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September 13, 2005

流通段階と仕事の発想、サイクルの違い

 今日は、日ごろ仕事をしていて感じることをひとつ・・・

 昨夜は商社勤務時代の先輩、同期、後輩と食事をしました。先輩と後輩は今も同じ会社に勤めています。昔話に花が咲き、今のそれぞれの仕事の話にもおよびました。
 そうすると、以前は席を並べて、同じことを考え仕事をしていた仲間とも、かたや原料供給(川上)よりの部署に移られた先輩、かたや製品小売(川下)の世界に飛び込んだ自分では、同じ業界でも仕事のやり方や思考回路がはっきり違っていることに気づかされました。

 私の経歴の話になりますが、商社時代、海外生産とブランドアパレル会社の立ち上げなどを経験させていただき、その後、思うところあって退職、アメリカのファッション輸出企業(小売チェーン向け)、帰国後、ファッション小売チェーンと転職をし、昨年、独立をいたしました。バブル崩壊後、川上で在庫とクレームに苦しみ、何とか、もっと最終消費者(生活者)により近いところで、お客さんが、どんな瞬間に本当にお財布のひもを緩めるのかを肌で感じながら仕事をしようと考えていた数年間、仕事のやり方にどんな変化があったかなあ。 昔の同僚たちとの宴は、ふとそんなことを考えるきっかけになりました。

 思えば、商社時代は年間あるいは半期予算達成のため、卸をしている時はシーズンおよび月予算達成のため、小売の時は週予算達成のために仕事をしていました。予算達成のための仕込み期間はそれぞれ1年前、半年前、1-2ヶ月前です。さらに、小売の店頭となると、一週間を平日、土日に分けて、毎日の予算達成のためにどうやってスタッフモチベーションアップをサポートできるか、が小売業の本部員仕事のひとつでした。そして、店舗のスタッフたちは日々時間帯別に工夫をこらす。
 生活者に近づくにつれて、仕事のサイクルが短くなり、変化に対してスピードが要求されるようになって行く、というわけです。

 ファッション流通もアパレルが小売を始め、小売が独自に、あるいは商社と組んでいわゆるSPA(製造小売業)を行うことが、仁義なき戦い、生き残りのための条件の一つになりつつあります。
 しかし、形だけSPA=小売業であっても、仕事のやり方が従来の「シーズン」であるアパレルSPA企業もまだまだ少なくないようです。もし、そんな企業が今でも売れているなら、発想と業務を「週」単位に変えたらもっとお客さんに近づけて、支持されて、儲かるだろうに、と思うことがあります。なぜならそれが作り手側の発想から、顧客の立場に近づく第一歩に他ならないと思うからです。

 先日、株式非公開化を決めたワールドは、92年に小売に参入し、早くから「週」単位の業務を身につけて成功したアパレルSPAの好例です。ユニクロの柳井さんも、サプライサイドの発想、「シーズン」から、ディマンドサイドの発想=「週」への発想転換にすべく危機感をあらわにしています。
 
 そんなスピード時代に、流通段階各ある中で、小売業の役割ってなんだろう、と考えます。より生活者に近いところにいる小売業がリーダーシップをもってマーケットの変化の情報をよりスピーディに、的確にサプライチェーンに流すこと・・・それが時代を生き抜く企業、チームのあり方なんだろうな、とあらためて考えさせられました。

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Comments

こんにちわ

最近、仕事から帰ると「月10万円で生活できる」類いのTV番組をよく見かけます。以前には切り詰めた生活を1ヶ月間幾らで過ごせるかタレントが競っていた番組もあったようですが、これら貧乏自慢は昨今の流行なのでしょうか?

何やら国民の所得格差が広がる日本の近未来を予見した番組制作なのか、それとも、徐々にでも国民の間にそういった生活を受け入れさせようとするための政治的意図のプロパガンダなのか、疑うときりがないのですが、そうなると日本にも本格的なDSが必要になってくるのかなとも感じますね。

いや、コメント読んでて、ふとウォルマートが頭に浮かんだもので(笑)

Posted by: まむし | September 14, 2005 12:36 PM

まむしさん

コメントありがとうございます。
世の中、価格が下がるスピード、ファッションが陳腐化するスピード、サービス水準が高まるスピード・・・競争、情報化によって顧客の期待はどんどん高まって行く、それに、外資の参入がさらに輪をかける。記事を書いていて思うのですが、現実とは言え、どこまで行くのか心配になることもあります。

ではまた、よろしくお願いします。

Posted by: taka | September 14, 2005 05:03 PM

同じ業界人として拝見させて頂きました。
良く勉強及び研究されておりますね。

長文になるので端的に申しますと現在のアパレル/小売業界にはプロフェッショナルが少なくなっているような気がします。

モノ作りを知らないデザイナーや流行、ファッションそのものやトレンドに対しての勉強不足のMD等々.............

組織に属していると考える事なく、出された指示に従い業務を遂行する事が優先になり、苦しくなる程まで自分の頭で熟考して仕事を創造する機会も少なくなる気がします。

単なるサラリーマンではなく、会社の中にいる「プロフェッショナル」であって欲しいものですね。

Posted by: 桑田 | October 05, 2005 04:18 PM

桑田様

貴重なコメントありがとうございました。

最近は、各種雑誌の内容も本格的なものになり、インターネットがあれば世界の裏側からも商品が買えてしまう時代になりました。プロであるはずの業界人よりも、生活者の方が情報を持っていたりします。

そうですね、まずは、われわれ自身が「シビアな生活者」であること、それが顧客に応えられるプロフェッショナルになる第一歩だと思っています。

業界の方にも、もっともっと読んでいただいて、コメントを頂ければ、と思う今日この頃です。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

Posted by: taka | October 05, 2005 07:23 PM

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