セシルマクビーの勢いと今後の課題
今週、業界の繊研新聞に、快進撃を続けるレディースブランド、セシルマクビーの取材記事が連載されていました。 評判的にも、売場に行っても、ブームを超越して、いつもすごさを感じていたので、興味深く読ませてもらいました。
ご存知のように、同ブランドは、レディースの老舗企業のデリカが1987年から展開するSPA(製造小売型)ブランドで、かつて渋谷109ブームに乗って、韓国市場でのクイックデリバリーのモノづくりで名を馳せたブランド群の勝ち残り組の一社。引き続き、もっとも激戦のヤングレディース界で常に売上的にもトレンド的にもリーディングブランドの地位を維持しています。
数値的に見ると、2001年に32店舗で100億円の大台を越え、2005年に36店舗で166億の年商と、店舗を拡大せず、増床もせず、1店舗あたりの売上を1.5倍にした計算です。
代表的な渋谷109の売上は、約65坪で年商14億(月坪184万円)売るそうで、5年間連続109の一番店の座を維持しています。
これだけ業界をリードし、消費者からも業界からも「すごいブランド」と注目されていて、4年間で4店舗しか出店せず、一店舗あたりの売上を1.5倍とした同社のやり方は、ある意味、堅実性を感じます。
オペレーションを見ると、キーパーソンの常務さんと、洋服で2人、雑貨で2人のターゲット客層に年齢が近い企画仕入担当の計5人が、アイテムごとに専業メーカー各4―5社、合計30―40社の専任担当者の協力を得て企画を考え、生産を回しているから、とても効率がいいと言えます。
週単位の発注、2-3週間以内での生産ということで、特に、新作は、金曜日に投入、土日の反応だけで、キーパーソンの常務さんが追加生産の判断をするそうです。
記事を通して、感じたのは、お客さんと企画生産現場の距離を短くして、少数精鋭できるだけ早く回そうとしている、そうするためには、どうしたらよいかの人海戦術的なオペレーションでした。
正直、まだ「しくみ」とは言えないし、同社も、現場の販売・作業人員の育成や、本部、店舗のオペレーションの整備を追っかけで今後の課題として取り組みはじめているようです。
しかしながら、一般的に、業界では、多くの企業が時間をかけて作り手側の発想をこねくりまわすやり方が圧倒的に多い中で、同ブランドは、お客さんと企画生産の距離を短くして考え、そこにスピードを求める根本的な発想に、成功の秘訣を感じました。
店舗をチェーン化していると、30店舗から50店舗へのハードルがもっともきついと言います。それは、「ヒトからしくみへ」の転換なのではないか、と言われています。それがわかっているからこそ、同社も同規模での売上増に固執したのかもしれません。
セシルが今のよさを活かしながら、今後どのように成長されるか、楽しみです。
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