November 22, 2021

初級者、中級者マーケットを狙う、ワークマンの目のつけどころ

Photo_2021120211580110月の後半に作業服チェーン、ワークマンの大型チラシが新聞に折り込まれて来ました。

今年ならではの流行を追ったとは、けっして言えない、
むしろ機能性をうたった安価な冬物アウター中心のラインナップ

用途を果たすなら、「これでいい(十分)」と思う客層を大きく取り込みそうな紙面でした。

ここ1年半、ワークマンが力を入れている、アウトドア用途にも使えるウエアマーケットは、
コロナ禍でキャンプやアウトドア系活動に向かった人達や、

子供が大きくなって手離れしたことにより増加した、親が一人で出かけるソロキャンパーなど、

初級者の裾野を広げつつ、中級者、上級者にステージアップして行く

さまざまな客層が増え、今後も一定の伸びが期待できるマーケットです。

一方、ちょっと興味を持ってキャンプなどアウトドア活動を始めようとすると、

スポーツ用品チェーンの店頭にはメーカーが競って機能や耐久性を追求した
初心者にはオーバースペックなギアや・・・

かっこいいけど、高価なウエアがブランド単位で並ぶ中級者以上の売り場になっている
のが実情です。

そんなメーカーやスポーツ量販チェーンの現実に対し、

そこまで本気じゃない、できるだけお金をかけたくない、

という消費者の方が、実は大多数を占めているのが実際ではないでしょうか?

11月10日の繊研新聞によれば、

ワークマンは来年の2月からオンライン販売で、
PB(プライベートブランド)のキャンプ用品をNB(ナショナルブランド)と合わせて100品目以上を加えて本格的に販売を開始するとのこと。

記事によれば、一人用テント5000円以下、などかなりの安価なキャンプ用品のラインナップを揃えるようです。

 

ご存じの通り、ワークマンはプロ向けの作業服チェーンとして創業、拡大し、

近年、販売している同じウエアや関連アイテムが一般ユーザーが日常にも使えるという需要があることに消費者に気づかされ、

彼らのSNS発信をうまく活用して、大衆マーケットに発信し、潜在需要を掘り起こすことで売上を伸ばして来ました。

そんな、今となっては、知名度の高まったワークマンが、ブレイク前夜から、海外で注目し、お手本にしていたのが
フランス本社のスポーツウエアチェーン、デカトロン(グローバル年商1兆3000億円規模)です。

2020年の東京オリンピックを日本市場攻略の足がかりにすべく、2019年に日本に上陸を決めていた、デカトロンは

あいにくパンデミックによる東京オリンピックの延期によって、日本市場での拡大の出鼻を挫かれ、現在、出店は西宮と幕張の
たった2店舗に止まっておりますが・・・

彼らが教えてくれたのは・・・

すべてのスポーツはアスリート(上級者)のためだけのものではなく、
大衆(初級者、中級者)のものでもあること。

そして、

著名グローバルブランドだけでカバーできない、巨大な大衆潜在市場があるという、

あらゆるスポーツの民主化(大衆化)

によるビジネスチャンスでした。

そう、ワークマンも正しく、

NBメーカー主導で上級者志向のアウトドア市場やキャンプ市場の隙間=初級者または中級者向けの潜在市場を狙いに行って
成長中、更なる成長を掴もうとしているわけです。

一般的に市場の導入から成長段階では、

上級者志向のブランドがけん引して市場を形成するものの、

成長期から成熟期にあたっては、初心者や中級者向けが市場を盛り上げるもの。

市場のライフサイクルのステージにもよりますが、

商売をするにあたって、

その商品が大好きでお金をかける人のマーケットだけに絞って商売をするのか、

そこまでお金は掛けられないけど、楽しみたいという、より多くの人、より大きなマーケットに向けて商売をするのか、

この問いは、どんな業界にもある話だと思います。

ファッション業界においても、業界関係者が大いに見落としがちなのは・・・

消費者の多くは作り手同様にファッションが好きである、

従って、良いものさえつくれば、高くても買ってくれるだろう

という思い込みです。

右肩上がりの時には通用したかも知れない業界のそんな常識は・・・

もう、過去のものであることを意識して商売をしなければならない。

あらためて

ワークマンは「価格が安いから売れている」という表面的なことではなく、

ワークマンが「話題だから、彼らの真似をすればよい」という短絡的な話ではなく・・・

同社が顧客目線で、市場の対局を見て取り組んでいる、その背景にあることを理解した上で

自分たちの商売にも置き換えて考えないと、ビジネスチャンスを逃すだけでなく、これから生き残れるかどうかもわからない、

と肝に銘じるべきでしょう。

関連エントリーー世界最大のスポーツ用品チェーン、仏デカトロンが狙うのは、すべてのスポーツの民主化

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

 

