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April 29, 2005

百貨店婦人靴売り場でICタグ本格稼動開始

 各紙によると、4月27日から三越日本橋本店、阪急梅田店でICタグの本格導入が始まったそうです。売り場は婦人靴。これは、数ヶ月の実験を経て、成果の確証を得ての導入となるとのことです。
 接客する販売員(一般的に問屋からの派遣社員)がPDA(携帯端末)でサイズ在庫を探しやすいのと、タッチパネル画面でお客さんが販売員に聞かなくても在庫の有無が確認できるインフラが整っています。

 百貨店の靴売り場は、一般的に靴メーカーではなく、靴問屋さんの縄張りで、今回は、業界3位のシンエイの協力で実現したそうですが、靴問屋さんの重い腰が上がらなければ出来なかった話しだと思います。ICタグの導入は、誰がコストを負担するか、が課題でしたから。

 靴、ジーンズ、Yシャツ、ランジェリーなど、サイズの多いファッション商品は、在庫過多にかかわらず機会損失に悩ませれている業界です。特に、靴はメーカーと小売の間に問屋の介在が一般となっている業界で、そのために、店舗による在庫のバラつきを生んでおり、自分のサイズが見つからないための顧客不満足、機会損失による売り上げ伸び悩みの顕著な世界でありました。 
 そんな業界はITによる現状把握とアクションがもっとも威力を発揮する業界だと思います。顧客に押し付けていた流通リスク=価格高をIT導入コストにまわせばいい話だと思います。ICタグに限らず、ITを活用して、「欲しい商品、サイズを顧客の望む場所に用意する」ことを実現してあげることこそが、最大の顧客満足につながると思うのです。

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April 28, 2005

小売業の責任とは~原産国表示問題を例に

 前にもブログで触れましたが、繊維商社Yがイタリア製ということで輸入・販売したスラックスが、実はルーマニア製であり、セレクトショップW社、BM社、BC社、U社などが正しい原産国の表示をしなかったという理由で公正取引委員会から排除勧告を受けた問題の各社の対応について。

 以前読んだ新聞記事によると、U社は発注から納品の間に、バイヤーが仕入先に対し、「原産国はどこか?」を2回問いただし、確認した日付を入力しなければ商品が仕入られないようにわざわざ商品登録システムの仕様を変更しました。BC社は発注したバイヤーは「できる限り」工場を訪問することを義務付けています。
 また、今日の業界新聞では、WR社は、輸入した商社とそれを仕入れた小売が同じ罰を受けるのは、納得行かない(輸入業者が悪い、買って販売した小売は善意の第三者だ)、と反論しており、仕入先に対し、「原産国表示責任は納品業者OO商事にある」という内容の特別タグをつけてW社に商品を納品するように義務付けたとのこと。

 これらの対応を聞いて、「小売業の責任」を当のセレクトショップ=小売業はどのように考えているのか、疑問に思ってしまいました。
 
 かつて、ブランドのニセモノ商品をめぐり、有名小売チェーンが裁かれた判決がありました。このときの最高裁の最終判決は仕入れ業者の言葉を鵜呑みにした小売業には確認の注意義務を怠った責任があるとして、ニセモノとわかって納品した輸入業者と騙されたとする小売販売業者は同罪になったのです。 
 
 ニセモノと原産国詐称では、罪の重さは違うにしても小売業は一般消費者のお客さんに対し、どんな理由があろうと、販売責任があるということを肝に銘じ名ければなりません。そして、仕入れ先に責任を押し付けるよりも、私たちは注意しています、というポーズをとるよりも、お客さんから信用され続けるために、本質を理解して、行動する「人」を育てなければならないと思うのです。

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April 27, 2005

ユニクロのセレクトショップ?セレクロ

 先週も触れた、ユニクロの期間限定実験店舗 セレクロ北青山店に行ってみました。
246(青山通り)から路地を入って、1階がユニクロロゴをスプレープリントした看板、店舗は、不安定なスチール製の外階段を登った2階。
 店内はクセのない代官山のセレクトショップ系の雰囲気で、セレクトショップ的な各色1枚のみの陳列。こんな風にならべると、プライスは1500円くらいが中心と、まさしくユニクロですが、よく見えるものだな、と。 ユニクロの可能性にチャレンジしたお店ですね。
 
 ユニクロはある意味白いキャンバスのようなもの。変化させやすいわけですね。先日のRelax別冊にも、ナショナルスタンダードというユニクロのカスタマイズをしているブランドの人が紹介されていました。また、「そのまま着ない」という、みんなもカスタマイズしてみたら?というような特集もありました。

 これを見て、思い出したのは、5年くらい前、ニューヨークのオールドネイビー(GAPグループ)の大型店で、”カスタマイズ・ユア・オールドネイビー”というコーナーがありました。つまり、店内で購入した無地系の商品にワッペンを選んで貼れたり、スタッズを打ったり、ボタンを変えたりするコーナーがあったのです。

 古着を上手に着こなしてしまうお洒落さんにとって、ユニクロはこんな使いかたもあるのですよね。ちなみに私もユニクロのギンガムのシャツ、普通でつまらなかったので、ボタンの留め糸をカラフルにして着ています。

 
 

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April 26, 2005

作り手側に固定概念はないか?

