元ユニクロ首脳が企業再生ファンド共同設立
本日の日経新聞によると、ユニクロの元副社長で流通専門の企業再生ファンド「キアコン」代表である澤田さんと前ユニクロ社長の玉塚さんが、共同出資(5000万円づつで1億円の資本金)で企業再生ファンド「リヴァンプ(刷新するという意味)」を設立するとのことです。
キアコンは廃業し、一部事業をリヴァンプが引き継ぐ模様です。キアコンは、約100億円規模のアメリカのファンドの後ろ盾をもらって、伊藤忠商事のOBやMBAホルダーを集めて設立され、ピーター商事の在庫評価、トランスコンチネンツの買収、シムリーへの転売、アメリカのアイスクリームチェーンの日本導入を手がけてきました。
澤田さんいわく、多くのファンドが短期の利回りを目的とし(キアコンもそう)、腰を据えての本来の再生ができない、ということで、今回は、自身が腕を振るえる会社を設立し、プロジェクトファイナンスを利用しながら、コンサルタント料とストックオプションで利益を得るスキームで、盟友とタッグを組んだ次第です。
一般的に企業再生は、債務整理や、リストラで再生のスタートラインに乗せてくれるファンドや金融企業はたくさんあるものの、その後、本来の「営業再生」を行うプレーヤー(実務担当者)が絶対的に少ないといわれています。
1年ほど前、中小企業の企業再生を支援するプロジェクトチーム養成のセミナーに参加しました。企業再生屋、ターンアラウンド(TA)マネージャーとして、実務経験のあるコンサルタントを登録して、育てるというものです。
アメリカではTAマネージャーが多く存在して、活躍しています。そのセミナーの先生からは、新規事業立ち上げよりも再生の方が成功の確率が高い(5倍)と聞きました。そうですよね、既存ビジネスの基盤があり、コアコンピタンス(強みへのフォーカス)を行っていくことがマーケティングの王道でありますから、それを着実に行えば可能性が高いというのもうなづけます。
特に、小売事業には、ファン、固定客が必ずついており、その客層を核に健全な経営を営めば、再生もかなり高い確率が望めるのではないか、という実感があります。
今回設立のお二人にはユニクロでの成功体験だけではなく、エリートながら、小売ビジネスの面白さを実感し、アカデミックに、またリーダーシップをもってリテールビジネスを改革されて来た方々だと思っています。上手に調和されて、「お客さんが楽しくお買い物をするシーンを演出する」ことによって流通再生を行うことを期待したいと思います。
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Comments
まず世俗的な感想になりますが、ユニクロの社長を「固辞」して独立した沢田さんと社長を「承諾」した玉塚さんが「タッグを組む」と言うのも皮肉な運命の巡り合せですね。
一般的に言われるように企業再生は短期の利回りを求める「短期戦」になりがちです。ケースは違いますがワールドのMBOも株主から求められる短期的な業績を嫌っての判断と理解しています。
企業はゴーイングコンサーンの存在であり、再生後の「長期戦」をどのような戦略を立てるかが重要です。それがなければ結局リストラと金融支援の結果だけの再生で「元の木阿弥」になりかねません。
Takaさんのような人材が今後現在の「アドバイザー」的立場から企業の内部に入ってのアパレル産業に特化した「営業再生を行うプレーヤー」として活躍する日が早く来る事を期待しています。
Posted by: 桑田 | October 31, 2005 12:19 PM
桑田様
いつもありがとうございます。
剛速球ストレートど真ん中のコメント恐縮です。
そうですね、私も経験がありますが、組織をぶっ壊しての再建、改革は、ある意味「命がけ」とも言えます。
しかしながら、達成した時のお客さんやスタッフの笑顔も筆舌しがたい喜びです。
需要はこれからも高まるでしょう。近い将来、ひと肌脱ぎたいと思っています。
またよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | October 31, 2005 06:45 PM