匠(たくみ)の技が奪われる
マガジンハウスムック「アナタはユニクロが嫌いですか」、にもユニクロの品質を支える手段として、「匠の技」のコーナーがあります。日本のアパレル生産技術を支えた人たちを、再雇用して中国工場の技術向上のために派遣、駐在させ、活用し、それを品質の象徴としたのはユニクロのマーケティングのうまさの一つです。
中国で大量生産することによって高品質のものを安価で提供するビジネスモデルをすべての業界に置き換えても「ユニクロ的」と言わしめた功績はやっぱり、トヨタ並みにすごいことだと思いますね。
しかし、今、需要予測によるサプライチェーン、匠の技による品質を確立したユニクロですら、一つの「チャイナショック」を思い知らされているはずだと思います。それは、欧米が輸入クオ-タという中国などからの輸入制限枠を撤廃したこと。ユニクロが匠の技で中国工場に蓄積されたノウハウが今、欧米向けに流出している話です。今年の1―3月の統計だけではありますが、中国の欧米向け輸出は前年比160%。ユニクロ向けを中心に、品質の要求度の高い環境で鍛えられた中国工場が、オーダー数が多く、値段相応で、日本ほど品質にうるさくない欧米企業に目が向いているわけです。日本向け夏物以降の日本向け生産に大きな影響がでているのを各所で聞きます。
今後もこの懸念は増すでしょう。
これからユニクロはじめ日本企業が、どのように、中国企業と向き合うか?教科書問題の裏で起こっている日中問題の一つです。
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Comments
なるほど、業界内部の方にしか分からない事情ですね、参考にさせて頂きます。
中国での生産は既にコモディティ化していますので、それを乗り越えるアイディアや技術を生み出さないと立ち行かなくなるのでしょうね。
成功例としてユニクロとニトリになるのでしょうが、時節柄、両社には厳しい環境かなとも思います、同時に中国リスクを乗り越えられるのもユニクロとニトリ意外にはないのかなとも感じています。
Posted by: まむし | April 23, 2005 09:41 PM
コメントありがとうございます。
そうですね。ニトリは都心に少ないのであまり目立ちませんが、業界はホームファッション、と違うものの、ユニクロより進んでいるSPA(製造小売業)といえます。協力工場のライン契約だけでなく、先だってベトナムに自社工場をもったとのことですし。
やはり、消費者購買動向情報をコントロールできる小売企業がサプライチェーンを再編してゆく(デマンドチェーン経営)姿が21世紀型繁栄のキーだと思います。
Posted by: taka | April 24, 2005 08:10 AM
こんにちは、
チャイナショックでググッたらここにたどり着きました。
最近はどこの衣料関連店にいってもメイドインチャイナしか
見つからないようなきがします。安いところしか買い物に
行かないのが原因かもしれませんが・・・
興味を引かれる面白い記事が多いですね^^
Posted by: かぼちゃ魔法師 | June 20, 2005 11:37 AM
こんんちわ。初めまして。私は今中国にいるのですが、ニトリって凄いですよね。インテリアなんかも安いし、普通の食器屋さんで買ったら凄い値段しそうな食器までもすっごい安いですもんね。一体、上海のの何処に工場を置いてるんですかね?すいません、変な質問をしてしまって。
何か、他にはないブログなのでまた寄らせていただきます。
Posted by: たーくん | January 19, 2007 03:30 AM
たーくん様
コメントありがとうございました。
ニトリさんは具体的にどこの工場で作っているのでしょうね。
ニトリの似鳥社長は、何十年も前から、大企業になった今でも毎年欠かさず、広州交易会(中国最大の見本市;どんな業種の方も中国から開発輸入を始めるときには、必ず行くところ)にいって、優良新規委託メーカーを開拓していらっしゃるという話を聞きます。初心忘れるべからず、ということですね。
トップ自らのその姿勢は尊敬に値します。
では、またお寄りください。これからもよろしくお願いします。
Posted by: taka | January 20, 2007 05:20 PM