 シーズン売上でかつて上位だった12月が落ちている原因は間違いなく1年間でもっとも単価の高いアウター(防寒)が売れなくなっているからでしょう。暖冬の影響が大きいと思います。重ね着(レイヤード)の着こなしの定着、また、ユニクロがヒットさせたフリースなどの中間アイテムの影響もあって、アウターはここ5年くらい連続で各社毎年10%以上の前年割を続けているはずで、これは影響が小さくありません。

 こんな時代には、作り手、売り手も業界の慣習にとらわれず、お客さんの動向の変化に逆らわず、まずはお客さんが 財布の口を開いた通り 、いつ、何が、いくらで買われたか?すなわち消費者行動を素直に分析して受け入れてみたらどうか、と思います。
 そうすると、新しい消費パターンも見えてくるわけで、それで見えてきたパターンから、QR(クイックレスポンス)の機能を活用するのです。QRでは、前にも述べましたが、売れ筋を追いかけて顧客の飽きを誘うのではなく、仮説を立て、新鮮なアイテムにチャレンジするべきだと思うのです。

 109系の成功ブランドや、量販系でもハニーズのような企業は週間での政策見直しに対応できる業務を敷いていると思います。そこらへんが、百貨店ブランドがそれらの企業に大きく水をあけられている理由ではないかと思われます。

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April 25, 2005

ファッションビジネスにシーズンがなくなる?

 もう何年も、温暖化、天候不順といわれて久しくなりました。言うまでもなく、ファッション商品は特に寒暖の影響を受けやすい商品群です。 業界では、シーズンというと、もっぱら春夏秋冬を基軸に考えられていましたが、この仕事のやり方がファッション業界で通用しなくなってきているという話が業界新聞である繊研新聞で特集が始まりました。
 レディースの場合、最も売れる月は3月、次に10月、12月と続くのが、業界の常識でありました。春の実需と夏の新作(3月)、秋の実需と冬の立ち上がり(10月)、冬の実需(12月)というわけです。ところが、昨年は1番が1月(冬のバーゲン)、2番目が3月(既述)、3番目7月(夏のバーゲン)だったとのこと。
 
 この実情にもあるように、ここ数年ファッションリテールビジネスに携わっていて消費動向で感じるのは、
1.実需消費
体感的に欲しくなった時、本当に必要になった時に買う傾向。新しい提案が少なくなったせいか?
2.イベント消費
それより、GW、夏休み、クリスマスといったイベント時に集中的に思いっきり楽しむために買う。
それから
3.アイテムのシーズンレスです。
重ね着(レイヤード)需要が高まり年間通して売れる商品が増えた、または売れる時期が長くなった。(Tシャツ、タンクトップ、長袖Tシャツ、カーデガンタイプのもの、ジャージなど)

 そんなかんなで、シーズンとバーゲン時期の見直しが迫られているとのことです。
 もっとも小売の商品回転数(数量ベース)=実需(デマンド)は6-7回転くらいはあるわけですから、年間4回(3ヶ月にいっぺん)の企画(サプライ)では、飽きられてしまうわけですよね。

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April 24, 2005

いまだにユニクロに振り回されるGMSの衣料売場対策

 大手GMS(ジェネラルマーチェンダイジングストア)のうち、ダイエーの再建は食品スーパーを格に異業種の発想ですすめられることになりましたが、先だってから、イオンとイトーヨーカ堂の厳しし決算報告と今後の対策が新聞紙上をにぎわしておりました。
 衣料品部門について言えば、イオンはSPA(製造小売業)的な高品質低価格路線の再強化、イトーヨーカ堂はクオリティとイメージアップが今後の対策のポイントのようです。 企業戦略はわかりますが、消費者や業界で客観的に見る私たちは、どうなのかな、と感じた人も多いのではないか、と思います。
 仕入をする力は「バイイングパワー(仕入できる金額)」と言って売上高に比例するとされています。そういう観点でみると、イトーヨーカ堂は先だってユニクロに抜かれたようですが、イオンの衣料品のバイイングパワーはまだユニクロの約1.5倍あるとのこと。 そこが、イオンがまだ負けを認めていない、ユニクロに妄想しているところではないか、と思います。
 イトーヨーカ堂も藤巻さんや菱沼さんと起用して、高いものを売ろうとしていますが、どうなのでしょうか? 一方、ここんとこ、イトーヨーカ堂は毎週のようにポイント10倍や20倍還元(キャッシュバック)セールが目立ってきています。 
 GMSでも自分たちでこねくり回さず、メーカーブランドの仕入に徹し、そこそこの業績を残している企業もあると聞きます。 イオンもヨーカ堂も食品、日用品、おもちゃなどを中心に集客力はまだあると思うので、そこに集まるお客さんになにが提供できるのかを改めて考える必要があるのではないか、と思わざるを得ません。
 
 ちなみに、イトーヨーカ堂の子供服売り場。 男児服はスポーツブランドばかりで、つまらなくて、小学6年生の息子向けにはユニクロやライトオンで買ってしまいますが、女児服売場は結構、バラエティ豊かで充実しており、小学2年生の娘のためによく利用しています。 

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April 23, 2005

匠(たくみ)の技が奪われる

 マガジンハウスムック「アナタはユニクロが嫌いですか」、にもユニクロの品質を支える手段として、「匠の技」のコーナーがあります。日本のアパレル生産技術を支えた人たちを、再雇用して中国工場の技術向上のために派遣、駐在させ、活用し、それを品質の象徴としたのはユニクロのマーケティングのうまさの一つです。

