小売業の責任とは~原産国表示問題を例に
前にもブログで触れましたが、繊維商社Yがイタリア製ということで輸入・販売したスラックスが、実はルーマニア製であり、セレクトショップW社、BM社、BC社、U社などが正しい原産国の表示をしなかったという理由で公正取引委員会から排除勧告を受けた問題の各社の対応について。
以前読んだ新聞記事によると、U社は発注から納品の間に、バイヤーが仕入先に対し、「原産国はどこか?」を2回問いただし、確認した日付を入力しなければ商品が仕入られないようにわざわざ商品登録システムの仕様を変更しました。BC社は発注したバイヤーは「できる限り」工場を訪問することを義務付けています。
また、今日の業界新聞では、WR社は、輸入した商社とそれを仕入れた小売が同じ罰を受けるのは、納得行かない(輸入業者が悪い、買って販売した小売は善意の第三者だ)、と反論しており、仕入先に対し、「原産国表示責任は納品業者OO商事にある」という内容の特別タグをつけてW社に商品を納品するように義務付けたとのこと。
これらの対応を聞いて、「小売業の責任」を当のセレクトショップ=小売業はどのように考えているのか、疑問に思ってしまいました。
かつて、ブランドのニセモノ商品をめぐり、有名小売チェーンが裁かれた判決がありました。このときの最高裁の最終判決は仕入れ業者の言葉を鵜呑みにした小売業には確認の注意義務を怠った責任があるとして、ニセモノとわかって納品した輸入業者と騙されたとする小売販売業者は同罪になったのです。
ニセモノと原産国詐称では、罪の重さは違うにしても小売業は一般消費者のお客さんに対し、どんな理由があろうと、販売責任があるということを肝に銘じ名ければなりません。そして、仕入れ先に責任を押し付けるよりも、私たちは注意しています、というポーズをとるよりも、お客さんから信用され続けるために、本質を理解して、行動する「人」を育てなければならないと思うのです。
| Permalink | 0
Comments