購買の決め手になるPOPを考える
ご存知・ご利用の方も多いかと思いますが、カルチャーによって分類された本の陳列とそれを取り巻く雑貨が特徴の「遊べる本屋」ことヴィレッジヴァンガード、大手CDショップ タワーレコードは、店頭の手書きPOPの魅力で有名です。私もヴィレヴァン下北、タワレコ新宿は月に一度は、立ち寄って数時間過ごしてしまうくらい大のつくファンのひとりです。
11日の日経MJにヴィレッジヴァンガードとタワーレコードのPOP(店頭広告)についての記事がありました。内容的には、以前からこの2社のPOP作りは流通業界では有名で、取材記事も多いので、特に目新しいものはありませんでしたが、いろいろ考えさせられることも多いので、取り上げてみます。
両社とも、本部やメーカーが送り込んだ統一POPをつけるのではなく、各店舗のスタッフが独自に「手書き」で書いているのが特徴です。商品大好きなスタッフがイチ消費者として、心をこめて、創意工夫をし、顧客と対話するように、語り掛けるような調子で一生懸命書いていることがその魅力と効果の秘訣だと思います。記事にもあるように、POPを読んだお客さんが思わずニンマリしてしまう→商品を手に取る→それを見て、スタッフもモチベーションを上げ、よーし今度はこんなことを書いてお客さんを喜ばせてやろう、といった好循環になるわけです。好きこそものの上手なれ、の好例だと思います。
さて、ファッション販売では、一般的に、接客販売中心、セルフ販売(+気付きの接客も含めて)中心にかかわらず、こういったPOPは敬遠されがちです。ブランドやショップの世界観を内装とVMDで表現しようとするため、「雑誌OOOO掲載商品」というPOPをつけたり、雑誌そのものを広げて置くくらいはするものの、無造作にPOPが増えると、売場が汚くなるから、とか、そんなの書いている暇があったら接客すべき、などから禁止しているところも多いようです。
しかし、売上ノルマばっかりで、POPが書けるほどの、「商品大好き」スタッフが不足していたり、本部から店舗スタッフにお客さんが喜ぶ十分な商品情報が伝えられていなかったりするのが現実なのではないかと思います。
実は、昔、アパレルチェーン店の服飾雑貨、バラエティグッズ、シューズのバイヤーをやっていたころ、メインのアパレルではなかったため、会社も寛容で、担当売場は、POPによるコミュニケーションを承諾してくれました。当時、デザイン学校に通うアルバイトさんなど、各店舗のスタッフ数名を売場担当にしてもらい、各店で、いろいろなことを話ながら、一緒に手書きPOPを作成して、チャレンジしました。結果はもちろん◎売上二桁増、カテゴリ-によっては倍になったものも。「自分が書いたPOPを見て多くの人が買ってくれてうれしかった、と涙を流しながらよろこんでいた子もいました。小売りの楽しみってこういうことじゃないかな、と思います。
企業のメッセージやマスメディアもまだまだ威力はありますが、ユーザーの口コミの方を信用する人が多くなったと言われます。そんな時代に、お客さんの目線で「対話」し、思わず和やかな気持ちになってしまい、購買の決め手になる「ひと言」。購買後も、買ったお客さんが、「これってさぁ」と、ついお友達に話してしまいたくなる「ひと言」。情報が氾濫して、不安な生活者に自信を持たせ、友達との話題づくりにもなるヴィレヴァン式、タワレコ式、口コミ的POPを通じて、今、お客さんが何を望んでいるかをもう一度考え直すことが大事だと思います。
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