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November 08, 2021

ユニクロに見るファッションチェーンの未来図

Vol31WWDジャパンの月イチ連載中「ファッション業界のミカタ」(ファッション流通企業の決算書の見方)。
今週発売のvol.31(11月8日号)のメインテーマは、「春に9%値下げしたユニクロは利益を確保できたのか」

ファーストリテイリングの21年8月期決算発表から、特に国内ユニクロ事業について分析して気づいたことをまとめてみました。

今回の決算で一番気になっていたのは、国内ユニクロ事業が3月からの消費税分約9%相当の値下げに耐えられたのか、というところでした。

直営店&ダイレクト販売含む既存店売上を見る限り、
約9%下がった客単価を客数9%増でカバーし、売上高については前年キープ。

一方、生産原価改善と値下げコントロールで粗利率は過去最高水準。

広告宣伝費、物流費など販管費も抑えて、

第4四半期は緊急事態宣言や秋気温になるのが早かったので夏の消化に苦戦しましたが、
まずまずの利益を確保した、と評価してもよいのではないでしょうか?

また、こういった短期のテクニカルな対応だけでなく、

店舗を大型化して、店舗とECを買いまわる顧客にあわせて、
店舗の役割を見直しているところに注目です。

これは

顧客購買行動の変化にあわせて店舗の役割と品揃えを変えるユニクロ

でもお伝えした通りですが、

これから来年にむけて、

ファッション流通のオムニチャネル化の新しいステージが始まります。

そこでは、

◆顧客が店舗からオンラインに接続して得る情報を促進するアプリの進化

◆店舗がEC販売の受取拠点、出荷拠点となるマイクロフルフィルメントセンター(MFC)化=近隣倉庫化

の2つがキーワードです。

グローバルではZARAが、国内ではユニクロが最も進んでいる企業の代表格と言えるので、
是非、注目しておいてください。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】先行するZARAを追いかけるユニクロ。ZARAの背中を見ていれば、まだまだやることはたくさんあります。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

 

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October 11, 2021

ユニクロがEC注文後、2時間で店舗受取りできるサービスを開始

Uq-tokyo-2_2021101111470110月9日の日経新聞や10月10日の日経MJによれば、ユニクロはEC注文に店舗在庫を引きあてることができれば、顧客の注文後、最速2時間で注文商品を店舗で受け取れることができるサービスを始めたことに関する記事が掲載されていました。


以前はEC注文はEC向け倉庫からの宅配または、店舗受取りだったため、注文後、受け取りまで数日かかっていたものを受取りスピードを大幅に短縮するサービスになります。


同時に、ユニクロ側にとってはECビジネス拡大時代の最大のコスト増となる、「倉庫での個品配送作業費」および「個別配送運賃負担」の軽減になります。


同社では、すでに中国で同様のサービスを提供しており、日本では中国での検証を踏まえた上での実装となるようです。


2019年2月に出版した「アパレル・サバイバル」でも述べましたが、


EC倉庫から宅配または翌日店舗受取りを提供する英国、


国土が広大なため、店舗在庫をオンライン注文してもらい、顧客に引き渡すアメリカ、


諸国の物流事情によって、EC物流は発達して来ました。


そして、近年、欧米さらに中国で主流になりつつあるのは・・・


店舗のMFC(マイクロフルフィルメントセンター)化です。


EC注文を店舗在庫を引き当て、店舗から発送あるいは、顧客に取りに来てもらう、というサービスで、


顧客がオンラインとオフラインを行き来するオムニチャネル(OMO)時代において、


ローカル店舗をローカル需要の身近な物流拠点にしようという発想です。


そして、顧客は、宅配が前提だったEC から、より持続可能な、


顧客が自身の都合で、店舗に商品を取りに来る、というオプションが広がります。


但し、これらは、店舗が大型なのが前提になるでしょうから、


それをそもそも想定していない、商業施設内の小型店舗にそれを強いるのは大きな負担となるかも知れません。


ZARAやユニクロや無印良品の店舗の大型化も、そんな流れを視野に入れた動きですので、是非、注目しておいて、下さい。


先週登壇させて頂いた、


オムニチャネル時代の販売管理&EC向けクラウドシステムを提供するアイルさんのセミナーでは、


ECのボトルネックとして、店舗販売との①商品登録、②販売管理費負担、③集客の違いについて、


ここ数年、関与先とご一緒に考えて来たECとの向き合い方をベースにお話しをさせていただきました。


EC販路の売上を、ただただ、増やせばいい、では儲からない、


やはり、顧客購買行動と在庫と損益のバランスこそが、小売ビジネスにおいて大事であることは言うまでもありません。


最後までお読み頂きありがとうございます。


 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩


【おススメ本】進化するユニクロとZARAを通じて、ファッション流通の未来を考えるビジネス読本。


 「ユニクロ対ZARA」 2018年までのデータをアップデートした文庫本








 

