ユニクロ売上高1兆円戦略を探る
8月7日付 日経新聞企業欄にファーストリテイリングの柳井会長のインタビュー記事から。
2010年、1兆円戦略の内訳としては、6000億円を国内のユニクロ事業で、海外事業は一カ国あたり1000億円程度は取っていく、また、国内関連事業(M&A含む)でも1000億円単位のビジネスを2-3は作る必要がある、とのこと。
記事の中で、社長に復帰するにあたっての柳井会長の抱負で、もっとも興味深かったのは、次の一文でした。
「衣料品の製造小売業には第一世代、と第二世代があると考えている。第一世代は一年半前から商品を準備しておき、(春夏、秋冬の)シーズンごとに売る。第二世代はファッションの情報を素早くつかみ、月ごとに商品を入れ替える。ユニクロは早く第二世代に変わらなければならない」
実際、ファッション業界の多くは、今でも春夏、秋冬の大きな2つのシーズンで考えている企業が圧倒的に多いです。欧米のコレクションを典型とする、展示会ビジネスがこのサイクルです。ユニクロもリスクを張った計画的な大量生産で良質な商品を低コストで供給するビジネスモデルとして知られています。
私なりに言い換えると、第一世代は創り手側(サプライサイド)の発想を持つ企業、第二世代は生活者側(ディマンドサイド)の発想を持つ企業。前者の発想、オペレーションのサイクルはシーズン、後者は「週」と極めて大きな違いがあります。後者は、スピードを重視するため、品質と経費を犠牲にしていると言う指摘もありますが、あくまでも生活者が答えを出すだけです。
モノに満たされた21世紀は、生活者の動向、マーケットの変化に柔軟に対応するディマンドサイドの発想、ディマンドチェーンオペレーションでなければならないのは言うまでもありません。
ユニクロが目標とする世界の大手SPA(製造小売業)の中でも、ユニクロがお手本にしたGAPやLIMITEDは第一世代、ZARA(ザラ)やH&M(エッチアンドエム)は第二世代といえるでしょう。ファッションリスクを負う分、的中率が高い後者の方が前者より粗利率、営業利益率が高いのも事実です。ちなみに規模は違いますが、日本で近いオペレーションをしているのはヤングカジュアルのハニーズ(東証一部)です。
柳井社長は、比較的ファッション性の高い商品を念頭において話していますが、ユニクロのマーケットポジショニングが極めて明確な今、ベーシックとファッションを同じ屋号で行う危険性も否めません。かといって、ZARA、H&Mに太刀打ちできるSPAを運営する力を日本でダントツに持っているのもユニクロであることも事実です。
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