コンビニ)

はそれぞれ本屋、コンビニでの
顧客のストレスにフォーカスした、実に的を得たソリューションだったことは
2019年2月に出版した拙著「アパレル・サバイバル」の中でも解説させて頂きましたが

amazon style(アマゾンスタイル)は
アパレル店で最も大切な場所であるはずなのに、多くの生活者がストレスを感じる場所である
フィッティングルームのソリューションにフォーカスした業態のようです。

皆さんもアパレル店でお買い物する時に、どんなストレス感じているか、
そのシーンを思い浮かべて見てください。

実は、アパレル・サバイバルを書いた2019年時点では

アメリカで体験した、DtoCブランド、BONOBOS(ボノボス)のガイドショップという
試着を目的にしたショールーム店舗のフィッティングルームの大きさに
アパレル店のあり方を感じたものでしたが、

その時は、同時に、店舗でできるのは商品選びと試着のみで、
決済と商品受け取りはオンライン注文→宅配が前提だったため
「買ったものが持ち帰れない」というストレスというか、違和感を覚えたものでした。

ジャーナリストの方々のレポートによれば、
アマゾンスタイルは正しく、フィッティングルームにフォーカスをし、
(2層の店舗の2階は40ものフィッティングルームを有する)

店内では、接客なしで、品定めが出来、着たい服をスマホアプリでスキャンすることで
それらが用意された試着室で試着ができるだけでなく、AIによるレコメンド品も同時にフィッティングルームに用意されており、
入室したフィッテイングルームからも、追加で試着要望を出せ、
気に入った購入商品は持ち帰りも宅配も出来るようですね。
(フィッティングルームの裏で、テクノロジーと作業員が動いている)

記事を読む限り、アパレル店における顧客のストレスに対するアプローチは
それなりに的を得ていると思いました。

そして、Amazonのことですから、これまで同様に、実際に運営する中で、
現在の問題点もアジャイルに修正して行くことでしょう。

やはり、百聞は一見にしかず、
自分も早く現地に行って自ら体験し、
これから、未来に向けてアパレル店が顧客最適にどのように変わって行くのか
想像をしてみたいと思ったものでした。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【参考】アパレルビジネスはフィティングがカギ。デジタルシフトが進む中、オムニチャネル時代の顧客最適なビジネスとリアル店舗のあり方を考えるビジネス読本です。

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June 20, 2022

原価高騰時は率重視から額確保優先へ

Photo_20220709120301先週開催したWWDJAPAN主催
アパレル値上げ対策セミナー

タイムリーな話題ということで
有料セミナーにも関わらず
定員いっぱいの参加を頂きました。

ありがとうございました。

小売業、特に食品やガソリンのような生活必需品ではない、

ファッション流通においては、明らかに価格と販売数量は反比例の関係にありますので・・・

原価が上がった分、そのまま価格転嫁をすればよい、という話ではありませんので

価格設定は慎重に行いたいところです。

セミナーでは、小手先の対応だけでなく

・価格設定の基本

・プライスポイント及び周辺価格帯のバランスの取り方

・大手SPA各社の対応

などのお話をしながら

高騰する原価の緩衝材として

値下げの見直しや

販管費との向き合い方までお話しました。

小売業が体質改善の覚悟をした上で
いかにサプライチェーンと歩み寄って協力体制がとれるか?

原価率重視の仕入を一旦やめて、

営業利益を残すため、粗利率は下がっても、
最終粗利額の確保を目指すことを推奨します。

取り組むにあたっては・・・

まずはどれだけ値下げをしているか
その「原資」を把握するところから始め、

シーズン中の在庫コントロールでいかに、各種ロスを減らすことができるか

それが数十年に一度、押し寄せる「大波」の中で
生き残るカギになることでしょう。

秋冬以降、価格政策で失策をするところも少なくないと思いますので、

顧客との価格のお約束を維持しながら、上手に平均売価を上げ、

経営に必要な利益額を確保するように全社のオペレーションを向け

ピンチをチャンスに変えましょう!

