本日に日経新聞によると、ファーストリテイリングは、「ユニクロ」よりも安い第2の主力ブランドの開発に着手し、来秋からダイエーの主力店舗内で販売を始めるとのことです。
この記事を読んでいくつか思ったことは、
・第三世代SPAと言いながら、やはりユニクロは、GAPの「松竹梅戦略」を
ベンチマークして成長戦略をはかるのだなあ。
・都心部へ攻め込むことを表明した「しまむら」に対する対抗策でもあるんだなあ。
・そういえば、2001年ごろ、ダイエーがユニクロを徹底的に模倣して、
係争にもなった業態「PAS」ってどうなったんでろう。
です。
日経の関連記事にもあるように、世界最大のSPAグループ、GAPはその低価格ブランド業態として、1994年にOLD NAVY(オールドネイビー)を開発。また、買収してサファリ&トラベルテイストブランドであったバナナリパブリックの路線変更を行い、
松 プレステージライン-バナリパ
竹 レギュラーライン-GAP
梅 ディスカウントライン-OLD NAVY
と見事な住み分け、GAPの価値を高めながら、それぞれをポジショニングをすることに成功したことが、LIMITEDグループを突き放して世界最大になった原動力でありました。 OLD NAVYは、すでに、GAP本体と同じく日本円で7000億円になっているようです。
OLD NAVY ホームページ
柳井会長のポリシーは、昔から、「ユニクロは、GAPグループで言えば、OLD NAVYの価格でバナナリパブリックのクオリティーを実現する」でしたから、今回の報道の戦略は予想できた話ですね。
しかし、アメリカにおけるGAPのOLD NAVYと今回のユニクロの戦略の勝手が違う点は、アメリカには、GAPですら高くて買えない低所得層が大きく存在していたことが挙げられます。 また、OLD NAVYは、GAPよりベーシックで、安くて、クオリティーは落ちるけれども、レトロアメリカンPOPな「世界観」を持った内外装、VMD、BGM、ブランドイメージの構築といったカルチャー提案の側面が生活者の購買意欲をくすぐり、成功につながったと思います。
日本では、1億総中流階級と言われるように、ユニクロは既に総国民をカバーしてしまっていることが課題であり、変に切り分け、住み分けをすると二兎を追うもの一兎をも得ずになりかねないと思うのでちょっと心配です。
今回、この第二のブランド開発にあたり、メーカーからの仕入も視野に入れているとのことですが、これは、しまむらへの牽制の意味があるのでしょうか。しまむらだけでなく、しまむらのカジュアル業態アベイル(別会社にしています)、は、発足当時、店作りについては、OLD NAVYをベンチマークした業態であることは有名な話ですが、メーカー仕入のみで、トレンドを上手に整理したMD、選びやすい店作りで、いよいよ成長軌道に乗ってきました。現在は、郊外路面店への出店が中心ですが、しまむら本体同様、都心部に攻め込んでくる可能性は十分にあります。
それとも、かつて係争にまでなって問題になったダイエー内のユニクロのコピー業態「PAS」(翌年和解したようです)が今でも26店舗あるようなので、この業態に入れ替わって既存取引先との取引を継続する密約があるのか。はたまた、ユニクロの基礎を作った時に、岐阜、大阪、福岡などの低価格ながら、クオリティーの高い量販店向けメーカーの力を大いに借りたように、第二の創業として、また、彼らと組み直すのか?
今回の報道からは、いろいろ憶測はおよびますが、ユニクロは、業界を見渡しても、ダイエーの衣料部門再生で大きな役割を果たせる最右翼でしょうし、ユニクロの成長戦略にあたっては、GAPグループのベンチマークが王道でありましょう。
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