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October 04, 2021

分社化が完了し、ヘルス&ビューティー企業となったLブランズ(エル・ブランズ)

Bbw_20211010220801おくればせながら、8月2日づけで、年商1兆円を超えるファッションチェーンであり、世界アパレル企業売上高ランキング5位をキープしていた米Lブランズ(エル・ブランズ)社が、ここ15年ほどメイン事業だったランジェリー&インティメイトウエアのヴィクトリアズシークレット事業(PINK含む)を分社化し、
社名をバス&ボディーワークスに変更し、ヘルス&ビューティー企業になっていた件について。

業界に長年いらっしゃる方はご存知かと思いますが・・・

同社は1963年、婦人服を販売する専門店として創業、THE LIMITED STOREという屋号で、アパレル専門店を拡大し、GAPよりも先にSPAのビジネスモデルを実践していた、「SPA(アパレル製造小売業)の元祖」と言ってもよいアメリカ代表するファッション小売業の一社です。

GAP社が90年代に年商世界一のアパレル専門チェーンになるまでは、同社が世界一だったんですよね。

一部の店舗で試験販売を行った商品をアジアでQR生産し、的中率を高める芸当も同社の十八番だったもので・・・

事業会社時代は、同社のオペレーションを大いに参考にさせて頂いたものでした。

EXPRESS(エクスプレス)も同社が開発したSPAチェーン、

アバクロンビー&フィッチを買収し、磨きをかけて分社化したのも同社、

ヴィクトリアズシークレットも買収し、ピーク時はアメリカ最大の売上を誇るアパレルチェーンブランドに育てました。

残念ながら、廃業しましたが、百貨店のヘンリ・ベンデルも買収後、長年、同社の傘下だったものです。

同社の転機は2000年代のアメリカでのファストファッションブームです。

H&Mとフォーエバー21のレッドオーシャンなトレンドファッションの低価格化戦争に嫌気がさし、2007年に祖業であった「リミテッド」と「エクスプレス」のアパレル事業の2本柱をファンドに売却し、「ヴィクトリアズ・シークレット」事業に軸足を移します。

売上規模を維持しながら、利益V字回復を果たし、世界の中でも英NEXTやZARAのインディテックスに次ぐ、最も高い収益率を誇るアパレルチェーンストア企業のひとつになります。

2010年代後半になると、ヴィクトリアズ・シークレットの派手さが時代に合わなくなると見るや・・・

自ら開発して、磨き上げてきた、スキンケアアイテムをメインとするバス&ボディーワークス事業に軸足を移し、

そこに独自のアパレルサプライチェーンマネジメントのノウハウを注入し、高収益な事業として拡大を加速します。

一旦は、ヴィクトリアズ・シークレット事業の売却に動きますが・・・

2020年、コロナ禍で交渉破綻、しかし、自ら、果敢にヴィクトリアズ・シークレットのリストラをして、バス&ボディーワークスの収益性に支えられ、Lブランズ社としてV字回復。

そして、この度、ヴィクトリアズシークレットを上場企業として分社化しながら、自らは高収益なヘルス&ビューティー事業企業になったわけです。

長年、同社をウォッチしてきた筆者からはブラボーの一言に尽きます。

なぜ、祖業のアパレルに固執しなかったのか?

その後、なぜ、ランジェリー、インナーウエアに固執せず、ヘルス&ビューティー事業に転換できたのか?

それは、過去にこだわらずに、顧客の未来とマーケットの変化を見ていたから、の一言尽きるのではないでしょうか?

アパレル市場は縮小し、ヘルス&ビューティー分野が伸びているのは、日本でも同じこと。

日本ではなぜアパレル業界から、そんな英断ができる経営者が生まれないのでしょうか?