中国で大量生産することによって高品質のものを安価で提供するビジネスモデルをすべての業界に置き換えても「ユニクロ的」と言わしめた功績はやっぱり、トヨタ並みにすごいことだと思いますね。

 しかし、今、需要予測によるサプライチェーン、匠の技による品質を確立したユニクロですら、一つの「チャイナショック」を思い知らされているはずだと思います。それは、欧米が輸入クオ-タという中国などからの輸入制限枠を撤廃したこと。ユニクロが匠の技で中国工場に蓄積されたノウハウが今、欧米向けに流出している話です。今年の1―3月の統計だけではありますが、中国の欧米向け輸出は前年比160%。ユニクロ向けを中心に、品質の要求度の高い環境で鍛えられた中国工場が、オーダー数が多く、値段相応で、日本ほど品質にうるさくない欧米企業に目が向いているわけです。日本向け夏物以降の日本向け生産に大きな影響がでているのを各所で聞きます。
今後もこの懸念は増すでしょう。

 これからユニクロはじめ日本企業が、どのように、中国企業と向き合うか?教科書問題の裏で起こっている日中問題の一つです。

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April 21, 2005

ユニクロの役割って何?

 「ベーシックなものを作るなら、一番の引き立て役を目指せばいいんじゃない?今はそのへんがはっきりしていない気がする」-ユニクロ自身がしたアンケートした、ある顧客さんの声です。
 
 隙間マーケットのことを、マーケティング用語でニッチといいますが、ユニクロが登場した時、ユニクロはある意味、ニッチマーケットをうまくついて、マーケットポジショニングを確立したな、と思ったものです。 ベーシックのユニクロがニッチ?と思うかもしれませんが、ほとんどのファッション企業が扱うベーシックという商品群だけを集めるブランド、業態は無印良品以外なかったし、「わけあって安い」というコピーを使いながら、訳のない、決して安くない商品を作り続けていた無印良品の逆手を取った形にもなりました。
 
 既述のお客さんの声が訴えるように、柳井さんは、「最強のパーツに徹する」といっていました。ファッションにうるさい人でも、インナーパーツとして、ファッションがわからない人はトータルで、いろんな付き合いができる引き立て役のはず。
 
 いろいろな企業とコラボしたり(今年は100社以上だそうです)、有名なクリエーターシリーズを作ったり(マハリシのデザイナー登場には唸りました)、学生デザインコンテストをやったり、また、海外限定らしいですが、裏原宿の有名ストリートブランドとのコラボシリーズもやるらしいです。
 
 ここまで、やりたいことできたら、ファッション流通では、ビジネス冥利に尽きるんですが、でも、なんでもやっちゃうというのは、どうなのかな、ドラえもんはないですよね、と同感せざるを得ないところです。

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April 20, 2005

ユニクロが嫌いな理由

 この理由について・・・先週発刊されたマガジンハウスムック「アナタはユニクロが嫌いですか?」を読んだり、私が参加しているSNS(ソーシャルネットワーキングサイト)でメンバーの意見を頂いたりもしてみました。
大雑把にまとめてみると、
1.マス化していること
2.没個性であること
3.売れているからと言って天狗になっているところ
が「ユニクロ嫌い理由ワースト3」のようです。

 信憑性は定かではありませんが、こんな話を聞いたことがあります。「1デザインで10万枚以上生産して、流通させると、街を歩いていて、自分と同じ服を着ている人を見かけてしまう、という現象がおきる。」
ユニクロが地方で名をはせていた10年以上前でも1デザインあたりの標準生産枚数が5万枚でしたから、今は言わずもがなです。 この恥ずかしさが、個性的なファッション好きには許せないわけですね。
 「ユニバレ」(ユニクロを着ていることがバレてしまう)という言葉が生まれ、玉塚社長に交代したとき、UNIQLOラベルを全面廃止したことは有名な話。
 今回の「アナタはユニクロが嫌いですか?」の編集のポイントも、これでもユニクロは没個性ですか?こんな個性的な着かたもあるんですよ、ということを手を変え品を変え表現しており、なるほど、考えたなと思ったところもありました。

 あと、嫌いな理由、3番目の「売れているから天狗になっているところ」について。ユニクロの採用面接を受けにいって不快な思いをした人が多いようです。会社がやっていることはすごくても、現場の末端近くで、変にプライドが高くなったり、態度が高飛車になるという現象が起きているようです。ここら辺は、組織が大きくなると、大企業病的に出てしまうのでしょうね。面接を受けに来る人はある意味ファンのお客さんであって、その人たちは、今後も大切なお客さんの一人であり続ける、ということを経営陣の方々も理解していただかないといけないと思います。


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April 19, 2005

世界のSPAから学んだユニクロ

 アメリカなどに行かれて、昔からGAPなど海外のSPA企業を知っている人は気づいていると思います。ユニクロは商品はGAP、オペレーションの仕組みはリミテッド、カタログやVMDはJクルー、広告手法はH&M(へネス&モーリッツ)と世界のSPA(製造小売業)のいいお手本のいい部分を上手に日本で具現化しました。ただの真似ではなく、あれだけのことを実現したら、立派だと思っています。

 特に、広告宣伝で有名芸能人とタイアップして、ブランドイメージアップを図るとともに、ユニクロは安くてもお客さんに安物買いをしている気にさせないテクニックはH&M(へネス&モーリッツ)の十八番です。

