August 02, 2021

無印良品(良品計画)は2030年、年商3兆円目標の中長期計画にどう挑むのか?

Muji-shang-hai2030年度に年商3兆円を目標に掲げた、無印良品を展開する良品計画の中長期経営計画が話題になっていますね。

最初にこのニュースを聞いた時は、ずいぶん大きな目標を掲げたな、ユニクロのファーストリテイリングっぽいな、と感じたものでした。

それもそのはず、

これまで良品計画は西友ご出身の、経営者さんが歴代社長を務めて来られたためか・・・

創業経営者が立てるようなダイナミックな計画や成長ではなかった、

ある意味、無理をせず、年率10%前後の自然増的(オーガニック)な成長を続けて来た会社。

そのためか、ユニクロと比較されることが多いですが、ファストリのPERが45倍と期待値が高いのに対して、
良品計画は16-17倍と一般小売業の平均並みに甘んじて来ました。

それに対して、9月から社長になる堂前氏は、
柳井会長と共にフリースブーム含め、長年ファーストリテイリングの急成長を支えたキーパーソンのおひとり。

この2030年年商3兆円という目標設定は、ファストリ流というか、柳井流というか、

長期の高い目標を掲げ、それを実現するために、そこから逆算して足元の計画を立てて行く
というアプローチに近いものだったので、そう感じたのだと思います。

堂前氏が中心になって作成したと言われる、
同社がこの度発表した中期経営計画(書)全55ページによれば

◆2021年8月期末見通し(現在)
売上高 4900億円 (日本3000億円、海外1900億円)

◆2024年8月期 中期計画(3年後)
売上高 7000億円 (日本4500億円、海外2500億円)

<前提>
既存店は年2%成長で、
店舗を980店舗から1300店舗に増やし
1店舗あたり売場面積は250坪から300坪に大型化し
EC売上は10%から15%に引き上げる

この間は、年平均12.6%の成長。
過去3年(2017年~2020年)が年平均9.6%の成長ですから、
これは決して、無理な話ではないでしょう。

しかし、その後の6年間の長期計画は

 

◆2030年8月期 長期計画(9年後)
売上高
 3兆円 (日本 計画から推定すると1兆5000億円、海外 同)

 

中期計画後の6年間は年平均27.4%の成長(国内22.2%、海外34.8%)と高いハードルが待っています。

この間、国内では、店舗の大型化と出店とEC売上の拡大が根拠

・1店舗あたりの平均売場面積は300坪から600坪に大型化し、
・年平均100店舗を出店し(純増数)
・EC売上を30%にする

としています。

海外は 中国を年平均50店舗、その他アジアを平均80店舗出店
欧米は既存店を再構築とのことです。

この中期計画はともかく、長期計画の中で、
筆者が最も、ハードルの高さを感じたのは・・・

国内の年平均100店舗の出店(純増)でしょうか?

ユニクロですら、そこまで1年で店舗数を増やした年はありません。

2030年には国内店舗は平均売場面積600坪(現300坪)、
1店舗あたり売上高10億円(現6億円)になっているとのことです。(たぶん、EC売上高30%分込み)

この出店計画に対して、

新規出店候補地が年商20億円クラスのスーパーマーケットの隣、というはその一方で、

これまでとは違って、面白いと思いました。

正直、今の無印良品では、価格が高めなので
国内1500店舗は想像しづらいのですし、(しまむらが国内1430店舗)

ショッピングセンター内ならまだしも、
フリースタンディングのスーパーマーケットの隣も無理があるように思いますが・・・

中期計画では、粗利を下げ、ローコストオペレーションを徹底し、
販売価格設定を下げる、と宣言をしていますので、

それが実現し、食品スーパーと親和性のある、買いまわることのできる購買頻度が近い品揃えと価格帯になれば、
業態としては、年100店舗の出店も不可能ではないかも、と思えます。

同社の中期計画書を読んで、そうなった時の「無印良品」を想像した時に
思い浮かんだお店がありました。

それは、ずばり、アメリカでウォルマートに次ぐ大手小売業、
会員制ホールセールクラブ、コストコです。

コストコはナショナルブランドにプライベートブランドを織り交ぜているお店なので

その点は違いますが、

地域に根差し、
循環型経済を標ぼうして、
プライベートブランド(PB)で衣食住に必要な商品を
ウエアハウス型のローコストオペレーションで
それに共感する顧客だけに良質安価で提案する。

PBで粗利は最低限でよい、顧客は安く買うことができる。

そのかわり、顧客から頂く年会費が営業利益の原資になる、

というホールセールクラブ型のビジネスモデル。

それなら、そういった立地にも出店余地はありそうだ。
そして、無印良品らしい、地域との顧客コミュニケーションが取れそうだ。

今、無印良品は、ファッションであったり、ライフスタイルショップとして
位置付けられていて、ユニクロやニトリなどと比較されることが多い業態ですが・・・

10年後は、全く違った業態、

地域に根差した、もしかしたら、
地域の大衆のための会員制クラブになっているかも知れない。

中期経営計画書を読んで、そんな風に妄想したものでした。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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July 26, 2021

顧客を理想のショッピングの世界へと連れて行こう

20210713_185918-1先週、クラウドで在庫管理システムを提供するロジザードさんが主催する
ショッピングのデジタルシフト、オムニチャネルをテーマにしたオンライン対談にパネラーの一人として出席させて頂きました。

コロナ禍のこの1年を振り返って、というお題に対して、

筆者からは、
この間、日本で体験した小売業のデジタルシフトの事例として、
マクドナルドのモバイルオーダーとユニクロのショッピングアプリを紹介させていただきました。