ファッションマーケットの変化とLブランズのビジネス転換はファッションビジネス史に残る、未来を考える上でのケーススタディになるはずです。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】アパレルビジネスのポイントをトレンドファッションのZARAとベーシックのユニクロを比較することで浮き彫りビジネス読本。

 「ユニクロ対ZARA」 2018年アップデート文庫本

 

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September 27, 2021

インディテックス(ZARA)の2021年度上半期決算 第2四半期は過去最高益更新で回復中

Zara-londonインディテックス2021年度上半期決算(2021年2月~7月)が発表されていたので
資料に目を通しました。

あえて、前年2020年度対比ではなく、好調だったパンデミック前の2019年度対比でまとめてみます。

第1四半期(2月~4月)こそ、

売上高 パンデミック前の2019年度比 83%、
営業利益   同         58%でしたが、
営業利益率 11.5% (-5%)

99%のお店が営業状態に戻った 

第2四半期(5月~7月)は
売上高が 2019年比で 101.5%、
営業利益  同    105.3% 
営業利益率 16.0%(+0.6%)

と2Qとしては過去最高益となりました。

上半期を通じては

売上高が 2019年比で 93.1%、
営業利益  同    82.6% 
営業利益率 14.1%(-1.8%)

としてはまだまだですが、2Qの過去最高益の回復ぶりは特筆すべきことでしょう。

在庫状況についても

2Q末の在庫高は2019年とほぼ同じ水準で
在庫回転率 年換算ベース 4.5回転、
在庫日数80日前後 
と、優秀だった2019年の2Qの効率と同等に戻っています。

在庫の中味も健全である、つまり3Qの販売に必要な在庫のみ

であることをアピールしています。

コロナ禍、ニューノーマル化によって、グローバルトレンドを強味とするZARAは厳しくなるのでは?
という意見もありましたが、

当初計画通り店舗を大幅にスクラップ&ビルドしながら、
パンデミックの最中に店舗とECの統合プラットフォームを前倒しで完成させ、

EC在庫と店舗ストックルーム在庫の一元化(SINT)により
EC売上を2019年対比 137%増 (2020年対比 36%増)
と顧客の購買行動の変化に対応しています。

今年は店舗の回復を見込み、
EC売上比率は通年で25%相当になる見込みとのこと
(昨年は店舗売上が大きく減ったので32.4%)

こちらも、数年前からの計画通りの数値です。

ということで、業界の見方を覆し、
四半期ベースではありますが、コロナ前の好調な水準以上に戻したことになります。

あらためて、需要にあわせて、市場が求めるものをつくり続ける
という同社の柔軟性に驚かされます。

ここのところ、店頭やサイトを見ても、
モードというよりも、カジュアルトレンドを追求した
商品訴求が目立ちますね。

以前から、ZARAは、各サブセクションに
モードトレンドのオン・オフ 
カジュアルトレンドなオン・オフの
4軸のコレクションフレームを持ち

毎シーズンの需要に応じてその4つの構成比を変化させならが
売場を構成して来ました。

今回もパンデミック下における顧客の購買志向あわせたまでで、
結果、ニューノーマルの需要に対応できた、というわけです。

ここまで来たら、何でも来いですね(笑)

更に、これまで掲げて来た


店舗やショッピングのDX化の指標や
サステナブル系の指標においても

計画目標を何年か前倒しで達成中というから驚きです。

厳しかった8番目のブランド、服飾雑貨中心のUTERQUEをMassimo Duttiに統合したり、
ZARAの店舗の大型化にあたり、ZARA HOMEを展開する店も増やして行くというように
ブランドごとの対応も推進中。

パンデミックが落ち着けば、あらためて世界最強の強みを見せつけてくれそうです。

今後も、同社からは目が離せません。

最後までお読み頂きありがとうございます。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【おススメ本】ZARAの強みをおなじみのユニクロと比較することであぶり出したビジネス読本。両者から学べることはまだまだたくさんあります。

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September 13, 2021

EC拡大時代のダンボールゴミを減らす配送サービスの取り組み

32cimg0465_202109141309019月8日の繊研新聞に、アメリカで複数のブランド、ストアにオーダーしたEC注文に対し、顧客ごとにまとめて、1つの梱包することによって、家庭で出るダンボールゴミを削減する配送サービスについて書かれた記事が掲載されており、興味深く読ませていただきました。

日本でも多くの方がこの1年半、ECショッピングを増したことと思いますので、宅配業者さんが荷物を届けてくれた後のダンボールゴミの処理が面倒だったり、

リサイクルできるとは言え、毎回出るダンボールゴミの山を見て、これっていずれは問題にならないのだろうか?と感じていた方も少なくないでしょう。

筆者も正しくその一人です。

記事によれば、そのサービス「オリーブ」を立ち上げたのは、かつてWalmartに買収されて、今や同社の中で、全米小売業において最も積極的なEC関連の投資、取り組みを先導している、ジェットドットコム社の創業メンバーのおひとり。この方は、買収された後もしばらくウォルマートでも勤務されていたようです。

要はアメリカの物販ECビジネスを最も熟知した方のお一人と言ってもよい方が立ち上げたソリューション型のサービスというところも興味深いです。

このサービスの流れは以下の通りです。

顧客から「オリーブ」のサイトまたはアプリ経由で同サイトの登録ブランドに注文された商品は、

 ↓

各ブランドまたはストアの倉庫から「オリーブ」の
配送センター(コンソリデーション+リサイクリングハブ)に届けられ、
(現在ニュージャージー1か所、カリフォルニア州1か所)