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【参考書籍】

顧客購買行動に対して品揃え計画(MD)およびシーズン中の在庫運用(DB)を考えるビジネス読本

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

こちらは電子書籍 Kindle版 です。商品政策と在庫運用のヒントが満載。経営者様、経営企画の方、MD、DB職の方に読んで頂きたいです。

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June 14, 2022

ユニクロが秋冬から値上げする商品、価格を据え置く商品とその意図は?

Uq-harajyuku_202206141302016月7日のユニクロのメディア向け秋冬展示会で一部の商品の値下げを発表しことを、メディア各社が大きく報道していました。

各社の報道によれば、値上げする秋冬商品の税込価格は、

フリースが従来の1990円から2990円へ、

ウルトラライトダウンが同5990円から6990円へ、

ヒートテック肌着(極暖)は1500円から1990円へ、

同(超極暖)は1990円から2990円へ、

カシミヤクールネックセーター(ウィメンズ)は8990円から9990円

という感じです。

一方、なぜか値上げする品目だけを取り上げ
ヒートテックの通常モデルの990円、ジーンズの3990円など定番品の価格の据え置きについては報道しないメディアもあったのが、値上げだけに注目しているようで、逆に不思議に感じました。

いわゆる「ユニクロプライス=1990円」の象徴であるフリースが1000円値上げになったことはキャッチーなニュースですが、

エントリー商品と言える、多くのお客さんが数をたくさん買ったり、目的購入をされる商品の価格を据え置いたのはとても賢明で、

むしろそういった入口にあたる商品との差別化が明確に図れたり、

上層マーケットではもっと高く売られているアイテムを値上げすることによって、
商品開発者がどんな付加価値をつけるか、にチャレンジをすることは

柳井会長が言われた通り、考え抜かれた結果なのだと合点が行きました。

フリースあたりはもうプロダクトライフサイクル的も衰退期に入っている可能性があるので、むしろ値段を上げて革新的に生まれ変わるリニューアル(脱皮)の良いチャンスかも知れませんし・・・

今回のユニクロの秋冬からの価格設定のニュースを聞いて
あのユニクロですら値上げをしたのだから、うちも全般的な値上げをしてもよい!などと手放しに考えるのか

ユニクロが据え置いたアイテムとそれらの価格の意図に注目して、
自社に照らし合わせた場合、どこで原価アップ分を吸収し、どこで付加価値を表現するかを考え抜いた上で価格設定をするのかで

秋冬の買い上げ客数と利益額は大きく変わって来るでしょう。

今回の決断はシーズン仕入れを担う商品部MD職任せのマターではなく、

事業を大きく左右する、まさに経営者マターの話です。

まずは小売業が方針を明らかにし、リーダーシップを持って、会社ぐるみでサプライチェーンのお取引先と相互協力体制をとり、この難局を乗り越えましょう。

なお、原油や食品など原材料相場が製品価格に直結する、原価構成比に占める割合が高い生活必需品の消費財と、同じ消費財でも、アパレルのような原材料に対して、つける付加価値の方が圧倒的に大きい、そして、代替え可能な選択肢が多い商品を同じ理屈で考え、食品は値上げしているのだから、衣料も値上げすべき、という理屈には無理があると思っています。

食品は食べなければ生きて行けませんが、衣料品の場合、明らかに高くなったと感じたら購入を見送ったり、本当に必要であれば、比較的安価な他社で購入することになるでしょう。

小売業にとっては購入頂ける客数が生命線のひとつです。

今回、思い切ってリブランディングするなら話は別ですが・・・

客数を左右する価格設定は古い原価率に基づく公式ではなく、考え抜いて再定義する、いい機会にしたいものです。

6月17日に開催されるWWD JAPAN主催の アパレル値上げ対策セミナー(オンライン)に登壇します。
原価高騰下の価格見直しや業務再構築の気づきを得ていただければ幸いです。(6月16日正午締切です)

