GMSのファッション売り場に立ちはだかる官僚主義
先週末からダイエーの樋口社長、セブン&アイの鈴木会長、イオンの岡田社長のインタビュー記事が日経、日経流通、繊研新聞に相次いで掲載されていましたが、23日の繊研新聞のイオン岡田社長の記事がちょっと面白かったので取り上げてみます。
ここ数年で、久々に上昇基調の衣料売り場の今後の改革について触れて、「これまではクレームを恐れるような官僚主義の面があった」とのコメント。
イオンの商品に対して、専門家に、縫製は文句なくきれい、生地は品質検査を通るクオリティではあるが、デザイン、素材の見栄えがよくないとの意見をもらった模様。顧客から「品質クレーム」はなくても、「かっこ悪い」というクレームはない、との嘆き。
また、インドの工場を視察に行った時に、先方から、お前の会社はおかしい、なぜ商品部ではなく、品質管理部の人間が最初に来るのか、と指摘されたそうです。
思えば、OEM生産の営業をしていたころ、大手アパレルやGMS向けの商品は、そのエネルギーの60%を品質検査(品管=ヒンカン)の対応に当てていたのを記憶しています。時には寝れなくなるほど。とにかく、検査合格証を取ってくれ、とのやりとりに辟易しました。そんな私も海外の工場に行っては、商品そのものよりも品質管理の話から始めてましたっけ。
日本の品質基準が厳しいのは、戦後、輸出によって外貨を稼ぎ復興をしなければならない時に、繊維製品についても、海外からの品質クレームが多発し、厳格な検査基準をつくったところに端を発していると聞かされています。
今も立ちはだかるその基準がファッションの新しいチャレンジ、危ういけれども面白い商品作りを妨げてきたのは事実。
はたして、イトーヨーカ堂の藤巻氏、イオンと提携した永澤氏はその範囲の中で持ち味を活かせるのか、乗り越えるのか、GMSのファッション売り場改革がどのように進むのか見ものです。
PS.春にデビューする両氏のそれぞれのSPAコンセプトを聞いた限り、なんか両方ともコムサイズムのまねのように感じてしまったのは、私だけでしょうか?
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Comments
やはり、その問題出ましたか。
OEM営業を手掛ける当方も過度な品質基準には閉口する事もあります。
中国工場では対日輸出を避ける一因とも聞きます。
OEM営業としてはもっと企画や別の方へエネルギーを使いたいものです。
Posted by: 桑田 | January 26, 2006 10:27 AM
海外ブランドで言えば、ブランド色が強く売れそうな商品でも、品質上の問題で輸入を断念するということもあります。
一方で、消費者の品質に対する目も、確実に厳しくなっていると思います。安価であれ高価であれ、費やしたお金に対して極端に言えば、200%求めています。
要は品質もデザインもそれぞれ100%なものが売れるってことでしょう。
言うは易し、ですが・・
Posted by: 田中 | January 26, 2006 10:54 AM
桑田様
やはり、ご苦労されていますか。
本当ですよね、実用洗濯に耐えられればいいと思うのですが、
最近は特例が増えたとは言え、チャレンジができる幅が少ないのでは、と思います。
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | January 27, 2006 02:00 AM
田中様
コメントありがとうございます。
そうですね。私も、古くはイタリアもので苦労しました。
ファッションですから、微妙な素材感やデザイン感覚がよい場合があるのですが、時に100人に1人いるかいないか、のクレームを言うお客さんに全体を合わせなければいけないわけですね。わかりますが、残念なことも。
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by: taka | January 27, 2006 02:06 AM