前者は事前に、あるいは店頭でアプリを使ってオンライン注文すれば、レジに並ばずに注文、受け取りができるもので、
既に多くの方が利用されていることでしょう。

後者は、同アプリがポイント加算、オンラインショッピングサイトへの入口という多くの専門店が実装している機能だけでなく、

・購入したい商品の店舗在庫の確認
・店頭で値札のバーコードをスキャンすることで
 -店内在庫確認
 -オンライン在庫確認
 -購入者のレビュー
 -スタイルサイトからのコーディネート案
 が閲覧でき
・更にアプリにクレジットカードを紐付けておけば、
 レジで財布を出さず、会員証を提示した後にそのままお会計ができる
 という機能を持っているものです。

実際、筆者は、これらの機能を使って、

〇試着した服のサイズが自分に合わなかったので、
その場でアプリで値札をスキャンして店内在庫がないことを確認した上で
オンライン通販サイトに注文したり、

〇レジで財布を出さずにUNIQLO PAYでQRコード決済をしたりしたものでした。

 

これまで、ショッピングのデジタルシフトというと、

・EC売上を増やすことであったり、
・ポイントカードとプッシュ通知をして通販サイトに誘導する機能が中心のアプリのダウンロードを促したり・・・

どちらかというと、売りたい企業側の都合のものが中心だったと思います。

これに対して、マックやユニクロの事例は
スマホアプリを活用した、顧客の店頭でのお困りごとの解決や店頭に居ながらにしての、オンラインを活用した拡張体験の提供であって、次のステージに進んでいる取り組みと言えましょう。

そんな話をしていたら、ロジザードの金澤社長が、いろいろな業種で、店頭でアプリを上手く使ったら、既存顧客さんに対して、リピート購入、買い増しや消耗品購入など、わざわざ来店せずとも、いろいろな便利なサービスが提供できるのでないか、
という話が出て、

こんなことも、あんなことも・・・

アプリはただのポイントカードや割引のためのプッシュ通知の道具じゃないよね、
と、その後、想像力が掻き立てられる話が展開し、とても有意義な時間になりました。

みなさんも自社の店舗に照らし合わせて、関係者でいろいろなアイデア出しが出来れば、
顧客の問題解決になる、いいアイデアが沢山出てくるのではないでしょうか?

そう、アプリをポイントカードや通販サイトの入口として使っているだけではもったいない。

これからは、店頭での顧客体験拡張のためのステージにもっと活かしたいものです。

そして、アプリなら中小企業にとっても、手の届く投資で実現できることもいろいろあるのでは?

そのアイデアは、システムに明るい人ではなく、想像力の豊かな商売人こそが持っていると確信しています。

まずは、先行している小売業のアプリを使ってみて、何を感じるか、からスタートしてみてもよいのではないでしょうか?

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 DXに欠かせないのは、顧客の理想の体験を描く創造力。ファッション流通の歴史、欧米の視察体験から学んだ、日本のファッション流通の未来を本書を通じて垣間見てください。

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July 19, 2021

「デジタルとリアルの融合」は手段を目的にせず、まずは、顧客のストレスを特定し、それを解消することから考えよ

20200714_1508107月16日日経MJに、「私のマーケティング論」という見出しで、ナイキ、アウディ、グーグルなどのデジタル戦略やクリエイティブを手掛け、ユニクロのスタイルヒント原宿店の指揮を執った I&CO共同創業者でクリエイティブディレクターである、レイ・イナモト氏のインタビュー記事が掲載されており、大変興味深く読ませていただきました。

「スタイルヒント」の開発背景について聞かれ、同氏は、

(以下引用)

「出発点はアプリの開発。買いたい服の情報を調べようとしてもグーグルなど特定のサイトはなく、(顧客が)自分でキュレーションする必要がありました。ならば服の検索エンジンをつくろうと思ったのです。皆が写真を投稿すると服が情報になり、さらに共有するとプラットフォームになる。」 

(以上「  」内記事の同氏の発言からの引用)

ファッション企業各社が「単品」を売ろうと発信している通販サイトはあっても、用途、着こなしかた(コーディネート)のアイデアを企業目線ではなく、顧客目線で集大成するには、ワンブランドではなく、ブランドミックスで消費する顧客投稿型のSNSのデータベース発想には敵いません。

服のコーディネートに関する、その発想の先駆者は、日本においてはZOZOが提供する「WEAR」だと思いますが、1000万件以上のコーディネートがアップされているWEAR上でもコーディネートに使われる、登場件数が断トツ1位で、一方、ZOZOTOWNで販売されていない「ユニクロ」が自らユーザー投稿型データベース型アプリの開発に行きついたのは至極自然な流れだったと思います。ユニクロのミッションは、どんなトレンドファッションに合うベーシックですからね。

続いて、今、が躍起になっている、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」や「デジタルとリアルの融合」というキーワードについて、

(以下引用)

「よくデジタルとリアルの融合に取り組むと聞きますが、僕には融合との発想が全くありません。
消費者がどこにストレスを感じ、その摩擦をどう減らすのかを常に考えています。
たとえば米国のウーバーはタクシーを呼んでも来ないというストレスをなくそうという発想から生まれました。
リアルとデジタルの融合はその結果に過ぎません。形式に取らわれず、常に本質を見る必要があります」

(以上「  」内 記事からの同氏の発言を引用)