 H&Mは日本ではあまりおなじみではないかもしれませんが、スウェーデンに本拠を置く、ヨーロッパだけでなく、アメリカでもGAPやリミテッドグループを震撼させている世界でもっとも勢いのあるアパレルSPA(製造小売業)です。イメージは、おなじみなところでいうと、日本にも進出してビギグループと組んでいるスペインのZARA(ザラ)に近いですね。
 特徴は、ヨーロッパのコレクションに出てくる旬なファッショントレンド商品を、市場最低価格で販売することをポリシーにしている会社です。しかも憧れの有名人が来て街角や広告に登場するのですから、売れないわけがない。ユニクロと対極なのは、ベーシックではなく、トレンドで大量生産、QRをやっているところです。昨年は、限定数量ではありましたが、シャネルのデザイナーとしても有名だったカールラガーフェルド別注まで発売したもんだから大変でした。4週間分の商品が60分で売り切れたと伝説になりました。 コムデギャルソンの川久保玲がユニクロのコレクションを受け持つくらいのインパクトではないでしょうか?
 
 もしかして、ユニクロ、H&Mxカールラガーフェルドを見て、すでに何か考えているに違いない?

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April 18, 2005

アナタはユニクロが嫌いですか?

 先週の金曜日にマガジンハウスムックからライフスタイル雑誌Relaxがユニクロをフィーチャーした同タイトルの別冊が発売されたので、早速買ってみました。
 ちなみに、この発売に合わせて23日から1ヶ月間表参道のロケットというギャラリーで ユニクロの期間限定セレクトショップ「セレクロ北青山店」がOPENするそうです。

 ファッション流通の話題と言えば、好き嫌いは別にして、たぶん誰もが一過言持っており、一番話題に事欠かないのが、この「ユニクロ」であると思います。今週は、好き嫌いを超越したファッション流通における「ユニクロ」について綴って行きたいと思います。

 私がユニクロの存在を知ったのは、90年代初頭にアパレル海外生産のために、アジアを飛び回っていたころに聞いた香港や中国の工場からの評判からでした。 彼らは、口々に、「ユニクロはアジアで一番大きなバイヤー」、「もっとも品質基準が厳しいバイヤー」、また、「コストは厳しいが、品質と納期の基準を守ればもっともフェアーなバイヤー」であると言っていました。日本にも、すごい会社があるものだ、と感心したものです。

 そのユニクロが、1998年原宿店OPENを皮切りに大ブームを巻き起こし、今があるわけです。柳井会長が昔から、「(GAPグループで言えば、)バナナリパブリックの品質で、オールドネイビーの価格を実現し、アメリカのGAPに当たるマーケットポジショニングを抑える」、とおっしゃっているように、GAPをはじめ、海外のSPAの英知を研究し尽くして、上手に日本市場で形にした有言実行力には、敬服します。98年と言えば、GAPの原宿店OPEN直後。上手にGAPのテコの力を利用されたと思います。
 
 バナナリパブリックがOPENする今年の秋、ユニクロがまた仕掛けを考えていると感じざるを得ません。今回のRelax特別編集号は、その序章なのでしょうか。

続きは明日

relax特別編集 IT'S YOUR LIFE アナタはユニクロが嫌いですか
マガジンハウスムック 680円

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April 17, 2005

ダイエー再建に「スーパーの女」の影を見た

 ダイエー再建は日本HPの樋口氏社長(COO)就任でようやく役者がそろった模様です。
 食品スーパーへの特化、店舗別品揃え政策、有力テナント(カテゴリーキラー)、TSUTAYA、マツモトキヨシ、ユニクロなどの誘致、リベート制の見直しによる仕入先の見直し、ITシステムの刷新など、課題がめじろ押しですね。
 課題の中でもっとも重要なものの一つは、社員、現場のモチベーションアップだと思います。
 先日、日経新聞に先に顧問、CEOに就任が決定していた林文子さんのインタービュー記事が出ていたので興味深く読みました。その中で、彼女が何店舗か売場を回ったところ、現場の、多くの女性スタッフが寄ってきて、「私はこうしたらお店がよくなると思いますので検討よろしくお願いします」という懇願を聞くことができたとのことで、これは希望が持てると語っていらっしゃいました。
 この記事を読み終えたあと、伊丹十三監督、宮本伸子主演の映画 「スーパーの女」を思い出しました。この映画は関西スーパーマーケットグループやサミットストアがモデルになったらしいですが、「顧客の立場に立つ」小売業のよきバイブル的映画のひとつだと思います。
 さて、林さんは五郎ちゃん(店長)のモチベーションを上げて成功に導く花子(宮本伸子)になれるか、今後が楽しみです。

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April 15, 2005

日本企業の強みは、社員全員がマーケッター

 「マーチャンダイザー的な考え方ができるファッション好きの集団であり続けたい」
(アースミュージック&エコロジーを展開するクロスカンパニーの石川社長(34)の繊研新聞インタビュー記事から。)

 この言葉を読んで、10年くらい前にあるアメリカのマーケティング学者が言った言葉を思い出しました。
「日本企業がなぜ強く、繁栄できたかというと、それは、(欧米の企業が業務を分業で割り切っているのに対し、日本の会社は、)社員全員がマーケッターの発想で仕事をしているからだ」

 ご存知のように、「マーケティング」という学問はもともとアメリカから来たものですが、
その学者はアメリカ企業の従業員たちは、「社員総マーケッター的な発想」を日本人から学ぶべきであると言っているのです。当時は、わかるような気がしました。でも今の日本企業はどうでしょう?社員一丸となってマーケットを顧客を見つめているでしょうか?