https://wwdjapan-businessseminar20220617.peatix.com/

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【参考書籍】

顧客購買行動に対して品揃え計画(MD)およびシーズン中の在庫運用(DB)を考えるビジネス読本

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

こちらは電子書籍 Kindle版 です。経営者様、経営企画の方、MD、DB職の方に読んで頂きたいです。

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May 24, 2022

ECモールとブランド実店舗との協業 ZOZOTOWNのゾゾモが提供する店舗への来店促進機能

Zozo5月24日の繊研新聞にZOZOTOWNの新サービス、ゾゾモが順調に拡大しているという記事が掲載されていました。

このサービスは顧客がZOZOTOWNで見た商品を店舗で見たいと思った時、在庫のある店舗の場所を確認した上で取り置きができる機能で、同社はこのサービス機能経由で、顧客をテナントの実店舗に誘導し、その商品が実際購入につながった時は12%の手数料を受け取るというサービスです。

記事によれば、対象店舗700店舗からスタートした取り組みは現在、1400店舗まで広がっているようで、実際にブランド側からも評価を得ているとのこと。

以前から、

日本最大級のトラフィックを誇るZOZOTOWNで見た商品をスクショして店舗に持ってくるお客さんが多いことは、多くのブランドの方々から聞いていましたが(その購買行動は非常によくわかります)、

顧客を取り合うのではなく、お互いのチャンスを顧客購買行動に逆らわずにサポートするために、
ZOZOTOWNがその機能を実装し、ブランド実店舗と協業することは面白いと思っていました。

今や、自社ECは実店舗のユーザーの利便性のために活用し、ECモールは新規顧客との出会いの場と使い分けるブランドが多い中、

手数料はかかりますが、新規顧客を店舗に誘導できる理にかなったサービスだと思います。

ZOZOTOWNの集客力を利用しながら、モールの中では埋もれないように自社商品が上手く検索してもらえるように工夫をし、ゾゾモ経由でいかにリアル店舗で新規顧客を獲得するか、この機能を利用したブランドの知恵の絞りどころいろいろありそうですね。

関連エントリーーZOZOの商品取扱高手数料収入以外の収入に注目

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 

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April 25, 2022

ファッション商品の中古品販売代行、リセール・アズ・ア・サービス Resale as a Service (RaaS) の可能性

Circular-economy-aいつも楽しく読ませて頂いている日経MJ連載の鈴木敏仁さんの「米国流通現場を追う」
先週はアメリカで存在感が高まる中古ファッション商品のオンラインリセール販売企業についてのコラムでした。

アメリカの中古ファッション品のオンライン販売の大手は

一般ユーザーが手放そうとする所有アイテムの販売代行をメインとする

レディース、キッズの低価格帯から高価格帯まで有名ブランドを扱う 
thredUP スレッドアップ

ラグジュアリーに特化した
The real real ザ・リアルリアル

日本のメルカリのように一般ユーザーにファッション商品に特化してCtoC売買のプラットフォームを提供する
ポッシュマーク

などがあり、これら3社はいずれも上場企業です。

このうち、スレッドアップのビジネスモデルを紹介すると、

着なくなったファッションアイテムを手放したいユーザーから送ってもらい、

スレッドアップの倉庫で販売可能かどうか、商品を検品した上、

一定期間 預かってオンライン販売開始、

その間に売れたら販売手数料をとって代金を出品者に支払う

販売できないと判断されたもの、あるいは一定期間売れなかったものは、
ユーザーに返却するか、寄付するか、リサイクルに回すという選択肢があるようです。

この間の買い手とのやりとりはスレッドアップが代行する、というものです。 

同社の決算書のPLやBSを見ると

売上の内訳は販売代行分が75%、自社在庫販売分が25%の割合のようです。

BSを見ると、在庫日数105日分の自社在庫が計上されていますね。

上場企業ですが、規模の拡大と共に、まだまだ赤字も膨らんでいる状況です。(これは同業のザ・リアルリアルも同様)

将来性を期待して投資された、投資家からの調達資金は、
ユーザーから送られた商品の検品、在庫管理、オンライン販売の自動化のシステムなど、
主に事業拡大のための自動化に投資されているようです。

やはり、面白いなと思ったのは、鈴木さんがコラムで取り上げていらっしゃる、
自らが構築した中古販売のプラットフォームをブランド企業に提供する動き
=RaaS(リセール・アズ・ア・サービス)という取り組みです。