この部分は強く共感しました。

その理由は、筆者が、日本のファッション流通が本格的にオムニチャネル時代に入ることを視野に入れて、2018年に「アパレル・サバイバル」の取材も兼ねて訪れたアメリカ西海岸、LA、シアトル、ポートランドでのこと。

当地で、流通各社の先進的なDX事例を実体験しながら、
筆者が共通点として感じたことは、まさしく同氏が語っていることだったからです。

amazon goではコンビニにおける顧客のストレスを

amazon booksでは書店における顧客のストレスを、

ナイキは シューズ購入の際に誰もがかかえる顧客のストレスを、

ウォルマートは・・・

ZARAは・・・

それぞれの企業が先進的に行っていたことは、

〇ショッピングのプロセスにおいて、顧客のストレスがどんなところにあるかがわかっていて、

〇それをどう解決すれば顧客が喜ぶかの「理想的なビジョン(シーン)」を描いた上で・・・

〇そのストレス解消にあたり、顧客が持つスマホ内の自社アプリを活用することが最適と考え、

〇リアルにおける新しい顧客体験をデジタルを活用して実現した

わけです。

それは、まさしく、イナモト氏が言うように、顧客のストレスの解消が目的であり、
「デジタルとリアルの融合」という言葉はその手段や結果でしかなかったのです。

(上記 アメリカでの事例の詳細は是非、拙著「アパレル・サバイバル」をお読みください)

日本では、デジタル化という手段が先にあって最新技術に飛びついたり、
企業の業務効率の都合でデジタル化が図られ、そのしわ寄せとして、顧客に面倒を強いることが多いようですが・・・

欧米では、逆に、顧客のショッピングのストレスを特定し、それをデジタルで解消すると同時に
企業の業務効率も考える、という流れが多いように感じるのは、筆者だけでしょうか?

デジタル化が進まずに焦る前に・・・

まずは、目の前のお客様のストレスを特定し、それをどうしたら、デジタルで解決できるかを考えたいものです。

よく、資金がないから、デジタル化が図れない、と言われますが・・・

本当に必要なのは、お金ではなく・・・
顧客のストレスを解消し、理想のお買い物を体験してもらいたい、というビジョンを描けるかどうか、の顧客への愛と創造力に他なりません。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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June 14, 2021

無印良品が男女兼用服のアイテムを拡大中

Muji-hk6月7日の日経新聞に無印良品が今春夏シーズンに全体の1割、25品目だったアパレルの男女兼用アイテムを秋には全体の3割、22年の来春夏には5割(250品目)に増やして行くことに関する記事が掲載されていました。

記事によれば、売場は既存のメンズやレディースコーナーに分散して置くのではなく、男女兼用アイテム専用コーナーを拡充して販売して行くようです。

同社のサイトを見ると

性別、年齢、体系ではなく、「人」という括りでサイズを展開

とあり、最近、注目されている、「ジェンダーレス」の流れに沿ったもののようです。

該当品目のサイズを見ると・・・

メンズのサイズに当てはめると

① XXS-XS  ② S-M  ③ L-XL

の3サイズ展開が中心のようで、

この3つのサイズで、女性と男性の大半の顧客の体型をカバーしようとしているようです。

ゆったり着るアイテムであれば、

大は小を兼ねる

少し大きめサイズをつくることで、対応出来そうな感じがします。

 

以前から、メンズアイテムのユニセックス対応購入という概念は当たり前のようにありましたが、

無印良品含め、最近増えてきているな、と感じる、ジェンダーレス対応アイテムが、従来のユニセックスと違うところは・・・

「ユニセックス」が、サイズ、フィット感などメンズアイテムを着たい女性の需要を取り込むという発想だったのに対し、

昨今の「男女兼用」の取り組みは、従来のユニセックス的なものをカバーしながら、どちらかというとレディース用としてデザインされた、メンズにはない、ベーシック寄りながら、ちょっと気の利いたデザインや素材感の服が着たい男性の需要を取り込むところではないか、と見ています。

ずいぶん前からですが、服のカジュアル志向が進むようになってから、メンズTシャツやスウェットなどのアメカジアイテムはユニセックス対応として、支持はありましたし(メンズで企画しても3~4割は女性に売れる)

その後、女性のボーイズスタイル、平成ブランドと言われたレディースブランドが細身の男性に着用されるブームなどを経て、男女のアイテムのクロスユースは既に十分市民権を得ていると思います。

筆者も、あるレディース売場で販売されていた、柔らかい素材感のセーターや、薄手のスウェットパーカー、はたまた、リブや附属使いなどディテールが、ちょっと気の利いたカーディガンが、これ、メンズでもありだよね、メンズは原型に従った、ありきたりなつくりが多いからね、とつぶやきながら、レディースのXLサイズの商品を購入した経験が何度かあります。

そんなアイテムはちょっと丈が短かったりという難点はありましたが、重ね着対応でローテーションに入れていたものです。

マーケティング的には、時代に合わせて多様性に応えたものかも知れませんが、
実は、新しいマーケットをつくる、潜在需要を掘り起こす動きになりそうで、関心を持って見ています。

また、販売管理面で言うと、

◎着ることが出来る人が多くなれば、数は売れますし、

かと言って、サイズを増やすと、在庫リスクを抱えることになるので、
リラックスフィットが主流になりつつあるマーケットで

◎サイズ数を絞ることができれば、在庫リスクも小さくなる

というメリットはあります。

この男女兼用アイテム的な発想は、今、業界の中でも多くのブランドに広がりつつある流れなので、今後、どのようにマーケットにフィットして行くのか・・・

業界注目トピックのひとつとして、ウォッチして行きたいと思います。

関連エントリー-色展開よりサイズ展開を増やした方が顧客層は広がる

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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May 25, 2021