 ファッション業界では、マーチャンダイザー=マーケッターであると思います。確かに、社員全員(経営者はもちろん、生産、販売に携わるブランドに関わる人すべて)がひとつのマーケットに対して、「マーチャンダイザー的な考え方」で仕事ができたら、強いブランド、強い会社ができると共感しました。ファッション企業はマーケッターであるマーチャンダイザーおよびその発想を育成すべきです。
 
 クロスカンパニーに関するコメントは今回で終わりますが、将来楽しみな会社が登場したということで、今後を見守りたい、と思います。

クロスカンパニーHP

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April 14, 2005

人を育てエクセレントカンパニーを目指す

 アースミュージック&エコロジーを展開するクロスカンパニーの石川社長(34)の繊研新聞インタビュー語録から。
「報酬や労働条件を良くするのは会社に愛情を持ってもらうためといいものを身につけて自分を磨いて欲しいから」
 多くのファッション企業経営者に、この言葉を聞いてもらいたいな、と思いました。一般的にファッション小売業の販売員は、決して報酬は高いとは言えず、少ないながらもその中から大好きな服を買いたい、着たいという人が多いものです。そんなスタッフからも社員着用として売上を搾り取ろうというアパレル企業のうわさをまだまだ聞く中で、こういったことを公言して、実行することは立派なことだと思います。

 私の親しいある服飾雑貨メーカーのことを思い出しました。別に高額の商品を扱っている会社ではありません。いつ行ってもスタッフは皆、若く、かっこよく、礼儀正しいのですが、その会社は、スタッフに、いい服、いい時計、いい車、いい家を手に入れることを目標にさせ、がんばった人には、会社がきちっとボーナスで報い、目標を実現させてあげることをポリシーにしております。 役員の方と話していても、「人」を大事にするその姿勢が感じられます。

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April 13, 2005

ファッション商品を売り切る力

 ファッション商品は、ディスプレーに使ったり、店内マネキンに着せたり、販売スタッフが着たりすることによって、売れる確率が高くなるものです。これは、お客さんが商品を選ぶときに、「着たときの自分」を想像しやすい、という心理に基づくものだと思っています。業界では、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)と言います。

 この顧客心理をついて、アースミュージック&エコロジーを展開するクロスカンパニーでは、思ったほど売れない商品がある時に、その商品を売り切るために、ディスプレーをしたり、スタッフが着用したりして、売り切りコンテストを行うそうです。コンテストですから、がんばったお店には報奨金がでます。

 一般的に、ディスプレー推奨商品は、「売れるものをますます売るため」に行われることが多い中で、同社は「売りづらいものを売りやすくするため」に利用しているようです。これは、店の鮮度を落とすリスクがありますが、そこがブランドとスタッフに勢いがあるからこそできるのではないか、と思いました。

 また、ディスプレーがたくさんある時には、実は、数量が少なくなった商品の最後の1枚を処分したい時にも有効なのです。

 マスマーケットではありますが、しまむらが2-3年前からディスプレー(VMD)に力を入れているのは有名な話です。彼らは、安いだけではなく、こういった顧客満足に訴える手法も欠かせないわけですね。

 最近見たTV CMは、一瞬PJ(ピーチジョン)のCMかと思いました。 このあたりが、最近のしまむらとユニクロの株価の違いにでているのではないか、と思います。

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April 12, 2005

ファッション商品の発注管理にどう取り組むか

 トレンド予測が当たったり外れたりすることが、会社の業績を左右することが多いものです。この永遠の課題をアースミュージック&エコロジーを展開するクロスカンパニーの事例で考えてみたい、と思います。
 
 同社は、計画発注は50%で抑える、展示会のよしあしで上下10%までの許容を認める。そして1.トレンド先読み、2.前年の売れ筋の進化版、3.定番 で各1/3づつ、とバランスを基準にしているとのことです。残りの50%は、シーズンイン後、追加や品揃え漏れをクイック生産で調整してゆくわけですね。
 この「1/3づつ」というのは、前のシーズンをきちっと検証していること、ブランドを支持してくれている固定客が何を望んでいるか、をつかんでいなければできないことです。こういった検証と仮説ができるということ、シーズン中に変化に対応できる体制が整っているということですね。
 また、各ブランド、マーチャンダイザー(企画・品揃え責任者)、デザイナー、生産管理 が一人づつしか置かないということで、意思決定の一貫性、スピードアップ、責任の明確化を行っているわけです。
 
 このあたりは理想的な体制ではないかと思います。会社が大きくなっても、意思決定のスピードを重視した、組織単位づくりが大事だと思います。

クロスカンパニーHP
アースミュージック&エコロジーHP

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April 11, 2005

地に足のついたアパレルSPA(製造小売業)企業

 数年前から都心のファッションビルを見ていて、いいブランドだな、と気になっていたブランドがありました。アース・ミュージック・アンド・エコロジーというレディースヤングカジュアルブランドです。とても好感が持てる売り場と商品クオリティ、ネーミングもいいと思います。
 先週、1週間、業界新聞である繊研新聞にこのSHOPを運営するクロスカンパニーについての連載があったので、興味深く読ませてもらいました。
 岡山本社で、卸のほかに、全国30店舗の直営店、最新の決算では約60億円の売上にもなっているのですね。社長は34歳の石川さんという方で、記事を読む限り、商品企画のみならず、在庫管理、広告宣伝、販売促進、人材教育、いずれも、ポリシーが感じられ、久しぶりに地に足の着いた会社だな、と思いました。
もっとも、関心したのは、人を大切にしていることですね。アパレル直営店全店のスタッフは全員社員だそうです。 以下はホームページの採用情報からの引用です。

