アパレル中国生産に異変あり?
ここのところ中国でアパレルのOEM生産に携わっている方々と立て続けに同じような世間話をしました。華やかなファッションの舞台裏の現実をご紹介する意味で取り上げてみようと思います。
日本のアパレルの製品輸入の80%(金額ベース)を占める中国。この日本にとって重要な生産国で、今年、わが国のアパレル業界に影響がありそうな事柄がいくつかありました。主なものは、
1.欧米の輸入制限枠(クオタ)の廃止
2.それにともなう輸出税の負荷の発生
3.人民元の切り上げ
です。
1.の「欧米の輸入クオタの廃止」については、かつて このブログで 「匠(たくみ)の技が奪われる」 という記事でも紹介しました。 簡単に申し上げると、欧米各国が国内産業保護の目的で、2004年まで中国など低コスト産地からのアパレル輸入を枠(クオタ)を設けて制限していましたが、2005年、今年になって全面廃止になったもの。そうすると、当然、欧米アパレル企業のオーダーが、生産コストの安い中国に向かいます。一説には、アメリカの中国からの輸入が3倍に膨らむのではないか、と言われ、日本の輸入関係者は、品質にうるさくなく、発注量の多いアメリカに中国の生産工場のキャパシティが奪われ、日本向けは、コストが上がったり、納期遅れが起こるのではないか、と心配し、戦々恐々としていたものです。
実際、ふたを開けてみると・・・今年の2月、3月ころは、納期遅れの影響を受けたケースもあったようです。しかし、その勢いに「恐れ」を感じたアメリカ国内産業が、案の定、セーフガードを要請し、ニット、パンツ、アンダーウエア、シャツなど主要7品目に輸入制限枠が設けられ、7月にはその枠も一杯になってしまったようで、それ以降は、それらのアイテムの中国からの輸入は打ち止めになった模様です。そんなことで、春夏ものには、多少の影響があったものの、秋冬ものには影響がなかったというのが現実だったようです。
もっとも、日本向けに特化していた工場は、お行儀の悪い(キャンセルやクレームディスカウントが多い)欧米企業にはあまり見向きもしなかったのもあるようですが。
むしろ生産キャパシティよりも、コスト的な問題が懸念されています。
①クオタ廃止のとばっちりで、日本向けにも1枚あたり、
一律20セント-30セントの輸入税が負荷されたこと
②2%の人民元の切り上げ、>>>関連ブログ記事
③追加生産などで、物価の上がっている欧米向け共通工場に
オーダーを振らなければならない時
です。
しかしながら、コストが上がったからといって、遠くて生産に時間のかかるベトナムやインドに大きくシフトするわけにもいかない・・・検品や各店仕分けなど、できるだけ物流を中国側に移し、できるだけ日本国内でコストをかけないように、価格に転嫁しないように、方法に頭を悩ませています。
そんな黒子さんたちのおかげでファッション商品が私たちの手元に届くのだということもお忘れなく・・・・
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