 ↓

そこで顧客ごとに「オリーブ」専用折り畳み式再利用ボックスに詰められ、

 ↓

エリアにより、週1回または2回の決まった曜日に着くルート配送便で自宅に届けられる。

そして、要を終えたボックスは同じ翌配送曜日に家の前に出しておけば、「オリーブ」が回収して行くというものです。

ブランドから「オリーブ」のハブに届く時に使われたダンボールはオリーブ側からリサイクル業者にまとめて引き渡されて処理され

この一連のサービスに対して、オリーブ側は売り手から売上の10%を手数料として徴収するそうです。

 

「オリーブ」の創業はコロナ禍の20年4月、

半年で、百貨店のサクス・フィフスアベニュー、専門店のアーバンアウトフィッターズ、アディダスやアシックスのようなスポーツブランド、ヒューゴボス マイケルコース アグ などなど 100以上の百貨店、専門店、ブランドが参加するようになったとのこと。

EC拡大時代の顧客のお困りごと、環境保護意識に対するサービスですが、どこまで広がるか、興味深いですね。

利用者、利用企業が増えれば、企業負担、手数料も下がって行くかも知れません。

日本では、宅配便業者さんが進んでいるので、そんなサービスを考えてくれるかも知れません。

家庭で出るダンボールの量は遅かれ早かれ問題視されると思いますので気にとめておきましょう。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 10年後のアパレル業界でのサバイバルのカギは、服のライフサイクルを意識し、顧客の持続可能なクローゼットのワードローブの循環をお手伝いすること。過剰供給時代を超えて、新しい時代のお客様との関係構築がテーマです。

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August 30, 2021

パタゴニアのWORN WEAR(ウォーンウエア)プロジェクトに見る、今後「ブランド」が取り組むべき自社販売商品の循環とライフサイクル管理

20180816_1937378月30日の日経MJにパタゴニア日本支社が渋谷店1階で8月20日~9月26日に期間限定で行っているWORN WEAR(ウォーンウエア)のポップアップストアに関する記事が掲載されていました。

このプロジェクトは、顧客が購入したパタゴニア製品を長く大切に着てもらうために、リペアを行ったり、着なくなった服を買い取って、リペアした上で古着として販売することで製品寿命を延ばす試みで、アメリカでは何年か前から始まっていました。

右の画像は2018年夏にアメリカ カリフォルニア州サンタモニカのパタゴニアのお店で見かけたWORN WEARのカウンターです。

リペア(修理)については以前も日本でもやっていましたが(期間限定だった?)、今回は、日本でも本国同様に本格的に取り組むにあたり、まずは、古物商の認可を取り、アメリカ本社から仕入れた古着の販売から始めているようです。


但し、古着の買い上げ点数2点までの制限ありというのは同社らしい。「必要ないものは、買わないで。」というのが同社のポリシーですから。

日本ではまだ買取は行っていないようですが、アメリカのサイトに同社が顧客から着なくなったパタゴニア製品を買い取る時に渡すクレジット(パタゴニアの新品、古着を購入する時に使えるクーポンのようなもの)の価格リストが出ていました。

アイテムによって、10ドル~100ドル アイテムの元の単価や耐久性によって分類されているようです。ちなみにおなじみのシンチラフリースは20ドル、レトロフリースジャケットは40ドルが買取価格(付与するクレジット)のようですね。

日本支社の社長さんによれば、パタゴニアの新品の中心顧客は40代、古着を販売することで、20代から馴染んでもらえれば、長いお付き合いができるのでは、と期待をされているようです。

新品をつくって、売るだけではなく、

新品販売+リペア(修理)+自らメンテした古着販売で企業収益と顧客の関係性をつくるのが同社の目標。

今後、ファッションブランドは、そのブランドらしく、そういった取り組みを拡げて行く時代だと思っています。

そんな切り込み隊長であるパタゴニアの、今回インタビューを受けられた日本支社社長さんも

アパレル業界の中で、そんな流れをつくるきっかけになれば、と期待をしているようですね。

 

