「流通革命は永遠に続く」ダイエー創業者中内功氏死去
日本流通業の父(渥美俊一先生は母と言っていましたが)といっても過言ではない、ダイエー創業者の中内功氏が19日脳梗塞で亡くなり(享年83才)、今日の日経新聞の関連記事を日本の流通業界の歴史をたどるような気持ちで隅々まで読んでいました。
戦後、イオンの岡田会長、イトーヨーカ堂の伊藤名誉会長らとともに、渥美先生主催の勉強会でアメリカのチェーンストアを研究し、日本の高度経済成長期に、メーカーと闘いながら、大衆に「安売り」を提供して生活を豊かにした。日本の小売業発展における彼らの功績は計り知れないな、とあらためて思いました。中内氏は、その後の拡大路線、不動産投資の失敗の中でいろいろな独裁批判的なことはあるかとは思いますが、ひとつの時代を築き、後世に影響を与えた点は間違いないと思い、敬意を表します。
11面に「中内語録でたどるダイエーの歩み」というコーナーがあり、印象に残った言葉をいくつか。
◆「生産者による一方的な流通支配をはね返し、消費者に価格主導権を確立する」(1967年日本チェーンストア協会設立時)
◆「これが終点ではない、単なる一里塚」(1980年、小売業初の売上1兆円を突破して)
◆「作り手側の論理でモノを作っても売れなくなっている。メーカーの時代は終わった」(1992年、同氏が設立した流通科学大学の講義で)
◆「量より質の時代というが、資本主義経済でやはり量が決定権を持つ」(1994年、忠実屋買収時)
◆「~流通革命は永遠に続く」(2001年、責任をとった退任会見にて)
メディアは、ダイエー(=同氏)が、その後のバブル崩壊、成熟社会に変化対応ができなかったことを指摘します。確かに、その後の発言の中にも成功体験的に量や安さや売上だけを追い続ける発言や逸話がいくつもあります。また、流通の主役もすでに、第三世代くらいに交代していると思います。
しかし、同氏は、志半ばでダイエーを退任した後も、自身が設立した流通科学大学で生徒たちに「流通革命」を唱え続けていたとのことです。
時代が変わって、ステージが変わって、また、新しい「流通革命」の担い手たちが登場する。その革命、チャレンジには終わりがない。これは、小売業の宿命であるとともに面白いところですね。諸先輩方の遺志を継いだ多くのチャレンジャーたちがこれからも、時代に合わせて、小売流通を顧客最適に、そしてエキサイティングにしてゆくでしょう。
末筆ながら中内功氏のご冥福をお祈りいたします。
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Comments
takaさま、こんばんは。初めまして!
この度はトラックバック頂き、誠に有難うございました。
ブログやHPを少しだけ拝見させて頂きましたが、素晴らしいの一言です。私たちの見えにくい商品をキッチリ『形』にして表現されておられる点、大変勉強になりました。
また、見識深い論評にも感服です。(*^_^*)
更に!真っ黒に日焼けしたフェイスがいいです!
今後とも、大いに参考にさせて頂きます。よろしくお願い申し上げます。m(__)m
Posted by: PI!PIKACHU | September 22, 2005 12:59 AM