アメリカンアパレルが投じる一石
先週、アメリカの新興ベーシックカットソー(Tシャツなどジャージーアイテム)メーカー、アメリカンアパレルの1号店が代官山と渋谷の間にオープンしたので、仕事の合間に覗いて来ました。ベーシック素材・アイテムながら、レディース中心(70%)、メンズ、キッズ、ドッグを入れて60種類程度のアイテムと30色のカラーは華やかでした。
同社は90年代の後半にロサンゼルスを本拠として設立された会社で、ヘインズ、アンビル、フルーツ・オブ・ザ・ルームなど大手の多い無地のプリントボディー用カットソーメーカーとしては、後発ではありますが、明確なポリシーをもって、世界最大のファッショントレードショーMAGICで鮮烈にデビューをしたのを覚えています。
まず、多くのアメリカのアパレルメーカーが、海外の人件費の安い縫製工場で、彼らいわく「搾取構造」の中で作られているのに対し、アメリカ国内の自社工場100%=MADE IN USAにこだわっていること。当時、アジアのスウェットショップ(=強制労働工場)で生産をしていたということが発覚して不買運動を起こされた有名メーカーがいくつかありましたね。
また、LAダウンタウンの縫製工場というと、アジア系、ヒスパニック系の不法入国者を低賃金で使っていて、安いが品質がいまひとつという印象、実態が多い中、全社員に対して、法定最低賃金の2倍の給料(時給12ドル以上)と福利厚生を施していることをアピールしていること。
年間ベーシックアイテムではあるけれども、大手Tシャツメーカーよりレディースアイテムが充実しており、そのデザイン(カット)やフィットが斬新であること。
そして、ちょっとエロチックだけどスタイリッシュなビジュアルカタログ。
日本でも、MADE IN USAで、シルエットがいい、安い、ということで、数年前から定番商品の品揃えとして専門店筋に人気があり、今年、満を持しての日本進出というわけですね。
無地でベーシックアイテムなので、ぱっと見、あまりインパクトはありませんが、業界的には、先にワールドがはじめたベーシックインナーアイテムのSHOP「ベース・ステーション」とあわせて、興味深い出店のタイミングだと思っています。
なぜならば、日本でベーシックアイテムといえば、「ユニクロ」ですが、新聞紙上をにぎわしているユニクロのこれからの成長戦略はファッション性の追求。築き上げた「ベーシックアパレル」のポジショニングをリスクをかけて自ら崩してゆくのか?というのがもっぱらの業界のささやき。
それに対して、ワールドやアメリカンアパレルがベーシックアイテムのコアのコアである、無地のインナー的アイテムで多店舗化を狙っている。そして、ピーチジョンやトリンプなどの活躍で、「魅せるインナー」の市民権も拡大が拡大し、インナーとアパレルの垣根も崩れ始めている昨今。この女性にとっても、男性にとっても、インナーアイテムの革新、再編、確立はマーケットの大きな流れを作ってゆくような気がしてなりません。
アメリカンアパレルHP(日本語版)
お知らせ:このブログが学研ムック「最新人気ブログランキング200」(9月16日発売;830円)で紹介されました!
カテゴリ別ランキング第5位(69P掲載)。これも皆様のおかげです。
ご興味、共感いただきましたら、今日も一票、クリックで応援よろしくお願いします。
人気blogランキングに参加しています。
| Permalink | 0 | Comments (1) | TrackBack (4)