ファッションではありませんが、先行事例があります。

それは自動車業界。

外車ブランドには、中古車は自分たちで買い取り、自ら、車種にふさわしいメンテナンスをして、

中古車販売まで、流通全般を自ら手掛けているところがいくつもあります。

そして、中古車を購入した顧客には、新車を購入した人と同じ●●か月点検みたいな、メンテナンスプログラムに合流してもらい、新車販売店を窓口にして対応する。

一度生み出したプロダクトには、まだ走る、動く、使える、製品寿命があるうちは責任をもってメンテナンスするメーカーの責任。

そして、ユーザー側も、中古で安く買ったにもにも関わらず、メーカーが十分なメンテナンスを施し・・・

新品を買ったのと同じように、利用年数に応じたユーザーサービスを提供してくれるブランドクオリティの体験をすれば・・・

顧客はいずれは、乗り換える時に、またそのブランドを選ぶ、中古じゃなくて、新車を選ぶ、なんてことも十分考えられる、

ある意味生涯のお付き合いを前提とした、そんな取り組みが素敵だと思います。

ファッション業界の話に戻って、

ブランドバッグも、ラグジュアリー・ハイブランドと呼ばれるブランドも、顧客と一生付き合って行く覚悟のある、あるいは志のあるファッション「ブランド」は、そんな外車のような顧客との付き合い方ってありだよね、って思います。

2019年に出版した「アパレル・サバイバル」の結論部分では、同様の持論も披露させていただきました。

パタゴニアの「ウォーン・ウエア」プロジェクトが日本のファッションブランドにどんな波及効果をもたらすか?

ブランド自らは重い腰をなかなか持ち上げられない、と考えているうちに、若い消費者がそんなブランドの背中を押すのではないでしょうか?

楽しみに見守って行きたいと思います。

 

関連エントリーー着なくなった衣服の廃棄を減らすためにできること~環境省の「ファッションと環境」レポートから

 

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 これから10年先のファッション消費の未来のカギになるのは、顧客のクローゼットのワードローブ。つくって売るだけではなく、その循環にどうかかわることができるか、がサバイバルのカギです。

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August 16, 2021

経済産業省2020年度 EC市場調査報告書とこれからのファッション専門店の構造改革

Bbw_20210817170301経済産業省が7月31日にリリースした電子商取引に関する市場調査報告書に目を通しました。

毎年の業界の市場規模やEC化率を知る上で参考にしています。

これによると、物販系分野BtoC-EC市場全体は

12兆2333億円 前年比 121.7% で市場のEC化率は8.08%(前年が6.76%)になったようです。

気になる衣類・服飾雑貨カテゴリーは

2兆2203億円 前年比 116.2% で市場のEC化率は19.44%(前年が13.87%)

伸び率は全物販市場に比べて下回りますが、

物販EC市場の中の金額規模では家電に次ぐ2番目に大きな規模になります。

EC化率も

書籍・ソフト(42.97%)
家電(37.45%)
生活雑貨インテリア(26.03%)に次ぐ

4番目(19.44%)にEC化率が高いマーケットです。

資料の金額、EC化率、前年比から実店舗、ECを合算した業界市場規模や
実店舗だけの前年比が計算できるので、実際に算出してみると・・・

物販BtoC市場全体は

151兆4022億円 前年比101.8%と伸びており、
実店舗物販だけとっても100.4%とコロナ禍でも物販消費は横ばいだったことがわかります。

カテゴリー別に見ると

食品、家電、化粧品・医薬品、生活雑貨・インテリア、自動車関連
は実店舗、EC共に市場規模(消費)が増えており、

衣類・服飾雑貨、書籍・ソフトのふたつのカテゴリーが
実店舗の落ち込みをECでカバーできなかったカテゴリーになります。

前年比(2020vs2019)
            実店舗  EC   合計     
衣類・服飾雑貨    77.6% 116.2%  82.9%

書籍・ソフト     86.0% 124.8%  99.2% 

ということで、衣類、服飾雑貨が最もコロナ禍の影響を受けた物販カテゴリーのひとつであることが、
表されています。

さて、こんな数字を見て業界各社はどう考えるのか?

〇 売上が2019年度の8掛けでも儲かるしくみをつくるのか?

それとも

〇 こんな環境でも伸びている上記カテゴリーの品揃えを行ってカバーするのか?

実際、コロナ禍で堅調だったと言われるユニクロやしまむらですら
アパレルの落ち込みをグッズ・その他やインテリアなどでカバーしているのが実態です。

ちなみに衣類・服飾雑貨の市場規模の年間のマイナス分は

食品、飲料、酒類以外の

・生活家電、AV 機器、PC・周辺機器等
・書籍、映像・音楽ソフト
・化粧品、医薬品
・生活雑貨、家具、インテリア
・自動車、自動二輪車、パーツ等

すべての年間増額分を合算してもカバーできません。

唯一、衣料・服飾雑貨の減額分をカバーできるのは・・・

食品、飲料、酒類の年額増額分だけです。

緊急事態宣言が延長される日本において、
ファッション専門店の抜本的な損益構造改革が求められています。

ちなみに右上の画像は、事業ドメインシフトを果たしたLブランズのバス&ボディワークスです。

アパレル祖業でSPAの元祖と呼ばれる彼らは・・・

2000年代にはアパレル事業を売却し、ランジェリー・インナーウエアのヴィクトリアズ・シークレットに軸足を移し、

2020年の今はもう、ヘルス&ビューティ専門店で企業の大半の利益を稼ぐ企業となりました。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 DXに欠かせないのは、顧客の理想の体験を描く創造力。ファッション流通の歴史、欧米の視察体験から学んだ、日本のファッション流通の未来を本書を通じて垣間見てください。

