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October 22, 2005

ライブドアが手にしたファッションリテール最大の資産

 昨日、ライブドアがセシールを買収すると発表しました。
 買収資金は、202億円。うーん、ライブドアは、安い買物をしたな、と思いました。

 単純計算で、セシールの会員数は、1500万人、ファッション流通の一般的な粗利率は40%、1人が3500円買ってくれれば粗利高は200億円を越えます(実際には、いろいろ販売管理費がかかりますが)。

 ファッションビジネスにおける企業の最大の資産は、継承できない「センス」とかではなく、究極、「ブランド(=商標)」と「会員数」に尽きるといっても過言ではありません。リテールにとっては、間違いなく、会員数です。
 
 リテールビジネスのすばらしいところは、戦略的な営業を熱心に継続すれば、顧客ポジショニングが行われ、固定客がついて、その固定客である程度の売上が見込める、ということです。

 これまで、「ファッションブランド」への投資は伊藤忠など大手商社をはじめ、かなり行われてきましたが、「会員数」への投資はライブドアが次世代型企業だからこそ、という印象を受けます。

 また、ネットビジネスにおいては、ツタヤがメール会員1000万人といっても、ゼイヴェルが900万人といっても、楽天しかり、ライブドアしかり、ダブりや、メールアドレス変更による幽霊会員も少なくなく、一方、セシールの住所や購買履歴も含めた衣料品購買者1500万人の会員はファッション関連最大級の宝の山に間違いありません。しかもセシールの場合は、客層的には、消費の主導権を握っている客層が多そうですし、移り気ではなさそうですしね。

 ファンド関連の仕事をする私の親しい友人は、言いました。「意欲のある公開企業は造幣局と一緒。そのファンクションを発揮して、いろいろな資金調達やM&Aができる。今年、ライブドアや村上ファンドが(脅威も含めて)日本の公開企業にいろいろな可能性を教えてくれた。」

 これから、セシールのように創業者が事業継続意欲を失い、後継者も見つからないファッション&リテール関連企業が出てくると思います。そして、ライブドア、楽天、インデックスのような投資意欲のあるIT関連企業はその資金力を武器に、ファッション業界の商標やリアルな会員といった資産は絶好の投資対象となるであろう、ライブドアのセシール買収は、そんな幕開けにあたる一件だと思います。

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Comments

こんにちは。
トラックバック、ありがとうございました。
今後の動向が楽しみですね。

Posted by: グレースワールド店長 | October 23, 2005 10:05 AM

takaさん、いつもトラックバック有難うございますm(__)m

「ブランド」と「会員数」が最大の資産、おっしゃられる通りですね。

通信業界の加速度的な進化は、ファッション業界を巻き込み、これから新しいビジネスがいろいろと生まれそうな予感がします。

時代の風が読める人にとっては、チャンスの大きな時代ですね。

Posted by: 両国さくら | October 23, 2005 11:09 PM

セシールと言えば、その昔は分厚いカタログが送られてきて、奥様たちが集まって茶飲み話をしながら注文するイメージがありました。

今はネットを利用すれば分厚いカタログも少なくなったと思うと昔年の感があります。

同業者でセシール向けの商売をしている人がいて海外生産のためか返品(不良品)の多さに閉口していた風景が思い出されます。

またファッション関連の会社も買収等で経営者が変わる事で業績を回復する会社も今後出てくるでしょうね。

中堅アパレルの小杉産業はジェイブリッジパートナーに再建を委ねています。
社長はファッションや繊維関係とは全く関係のない金融業界出身の34歳だと聞いてビックリです。

かえって繊維業界の「固定観念」がない方が良いのかもしれません。

Posted by: 桑田 | October 24, 2005 04:09 PM

グレースワールド店長さん、さくらさん、桑田さんコメントありがとうございます。

今日の日経MJ記事によると、ライブドアは本気で「リアルな流通(有店舗)」のM&Aに力を入れてくる模様です。顧客の視点で見れる異業種の会社が流通企業を再生していったら非常に面白いことになるな、と思います。

一方、楽天のTBS買収は、生活者のコンテンツ選択肢を狭めてしまうような気がして・・・ライブドア形勢逆転のチャンス?

Posted by: taka | October 24, 2005 05:58 PM

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