「新入社員の皆さんには約3ヶ月間、現場で活躍するマネージャーや店長のもと、社会人としての基本的なマナーや心構え、接客、商品の基礎知識、ロールプレイングなどを身に付ける為の研修制度を実施しています。入社前の不安を取り除き、仕事が始められる様に最善をつくしています。」
 
 小売業をやっていると、人件費は、粗利益の1/3は占めるおおきな経費のひとつです。また、出店をしてゆくと「人」が追いつかないため、パートさんを中心に運営されるショップが圧倒的に多いものです。 そこでは常に教育が問題になります。 店舗の末端まで、スタッフがブランドを愛し、正しく顧客に伝えることの難しさは、小売に携わる人はみな感じていると思います。クロスカンパニーも焦らず、しくみを作りながら成長していって欲しいと思います。同社はレディースカジュアルでは、ポイント、ハニーズに続く注目株です。

クロスカンパニーHP
アースミュージックアンドエコロジーHP

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April 10, 2005

ダイエー再生に見る顧客志向人事

 ダイエーのCEOにBMWジャパンの林文子さんを抜擢したのは、とてもよいことと思っています。一昨日も、三洋電機のCEOにも野中ともよさんが社外取締役から昇格されることになりましたが、ともに企業のエンドユーザー、顧客を意識した人選だったと思っています。
 21世紀は、そういった意味で女性や若い経営者を抜擢する企業が増えてくると思います。要は、既存の流通や業界慣習ではなく、顧客の目線で企業戦略を立て、実践できるか?ということだと思います。

 かつて、イトーヨーカ堂のあるお店が、客層が30代のファミリーが多いということで、30代の店長を抜擢し、成功を納めた、という話を聞きました。さらにその人事がすばらしかったと思うのは、その30代の店長が仕事をしやすいように、同店で同時に管理職を若返らせたのです。

 私も昔、大抜擢で、旧勢力と新世代の板ばさみで苦労した経験の持ち主として思います。今回の林さん、野中さんは、顧客の支持を得るでしょう。末端現場の支持も得られるでしょう。しかし、彼女たちを生かすも殺すも、中間管理職に彼女たちが思い切り仕事をする上で理解のある人選をすること次第だと思います。
 
 

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April 08, 2005

堀江スタイルとビジネスファッション考

 ライブドアの堀江社長がどんな時でも、Tシャツにジャケットで登場しますが、旧世代の経営者の人たちが堀江氏の嫌いな理由第一位はダントツでファッション、服装だそうです。
 われわれファッション業界、特にカジュアル系では、ネクタイをしていると嫌がられるので、ノーネクタイ、カジュアルスタイルが基本ですが、その昔、カジュアルフライデーがIT業界から始まったように、IT業界のソフト系の方々もやはり、カジュアルが多いのでしょうか? 
 最近、カジュアル面接なるものが増えているようです。IT業界とアパレル業界が多いようで、企業は、そこからセンス、自分らしさ、個性を見るようで、学生達も反応はいろいろなようです。良いと思いますが、両方そろえないといけないので、洋服代がかさむとか。
 私はアパレル小売チェーンで仕事をしていたときは、ネクタイをした記憶がほとんどありませんでしたが、今でこそファッションとITシステムの架け橋的な仕事をしているので、ジャケットにパリッとしたシャツは着るけれども、ファッション系の人と会うときは、ネクタイをとり、それ以外の人と会うときはネクタイをつける、と使い分けをするのが一般的になりました。会う人に合わせて服装をかえるというのもちょっと面倒ですね。
でも、社会、業界、ビジネス上で外見で人を判断する人たちがそこそこいる以上は、やはり相手に合わせていかなければならないのかな、と考えさせられることがあります。
 「要は、中身」と誰もが言いますが、まだまだ服装にこだわる人が多いようですから。

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April 07, 2005

がんばれ原宿のセレクトショップ

 原宿と言えば、古着SHOP以外にも、セレクトショップ発祥の地として有名です。御三家と言われるのは、ご存知、ビームス、シップス、ユナイテッドアローズ(UA)。 みんなの憧れのブランドショップです。
 しかし、最近はマーケティングやプロモーションは派手になる一方、本来得意の目利きの仕入やさすが、と思わせる何かが弱くなっているのではと思います。
 私が学生時代某セレクトショップにあこがれたのは、目利きのバイヤーが世界中を飛び回って、日本のファッション好きを引きつける新しい商品を探し、提案し続けてくれたからだと思います。その象徴が地球の回りを飛び回るロゴマーク。そして、店員がうんちくや納得できる説明をしてくれたように記憶しています。
 
 なのに、去年起こった原産国表示詐称事件とその対応にはちょっとがっかりしましたね。 イタリア製でなかった、ということにがっかりしたのではありません。 別に、いまどきルーマニア製でもいいじゃないですかって思いました。 10年以上前、私が働いていて会社がイタリアからスポーツウエアを輸入してたころ、よく東欧の商品が混ざってましたね。EUは圏内では、原産国はあんまり問題にされないんですよね。日本やアメリカほど。 
 要は、生地がよくて、イタリアの会社の技術と品質管理のもと、近隣諸国で生産されただけで良質な商品であればいいのでは。イタリアファッション業界の現状を踏まえて、店員が説明してくれれば、お客さんは安心して、信用して買ってくれるのではないかな、と思ったものです。 
 