 ※ Resale as a Service (RaaS) はスレッドアップ社の登録商標のようです。

ブランド側はサイトにスレッドアップの中から自社ブランドに特化したサイトを埋め込み、
中古品も取り扱っているように見せることができます。

ユーザーが着なくなった同ブランドの服を回収し、
将来、ブランドでの購入に使えるクレジット(クーポン)を付与

ユーザーから送料スレッドアップ持ちで送られて来た商品は、
査定から販売およびその後の処理までスレッドアップがすべて請負うようです。

サイトを見ると、アディダス、バナナリパブリック、アバクロ、メイドウェル、アンソロポロジーなど著名ブランドが参加、

また、鈴木さんが驚かれていたように、

なんと、ウォルマートのECサイト内にも、
ブランドに関係なく、ラグジュアリーブランドから低価格ブランドまで、たくさんのブランドの中古品が販売されている格好になっています(実際には裏でスレッドアップが販売代行)。

スレッドアップのサイトにも、ラグジュアリーブランドに特化するザ・リアルリアルのサイトにも
共通して掲載されているアメリカでの服の廃棄問題についての情報をご紹介しておきましょう。

アメリカ人の2人に1人は着なくなった服をゴミとして捨てる。

そのうち73%は焼却されるか、埋められることになる。

実は、その93%はリサイクル可能なのにも関わらず。

捨てるのではなく、(私たちリセール企業に)再販のために手放してくれれば、
あなたが使わなくなったファッションアイテムは第2のユーザーに引き継がれ、

商品としての寿命を2年以上伸ばすことができる。

としています。

このサービスを利用するスレッドアップと提携するブランド企業側のメリットとしては、

これまで通り、新品だけを販売し続けるだけではなく、

大量消費、大量廃棄時代に、ユーザーが着なくなったものに対しても
配慮をしているという姿勢を示すことができること。

ユーザー側も、新品だけでなく、
状態がよい古着も、ブランドを購入する際の選択肢に加えることができること。

更に、ブランド企業側にとって、
中古品がブランドに相応しくない、手放され方、売られ方をするよりは、
どんな商品がどのような状態でユーザーから手放されるのか、販売されるのか、
目が届く範囲で購買行動と共にモニターができる、

というメリットもあるでしょう。

このような、「つくる責任、つかう責任」に関与しようとする企業活動に対して

自社で取り組むブランドもあるようですが、

自社で取り組むにはコストがかかるため、スレッドアップのような企業と組むという選択肢もありなのでしょう。

かつては中古品は新品販売と競合するため、関知しない、ことがファッション企業の常識でした。

これに対して、筆者は、拙著「アパレル・サバイバル」(2019年2月出版)で

ユーザーが使った中古品と言えども、外車流通がそうであるように、
ブランド企業自身が流通に関与する時代がやって来てもおかしくない、

中古品は状態をメンテして、ブランドのエントリー商品に位置付けることができるかも知れない、

むしろ、ブランド側は今後、積極的に関与することを考える時代が来る

そんな主旨を問題提起させて頂いたものでした。

現在、日本では、

ZOZOTOWNが新品と同じサイト内で、
ZOZO社が下取りして買い取ったブランドのUSED商品を、
同じブランドの新品販売のすぐ隣にあるタブ違い(新品/中古)で販売しているのはご存じの方も多いと思います。

中古品(USED)が購入の選択肢に入り、服の寿命が長くなることは・・・

マクロ的に見ると確かに新品マーケットの規模縮小に繋がることは否めませんが、

それは過去の企業視点の発想であって、

捨てることを前提とした消費から脱却したい、という若い世代が増えて来るにつれて、

その循環を企業がみずから管理するのか、パートナー組んで行うのか、引き続き関与しない、と決め込むのか・・・

この選択は今後、避けては通れない論点であることは間違いないと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 企業はつくって売るだけではなく、これからは企業も顧客のクローゼットのワードローブの循環を手伝う時代。著書の後半部分ではそんな循環型社会の幕開けについても述べています。