これからの店舗の役割は、フィッティングルーム(試着室)がカギを握る

20180817_1257325月21日の日経MJの1面に
DtoCブランド fou fou フーフーが代々木上原に開設した
完全無人試着室が紹介されていました。

オンラインで商品を見て、試着を希望するユーザーは、ネット予約を行い、
マンションの1室に設けられたショールームに、事前に伝えられた暗証番号で入室し
一組あたり約1時間内にユーザーは自由に試着をし、
気に入った商品があれば、オンライン注文を行うというもの。

試着した写真を撮って、後で、家に帰ってゆっくり検討し、
オンライン注文することも可能です。

デザイナーのコウサカさんの noteによれば、
週3回、1日あたり3つの時間帯(45分)が予約できるようなので
月に約36組が試着可能ということ。

記事によれば、もともと、この試みは、店舗を持たずにオンライン販売にこだわる同ブランドが行っていた、全国を回る「試着イベント」での気づきから始まったそうです。

・お子さんがいらっしゃる方が、落ち着いて試着ができない、とか

・店舗スタッフのお声がけや周りで試着している人が気になって、自分のペースで試着ができないとか

・店舗スタッフがいると、試着したのに、買わないと申し訳ないとか、

そんなユーザーさんの「心の声」に気づいて、
では、誰もいないところで思う存分、試着をしてもらおう、という発想から生まれたようです。

実際利用された方は、

「試着したら買わなきゃというプレッシャーがなく、納得が行くまでアイテムやサイズを試せた」

「人目を気にせずたくさん写真をとって家でゆっくり検討できるのも嬉しい」

店舗スタッフが好意で行っている、背中を押す接客もプレッシャーに感じる人もいますから・・・

これまで、店舗でのショッピングで、試着がストレスに感じて来た人には受けるサービスではないか、と思いました。

その一方で、想定客単価と稼働率と家賃から、採算はどうなのか?と、つい計算してしまう筆者がおりますが(笑)

 

ショッピングのデジタルシフトが進み、

更に、この1年はコロナ禍で外出自粛、来店客数減で、店舗の役割を考え直す企業が増えています。

「店舗は体験の場」と言われて久しいですが、体験とは、一体、何でしょうか?

きめ細かい接客による、おもてなしでしょうか?

それもひとつだとは思いますが・・・

サイズがあり、コーディネートをして着用することが前提のファッションアイテムにおいては、

商品の現物を手に取って確認する場、そして、

自分に合うかを確かめるフィッティング(試着)の場であることは揺るぎありません。

 

先日、外出自粛で、来客が少なくなったいくつかの商業施設を視察している最中、

いくつかの店舗で、気になった服を試着していて感じたことがあります。

相変わらず、フィッティングルームって狭くて窮屈なところが多いな

そんな狭い中で着替えて、着替えが終わったか、どうかというタイミングで

店舗スタッフから「いかがですか」と声がけされて、自分のペースで試着が出来ていないことを、あらためて痛感しました。

その際、思い出したのが、

2018年に拙著「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞出版社)の取材でアメリカに行った時に訪れた、オンライン通販出身のメンズウエア「BONOBOS(ボノボス)」のショールーム店舗での店舗体験でした。

同社は、オンライン販売が出自で、試着をしてから買いたいという顧客のために、ガイドショップというショールーム店舗を全米に展開しています。(当時全米約50店舗)

顧客は店頭にならぶ商品の中から、気にいた商品を試着をし、

購入を決めた商品は、店舗スタッフに手伝ってもらって、タブレットからオンライン注文をし、

購入商品は倉庫から自宅に宅配されるというしくみです。

このお店が、通常のファッション専門店と違うのは、

◆タブレット決済なので、レジスペースがない
◆バックストック在庫がないので、店内が広い

その分

◆フィッティングルームが通常の専門店より広い
◆一緒に来た人がくつろげる、大きなソファーがある

というものでした。

これは、これから、オンライン販売比率30%台が常態化する、と予測される

リアル店舗を中心に展開するファッション専門店の未来の店舗の姿のひとつを示唆しているように思いました。

筆者は、店舗のすべてがショールームになるべきとは思っていません。

なぜなら、買ったものを持って帰りたい、あるいは、そのまま着て帰りたい、という需要は確実にあるからです。

しかし、坪効率を上げるために、店舗に、ストック在庫含めてぎゅうぎゅうに店舗に商品を詰め込むために、

契約面積に対して、商品の陳列スペースを最大限に取る、という考え方は時代遅れになって行くと思っています。

では、その時、何を起点に考え直すべきか?

常に、顧客購買行動起点で考えたいです。

店舗は、商品を確認する場、フィッティングを体験する場

そう考えると、これまで、狭く設計せざるを得なかったフィッティングルームのありかたから見直すべきではないだろうか、と

オンラインで情報を取り、店舗で商品を確かめ、試着し、自分のペースで店舗で買うか、オンラインで買うかの選択をする時代に

顧客体験としてのショッピングをデザインし直す際、

顧客が最も大切にする、フィッティングの場である「試着室」の見直しに
まずは取り組んで行くべきではないか、と痛切に感ます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 10年後のアパレル業界でのサバイバルのカギは、服のライフサイクルを意識し、顧客の持続可能なクローゼットのワードローブの循環をお手伝いすること。大量生産、過剰供給時代を超えて、新しい時代のお客様との関係構築がテーマです。