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August 09, 2021

ファッションストアはどう生まれ変わるのか?

20210716_184300-18月8日の日経新聞に、外食産業のコロナ後に向けての対策に関する記事が掲載されていました。

店舗の売上が32%減少し、持ち帰り需要が下支えしたため、持ち帰りの比率は34%に上昇。
(20年は店内飲食61%、持ち帰り34%、宅配5%だった模様。)

産業全体が今後も全体の30%程度は持ち帰りになることを予測して、外食産業各社がどんな投資をしているかについて紹介されていました。

・大手各社はモバイルオーダーアプリ(事前注文、事前決済、店舗受取り持ち帰り)を導入し、

・店に入らなくても専用窓口から受け取れるように厨房の配置を変え、店舗内の座席は減るが、持ち帰りの利便性向上を優先させる店舗もあれば・・・

・ドライブスルーを持つ店舗では、調理能力を2倍にした厨房設備の導入を進める

・持ち帰り専用お得メニューを用意して売上を伸ばした

などなど、顧客の購買行動の変化に対応した設備投資の事例が紹介されていました。

余談ですが、メディアで注目されたUBER EATSなどの宅配は、あれだけ騒がれてもシェア5%程度の構成比。

記事でも触れていますが、顧客は便利でも、飲食店側の手数料負担が大きく、配車サービス側もシェア争いのために儲かっていないため、少なくとも日本の現在の手数料構造のままでは、ビジネスモデルをデリバリー専用に設計し直さなければ持続可能なビジネスモデルになるとは思えません。

従って、店内飲食が前提だったビジネスにおいては、飲食店側に負担が少ない、持ち帰り対策が業界のこれからの焦点になるようです。

さて、これに対して、

ファッションストアは、コロナ後に顧客購買行動がどう変わると予測して、どんな投資を行うのでしょうか?

また、

「ファッションは外食産業(異業種)とは、違う」 

で議論を終わらせて、思考や行動を先送りしさせてしまっていいのでしょうか?

ファッションストア以上に苦戦を強いられた外食産業も上記のようにアフターコロナに向けて動き始めているのです。

 

ファッションストアの今後を考える上で、

まずは、顧客の購買行動の変化を予測することから始めるべきでしょう。

そして、そんな購買行動のために、どんなデジタル投資をしたり、店舗をどう設計し直すのか?を考えたいところです。

・来店前に顧客が事前情報を取れるようにし、来店後はスムーズに商品確認が出来たり、接客を始めることができる

・店舗での顧客の拡張体験を提供したり、店舗の品揃えや情報を補完するために、タブレットや顧客のスマホアプリを活用する

・タブレット接客や決済を前提とし、店内でスペースを取り過ぎているレジスペースをできるだけ小さくする

・その分、フィッティングルームを拡充し、顧客が落ち着いて試着ができるスペースを確保する

 (在庫が増えるので、ストックを大きくし過ぎてはいけません(笑))

・店舗スタッフも顧客自身も手軽にオンライン配信できるスペース、環境を整える

・顧客が着なくなった服を回収し、リユース、リメイクの循環を回す ・・・

これらは、いずれも、国内外で取り組みが始まっている事例です。

まずは、顧客購買行動の変化に対応した事例を自ら体験し、顧客の立場になって

どうしたら、ストレスが無くなるか?快適になるか?を考えてみることでしょう。

異業種からも学ぶことはたくさんあります。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

【オススメ本】 DXに欠かせないのは、顧客の理想の体験を描く創造力。ファッション流通の歴史、欧米の視察体験から学んだ、日本のファッション流通の未来を本書を通じて垣間見てください。

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August 02, 2021

無印良品(良品計画)は2030年、年商3兆円目標の中長期計画にどう挑むのか?