 一事が万事、今やセレクトショップも商品は輸入業者というか、仕入先任せなんですよね。 
 
 企業規模が拡大して、仕入先と分業しなければならなくなったり、スタッフ教育も追いつかない事情はわかりますが、セレクトショップって何? 「信用」 が彼らの看板だと思います。

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April 06, 2005

原宿人気古着ショップの魅力比較

 今日は汗ばむような天気、仕事の気晴らしにランチがてら明治通りにくりだしました。人気の古着屋をチェック。それぞれの魅力を考えてみました。

 大阪出身 「WE GO」が明治通りと表参道の交差点近くにOPENしたのは、2年くらい前でしょうか。この場所は無印良品、香港のジョルダーノほか、いろいろな有名SHOPが出店しても、全然売れなくて、「鬼門」といわれている場所でした。WE GOはそのジンクスを打ち破り、月商3千万円以上を売り上げていると言われています。SHOPの魅力は、古着屋さんの割には、お店が明るいこと、お店がきれいなこと(磨かれたウッドフローリングときれいなスチール棚が目につきます)。そこに新品商品も上手に混ぜています。 だから古着もなぜか古く安っぽく感じない魔法のようなものを感じます。

 その成功を見て、同じ場所の地下にお店を構えたのは、京都のスピンズを展開するヒューマンフォーラムが運営する「古着屋本舗」。ここの魅力は、WE GOと対極に、工事中の現場のイメージ、タイルをはがしたような壁、床、工事現場にある照明、鉄パイプで作った什器と、ローコストながら、徹底的な統一感のある世界観は、京都のスピンズに共通するところがあります。その世界観がセンスの良さをかもし出しています。

 個人的に一番気に入っているのは、岩手県盛岡発のハンジローです。パレフランスにあったときから注目していましたが、3階4階という高層にあるのに、お客さんが上がってくる理由はSHOPに入った瞬間に理解ができます。ちょっと薄暗くて、妖しいけど、新鮮な提案が随所にあります。また、マネキンによるスタイリング提案がここまで豊富に、また徹底されているSHOPは新品を扱うお店の中でもあまり見たことがありません。古着とオリジナル商品が半々ですが、オリジナルも日本全国で多くても200枚しか流通していない但し書きがついています。デザイン学校の学生さんがデザインしている商品も多いとか。希少性、個性、ここに古着人気のキーワードがありますね。

 「何でも390yen」のサンキューマートが去年原宿に参入した時も業界の話題になりました。390yenとはいえ、雑貨も含めて、限られたお小遣いで宝物探しをしながら目いっぱいおしゃれしようとする子達でエネルギーいっぱい。今は商品回転で持っているようですが、上澄みを取られたあとの商品ロスはどこに行ってしまうのか他人ごとながら心配です。

 いつも思うのですが、以上の古着SHOPに買い物に来ている子達は、一般カジュアル専門店に買いに来ている子達よりもおしゃれに見えるのは、私だけでしょうか?古着人気は価格が安いだけの話ではない。古着SHOPを歩いていると、物まね、没個性、マス生産、販売のファッション業界に突きつけられている「何か」を感じてしかたありません。

原宿人気古着店HPご紹介
★WE GO(大阪発)
★古着屋本舗(京都発 スピンズの一業態)
★ハンジロー(岩手県盛岡発)
★サンキューマート(大阪発 390円均一)

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April 05, 2005

古着ビジネスも鮮度が勝負!~古着流通を考える

 原宿の古着ショップには、主に欧米からの輸入古着が並んでいます。 
日本では今でこそ月に1回古着回収に来ますが、欧米では、古くから流通のシステムが出来上がっています。 欧米の回収はもともと慈善活動の一環で始まったようですが、回収業者がラグと呼ばれる仕分け業者(大きなランドリー工場のようなところ)に販売し、そこでグレード分けがされます。仕分け前か、後か、どのくらい厳しく仕分けしたかで値段がつけられます。多くの古着屋のバイヤーはそういったラグに買い付けに行くわけですね。ですから、出物のタイミングや目利きが大事になります。原価はもともと安いので、粗利率の高いビジネスになります。ここまでは、従来の古着屋さんの買い付け方です。
 
 それに対して、原宿で今、話題の他店舗化している何百何十円の世界の古着屋となると、仕分け前のさらに低コストの商品を一山いくら?で買い付け、自身で仕分けをしているところも少なくなりません。価格勝負ですから、安く買っても仕分けの人件費はそれほどかけられないので、日本でも人件費の安い地域や上海に仕分け物流拠点を持つところも出てきました。 また、こういった買い方をすると、まったく売れないゴミのようなものも仕入れざるを得ないわけですから、どれくらいの商品が生かせて店頭に出せたか、店頭で消化したかにより、利益gどれくらい残るかの勝負になります。
 お客さんも店頭でよいものを選別して、いわゆる上澄みをすくって買いますから、定期的に新しい商品を入れて、売れ残った商品を処分するしくみもつくらないとお店の鮮度が維持できないわけですね。
 
 このあたりが古着ビジネスの簡単なようで、難しいところでしょう。古着屋なんだから、古いのは当たり前ですが、商品そのものは古くても、お店に鮮度がないと、いくら安いからと言ってもお客さんは寄り付きませんからね。

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April 04, 2005

なぜ若者は古着を着るのか?

