アメリカ「価格最適化システム」に見る日米値下政策の違い
7月18日付けの日経MJ一面は、アメリカマサチューセッツ州、プロフィットロジック(PL)社の価格最適化システムの事例紹介でした。
日本でもアパレル商品の売り切りのための値下のタイミングはビジネス永遠の課題です。同社のシステムは、
①値下の最大回数
②初回値引き率
③期間内最大値引率
④商品の完売、なおかつ売上粗利の最大化
などと単品ごとに諸条件の事前入力の上で、値下のタイミングと最適な値下幅を警告してくれるらしいです。
日本でもアバクロと並んでブランドマニアに人気のあるアメリカのヤングカジュアルSPAチェーン、アメリカンイーグルアウトフィッターズ(AE社)は、PL社のこのシステムを使って4半期ベースではありますが、既存店売上28%増、粗利率を10.5%も上げたというからたいしたもの。
このシステムの初期導入費は2億―3億円、事前に入力する緻密なデータの収集が必要で、なおかつ、AE社は60人のスタッフをこの価格化システムの運用に当てているとのこと。これもまた大変な騒ぎ。
日本は、返品慣習があるため、導入機運は低い、と記事のコメントはありますが、それ以外にもアメリカと日本のビジネスの違いは大きいものがあります。
アメリカは
1.発注精度の低さ(そもそも値下や残在庫によるクローズアウトを前提としている)、
2.リードタイムの長さ(今年撤廃されましたが輸入クオタにより原産国が世界各国に分散)、
3.国土の広さ(言うまでもありません)、
4.東西南北で全く違う気候(北東のメイン州と南西のカリフォルニア州の気温はどれくらいちがうか?)
などが挙げられます。
日本はその逆です。値下管理、在庫で定評のあるしまむらは、日本全国920店舗とアメリカのナショナルチェーン並の店舗数を持ちますが、発注制度は高く、同じ商品を追いかけず、新しい商品を次々と投入、売れない店から売れる店への店間移動、早期値下ポリシーで年間平均値下率5%前後で商品を売り切ります。
そもそも値下を前提としたファッションビジネスは日本では時代遅れになってきているような気がします。初回配分後、売り切り、新しいものを投入する。いつ行っても新鮮なお店。 しまむら、ポイント、ハニーズ、セシルマクビーがその典型ですし、また、海外SPAでもZARA、H&M(50%台)とGAP、LIMITED(30%台)の粗利率の差だと思います。
ハイエンドだろうが、ボリュームだろうが、ファッションストアは鮮度を売らないといけませんぞ。
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