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April 18, 2022

製品原価高騰時の価格戦略再考~今こそ体質改善、新しい体質づくりの時

Photo_20220426193401ここのところメディア取材や投資家勉強会でこのテーマでの依頼が増えています。

今年の秋冬ものの仕入れ以降

アパレルの製品原価がFOBベースで前年比1.2倍以上
円安で為替インパクトが同1.2倍超の水準となり

単純に掛け合わせると、仕入原価が1.5倍になりそうな勢いですから・・・

足元の売上が19年並みに戻って来た!と浮かれることなく

新しい価格政策にしっかり向き合いたいところです。

これまでの仕入原価率をそのままにしてその分価格を上げてしまうと・・・

3~4割の値上げ、いわゆるワンランク上の次のプライスラインになってしまう状況。

同じ商品の価格を上げれば、明らかに買上客数は減り、売上数量は減ることは・・・

小売業に携わるものは、誰でも痛いほど経験しているはずです。

安易に値上げしても売れず、その後、売れないからと安易に値下げをするようでは・・・

お客様を迷わせ、価格の信頼性が損なわれることは言うまでもありません。併せて店の売変作業も大変です。

では、どんな心構えで価格政策に臨むべきかを、

考えられることを少し、まとめてみたいと思います。

結論を先に言えば・・・

プライスポイント(最多価格帯)を上げずに

商品のクオリティも明らかに落ちたと感じられないように維持することを前提にしながら

つまり、「明らかに高くなった」と感じられないように、

いかに合わせ技で、結果的に、平均売価が上がる努力をするか?の耐え時と言えましょうか。

いくつか要素がありますが、メジャーな対応策をいくつか上げてみましょう。

1)プライスポイントより高価格帯の構成比を増やす

ただ高い商品の品ぞろえを増やすわけではありません。

上層マーケットで販売されている商品を対象に、クオリティを落とさず、自社らしくトレードオフ(マストでない要素をそぎ落として)でつくることを心がけることです。

キープした先のプライスポイントと価値の差が明確なほど、それら、高い商品の価格が高い理由は伝えやすいはずです。

そして、買い上げ単価の高い顧客の新規獲得を目指しましょう。

ニトリは過去にこの策で客数を減らさずに客単価を20%上げました。

2)中間プライスラインをつくる

プライスラインは1,000円刻みがお好きなところが多いですが・・・
無理せず500円刻み、200円刻みの中間プライス設定も検討する時でしょう。

今までやったことがなかったり、あるいは過去に中途半端にやって失敗したり、

違和感のある方は、ZARAやしまむらのお店を見てみてください。

3)できる限りプロパーで売り切る

在庫コントロールを緻密に行い、

値下対象になってしまうような、売上のバラツキに起因する機会損失、滞留在庫を最大限に減らす努力を。

確実に余剰在庫になりそうなものを我慢して値下げ販売しない、という意味ではありません。

早期判断、早期対処は必須です。

これは、時期にかかわらず、長年、筆者がお伝えして来た粗利捻出術のひとつです。

4)値下げする際の価格帯(プライスライン)も刻んで、粗利高の確保に執着する

安易にこれまでと同じ値下のしかたをしない。
つまり、値下げする時はすぐに1,000円オフ?なんでもかんでも30%?などのクセを止め

期限までに売り切れるものはあえて値下をせず、あるいは、大ざっぱな値下で利益を摩らないよう工夫をしてみたいところです。

ユニクロは値下価格を1,290円から1,490円にするだけで販売単価を15%上げました。

上記の他、

販管費の中にも、高く払っている家賃や生産性など、モチベーション下げずにメスを入れることができるところがないか知恵の絞りどころです。

コロナ禍で経費総額は十分絞ったとおっしゃる企業も多いと思いますが、今度は、コストカットではなく、新しい体質づくりを考える時です。

過去にもブログに書いた

値上げの前にやるべきこと

昨年、フルカイテンさんのセミナーでもお伝えした

客単価を上げる方法とは? ユニクロ・ニトリの決算書から読み解く

在庫管理を起点に考える 値引きと粗利益をコントロールする方法

などの内容も参考にしていただければと思います。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

筆者から直接学べるオンラインセミナー 次回は5月26日(木)です。

https://dwks.jp/seminar2022/

【おススメ本】第4章(P91~)勝ち組企業の価格戦略でアパレルチェーンの基本的価格戦略を解説しています。

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識 (中公新書ラクレ)

