ICタグはファッション流通を変えられるか?
先日、業界新聞でICタグの導入実験レポートの記事が出ていました(繊研新聞3月10日付)。
これは、経済産業省の依頼を受けて、上智大学の先生が委員長になっている委員会が百貨店でやっている実験です。
結果、コスト削減効果はアパレルで売上高の0.32%分、靴で0.05%分。それぞれ金額に直すとアパレルで99億円、靴で9400万円だそうです。売上増効果は靴のみ11%増という結果が出たそうです(年間売り上げに直すと全百貨店ベースで203億円増)。これは金額だけみるとすごいですね。
但し、業界事情からすると、ICタグを導入するか、どうか以前に、従来、百貨店は専門店、量販店に比べ、委託販売、派遣社員という取引形態をとっているため、情報システムの活用は非常に遅れています。
百貨店という高級な雰囲気に期待膨らませ、買い物に行って、「これのこの色のこのサイズ」ありませんか?という質問を店員にして、どれだけ待たされ、終いには「申し訳ありません」と言われたことか。靴の専門店も同じような経験が多いですね。
今回のICタグの実験では、お客さんが自分で在庫検索できる装置もあるということなので、聞くストレス、待つストレスもなくなるので、特に、サイズが多い靴で売上が上がるのは想像に難くないです。
カラーサイズの多いファッション業界では、お客さんが欲しいカラーサイズがお店になくてがっかりすることが多いです。でも実は、在庫があるのに見つからなかったり、どこか他のお店にあったり、することが多いのです。売り手からすると「売り逃し」です。そんな、お客さんの期待(デマンド)と商品在庫(サプライ)を結びつけること。実は、これが「顧客満足」の第一歩だと思うんですよね。
ICタグはあくまでも道具(ツール)だと思いますので、活用・運用の方がいかに大事か、を改めて感じます。
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