 私の事務所は、原宿竹下通りのど真ん中にあります。春休み中この界隈は、中学生・高校生を中心にごった返しています。原宿と言えば、もともと古着のメッカですが、特にここ数年で、大型店から超激安SHOPまで古着のいろいろな業態が出揃い、その勢いで有名ブランドショップたちを圧倒しています。
 そんなSHOPに、たまに、気晴らしに元気をもらいに行きますが、昔、下北沢や高円寺に通った「古着屋」の「いかにも古着」のイメージではなく、若者達がワクワクするような雰囲気づくりがそこにあります。 試着を繰り返し、買い物かごをいっぱいにしている学生さんたちの気持ちがわかるような気がします。

 なぜ、彼ら彼女らは古着を買うのか、雑談してみました。
1.安い! 390円、500円、990円といった価格から3900円くらいまでが中心
2.個性的! 基本的に一点ものです。
3.意外とおしゃれ! レトロでおしゃれな掘り出し物があります。
 
 古着と言っても、リーバイス501やチャンピオンのトレーナーだけでなく、今のファッショントレンドにあったパーツを世界中から集めて品揃えしてあるので、変な話ですが、今、一番新しいものを見つけたければ古着屋に行け!かもしれません。豪華なブランドものとベーシックなユニクロとスパイスの古着を上手にコーディネートしている子たちを見かけます。
 実は、古着屋でサンプル購入するデザイナーも増えています。業界関係者としては、ちょっと複雑な思いがしますが。

原宿人気古着店HPご紹介
★ハンジロー(岩手県盛岡発)
★古着屋本舗(京都発 スピンズの一業態)
★WE GO(大阪発)
★サンキューマート(大阪発 390円均一)

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April 03, 2005

顧客満足を実現するQRを妨げるもの

 今週はアパレル業界のQR(クイックレスポンス)について綴ってきました。
 これをきっかけに、業界のいろいろな方ともお話しましたが、やはり、生産側からすると、QRを実現するインフラは整っていると実感しました。 むしろ、何をQRするかの意思決定をするのに、小売最前線に問題があるとの指摘が多かったです。 つまり、顧客需要にあわせて、予測して何を売るか?が、ほんとにわかっているのか?という疑問です。それを打ち合わせせず、「売れ筋をもってこい」、の話に商談が終始しているのではないか、だから店頭商品が同質化し、お客さんにすぐに飽きられてしまうのではないか、と思うのです。
 
 ファッションアパレル業界に限らず、業界の中でもっとも利益を生む情報は、小売業とエンドユーザー(消費者)との接点にあります。つまり店頭の状況と店頭販売情報です。 ここで小売サイドのリーダーシップが発揮できなければ、サプライチェーン、ひいては業界総崩れとなるわけです。
 特に百貨店系は深刻な話を聞きます。 委託販売、派遣社員を送り込んでいるアパレルの方も販売・在庫情報が取れない、取らせてもらいえない、百貨店自身も取っていない、という状況も少なくないようです。 百貨店のバイヤーがスーツの売れ筋傾向をつかむのに、手書きの補正伝票(寸法直しを管理する複写伝票)を一枚づつめくっているという話には、ちょっとビックリしたものです。
 
 情報システムとマーケットリサーチと仮説で成功している企業の事例をいくつかご紹介しました。
成功している企業の共通点は、
1. 情報を正しく捉えること、
2. お客さんを飽きさせないこと、
3. 仮説をたててスピード行動すること、
4. ブレが発生したらスピード修正すること
を実践し、リーダーシップをもって顧客満足と企業収益を実現していることです。

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April 01, 2005

本格的QRを実践する日本のアパレルSPA(製造小売業)

 15年前に書かれた 「リミテッド社はなぜ世界最大になれたか」 はユニクロ、しまむらといった超優良企業のビジネスモデルで参考にされてきました。 しかし、この手法で今、最も板についたオペレーションを実践しているのは「ハニーズ」だと思います。東京23区の人にはあまりなじみのない企業ですが、昨年ジャスダクに上場し、年間で100店舗近くを出店するという、レディースカジュアルファッションでは、最も勢いのある会社です。

 同社はヤングレディースの今流行のカジュアルファッションを平均1900円で販売する、仕入れと自社企画製造を組み合わせたチェーン店ですが、自社企画も60%はあるということですからSPA企業と言ってよいと思います。
 毎週、販売データ分析、店頭の意見、原宿と渋谷での定点観測を総合させて、売れる商品の仮説を立て、その週の週末までに中国の工場に発注をかけるのを週間業務にしています。それをサポートするQR生産システムは、国内自社工場、提携取引アパレル、中国工場との直接商談(オペレーションは商社が代行していますが)と考えられるすべての方法論を駆使しています。
 一回投入した商品はまったく同じ形では追加をかけるということもしないようです。売れる要素を分析してちょっと違う商品を発注かけるので、毎週新しい商品が入荷するわけです。お店による売上のばらつきは店間移動で解消しています。
 これもお客さんのことを考えていますね。ハニーズの売り場に行くといつも10代の女の子が楽しそうにどれにしようか、と選んでいる姿を目にします。

 ハニーズは立派な21世紀型デマンドチェーン経営実践企業だと思います。

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