電子書籍 Kindle版 です。

 

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April 06, 2022

しまむらの2022年2月期決算は過去最高売上・利益を更新。次の成長ドライバーは・・・

20220412_1839474月5日に発表された、しまむらの2022年2月の決算発表資料に目を通しました。

売上高 5836億円(107.6%)
売上総利益率 34.1%
営業利益 49億円(130.0%)
営業利益率 8.5%

で売上高、営業利益、経常利益、当期利益とも過去最高でした。

売上の75%を占めるファッションセンターしまむらが、短サイクルMDと期中でも柔軟に売場の部門構成比を変える需要連動型の品揃えが奏功し、

売上高が前年比106.8%、19年比109.6%となり、巧みな在庫コントロールで値下げも減らし、営業利益率が10%(前年は8.8%)になったのも大きいですが、

当期のトピックは

売上高が695億円前年比110.9%となったバースデイの大幅増収増益(営業利益率前年4.5%から当年6.4%に)と

同じく544億円前年比110.0%になったアベイルの増収黒字化(-0.6%から2.8%に)が大きいのではないでしょうか。

バースデイとアベイル業態は構成比が10%を超えたので、今後、数値を開示して行くことになると思われます。

メイン業態のしまむらは

前年比、前々年比は伸ばしていますが、まだ、2017年2月期のしまらーブーム当時の売上にはまだ及びません。

部門別売上を見ると、

コロナの影響を受けなかったと見られるしまむらも、けっして服が売れているわけではなく、
婦人衣料、肌着などの落ち込みをベビー子供服、洋品小物、インテリアでカバーしているのが実状。

もっとも、しまむらは服が売れなければいけない、という業態ではありませんが・・・

EC売上は前年比164%で28億円になったとは言え、全社売上比0.5%程度。
その9割が送料無料の店舗受取りとのこと。

低価格チェーンはお客様も送料無料ハードルを越えほど無理に買うのも大変ですし、

チェーン側も送料無料となると薄利になるので、

EC売上は伸ばしづらい、あるいは、プライマークのように、やらない、というのが世界的な傾向のようです。

しまむらは、過去最高売上、最高益を計上して、

今後、都心出店に再チャレンジするそうです。

家賃条件さえ合えば、都心部は販売効率は高くなることは間違いないので、
立地を精査しながら、今後、都心出店が同社の成長ドライバーになるかどうかに注目ですね。

さて、間もなく世界アパレル専門店売上高ランキング2021年度版がまとまりますが、
しまむらはランクは下がりますが、トップ10内に残っています。

過去1年の世界の強豪各社の動向を見ると、

多くの企業が、顧客購買行動のパラダイムシフトにチャレンジし、大きく変化対応に踏み出しているのがわかります。

チェーンストアにとって、出店拡大や品揃えの変化だけが仕事じゃない、

企業の時代の変化対応のビジョンが求められている時に、
しまむらはどんな未来を描くのか?そんな業界リーダーシップにも期待したいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 

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March 28, 2022

「アマゾンvsウォルマート」を読んで~アメリカでしのぎを削る2大流通企業の狙いを通じて小売業の未来が想像できる書籍

20220401_165503アメリカの流通業界の情報取得で、いつもお世話になっている鈴木敏仁さんが書かれた

新刊「アマゾンvsウォルマート(ダイヤモンド社)」を読みました。

新聞やメディアの記者ではなかなか書けない、

長年、現地で両社をウォッチ(定点観測&IRリリース)し続けて来た流通企業での業務経験のある鈴木さんならではの切り口でウォルマートとアマゾンの歴史とチャレンジを表から裏から解説して下さっており、