Muji-shang-hai2030年度に年商3兆円を目標に掲げた、無印良品を展開する良品計画の中長期経営計画が話題になっていますね。

最初にこのニュースを聞いた時は、ずいぶん大きな目標を掲げたな、ユニクロのファーストリテイリングっぽいな、と感じたものでした。

それもそのはず、

これまで良品計画は西友ご出身の、経営者さんが歴代社長を務めて来られたためか・・・

創業経営者が立てるようなダイナミックな計画や成長ではなかった、

ある意味、無理をせず、年率10%前後の自然増的(オーガニック)な成長を続けて来た会社。

そのためか、ユニクロと比較されることが多いですが、ファストリのPERが45倍と期待値が高いのに対して、
良品計画は16-17倍と一般小売業の平均並みに甘んじて来ました。

それに対して、9月から社長になる堂前氏は、
柳井会長と共にフリースブーム含め、長年ファーストリテイリングの急成長を支えたキーパーソンのおひとり。

この2030年年商3兆円という目標設定は、ファストリ流というか、柳井流というか、

長期の高い目標を掲げ、それを実現するために、そこから逆算して足元の計画を立てて行く
というアプローチに近いものだったので、そう感じたのだと思います。

堂前氏が中心になって作成したと言われる、
同社がこの度発表した中期経営計画(書)全55ページによれば

◆2021年8月期末見通し(現在)
売上高 4900億円 (日本3000億円、海外1900億円)

◆2024年8月期 中期計画(3年後)
売上高 7000億円 (日本4500億円、海外2500億円)

<前提>
既存店は年2%成長で、
店舗を980店舗から1300店舗に増やし
1店舗あたり売場面積は250坪から300坪に大型化し
EC売上は10%から15%に引き上げる

この間は、年平均12.6%の成長。
過去3年(2017年~2020年)が年平均9.6%の成長ですから、
これは決して、無理な話ではないでしょう。

しかし、その後の6年間の長期計画は

 

◆2030年8月期 長期計画(9年後)
売上高
 3兆円 (日本 計画から推定すると1兆5000億円、海外 同)

 

中期計画後の6年間は年平均27.4%の成長(国内22.2%、海外34.8%)と高いハードルが待っています。

この間、国内では、店舗の大型化と出店とEC売上の拡大が根拠

・1店舗あたりの平均売場面積は300坪から600坪に大型化し、
・年平均100店舗を出店し(純増数)
・EC売上を30%にする

としています。

海外は 中国を年平均50店舗、その他アジアを平均80店舗出店
欧米は既存店を再構築とのことです。

この中期計画はともかく、長期計画の中で、
筆者が最も、ハードルの高さを感じたのは・・・

国内の年平均100店舗の出店(純増)でしょうか?

ユニクロですら、そこまで1年で店舗数を増やした年はありません。

2030年には国内店舗は平均売場面積600坪(現300坪)、
1店舗あたり売上高10億円(現6億円)になっているとのことです。(たぶん、EC売上高30%分込み)

この出店計画に対して、

新規出店候補地が年商20億円クラスのスーパーマーケットの隣、というはその一方で、

これまでとは違って、面白いと思いました。

正直、今の無印良品では、価格が高めなので
国内1500店舗は想像しづらいのですし、(しまむらが国内1430店舗)

ショッピングセンター内ならまだしも、
フリースタンディングのスーパーマーケットの隣も無理があるように思いますが・・・

中期計画では、粗利を下げ、ローコストオペレーションを徹底し、
販売価格設定を下げる、と宣言をしていますので、

それが実現し、食品スーパーと親和性のある、買いまわることのできる購買頻度が近い品揃えと価格帯になれば、
業態としては、年100店舗の出店も不可能ではないかも、と思えます。

同社の中期計画書を読んで、そうなった時の「無印良品」を想像した時に
思い浮かんだお店がありました。

それは、ずばり、アメリカでウォルマートに次ぐ大手小売業、
会員制ホールセールクラブ、コストコです。

コストコはナショナルブランドにプライベートブランドを織り交ぜているお店なので

その点は違いますが、

地域に根差し、
循環型経済を標ぼうして、
プライベートブランド(PB)で衣食住に必要な商品を
ウエアハウス型のローコストオペレーションで
それに共感する顧客だけに良質安価で提案する。

PBで粗利は最低限でよい、顧客は安く買うことができる。

そのかわり、顧客から頂く年会費が営業利益の原資になる、

というホールセールクラブ型のビジネスモデル。

それなら、そういった立地にも出店余地はありそうだ。
そして、無印良品らしい、地域との顧客コミュニケーションが取れそうだ。

今、無印良品は、ファッションであったり、ライフスタイルショップとして
位置付けられていて、ユニクロやニトリなどと比較されることが多い業態ですが・・・

10年後は、全く違った業態、

地域に根差した、もしかしたら、
地域の大衆のための会員制クラブになっているかも知れない。

中期経営計画書を読んで、そんな風に妄想したものでした。

 執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩

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