まちづくり三法改正で変わる商圏勢力図
政府与党が21日にまとめた、来年の国会に提出する「まちづくり三法」改正案について、22日の日経新聞、23日の日経MJの記事を読みながら、これから流通はどのように変わってゆくのかを考えめぐらせておりました。
これに至る流れを簡単に整理すると、
○アメリカなどの規制緩和要求を受けて、1998年に大型店出店を規制する
大店法を廃止。届け出と地元との調整は要するものの、実質的に大型SCの
出店はかなり自由に。
○その代わりに「まちづくり三法」を制定し、中小小売業立地である中心市街地の
両方を活性化させる予定であった。
○2000年前後からの郊外への大型SC出店ラッシュは、その爆発的な集客力
により、加速度的に中心市街地から顧客を奪い、駅前商店街の空洞化は
深刻なものへ。
○大型店出店可能地域を中心市街地と相乗効果の見込まれる「商業地域」、
「近隣商業地域」、「(大商圏および政令指定都市の)準工業地域」に限定し、
その外側への出店は禁止へ(ゾーニング強化)。
と一旦は「自由化した出店」を、大型SCが「出店できる地域を限定して行こう」というものです。この改正案は、07年より施行の模様です。
ちなみに、イオングル-プの直近の計画でも、その7割くらいは、禁止となる地域にあたるらしく、業界の商圏拡大ベクトルに大きく影響を及ぼすことになります。
現在、売上を大きく伸ばしているファッションSPA(製造小売業)が、この郊外SC開発の波に乗ったものであることは、言うまでもありません。デベロッパーだけでなく、彼らはどこへその成長ロジックの場をシフトするのか、そして、施行後の覇者は?
考えられることは・・・
○ 06年いっぱい、駆け込み大型SC出店・・・ラフな出店避けられず
○ 07年以降、郊外大型SCは既得権益に・・・家賃高騰
○ 郊外では、規制の影響を受けない規模の食品スーパーやしまむらの
ような実用衣料を核としたNSC(近隣小商圏向けSC)が活躍
○ 都心再開発、都心既存店の改装が進む・・・ダイエー・西友浮上?
○ 現在、死に体になっている、非ターミナル駅の駅ビルに脚光が
・・・JR系デベロッパーの時代へ?見越して提携したイオンはさすが
○ 都心好立地に既存店舗を持つ企業を標的としたM&Aが進む?
家賃負担が上がり、体力のある、利益率の高い大手企業による品揃え同質化は避けられないような気がしますね。狭い場所でパイを食い合う日本では、自由競争と同時にバラエティ豊かな真の生活者利益の実現は難しいんでしょうかねえ。
イオンの岡田社長が言われるように、市街地活性化のための具体的な策を議論せずしての、出店規制は大いに問題ありと思います。
一方では、現在、「穴」と言われる大商圏の商店街立地(コンビニ、ドラッグ、百均立地)へのファッション業態開発も進むのではないか、と楽しみではあります。
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Comments
こんばんは^^
記事中で書かれているように「都心好立地に既存店舗を持つ企業を標的としたM&Aが進む」ことの表れがセブン&アイのミレニアム経営統合という形で表れたのかもしれませんね。
今後の展開も楽しみなので、また勉強させてください☆
私が以前に書いた大型店出店規制の記事もTBしてみますね^^
Posted by: 龍司 @∞最前線 通信 | January 08, 2006 10:42 PM
龍司さん
TB&コメント感謝です。
いろいろ先読みしていくと、マーケットも面白いものです。昔なら、それが単なる業界シェア争いだったと思いますが、今は、「生活者最適」に動いて行くということが併せて言えると思います。
それにしても、政府は相変わらず「生活者最適」を妨げることをしますね。けしからん。
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | January 09, 2006 12:46 AM