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October 02, 2005

ライトオンの「売れる仕組み」

 今月の日経情報ストラテジーというちょっとお堅い専門誌、郊外SCで活躍中のジーンズカジュアルチェーン最大手ライトオンの記事からです。

 東証一部上場の同社の8月決算は、ジーンズカジュアルチェーンが軒並み苦戦する中で、1人勝ちをおさめ、既存店売上前年対比104%、経常利益率10%超、過去最高益は間違いない模様です。その原動力=同社いわく「売れる仕組み」、この「仕組み」は前期のIR決算報告で説明されているものと同じですが、同誌では、その内容が社長や社員の言葉を借りてわかりやすく掲載されていました。

 「販売力の強化」「販売機会損失の削減」の2つ。
 業界では極めて単純な、あたりまえなキーワードですが、同社は掛け声だけではなく、シンプルにそして緻密に実行しています。

 一つ目の「販売力の強化」については、300店舗超の実際顧客に接している店舗スタッフをシーズン前の商品企画選定段階から参加させ、シーズン中でも、店舗の意見で商品政策の軌道修正を行なう、意思決定にスピードを持たせる体制を引いているようです。そして、企画段階から商品知識を得たFA(ファッションアドバイザー)たちがジーンズの販売点数コンテストを毎週行っており、毎週個人ランキングがイントラネットで発表されるもので、上位入賞者は海外研修やメーカーからの商品プレゼントなどで報奨される仕組みです。 

 二つ目の「販売機会損失の削減」については、メーカーの協力を得て、商品をライトオン社契約の物流センターに一定量備蓄し、毎日、売れた商品、色、サイズが、翌日には店舗に届く、という「デイリーデリバリー」という体制を敷いています。
 通常、業界では、1週間に1回もしくは、多くて2回の納品が一般的ですが、ジーンズのようなサイズの多い商品は無制限に店頭に在庫を置けないため、見込みで発注していても、週の中ごろまたは、週末までにサイズ切れを起す可能性が高い商品群です。皆さんも欲しいジーンズのサイズ切れを何度かご経験ではないでしょうか?店舗の在庫を必要最低限に抑え(=店舗作業の軽減)、販売機会損失も極限まで無くす(=顧客満足)のがこのデイリーデリバリーです。ある意味、ファッション業界のジャストインタイム、カンバン方式ですね。

 要は、言葉だけ「店頭起点」、「顧客主義」と言う企業が多い中で、このように、販売員に売れ売れというだけでなく、接客しても恥じない、お客さんに喜んでいただける商品知識をスタッフに伝えていますか?せっかくご来店いただいたお客さんの期待に応えるべく、売れ筋を切らさないようにどんな努力をしていますか?ライトオンの取り組み、業績は、そんな、あたりまえだけど、実践されていない、非常にシンプルな企業の基本的な努力の積み重ねから来ています。 

 同社はこういった仕組みの更なるブラッシュアップのために、ここ3年間で30億円のIT投資を計画しています。 

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