小売業の実務を支援する立場の私にとっても、とても共感でき、刺激が多く、大変勉強になる一冊です。

特に印象に残ったところを、ネタバレにならない程度(笑)にいくつかご紹介させていただきますね。

前半でウォルマートのEDLP(エブリデイロープライス)の話が出て来ますが、
その「本質」は私自身、「何度も」聞いてきたはずの話なのに、

それを愚直に実践しているウォルマートの話がとても新鮮に感じてしまうのはなぜなのかを考えさせられました。

同社が常に安い価格を実現できるのは、そのバイイングパワーだけでなく、「安定した」ローコストオペレーションゆえ。

しかし多くの小売業が、ただ大量に買うからと仕入先を叩いたり、自転車操業的なディスカウントを繰り返して、安い価格を実現しようとする現実があります。

そんな行為が、現場やサプライチェーンに無理強いをして、酷使するだけでローコストオペレーションにならない・・・

結果、コスト高になってしまっていることに気づかない、というのが現実のような気がしてなりません。

そんなウォルマートの小売業としての経営信念と中長期ヴィジョンに基づいて構築した盤石の基盤に関わらず、

生活者がオンラインとオフラインを行き来する時代に、システムインフラを部分最適ではなく、未来の小売のヴィジョンを描いて、抜本的な入れ替えをやってのけた「パンゲア・プロジェクト」のリーダーシップには脱帽というか、小売業の「キング」としてのプライドと覚悟を感じたものでした。

大きくなって大企業病になり、身動きが取れなくなった企業経営者さんたちは、ウォルマートのVMIやセルフレジやBOPISやカーブサイドピックアップのような、メディアで話題になる視察対象になる表層的な施策レベルを真似るのではなく・・・

同社の流通業界そして社内に対するリーダーシップを学ぶべきだと痛感しました。

続いて、計算上では何年後かにはウォルマートの年商規模を抜く可能性もあるAmazonは、
小売業の姿をしたIT企業であり、金融企業。

常にAWSが稼ぐ利益が注目されますが、「マーケットプレイス」コンセプトのビジネスモデルがすごいと思いました。

同社が現代から未来にかけてのかつての「石油」にあたる、「データ」を欲しいままにしていることはよく知られていますが・・・

マーケットプレイスは豊富な「品揃え」を実現するだけでなく、「購買行動データ」と共に、「代金回収代行」によるキャッシュフロー創出の側面があることに「してやられた」感を受けました。

また、エンドユーザーとつながっている、オンからオフへ広がり続ける小売業であり、IT企業だからこそ、

未完成なまま顧客視点のサービスを次々にリリースし、
実際の顧客行動から得られた気づきにあわせて、システム修正を加えてゆくアジャイルさに、これはもう太刀打ちできないな、と思いました。

従来の小売業の多くはITがわからない、IT 人材がいないため、ITベンダーに発注するものですが・・・

発注した小売業はお金を払っているからと、ITベンダーに完璧なシステムを求め、

現場に明るくないIT企業側もクライアントに完璧な(?)システムの納品を目指す。

小売業とIT企業がそんな関係を続けている以上は、トラブルが続くだけで、
何年、いや何十年たってもAmazonには追いつかないだろうなと感じたものでした。

そして、実は、読後に一番印象に残ったのが、

ウォルマートとアマゾンの影で 規模を拡大し続ける
ドアダッシュ、インスタカートなどの「オンデマンド型短時間宅配サービス」の話でした。

日本では出前館やウーバーイーツを想像していただくとよいでしょう。

これは、BtoCのデリバリーサービスの顔をしていますが、
その本質は既述のマーケットプレイスに近い、代金の回収代行によるキャッシュフロー創出ビジネスであると。

これまで営業利益が多い会社、無借金経営が美徳とされた小売業界。

購買行動が大きく変わり、小売業とエンドユーザーとの間に登場する新しい切り口の企業たち。

これから伸びたり、登場したりする、そんな企業の動向からも目が離せないと思います。

アメリカでは、失敗もそれだけ多いけれども・・・

頭のいい人たちが考える新しい切り口のビジネスが登場する宝庫であることを

あらためて思い知らされたものでした。

Amazonでのご購入はこちらから アマゾンvsウォルマート

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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March 07, 2022

