リテールロジスティック戦略の真骨頂
ある物流改革のプロジェクトで、全国展開のリテールチェーンの物流センターを見学に行きました。
業界では、有名なところなので、いろいろ聞かされてはおりましたが、その完成度に、訪問メンバーは全員関心するばかり。 「すごいね、でもうちには到底できない・・・」「事情が違うからね」というメンバーの言葉。
確かに、その積年の研究や、設備投資はそう簡単に真似できないかもしれません。しかし、前回の他社の物流センター訪問の際にも触れましたが(関連記事)、彼らが、何を大事にして、どういう思いで、この物流センターの仕組みを作ったか?をヒアリングから感じとり、やり方や規模は違うけれど、実現できることもあるのではないか、と考えをめぐらしておりました。
彼らが大事にしていること・・・
・毎日新しい商品を店舗に届けること(鮮度)
・出来るだけ早く店舗に届けること(スピード)
・店舗作業を単純にし、間違えや不測のことが起こっても
店舗サイドのイレギュラー作業を極力無くすこと(誰でもできる平準作業化)
・売れ残り在庫を残さないこと(鮮度;企業利益)
業界では、「現場主義」の名の下に、問題を現場任せにしていたり、トップが会議で怒るたびに、店舗作業が増えてゆく会社が少なくありません。本部の無計画性が店舗へ、そしてお客さんへのサービスにしわ寄せが行く・・・。多くの企業が耳の痛い話ではないでしょうか?
一方、訪問先は、パートさんの戦力化でも長けている会社でもありますが、物流の在り方も含めてそのひとつひとつに、イズムが一環していることを感じました。
ところで、リテールの物流戦略=「ロジスティック」とは、軍事用語の「兵站」にその語源があると言われます。チェーン店のエリア攻略においては、本部や物流センターは、距離や時間を考えて、店舗がベストパフォーマンスするための後方支援基地であると考えなければならないと改めて、実感させられます。
そんな視点から日本に進出中の海外ファッションSPAのロジスティック物流戦略を比較してみると・・・
ZARA(ザラ)は、毎週2回、スペイン本国の基地(本社)から大都市一等地を「空爆」(FEDEXと提携)。
一方、ホームファッションのIKEA(イケア)は、世界各国で生産された商品を上海に建設した基地(物流拠点)に集約させ、そこからまとめて「軍艦」で日本の店舗に送り込んで来る模様です。日本進出に選ばれた立地は、船橋、横浜、神戸・・・港に近いのは間違いなく、戦略的だと思います。IKEAは、その上海の拠点に万全を期すため、当初のOPEN予定は、05年秋だったのですが、06年4月へと先延ばししたいきさつがあります。それだけ、後方支援のためのロジスティック戦略に時間をかけて、日本を徹底攻略しようとしているところに本気度を感じざるをえません。彼らは、世界ロジスティック戦略の絵の中の日本をどのように見ているのでしょうか。
それに対して、日本の企業は・・・今回の訪問先のようなところは、ほんの一握りで、まだまだ「竹やり」が多いですかね。
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