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April 26, 2021

着なくなった衣服の廃棄を減らすためにできること~環境省の「ファッションと環境」レポートから

Sustainable-fashion4月23日の繊研新聞に環境省が日本で消費される衣料と環境負荷について2020年12月から2021年3月の間に調査した内容をまとめた「ファッションと環境」に関する調査結果の解説記事が掲載されていました。

記事で紹介されていた環境省の調査によれば、
2020年度 78.7万トンの不要となった衣服が家庭や事業所から手放されましたが、
うち95.4%にあたる75.1 万トンが家庭から、
残り4.6%の3.6万トンが企業や事業所から手放されたとのことです。

そのうち、家庭から手放された衣料の行き先の内訳は

・49.6万トン(66%)が可燃ゴミ、不燃ゴミとして「廃棄」され
・15万トン(20%)がリユースショップやフリマアプリ再販されたり、海外に輸出されたり古着として「リユース」され
・10.4万トン(14%)が資源回収から服の原形をとどめない、別の用途で再利用される「リサイクル」に回ったようです。

ちなみに事業所からのものは、
それぞれ、廃棄1.4万トン(38%)、リユース0.4万トン(11%)、リサイクル1.9万トン(51%)だったそうです。

※重さ(トン)ではピンとこないので、以下に数量(点数)化した数字をご紹介します。

要は、家庭から手放された衣服の2/3がリユース、リサイクルされずに、そのまま廃棄されているという実態です。

もう少し詳しく知りたかったので、

この調査結果をエンドユーザーや企業向けにまとめた環境省の関連サイト「SUSTAINABLE FASHION(サステナブルファッション)」を閲覧してみました。

https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/index.html

このサイトの主な目的は、

範囲が広すぎてどこから行動に移したらよいのかが判りづらい、
「サステナブル」という言葉を、より具体的な行動につなげてもらうために、

環境に負荷が大きいと言われるアパレル製品が
今後、大量生産、大量消費の末、大量廃棄とならないよう、

まずは、不要となって「手放された衣服」の廃棄問題にフォーカスして、
この問題を軽減するために、これから、消費者と企業が具体的に取り組めることを伝えることにあります。

こちらのサイトを見て、

まず、上記でも触れた手放された衣服の重さ(トン)ではピンと来なかったので、同サイト内の数字を使って数量化(点数化)を試みました。

計算してみると、服1着あたり平均480グラム相当

すると、

家庭から手放された点数は年間約15億点となります(一人あたりで言うと12点)

内訳は
廃棄    約10億点
リユース  約3億点
リサイクル 約2億点分

となります。こうして、点数化すると、少しは実感が湧いて来ますね。

この結果に対し、圧倒的に大多数を占める廃棄を、今後、いかに少なくするか?

このレポートでは、結果や抽象的な提言にとどまらず、

1 今持っている服を長く大切に着よう
2 リユース(再利用)でファッションを楽しもう
3 先のことを考えて買おう
4 作られ方をしっかり見よう
5 服を資源として再活用しよう

の5つトピックに対し

それぞれ

〇消費者として取り組めること

〇企業として取り組めること

を、具体的な提案(啓蒙)と共に、実際の取り組み事例が紹介されていることは評価に値します。

単に、服を買わない、持たない、という消極的な姿勢を取るのではなく・・・

服の特性をもっと理解して、1着の服と大切につきあう、活かす。

手放す時も、可燃ごみや不燃ごみとして、捨てるのではなく、

リユース店に持ち込んだり、フリマアプリなどで再販したり、寄付に回せるようにハードルを下げたり、

それでも面倒なので、消費者が手放そうとする時も、よりストレスの少ない回収インフラを整え、

着なくなった服に、第2の生命を与えるチャンスをつくることを企業が応援する。

消費者も企業も、そんなことを意識する時代に向かっている、というわけです。

この時代の流れ、筆者も2019年2月に出版した「アパレル・サバイバル」の後半部分で同様の論説を展開をしていましたので・・・

いよいよ省庁が旗を振って、そんな世の中に向かい始めるのだな、と共感、歓迎をしながら、サイトを閲覧したものでした。

こちらのサイト、最近、SNS上でも話題になり始めているので、関心のある方は閲覧をされることをお薦めします。

環境省:SUSTAINABLE FASHION(サステナブルファッション)

注:1か所だけ、服の国内供給量について触れている部分、「1990年と比較し、衣服の購買量は横ばいですが、供給量は約1.7倍に増えています。」というところ。「購買量が横ばい」という表現は間違いだと思います。
このサイトに実際に出ている数字どうしを計算しても、服の購買単価が、1990年比で47%に下がり、同購入点数は1.5倍に増えていることになりますから。購買量以上に供給量が増えていることはあり得るかな、と思います。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 10年後のアパレル業界でのサバイバルのカギは、服のライフサイクルを意識し、顧客の持続可能なクローゼットのワードローブの循環をお手伝いすること。大量生産、過剰供給時代を超えて、新しい時代のお客様との関係構築がテーマです。

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March 29, 2021

ZARA(ザラ)のインディテックス2020年度決算。大幅減収減益も、全世界でECと店舗の在庫一元化が完了し、盤石体制に。

Zara-onlineZARAを展開するインディテックスグループの2020年1月期決算報告 FY2020 RESULTS

に目を通しました。

同社の決算期は2月~翌1月期なので、通期(全四半期)すべてがパンデミックの直撃を受けた1年でした。

但し、営業赤字だったのは、1Q(2-4月期)のみで

通年では、

売上高 20,402百万ユーロ(日本円換算2兆5918億円)と前年比72.9%(27.1%減)

