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October 18, 2005

ユニクロがめざす第三世代SPAとは

 先週13日にファーストリテイリングが増収減益の決算発表と同時にぶち上げた第三世代SPA(アパレル製造小売業)構想。昨日の日経新聞、繊研新聞各誌にも取りあげられ、あわせて同社インターネットIRページにある「なぜ、第三世代SPAをめざすのか」というパワーポイント資料にも目を通してみました。

 第一世代のGAP、LIMITEDは「単品」を売り成功、第二世代のZARA、H&Mは「ファッションとトレンド」を売り急成長、それに対して、ユニクロは、世界にまだない第三世代SPAをめざすとのことで、主旨は
 ・世界に拠点を置いて情報を収集し、コンセプト化し、情報を商品に付加して
世に送り出す
 ・世界の店舗から顧客情報を吸い上げ、フィードバックする
 ・10坪から1,000坪まであらゆる店舗の可能性にチャレンジする
キーワードは「情報」であり、かつてキャッチコピーにした「ニュースな服」を量産するということでしょうか。
6000億円を達成するために、今のユニクロの「ポジショニング」を壊してでも、なんでもやる、ということでしょうか?

 「ユニクロ」は最大公約数のアイテムをマスプロダクションによって低コストで生産し、マスメディアを使って低価格で売る。生活者にとっては、「うん、それはユニクロで買えば十分じゃない?」と購買ポートフォリオの一角に位置付けられた「ブランド」で、逆にいえば、「ファッション」にかまけて、期待されているお約束商品をはずしてはいけない「ポジショニング」だと思います。

 柳井さんが焦る気持ちもわかりますが、「ユニクロ」が、「トレンドファッション」として着られることはもう難しいと思います。むしろ、生活者の期待に応えることに徹してもらえればまだまだ伸びる余地もあるのでは、と。

 ユニクロがすべきこと・・・今回の構想を見ても、いままでと変わらないな、と思うのは、やはり、発想はプロダクトアウトであり、店頭でお客さんが何を思うか、への配慮が感じられないのです。
 
 ZARA、しまむら、ハニーズは各店に同じものを各1点しか投入せず、売れても同じものを追加投入しない理由は、「ファッション」にとって、生活者が他人が同じ服を着ていることを嫌がる、ということを配慮していたり、自分が買ったものが次に行った時に値下をされていることを知るのが不愉快であることを知っているからです。
 ライトオンがジーンズをデイリーデリバリー(毎日補充)したり、業界違いではありますがマツモトキヨシが毎日3回小口配送するのは、生活者が期待しているアイテムについては、欠品していて欲しくないと思っていることを知っているからです。
 
 先日、話題の東武百貨店池袋店と銀座4丁目のお店を見てきました。ともに、壁面や什器をエレクターから見栄えのするものに変えれば同じ商品もワンランク高く見えるものだと思ったのと、東武百貨店では、都心のお金のありそうなシニアを、銀座では高級志向の客層を上手に取り込んでゆくものだな、とユニクロの底力を感じたものです。銀座の店頭とVMD+単品陳列はロンドンで見たあるH&Mの店頭を彷彿とし、マンスリーコレクションのコーナーは銀座フリークでごった返していましたが、プレミアムジーンズは空振りの感。カイゼンの余地はありますが、視察に来ていた多くの業界関係者と思われる人々を関心させておりました。

 ユニクロがサプライサイドの発想からディマンドサイドの発想に変わった時、6000億円も現実味を帯びてくるのではないかと思います。

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Comments

takaさん、私のブログへのトラックバック&書き込み有難うございます。

>そう、皆さんおっしゃるように、「ブランド」(ユニクロもれっきとしたブランドです。)にはポジショニングが大切!一度できたポジショニングはそうやすやすと崩れない!むしろポジショニングを磨くことが大事!だと思うのです。

>でも、創業オーナーってのは、何でもすぐやりたいチャレンジャーであり、また、ブランドは、創業オーナーの「生き様」でもあるので、成功した名前の元でいろいろやってしまう柳井さんの気持ちはわかりますけどね。

それは正しいです。チャレンジなくして次の飛躍はないですし。

>お客さんが答えを出します。で、デメだったらすぐ方向転換しますよ。過去もそうだったし。

そりゃそうですね。柳井社長は、やめるのはいつでも早いので大丈夫でしょう(^^)(

Posted by: 両国さくら | October 22, 2005 12:39 AM

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