目的なきデータ収集には意味はない~データドリブンなチームになるために必要なこと

Photo_20220307112901先週、東京ビッグサイトで開催された小売業向けデジタル機器やソリューションを紹介する「リテールテック」というイベントを覗いて来ました。

最近話題のメタバースなどの未来のテーマは前面には出ていませんが(笑)
今、そして3年後くらいを視野に入れた小売業の足元の業務課題解決がメインテーマの比較的現実的なイベントです。

いろいろなテーマがある中で、

何年も前からメディア露出はありましたが、

店舗における人流や顧客行動や店舗オペレーションをセンサーやカメラで観察し、AIを駆使してデータで明らかにして、マーケティング的に活用できないか、また業務効率化が図れないかというソリューションがあり、

当イベントにもそのテーマのサービスを紹介する会社が何社か出展されておりました。

そんなサービスが登場する背景としては、

Eコマースの拡大と共に、ウェブマーケティングはデータに基づく、いわゆるデータドリブンな仮説検証が進んでいるのに対し、
店舗現場ではPOSの販売データや入出庫や在庫データくらいしかデータがなく、
業務改善が進んでいない、

画像をベースにしたデータ化の進化も進み、

そんな現代テクノロジーを駆使してデータを取得して提供しようというものです。

話を伺うと

リアルタイムに取得できる通行客、客層、入店客数、顧客動線、複数のデータを組み合わせれば、人やモノの動きに関するデータは何でも取れるといいますが

どんなデータを取ることが小売業にとって有益なのか?

データを取得して提供する方々は正直オペレーションに明るいわけではないので、

効果的な活用が実感を持ってわかっているようではありません。

一方、そんな提案を受ける企業の本部側の方々も、データを取ろうと思えば、何でも取れることに可能性は感じるものの、

興味はあっても、費用がかかることなので、活かし切れるかがわからず、具体的な依頼が出来ないでいる、というすれ違いを感じました。

このデータ取得と活用の壁をどう埋めるかが、
データ経営へのブレークスルーなんでしょうね。

ECやデジタルマーケティングをしている人から見ると、
アナログ、情熱、勘や根性で、俗人的にやっているように見える店舗販売でも、

実は、古くから、それらが形式値、つまり数値化されたり、共有されていないだけで、
自分たちが出来る範囲で、完ぺきではなくても、仮説検証している人たちもたくさんいらっしゃいます。

データを取らずとも、

前向きに顧客を見ている人にとっては、

顧客の反応は肌で感じていますし、

店内の顧客動線つまり、どこから入って、どこを通って、どこ立ち止まるか、

それによって売りたい商品を何処に置けば、結果が出るか、売上が最大化するのかを想像して、
それを実行しているものですし

そんな例を挙げれば、事例は次から次へとたくさん出て来ます。

むしろ、数字そのものよりも温かみのある、説得力のある経験値かも知れません。

データは取って貯めることが目的ではなく
何を成し遂げたいからから取得するのか?

その目的がなければ、データを細かく取っても、コストがかかるだけで

意味がないことは言うまでもありません。

そして

暗黙値だったものの裏付けを数値で取って確信したり、

上手くやっている人が出来て成果を上げていることを、
多くの仲間がそれを真似し、再現性のあるものにしたり、

更にそれに改善を加えるために使うもの

だと確信します。

これは「出来ている」と思っているECやウェブマーケティング側についても
当初は同じことだったはずです。

事業会社時代に

「マネジメント」の意味は

やりかたを変え、結果(数字)を変化させ、成果を出す(目標達成する)こと

と教えられたものでした。

これは仮説さえしっかり立てていれば、既存のシステムから出力できるデータでも検証可能なものでした。

データ活用にあたって、なぜそのデータを取るのか?

取得の目的と現場の行動成果を繋げる「目的の言語化」が求められています。

そして、目的を達するために、可視化するものは何か?
その答えは現場にあるはずです。

データは貯めこむものではなく、目的に応じて取得して使うもの。

データドリブン時代においても、

どんな仮説を立てて、どんなデータを取って、その数字を目標達成のために
変化させるのか、それを発掘することこそが
オン・オフ問わず「マネジメント力」の入口かも知れません。

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最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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