粗利率 は前年55.9%→55.8%とほぼ変わらず

販売管理費 は 前年比83.2%(16.8%減)に抑え、

営業利益 1,504百万ユーロ(日本円換算1,914億円)前年比31.5%(68.5%減)

営業利益率は前年16.9%→7.4%と下がりましたが

営業黒字で着地しました。

インディテックス社の決算発表により、大手3社が出揃い、

2020年度の世界アパレルチェーン売上高ランキングのトップ3は

1位 インディテックス(ZARA)  1月期  2兆5,918億円(1,914億円 営業利益率7.4%)
2位 H&M           11月期  2兆3,752億円(227億円 同1%)
3位 ファーストテイリング    8月期  2兆0,088億円(1493億円 同7.4%)

に確定しました。

2019年度のランキング

世界アパレル専門店売上ランキング2019 トップ10

とトップ3の順位の入れ替わりはありません。

同社の期末店舗数は

7469店舗から→6829店 と640店舗の純減です。

内訳は閉店 751店 新店 111店 96店改装(うち45店が大型化)です。

これは慌てて閉めた、というより、中長期計画の計画通り。

在庫に関しては、期末在庫は前年よりも9%少なく、

4半期ごとに見ても前年よりも10%少ない在庫水準で回していたようです。

 

今回の同社の決算の最大のトピックはECの大幅売上拡大と世界全店舗のオムニチャネル体制の完成でしょうか。

EC売上高は77%増の6,600百万ユーロ(日本円換算 8,384億円)

EC売上比率は32.3%と前年の13.2%から急増です。

このEC売上の拡大に寄与したのが、

同社のオムニチャネル施策(Fully integrated store and online platform)のコアにある

SINT(Single Inventory Integration)というコンセプトです。

要は、各国のEC向け在庫と店舗のストックルーム(バックヤード)の在庫を一元化し・・・店舗のストックルーム在庫をEC需要の引き当て対象にできるようにした、という話です。

これをリアルタイムに可能にしたのが、RFIDの全店導入完了です。

このRFIDも、自社開発。

ほとんどの企業が使っているRFIDは、主に、値札や洗濯絵表示に埋め込まれている、安価で使い捨てのチップですが、インディテックス社の場合は、全商品に、スペインの倉庫で取り付けられたセキュリティタグの中に埋め込まれています。

丈夫で高性能、更に、回収することで、何回も再利用ができるという優れものです。(高性能、1回あたりのコスト減、リサイクルで環境にも優しい)

使えるものは、再利用をするという同社のポリシーはこんな最先端のテクノロジーにも活かされているわけですね。

話をSINT(在庫一元化)に戻しますが、

同社によれば、これが、売上高比率32.3%になったEC売上高全体の中の12%分に寄与したとのことです。

通年COVID19の影響を受けても、まだ、世界一の売上規模と利益を確保したインディテックス社。

今後、同じような、ロックダウンで店舗を閉めなければならない事態になっても、商売を継続できる体制が整いました。

さまざまな変化に対して、柔軟な対応ができる、

という世界最強クラスのオペレーション・エクセレンスを見せつけた決算と言ってもよいのではないでしょうか?

近日中に世界アパレル専門店売上高ランキング2020年版も更新したいと思います。

お楽しみに。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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March 22, 2021

在庫情報を可視化すれば、商品チーム、販売チームが自走組織に変わる

Ministry-of-supply-pos何度かオンラインセミナーに登壇させていただいている、在庫問題を解決するクラウドサービスを提供する「フルカイテン」さんのシステム導入事例セミナーを視聴させていただく機会がありました。

3月11日のその回は通販大手フェリシモグループでhaco!を運営する株式会社cd.社の葛西社長が
同社のシステムを導入して半年で会社の在庫への取り組み姿勢がどう何か変わったのかを語る内容でした。

システム導入前までは、担当者が商品の売上・在庫判定データをExcelで加工するのに
朝から夕方まで、ほぼ丸1日かけていた作業が・・・

導入後は、データ出力が1時間程度でできるようになり、営業時間の多くが、資料の作成業務ではなく、判断とアクションを中心に時間が割けるようになった、という話から始まりました。

帳票づくりに半日以上かけている企業さんって結構あると思います。

同社によれば、
以前は当シーズンに仕入れた商品在庫こそ見ていたものの、

前シーズン以前に仕入れて売れ残った在庫は、わざわざ出力努力をしなければ、見ることができず、いわゆる塩漬けになっていたそうです。

これに対して、全在庫データが稼働状況に応じて分類された上で、販売と在庫に関わっている担当者たちに見えるようになって、
何が変わったか?というと・・・

「奥にしまってあったものが手前に出て来た」イメージで

そうすると、担当者たちに、何とかこれも販売できないか、在庫を減らせないか、という気持ちが芽生え始め、

今シーズンでも十分に着ることができる旧在庫商品を積極的にコーディネート提案に使うようになったり、

また、そんな思いと活動が、お客様への商品出荷を担っている倉庫で働く方々にも伝わり、

倉庫スタッフの発案で、倉庫発信で売れ残り在庫を売り切るためのユーザー向けライブコマース(オンラインの即売会)が開催されるようになったとのことです。

その結果、会社としては、仕入れを減らした年であったにもかかわらず・・・売上は減らず、在庫がみるみる減って行ったそうです。

今では、仕入担当者の在庫に対する意識が高まり・・・

毎年、売り逃しをしないように、ただ、たくさん仕入れるという考えたではなく、
必要な仕入れのありかたを考えるようになった。

とのことです。

haco!の葛西社長はシステムを導入すれば問題が解決する、という話ではなく、

●システムには面倒な計算をしておいてもらって、
●人がそのデータを活用してどんな判断をするか?

の役割分担だ、と話を結びます。

そして、在庫を売り切って、増えた現預金を今後、何に投じるか?に触れ、

経営陣の頭は損益計算書(P/L)から貸借対照表(B/S)に移り・・・

お客様のための場をつくり、場を改善するためのシステム投資(無形固定資産)に使いたい、と意気込んでおられるようです。

これからの時代、在庫をしっかりキャッシュに換え、システム投資を行う企業が増えることを期待しています。

実際、多くの世界の大手ファッション流通企業のB/Sを分析していると、そういうビジネストレンドが起きていることに気づきます。

見えないものは、行動に移せない。

状況が手に取るように可視化すれば、現場は工夫を始め、現状の改善が進み始めるもの。

というのは、筆者も多くの現場でビフォア/アフターを体感してきたことです。

少し、筆者の昔話をさせて頂くと・・・

筆者のアパレル小売業でのキャリアの始まりは、服飾雑貨や靴を扱う雑貨バイヤーでしたが、

着任当初は、いきなり、前任者が残した靴の過剰在庫に苦しめられ、新規仕入を全くすることができない「買えないバイヤー」の苦労から始まりました。

そんな状況の中で、週末には全店を巡回して、実際に自ら販売をしながら各店の在庫状況を確認し、

時間をかけて、各店から全店の全商品のサイズ別在庫状況が確認できるようにデータの整備を行ったところ・・・

その後は、各店のスタッフたちがお取り寄せ(客注)を活発化させ、在庫が売上に変わり、過剰在庫がみるみる減り始めたものでした。

要は、各店は在庫を減らすことに協力してくれなかったのではなく、

お客様は欲しがっていても、在庫がどこにどれだけあるかが、わからないため、やみくもに在庫照会の電話をかける訳にもいかず、取り寄せ販売ができなかっただけだったのです。

そんな過去の経験も思い出しながら、haco!さんの事例を聴いていました。

会社の在庫のことを心配しない従業員はいないでしょう。

そして、在庫量やその在処(ありか)が手軽にわかるような環境に置かれれば・・・

社員の中から、考え始め、行動に移すスタッフが出て来るものです。

これは、筆者のその後の事業会社勤務時代でも、また、

独立後に、お手伝いさせていただいた多くのコンサル現場でも・・・

在庫状況の実態の現場担当者への可視化が、変革のきっかけになることを感じて来たものでした。

これから、更に、オムニチャネル時代になって・・・

ECだけでなく、店舗、倉庫を含め、全在庫のデータが可視化され、
在庫のステイタスが、販売チーム全員に手に取るようにわかるようになると・・・

まずは、チーム全員がお客様のお買い物を手伝う情報として在庫情報を活用し始め、続いて過剰在庫の消化方法も考え始める。

オムニチャネル化(販売と在庫のデジタルシフト)の本当のメリットは、

ECという新しい販路ではなく、そんな環境が構築されることではないでしょうか?

業界全体がそんな方法に向かってゆくビジョンを持ち、そんな環境づくりが行われることを、引き続き応援して行きたいと思います。

参考:今回触れさせて頂いた、フルカイテンさんとhaco!さんのオンラインセミナーの内容は、レポートとして、こちらからダウンロードしてお読みいただけます。

執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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February 22, 2021

メルカリ、ペイペイフリマ、フリマアプリの1次流通通販(EC)とのデータ連携

Closet

2月17日の日経MJにフリマアプリ大手のメルカリが、アパレル専門店大手アダストリア社他、8つのECサイトと連携し、ユーザーがECサイトで購入した新品商品が着用後に不要になった場合、手軽にメルカリに出品できるサービスを拡げて行くことに関する記事が掲載されていました。

記事によれば、20年春から始まったメルカリの提携先は・・・

アパレルECの「ショップリスト」、家電の「プレモア」、雑貨の「イデアオンライン」、今回発表したアパレル大手アダストリアの総合 ECサイト「.st(ドットエスティ)」など8社。

提携先は、今のところ、すべて、メルペイでの決済を行っているサイトのようで、

購入ユーザーがそれぞれのECサイトでメルペイで決済した商品が、メルカリのユーザーのアプリ内のマイページの中にある、「持ち物一覧」に自動で取り込まれ・・・

ユーザーが将来、その商品が不要になり、メルカリで売却したい、と思った場合、

その商品がメルカリで取引されている相場価格を元に推奨価格が表示されたり、出品の際に必要な、商品カテゴリーや商品紹介が自動表示されてユーザーの出品の手間が簡素化されるというものです。

今後、提携先とは、メルペイで決済していない場合(クレジットカードなど)も同様のサービスを提供する方向で話を進めているとのこと。

そうなると、いずれは、メルペイ決済を前提としない、多くのEC購入商品がメルカリに出品しやすくなるかも知れません。

同記事では、メルカリのライバルとなるペイペイフリマでも、ヤフーショッピング、ペイペイモール、ZOZOTOWNと同様の連携を進めていることも紹介されており、

フリマアプリ大手が

売ること(出口)を考えて、新しい商品を購入する(入口)購買行動

という、リユースショップやフリマアプリを賢く活用する、ユーザーから始まった新しい購買行動の促進を後押ししていることがわかります。

ファストファッションの市場浸透後、コロナショックによる巣ごもりの後押しもあり、
溢れ始めた自分のクローゼットの服を見直す機会が増えたエンドユーザー

流通企業が、エンドユーザーの「クローゼットのワードローブの循環」をどう手伝うか

が新品を販売する企業も避けて通れない、生き残りのカギになるであろうことを

拙著「アパレル・サバイバル」の後半部分で結構なページを割いて問題提起をさせていただきました。

一次流通企業にとっては、

大手であれば、これから、不要品回収から始まるサーキュラーエコノミー(循環型経済)への取り組みが、進むことでしょう。

一方、大手ほど資金力、組織力がない中小企業にとっては、

自身の体力内で回収、リサイクル、リメイク、アップサイクル(染め直しも含む)をすることもできるでしょうし・・・

フリマアプリなど、第三者的なデジタル企業と組んで、ユーザーが不要になった商品を、それを求める他の人に届けるための手伝いをすることもできるでしょう。 

ある意味、それも、サーキュラーエコノミーへの取り組みの一環かと思います。

過剰生産、過剰供給を見直しするだけでなく、

お客様のクローゼットを健全にメンテ、循環させることをお手伝いしながら、

顧客の既存のワードローブと相性のよい、今シーズン風の新しい服をご提案する。

それが、これから求められるファッション流通企業の姿のひとつだと思っています。

それを牽引するのは、従来のファッション企業自身なのか、
それとも、未来から逆算するテクノロジー企業なのか?

今回のメルカリやペイペイフリマの取り組みは、そんな未来図に向かうはじめの一歩のように感じられます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 10年後のアパレル業界でのサバイバルのカギは、服のライフサイクルを意識し、顧客の持続可能なクローゼットのワードローブの循環をお手伝いすること。大量生産、過剰供給時代を超えて、新しい時代の関係構築がテーマです。

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February 08, 2021

【3.25開催 オンラインセミナー】3つの視点を共有すれば、過剰在庫が粗利とキャッシュに換わる!~『ファッションストアの在庫コントロールのための組織と業務』

B2【このセミナーは終了しました。】

来る3月25日(木)、アパレル・靴・服飾雑貨のファッションストアやEC事業を運営されている経営者様や事業責任者様向けのオンラインセミナーを開催いたします。

外出自粛による、来店客の減少によって、過剰在庫を抱えたり・・・その後の仕入制限によって、今までよりも少ない在庫で運営することになったファッション専門店

お客様のオンラインへの購買シフトの波に乗り、規模の拡大の一方で、過剰在庫を抱え始めたファッションEC事業

今は、販路拡大や商品調達だけでなく、販売管理や売り切り体制を見直す、大きな転換期に他なりません。

今回のセミナーでは、

転換期である現在だけの一過性の話ではなく、今後の成長・拡大あるいは安定成長局面においても大切な

仕入れた在庫を最大限の粗利とキャッシュに換える

在庫コントロールのための組織づくりと業務構築の着眼点、そして、実践に向けてのポイントをお伝えします。

お客様の新しい生活様式、新しい購買行動が始まる転換期に今回のセミナーが経営者様、経営幹部様にとって

これまでの業務を俯瞰(ふかん)して、在庫最適化の視点で見直しながら、

社内一丸となって、顧客満足と企業利益最大化に邁進して行く・・・そんな、きっかけになれば幸いです。

今回のセミナーコンテンツは、事業規模でいえば、事業あたり、あるいはワンブランドで年商が10億円を超え、30億円に近づく局面において、

『在庫管理の壁』に直面し、組織や業務を見直したいと考えていらっしゃるチェーンストア型専門店や成長中EC事業の経営者様・経営幹部様にタイムリーなコンテンツです。

既にそれ以上の規模になった企業、事業の方にも現状の業務を振り返って点検したり、やりかたを見直す着眼点を得ていただけます。

-セミナー詳細-

【タイトル】
3つの視点を共有すれば、過剰在庫が粗利とキャッシュに換わる!「ファッションストアの在庫コントロールのための組織と業務」

【開催日時】 
2021年03月25日(木)15:00~18:00 (14:45受付開始)

【場  所】 
オンライン(ZOOM)での開催となります

【講  師】 
齊藤孝浩(タカ サイトウ)ファッション専門店の在庫最適化コンサルタント 
ディマンドワークス代表  このブログの筆者 プロフィール

【主な内容】
 

〇 規模の拡大と共に過剰在庫を抱えてしまう理由
〇 ファッション小売業の在庫最適化とは?
〇 シーズン商品の商品管理・販売管理の原則
〇 販売部門が同じ目標に向かって自走する情報共有
〇 シーズン商品を売り切るための鉄則 など

【参 加 費】 
お一人 22,000円(消費税込)事前 銀行振り込み あるいは クレジット支払い

【参加特典】
1)実務にも活用できる図表が豊富なセミナースライド
2)在庫コントロールのための組織と業務の進捗度チェックリスト50
3)無料オンライン個別相談:セミナーで気になった課題について、後日、自社に照らし合わせた時の問題点を明らかにするための「オンライン個別相談」(1社様、1回、1時間程度)通常、講師が有料で行うサービスを無料でお受け頂けます。
  
【延 長 戦】 
セミナー終了後、30分の延長戦(質疑応答、・意見交換会)あり

【定  員】 
先着15名様(定員になり次第締め切りとさせていただきます)

【参加対象の方】
組織づくりと業務の見直しをご検討中のファッション専門店チェーン、EC事業者の経営者様、経営幹部様、事業部長様。

当セミナーはウェビナー形式ではなく、講義とワークと意見交換ができる環境を設けて双方向型で進めます。

■このセミナーは終了しました。次回セミナーは5月20日開催予定です。
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執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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